自 由 吟 虎 竹 抄
「眼 鏡」 石田 竹水 絵に描いた餅にも賞味期限来る 静 岡 人を見る眼鏡を外すコップ酒 イケメンがニッコリ笑う非常口 自己主張させて静まる絵具箱
「自 由 吟」 鹿野 太郎 ポップコーンほうばっているジュリエット 仙 台 梅雨晴れを大皿に盛るお父さん 病室のベッドから湧くナトリウム カロリーを弾き検算鬼と化す
「後 悔」 安田 豊子 うっかりと吐いた意見の風当り 浜 松 保証印押して眠れぬ夜が続く 根回しの口火切ったが回らない CMを信じたばかり消えぬ悔い
「雨 季」 栃尾 奏子 さあ勝負今日初陣のてるぼうず 大 阪 一言が許せず二人梅雨の入り 雨の午後ページを繰っている惰性 微笑んだあなた長い雨季が終わる
「 母 」 松橋 帆波 暑いねで始まる母の電話口 東 京 上京の母へ地下鉄ややこしい 夏の夜も先には寝ない母がいる 母の背の記憶と裸電球と
「 母 」 篠原 久 飛び切りの笑顔を提げて母見舞う 四国中央 カサブランカ初夏の匂う母の部屋 鶴を折る母の哀れを見てしまう 四月一日生まれも母を恨まない
「自 由 吟」 竹内 さき つゆの雨しきりと恋し母満ちる 浜 松 想い出を深くして恋しています 美女ありき眠れるバラのひとり言 遠き日に揺れ私にもある故郷
「六月の…」 新貝 里々子 あみだくじ恋から少しずつ離れ 袋 井 なぜだろう花子ばかりに雨が降る さくらんぼ夢のつづきの中で熟れ ぼやき癖つけた鉛筆尖らせる
「自 由 吟」 寺脇 龍狂 出る予定ない日の雨は美しい 浜 松 名声も形はないが世襲です 極道のヒラで意味なく世を送り 付き添いの方が病人らしく見え
「最近の世相T」 金田 政次郎 親に孝どの子もプロを志す 静 岡 近道を探し探してくたびれる 近未来朧ぼろぼろ職探し 真相究明沒沒しています
「雑 詠」 石井 昇 雨上がり未練が消えて星が降り 蓮 田 心太押されて空のラッパ吹く 生きるって哀しいものさはぐれ雲 さようなら遊び疲れたゼロ番地
「健康診断」 濱山 哲也 診断に絶対来ない友がいる つがる バリュームを飲めば忘れる右左 日に一度ジョークを処方しています 目敏くも美女をとらえる健康だ
「 あ 」 戸田 美佐緒 棘ひとつ抱いて私は繭になる さいたま 吐息つく私のように雨が降る ルミノール反応だらけ傷だらけ しきたりが無知な私を取り囲む
「出 る 杭」 岡村 廣司 叩かれる事を覚悟の強い杭 焼 津 出る杭を打つ程力つけたいな 出る杭が打たれぬ工夫思案する 愛想良く出てくる杭は打ちにくい
「今更の発見」 増田 久子 君が代は肺活量の要る歌だ 焼 津 蒔かぬ種咲きほこるのは草の花 たっぷりの時をくれてる大時計 氏神の森にカラスも鳩も住む
「自 由 吟」 酒井 可福 紫陽花の花も空梅雨艶もない 北九州 飛ぶ蛍酢っぽい水で我慢する 不景気に雨までケチる空模様 不景気の流れに僕も心太
「自 由 吟」 寺田 柳京 長生きへ二度目の不況こんにちは 静 岡 消費税の先取りをする物価高 潔く兜を脱いだ男前 ニッコリと迎えて呉れたチングルマ
「お 中 元」 小林 ふく子 人間でよかったお中元が来る 袋 井 人生の賭けをしているお中元 ゆとりある心を添えてお中元 お中元貰うリストに入れられる
「紫 陽 花」 成島 静枝 ピーポーが止まる紫陽花覗き込み 千 葉 ストレッチャーいずれ我が身か独居老 聴き上手だけどあなたは蝸牛 紫陽花が身の丈に合う七変化
「ひまわり」 提坂 まさえ 振り向いて足跡少し消しておく 静 岡 夫という他人しっかり描いてみる ひまわりも落ち込むことがあるのです 開けてみて手遅れと知るマイハート
「初 夏」 石上 俊枝 明日こそは寝息が綴る陽を信じ 静 岡 雑草と紛争をする初夏の庭 解けない糸ポケットで重くなる 苦労して曲がったキューリ膳の上
「ほ ら ね」 川村 美智代 シルバー席ためらわないでよかったか 静 岡 給付金自動車税がお手をする 新空港立ち木を知事の涙飛ぶ 捜し物ほらねやっぱりあったじゃん
「勘 違 い」 萩原 まさ子 親切を好きと思われても困る 静 岡 マニフェスト実行される筈がない 年齢に目隠しをして赤を着る うれしいなラマダンの夜が明けていく
「1 4 歳」 毛利 由美 14歳世の中的に問題児 つくば iPod耳にとぼとぼ向かう塾 口数は減ってもたまにある笑顔 サッカーに始まり終わる君の春
「ルーヴル展」 井口 薫 ルーヴル展パリの空気に洗われる 袋 井 縁にルーヴルの格ずっしりと 婦像の前混んでいてほっとする タッフの心労も見た美術展
「しぞ〜か弁川柳」 中西 びん郎 田植え終えみゃーんちゴロ寝昼寝だぜ 静 岡 暑くてもちっとぬくてーだけじゃんか 富士山へ登りてゃーけんこの腰じゃ おまっちもこーなるだぜん年とりゃー
「 月 」 薗田 獏沓 月痩せて東の山に腰掛ける 川根本町 古城跡一本の松枝を張り 義理果し胸張る道を月照らす 急ぐけどゆっくり帰る月の道
「張 る」 芹沢 種々美 優等生ウサも晴らそう湿布薬 沼 津 桜の木咲いて終わって欠伸する 柏餅中のアンコが自己主張 ネギ坊主背比べして意地っ張り
「 雨 」 大塚 徳子 雨上がる傘を忘れる能天気 仙 台 雨上がる鱗飛び散る蝶が飛ぶ 雨上がる声高らかに山笑う 雨上がる地固まっている仲直り
「振り向く」 鈴木 恵美子 振り向けば初心の若き句が笑う 静 岡 立て直すチャンスをくれた技に誓う 原点に立って子育て練り直す 振り向けばいつも笑顔のボクがいる
「うっかり」 鈴木 千代見 うっかりと相づち打って誤解され 浜 松 うっかりと孫ない人に孫自慢 いま吸ったのは何だろうクリーナー 居眠りで美人の肩に寄りかかり
「意 外」 藤田 武人 肉じゃがが意外と美味い彼女です 大 阪 計画は見直す度に現実味 こっそりとおやつをカゴに入れるパパ 眼鏡掛け賢く見せて行く見合い
「行 楽」 川口 のぶ子 連休に流感絡み国が揺れ 藤 枝 行楽の行く手さえぎる風の神 行楽に安易な行動暗い影 缶詰にされて後悔する旅行
「雑 詠」 滝田 玲子 春風に乗ってルンルン踏むペダル 浜 松 ガラガラとはずれが踊る抽せん機 ロボットに職場追われて派遣切れ 過疎の町人情あって捨てられぬ
「インフル」 尾崎 好子 豚になり新になっての大騒ぎ 藤 枝 それだからマスク業界フル稼働 豚しゃぶやポークステーキ食べて良い インフルにも嫌われちゃった高齢者
「椅 子」 馬渕 よし子 朽ちかけていても和める母の椅子 浜 松 椅子取りへパワー全開見せ付ける この重み耐えてる椅子よありがとう 心地良い椅子を見つけて寿命延び
「たっぷり」 鈴木 まつ子 ふるさとの夕陽たっぷり溶く絵皿 島 田 森林浴気鋭あふれて甦る たっぷりと情けがこもる母性愛 たっぷりと君に抱かれて生む絆
「 道 」 畔柳 晴康 遠い道地図に無い道人生道 浜 松 我が道の手本にするよこの出合い 遠回り爺は平らな道選ぶ 石段か女坂いや駕篭にする
「自 由 吟」 山本 野次馬 包帯の滲みをだれも気付かない 函 南 マティーニに恋愛運を試される なすすべもなく見守るだけの夕日 百年に一度もう来ぬ出来事だ
「寄 道」 西垣 博司 少しだけ寄道をする切符買う 静 岡 人生に化粧心を少し副え 次の駅終点というアナウンス 単線のその先にある別れ路
「野 球」 内山 敏子 スタンドの声ピッチャーの耳を刺す 浜 松 炎天の空へ抜けてくホームラン 一点に笑う子泣く子甲子園 来年に賭け球場の土握る
「雑 詠」 飯塚 すみと つり人が静かに向かう遊水地 静 岡 町内会班長引き受け妻まかせ 損か得百えん市に人の群れ フロ水がやたら多いと妻小言
「薬 好 き」 中矢 長仁 毎食後寝る前も飲む欠かさずに 松 山 薬好き処方の通り欠かさない 忘れたら大変メモを付けている 拍子ぬけ医者は忘れて良いと言う
「雑 詠」 川口 亘 頼り甲斐ないと思えば愛想盡き 藤 枝 呪縛から放されて知る悩みふえ ひと滴それでも赤くなるお酒 人前をとりつくろって云うお世辞
「自 由 吟」 山田 ぎん 長生きをして年金をもらい受け 静 岡 つばめの子大きな口で餌もらい 長生きし世話にならない気を付ける ひこの手を取って遊ぶは老い大変
「町内会体育部長」 恩田 たかし 初めてのグランドゴルフ四苦八苦 静 岡 お弁当何がいいのか四苦八苦 川柳を考えながら四苦八苦 朝早くお昼過ぎまで四苦八苦
「メ ― ル」 中野 三根子 ケータイのメールはいつも待っている 静 岡 メールだけ心をつなぐ糸デンワ ラブメール ハートが今日もあふれてる ママからの届いたメール パパ元気
「幸せな旅」 真田 義子 幸せな旅です風が見えました 仙 台 うぐいすが去年と同じ声で鳴く 運命の朝がゆっくり開けてくる バラ咲いて今日の運命決まる朝
「ロビーウーマン」 多田 幹江 時給ゼロのロビーウーマンです私 静 岡 私もこちらのネコになりました ウーマンも沈んでしまう大広間 私を待ってたような試着室
「自 由 吟」 森下 居久美 紫陽花に元気をもらう雨が好き 掛 川 クッキーを焼こうか今日は雨予報 アルバムを静かにめくる雨が好き この雨が上がればきっと虹が出る
「初 夏」 林 二三子 花粉過ぎ木々の緑が目にしみる 芝 川 緑のシャワー浴びて爽やかウォーキング 山肌の新緑に目が癒される あじさいが雨を好んで咲きほこる
「身の足掻き」 永田 のぶ男 梅雨の絵を書き出す前に紅を濃く 静 岡 深呼吸空の蒼さを丸め込む 気取っても纏まりつかぬ身の足掻き 影だけになって羽田で別の便
「とりあえず」 山口 兄六 とりあえず恋は性病検査から 足 利 とりあえずお金を貯める離婚まで とりあえず地名で呼んでいる彼女 とりあえず低反発の恋枕
「魔 性」 池田 茂瑠 濃霧から這い出て私堕ちました 静 岡 雨の日も芯の魔性が舞えと言う 姫鏡覗く炎が見えるまで 地下街のリード女が強く取る
「空 港」 増田 信一 静岡もやっと空港できました 焼 津 パスポートとってみたけど行き先が 高いとこ嫌いだけれど空は別 エアポート英語の方がロマンある
「思い出はイイことだらけ」今井 卓まる ポケットに仕舞ったままのラブレター 浜 松 プリン食べ忘れたんだよ また会おう 飲みかけのカップ下げられ終わる恋 また会おうその時 涙 倍返し
「自 由 吟」 真 理 猫 子 金運もさらって逃げるすきま風 岡 崎 いい男だった昔が逃げていく ゴキブリも出会い頭じゃバックする ほんとうは私 逃げたい 私から
「雑 詠」 谷口 さとみ 包帯に私の癖を忍ばせる 伊 豆 とばっちり受けて売れないペアカップ 丈夫過ぎ割れるとホッとする食器 マヨネーズどこに入れよかさしすせそ
「百合の花」 佐野 由利子 逆境をバネに明日へ立ち上がる 静 岡 風乗せてぐるぐるメリーゴーランド ポンと肩叩かれ見れば百合の花 疲れたと幸せそうな顔をして
「自転車に乗る」 小野 修市 道ゆずりよろけてゴミと相撲取る 静 岡 坂などと言えぬ登りでヒザ笑う 住みなれた街を走るが迷子です おばあさんすいすい僕を抜いていく
「動 く」 長澤 アキラ 夢はどうなる飯はどうなる派遣です 静 岡 努力して尽いていればの話です 職安の蟹工船が動き出す そして今最後の一字書き終える
「ル ー ペ」 藪崎 千恵子 長所だけみましょう嫁と持つルーペ 焼 津 身内には甘いルーペが孫を褒め ちっぽけなこと大げさにいうルーペ 人様の粗を見るなと言うルーペ
「今 日」 川村 洋未 今日もまたあれそれこれで暮れていく 静 岡 今日からと見ればきのうも書いてある 今日だけとおやつのふたをゆるくしめ 今日くらいゆるゆる過す誕生日
「新 兵 器」 高瀬 輝男 記録破りの猛暑へギャグが通じない 焼 津 先ず軽くジャブを一発初対面 言い訳の理由に降った雨でない 天性の丸さりんごを責められぬ
「鉛筆の芯」 望月 弘 Fで書く手紙は真面目すぎないか 静 岡 Hから出る冗談が苦笑する HBから友達の輪をつくる 4Bがふんわりと描く夏の雲
「初夏の恋」 加藤 鰹 初恋の記憶に凛とタチアオイ 静 岡 草いきれ入道雲と同化する 迎え火を見つめる愛の日がゆらり 梅雨空にまた違う人好きになる
「い び つ」 柳沢 平四朗 清濁を吊って不潔な水へ棲む 静 岡 いつまでの軈てか老いの自由形 世相なお歪善意の立ちくらみ 生きざまへ舌三寸のテクニック
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[151] (2009/07/26(Sat) 13:44:28) |
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