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瀬戸内中年カメラマン 伊豆市 谷口さとみ

この夏の終わり、学生時代以来の夏休みを過ごした。一週間もらえたので念願の撮影旅行を決行。機材が多いことと、時間的な制約が一番邪魔なため、頼もしいランクル(トヨタ・ランドクルーザー)を足と宿にして全行程1,340キロ、五泊六日の旅になった。
 二ヶ所の撮影ポイントと最終目的地が瀬戸内の真鍋島であること以外、コースも時間もすべて太陽の位置と気分しだい。観光客や住民が宿や家に帰った後、まだ夕陽の位置に拘って、ひたすら待ち続けられるのも、早めにビールを呑んで寝ちゃったり、夜半に目がさめてそのまま少し走り出せるのも、宿を利用していないからこそ。
 今回、道の駅や高速道路の進化にびっくりしたが、一番驚いたのは真鍋島。ここはあの『瀬戸内少年野球団』などのロケ地になっている所だから、てっきりカーフェリーでロケ隊が渡っていると思ったのに、事前の問い合わせに「ないけど六千円くらいでチャーターすればOK」と返事。迷ったが「もったいない」と、車は岡山に置いて、荷物をリュックとキャリーにまとめ、住民の足のようなフェリーでいざ島へ。と、降り立った私たちは一瞬佇み、同時に大声で笑った。なんと船着場前の百メートルほどのエリア以外、猫が遊ぶ細い坂道が曲がり曲がり通っているだけ。
 「チャーターしてランクルで降りてたら、地元NHKあたりがとんで来たかもね」。それでも何台かのバイクと軽トラを見かけたので、島に一件だけの食堂で、おじさんにタコ飯とそうめんを作ってもらいながら「この島の車の車検はどおすんの?」と訊いたら、足元の猫に話すような口調で、「ナンバーなんか、付いてへんでぇ」(!)改めて見るとたしかに。
 これって他言無用かなと思ったけど、島に交番あったんだから・・・いいよね。

[42] (2008/11/29(Fri) 13:17:23)



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