平成十九年九月十五日(土) 定例句会 於 アイセル21
▽席 題 「電 話」 谷口さとみ・選 父さんの帰るコールは当てにせず 由利子 電話する余裕ゆっくり豆を煮る 茂 瑠 電話また掛かる蜘蛛吐く糸のよに 茂 瑠 携帯の路傍返事をしてしまう 平四朗 妻に客あってすし屋へ電話する 茂 瑠 失恋をして電話代半分に 茂 瑠 留守電に口説き文句を入れておく アキラ 糸電話よろこんだ子がニキビ顔 尚 留守電に話しかけてるひとりもの 三根子 人 位 半世紀心に秘めた電話口 しげる 地 位 罪多い電話二次会から掛ける 茂 瑠 天 位 省エネの話で妻は長電話 鰹 軸 吟 いちにっさん声を揃えて置く受話器 さとみ
宿 題「 真 」表現自由 長澤アキラ・選 真っ当に生きて生涯平社員 弘 口数が多く真実掴めない 竹 水 大真面目生ゴミに出すグチ集め まさえ 駄馬なりに真摯な態度胸を打ち まつ子 真心のない役人が許せない ぎ ん 真実は一つ意見があり過ぎる 長 仁 真相は含み笑いの底へ見る 平四朗 真実は一つ重たい言葉だな 泰 史 真心のこもった今日の朝ごはん 三根子 不揃いの箸で真実掴めない 進 社保庁の壁に真っ赤な嘘を塗る 徳 子 真実が駅のトイレに書いてある 哲 也 真っ青な地球に重い血が流れ 尚 真っ白な子供の画布に9ある未来 由利子 真理子って誰なのゆうべ叫んでた 居久美 折り合いの陰で真実うずくまる 博 司 まだ六十路あってもいいね青写真 静 枝 五 客 真ん中は一番無事な隠し場所 さとみ 真ん中に母が座ると動き出す 薫 真実を待ちくたびれている微熱 美佐緒 真実をうまく操る泥の船 重 雄 真心をくれるだなんておお恐い 洋 未 人 位 泣き真似の巧い金魚に騙されて 鰹 地 位 真心が写らないのねレントゲン 千恵子 天 位 真ん中にあった私の探し物 由 美 軸 吟 真白くなり切りたくて墨をする アキラ
宿 題「さ、で始まる句」 池田 茂瑠・選 支えられ幸せだった目に涙 俊 坊 皿洗う嫁に感謝の味褒める 晴 康 さわらせて呉れたハートの棘に泣く 竹 水 ささやかな今の暮しに幸思う 春 江 さようなら賞味期限が切れました 美佐緒 皿割った嫁の口惜しさ良くわかる 廣 司 さてさてと言うだけで腰まだ上げぬ びん郎 さりげなく云った言葉が身に返る のぶ子 再婚と云う出直しに要る妥協 獏 沓 才能が躓いているパチンコ屋 弘 さらさらの髪にそっとタッチする 三根子 さわやかに朝のあいさつできる人 三根子 さし歯でもリンゴがうまい元気です 洋 未 さわやかな風が木犀つれて来る 由利子 さぁチャンス奇策をポイと投げてみる輝 男 酸欠にならぬか妻の長電話 廣 司 侍が減りましたねえ城下町 哲 也 盃に見えすいている下心 由利子 作業着の汗お父さんありがとう 薫 三拍子揃って胸を張る男 安 心 咲き競う命が光る女の譜 泰 山 猿なのにチンパンジーになるたがる 哲 也 佳 作 さりげなく降りるふりして席譲り 二三子 サヨナラのメモひらひらと秋に舞う 鰹 サンマでもつついて明日を語ろうか 尚 再会に恋を射止める矢が欲しい まつ子 人 位 参考書 男女の恋は教えない 竹 水 地 位 三角の戯れ絵火傷の手で破る 平四朗 天 位 三拍子揃っていても芽が出ない 千恵子
宿 題 「がっちり」 柳沢 平四朗・選 ヤブ医者が駐車代まで取りやがる 鰹 意気の合う友で三役固められ 弘 抜け目なく端金まで指図する まつ子 立ち読みを十字の紐がガードする 栞 横槍へホームベースはガードする 竹 水 妄想が湧く頑丈な門構え 薫 子離れはしても手綱はゆるめない 二三子 子供らが親の財産視て介護 信 一 ハーモニーがっちり感がたまらない 和 枝 信頼に応える為の腕まくり 亘 がっちりと貯めて木魚が木霊する 草 園 呑み代はがっちり確保するお方 敏 子 家系図がしっかり者のピラミッド 太 郎 二度目の結婚 祝儀稼いでいる 可 福 年金へ張り付いてくる所得税 静 枝 只酒は飲んで会費に横を向き 亘 泣きべそががっちり貯めて兄に貸す 玲 子 未納バレ隠し財産暴かれる 野次馬 どう使うがっちり貯めた親の金 静 枝 交渉になると私の出番です 由 美 裏切りと固い握手の繰り返し 哲 也 通帳に入れたら二度と出しません 美佐緒 五 客 泣きたいが家族へ広い背をつくる 竹 水 鬼の手に尻尾掴まれ動けない 茂 瑠 子や妻にスクラム組まれ独りぼち 千恵子 肉はなしでもカロリーは二重丸 尚 母ちゃんが財布握って平和です 尚 人 位 貧血に見てもらえない体つき 由 美 地 位 現金と通帳妻の統治内 廣 司 天 位 鉄筋をたっぷり使う天下り アキラ 軸 吟 射程距離しかと野心の始発駅 平四朗
宿 題 「 自 由 吟 」 互 選 F素直っていいね風まで味方する 千恵子 E優しさはあなたとルビを振っておく美佐緒 Dいい話花の近くへ行きましょう 哲 也 D大皿に秋をたっぷり盛る月見 敏 子 Cこぼれ種土地の価格は気にしない 春 江 C生臭い奴に飲ませる生姜汁 野次馬 B副作用美人になると書いてある 洋 未 B一言のさざ波余波となるうねり 竹 水 B後悔が言葉の裏を縫い合わす 平四朗 Bこの銭も俺と離婚望むとか 輝 男 B尻尾振るだけの男に策はなし 廣 司 B最後まで優しい人は悪い人 さとみ A失言が怖くて口が固くなる 安 心 Aケータイも地図も私を望まない 尚 A都会には縁なく訛だけで住み 栞 Aまだあなた振り向かせたい花筏 進 A作られた出来すぎだから続かない 政次郎 A手鏡に私の世界うごき出し 満 月 @魚屋のハンバーグなら気を許す 太 郎 @躊躇する僕がそんなに可笑しいか のぶ男 @家計簿へ値上げの風が吹いて秋 静 枝 @姦しい熟女が揃う指定席 玲 子 @向日葵が孤独を見せる裏の顔 薫 @おらが嫁三歩下がって尻を蹴る 可 福 @艶のある話へみんな耳を立て しげる @紫のコサージュ痩せた胸飾る 茂 瑠
▽参加者(敬称略)川村洋未・曽根田しげる 池田茂瑠・高瀬輝男・川路泰山・中田尚・ 中野三根子・望月弘・佐野由利子・加藤鰹 谷口さとみ・長澤アキラ・畔柳晴康・滝進 柳沢平四朗・望月満月・堀井草園・川口亘 岡村廣司・内山敏子・毛利由美・山田ぎん 薗田獏沓・高橋春江・中矢長仁・鹿野太郎 御田俊坊・成島静枝・真田義子・滝田玲子 大塚徳子・増田信一・西垣博司・林二三子 井口薫・金田政次郎・酒井可福・濱山哲也 石田竹水・鈴木まつ子・石上俊枝・孝井栞 戸田美佐緒・永田のぶ男・藪崎千恵子・中 田きく子・加茂和枝・伊藤泰史・森田安心 市川重雄・山本野次馬・中安びん郎・提坂 まさえ・森下居久美・川口のぶ子
▼はるばる伊豆市から毎月電車に乗り継いで参加して下さる谷口さとみさんが初選者にチャレンジして下さいました。選句も披講も堂々たるもので、とても良かったですよ。 軸吟もとてもいいですね。「いちにっさん声を揃えて置く受話器」はるか昔、そんな時代があったなあと・・・(笑)
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[96] (2007/11/26(Sun) 08:27:12) |
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