静岡川柳たかねバックナンバー
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 平成十八年十一月十八日 定例句会
    於 静岡市駒形神社 社務所

席 題 「はがき」  望月  弘 選
投函をしたハガキから火の匂い   アキラ
裏表びっしりケチなハガキ来る   輝 男
おしゃべりはハガキ程度が丁度いい 輝 男
携帯がはがきの出番取り上げる   平四朗
もみじ狩り落ち葉の葉書誰に出そ  智 美
年賀写真ほいほい育つ他人の子   平四朗
五十年前の初恋喪で届く      泰 山
黒枠の葉書き木枯し連れて来た    鰹
往復のはがき閻魔から返事     のぶ男
絵葉書で来たパリからの夫婦旅   由利子
絵ハガキの紅葉淋しい胸揺する   茂 瑠
絵はがきで色気をだした罰当たり  のぶ男
絵手紙を額縁に入れ格を上げ    零 児
旅なれた夫が呉れる一行詩     梨 絵
「元気です」ただ一行の旅便り   由利子
金婚の旅絵ハガキで残します    茂 瑠
採用の中止ハガキで秋の暮れ    アキラ
招待状財布覗いて返事する     しげる
金の要る誘いハガキで舞い込んだ  茂 瑠
雑用を一つふやしたハガキ着く   茂 瑠
五 客
趣があるな手漉きのハガキ来る   輝 男
カリスマの葉書社会をまどわせる  輝 男
応募券貼って貧しいハガキ出す   茂 瑠
印刷屋ジェットインキに侵される  平四朗
土臭い過疎のハガキが届く秋    茂 瑠
人 位
恩知らずハガキ一枚よこしゃせず  由利子
 地 位
僕のだけポストの中で騒いでる   アキラ
 天 位
猪が群れる賀状の束を出す     茂 瑠


 宿 題 「拒 む」 堀場 梨絵 選
すみません心ならずもドアチェーン  薫
拒まれて初めて知った恋の味     亘
謝りに来たのにチャイム返事なし  獏 沓
冗談も拒まず交渉思うつぼ     は な
良縁を拒み縁談それっきり     びん郎
ありのまま拒みはしない靴をはく  和 枝
ブーメラン手に帰るとは限らない  美佐緒
談合を拒む仕事着汚れない     平四朗
乗車拒否もうのれないな縄電車   穂々美
血の絆ときには拒む金のこと    敏 子
拒まれていると気付かず念を押す  長 仁
まだ若いシルバーシート座れない  穂々美
駄々をこね拒み続ける子の歯科医  重 雄
よれよれの札を自販機寄せつけず  ぎ ん
手の内を見れば拒むと先を読む    亘
反骨の背に冷たい風が吹き      進
絶対に妥協はしない正義感     由利子
二度目まで拒んでみせて引き受ける 智 美
甘えられ拒む勇気がすぐすぼみ   廣 司
呆けてます詐欺の匂いに受話器置く 登 志
曲げられぬ思想で握手などできぬ  昌 利
拒むときもきれいな笑い崩さない  美弥子
駄目と言われ男の意地に傷が付く  長 仁
父を看る話誰もがそっぽ向き    由利子
ケイタイをペースメーカー疎んじる  弘
拒む程開けてみたいな玉手箱    重 雄
証拠まであるのに罪を認めない   二三子
煽てても乗る程俺は甘くない    晴 康
義理のある方で依頼がこばめない  春 江
 五 客
要求を拒んでからの向い風     敏 子
信念が雑魚の批評を聞き流し    泰 史
やわらかく美女に肘鉄食わされる  大 鯉
準備した逃げ口上がよく吃る    アキラ
拒まれた裂け目へ小窓つけました  茂 瑠
 人 位
ウイリアムテルの林檎が矢を嫌う  美佐緒
 地 位
法相が拒むサインで生き延びる   野次馬
天 位
神の派を拒みアラブの血で染める  平四朗
 軸 吟
こばまれて知る人生のさじかげん  梨 絵


宿 題  「どんぐり」曽根田しげる 選
居心地の良いどんぐりの背くらべ  アキラ
あの人のどんぐりまなこ気にかかる 三根子
どんぐりがドジョウに聞いた泳ぎ方 玲 子
クラス会今もどんぐり背比べ    三根子
童心にかえりドングリ拾う保母   梨 絵
どんぐりの頃は親友だったのに    鰹
どんぐりの第二人生駒に替え    安 心
どんぐりも踏んだ迷える羊です   茂 瑠
どんぐりが復党するかしないとか  のぶ男
どんぐりが格差社会に抗議する   零 児
どんぐりがタクトに踊る塾通い   野次馬
どんぐりに先を越された下り坂   由利子
どんぐりに輪から出ろよとプレッシャー
                 洋 未
どんぐりを握って眠る舟の中    草園
一生をどんぐりのまま転がりて   たきこ
丈くらべ相手も矢張り背伸びする  晴康
どんぐりに郷愁が在り秋の風    のぶ子
どんぐりで良かった自殺せずにすむ  尚
どんぐりの笑顔が戻るテイータイム 和 枝
キャスティングどんぐり揃い決らない 進
まだ青いどんぐり仲間不採用    まつ子
どんぐりだなんて失礼よ秀才を   輝 男
どんぐりと昔話がしてみたい    は な
昼寝の児掌にどんぐりが添い寝する  進
どんぐりを探して村に来た子熊   アキラ
 五 客
どんぐりで良かったワハハ笑えるぞ 和 枝
今に見ていろどんぐりの独り言   零 児
どんぐりの列にもあったランク付け  薫
どんぐりの名刺を渡す同窓会    重 雄
遺伝子が子のドングリを認めさせ  泰 史
 人 位
苛めなど無くてどんぐり悩まない  大 鯉
 地 位
宿下駄の音どんぐりの群れとなる  平四朗
 天 位
どんぐりの輪へ結論が逃げ回る   平四朗
 軸 吟
どんぐりにヒーロー飛び込み輪を崩すしげる
 

宿 題「生(表現自由)」加藤  鰹 選
チョイ悪を気取るとなぜか生臭い  野次馬
生き残る事考えて逃げ遅れ     大 鯉
生の願望見果てぬ夢を追いながら  梨 絵
裏声も生きて笑わす腹話術     政次郎
明日の夢咲かせる思い食べている  満 月
生きているこの幸せを噛み締める  俊 坊
喉通すビールのうまさ生き返る   寿 恵
生活の匂いプンプンさせ元気    静 枝
バイアグラよりもおいらは生たまご 安 心
戦時下を生きてハートは白いまま  春 江
一生は夢を追っても追われても   長 仁
生神はどうもお酒が好きらしい    亘
生臭い舌の先から鱗落ち      しげる
生活感脱ぎ捨て一人旅に出る    智 美
長過ぎる生命線が怖くなる     竹 水
宝くじ当たるつもりで生きている  三根子
生きていく手立てだ冬に葉を落とす 和 枝
生命線泣いて笑って太くなる    太 郎
生一本聞こえはいいがただ頑固   亜季浩
辛酸をなめた生首吊って置く    太 郎
煮え切らぬ心が吐いた生返事     進
生臭さ抜けぬ男の艶話       由利子
生酒で秋の夜長を一人占め     穂々美
生臭い女だ鬼を飼っている     茂 瑠
二日酔い頭が痛い生きている    長 仁
柳のよう風にまかして生きている  安 心
いい事もあるさ気軽に生きようよ  輝 男
生煮えの返事もどかし月の影    重 雄
秋雨へ恋も虚飾も生乾き      茂 瑠
生きる為今日も上手に嘘をつく   三根子
生き甲斐はユーモアの句で笑わせる びん郎
天国て生身で行けるビザを買う   のぶ男
独り居のハートはいつも生乾き    薫
 五 客
騙されてだましてこれも生きるため 輝 男
無機質の街なめくじが生きていた  泰 山
八卦よい目出度い人が生き残る   徳 子
生煮えの議論かかしが欠伸する   美佐緒
風を読む日和見主義の生き残り   平四朗
 人 位
腐るから早く飲もうぜ生ビール   亜季浩
地 位
事件事故くじも一生当たらない    弘
 天 位
生煮えの忠告トイレへと流す    アキラ


宿 題 「 自 由 吟 」 互 選
E怖いなあ笑顔で弾を込めている   薫
D昨日今日メガネの曇ることばかり 徳 子
Dいんぎんな言葉で腹に触れてくる アキラ
D生き仏様はなかなかテクニシャン 大 鯉
C釈明をするから余計ややこしい  野次馬
Cジグソーのパズルがずれて一人きり穂々美
Bアンポンタンだらけ教育評論家   鰹
B安売りの品でメニューを組立てる 博 司
A強引な尻に座席をつい譲り    亜季浩
A生臭い三面記事に塩胡椒      弘
A婚約を気付かれたくて手を見せる 智 美
A生きてゆく日々題名のないドラマ 梨 絵
A生意気になってちょっぴりロスタイム
                 草 園
Aリサイクルされぬ命だ磨かねば  春 江
A秋晴れの富士に悩みを吸いとられ 五 貫
@出し汁に徹し実りを掌に入れる  政次郎
@嬉しさを拾い届ける靴の傷    満 月
@あの世にも肩書きがあり居士信士 獏 沓
@友は皆遠い土地とか雲の上    長 仁
@夕焼けの彩もやっぱり秋が旬   兄 六
@実家では妻が主人と持ち上げる  信 一
@あんな事あったと旅の花が咲く  竹 水
@谷底が覗いて見えるハイヒール  のぶ男
@一歩目で割れたガラスの靴と恋  しげる
@いじめっ子対策どこか抜けている 寿 恵
@わからぬ絵わかる絵二科を観て歩くまつ子
@採り立てのいい味に会う収穫祭  二三子
@二日目はさくらと分かる叩き売り びん郎

 

 


 参加者(順不同・敬称略)柳沢平四朗、
曽根田しげる、佐野由利子、朝比奈零児、
川路泰山、堀場梨絵、池田茂瑠、高瀬輝男
森田安心、永田のぶ男、望月弘、望月満月
長澤アキラ、加藤鰹、内山敏子、堀井草園
高橋春江、大塚徳子、岡村廣司、薗田獏沓
中矢長仁、成島静枝、堀場大鯉、畔柳晴康
竹内登志、川島五貫、森島寿恵、笹美弥子
金田政次郎、井口薫、滝田玲子、御田俊坊
鹿野太郎、山田ぎん、林二三子、西垣博司
瀧進、戸田美佐緒、鈴木まつ子、石田竹水
川村洋未、加茂和枝、伊藤泰史、松野はな
川口亘、中安びん郎、中田尚、芹沢穂々美
谷口智美、増田信一、山口兄六、真田義子
山本野次馬、宮野たきこ、設楽亜季浩、川
口のぶ子、柏屋叶志秋、中野三根子



[63] (2007/01/26(Thu) 09:32:41)



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