平成二十一年 七月十八日 定 例 句 会 於 アイセル21
席 題 「印象吟」 森下居久美 選 熱帯夜地球にぐるりカーテンを 洋 未 揚げました一個の飴で白旗を 茂 瑠 図体も肝も大きいおっかさん 明 美 内緒だが金塊うちに二つある のぶ男 ご褒美をより取り見どり包み込む 和 一 私もオバンで飴は必需品 茂 瑠 見ていると小人の世界迷い込む 信 一 俺に似て中身などない紙包み 輝 男 外箱の大きさについ惑わされ 明 美 欲の皮膨らみすぎて縛られる 千恵子 自民党間もなくバランバランだな 鰹 プレゼントやはり大きい方がいい 三根子 大反省甘く育てた子のメタボ 五 貫 誰にでも親しまれてる丸い顔 由利子 もう一つあればバストに入れるのに 洋 未 召し上がれ私飴玉より甘い 茂 瑠 大風呂敷だけど中味は平均値 恭 子 飴と鞭与えて子らを塾へやる 二三子 少子化の飴わがままな子が育ち 千恵子 突っ張ってみせても中味いつも純 恭 子 イケメンを引っ張り合っている女 千恵子 まんまるいデカイおにぎり母の愛 洋 未 風船の中に入れたい甘い夢 三根子 秀 句 旅立ちを翼ひろげて待っている 千恵子 幸せが逃げないようにラッピング 和 一 懐の大きさ故に負う荷物 明 美 風船になって世界を覗きたい 輝 男 優しさで包む地球は真ん丸い 鰹
宿 題 「昭和回顧3」佐野由利子 選 虚脱感癒えたリンゴの赤い歌 茂 瑠 狩野川に呑み込まれずに今がある 明 美 借金でやっとバラック兎小屋 のぶ男 学童疎開枕ぬらして親ばなれ しげる ミニスカート二十歳の私デビュー戦 洋 未 ご近所が顔を揃えて沸くアポロ 恭 子 ノラクロの漫画が僕の少年期 千恵子 万博の顔がグラスの底にある 和 一 銀シャリがご馳走でした大家族 信 一 人波の中でチラッと見たパンダ 恭 子 賞味期限決めるは母の舌と鼻 五 貫 少年の夢が溢れたラムネ瓶 五 貫 黒を黒 本音で言えぬ時代生き のぶ子 米不足命繋いだいもかぼちゃ 敏 子 やかましく言われた蚊帳の入り方 千代見 不景気の節目はオイルショックから 長 仁 ミニスカの大根足もセピア色 静 枝 軍刀をコートの下に父帰る アキラ 爪と髪届いて兄は天へ旅 薫 君の名は聞くまでもないマチコ巻き 和 一 村で一つテレビの前で正座する ふく子 あの頃はリンゴの唄とかえり船 廣 司 牛乳も酒もビールも瓶だった さとみ ボーナスの厚み父権も強かった 静 枝 ご近所に一声だったセキュリティー 哲 也 膝と膝隙間なかった汽車だった 安 心 電灯に黒布掛けた本の虫 竹 水 色水のようなジュースがおいしくて ふく子 三丁目の夕日の中にいる私 二三子 石蹴りもメンコも出来る路地がある 二三子 明星で歌い踊ったキャンディーズ 居久美 五 客 石鹸で昭和生まれの髭を剃る 美佐緒 ラバウルを一つ話の友も逝く 獏 沓 おかえりと井戸に浮かんでいるスイカ居久美 駆け落ちの揺れて眠れぬ寝台車 卓まる 薪くべるかまどの煙に泣いた母 修 市 人 位 鼻タレもアカギレもいた子供の輪 信 一 地 位 ゼロ系のひかりと飛んだ夢の中 太 郎 天 位 ちゃぶ台に序列があった家族の和 千恵子
宿 題 「女性上位」 永田のぶ男 選 逆立ちをしても男は子を産めぬ 弘 鎧着て通帳握る山の神 重 雄 子を産んだ女に勝てる訳がない 由利子 決断を妻の財布に聞いてみる 進 母と娘が決めて父さん金払う 由利子 会社でも女社長にしごかれる 千恵子 何時からか女神の尻に敷かれてる 竹 水 妻胡座俺は正座で食事する 信 一 女性上位のマスオさんちは平和です 徳 子 婚活も女性上位でたくましい 玲 子 威勢いい啖呵とばしてダンプの娘 玲 子 家計簿は任せ小遣い貰う僕 長 仁 あの乙女今はだんなを尻の下 安 心 妻のあと三歩下がって買い物に 信 一 印鑑もカードも妻が持っている 二三子 草食系男子手玉に取る女 居久美 校長も医者も女が強すぎる 尚 玄関を入れば妻の部下になる 博 司 倹約と節約ワイフ天の声 進 ギリギリの居場所で妻を誉めている 卓まる したたかな女性の寿命世界一 廣 司 妻に似た鬼瓦にもにらまれる ふく子 妻よりも三歩下がって歩く僕 千恵子 ままごとのママも離婚をちらつかせ 哲 也 お隣りを見習いますと妻が言う 晴 康 勝つための隙も作れる女です 茂 瑠 無駄遣いすんなと渡す俺の金 五 貫 草食のおとこ 女に歯が立たず 薫 平社員惚れた女房係長 卓まる お〜いお茶 客が居るから言えるけど 可 福 三歩前先を行くのは僕の妻 洋 未 戦国の世からの女性上位です 好 子 威張らせてあげる私の手の中で 恭 子 遠慮ない女裸足で闊歩する 居久美 威張らせて飲ませて妻の思うツボ 二三子 父は増え夫はどんどん減ってゆく さとみ 仲直りまず動き出すのはオトコ 恭 子 コーヒーの良い匂いねと起きてくる 長 仁 水臭い女で家事に遠く居る 政次郎 五 客 表札は僕実権は妻の手に 輝 男 体重も財布も妻に負けている 明 美 父の留守いつも家族ですし出前 三根子 こん畜生来世女で生まれるぞ 晴 康 何事も決定権は妻が持つ 明 美 人 位 安眠の夢の中でも寄り切られ 和 一 地 位 日曜の夜まで仕切る山の神 和 一 天 位 妻シャネル 僕は三枚組パンツ 鰹 軸 吟 無事故にて姐御ダンプでサングラス のぶ男
宿 題 「苦 い」 加藤 鰹 選 薬箱もしもの時の正露丸 居久美 苦かったビール今では旨いなあ 長 仁 苦いのが薬なのだとビール飲み 信 一 ビールから苦み取ったらただの泡 洋 未 こらしめにホップを抜いている所 太 郎 羊羹がビールの苦味引き立てる 和 一 私の苦い経験宝物 和 枝 愚痴になる酒は無口でほろ苦い 豊 子 商いも不況続きでたかが知れ まつ子 捨てる気になってなれない苦い過去 亘 聞き役に回ると酒も苦くなる 敏 子 四季を呑む盃苦いはずがない ふく子 青汁の味は良薬だと思う 可 福 煎じ薬妻の浪費も効果ない 穂々美 苦労しているんですけどわかります 居久美 人生の苦さしみじみ保証人 由利子 暑気払いゴーヤチャンプル召し上がれ 久 夏バテの予防ゴーヤのほろ苦さ 二三子 あの苦さゴーヤの緑夏が来た 洋 未 苦瓜も揉んでいくうち甘くなる 信 一 ピーマンを素早くキャッチ孫の舌 静 枝 秋刀魚にも苦い思い出ありました 哲 也 サンマより苦い査定のボーナス日 卓まる 息できぬ不況の波のど真ん中 野次馬 糖衣錠隠し切れないキノコ雲 アキラ 自叙伝に未消化のままある苦味 薫 勇み足してから続く苦い味 千恵子 負けず嫌い苦い思いもバネにする 恭 子 青春の恋ほろ苦いつゆと消え さ き 負け試合あの苦い味忘れない 輝 男 やりこめた心が苦いまま残り 千代見 無理矢理に通した意地のほろ苦さ 和 一 反芻をする度苦い捨て台詞 静 枝 言葉尻ゆっくり咀嚼苦い味 しげる 若い日のあの失敗がまだ苦い 三根子 人生の宝に変化した苦言 弘 純粋に生きても苦い水と会う 安 心 苦い水飲んだくせして今日も翔び 廣 司 花柄に苦いドラマが続く傘 茂 瑠 どうしよう苦い薬が効かなくて 尚 良薬と言えども耐え難い苦さ 二三子 医療費が高くて薬ほろ苦い 修 市 後輩の忠告受けた読み違い 輝 男 義理チョコを悟り男は深くなる 五 貫 くだらない上司のジョーク耐える部下 廣 司 披露宴退社を祝う顔もある 五 貫 お別れのコーヒーそっとシュガー足す 進 五 客 転校にシカトの意味を教えられ 由 美 苦虫を潰した顔にほれた妻 のぶ男 苦虫を噛まずにいてもその顔で ふく子 デートドタキャン紅茶まで苦くなる 明 美 残高が知れるとみんないなくなる 美佐緒 人 位 いけ好かぬ奴に青汁なみなみと 由利子 地 位 しめしめと拾ったアメは苦かった さとみ 天 位 ほろ苦さだけを残した恋でした 恭 子
宿 題 「自由吟」 互 選 H離陸する子へ助走路を足しておく 美佐緒 E嫌いではないが波長が合わぬ人 由利子 D金もない地位もなければ嘘もない のぶ男 D古切手恋は終わって捨てがたい 穂々美 Dサングラス虹の七色見失う ふく子 C二人だけの秘密石ころでも光る 恭 子 C私より信用がある保険証 弘 B道草が教えてくれた衣替え 和 一 B晩酌で測る貴方の満足度 明 美 Bまだ探すつもりか昼はとうに過ぎ 博 司 Bやさしさが心にしみるあの言葉 三根子 B若き日に引き戻される夏帽子 義 子 B三枚に下した鯛がまだ睨む 久 B代筆は妻と決めてる筆不精 敏 子 A惚れた女 半音上げて吹く本音 満 月 Aお宝はやはり夫という悟り よし子 Aそれ以上それ以下もない適齢期 まつ子 A貧乏も中ぐらいなら我慢出来 廣 司 A自転車が合鍵よりも先に失せ 由 美 A努力家は手強い私怠け者 好 子 A富士山に帽子かぶせる粋な雲 豊 子
参加者(順不同)永田のぶ男、森下居久美 山下和一、勝又恭子、高瀬輝男、佐藤明美 増田信一、望月満月、林二三子、川島五貫 佐野由利子、中野三根子、川村洋未、瀧進 池田茂瑠、薗田獏沓、藪崎千恵子、加藤鰹 曽根田しげる、金田政次郎、小林ふく子、 岡村廣司、大塚徳子、中矢長仁、畔柳晴康 鈴木まつ子、中田尚、毛利由美、小野修市 西垣博司、井口薫、鈴木千代見、成島静枝 篠原久、長澤アキラ、内山敏子、石田竹水 谷口さとみ、望月弘、濱山哲也、真田義子 森田安心、安田豊子、山本野次馬、川口亘 加茂和枝、酒井可福、鹿野太郎、竹内さき 滝田玲子、市川重雄、尾崎好子、那須野正 明、芹沢穂々美、戸田美佐緒、馬渕よし子 川口のぶ子、中川司
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[169] (2009/09/07(Sun) 15:37:21) |
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