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自 由 吟
  虎 竹 抄


「黒 光 り」        大塚  徳子
幸せをお稲荷さんに詰めている     仙 台
星一つ黒光りする星条旗
お茶の間のなかなか止まぬ隙間風
話し合いケータイ持たぬことに決め


「雑  詠」        石井   昇
日本をジャパンに変えた工業化      蓮 田
チェンジだと花火を揚げる西東
吹き溜りノッペラボウの泣き笑い
ギア一つ落し人生軽くなる


「倦 怠 期」        鈴木 千代見
倦怠期という病にある微熱       浜 松
ドライフラワー心変りがしたくなる
しゃぼん玉舞い倦怠期くる予想
透明人間同じ空気を吸っている


「昭⒚2二度目赤紙」(結婚半年)寺脇  龍狂
新婚へ有無を言わせず赤紙は        浜 松
預金なしお腹に一人親二人
日の丸も千人針も中古で
征くなとも死ねとも言わず母の皺


「偶  感」        寺田  柳京
ねずみなどどうだっていい猫の恋    静 岡
一歩ずつ退くと小皺がかくれます
生きて居る罰金ですかアハハハハ
その内に誰も無税の国へ行く


「春 隣 り」        新貝 里々子
加湿器の湯気派遣切りとは遠くいる   袋 井
男とは今朝もくしゃみが止まらない
パンジーが笑うと花粉症目覚め
部屋中をバンドネオンにしてひと日


「雑  詠」        井口   薫
胸襟を開いて春を誘い込む       袋 井
いざというとき出てしまう手ぶれ癖
柊の花の可憐は贖罪か
年齢の制限ばかりジャンプ台


「ももいろ」        小林 ふく子
桃色の風に扉は開いたまま        袋 井
ひらがなの花はピンクがよく似合う
クレヨンのピンクはいつも柔らかで
好きと書く薄桃色の紙がいる


「自 由 吟」        真田  義子
目を閉じて明日の風を読んでいる    仙 台
寝つかれぬ夜は夜汽車の音がする
鉛筆を削ると見える現住所
ポケットの嘘が時々笑い出す


「雑  詠」        馬渕 よし子
近付きの印情報一つ呉れ        浜 松
乾杯のグラス微妙な音を立て
叩かれて磨いた腕も解雇され
ここに来て老老介護おまけ付き


「花も実もあるかな」    増田  久子
生涯をかけてもやっと二DK       焼 津
福袋からのパールで着るスーツ
化粧品使い続けて詐欺と知る
ジャズピアノ目指しバイエル三年目


「前 借 り」        松橋  帆波
変人を人と思っていた不覚       東 京
マニュアルにあるスマイルと消費税
大衆は正義 匿名ですけれど
前借りは選挙に来ない世代から


「文字の風景」       戸田 美佐緒
さかずきと契って夜を盗まれる    さいたま
それだから夫婦なのよと皿を拭く
茶漬け喰うズンドコ節を聞きながら
温もりを分け合っている猫じゃらし


「家  族」        鹿野  太郎
私から見ればペットは雲の上      仙 台
反骨の旋毛だ凄い疳の虫
ご破算にするしなくても年度末
官僚はセオリー通り息をする


「  時  」        安田  豊子
割り切れぬ余りに生きる種がある    浜 松
花咲かす灰が寝ていた句を起こす
日向ぼこ少女に戻る陽の匂い
さりげなく刻む時計が早すぎる


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
反芻をしながら助言腹に入れ      焼 津
父というつっかい棒に助けられ
孫の知恵借りて時代の波に乗る
今日もまたピエロになれという鏡


「  糸  」        鈴木 恵美子
毛糸玉コロコロママの顔で編む     静 岡
結ばれた糸もつれ出し愛其の後
一人身のほつれた愛の灯がともる
着たままのつくろい妻の糸切り歯


「自 由 吟」        竹内  さき
恋をして愛して月の砂漠ゆく      浜 松
淡い紅夜霧に少し嘘がある
よしよしとコーヒー担ぐポスト前
指切りの今を大事に靴を履く


「色 と 嘘」        金田 政次郎
キリストの目へ白足袋の嘘を脱ぐ    静 岡
とんぼ切る真赤な嘘が翻る
遠い日の嘘が陽だまり黄に染める
七色の露が滲んだ虹の嘘


「雑  詠」        滝田  玲子
手の内は互いに見せぬ嫁姑       浜 松
平成の世に算盤が正座する
奥深い趣味に頭を酷使され
神様にそっと漏らした願いごと


「悶  々」        川口   亘
生き甲斐を見つける迄の揚げ羽蝶    藤 枝
成る程と思う気持ちの先が見え
賞でる気が有ると桜が栄えて見え
大勢に押し流されて行く惨め


「赤 べ コ」        薗田  獏沓
赤べコの首ゆらゆらと返事する     川根本町
赤べコと一緒に祈る新年会
残業も駆けつけべコの首を押す
行きつけの店の赤べコ人を好く


「自 由 吟」        内山  敏子
高熱へ右往左往の解熱剤        浜 松
どん底を知らぬ二十歳の晴れ姿
先輩へ若いジョークが通じない
壁の耳秘密を風に乗せたがり


「自 由 吟」        ふくだ 万年
落ちこぼれ拾う心は母心        大 阪
僕の子さ頭悪くて当たり前
妻の愚痴俺が聞かずに誰が聞く
年一度携帯電話が脱皮する


「雑  詠」        山本 野次馬
この坂はきっと息子も登る坂      函 南
点線の隙間に貰う月明かり
色褪せて記念日初老の日向ボコ
年金前日話が盛り上げる


「五時から男」       濱山  哲也
会社では積極的になにもせず      つがる
何も無い残る金目は選挙権
はしご酒この頃細い縄梯子
課長にゴマ擂り部長に豆を擂る


「インフルエンザ警報」   毛利  由美
スキー学習のバスで流感蔓延す     つくば
担任の先生もインフルエンザ
ワクチンの当たる確率はいかほど
この冬は素顔にマスクが定番


「自 由 吟」        川村 美智代
給付金貰うな貰えどっちなの      静 岡
それなりに皆年とりて喪服菊
いい男うちの旦那はほど遠い
二〇〇九牛に引かれて何処へ行く


「自 由 吟」        提坂 まさえ
今さらでも愛していると言ってくれ   静 岡
ダイエット腹の虫には知らせない
悪役を一度やりたい加藤剛
忘れても困りはしない過去ばかり


「自 由 吟」        石上  俊枝
踏み出せぬ一歩に過去がしがみつき  静 岡
我慢した心に鞠を仕舞い込む
許す気がサンマの骨をスッと抜く
熟女たちランチと肥満盛り上がる


「変  身」        萩原 まさ子
整形で変身 財布まで痩せた       静 岡
三高でパスタも美味いいい男
いい男出てこの国を救ってよ
嬉しいなラマダンの夜が明けていく


「希  望」        瀧    進
窓際に余生の夢が花開く    島 田
リタイアへ見果てぬ夢を消去する
サンドバック打たれ叩かれ強い奴
転職を決めた内助のアダプター


「雑  詠」        飯塚 すみと
妻旅行雑用多く日は暮れる   静 岡
負け試合相手の方が上だった
よそ見せず今日は流れにそう素直
フロの栓一人を忘れケンカ起き


「怒ってる」        岡村  廣司
怒ってる時はいい智恵浮かばない  焼 津
怒ってるらしい音する台所
無視されて怒っているぞ信号機
国民が怒っているぞ給付金


「祝  日」        川口 のぶ子
暖冬は暮れと言う事忘れさせ  藤 枝
やきいもがなぜか恋しくなる季節
祝日を一つふやして曾孫の日
餅を背にしりもちついて笑う孫


「金  婚」        中矢  長仁
紅い糸確かめながら半世紀   松 山
金婚にシェフから技のプレゼント
お爺さん年金減るで生きとって
金婚の次はダイヤの夢を呼ぶ


「自 由 吟」        恩田 たかし
百年に一度の○○使いすぎ      静 岡
土地投資株に投資でまたバブル?
不景気も誕生日にはケーキ出る
国のドン マンガ読めるが先読めず


「自  由」        酒井  可福
立ちションもできぬカメラがにらんでる 北九州
肩書きに踊らされてたサラリーマン
アク取りが下手でスープの味濁る
腕時計腹時計にも負けている


「判  子」        芹沢 穂々美
シャチハタで愛の深さは計れない   沼 津
銀行印秘密にしてる預金高
認め印認めた愛のくされ縁
百均の判子にだって見栄がある


「人  生」        畔柳  晴康
浮き沈み寄せては返す我が人生    浜 松
今日は無事明日の苦難はいまだ未知
自信ない自惚れだけで生きている
この我慢この気の弱さだれぞ知る


「雑  詠」        成島  静枝
大根をスパッと切らすシャープナー 千 葉
エアコンの温度はエコと妻が決め
寝転んで手抜きの掃除目のあたり
留守電が苦手で今日も足りぬ用


「  風  」        西垣  博司
ひらがなの人生にして流す風  静 岡
イからンを縒って解して古希の風
川原石風の説法行脚聞く
日めくりを破って今日の風を断ち


「足  元」        加茂  和枝
今日の幸願って赤い陽が登る  岩 沼
足元はしっかり夢を担ぎます
ひと言が多い雲に矢が刺さる
楽しんで楽しく生きようこの時を


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事  島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「麻生首相」        尾崎  好子
麻生なら民主に勝てるそう思い  藤 枝
お育ちは良いし射撃は五輪に出
ユーモアもお持ちだけれど的を得ず
愛敬は有るが時勢にそぐわない


「やさしい方」       永田 のぶ男
手を貸した思いやりから深情け  静 岡
薄化粧やさしい方が盾となる
愛し方一緒に歩む下駄揃え
チューリップ後でいい事ありそうな


「  冬  」        増田  信一
木枯らしが不景気になり寒さ倍     焼 津
温暖化冬の厳しさ削いでゆく
雪化粧良いも悪いも消してゆく
メタボ腹腹巻よりも暖かい


「新  年」        孝井   栞
包丁を研ぐのもシェフの技の内 富 山
痛い足リハビリと主婦兼ねる母
国産品生産地まで書きません
鍼の先探る私の配管図


「アラウンド」       高橋  繭子
「アラサー」で大人の準備はじめます 大河原
「アラフォー」に不惑の思惑てんこもり
ハッと手をついてしまったアラウンド
「アラ還」の大器晩成自由人


「自称、普通のサラリーマン」今井 卓まる
タバコ吸い商談囲う悪い癖    浜 松
餅の絵の友情描き探る腹
連れションを蒸せんだ仲も明日は敵
本物になりたくなって馬鹿になる


「鬼の目にも・・・」    小野  修市
派遣切り鬼も泣き出すせちがらさ    静 岡
置き去りにされた心が泣いている
不景気で鬼も金棒質におく
辛いけどいいこと思い笑います


「ああ・・・」       長澤 アキラ
年輪の二つ三つが歪んでる       静 岡
尊厳はいらぬあなたは派遣です
ロボットという哀しみを抱いている
モノクロの世界に遠くわらべうた


「一  列」        多田  幹江
ブロイラー横一線に餌をつつく    静 岡
ドミノ倒しの先端に居る自爆
干し大根のラインダンスは風任せ
傲慢な飛ぶ鳥あとを蹴散らかし


「生 き る」        石田  竹水
秒読みになった命が燃え上がる    静 岡
余生いま好奇心から夢貰う
病院の擂餌を食べて生き返る
放たれた矢へ向き合ってみるも策


「自 由 吟」        真理  猫子
旅に出るバイリンガルな足音で     岡 崎
傘をさすとホップステップしたくなる
不況ゆえ愛の言葉もリサイクル
恋人といてもひとりになれる海


「チャンス」        中野 三根子
良い事が私にすべて押し寄せる    静 岡
あの席がこの次あくと待っている
おとなりが出掛けた留守に掃除する
今日こそは彼のとなりをゲットする


「雑  詠」        林  二三子
小さな胸はずませ走る寒稽古  芝 川
春に向け花粉対策から始め
食生活整えアンチエイジング
ご祈祷が効いたと思う嬉しい日


「自 由 吟」        川村   洋未
造花でも言いたい事があるのです 静 岡
先送りのばしのばして忘れてく
真夜中におばけと二人テレビ観る
つっかい棒はずしていたが立っている


「ちょっと淋しい日 Part1」谷口 さとみ
ソラシドが出ない私のハーモニカ    伊 豆
だるまさん試しに押した寝たまんま
弁当をチンするたびに風邪をひく
他人より夫が遠い人に見え


「亡母まで」        池田  茂瑠
千切り絵に挑む小さな器です     静 岡
赤い糸女の白い手に絡む
シャボン玉飛ばす亡母に届くまで
この愛に虫の保護色欲しかった


「時 事 吟」        川路  泰山
用済みの働き蜂は踏み潰す   島 田
無精卵売って少子化対策だ
避難用ボトルの中に蛆が湧く
黄泉の水でゆっくり粥を炊け


「痛  み」        中田   尚
春なのにハートに小骨つきささる 浜 松
迷惑な痛みと共に生きている
生きている痛みしっかり感じつつ
タミフルの効かない風邪が暴れてる


「女 風 呂」        佐野 由利子
くだらない話し果てない女風呂   静 岡
おだやかな語尾ゆったりと御歌会
輪の中の真ん中にいる薔薇の花
寂しくはないか頑固を通し過ぎ


「明 日 へ」        高瀬   輝男
牛歩でもいいさ明日への第一歩    焼 津
あの事は笑い話にしておこう
うちの子ってなんだペットの事なのか
人間の顔を捨てたら気楽かな


「給 付 金」        望月   弘
救急の車輌で届く給付金        静 岡
税金でたらたら給付されている
牛の背で急かされている給付金
給付金貰えるほどの稼ぎあり


「春うらら」        加藤   鰹
生き血でも吸っていそうな由美かおる 静 岡
印籠は目に入らぬよ 痛いじゃん
禁煙の貼り紙鼻で笑われて
申し訳ないけどヒマじゃないんです


「無  粋」        柳沢 平四朗
拾ったり捨てたり余生人になる   静 岡
真四角な貌で無粋も飛びっきり
切り口は暈して父の処世術
もう一つ虫を殺して空気読む
[147] (2009/03/26(Wed) 12:52:43)



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