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霜石コンフィデンシャル61     高瀬 霜石

 「ファーストダンスは私に」
 去年は、百二十数本の映画を観た。これは、僕の周囲に大きなトラブルがなかったことの証明。まことにありがたいことだと感謝している。
 その中の一本。「レッスン」という、実話を元にしている社交ダンスの映画の話をしたい。僕はもともと、社交ダンスなるものに拒否反応があったが、この映画を観て、社交ダンスの見方が百八十度変わったのだから、ある意味、革命的映画かもしれない。
 落ちこぼれたちがたむろするニューヨークのとある高校に、ボランティアで社交ダンスを教えようとする主人公・ピエールがやって来る。
 HIP・HOPが大好きな高校生は、当然のこと社交ダンスなんかに目もくれない。
 しかし、ある日ピエールが絶世の美女と絡み合い、熱くタンゴを踊るのを目にして、彼らの態度は一変。
 罰ゲーム感覚でやむなく取り組んでいた社交ダンスも、まんざらじゃないと思いはじめる。
 ピエールに扮するのが、二枚目のアントニオ・バンディラス。実に格好いいのだ。彼は、生徒たちに賞金をかけたコンテストに挑戦せよとけしかけ、特訓を開始するが、盛り上がった途端に邪魔が入る。
 勉強を優先せねばならぬのに、なんで今、社交ダンスなのだと、正論を吐く教師とPTAの前で、いきなり女性の校長先生(この人も反対派)を、グッと引き寄せダンスのパートナーにして、ピエールが―つまりバンデラスが―華麗に踊る。そして、言う。
「社交ダンスは、このように、パートナーを敬うのが基本。だから、社交ダンスを学んだ子は、間違っても、結婚してから嫁さんに暴力をふるったりしない」
 一瞬、シーンとして、その後、親たちから「親の教室もないの?」と手が上がるのには泣けましたねえ。
 女性には親切に。女性を大切に。僕は、この精神をフェミニスト・手塚治虫から学んだ。
 女性は弱いから、常に男が守らなければいけないと、男の中の男のジョン・ウェイン叔父さんは、いつもスクリーンの向こうから僕に話しかけてくれていた。
 でも、今は、とにかく男女均等。女性は弱い、守らねばならない存在かと、最近の男性は思っていないのかもしれない。多発するDV(ドメスティック・バイオレンス)事件を見る度、そう思う。
[32] (2008/03/26(Tue) 08:38:05)



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