静岡川柳たかねバックナンバー
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平成二十一年 十月十七日
定 例 句 会
於 アイセル21


席 題「 独 」 山下 和一 選
夢を追う酒に恋して独り寝る    修 市
君の居ぬ日曜の午後独居房     卓まる
独語の様なカルテに気が沈む    のぶ男
ああ独り生命線があくびする     尚
独り居を慰めている虫の声     千恵子
独り身を堪能してる赴任先     修 市
マイク握り独りじめする音痴だね  しげる
赤い糸掴まえられずまだ独り    千恵子
虫がつく私ですが独り好き     さとみ
和にとけず独り善がりで嫌われる  二三子
独身をエンジョイ妻は旅行中     鰹
アラフォーでレシピばかりが増えている 弘
その裏でタンマリ儲け独禁法    輝 男
独身よ鼻に高さが足りなくて    茂 瑠
暖かな絵を独房へ送りたい     茂 瑠
恋の歌今日も独唱窓の下      卓まる
秋風へひとりぼっちになる覚悟   恭 子
独り身も気楽と少し見栄もある   修 市
独自性崩れる尻尾長すぎて     茂 瑠
はしゃぎ過ぎたった独りのかくれんぼ アキラ
 秀 句
独断へ針の筵が待っていた     恭 子
独りっ子ママの笑顔はボクのもの   尚
独酌は天下をとれる無礼講     のぶ男
独学の祖母にもらった知恵袋    さとみ
独り占めしちゃダメ僕は人気者   卓まる


宿 題「み、で始まる句」 薮崎 千恵子 選
身に付いた趣味に余生の道標     進
見事だなあこれが偽作と思えない  輝 男
未熟さを笑顔でカバーしています  居久美
耳鳴りを少しなだめる星月夜    敏 子
三つ指の指が謀叛の旗を織る    美佐緒
耳よりな話群がる欲の月      玲 子
耳打ちを大声出して聞き直す    長 仁
見透かした嘘にゴメンと透かしあり 卓まる
未来こそ自分を変える晴れ舞台   和 一
見上げてごらん月にウサギがまだいるよ 哲 也
ミステリー君が隣にいる事が    洋 未
未送信戻れぬ恋に指震え     だがやん
見損なったなんて期待がでかいだけ 五 貫
身綺麗で常に有りたい心うち    のぶ子
耳たぶが大きいだけじゃ来ない嫁  哲 也
見栄張ってヒールに泣いた帰り道  居久美
身動きが出来ぬ困った試着室    玲 子
見落とした落書き孫の自己主張   しげる
身から出た錆を磨いてやり直し   しげる
妙齢の妙が時々崩れだす      茂 瑠
満ち足りた暮らし心にすきま風   千代見
身の丈の海で私を崩さない     さ き
見て見ない振りもいつしか介護され  亘
味方から飛ぶ忠告は的を射る    廣 司
見違えた君の化粧は素晴らしい   ユタカ
見えみえの嘘が透けてる捨て台詞  豊 子
ミーハーな私この世はおもしろい  静 枝
身がまえてしまう猫なで声だから  恭 子
耳も目も口も達者で嫌われる    由利子
見るだけで今日も楽しいショッピング三根子
 五 客
耳朶でおんなの私揺れている     弘
磨いたらわたしダイヤになれるかも 恭 子
ミラクルの母が育てた一ダース    弘
見栄捨てた日から世間が広く見え  二三子
見た目より豊満でした以下余白   由利子
 人 位
満ち足りた暮らしに飽きている金魚  鰹
 地 位
未公開シーンのままのプロポーズ  卓まる
 天 位
水割りを指でカラカラ恋終わる    鰹


宿 題「亭主関白」 谷口 さとみ 選
関白も留守だと行事捗らぬ     晴 康
ささやかな亭主関白朝寝坊     洋 未
友達が居る間だけいばってる    三根子
威張っても所詮女房の五指の中   二三子
夢の中亭主関白やってみる     三根子
手のひらで泳がせている妻の術   豊 子
真相はかかあ殿下という噂      弘
関白もかしこき妻があってこそ   修 市
亭主関白どう飼いならす妻の腕   しげる
新婚さん亭主関白辞書にない    洋 未
メシフロと言ったら判がとんでくる  尚
やりくりに疎い亭主の空いばり   豊 子
ひとりではクスリも飲めず小言いい すみと
偉そうな父が家庭で浮いている   由 美
家計図に親父の牙が捨ててある   野次馬
ハイハイハイそうそうそうで煽てあげ 好 子
賢妻は関白様にさせておく     廣 司
妻の手の中で関白オーイお茶    太 郎
手の平の関白様が愛しく      和 枝
客が来て威張った分の倍返し    恭 子
客が去り亭主関白衣替え       進
そうさせた妻が悪いと皮肉られ   穂々美
 人 位
煽てられ亭主も昇る天守閣      進
 地 位
から威張りする亭主でも居て欲しい 廣 司
 天 位
関白で妻の不倫に気付かない     弘


宿 題「秋らしい一句」 望月 弘 選
秋風にのって団地はレストラン   卓まる
秋桜はにかむように人を呼ぶ    美佐緒
腹の虫今日は秋刀魚か松茸か    居久美
馬肥ゆる秋を体感しています    恭 子
ハラハラと落葉の私語が哀しくて  ふく子
豊作の祭り神代の風が吹く     美佐緒
ふるさとの秋が届いたゆうパック  廣 司
食べるもの美味しくなってメタボ腹 長 仁
芸術の秋団栗も文化祭       静 枝
掃き寄せた落葉を風がもってゆき  獏 沓
コオロギがショバ代をとる狭い庭  穂々美
秋の空あれ弱虫が泣いている    美智代
清水のもみじ舞台を盛り上げる   まさ子
ビールから熱燗にする縄のれん   博 司
災害の村もきれいに紅葉する    徳 子
焼き芋の笛に乙女も踊らされ     鰹
すすきの穂サボれサボれと子守唄  卓まる
秋になりイベント多く休みなし   たかし
ため息がつい深くなる秋の酒    五 貫
おみなえし萩も欲ばる詩仙堂    すみと
風邪引くぞ孫のお臍を仕舞わせる  晴 康
白内障眼帯解けた柿の色      重 雄
食欲の秋終わったらダイエット   好 子
コンバイン音高らかに秋日和    由利子
ダイエット秋の味覚に寄り切られ  信 一
愛されて少し嫌われ彼岸花     まさえ
陽焼けしたウデを長袖つつみ込む  修 市
虫が鳴く声聞きたくてテレビ消す  まさ子
親知らずぬいたら秋がおいしいナ   尚
松茸の噂話しを食べている     竹 水
松茸か秋刀魚か迷うレジの前    野次馬
草虱つけて出てくるかくれんぼ   まつ子
 五 客
散歩道紅葉の雨が降り注ぐ     ユタカ
栗の字が季節限定だと騒ぐ     俊 枝
秋だなあ髪がこの頃うすくなる   輝 男
栗拾う迷いを一つ置いてくる    まさえ
コスモスに心映して揺れている   恭 子
 人 位
どこまでも一直線の澄んだ空    アキラ
 地 位
クレヨンで描けばもみじ踊り出し  ふく子
 天 位
一枚の栞を探す秋の夜       茂 瑠


宿 題 「自由吟」  互 選
Fお膳立て整い過ぎている不安   千恵子
D難問を消化するまで噛んでいる  しげる
Dくるくると変わる心を持て余す  義 子
D結論は一つじゃないと星が言う  哲 也
D送りがな一つを変えて立ち上がる ふく子
C蹴飛ばした親の言葉を思い出す  太 郎
C押し黙る妻持て余す秋の空    静 枝
Cどちらとも決めかねているやじろべえ 恭 子
C引き出しが増えるばかりで奥がないのぶ男
B人事課へ初老の旗を置きに行く  野次馬
B始発駅女が罠を整える      美佐緒
A買い換えたメガネやっぱりずり落ちる 長 仁
A地球美化僕もタマには草むしり  輝 男
A抽選日までは大事にされるクジ   弘
A物価高嘆く割には多い無駄    徳 子
A選挙前だけ訪れるお友達     由 美
Aなぜかしら今日は涙が止まらない 三根子
A思い出は二人でひとつフルムーン 二三子
@時々は妻の干潟を掘ってみる   茂 瑠
@度の合わぬメガネが足にかぶりつく 安 心
@千鳥足トイレに向かいヨーイドン  豊
@不倫など許されないが憧れる   由利子
@脳細胞うまい酒だとしゃべり出す 洋 未
@風呂の中パパと一緒に二二んが四 敏 子
@ストレスとウソ嘘うそで息が切れ  尚
@貝殻が無くした声を探す海    卓まる
@葉脈を残し私のレントゲン    千代見
@二人とも無口になって秋深む    鰹
@お姫様抱っこしたいが妻重い   だがやん
@生きる為とは言え友を裏切れず  廣 司
@絡みつく視線ドキドキ姥桜    信 一
@喜びは汗と涙の使い分け     和 枝
@二番目はもう青でない交差点   さとみ
@スパークの危険密度にある二人  可 福


参加者(順不同)佐野由利子、長澤アキラ
高瀬輝男、池田茂瑠、中田尚、薮崎千恵子
中野三根子、望月弘、林二三子、山下和一
勝又恭子、今井卓まる、今井正美、今井侑
永田のぶ男、曽根田しげる、谷口さとみ、
加藤鰹、小林ふく子、畔柳晴康、毛利由美
大塚徳子、岡村廣司、薗田獏沓、成島静枝
瀧進、鈴木まつ子、飯塚すみと、西垣博司
尾崎好子、内山敏子、中矢長仁、滝田玲子
小野修市、市川重雄、川村洋未、鹿野太郎
川島五貫、森田安心、安田豊子、濱山哲也
竹内さき、石田竹水、加茂和枝、増田信一
鈴木千代見、戸田美佐緒、山本野次馬、中
川司、芹沢穂々美、川口のぶ子、石上俊枝
川村美智代、提坂まさえ、萩原まさ子、那
須野正明、恩田たかし、川口亘、酒井可福
森だがやん、稲森豊、森下居久美



定例句会 | Link |
(2009/12/28(Sun) 12:47:26)

第24回国民文化祭・しずおか2009

 平成二十一年十一月一日(日)長泉町文化センターを会場に「第二十四回国民文化祭・しずおか2009 文芸祭川柳大会」が開催されました。
 大会当日は全国各地からおよそ700名の皆様にご参加いただき、盛況のうちに大会を終了することができました。
 ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。次の通り大会結果を掲載いたします。


▼小・中学生の部

文部科学大臣賞
いつの日かゴミで車を走らすぞ    山口県 秋本 達哉

国民文化祭実行委員会会長賞
真っ白なてのひら何を掴むかな    静岡県 斉藤 愛美

静岡県知事賞
ゴミがないぼくのおうちはきもちいい 岡山県 中力 保斗

第二十四回国民文化祭実行委員会会長賞
けんかして友達のよさやっと知る   福岡県 木之下 亮

静岡県教育委員会教育長賞
けしごむはやくにたつほどくろくなる 静岡県 折田 孝斗

長泉町長賞
おじいちゃん七十五歳のさかあがり  静岡県 小島  葵

第二十四回国民文化祭長泉町実行委員会会長賞
生き生きと頑張る君に金メダル    島根県 石倉  葵

長泉町教育委員会教育長賞
友のあいドミノのようにつづいてく  広島県 尾崎 夢大


▼高校生・一般の部

文部科学大臣賞
お手植えの根っこに埋めてある昭和  熊本県 平田 朝子

国民文化祭実行委員会会長賞
地球儀が静かなお茶を飲みたがる   茨城県 葛西  清

静岡県知事賞
尺玉を庶民に見せたマニフェスト   東京都 近江あきら

第二十四回国民文化祭実行委員会会長賞
自慢する顔がだんだん若くなる    静岡県 塚本 寄道

静岡県教育委員会教育長賞
山麓の風で都会の眼を漱ぐ      宮城県 藤本真喜子

長泉町長賞
パレットの乾く間もない絶頂期    栃木県 渡辺 裕司

第二十四回国民文化祭長泉町実行委員会会長賞
美しい誤解のまんま兵の墓      千葉県 山口 早苗

長泉町教育委員会教育長賞
なにもない村だが蛍乱舞する     青森県 高瀬 霜石

全日本川柳協会会長賞
百年の根っこが百の音奏で      静岡県 水口 樹里

静岡県川柳協会会長賞
麓から視野の限りの大文字      山口県 富田 房成
おめでとう♪ | Link |
(2009/12/28(Sun) 12:41:14)

ちゃっきりしぞ〜か弁川柳 だに


でがあるでぎょうせん棒は安いずら     寺脇 龍狂
ちっとでも車降りたら鍵かえよ       那須野正明
今もまだくすがっている君のトゲ      中川  司
ジョンジョンでポンポン乗っちゃダメらよ〜 加藤  鰹
ほんだもんだでまだやっちゃーないじゃん  新貝里々子
DVDエッチなテレビじゃないかえ〜    新貝里々子
きゃうらん板ほうか へいじゃあ向いずら   市川 重雄
きゃんだりいじいじいあした雨ずらよ    市川 重雄
たまだねえらくごくないが寄ってやあ    小林ふく子
晩げんのお菜歩んで買えー行く       小林ふく子
なんだこれひっぽかすなよ途中じゃん    畔柳 晴康
アアあれをやっつけたのはだれだっけ    畔柳 晴康
しゃらくさいはすン黄いないくしょーして  鈴木まつ子
アンモーが焦げるでかやいてっからいく   鈴木まつ子
えーじゃんかちったぁ言わしょー婿の酒   瀧   進
はぐしゃれて野党ぁそのうちしなくれる   瀧   進
年寄りょうちょうらかすたぁなんてガキ   岡村 廣司
あんてえがはねえたこたあ嘘だじん     岡村 廣司
おみゃあらにゃー真似ん出来ないボツの数  西垣 博司
ほうれみょうすぐにちんぷりかきゃーがる  西垣 博司

ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2009/12/28(Sun) 12:27:32)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「右クリック」   毛利 由美
アルバム整理その夜昭和の夢を見る   つくば
男は保存 女は上書きで生きる
右クリックしている時は悩んでる
寒すぎず熱すぎぬのがいい 人も



「雑  詠」    真田 義子
食欲の秋は無理ですダイエット     仙 台
三分粥五臓六腑が動き出す
マイッタネ生命線がまた伸びる
ぼんやりとしている午後の夢が好き


「  秋  」    川口 亘
鬼やんま彼岸に来る日忘れない     藤 枝
地震来て今年は違う秋彼岸
スーパーがさんま目玉に秋を呼び
冷えた身を温め起きる秋となり


「男 と 女」    戸田 美佐緒
擬態する男が眠る玩具箱        さいたま
甘噛みの好きな女と水の底
漂泊をして差し上げる鬱 その他
美しい女が撒いている疑似餌


「自 由 吟」    竹内 さき
北風に負けじと燃えるプロポーズ     浜 松
コーヒーよ私の恋が褪せぬ間に
枝矢折れて帰る故郷の風ぬくい
原点に立ち来春の指を折る


「軽い腹立ち」   増田 久子
一円貨なくてくずした諭吉さま     焼 津
旅先で旦那と来たをすぐ悔いる
お通しは頼まないのに来て高い
化粧品売場呼び止められず行く


「夫  婦」    馬渕 よし子
只今の声で夫の機嫌読め         浜 松
へそくりの在り処はとうにお見通し
仕返しへ夫嫌いなメニュー攻め
結局はすべて許してああ夫婦


「十 二 月」    松橋  帆波
家計簿の折れ目の数や十二月       東 京
かみさんと足を絡める氷点下
父さんがサンタで何がいけないの
再起動 午後になります二日酔い


「割 烹 着」    栃尾  奏子
花達の愚痴初雪が真っ白に       大 阪
二泊三日 母空っぽになりに行く
母の手の平でコロコロ青林檎
ちゃぶ台を囲めば母の絵の中に


「自 由 吟」    村越  精也
詐欺電話声で判るか金欠が       静 岡
どの医者も九割因は加齢なり
売出しのジーパンに穴 解せませぬ
携帯は始め便利で今は枷


「自 由 吟」    川村 美智代
新政権船出はしたが波荒く       静 岡
も〜いくつ年賀ハガキが歌い出す
アナログと聞けば落ち着く高齢者
秋の空風向きをみる私いる


「  夢  」    藤田  武人
羊水の海 心音の子守唄        大 阪
夕暮れに明日への夢を描こうか
夢一字まずは足元踏み固め
凄い夢さあ正夢か逆夢か


「  根  」    提坂 まさえ
根回しの圏外にいて風を聴く      静 岡
舌の根を乾かしてから反旗挙げ
毛根がDNAを主張する
のびかけたパンツのゴムと自己主張


「通 り 雨」    稲森 豊
心地よい日差しに抱かれ咲く笑顔    静 岡
合図鳴り半額王子走り出す
緊張の心シグナル動き出す
降り出したのは気の利かぬ通り雨


「しぞ〜か弁川柳」 中安 びん郎
隙間風ちっとひゃっけー秋だなあ    静 岡
増税はかにょしてくりょう民主党
おだくって稼ぐな年をかんぎゃ〜よ
ちっとばかした草取りできゃんだりい


「のめない酒」    鈴木 千代見
うまそうに飲む傍らで舐めてみる    浜 松
酒飲みの顔に見えるか注ぎにくる
辛口の酒がいいナと言ってみる
悩むことないさと酒を追加する


「覗  く」    安田 豊子
うっかりと覗いた壷に底がない     浜 松
プライバシーこっそり覗く障子の目
言い訳は止めた淋しさ覗かれる
苛立ちを鎮めて覗く万華鏡


「ノスタルジア」  石井 昇
赤いコートよメランコリーの灯がにじむ 蓮 田
流転した終着駅が決まらない
ひきずった影の薄さよ俺の街
空回りしてる議論を煮転がす


「三日坊主」    鈴木 恵美子
楽天家三日坊主のなまけ者        静 岡
整理下手三日坊主を繰り返し
義理の趣味三日坊主も許されず
悲しみは三日坊主の方が良い


「やれやれ国文祭」 新貝 里々子
手荷物を心配性がふくらませ      袋 井
紅さして今日いちにちの顔つくる
貧弱な身体をかくすココ・シャネル
くすりより利き目たしかな入選句


「農 作 業」    酒井 可福
耕した畑のレシピを考える       北九州
収穫の夢に大きな鍬振るう
一振りの鍬が大地と語り合う
太陽が背中に温い草むしり


「映  画」    奥宮 恒代
シルバーと聞かれ思わず笑み返す    森 町
予告編見たい気になるど迫力
ロードショウ ポップコーンに満たされる
別々の映画に酔った顔で出る


「自 由 吟」    内山 敏子
バーゲンへ財布の紐が引っ張られ    浜 松
名物にかかあ殿下とからっ風
焚火の輪 話し上手が来て囲む
スニーカー秋をもらって駆け巡る


「  夜  」     井口 薫
輝いた今日が眠らぬ二十五時      袋 井
寝るとする敗者の今日をちぎり捨て
名月を遺影に見せる窓を開け
ときめきか痛みか星が空を切り


「  鳩  」    濱山 哲也
定年後 鳩と戯れる少年         つがる
中国の人を呼ぼうか鳩の群
キジバトは首振りをせず生きてゆく
白い鳩をパトリオットが打ち落とす


「雑  詠」    山本 野次馬
立ち止まるまでは流れをやり過ごす   函 南
フラスコの底でブルーライトな夜
この指に止まれ小さな夢だから
雑踏の中で案山子になりすます


「没句供養」    中矢 長仁
国文祭富士山麓に宿を取る        松 山
今そこで泳いでいたと初鰹
お茶漬けで仕舞にしよう三次会
趣味に生き時々旅をする余生


「鍋の季節」    萩原 まさ子
寄せ鍋が大掃除する冷蔵庫       静 岡
B級の誇り捨てないおでんつゆ
順番も味もおまかせ鍋奉行
寄せ鍋にたまに入れたい鯛や蟹


「  時  」    石上  俊枝
早送りしているように日が暮れる    静 岡
延々と笑いは時を止まらせる
お開きも忘れ仲間と過ごす時
残された時間フルにと駆け回る


「同 じ 月」    西谷 秀朗
いい出会い求めて嘘のマイプロフ 兵 庫
初対面切符片手に胸弾む
君思い夜空見上げる同じ月
また逢える約束胸にさあ仕事


「長 い 夜」    森 だがやん
長い夜は月と語らい句を捻る      島 田
毎晩の秋刀魚尽くしじゃ飽きが来る
現実は座布団亭主敷かれてる
味噌汁を啜って母に思い馳せ


「夕  陽」    小林 ふく子
消えそうな我に夕陽が来て止まる    袋 井
見飽きない夕陽わたしを抱きしめる
夕焼けが今日のドラマを包み込む
追憶の夕陽に燃えた眼が熱い


「夫  婦」    鹿野 太郎
吉日に自分探しの旅に出る       仙 台
対局の大詰めカッと妻睨む
冬の海シンドバッドの頃想う
新しいトゲ抜きに行く古本屋


「自  由」    滝田 玲子
鳴きおくれコオロギ誘う星月夜     浜 松
また乗ってしまう上手な口車
懐が寒く秋風身に染みる
下駄箱で出番ないかと赤い靴


「青いバラ」    成島 静枝
青いバラ予約受付け手が出ない    千 葉
青い薔薇 棘も青いか聞き洩らし
青いバラDNAはまだヒミツ
気位の高さ一輪差しが合い


「自 由 吟」     近藤 伊佐久
我がままをゆるされガンかなと思い   静 岡
成人の娘とおとそ宮参り
とそ祝い富士をおがんで国旗建て
寝たきりの母へ窓から月を入れ


「関白余話」     西垣 博司
ソロバンを弾いた妻にかしずかれ 静 岡
町内に亭主関白見当たらず
関白が定年からの体たらく
定年後 女帝に軽くあしらわれ


「自  然」 加茂 和枝
まだ時間たっぷりあるよお話しを  岩 沼
潮風に揉まれた体 今生きて
自然とは飾らぬ言葉嬉しくて
さざ波の向こうに夢は輝いて


「枯れすすき」   岡村 廣司
強たかに生きたが遂に枯れすすき    焼 津
枯れすすきだけど負けん気まだ続く
喝采はもう欲しくない枯れすすき
枯れすすきカルテこんなに厚くなり


「山  頂」    大塚 徳子
迷いあるふっ切るために山歩く 仙 台
山頂で朝日を浴びていい気分
山頂で雲の上のひとになる
山頂でみれば下界のちっぽけさ


「柿 の 実」    芹沢 穂々美
柿の実と夕陽は同じ魔の朱色   沼 津
葉が落ちて代を譲った守り柿
渋柿を主役に決めたつるし柿
お隣りの柿の葉名札つけている


「  秋  」   畔柳 晴康
秋霖がまたも予定を狂わせる    浜 松
アルバムで昔を偲ぶ老二人
小春日だ拗ねてみたいよ八十の爺
待っていた秋が来たのになぜ寂し


「生  活」    川口 のぶ子
見つめられ上手のてから水が漏れ 藤 枝
しきり泣く生活の声アウトダウン
日常の生活けわし老いすれば
青い空雲一つない秋日和


「逢い別れ」    鈴木 まつ子
抱き合っていると絡繰る風が立つ   島 田
ひとときをその気にさせる包囲網
言い逃れ下手な男の仮面ずれ
花は散り触れて人と逢い別れ


「自 由 吟」    篠原 久
気長に獲物待ってる蜘蛛の糸    四国中央
千代紙の鶴が飛び立つ回復期
真正面妻に好きだと言ってない
不器用な男曲らぬ曲り角


「偏 平 足」    寺脇 龍狂
ビリの孫 偏平足が慰める        浜 松
改めて足のうら見る運動会
ヤジ馬か同情票か六千人
矍鑠と老農挑む草の波


「来  年」   薗田 獏沓
来年の夢年金では高が知れ   川根本町
来年をどう生きようか思案する
我慢してよかった来年好きに生き
来年に堪えて信用辛さにも


「す て 石」   瀧 進
ぼた山の石が賑わいなつかしむ     島 田
チャンスまで捨て石ポーカーフェイスする
水底の石も世に出る渇水期
捨て石が活路を開く四面楚歌


「雑  詠」   飯塚 すみと
平和だな道路に座りおでん食う     静 岡
公園で稚児を放ちて親ばなし
JAという字の野菜よく売れる
殿下来てツインメッセは上機嫌


「赤まんま」   尾崎 好子
赤まんまついしゃがみ込む懐かしさ  藤 枝
赤まんま幼なじみは遠に逝き
赤まんまみて赤飯を炊いてみる
深夜便花言葉まで知りました


「銭 太 鼓」   多田 幹江
小銭ジャラジャラ我が家と同じ銭太鼓  静 岡
銭太鼓やせた年金待っている
アトラクの余勢で買った銭太鼓
銭太鼓埋蔵金にしておこう


「世間に生きる」 小野 修市
無学でも生きる智慧知る世間から 静 岡
街角で世間のウソを覗いてる
長いこと火の粉あびて穴があき
いつ迄も世間の流れつかめない


「願  い」    中野 三根子
願い事いっぱいあって叶わない   静 岡
少しづつ願いをかけた雨の夜
どこまでも続いた路にある願い
ひとつづつ願いは叶う旅の空


「還  暦」   増田 信一
還暦がうれしいような無いような 焼 津
還暦をもう一回は無理かいな
還暦を過ぎても会社行ってます
還暦でちゃんちゃんこなど着たくない


「ショッピング」 勝又 恭子
ショーウィンドゥ私まだまだいけてます 三 島
マネキンがこっちこっちと呼んでいる
ストレスをブランド品と取りかえる
マネキンが着てるときほどきらめかず


「菊 日 和」  高橋 繭子
マッチ擦るつかのま戻る命の灯 大河原
線香の煙を揺らすのは…あなた?
両の掌をあわせるほかはない仏間
死者生者分け隔てなく菊日和

 
「交響曲ブライチ」山口 兄六
助け乞うメールの返事寝て待とう 足 利
迷い道誰にも会いませんように
串刺しの具ポロリもしかしたら 嘘
留守電の「あ」や「え」の語間 深いまま


「秋の一日」  森下 居久美
友来る 国文祭の風に乗り  掛 川
ジャグリング バルーン 街はおもちゃ箱
友来る 訛りで囲むおでん鍋
さよならの握手は堅く暖かく


「独り国文祭」  谷口 さとみ
童顔でいまさら虫も殺せない     伊 豆
強かに龍の裏地の喪服着る
私の遺影ピースで赤い薔薇
根を切ってくれたあなたの部屋で咲く


「自 由 吟」   中田 尚
何気なく明日へ明日へと歩くだけ    浜 松
書きたしてどんでん返しするつもり
ストーリー見えぬドラマが人生だ
文化の日グリコのおまけ勲章に


「慌 て 者」   佐野 由利子
あれこれと遣りすぎ結果 為損じる   静 岡
あわて者六十路過ぎても慌て者
激安のチラシで今日の予定決め
敵味方その行間が住み易い


「派  手」   真 理 猫 子
年々とパンツが派手になってゆく   岡 崎
クリスマスツリーの陰に駅がある
派手なシャツ地味な私を包むため
ショッキングピンクの墓に入れてくれ


「ヘルパー2」  恩田 たかし
毎日が同じ会話で汗たらり       静 岡
営業はつぶしがきくとよく解り
テレビよりラジオいいよと話しする
料理する担当の日はハラハラと


「濾過します」  石田 竹水
リコールに僕の心意を練り直す     静 岡
耳打ちの言葉は一度濾過します
昼寝する癖が僕には処方箋
羽根の有る風に私は成って飛ぶ


「  骨  」   川村 洋未
骨さえもカタカタ泣いた僕の恋 静 岡
レントゲンあんな美人がすかし彫り
骨一本折ってめでたく花が咲き
骨抜きの魚 我家へ通販で


「されど酒」    山下 和一
酒絶つと誓った夜の般若湯   伊豆の国
恋の傷 百薬の長注ぎ込む
雨だから出歩かないで酒を酌む
熱燗の肴は君の深なさけ


「SPIRAL LOVER」 今井 卓まる
雨の後 虹が出たってもう遅い      浜 松
人情はあるけど金は別物だ
靴の砂 掃って帰る営業所
六が出たゴール寸前ふざけんな


「私の尻尾」   池田 茂瑠
コンビニの町で手抜きの愛に慣れ    静 岡
背景のバラが悲恋へ赤すぎる
掴まれる程長くない尻尾です
女の理しおりのページから乱れ


「成り行き」   薮ア 千恵子
成り行きに任せて乗っている小舟 焼 津
成り行きに釣られ財布が空になる
インフルが怖くて行けぬ紅葉狩り
立ち話つるべ落としに急かされる


「二十四国文祭葬送曲」 長澤 アキラ
さわやかな自己主張です新茶です 静 岡
二杯目のお茶に潜んでいる阿吽
二十年さきを見つめている麓
父と子が無言の風ですれ違い


「肌 寒 い」   永田 のぶ男
待合室 痩せた蛙が待ちきれず    静 岡
ムダ使い臭いものみて蓋を開け
我輩が誰れか解らぬ日が迫る
冬の月今宵大きく欠けている


「  道  」    高瀬 輝男
真っすぐな道などあろう筈がない     焼 津
どの道を行っても坂はきっとある
疲れたら休むさ長い道だもの
先人の足跡の無い道探がそ


「忘 れ る」   望月 弘
紅葉が秋を忘れることはない    静 岡
物忘れ封じの祈祷まで忘れ
食ったのは忘れ食うのは忘れない
秋深しこころへ栞はさまれる


「十 二 月」   加藤 鰹
修羅幾つ越えて貴方に逢いに行く 静 岡
海に降る初雪音もなく消える
ロックウェルのサンタは何時も無防備で
ウイスキーコーク二人で過ごす刻


「拒  む」   柳沢 平四朗
思考ゼロ空気を読めぬ言葉尻      静 岡
ギブアンドティーク拒む腹芸だってある
大安売り定年の絵はまだ在庫
繰り言を繋ぐと過去が肥えてくる
虎竹抄 | Link |
(2009/12/27(Sat) 08:15:28)

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