静岡川柳たかねバックナンバー
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「小  生」            川口   亘
赤い灯が揺れて禁酒の字を忘れ        藤 枝
手を添えば怒るくせして介護待つ
外出にこころの鍵を掛け忘れ
悩んでもこの山越えて里を見る



 「自 由 吟」            酒井  可福
秋の風本の枕が欲しくなる         北九州
名月が何だ歪んでいる乱視
積ん読のページをめくる秋の風
世間では僕を異色と呼んでいる



「雑  詠」            成島  静枝
洋上の国境線をわらう虹        千 葉
まだ誰も虹の根元を見ていない
真っ直ぐな道だ隠れるとこが無い
ママチャリは必須アイテム特売日


「結  ぶ」            芹沢 穂々美
百足競争むすんだヒモが緩みだす      沼 津
結局は言い出しっぺに役がくる
堅結びしよう夫婦でいる限り
結び丈そっと渡した芝居小屋


「潔  し」            薗田  獏沓
竹を割った様な男で潔し          川根本町
冗談の隙間へポンと置くジョーク
未練など後に残さぬ潔さ
別れてもさ程気にして居ぬ女


「過  去」            朝比奈 零児
過去の灰汁洗い流した胃の切除        島 田
胃の切除過去を断ち斬る句読点
過去幾度妻を泣かせた酒の癖
過去のことさらりと捨てた虹の橋


「となりの核」           羽田  共生
大国を揺さぶっている核ひとつ         牧之原
となりの核はよく人喰う核だ
なりふりはかまわず核をあからさま
蛸がいるか火星にカメラ歩かせる


「は な し」           石田  竹水
枯らしたら二度と咲けない花言葉      静 岡
仕合せのランクはCで太らない
二人居て恋は一つの影に成る
呑み込めん話ミキサー噛み砕く


 「虎 竹 抄」            新貝 里々子
秋刀魚焼く昭和レトロの家に住み     袋 井
しっかりとソファーについた沈み癖
段差などなんのこれしきどっこいしょ
キイキイと椅子もわたしも吐く弱音


「人生の秋」           井口   薫
紅葉前線既に手の指足の指       袋 井
頑張れと娘が渡す脳ドリル
残照を集めて詩へ指を折る
現在地人の秋です下流です


  「雑  詠」            藪ア 千恵子
追伸の本音電話でやってくる         焼 津
白黒の写真に孫が出す奇声
理想論一人歩きをして困る
擂り鉢の底に取れない猜疑心


「ラブソング」        鈴木 まつ子
ラブソング秋の哀れさただ侘びし    島 田
酔いほろろしきりに疼く恋心
つかの間の逢瀬余韻がまだ続き
何となく逢いたい気持また募り


 「  花  」            大塚  徳子
賞味期限切れてどどっと疲れ出る 仙 台
ゲコゲコ下戸とカエルが囃す帰り道
花のうちに華華しく散るがいい
自画像に細くやさしい目を描く


「末  席」         堀場  大鯉
腹案を口に出せないこの辛さ  焼 津
インテリの恋に理屈が多すぎる
父親を黙って睨むおそろしさ
見ぬ振りの情けを粋と見てくれず


  「零点・満点」       柏屋 叶志秋
他チームのファンが好きな巨人軍    山 形
映画館主役になった顔で出る
○×で零点取るも難しい
満点の答えはなぜかつまらない


 「男 な ら」             岡村  廣司
蹴られたら蹴り返しなよ男なら        焼 津
智恵と汗出せぬ男に用はない
逆風に泣きごと言うな男なら
尾を振らぬ男が見せるど根性


 「雑  詠」            設楽 亜季浩
腰浮かせ名前が違う恥ずかしさ        静 岡
いい人にされて割り勘とも言えず
ロー人形サラサラですか血の流れ
街に出た息子気遣う黒電話


 「自 由 吟」             鈴木 恵美子
うんうんと調子良い子の乱気流        静 岡
迂回してコスモスと逢う道を選り
受皿に笑いの種を盛り付ける
浮き雲に亡夫を偲ぶ秋が来る


 「雑  詠」             笹  美弥子
強がりをいわなきゃしおる夏の花    仙 台
悔いひとつ残し絡まるつたかずら
残されたいのちを洗うふたり旅
たかだかのバラ一本に汚される


「雑  詠」            寺脇  龍狂
交番の花を枯らさぬ町に住み         浜 松
年金が素通りしてく政令市
一人っ子脱線させる親がいる
入選が減って量より質といい


 「秋 の 風」             中田   尚
反省をうながしている秋の風      浜 松
やきいもも大学いももうまい秋
ドラフトのクジで決まった運不運
満月も人間様に大笑い


「秋ですね」            辻    葉
時雨くる前に約束果たします       大 阪
秋バラにどんな台詞を囁こう
背伸びする団栗だから愛される
愛唱歌「野菊」に母の影をみる


  「何となく秋」           鹿野  太郎
ドラッグが効いているのか法の網        仙 台
鉛筆は張り詰めている再生紙
コーヒーも砂糖も妥協しない祖母
コスモスが揺れる寅さん旅仕度


「秋 の 恋」             真田  義子
大海を知らずに泳ぐ熱帯魚           仙 台
荒海の中でも母は船を漕ぐ
ひっそりと終わる二度目の秋の恋
思いやりの心が解かすわだかまり


  「歩 ・ U」               増田  信一
歩み寄るその下心顔に出る           焼 津
遺伝かなほっつき歩く癖抜けず
学び舎を一歩出てすぐ家の中
一歩だけ遅れたことが今千里


  「自 由 吟」            藤野  俊子
スプーンまげ其れより地震予知をして     掛 川
失敗も苦労も宝と悟る齢
アルバムに見る子と孫が同じ顔
背に重みまだ残る孫振り仰ぐ


  「もう秋だ」            加茂  和枝
雨の音ぐずぐず続く秋になる          岩 沼
こっちへおいで紅葉の空が待っている
秋の空実のなる仕事やりかける
秋だから冬に備える冬支度


  「  肩  」            馬渕 よし子
ふり向けば駄々をこねてる影法師       浜 松
ちょい悪が肩の力を抜いて生き
どっしりと肩に食い込む父母がいる
嫁がせて返品固くお断り


  「  歩  」             阿部 闘句郎
退職へ心の駅へ足が向き           神奈川
一歩目で異常接近した二人
ナンバーワンオンリーワンへ歩き出す
二歩目からクレーム付いた足の裏


「い の ち」              安田  豊子
スキンシップだけで素直な子が育つ       浜 松
神に背いて遺伝子触れる医の倫理
長生きに秘訣など無い笑い皺
人生の坂で時々聞く軍歌


「自 由 吟」              山田  ぎん
百日紅艶やかピンク夏惜しむ          静 岡
虫の声聞き風呂上り気持ち良い
大根を蒔いて青葉線を引く


「と ぼ け」             増田  久子
気付かれるまでは内緒にしとくボケ       焼 津
「わ」ナンバーと知っててほめるいい車
ヘルメット皺まで誇張してくれる
カラオケとダンスどちらも駄目で飲む


 「冒  険」            竹内  さき
冒険を織るあふれ出る縦糸に      浜 松
悲喜こもごも私の今日をペンが聞く
このいのちわかれもできずついてくる
天までとその実をはざす女神かな


 「鍋 料 理」            金田 政次郎
蕩けてる笑顔が囲む鍋料理          静 岡
燃えかすを酢味噌に和える冷やし鍋
しみじみとぽかぽかうどん親子鍋
コクの有るあなたを煮込むタフな鍋


  「走  る」            高橋  春江
見栄はった衣に走る静電気          袋 井
向う気の強い短足よく走る
まだ少し未練が残るライセンス
青い実は鋳型が嫌いほっといて


「犬  猫」            横山  昌利
迷惑な話叙勲の通知くる           相 馬
聡明なお方で犬に会釈する
犬猫を飼って平和に呆けている
萩の葉が揺れて一息つく日暮れ


 「 事 」            宮野 たきこ
些事ながらこの充実を生きる今      岩 手
次々の用事の波に夢忘れ
きみが言う大事なことは過去にあり
目の前の仕事に追われ歳をとる


「雑  詠」            ふくだ 万年
オーイ飯言うてみたいね妻の前      大 阪
朝だから妻の愚痴聞く耳を持つ
やり遂げた自負であの世に逝くつもり
遠慮なく欠伸が出来て家平和


  「  帯  」            升  ますや
帯高く締めてシナリオ書き替える        気仙沼
帯強く締めて待ってるYES、NO
言い訳が通って帯をゆるくする
子の夢に合わせ編んでる帯袋


「雑  詠」       西垣  博司
横文字のカルテで恐怖薄められ    静 岡
スピードはエンジンじゃない酒の指示
胃洗浄まだ残ってる腹の虫
秋空に案山子どうしのテレパシー


  「雑  詠」        竹内  登志
生かされて喜怒哀楽が身を責める 浜 松
星影の道でときめきかくせない
外遊び影と遊んだ日もはるか
知らぬ間に親をまねてる眼がこわい


「雑  詠」         森島  寿恵
言葉とは世にも不思議な綱渡り 浜 松
聞き流す事も大事と思い知る
親切もほどほどにする快復時
一言の善意が結ぶ仲直り


  「ダイエット」            内山  敏子
ダイエットに負けてLLサイズ着る       浜 松
ワンサイズ細めを着たいダイエット
ダイエット忘れて秋の食を悔い
秋の食三日坊主のダイエット


「雑  詠」             川口 のぶ子
ほうずきの朱あざやかに盆飾り         藤 枝
ひぐらしの遠くきこえて夏去りぬ
ミニ畑土をおこして秋植える
冷蔵庫賞味期限でストップか


  「  秋  」        滝田  玲子
松茸の味は忘れて焼くサンマ   浜 松
読書の秋積んどく本が崩れかけ
栗よりも旨いと叫ぶ十三里
大佛がうっとりと聞くコンサート


「川柳修行中」        中矢  長仁
川柳に嵌って今が真っ盛り   愛 媛
先輩に習い揉まれて穿ち追う
しり取りのホームを追って三十句
穴埋めに首突っ込んでもがいてる


  「雑  詠」             山田  光男
今日元気夕焼け雲よありがとう         静 岡
ありのまま生きればきっと明日が来る
迷信も神も信じて生きている
意地ばかり通せぬ道もある世間


「自 由 吟」       御田  俊坊
長生きし走り続けた笑い皺      高 畠
子が巣立ち走り続けた母の汗
頂点に登ると里が遠くなる
親想う職場を嫌と都行き


  「自 由 吟」        望月  満月
言い訳を数えて悔いのないお鼻  静 岡
小休止熱い卵の中にいる
君とまた熱い思いを描きつつ
蜂の子は私ですよと見せられて


「自 由 吟」         堀井  草園
こつこつと登って星へ一礼す  静 岡
惚れぐせを剥がす小指を噛みつかれ
肩で風切らぬと雑踏渡れない
ユーモアを掴めぬ箸を握ってる


   「貸し農園」            中安 びん郎
貸し農園 園主の役はもぐら捕り        静 岡
奥様が日焼け構わず農地借り
園主よりでかい貸し地の黒カボチャ
園主より外は綺麗な標準語


「秋を見に」       林  二三子
落ち葉踏むふわふわ足にやわらかい  芝 川
秋の森きのこが顔を出している
ローカルで風を感じる列車旅
棚田ある風景平和だと思う


  「鮎三昧・・・其の一」    永田 のぶ男
藁科に稚鮎が踊る初夏の風    静 岡
ふる里は銀鱗おどる鮎の瀬な
友釣りの竿のトンボや滝の音
竿先のかすかな動き胸騒ぐ


「無  用」         多田  幹江
肩書き不要検尿の紙コップ   静 岡
深追いしない国産と書いてある
詮索ヤボよ回転寿しのイクラです
宿酔の言い訳なんか聞いてない


  「無風の旗」            池田  茂瑠
固めてた城で愛語が届かない          静 岡
強く翔ぶピアスの穴を開けてから
スリムへの願望を抱く老いてなお
無風でもあなたへなびく旗を持つ


「 瞳 」       中野 三根子
うるんでる君の瞳が話しかけ     静 岡
赤ちゃんの瞳の中に君がいる
君を待つ瞳に涙ためながら
輝いた瞳に心いやされる


  「見回せば」        川村  洋未
敵の敵さらに手強い敵と知る   静 岡
恋人もレンタルします期限付
立ちあがるどっこいしょとは言わないぞ
後ろから財布のヒモを握る嫁


「頑  固」         佐野 由利子
頑固って煮ても焼いても食べりゃせぬ 静 岡
お互いに我を張り通し無言劇
「悪かった」たった一言なぜ言えぬ
怒鳴っても果ては惚れてる方が詫び


  「こ こ ろ」           堀場  梨絵
たが為に涙は頬を濡らすのか          静 岡
空想の視野であなたの妻になる
こころまで売らぬ熟女の負けいくさ
日傘くるくる亡母と歩いたこの道だ


「  月 」             谷口  智美
初めての嘘は月夜のことでした         伊 豆
明る過ぎ月あかりの中月探す
兎くらい信じ続けていたかった
マロングラッセ今年はムーンルッキング


  「 男 V 」        長澤 アキラ
万策が尽きて独りの茶漬け飯   静 岡
小心な男ででかいホラを吹く
失恋に慣れた男の発泡酒
逃げ切れる距離に靴ぬぐ卑怯者


「コント繰り」        川路  泰山
一日を北斎になる五湖巡り   島 田
食客となってお忍の姫と会う
湯治より先ずは地酒の匂い嗅ぐ
隠れめく湖畔の宿でコント繰り


  「雑  詠」             高瀬  輝男
天気図は読めても明日の運読めず        焼 津
春夏秋冬豆腐に厄日なんかない
酒杯手にすれば議論も華やかに
善人に変われる技で波立てず


「木曽の亜紀」              山口   兄六   
語り合い切れずに別離する夜長         足 利
妻でない誰かに捧ぐ月の笛
舞い落ちる葉っぱに紛れたいパンツ
純愛のバイブルにある憎悪劇


「善 と 悪」                望月   弘
新聞を見ないと今日がわからない     静 岡
四捨五入よりも僅差でバカになる
原っぱの放尿ウツが消えている
善と悪コレステロールお前もか


 「Fコード」            加藤   鰹
萩の花ぽろぽろ涅槃へと続く      静 岡
越えられぬものに女とFコード
さそり座でAB型でホットです
牡蠣酢って哀しい味がしませんか


   顧  問  吟 
 「わだかまり」       柳沢 平四朗
口癖の言葉言葉を探らせる           静 岡
怒る時怒るあざとい真っ正直
水臭い水を向けてる蟠り
八十路なおたかがされどの風景画




[56] (2006/11/26(Sat) 07:26:41)



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