静岡川柳たかねバックナンバー
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自 由 吟
  虎 竹 抄


「洗  濯」        鈴木 千代見
帰省する洗濯物も連れてくる      浜 松
太陽を追いかけながらお洗濯
今日は晴れ旅へ心のお洗濯
洗濯機嫁も姑も絡み合い



「自 由 吟」        ふくだ 万年
首の上外して見ればえぇ姿       大 阪
暇だから今日もお医者の梯子する
梅雨ですね嫁と紫陽花七変化
逝く時は傘が無くてもいいらしい



「あじさい」        鈴木 恵美子
紫陽花に内緒話を盗まれる       静 岡
あじさいの季節別れた友を恋い
あじさいが廃墟の庭に咲き誇る
雨の日のペンは静かに燃えている



「雑  詠」        井口   薫
呑み込んだ言葉でメタボ加速する    袋 井
なぜだろう棘抜いてから孤独感
躓くと怒りどんどん遡り
原油高廻転寿司へ自己規制


「ある一日」        増田  久子
調律の日だけピアノの蓋が開く     焼 津
幸運の財布もキャッシュ出てくだけ
大根がこんなに増えたかつらむき
冬ソナの曲とっときのメール着く


「父 の 日」        岡村  廣司
父の日が話題になった事もない     焼 津
父の日もやっぱり被るヘルメット
父の日と日記に書いておいただけ
父の日はビール多目に飲んで寝る


「雑  詠」        石井   昇
さだめなら青空なんか望まない     蓮 田
同じ月見ても泣く人笑う人
沈黙のままでエロスの夜が明ける
はらっても未練目にしむ薄煙り

「  震  」        高橋  繭子
ポジティブなひとは気づかぬ小地震   大河原
中地震みな平等に揺れている
あっという間に引き裂いた大地震
かなしみの数だけ襲いくる余震


「自 由 吟」        松橋  帆波
談合で僕らはみんな生きている     東 京
万歳が好きで羊の無責任
ヨン様の国 日の丸を焼いている
白人がやられりゃみんなテロにされ


「自 由 吟」        提坂 まさえ
タマネギがすきとおるまで第五聞く   静 岡
大荷物幸運いつも入れ忘れ
小雨降るフランスパンをたてて持ち
紫陽花の決めかねている今朝の色


「聞  く」        薮ア 千恵子
片意地の付けが回った肩の凝り     焼 津
しびれ出す足を笑っている正座
一聞いて十を知るには足りぬ脳
ふんふんと聞いて返している自慢

「淋しい日」        金田 政次郎
合歓の葉の眠り羨む不眠症       静 岡
ペタンコの夢で風船伸びている
夕闇に飛ばそう俺の処方箋
仏様休憩室は何処ですか


「梅雨明け」        小林 ふく子
にわか雨濡れて歩いた日の想い     袋 井
雷に次の予定が脅えてる
理由などいらない汗がひた垂れる
夏が来て避暑地の財布喧しい


「聖  火」        成島  静枝
チベットを引き摺っている聖火隊    千 葉
海外じゃトーチリレーと単に言う
政争でもみくちゃになる聖なる火
それはそれオリンピックは楽しみだ


「雑  詠」        萩原 まさ子
赤い糸結びきれずに空を舞う     静 岡
プロポーズあじさい色の返事して
宵宮の小粋な娘豆しぼり
うさぎ小屋だから家族の目が届く

「運  命」        真田  義子
運命で繋がれていた赤い糸       仙 台
淡い恋記憶のすみでまた燃える
ほろ苦い思い出混ぜて飲む紅茶
雨の日の言い訳電話鳴っている


「クロアチアの旅」     新貝 里々子
こんにちわが通じるアドリア海はブルー 袋 井
スクワットの成果城壁登りつめ
夫婦喧嘩 世界遺産の真ん中で
腹いせにド派手なピアスふたつ買う


「雑  詠」        芹沢 穂々美
花結び急いで開けるいい予感      沼 津
踊りすぎ腰痛になるフラダンス
祭りばやし女ごころが乱れます
踊らされ自治会の役引き受ける


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
拝啓も時下尊堂もないメール      浜 松
姉が逝き明治は遠くなりにけり
子の噛んだ残り医療がかじりに来
超後期霞食っても生きてやる

「家  族」        塚本  寄道
父と僕悪いとこだけよく似てる     長 泉
じいちゃんの倉に宝がありそうだ
ごまかして甘えてみても母は母
試験前母の小言と焦るボク


「自 由 吟」        内山  敏子
スッピンの化粧忘れた働く手      浜 松
バス待ちへ笑いころげる手話の子等
衝動買い朱に年齢ふと忘れ
ウインドーの程でなかった海老フライ


「一 週 間」        濱山  哲也
月曜日支配者顔でやってくる      つがる
火のようなトラブル水をかけまくる
木の陰に隠れて五時に現れる
週末は幾ら追っても逃げていく


「雨を楽しむ」       中矢  長仁
気まぐれな私アジサイ雨が好き     松 山
雨が好きカエル・アジサイ・蝸牛
夜降って昼は仕事の出来る慈雨
梅雨空も初夏の風物傘を買う

「  窓  」        山本 野次馬
平成の窓で足踏みするラッパ   函 南
産道へ夢いっぱいの窓があく
駄菓子屋の扉にオールウェイズの窓
空っぽの小窓に百彩のドラマ


「初  夏」        毛利  由美
生足の白さまぶしい初夏の候  つくば
序の口の暑さに向かう扇風機
健全な子が塗っている日焼け止め
オープンガーデン見せたい人と見たい人


「小 宇 宙」        栃尾  奏子
店内を心配りで敷き詰める    大 阪
タカイ下駄響く頑固な店の奥
臨月へ妻のまあるい小宇宙
愛のある暮らし始めるエコバッグ


「梅 雨 空」        西垣  博司
貯水槽担いだ雲が居候     静 岡
空に海有るかのように降りつづく
予報ではカサは要らぬと云った筈
梅雨空の一服を待つ屋根仕事


「  風  」        薗田  獏沓
電子辞書晩学の脳かすめ吹く     川根本町
いい風が吹いた僕らも仲直り
涸れかかる詩情微風吹き渡る
この風に乗って幸せ掴もうよ


「  錆  」        安田  豊子
いつまでも錆びた肩書き鼻にかけ  浜 松
錆ついた脳にも消えぬ記憶力
ローカル線錆びたレールを渡る猿
風鈴の渋い音色も錆びてこそ


「自  由」        酒井  可福
ATC気軽に預金が借金に   北九州
耳寄りの話は一歩引いて聞く
どん底に居てもデッカイ夢をみる
ほどほどに大人を真似て叱られる


「メリハリ」        大塚  徳子
野球とや盗んで刺してなんぼやで 仙 台
ガソリンに振り回される四月バカ
モロコシを人と車で奪い合い
昼行燈メリハリつける句読点


「  背  」        鈴木 まつ子
背中にも眼はありますよ読む空気   島 田
背中から漲る気迫芸も冴え
お疲れの背骨を伸ばす呼吸法
人生のイロハ辿って色を足す


「眠  気」        馬渕 よし子
マンネリの暮らし一日眠気差す   浜 松
目覚ましが鳴ると眠気が倍になり
年金が減ってやる気が失せ眠気
飽食に慣れて心地の良い眠気


「自 由 吟」        山田  ぎん
太陽に輝く風車鯉のぼり       静 岡
嬉しさは丸をふたあつ大はしゃぎ
今日こそは勝つと意気込み勇み足
試合無い雨で出来ない空見上げ


「希  望」        畔柳  晴康
高いのは望だけにて身は低い    浜 松
今日も又不出来で終る高望み
雨が降る望ねがいは明日にする
稔らない後期高齢夢ばかり


「さくらさくら」      瀧    進
断ち切れぬ思い未練の花筏     島 田
葉桜になって堤の風を恋う
咲く春も散る春もあり山桜
金さんの桜吹雪に悪も散る


「雑  詠」        滝田  玲子
ながながと未練残した飛行雲   浜 松
句が出来ず焦りエンピツ転がされ
再生紙森の緑にいやされる
角とれた石がやさしい顔してる


「自 由 吟」        竹内  さき
も一人の紅落ちぬ間にカンナ炎ゆ   浜 松
踊ろうよ芸ない影と夜明けまで
入れ替えた私の姿歩幅かえ
暮れなずむ夕焼けの海手をつなぐ


「雑  詠」        飯塚 すみと
朝の廊蛞蝓一匹頭あげ       静 岡
小書店の隅が中二の談話室
朝青龍負ければいいと妻が言う
年になりやさしい方の辞書を買う


「わが家系」        中安 びん郎
わが家系農業が好き土も好き      静 岡
わが家系音楽が好き歌も好き
わが家系のんびり型で長寿型
わが家系胴長短足力士型


「白百合が咲く」      柴田  亀重
鶯が近くで美声梅雨晴れ間       沼 津
連日のシビレ・悪寒のナゾ解けず
幸せに八十越し生かす安定剤
祝長寿支える妻がいる強さ


「自 由 吟」        小野  修市
仕事行く妻に見えない尻尾振る     静 岡
めざわりなメタボも好きさ俺の腹
ポイ捨ての顔が見たくて後を追う
一度だけ信じた そして泣かされた


「日  常」        堀場  梨絵
台本のない演技を今日もしています   静 岡
その先へ待ったをかけるのも日課
がまんしたから今日はごほうびあげようか
矢面に立っても命まだ達者


「六  月」        増田  信一
水無月と何で付けたの入梅に      焼 津
六月と思う暇なくすぐ師走
半年で稼ぐお仕事ありますか
六六六六六唸っていたら梅雨明けた


「自 由 吟」        林  二三子
訪販の罠を見抜ける歳になる      芝 川
身長が年取る毎に減る辛さ
老化かな許せることが多くなり
右左脳を塞がぬためによく喋る


「御 招 待」        石田  竹水
晴れた日は喜び半分温暖化       静 岡
天国の消印で来た御招待
鉄よりも強くてやわい思い遣り
老いの日々寝るのも惜しくなる時間


「鮎友釣り三昧・・・其の二十一」永田 のぶ男
つれづれに誘いさそわれ鮎河原       静 岡
雨の日も風にもめげず鮎が呼ぶ
釣り師には雷さんは嫌な奴
ハス任せ遡上の川に苔任せ


「生 渇 き」        多田  幹江
灰汁抜いて軽い女になりました     静 岡
他人は他人今日も暮れゆく無言坂
人間を乾しに出ましょう梅雨晴れ間
老春の陽だまりにいる生渇き


「市民川柳葬送曲第八」   長澤 アキラ
おにぎりが駆け出して行く五月晴れ   静 岡
流れ矢に当たったような絶頂期
みよちゃんと落書きをした寺の塀
五月晴れ 妻にもばれず別れたし


「ピンク・デビル」     川路  泰山
桃色の鬼が笑っている谷間       島 田
大きな河だな少し泳いでみるか
悪臭を放つ河ならぶった切る
強引に生きて漢の譜を綴る


「青 い 鳥」        池田  茂瑠
騙された祭りだ笑い過ぎぬよう     静 岡
青い鳥君には羽根があるのだね
花が咲く女の罠の渕なのか
私まだ蕾ゆっくり開きます


「寵  愛」        山口  兄六
神様に頼み忘れて今日の雨       足 利
見え透いた自己紹介に騙されて
寵愛の迷路 私は花菖蒲
うっかりと妻に漏らしたボーナス日


「匂  い」        真理  猫子
禁煙のタクシーだけど酒くさい     岡 崎
きな臭い還元水で育つ芋
裏切りの匂い漂うクオカード
与野党の切り札おなじオヤジ臭


「自 由 吟」        今井 卓まる
したくても自慢できないツーショット  浜 松
足元で仕事終わるを待つ子猫
理攻めして客に勝ってもノルマ負け
アリバイに使った店は定休日


「かけひきゲーム」     谷口 さとみ
人相の良くない招き猫がきた      伊 豆
嘘と知りながら待ってる逃避行
捨てたいが鏡は秘密知っている
君が今食べたケーキは人参よ


「おもいきり」       中野 三根子
心からさけんでしまうありがとう    静 岡
夢の中やっぱり今もおかあさん
夢で良いやさしい君とただ握手
青い空ただそれだけで感謝する


「マナー違反」       中田   尚
ああこわい人形いくつ潰すのか     浜 松
十五才親のタスポを使わせる
ケータイででっかい声の独り言
押し車わざと後ろを蹴らないで


「薔  薇」        川村  洋未
芽は出たがここには薔薇を植えたはず 静 岡
どの薔薇を連れて帰るかまよい道
しおれても薔薇の姿はとどめたい
あの薔薇は他人の庭で動かない

 
「忘 れ る」        佐野 由利子
忘れごと多い自分に腹が立ち     静 岡
出来ないと思わせるのも一つの手
ライバルのテンポに合わすことは無い
おやアンタも私と同じ猫嫌い


「雑  詠」        高瀬  輝男
空想をケタケタ笑う流れ雲       焼 津
笑えない事故を笑顔で応えてる
混迷の世を跋扈する悪企み
去って行く背中悔しさかくさない


「花 泥 棒」        望月   弘
運のいいことに躓く石がない      静 岡
花好きの花泥棒を許せない
真っ白に漉かれた紙がウツになる
ふるさとにのるかそるかの三世代


「自 由 吟」        加藤   鰹
初恋の日に揺れているタチアオイ    静 岡
ずるいのが一人たちまち醒める酔い
温室の中で育てた殺人鬼
謎一つ解けて僕らの梅雨が明け

 
「五月の風」        柳沢 平四朗
子に負けて五月の窓の風と逢う     静 岡
どんじりを笑う元気が憎めない
前頭葉枯れて積ん読しおり棚
天引きで楢山行きを急かされる


虎竹抄 | Link |
(2008/07/24(Wed) 09:34:57)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

ちょいあんたお茶飲みたあら入れべえか 芹沢穂々美
「ごせっぺえ」喋る楷書は「ゴセッポイ」石田 竹水
おんないよ待っているだにょほんとだに 新貝里々子
うなぎパイ値上げヤッキリこいちまう  那須野正明
みゃあんちオテリ続きでヒヨリモシ   谷口さとみ
とろけえて来たでアマアマするずらよ  谷口さとみ
年寄りの血をかっさらう蚊のヤツめ   西垣 博司
稲光り好き勝手してあたけてる     西垣 博司
野良仕事おようじゃ食やあ追んだされ  鈴木まつ子
あんねえがあんま威張るで鼻ぁくじけ  鈴木まつ子
おてんたらこいて仲人あいそしー    瀧   進
がとーもない予算の使途がかこくさい  瀧   進
なんずらなーちんぷりかいてべそかいて 畔柳 晴康
やんなるなーやんめゆったにまだやるか 畔柳 晴康
あんてえの彼女はひでえ女ずら     岡村 廣司
おっこうなこたあ言わねえほうがええ  岡村 廣司
おまっちも年寄りだんて働くな     中安びん郎
うみゃーもん食いてゃ〜けえが銭がにゃあ中安びん郎
ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2008/07/24(Wed) 09:31:42)

平成二十年 五月十七日 
    定 例 句 会
於 アイセル21


席 題 「印象吟」(上の写真を見て)
  中田  尚 選
少子化に協力果たし楽しい日    しげる
なあ兄キ俺ら捨てられたんじゃない さとみ
難産の子ですパパ似で肥り気味   茂 瑠
ままごとのママもやっぱりマイペースさとみ
公園でオッパイ飲むと楽しいよ   しげる
兄弟も今からしっかり自己主張   三根子
おれ博士兄大臣で天下取る     泰 山
待っててね僕にもジュースあげるから二三子
イケメンに写しておくれ僕だけを  修 市
一番の幸せ者はこの僕さ      洋 未
そんな目で見ないで前を見ていてね 三根子
呆けたかなタイムスリップしたみたい信 一
疲れたと休んでばかり帰路遠く   卓まる
五月晴れひとりコーラをラッパ飲み 由利子
飲みません三輪車でもアルコール  信 一
幼な児に無限の空が待っている   輝 男
 人 位
年金を支える顔がふたつある     弘
 地 位
日本を背負う笑顔になっている    弘
 天 位
草原の空気がうまい仲良しだ    梨 絵


宿 題 「 大 」(表現自由)
 池田 茂瑠 選
見ごたえがあるサブちゃんの鼻の穴  弘
小国も大国でさえ中国に      信 一
青春に告白という大勝負      哲 也
大好きと大嫌いの差紙一重     信 一
大観の富士より富士は美しい    五 貫
愛一つ大きく撮ろう腹の中     満 月
疲れたら逢いたくなるの大きな木  和 枝
大嘘の一時凌ぎがすぐ判り     びん郎
身に合わぬ大風呂敷で恥をかく    亘
大銀杏結える日を待つチャンコ鍋  千恵子
大の字がつけば何だかえらそうだ  洋 未
大過なく年金かじる老いの日々   まつ子
大地震鳥篭だけは助かった     泰 山
ぴったりとなってお下りすり切れる  弘
大の字になって眠れる俺は誰     亘
一言の悔いが大きくのしかかる   博 司
大変だまた体重の目盛り増え    穂々美
年寄りを大事にすれば身に返る   のぶ男
大国の身勝手核を持たせない    輝 男
大地震済むまで待とう古住まい   亀 重
大阪へ行こう 充電しに行こう    鰹
大丈夫人も地球も耐えている    野次馬
小さいと決して言わぬ釣り落とし  博 司
大詰めの話が出来て燗にする    梨 絵
大騒ぎした連休も幕を引く     長 仁
大雑把な性格人を恨まない     二三子
大物のように振る舞うたかが雑魚  のぶ子
大自然が育ててくれる人間味    由利子
大声を出せばストレス逃げて行く  長 仁
値切られた首が米粒大になる    美佐緒
大凶をひいた歴史に残る年     由 美
五 客
ステテコで大の字になる旅帰り   獏 沓
大げさに褒めてくれるは皆他人   廣 司
大好きな薔薇が快感呉れる棘    竹 水
大人気無い色に変ってゆく妬心   平四朗
淋しくて音の大きな時計吊る    由利子
 人 位
大物になった狸のひとりぼち    豊 子
 地 位
後期とや大きな山が横たわる    徳 子
 天 位
大変だ天国からのラブコール     尚



宿 題 「う、で始まる句」
堀場 梨絵 選
憂さ晴しあれもこれもと無駄を買い きく子
うれしくて百点踊るランドセル   玲 子
うるさいのトップは妻のグチである 泰 史
迂回路を察して月が雲を脱ぐ    哲 也
うっかりじゃ済まぬ貴重な物忘れ  豊 子
うますぎた話にのって転がされ   玲 子
薄暗いところでギャグがマジになり 団 石
うそ八百吐いて笑わすもてる人   亀 重
浮き沈みあればこその一人酒    まさ子
うさん臭い話ハ長調でくる     さとみ
鵜呑みする頼まれごとに四苦八苦  獏 沓
うさ晴らししよう心が枯れている  穂々美
うるさいがいないと困る人と住む   弘
上手いのかよく解らない書道展   二三子
嘘でいいおんなごころは待っている  弘
美しい人です とても意地悪い   まさえ
裏金と仲良くなって抜け出せぬ   しげる
有頂天墓穴を掘って出られない   のぶ男
嘘泣きに男はころり騙される    安 心
売り言葉買わずに帰る手を振って  洋 未
嘘ついた骨が軋んで傾いた     美佐緒
受け箱が春の奇蹟を待っている   獏 沓
嬉しくてスキップをするバースデー 三根子
うるうると母のことばに頬ゆるむ  三根子
嬉しいが祝儀袋で妻と揉め     晴 康
うっかりと弾んで落ちた蟻地獄   敏 子
噂だと言って本音を置いてゆく    薫
うわべだけ裏のワナある読みきれず 俊 枝
梅干しの味にニホンの母の顔    政次郎
浮き世から試しに金を消したなら  亀 重
唸されて目覚めた腹に妻の足    修 市
内輪揉め母の涙でけりがつき    由利子
浮世とは金はないけど面白い    のぶ男
 五 客
裏を掻く商談図る箸まくら     平四朗
うんちくを聞けばこの酒旨そうだ  長 仁
旨い酒飲んで家族に返す笑み    太 郎
魚心小出し選挙の種を蒔く     卓まる
裏方の汗が主役の顔になる     五 貫
 人 位
うっぷんを晴らす心の荷をほどく  まつ子
 地 位
魚心有るから澄んだ水に成る    竹 水
 天 位
生まれ来てこの世に感謝灯がともる きく子



宿 題 「ショック」  加藤  鰹 選
妻が言うホントはあんた三番目   信 一
飲みもせずツマミにされたシンデレラ俊 枝
氷解けびしょびしょになる地球人  まさ子
ごめんなさい合コン後のEメール   進
もう一人私の影に言いそびれ    さ き
じいちゃんと呼ばれショクは隠せない可 福
相合傘夫といるのだれかしら    千恵子
期待した蕾に虫がついていた    輝 男
下ばかり向いてチャンスを見逃した 洋 未
目をかけた部下が辞令で上役に   信 一
転職をすると夫に切り出され    博 司
優勝旗掴み損ねたイレギュラー   野次馬
塩贈る人の訃報が届けられ      弘
先月の値段でパンが買えません    尚
地震地を避けて聖火が揺れてゆく  泰 山
孫娘ヘソ出しルック婆婆タマゲ   重 雄
マイハート電気ショックは要りません静 枝
金持ちの名医裏から見たショック  しげる
手に負えぬ魔性隠していた女    茂 瑠
カルテではもう私は死んでいる    尚
生まれなきゃよかったなどと我が子から由利子
若い娘の柩に涙ただ涙       由利子
こんなにも悲しい0歳のお通夜   由 美
母見舞いどなた様かに涙する    二三子
後期高齢 長生き税を納付せよ   竹 水
あらいたの胸にグサリとくる台詞  美佐緒
おじさんと初めて呼ばれショック受け修 市
わたしのは載ってないのにくる句集 さとみ
消え失せた外した事のない指輪   のぶ男
目がぱっちり俺をだましたコンタクト安 心
小遣いの値上げはだめと妻は言い  洋 未
後継ぎと信じてた子が戻らない   二三子
食べてから知るカロリーに青ざめる まさ子
出番まで咥え煙草の天使役     哲 也
ある夏の日におめでた?と友が問う 由 美
ひとつだけあった卵が焦げた朝   さとみ
万札が一度で消える給油口     博 司
鼻ピアスこれが娘の彼氏とは    修 市
この町で一番の美女ニューハーフ  哲 也
痴漢ですボクをつかんで言う女   泰 史
 五 客
ムードいい夜に女房が子のジャージ 五 貫
給油待ち自分の番で日を跨ぐ    卓まる
お互いの浮気がばれて梅雨に入る  泰 山
妹と思っていたと去る男      泰 史
無造作に置かれた愛のプレゼント  五 貫
人 位
見たくない妻の裸を見てしまう    弘
地 位
脱いだシャツ親父と同じ臭いした  卓まる
 天 位
ガス欠の車すぽぽぽぽんで逝き   団 石



宿 題 「自 由 吟」  互 選
Iかたつむり君もローンが重たかろ  鰹
F出直しの敵に自分の影もいる   平四朗
Eもう会えぬ両手にくるむさようなら五 貫
E人情が薄れ社会が狂い出す    千恵子
E嘘ひとつ言えない男嫌いです    弘
D生きている証し時々恥をかく   輝 男
C人生は急いでいつも回り道    三根子
C失敗をシリーズものにして生きる 哲 也
B赤い糸結び直したのは誰だ    義 子
B人づての噂気になる胸騒ぎ    豊 子
B電池切れする迄笑う睨めっこ   竹 水
B背伸びしてバランス崩す恥をかく 修 市
A君だけと言って二つのハート射る 泰 山
A職退いて妻が主体で日々平和   二三子
A一喝の後のコントは父の愛    獏 沓
A看取り終えどこか明るい喪の報せ 静 枝
A自惚れの足跡隠す竹箒      のぶ男
A生き甲斐に一枚残す鱗あり    しげる
A邪魔だった傘で間に合う俄か雨  敏 子
A賞味期はぎりぎりだけど尻尾振る 晴 康
A戻そうよ鏡の中へいい笑顔    満 月
@大ぼらをふいてノルマがまた増える卓まる
@海山へ心癒しの旅に出る     和 枝
@花柄の春着の底にトゲ隠す    茂 瑠
@付け替えたガソリンの値に近寄れず博 司
@ちちははが待つ楢山に似た施設  よし子
@後期高齢追っ手の顔がしかと見え  薫
@程程の欲が有る内呆けは来ぬ   廣 司
@大脳が働かなくてチョキ出ない  穂々美



参加者(順不同)曽根田しげる、林二三子
堀場梨絵、池田茂瑠、川村洋未、増田信一
今井卓まる、中田尚、中野三根子、加藤鰹
佐野由利子、高瀬輝男、望月弘、小野修市
川路泰山、水品団石、谷口さとみ、井口薫
永田のぶ男、金田政次郎、瀧進、柴田亀重
望月満月、畔柳晴康、内山敏子、大塚徳子
岡村廣司、成島静枝、薗田獏沓、中矢長仁
真田義子、鈴木まつ子、川口亘、毛利由美
鹿野太郎、安田豊子、西垣博司、石田竹水
濱山哲也、山田ぎん、滝田玲子、川島五貫
加茂和枝、竹内さき、真理猫子、伊藤泰史
石上俊枝、酒井可福、芹沢穂々美、中安び
ん郎、山本野次馬、馬渕よし子、森田安心
戸田美佐緒、薮ア千恵子、川口のぶ子、提
坂まさえ、萩原まさ子、市川重雄、中川司
柳沢平四朗

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(2008/07/24(Wed) 09:16:40)

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