静岡川柳たかねバックナンバー
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入  選
鑑定は要らぬ家宝として守る     寺田 柳京
病院へ行こう私の場所がある     河内谷 恵
まな板の鯉に水などかけてみる    永井 静佳
口紅を忘れず喪主の席に座す     長谷川文子
風を詠む俺は詩人か予報士か     畔柳 晴康
負け組もいい正常な血糖値      松本 晴美
前向きに善処ぞうきん換えました   中村みのり
生きている小鍋を洗う音させて    横山キミエ
手になにも持たなくなって満たされる  やまぐち珠美
走り出す私を好きになる私      三上 博史
わたくしと遊びたがらぬのが私    吉本 君枝
ずん胴になっていないか砂時計    ひとり 静
美しく生きるって辛いね柘榴     内山 孤遊
丸よりも自分を主張する楕円     石川  忠
カタツムリに条件反射させてみる   辻   葉
北窓を開けて何かを待つ時間     浪越 靖政
矢印のはらりと落ちた森の中     森口かな江
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ     鈴木田鶴子
下心何も無いからパアを出す     川村 洋未
計算の下手な少女が美しい      望月 鐘雄
月が出るまでは普通のままでいる   赤松ますみ
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて    中村 広志
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
勝ち組が弱者を食べる音がする    鈴木 泰舟
自叙伝のトマトはどれも甘かった   宮本 夢実
春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎
転校をして解決をしたことに     毛利 由美
液晶の画面あんたも薄っぺら     水品 団石
達磨でもころんで起きる知恵はある  猪股 幸子
方言でしゃべってごらんうまくいく  居谷真理子
朗らかで北の風とも仲がいい     今村美根子
思い出のキーは叩かぬ方がいい    浅野 滋子
この先の時間造花はどう過ごす    高橋 杏仁
貝よりも石になりたい時がある    真田 義子
故郷が変わる私は変わらない     除田 六朗
人がいや一人ぼっちはもっといや   川島 五貫
空想で泣いた日経験で泣く日     毛利 由美
シアワセでないから金を溜めている  播本 充子
役持たぬ人がいろいろ言うてくれ   田中 みね
とりあえず来たバスに乗る寂しい日  宮前 秀子


 秀  句
飲み屋でも靴は一番端に置く     荻原 鹿声
前後左右ゆれてしっぽができました  ひとり 静
放鳥の鳩が退職するという      夏井 誠治

 特  選
花万朶その他の欲が何あろう     菅沼 道雄

選後感▽やはり主催吟社によって集まる作品が少しずつ違うように感じた。選とは選者の主張だと思っている。

 大野  風柳(おおの・ふうりゅう)
 柳都川柳社主幹・全日本川柳協会常務理事
 日本現代詩歌文学館常任理事
 著書「うめぼし柳談」「川柳よ変りなさい」ほか



[45] (2006/09/25(Sun) 21:10:41)



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