静岡川柳たかねバックナンバー
トップページへ







自 由 吟
  虎 竹 抄


「夏  姿」      林  二三子
思い出が詰まりサイフは軽くなる     芝 川
思い出はメタボでもいい夏休み
大渋滞 雲の流れが先にゆく
夏姿トマト真赤に熟れている



「祭  り」      濱山  哲也
北の地が沸点となる夏祭り        つがる
不景気で夏の夜空の花が減る
露天商の原価計算してしまう
病室に届けと祭り太鼓打つ


「今日の店」      毛利  由美
スーパーのチラシで決める今日の店    つくば
夫とのランチ会話が弾まない
ママ友とランチ四時間ぐらいいる
美容師の提案によりより茶髪


「ヒロイン」      戸田 美佐緒
ネギ生姜 素朴が好きな冷奴        さいたま
ヒロインの顔で佇む始発駅
アイシャドー男が迷う色にする
お湯はじく妻の肌です露天風呂


「自 由 吟」      竹内  さき
さらさらとねむの木揺れて夏は逝く    浜 松
風たちて写る鏡に影ふたつ
花明かり想い出深く灯を入れて
そしてもう一度逢いたい京の人


「小 休 止」      加茂  和枝
雨降りも晴れてもこの身よく動き     岩 沼
立ち止まる勇気をくれた若い友
ささやかな経験ですがお裾分け
年齢を越えてじっくりティータイム


「  盆  」      酒井  可福
泣きに来て母の墓石に励まされ      北九州
走馬燈俺に似るなと父の影
愚痴っても後は感謝の仏の灯
帰る人見送る里の遠花火


「良心的な出来心」   増田  久子
後続のパトへ別れのウインカー      焼 津
コーラスへ移調試みたいピアノ
およばれの西瓜は赤いとこ残す
賞味期限切れを旦那にくれてみる


「自 由 吟」      内山  敏子
芋掘りの児等の喚声天に抜け       浜 松
デパ地下の試食で食の足りる人
カラフルな傘と仲良し泥の靴
うっかりと名前もうつすカンニング


「きのこ雲」      石井   昇
口笛を吹いて尻尾を振っている      蓮 田
ランク付けすれば食み出す七光り
決着をつけて心の月が冴え
胸の奥残像消えぬきのこ雲


「疑  い」      安田  豊子
いつもより歪な笑顔怪しまれ       浜 松
顔見れば夫婦だったらすぐ解る
疑いをもつと聞く耳かゆくなる
人間のエゴで地球が病んでいる


「傘の気持ち」     真田  義子
ゴミにされ傘の気持ちはよくわかる    仙 台
裏通り花とおしゃべりしています
薬漬けされたねずみがしゃべり出す
合歓の花何も野心はありません


「無  人」      井口   薫
無人駅達成感のない切符         袋 井
正直なコイン集まる無人市
お忍びの筈グーグルにキャッチされ
ブルドック多分深夜は笑ってる


「雑  詠」      山本 野次馬
トイレ紙の切れ目逆らいながら切る    函 南
迂回路の先に待ってる熱帯夜
見てみぬ振りをする事が多すぎる
正直な人には溶ける角砂糖


「を ん な」      芹沢 穂々美
座布団が愚痴いっている長っ尻      沼 津
釣り針にひっかけられて不眠症
わたくしの体の中で胃が不貞寝
薬指曲げてをんなが身構える


「今だから」      鈴木 千代見
今だから心に響く父の声         浜 松
今だから言えるあなたが好きだった
今だからやさしくできる介護の手
今だから透けて見えてる妻のくせ


「政  変」      大塚  徳子
政変にあわてふためくチルドレン     仙 台
アラフォーが文化遺産の恋をする
すんなりとゲート通れぬ微熱ある
なんの苦労も知らぬ世襲の七光り


「初  秋」      小林 ふく子
ひと夏を騒がしくしたスケジュール    袋 井
風鈴があがきのようにチリと鳴り
古傷が九月の風に触れたがる
秋のドア少し開いてみることに


「  嘘  」      篠原   久
飲み込んだ嘘胃袋でうろたえる      四国中央
嗽して綺麗さっぱり今日の嘘
嘘いくつオウム主人にそっぽ向く
軽い嘘妻が命じる百叩き


「  夏  」      滝田  玲子
線香花火暗くなるのが待てぬ子等     浜 松
暗い世を忘れておどる盆踊り
なつかしいゆらりゆれてる金魚売り
海ゆかば亡父の遺骨と終戦忌


「自  戒」      瀧    進
九分九厘驕りが生んだ勇み足       島 田
欠点を知って長所が見えてくる
欠点と夫婦仲良く同居する
いヽ所無い分先に夢がある


「生 意 気」      薗田  獏沓
ちょっと金持って生意気言ってみる    川根本町
生意気な子が献血を申し出る
負け続け生意気な子も通路変え
色恋は卒業したと白々し


「タ バ コ」      佐藤  明美
清浄機不機嫌そうに動き出す       三 島
マイカーも禁煙席を設けたい
タバコだけならば高額納税者
もう少し健康的に吸いましょう


「自 由 吟」      成島  静枝
サングラスファッションならず眼の老化  千 葉
サングラスATMに寄ってみる
青い目になるかも知れぬ目の日焼け
全方位トンボになってマニフェスト


「  愛  」      川口 のぶ子
盲目の愛と云っても子は宝        藤 枝
ひと口に愛と云っても理は多い
目に見えぬ大きな愛に包まれる
愛しいと云われる迄の仲の良さ


「政  界」      岡村  廣司
国の為そんな政治家出て欲しい      焼 津
トリックが多過ぎないか政党に
政治家にレッドカードがなぜ出せぬ
この国をまかせる人が今欲しい


「夏 祭 り」      畔柳  晴康
下駄うちわ浴衣可愛い娘っ子       浜 松
花火見る音で握る手ちから入れ
暑い夜を金魚すくいで涼を取る
納涼の盆の踊りに歳忘れ


「自 由 吟」      鈴木 まつ子
乗せられたうまい話に裏がある      島 田
貧乏をなつかしむよう語り種
ほんのひと言がやる気をひきたてる
いっぷくの清涼英気養わせ


「雑  詠」      川口   亘
歌心 時と場合で意味も変え        藤 枝
行動のコード外れてすぐ転び
見た目だけ追えば辛いと云う仕草
思い出を絵にする迄にたそがれる


「足  跡」      西垣  博司
八分目を二合のメシで今日も越す     静 岡
夢は無いだがその先の旅が有る
あり余る煩悩抱いて生きている
足跡をひとつ残して干物買う


「政 治 屋」      中矢  長仁
代々に築いた地盤手放せぬ        松 山
遺伝子は政治家向きと自負してる
政治屋は族と二世で占めている
時々はパーティーをして金稼ぐ



「雑  詠」      飯塚 すみと
雨の晩カレーをわが子旨く食う      静 岡
零才児よちよち歩き独り占め
信号があるのにスキを見てわたる
御神灯仕掛け花火に菩薩がお


「自 由 吟」      萩原 まさ子
ボーとする癖大物に見えるかな      静 岡
フェミニスト宣言丸く生きている
ブレまくる総理言い訳間に合わぬ
自民党というだけで落選に


「ふ わ り」      川村 美智代
ふくらんだ噂オロオロするばかり     静 岡
もったいないもったいないとまた食べる
晩酌をちょいと失敬癖になる
ふわふわりたんぽぽどこへ行くンかな


「自 由 吟」      提坂 まさえ
根本は心の広さ阿修羅像         静 岡
のびかけたパンツのゴムと根競べ
トビウオになるまで全裸にて泳ぐ
宿題を早めにやる子泣き出す子



「鞠(いが)」     石上  俊枝
隠し事ご機嫌とりが土産下げ       静 岡
尖る口納得しない毬がいる
言い分を右から左聞いておく
重箱の隅 姑の顔浮かぶ


「アリバイ」      川島  五貫
バイキングの列でまぐろがあと五きれ   富 士
職探し励ましている蝉しぐれ
昼間から飲める休みがまだ四日
アリバイを固めて明日はしのび逢い


「夏季休暇」      栃尾  奏子
エリンギがしゃくしゃく顎で音になる   大 阪
ポリポリと夏を頂きます胡瓜
籤を引く様にししとう食べている
青い空夢もトマトも丸かじり


「隙  間」      藤田  武人
隙間から見える五円を取る私       大 阪
湯煙に隙間を探す露天風呂
長いすの隙間目掛ける熟女達
返信が心の隙間埋めていく


「秋の味覚」      山口  兄六
栗の絵の箱で色づく菓子売り場      足 利
アキアジはもう届かない三回忌
渋柿を盗み横恋慕の涙
松茸で騙しだましの倦怠期


「ぴょんぴょん」    高橋  繭子
難しく考えちゃダメうさぎ脳       仙 台
可愛さに隠しておこうキック力
長い耳かざし未来の音を聞く
ゆっくりとうさぎ日和の日が暮れる


「想  い」      鹿野  太郎
納豆が必要なんだマニフェスト      仙 台
ハンドルを握ると変わるかたつむり
その日暮らしでも短いな一年
家内との年の差決めた水瓶座


「帝国ホテルに泊まる」 新貝 里々子
翔び支度女の城を明け渡す        袋 井
セキュリティのすごさに負けた好奇心
ルームサービス夢見る夢子演じ切る
チェックアウトはいこれまでと夢終わる


「熱  い」      尾崎  好子
日本一熱い佐久間が今日多治見      藤 枝
日本一熱いを担ぐ町興し
住民の心も熱い日本一
熱いなあ首にタオルが私流


「たかが人生されど」  小野  修市
ああそれもこれも運命と言える年     静 岡
ひとつずつ悟って年を重ねゆく
その通り人に合わせた日が暮れる
我慢した心に母が笑ってる


「オ マ ケ」      多田  幹江
休漁の錨カモメにつつかれる       静 岡
夕べの夢と逃げた男は戻らない
夜を待つネオンテトラと退社ベル
ここだけの話に付いてくるオマケ


「自 由 吟」      市川  重雄
軍艦マーチパチンコマーチ世の移り    静 岡
終戦の生死を分けた神の声
苦い水たくさん呑んだ老いの知恵
苦い酒呑んでご免と口洗う


「自 由 吟」      佐藤  香織
赤子泣くまだ足りないの母の愛      福 岡
緑陰に熱くつんざく愛の歌
帰宅中亭主のメールに友帰り
孫が来る計画倒れのあれやこれ


「僕の夏休み」     小熊 カズ丸
花火する約束前から棚の上        菊 川
助手席で渋滞はまり笑い顔
日焼けして背中の皮で遊ばれる
「久しぶり」無くてもわかるおともだち


「雑  詠」      寺脇  龍狂
式場も予約短冊義理で書き        浜 松
マスク飽きそろそろ出番サングラス
お隣と往き来がふえた朝の花
振り込めもよく知っている素寒貧


「ひまわり」      中野 三根子
夏だからまっすぐ空に花開く       静 岡
ひまわりを追いかけていく迷い路
太陽と語り合ってる花の精
ひまわりに負けない笑顔持っている


「  月  」      川村  洋未
おぼろ月猫さえデートするものを     静 岡
ふわふわとおぼろの月と肩を組む
ぬげそうな三日月の靴ほうり投げ
満月だあたしの彼は要注意


「漫  画」      長澤 アキラ
親戚に坊主が二人いて安堵        静 岡
もう生きて居るのもいやな休肝日
大往生残すものなど何も無い
漫画ならも少しましな四コマ目


「講  座」      薮ア 千恵子
お喋りがとっても好きな講座生      焼 津
役員が回って講座やめられず
タクシーで乗り合いながらいく講座
先生のやる気についていく講座


「沁 み る」      石田  竹水
正直に生きて擦り傷治らない       静 岡
靴下の穴から意志が顔を出す
あきらめて見上げた空は曇り出す
生きてます暑い寒いが身に沁みる


「いろいろな方」    永田 のぶ男
病棟で食事待つ人いらぬ人        静 岡
病院は寝るところでなく起こされる
夏の風点滴の音聞き比べ
救急室いろいろな方唸ってる


「ト イ レ」      谷口 さとみ
走ったら間に合うけれど走れない     伊 豆
紙くれる他人が神に見えるとこ
広すぎも明るすぎても出やしない
アイデアをメモした紙でふいちゃった


「丸 い 月」      池田  茂瑠
掟から逸れる小さな一歩です       静 岡
終止符を打たれ二つに割れた愛
化け方を変えよう月が丸いから
助手席に私と違う香が残る


「自 由 吟」      中田   尚
予報士が雨雨雨にいじめられ       浜 松
そうめんの味を知らずに夏終わる
梅雨からサンマの時期にワープする
封筒を切ったら紅葉など一葉


「胃酸過多」      佐野 由利子
躓いて初めて人の温かさ         静 岡
強情を水で薄めて家族の和
実家には白寿に近い母が居る
胃癌かと思い込んだら胃酸過多


「最後の夏休み」    今井 卓まる
足音がひとりぼっちの邪魔をする     浜 松
就活に駆け込み脱いだスニーカー
涙とか焼けた歩道が隠し場所
暗闇に光る指切りまた会おう


「雑  詠」      真 理 猫 子
アンテナはいつもあなたに向いてます   岡 崎
座布団に仕事させない母の席
ごほうびは手書きの南十字星
にらめっこ負けたことない目尻です


「  蝉  」      増田  信一
蝉鳴くとなぜか暑さが倍になる      焼 津
鳴く蝉が気にかからないのは平和
この頃は蝉取りをする子がいない
空にらみ蝉の抜け殻ほこらしげ


「自 由 吟」      高瀬  輝男
神でない証か欲が離れない        焼 津
集中砲火浴びても意志は変えられぬ
大夕焼けこんな自分が捨てきれぬ
耐えた日のドラム 爽やかな日のピアノ


「もったいない」    望月   弘
リサイクル上手な妻に使われる      静 岡
ゴミ袋八分目だと捨てられぬ
歳時記にリバーシブルを勧められ
エコだから古くなるまで妻と居る


「夏の日の恋2009」 加藤   鰹
君に逢うハンドル少し汗ばんで      静 岡
夏の夜の夢 妖精を追いかける
ジェネレーションギャップをハグで埋めたいな
日焼け跡剥がして夏の恋終わる


「シナリオ」      柳沢 平四朗
道草へ後悔もなく生き急ぐ        静 岡
帯封に埋もれたままの蔵書印
丸投げの余生シナリオなど要らぬ
同情のアメ甘いとは限らない
[175] (2009/09/09(Tue) 08:58:13)



しぞ〜か弁川柳0910月 >> << 2009年7月句会
Copyright © 静岡川柳たかねバックナンバー. All Rights Reserved.