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 平成十九年度 たかね年間賞受賞作品 

   正 賞
団塊のこれから角の無い切符     柳沢平四朗

準 賞
  気が済んだように雨つぶ地に還る   小林ふく子
  しあわせな道だゆっくり歩きたい   鈴木恵美子
  考慮中なのに時計は止まらない    高瀬 輝男
  エンピツで書けばウソだと逃げられる 中田  尚
  素直っていいね風まで味方する    薮ア千恵子



 弘前川柳主幹         青森県   千島 鉄男 選
  特 選
 しあわせな道だゆっくり歩きたい    鈴木恵美子
  佳 作
 生きるとは難儀な事よつぶし餡     川路 泰山
 気が済んだように雨つぶ地に還る    小林ふく子
 素直っていいね風まで味方する     薮ア千恵子
 真四角に生きても背中丸くなる     長澤アキラ
 
▽川柳「たかね」の吐息に触れ、新たな感激を得た気持ちになりました。青森県と静岡県を結ぶ十七音字の宇宙を楽しませて戴きました。

千島 鉄男(ちしま てつお)
青森県弘前川柳社主幹
青森県川柳社副会長



 
川柳すずむし吟社主幹   秋田県   渡辺 松風 選
  特 選
 納得のゆかない傘の半開き       江川ふみ子
  佳 作
 素直っていいね風まで味方する     薮ア千恵子
 帰りたくない人もいる終電車      山本トラ夫
 考慮中なのに時計は止まらない     高瀬 輝男
 方言のシャワーをあびて生き返る    増田 信一
 
▽年鑑賞候補作品だけあって佳句が多く、選をするのに迷った。決められた数しか選べないのが済まない気がする。特選の「傘」は人の心の奥深さが感じられた。

渡辺 松風(わたなべ まつかぜ)
秋田県川柳懇話会会長
川柳すずむし吟社主幹





 川柳蒼の会主宰       神奈川県  山崎 蒼平 選
  特 選
 分け合えぬ貧富いくさの火は消えず   高瀬 輝男
  佳 作
 団塊のこれから角の無い切符      柳沢平四朗
 立っているからと何でも頼まれる    林 二三子
 字余りの人生だっていいじゃない    高橋 春江
 しあわせな道だゆっくり歩きたい    鈴木恵美子
 
▽たかねの全作品は素直で解かりやすく、それでいて人間の本音が吐かれていて良い。特選はその中で巨きく世界をも捉え、秀1から秀4までオリジナルな本音が吐かれていて良かった。

山崎 蒼平(やまざき そうへい)
川柳「蒼の会」主宰
山崎蒼平句集他著書多数
神奈川新聞選者他、柳歴五十八年



せんりゅうくらぶ翔代表   三重県  宮村 典子 選
  特 選
 団塊のこれから角の無い切符      柳沢平四朗
  佳 作
 春夏秋冬豆腐に厄日なんかない     高瀬 輝男
 立っているからと何でも頼まれる    林 二三子
 帰りたくない人もいる終電車      山本トラ夫
 字余りの人生だっていいじゃない    高橋 春江
 
▽特選句は、まさしく実感句です。昭和二十二年、所謂ベビーブーム生まれの私たち仲間は、その日から「競争」という切符を握り締めて走り続けて来ました。進学、就職、結婚という過酷な節目を越えて今年、還暦を迎えた仲間たちに、老いの切符は角のないものであって欲しいと句は私の願いに届きました。

宮村 典子(みやむら のりこ)
せんりゅうくらぶ翔代表
三重県川柳連盟理事長
全日本川柳協会常任幹事、句集「夢」



 川柳きぬうらクラブ会長  愛知県  浅利猪一郎 選
  特 選
 考慮中なのに時計は止まらない     高瀬 輝男
  佳 作
 今時の言葉を知らぬ広辞苑       毛利 由美
 上品に西瓜を食べるむつかしさ     内山 敏子
 ビニールの弱点だけが目立つ傘     加茂 和枝
 ♂と♀ただそれだけでいたい夜     山口 兄六
 
▽句の方向性というものは、指導者の指針によって定まるものだと思う。そういう意味では、たかねの目指す解りやすく基本に忠実な句を選びました。

浅利 猪一郎(あさり いいちろう)
川柳きぬうらクラブ会長
愛知県川柳作家協会委員
川柳作品集「蜃気楼」(非売品)


 
ぐるうぷ葦編集長      奈良県   板垣 孝志 選
  特 選
 ポケットに楽しい言葉入れてます    真田 義子
  佳 作
 重ね着をしよう唇寒いから       井口  薫
 団塊のこれから角の無い切符      柳沢平四朗
 エンピツで書けばウソだと逃げられる  中田  尚
 真四角に生きても背中丸くなる     長澤アキラ
 
▽朝、昼、晩そして食前食後と条件を変えて、何回もチェックを繰り返して最多チェック数で選びました。特選句の明るさが良いですね!

板垣 孝志(いたがき こうじ)
「ぐるうぷ葦」編集長
川柳マガジンクラブ奈良句会代表世話人
句集「はぐれ雲」「雲になる前」(非売品)



 川柳塔わかやま副主幹   和歌山県  川上 大輪 選
  特 選
 一球を待って三振してしまう      大塚 徳子
  佳 作
 エンピツで書けばウソだと逃げられる  中田  尚
 駆け引きを知らぬ金魚はよく太る    山本野次馬
 今だから言えるだなんて罪だねえ    川村 洋未
 思い出を転がして行く春の坂      真田 義子
 
▽きれいな言葉で飾っても、中身のない川柳は虚しい。作品が何を語り、何を訴えているのか分からない川柳もまた心に響いて来ない。たかねにはそんな川柳がないので嬉しい。しっかりとした目標を持って確実に歩んで行く会員の力強いパワーを感じました
 
川上 大輪(かわかみ だいりん)
和歌山県川柳協会副会長、川柳塔理事
川柳塔わかやま副主幹
句集「二重奏」「流れ星の詩」



川柳文学コロキュウム代表   大阪府  赤松ますみ 選
  特 選
 気が済んだように雨つぶ地に還る    小林ふく子
  佳 作
 商談に同じ訛りの人がいる       山口 兄六
 特急で現実逃避して帰る        真理 猫子
 白酒が効いて今夜の夫婦雛       川口のぶ子
 桜咲く方程式は明かせない       望月  弘
 
▽特選に頂戴した作品には、自然を見つめる作者の確かな目を感じました。自分の言葉で書かれた川柳には読者に強く訴える力があります。たくさんの佳句との出合いに感謝!

赤松 ますみ(あかまつ ますみ)
川柳文学コロキュウム代表
句集「白い曼珠沙華」「セレクション柳人1」
「Les Poissons‐双魚宮」


[101] (2008/01/26(Fri) 08:57:12)



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