平成十八年九月十六日 定例句会 於 静岡市駒形神社 社務所
席 題 「名 前」 柳沢 平四朗 選 電話口孫の名前は言いません 洋 未 コミカルな名が窓口で不審な目 しげる お名前がすてきで顔とそり合わぬ 梨 絵 強がりの演技名前を売り歩く のぶえ ミズキサンダレノオヨメニナルノカナ輝 男 君の名は今ではだれもきかれない 三根子 次の世へわたしの名前決めてある しげる 名を呼ばれ返事の出来る迄はよい のぶ男 突拍子な名前親をうらみます 零 児 雑草にも名前あります猫じゃらし しげる 曼珠沙華その謎めいた美しさ 智 美 初孫の名前でもある丸い家 洋 未 名前より実力で勝つ心意気 零 児 代々の名前伝承名主さま 零 児 旅の夜は宿の名前でカラコロリ 智 美 美味そうな名前をつけて売る老舗 茂 瑠 ふるさとの名前四股名で売り出され 輝 男 花の名を覚えて処女からの脱皮 鰹 この名前有名人で損をする のぶ男 秋風が無名戦士の墓を撫で 鰹 名前まけ青いシナリオ歩きだす のぶえ 名は体をあらわす場合どうなんだ のぶ男 どの子にも親は大器の名を選ぶ しげる 名前だけ立派隙間が脳にある 茂 瑠 横文字に変えて売り出す新名所 輝 男 五 客 いい人を演じてみたいわたしの名 のぶえ 女文字男名前で裁かれる しげる 野良猫につけた名前が恋敵 アキラ 好きだけど彼の苗字が嫌なのよ 智 美 民の血を流して国の名が変わる 鰹 人 位 命名の墨は明日の色で書く アキラ 地 位 先祖の名貰いいまだに不服です 梨 絵 天 位 ブランドの名前で埋まる低い鼻 茂 瑠 軸 吟 大望へ因む名前を見失う 平四朗
宿 題 「 和 」 堀場 梨絵 選 お互いの取柄の裏を知りつくし 満 月 お互いが疑問を持つと和が崩れ 廣 司 錆びてゆく心和ます母の鈴 敏 子 殿方のお好きな和室四畳半 重 雄 温度差が和解の道を遠くする 洋 未 投句終えモーツアルトとティータイム 薫 若誕生に日本列島が湧く平和 徳 子 もの腰が柔和で芯の強い母 由利子 お昼寝も道草もよし秋日和 薫 手のうちを見せてその場の座が和む 野次馬 八掛の色あでやかに和のこころ 豊 子 浜言葉飾らぬせりふ和ませる しのぶ 年重ね柔和になった鬼瓦 二三子 花火師の血潮で開く和火の華 太 郎 昭和史にリンゴの歌が刻まれる 泰 史 花の名は和名で脳にインプット たき子 やわらいだことば捜して老いの鈴 美弥子 嫁姑別居していて今平和 長 仁 平和すぎると日本みたいになっちゃうよ 圀 彦 しがらみを越えてわけ入る和の境地 亘 ありがとうの本音に和む風を吸う 昌 利 お隣もきっと望んでいる平和 五 貫 ひと言が心和らぐ処世術 まつ子 三世代ひとつの屋根でやわらかい 弘 体温を合わせ和解の席に着く 茂 瑠 まだ小骨とれないままにする和解 豊 子 銃で取る平和が銃で奪われる アキラ 五 客 水脈を辿れば母の港まで 美佐緒 虚しさは和平に遠くいてヒト科 圀 彦仲の良い家族でしたとレポーター 静 枝 ささやかな平和であれば安堵する 安 心 かすみ草目立たぬように和のこころ 和 枝 人 位 うれしい話筆いっぽんが蝶になる しのぶ 地 位 これぞ和のこころ新米ピンと立ち 鰹 天 位 和子誕生どのチャンネルも笑い出す 五 貫
宿 題 「べったり」 池田 茂瑠 選 綿菓子で幼子の口汚れてる 二三子 触れ合った肌のぬくもりまだ残り まつ子 べったりの砂執念の滑り込み 寿 恵 ワイシャツに言い訳出来ぬ紅の跡 泰 史 寂しさを隠すピエロの厚化粧 由利子 致死量のストレスを脱ぐ定年日 アキラ 塗り重ねルージュいつしか嘘に慣れ しのぶ べったりと老いが背中に纏いつき 春 江 甘い汁秘書もべったり離れない 玲 子 コンビニの地べたに座る女学生 竹 水 べったりの親子になって子を壊す 亜季浩 赤紙が胸にべったり剥がれない 草 園 べったりと二人の影を見てる月 ぎ ん 親離れ出来ず仕事に就きもせず 二三子 番記者が付くうち華よなあ総理 圀 彦 死ぬ迄に着いた汚れをそぎ落す アキラ べったりと寄り添って居て子が居ない獏 沓 鼻声で横から酌がれ断われず 大 鯉 佳 作 抱擁に満天の星味方する のぶ男 影法師だって貧乏神に似る 平四朗 ホールドがべったり過ぎて踊れない びん郎 いいじゃない結婚式はすぐだから 弘 職安も歯医者も妻がついてくる 五 貫 人 位 足崩しサテ雑談も第二章 輝 男 地 位 べったりとついてこないでお風呂まで洋 未 天 位 参観日机の脇に派手なママ 静 枝
宿 題「はち(表現自由)」加藤 鰹 選 女王ばちつぎつぎころすぞ怖いなあ 美 月 すずめばちきっとでさされるといたい龍 輝 やっぱりね蜂になるなら女王蜂 三根子 舞い込んだ蜂が部屋中修羅にする 泰 史 お彼岸の寺の蜂の巣煙たかろ 重 雄 一匹の蜂でサイレン越す悲鳴 安 心 蜂の毒口付けしたら離さない 草 園 蜂の子の料理初めは義理で食べ 輝 男 蜂の刺ささったままの古い傷 アキラ 蜂の巣を女がつつくティタイム 和 枝 働き蜂せっせと今日の靴をはく 和 枝 みつ蜂の稼ぎ我が家の救世主 梨 絵 蜂の巣を突きガソリンまた値上げ 政次郎 ハチ公の渋谷の駅で待ち合わせ 零 児 ハチ公になれぬ駄犬に飯をやる 昌 利 特売場お隣りさんとはち合わせ 敏 子 特売品自称セレブの鉢合わせ 博 司 八月の暦の傷が深すぎる 圀 彦 八才の記憶に残る焼夷弾 廣 司 八月の淋しさ水を買いに行く 美佐緒 八ッつあんと熊さんが言うべらんめぇびん郎 熊公も八も路地からいなくなり 薫 八ッつあんは暮らしにくいな今の世は信 一 八起き目に又も噛みつくお節介 千恵子 八起き目に見つけた職が性に合い 二三子 八起き目で掴んだ幸は譲りもの しげる 八起き目はプライドで立つ萎えた脚 アキラ 八文字に遊女が歩む艶っぽさ のぶ男 八の字の干菓子に母のわらべ歌 政次郎 黄八丈着せて清楚も娘にゆずる 茂 瑠 中八はイヤよ言葉のダイエット 尚 披露宴八掛けで聴く誉め言葉 静 枝 食欲の秋恨めしい腹八分 豊 子 食欲を少しなだめて腹八分 博 司 腹八分別腹八分妻の腹 まさえ 朝採りが小鉢の中で夏と言い 俊 枝 お通しの小鉢本音を隠せない 智 美 ゴマ一粒すり鉢の底逃げ回る まさえ 八つ当たりすげなくかわす母のわざ 亘 八つ当たり当り疲れて寝る夢は しのぶ 八十点主義に徹する軽い肩 由利子 雛壇に口八丁の寒い顔 草 園 ふる里に八つ当たりした壁の染み 穂々美 金魚鉢猫も横向く暑い夜 のぶ子 現代の托鉢なのか消費税 まさ子 捨て鉢の妥協が白い眼を集め 平四朗 勇壮に喧嘩神輿の鉢合せ 長 仁 八方美人結論もたぬ主義でいる 美弥子 すくえずに今年の金魚鉢は留守 智 美 晋三へみんな尾を振る金魚鉢 野次馬 妻と子のケンカ回ってくるおはち 五 貫 鉢巻きを締め直す手に迷いあり たきこ 大敗の底で鉢巻き締めなおす 昌 利 ベランダに枯れてしまった鉢ばかり 二三子 夫婦道うその軌道で鉢合わせ 安 心 マネーゲーム頭の鉢へ箍が要る 平四朗 五 客 鉢植えのバラが俺の手はなさない 洋 未 八合目野心のベール透けてくる しのぶ 蜂蜜の甘さにコロリ騙される 由利子 八百よろずオラの神様どれだべな 圀 彦 お互いに二人連れです鉢合わせ 洋 未 人 位 皇室に羽をもがれた女王蜂 亜季浩 地 位 原油高大八車手入れする びん郎 天 位 少子化の悩みへ蜂の巣がでかい 竹 水
宿 題 「自 由 吟」 互 選 E輪の中に入る勇気と出る勇気 尚 Eドングリの頃は苦しみ分け合えた 廣 司 Dときめきを忘れた壷へ花を足す 大 鯉 C洗いたてこんな私でいいですか 洋 未 C人間の言葉よ何とややこしい 輝 男 B相槌へ不意な演技を強いられる 平四朗 Bさみしくて口紅の色かえてみる 三根子 Bどしゃ降りに借りる庇も無い孤独 しのぶ Bひと通り味見してからこの次ね 玲 子 B嫁姑たとえばヘビとマングース 鰹 B秋のドア開けると蝶が迷い込む 義 子 A紙風船のような私の正義感 アキラ Aよこしまな鬼を一匹飼っている 由利子 A晩学が果報挑む趣味の道 零 児 Aデジタルの時計妥協は許さない 兄 六 A雲切れて決断せまる青い空 和 枝 A七坂を越えて女の樹が枯れる 豊 子 A目標があるから忍の汗を抱く は な Aバーコード読めたらきっと気がもめる 薫 A人差し指時々平気で人を斬る 登 志 A毛穴まで映るビジョンの顔エステ まつ子 A残り火が消えぬ自由を読んでいる 満 月 @マニュアルに一拍二礼宮参り 静 枝 @福顔でその不機嫌は伝わらぬ たきこ @その先が見えているとは淋しいね 梨 絵 @酔い痴れてみたい日のあり泣き黒子春 江 @鉢巻きで威勢のよさに惚れられる 俊 坊 @胸の奥セピアで笑う君がいる 智 美 @親不孝数えて長い墓掃除 五 貫 @酒の意でちくりちくりと急所突く 昌 利 @八月も過ぎて待合室にいる 徳 子 @悩み事煮込んで悩み整える 竹 水 @自販機へ孤独をひとつ転がせる 野次馬 @思い通りなったらドラマ生れない 二三子
参加者(順不同・敬称略)柳沢平四朗、 加藤鰹、望月鐘雄、堀場梨絵、佐野由利子 曽根田しげる、中安びん郎、中野三根子、 川村洋未、長澤アキラ、中田尚、高瀬輝男 池田茂瑠、川村美月、森田安心、市川重雄 中村教子、永田のぶ男、朝比奈零児、望月 満月、堀内しのぶ、金田政次郎、内山敏子 岡村廣司、堀場大鯉、堀井草園、成島静枝 薗田獏沓、山田ぎん、高橋春江、笹美弥子 伊藤泰史、御田俊坊、鹿野太郎、竹内登志 井口薫、芹沢穂々美、横山昌利、谷口智美 大塚徳子、川島五貫、石田竹水、松野はな 安田豊子、滝田玲子、西垣博司、林二三子 中矢長仁、川口亘、戸田美佐緒、田制圀彦 鈴木まつ子、望月弘、加茂和枝、森島寿恵 石上俊枝、増田信一、設楽亜季浩、川口の ぶ子、宮野たきこ、薮ア千恵子、山本野次 馬、提坂まさえ、山田三千代、萩原まさ子 山口兄六
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