平成二十一年 八月十五日 定 例 句 会 於 アイセル21
席 題 「震える」 池田 茂瑠 選 ビルの窓掃除の人が揺れている 三根子 さよならを言って震えている心 アキラ ぶるぶるとしている割に目が据わる 信 一 何気ない一言だけど震えてる しげる 老い猫が揺れに合わせている地震 明 美 深呼吸震えを止めていざ勝負 恭 子 サヨナラを無言で伝える震える手 卓まる 緊張を隠しきれない手の振え 恭 子 初恋の出会いは確か震えてた のぶ男 言い訳はしどろもどろの震え声 由利子 ケータイが振え門限近づいた 洋 未 覚醒剤蒼いうさぎが震えている 鰹 初めての振りして震え喜ばす 卓まる 宝くじ十番違いでも震え 信 一 総裁の失言 党が青くなる 弘 署名する誓いの言葉指震え 和 一 五 客 言い訳の声が震える午前様 和 一 ロボットがガタガタ震え電池切れ のぶ男 地震より妻の噴火の方恐い 信 一 隠してもダメだよまぶた震えてる 恭 子 駿河路に寝起きの悪い鯰いる 弘 人 位 手の震え文字にならないラブレター 和 一 地 位 震度六揃いのカップ真っ二つ 好 子 天 位 宿帳へ妻と書き込む手の震え 弘 軸 吟 強烈な震えのパンチ受けた朝 茂 瑠
宿 題 「マイッタ」 増田 信一 選 弱点の臍を握っている女 美佐緒 マイッタないくら飲んでもまだ飲める のぶ男 別れたい女が産むと言い始め 由利子 大声で内緒話もままならぬ 千代見 盆休み豆台風がやってくる 鰹 端っこを捕っては批判するカラス まつ子 政治家が足を引っ張る手本見せ 廣 司 三人の娘揃って彼氏無い 博 司 マイッタね男と女分からない 和 枝 妻の留守醤油の場所がわからない さとみ 名人もまいりましたと母の味 洋 未 ボーナスと交換長い夏休み 明 美 優しいね恐いね私どちらだろ まさえ 腹が鳴り妻に白旗また揚げる 哲 也 何度でも読まされ絵本疲れ果て 玲 子 冗談が的中ピンと張る空気 五 貫 幼児用化粧セットがあろうとは 博 司 大げさに見せてルーペの泣き上手 美佐緒 ハイキング弁当開けて箸が無い 長 仁 来るたびにパワーアップをしてる孫 静 枝 内輪揉めペラペラ孫が喋りだす 千恵子 マイッタな雑魚寝の相手情が濃い 穂々美 箱入りの娘ガードが堅過ぎる 進 一匹の蚊に悩まされ悩まされ 薫 そっぽむく女心の複雑さ 香 織 カタカナと略語に爺は孫に負け 晴 康 マイッタな方程式で解けぬ恋 穂々美 マイッタな何て言ってる自慢顔 恭 子 バタンキューマムシドリンク効かぬ夜 和一 土砂くずれすべて流して土砂残る のぶ男 ひとのみにしたのが疑似餌だったとは 薫 先を読み親を持ち上げレジを出る 俊 枝 五 客 正直なハカリにいつもしてやられ ふく子 マイッタと今日一日を閉めて幕 アキラ 切る言葉見つからぬまま長電話 二三子 勲章が邪魔して羽根を使えない 茂 瑠 なけなしの知恵をカラスに見抜かれる太 郎 人 位 新築のローン残して土石流 可 福 地 位 槽糠の妻が起こしたストライキ 進 天 位 老いるとはこういう事か又忘れ ふく子 軸 吟 親小言 子が文句言い 妻が愚痴 信 一
宿 題 『蝉しぐれ』 曽根田しげる 選 蝉しぐれ熱中症にご用心 由 美 負けないで背中押すよと蝉しぐれ 洋 未 補聴器をはずし悠然蝉しぐれ 弘 蝉しぐれ好きだと言われ聞きのがす ふく子 終戦忌蝉の読経の啼き止まず 廣 司 蝉しぐれうるさいと妻おまえこそ 信 一 弾む声一緒にはしゃぐ蝉しぐれ さとみ 蝉しぐれ駆け込み寺のあるところ 美佐緒 蝉しぐれ私の夏を自己主張 和 枝 夏の朝目覚まし代わり蝉しぐれ 香 織 幼稚園元気を競う蝉しぐれ 重 雄 無人駅むかえてくれた蝉しぐれ 玲 子 雨上がり安心したか蝉しぐれ のぶ子 蝉しぐれ防音装置つける森 穂々美 蝉しぐれ慰め呉れる待ちぼうけ 晴 康 勤行の僧に負けじと蝉しぐれ 進 宿題は終わったのかと蝉しぐれ 鰹 初めてのデートの彼と蝉しぐれ 三根子 蝉しぐれわずかな命クーデター 敏 子 駄々っ子の泣き方まるで蝉しぐれ 千恵子 蝉しぐれ蝉もとどろに百万遍 まつ子 立ち話伴奏入れる蝉しぐれ 晴 康 不況風止めよと叫ぶ蝉しぐれ 竹 水 蝉しぐれ今年は聞いてすぐに秋 修 市 世間とは何故にうるさい蝉しぐれ 徳 子 候補者へ腹で声援蝉しぐれ 重 雄 蝉しぐれ水琴窟が聞こえない 長 仁 耳鳴りとデュエットで聴く蝉しぐれ 静 枝 思い切り鳴いて浮き世の蝉しぐれ 亘 選挙カーうぐいす嬢がセミになる 千恵子 一生を太く短く蝉しぐれ 敏 子 甲子園予選の後の蝉しぐれ 修 市 口下手の命をうたう蝉しぐれ 和 一 蝉しぐれ消えた合図で君と会う 卓まる きのう今日あしたへ命蝉しぐれ 好 子 ため息も愚痴もかき消す蝉しぐれ 和 一 五 客 短命を謳歌している蝉しぐれ 由 美 蝉しぐれ芭蕉の耳になっている 弘 ペチャクチャと女三人蝉しぐれ 由利子 蝉しぐれ今輝いている命 アキラ 妻の愚痴シャンシャンシャンと降りそそぐ 鰹 人 位 繁華街ワインと踊る蝉しぐれ のぶ男 地 位 椅子取りの政治が止まぬ蝉しぐれ 竹 水 天 位 かみさんと良い勝負する蝉しぐれ アキラ 軸 吟 金魚の墓 孫の涙へ蝉時雨 しげる
宿 題 「そわそわ」 望月 弘 選 誰を待つ目立たぬように駐車場 卓まる 切り札を秘めて勝負の舞台裏 アキラ バスツアートイレに並ぶ長い列 二三子 四苦八苦落ち着き無いと野次が飛ぶ 晴 康 人の字を呑んでそわそわ初舞台 千恵子 老らくの恋浮き浮きと杖忘れ 進 ライバルが先に十八番を歌いそう 太 郎 聞こえないはっきり好きと言ってみて 茂 瑠 あちこちで椅子が揺れだす異動時期 千恵子 母でんと父そわそわと子のデート 薫 婚約か彼氏を連れて来ると言う 竹 水 初デート勝負パンツの準備よし 鰹 地震には弱い我が家の揺れ具合 亘 隠し事しているらしい目を逸らす 長 仁 デビュー戦ビキニの彼女すぐそこに 洋 未 エンジンの音が止まった初デート 野次馬 マニフェスト落ち着いてなどいられない 静 枝 待合の椅子で結果を待つカルテ 美佐緒 マドンナが横に座ったクラス会 薫 たい焼きの白さになぜか落ち着かぬ 修 市 分娩室いまか今かと待っている 由利子 五 客 ビアガーデン幹事は雲と睨めっこ 竹 水 プロポーズ今度こそはと待っている 三根子 そわそわと新婚初夜は無重力 哲 也 決算期人事異動が気にかかる 明 美 そわそわと花から花へ目が移る 徳 子 人 位 きっと手が込んでいるんだ誕生日 太 郎 地 位 待ちぼうけ駅の時計は合っている のぶ男 天 位 へそくりの近くで妻が掃除する 信 一
宿 題 「自由吟」 互 選 G急がない次の電車も明日もある 獏 沓 Fこんな時笑顔作れるのが取り得 茂 瑠 Eなごやかな気持で書いた丸い文字 博 司 D夏祭り足の先から阿呆になる アキラ C家族にも本音を言うときらわれる 尚 C入れ知恵が邪魔をしている仲直り 千恵子 Cおはように返答がない死刑だな 五 貫 C正直に生きると向かい風が吹く 恭 子 C又会える人さよならがさりげない 敏 子 B方言で口説かれたからついてきた さとみ B近頃の雨は短気に降ってくる 弘 B意思曲げずラセン階段登り詰め 竹 水 A母に似てうちの野菜も真ん丸い 哲 也 A吊橋の真ん中へんで貝になる 由利子 A爪に火を灯す昔に戻れない 可 福 A快復へ化粧の窓に灯が点る ふく子 A追い風を待っているのに向い風 和 枝 Aお隣の犬が我が家の番もする 由 美 A腹七分 薬の分をあけておく のぶ男 @もう駄目は言わないにするまだ出来る 二三子 @観覧車二人で乗った空が好き 三根子 @まばたきをする間に伸びる梅雨の草 千代見 @蝉の殻マンションまでの道しるべ 穂々美 @今を翔ぶ帽子かぶって闊歩する まつ子 @ぐったりのキュウリ息づく如露の水 玲 子 @平泳ぎばかりで飽きる熱帯魚 義 子 @ピチャピチャとはしゃいでみせる金魚鉢 野次馬 @ポリープがあると言われて凍りつく 長 仁 @コンビニも油断しないで行く娘 太 郎 @貼るだけで効かぬ公約用がない 重 雄 @魂が乾くと形相まで変わる 廣 司 @吸った息止めてメタボは臍回り 静 枝 @色恋もあって人生花を添え 進 @十六も違うまつ毛に一目ぼれ 卓まる
参加者(順不同)今井卓まる、長澤アキラ 増田信一、山下和一、勝又恭子、佐藤明美 佐野由利子、川村洋未、池田茂瑠、中田尚 尾崎好子、中野三根子、望月弘、石田竹水 永田のぶ男、加藤鰹、曽根田しげる、瀧進 成島静枝、畔柳晴康、岡村廣司、大塚徳子 林二三子、内山敏子、小野修市、中矢長仁 鹿野太郎、加茂和枝、薗田獏沓、西垣博司 毛利由美、佐藤香織、川島五貫、市川重雄 井口薫、鈴木まつ子、滝田玲子、酒井可福 小林ふく子、川口亘、真田義子、濱山哲也 芹沢穂々美、鈴木千代見、藪崎千恵子、中 川司、山本野次馬、谷口さとみ、戸田美佐 緒、川口のぶ子、提坂まさえ、川村美智代 石上俊枝、萩原まさ子
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[170] (2009/10/07(Tue) 15:44:31) |
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