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霜石コンフィデンシャル44  高瀬 霜石 

  「キミといつまでも」
 僕は遅くできた子で、かつ弱かったので、とても大
事に育てられたらしい。「買い食い」は、腹をこわすか
ら(不潔だから)という理由でご法度だった。宵宮の
出店などは、本当に目の(鼻の)毒であった。
 中学生になって、親戚の家に遊びに行って初めて食
べたのがトウモロコシ(津軽では「キミ」と呼ぶ)こ
の世に、こんなに美味いものがあるのかと、心底思っ
た。それまで、キミを見たことはあったにはあった。
でも、あれは「馬の食うもの」だと教えられ、真に受
けていたのだから、げに「洗脳」は恐ろしい。
 高校生になり、Y君の家に遊びに行った。彼のお母
さんが、僕がキミに目がないことを知り、行く度に畑
から取りたてのキミをご馳走してくれた。彼は、キミ
にかぶりついている僕を横目で見て、大人びた笑いを
浮かべ、隠していた煙草におもむろに火を付けたっけ。
 彼からギターを習うのが遊びに行く名目だったが、
恥ずかしながらキミが目当てであった。僕は下手なギ
ターを抱え、こんな自作の替え歌を唄っていた。
 最近のキミは砂糖をまぶしたように甘い。甘ければ
いいってもんじゃないと僕は思うのだが、皆様は如何。


キミといつまでも
(替え歌)
二人を夕闇が包む
この食卓に
明日も素晴らしい
幸せが来るだろう
キミの甘さと
キミの歯ざわり
恋するこの顎は
炎と燃えている
オムレツ、ビフテキ
誘惑あるけれども
キミへの想いは
変わらない いつまでも
〈セリフ〉
幸せだなア
僕はキミを齧っている時が
一番幸せなんだ
僕は死ぬまでキミを
齧り続けるぞ いいだろう

君といつまでも
(オリジナル)
二人を夕闇が包む
この窓辺に
明日も素晴らしい
幸せが来るだろう
君の瞳は
星と輝き
恋するこの胸は
炎と燃えている
大空染めてゆく
夕陽いろあせても
君への想いは
変わらない いつまでも
〈セリフ〉
幸せだなア
僕は君といる時が
一番幸せなんだ
僕は死ぬまで君を
離さないぞ いいだろう
[20] (2006/10/26(Wed) 08:38:05)



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