静岡川柳たかねバックナンバー
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「けったいな人々」         松橋  帆波
その上にクサヤまで焼くゴミ屋敷        東 京
マヨネーズ党のルールが解らない
やっていて空しくないかエアギター
神様と喧嘩している発明家



 「セ  ミ」            井口   薫
凄まじい告白ですね蝉時雨           袋 井
夏バテの私へ蝉の勝ち名乗り
蝉時雨に脳の回路を狂わされ
抜け殻の美学と蝉の末期とを



「夏 模 様」            毛利  由美
監督もノック空振る地区予選      つくば
コールドで負けて終わった夢ひとつ
UVカット塗り少年はサッカーへ
涼し気なサラリーマンの手に日傘


「自 由 句」            山本 トラ夫
遊んで儲かると迷惑なメール         長 泉
雨漏りの為の缶カラ持っている
野菜なんか食わなくたって勝手でしょ
ちょっとだけ猫も見ていたエロサイト


「娑  婆」            岡村  廣司
笑えない喜劇が娑婆に多過ぎる         焼 津
完璧を捨てれば娑婆も住み易い
娑婆だから想定外が次次と
なる様になればいいのさ娑婆だから


「雑  詠」            内山  敏子
上品に西瓜を食べるむつかしさ         浜 松
ふさがった手に有りがたい自動ドア
給料の運び屋でよし明るい灯
禁煙を説く先生も喫煙家


「自 由 吟」             酒井   可福
軒先に職に溢れた軍手干す          北九州
妻も子も神が与えた試練かも
年金の老後のプラン夢となる
民主民意自民民意蝉時雨


「空 の 旅」           真田  義子
月見草今もあなたを待っている        仙 台
風鈴の音色に引かれ途中下車
スイッチを入れ換えてみる旅の空
白い地図持って再び旅に出る


「若 返 る」            川口 のぶ子
観覧車若き二人の初デート          藤 枝
思い出が何よりくすり若返る
考えのとどかぬ先に見るあかり
画面より老いた私を削除する


「みぞおち」            戸田 美佐緒
人間の虚飾を舐めるキリギリス       さいたま
蜩のまだ鳩尾を離れない
縫い針の喜怒哀楽を売りに出す
約束の指ゆっくりと酸化する


「レクイエム」            濱山  哲也
岸壁で友に口笛レクイエム           つがる
ヒロシマとナガサキ想いかき氷
同窓会みんな違った歳で来る
盆過ぎてやっぱり過疎は過疎になる


「女  偏」           高橋  春江
錯覚の街でわたしは未だ乙女         袋 井
密やかにラップに包む愛もあり
厚化粧しても値札つけられず
高笑い今日もわすれた女偏


 「  穴  」            薗田  獏沓
落し穴避けて平地でよく転ぶ        川根本町
現場では高所恐怖の落し穴
大損をしても懲りない穴狙い
虫も穴出たよ連れ出す車椅子


「自 由 吟」           寺脇  龍狂
原発へウチワと火鉢に戻りたい     浜 松
ヘソ出しのスポーツプロもアマもない
選挙負けほんに口惜しい夏休み
ボチボチと治ってほしい雅子さま


  「雑  詠」            瀧    進
へそ曲がりだけど個性が捨て難い      島 田
鄙の宿地酒に訛り良く似合う
モナリザの流し目俺に向いている


「は ね る」            塚本  寄道
応援の親が一番よく跳ねる          長 泉
暴言が心の中を跳ね回る
嘘をつく跳ね返ること知りながら
彼女OKだってそっとひと跳ね


「跳 ね る」           新貝 里々子
よく跳ねる乳房でおとこ釣りあげる      袋 井
亀だって跳ねて見せますどっこいしょ
中華鍋揺すると跳ねる男の譜
O脚も弾んだ青春を持っている


「暇つぶし人生」          堀場  大鯉
豚児なら豚児でいいさ気楽だよ        焼 津
陰日向なく働くと損のよう
待つこころ失せて季節も早回り
暇つぶし人生だって顔洗う


「雑  吟」            江川 ふみ子
ひとり芝居最後の幕がむずかしい        函 南
七ころび八起青山まだ見えず
受け皿もなく老々が介護する
ひと言が過ぎて世論の火を浴びる


「お  金」            中田   尚
ご利息はあめ玉一つサヨウナラ        浜 松
年金を預けてプリン返される
税上がりパチンコ屋では羽根がつく
五円玉重いユキチは軽いのに


「残  る」            小林 ふく子
レモンの香かすかに恋が残ってる       袋 井
あなたへのスイッチ残りありますか
リサイクルわたしの場所を残しとく
自分史に乗換切符まだ残る


「敬老の日 九十三歳九ヶ月」    金田 政次郎
年寄りの日に年寄りになっている       静 岡
周平に溺れています蝉しぐれ
夫婦だけ落着く場所の話する
節操を曲げぬ語録が未だ書けぬ


「得 意 気」             鈴木 まつ子
得意技此れ見よがしと網の意地        島 田
売れっ子のところ得顔に水着燃え
ことさらに自慢たらしく武勇伝
鬼の首取ったようです手前味噌


「初めての川柳」           海野   満
白球に思いをよせてラヂオきく         静 岡
蝉時雨宇治金時を旨くする
発情期寝ている妻は倦怠期
帰り道麦わら帽に赤とんぼ


 「自 由 吟」            藪ア 千恵子
口先の情に縋っている愚か         焼 津
二番手で金魚の糞のようにいる
お人好しですねと笑う泣き黒子
大丈夫薄命などと言えぬ顔


 「永  遠」             鈴木 恵美子
車座で唄った青春の賛歌           静 岡
子守唄背のぬくもりは忘れない
惜しみない汗で土と生き続け
終章を飾る言葉を探さねば


 「新  盆」             成島  静枝
新盆の手引きお寺が敷くルール         千 葉
みそ萩の役目供物へ水をかけ
新盆の明かり沼津を向いている
実印を持って集まる孟蘭盆会


「昭  和」            安田  豊子
追憶は善くも悪くも昭和の絵         浜 松
返しても昭和の砂が散る時計
リニューアルしても醸しでる昭和
急激な渇きへ遠くなる昭和


  「  か 」           川口   亘
書いた仮名我流で読むに危ぶまれ        藤 枝
格式の高い敷居は縁うすい
確実か念押されてもすぐ忘れ
格好の餌食にされる浮気虫


「雑  詠」            馬渕 よし子
大の字になって制覇の気に浸る        浜 松
雑音の中で特ダネ拾う筆
なぞなぞの答えが今日も解けぬまま
動揺を押え余裕の化粧見せ


  「自 由 吟」            芹沢 穂々美
アサガオの横芽が伸びて反抗心         沼 津
おかめの面つけた相手に騙される
曲り瓜品質保証付いてます
骨だって悲鳴をあげた骨密度


「晩  夏」             辻    葉
自然体で朽ちたのですキリギリス        大 阪
ありがたいけど残暑の中の三部経
もうすぐ秋ね満月も笑ってる
山びこがまだ返って来ない晩夏


  「自 由 吟」              堀内 しのぶ
生き地獄死んで地獄を見る家族         焼 津
生きてます死んだふりする処世術
年金で生きよとお国そっけない
耳鳴りも生のあかしか昼寝覚


  「無  題」            鹿野  太郎
馴初めの秘密むすめの友が知る          仙 台
青空を何度も運ぶ介護の手
汗流すサクラの演技買ってみる
おねだりの子猫ぱちくりがぶり寄る


  「自 由 吟」            ふくだ 万年
入湯税払い露天の妻を見る           大 阪
有るんです聞く耳無いが飾る耳
賽銭を半分入れて手を合わす
娘の為に百歩譲って今やもめ


「動  く」              加茂  和枝
自分にもたくさんあった動く場所     岩 沼
前進へ時々止まる右左
汗流すそれが私の結果です
アジサイが笑ってくれるそれで良い


  「自 由 吟」             御田  俊坊
来客に笑顔で迎え旨いお茶         高 畠
来客に接待上手い話好き
幸せが薬となってよく笑う
全盲の歌の絶唱日本一


  「  夢  」            中矢  長仁
何時までも幸せなんて夢ですよ         愛 媛
ふさふさと育毛剤で生えてきた
皆笑う喜寿というのに恋をした
宝物僕の愛しい妻ですよ


  「ジャンケン」            大塚  徳子
ジャンケンで勝っても言えぬ本音ある      仙 台
ジャンケンで決めてる一つ皿洗い
ジャンケンで勝って雑巾掛けをする
ジャンケンで勝っても譲ることもある


「  汗  」              畔柳  晴康
夏空を恨めし睨み汗を拭く        浜 松
汗のシャツ脱ぎすて素肌扇風機
ひと仕事額の汗を手でぬぐう
笑み浮べ踊るパーティー友も汗


  「つ く す」              山本 野次馬
ナンパされおんなゆっくり髪を梳く    函 南
ある日から君に溺れた蝶になる
結局はあなた次第のおんなです
団塊へ尽す時代は終りです


  「雑  詠」             山田  ぎん
夕食の曾孫の笑顔見る楽し           静 岡
家の前花色々と咲いている
松の実がころりと落ちて老拾い
つばめの子みんな育って飛んでいる


  「自由吟プラス四句」         西垣  博司
絵に書いた餅だからこそ追いかける       静 岡
絵の餅が頭の中で皿に載る
絵の餅を書いて明日の糧とする
絵に書いた餅でも箸を用意する


「炎 の 橋」              山田 フサ子
美容院美しくなってどうしよう       袋 井
炎の橋を渡った頃がなつかしい
歩いた歩いた語り乍ら毎晩のコース
ふと思うも一度だけ逢いたい


  「癌 疑 惑」             中安 びん郎
癌疑惑医者に言われて寝も遣らず        静 岡
一週間後悔しづめ癌疑惑
わが寿命これで尽きるか癌疑惑
癌疑惑解けてすっ飛ぶ妻の元


「鮎三昧・・・其の十一」       永田 のぶ男
友竿を置いたままでの昼寝どき          静 岡
鼻カンの囮へ鴉急降下
その威力釣竿までも持ち上げる
天高くカラスにまでも馬鹿にされ


「マニフェスト」           増田  信一
マニフェスト前を後では格差あり         焼 津
マニフェスト透かして見れば赤い舌
マニフェストあぶり出したら○が×
マニフェスト直球と見せ後カーブ


 「初  盆」              林  二三子
心はき出し新しい風入れ換える         芝 川
千の風に乗せて不幸を吹き飛ばす
時間という良医に心癒される
初盆を孫・ひこたちが明るくし


  「雑  詠」             寺田  柳京
眼鏡屋が何で白衣を着るのかな         静 岡
感謝して返すきれいな免許証
痣があるから善人を守り抜く
蝉がうるさいから補聴器を外す


「  夏  」            滝田  玲子
キリギリス声も聞こえぬ夏休み        浜 松
蝉時雨読経に合わせ姦しい
麦わら帽トンボ追う子も現れぬ
もぎたてのトマトが旨い炎天下


「思いがけないこと」          増田  久子
世が世ならなんて自慢は無視しよう       焼 津
ご好意で借りた洋傘ひらかない
一生のローンで建ててこの程度
握手する気の手へガムが乗って来る


「バースデイ」            中野 三根子
母に今感謝している生まれた日         静 岡
還暦の祝いは母の形見分け
今年から届かぬ母のプレゼント
ローソクが多くてケーキ悩み出す


  「自  由」             川村  洋未
先着順いつでも僕の前で切れ          静 岡
雨チャンス君と二人で入る傘
隠れみのこの頃穴があいてきた
耐火金庫買ったら金がなくなった


「風  鈴」            佐野 由利子
軒下の風鈴チリンおやつです         静 岡
教育勅語まだスラスラとお爺ちゃん
のろのろとじれったいなあ蝸牛
居心地が良いのかカラス帰らない


「雑  詠」              堀井  草園
休養の出鼻挫かれきな臭い           静 岡
肩で風切るロードは蒸し暑い
病めるだけ病み満月に身を晒す
知らんぷり噂が見えたつむじ風


「雑  詠」            多田  幹江
自打球と思えば軽い胸の傷          静 岡
バタバタしない負け犬の空威張り
胃の腑にも欲しい国境警備隊
きのうを仕舞う私を仕舞う小抽出し


  「ほ つ れ」            池田  茂瑠
戻らないものが笑いの底にある        静 岡
捨てられた私のほつれ月へ縫う
羽根のない私が沈む風の隅
縫い合わす私の中身出ぬように


「盛  る」       石田  竹水
義理人情空揚げを盛るお持て成し    静 岡
狂いたい時も耐えてた腕時計
茨道越えた元気な土踏まず
でかい夢小間切れにして日々食べる


  「か  さ」            長澤 アキラ
自惚れを抱いて一人の旗をあげ       静 岡
のど仏ことさら隠すやぶれ傘
百均のかさで家族を守り抜く
あの人の日傘が前を横切った


「秋 茄 子」            真理  猫子
マンションは豊作 少子高齢化        岡 崎
秋茄子を食べてみたくて離婚する
悩みごとインテグラルで処理をする
ボケ茄子も高貴な色を身に纏い


  「  夏  」            谷口 さとみ
計画表だけは完璧夏休み           伊 豆
惜し気なく肌を出しても汗まみれ
枝豆を冷やし浴衣で彼を待つ
会議室悠然といる蚊取り豚


「夏の魔法」       山口  兄六
風鈴の魔法で眠る夏の午後       足 利
熱帯夜 歌い足りないネオン蝉
どちらから手に触れたのか夏祭り
夕立ちが一緒に泣いてくれた恋


  「自我の天」            川路  泰山
美しく生きよう芋の皮を剥く        島 田
足腰の金属疲労鰻食う
舌先が笑う天然うなぎだな
窓越しに深ぶかと見る自我の天


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
ご自由に評価わたしの素顔です        焼 津
とは言うが今も逆転機を狙う
勝つために規約にはない手も使う
その時へ蹴飛ばしてゆく予定表


「オノマトペ」               望月   弘
パッと咲く夏の夜空へ淡い恋        静 岡
ジリジリと残暑見舞のハガキ来る
音もなくポトリと落ちる目の鱗
ショボショボとヨロヨロ僕のオノマトペ


 「震 源 地」            加藤   鰹
片ピアスすったもんだを招き入れ     静 岡
投票率五割 行かない人五割
金出さぬ奴に限って口を出す
地震かと思えばブートキャンプかよ


   顧  問  吟 
 「多  情」             柳沢 平四朗
なべとふた神の悪戯を憎めない         静 岡
波紋には触れず多情の避雷針
回想が肥える対話のコレクション
花筏に積むシナリオが座礁する




[88] (2007/09/26(Tue) 08:22:12)



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