静岡川柳たかねバックナンバー
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自 由 吟
  虎 竹 抄


「家庭円満」        中矢  長仁
ありがとうその一言で報われる     松 山
口喧嘩負けると知ってからやらぬ
何時までも生きていてねと妻が言う
孫の世話悲鳴上げつついそいそと


「自 由 吟」        山本 野次馬
向かい風妻の背中が頼もしい      函 南
折れやすい芯それなりの世を渡る
リーダーが居なくて空へ羽ばたけぬ
五輪旗下でニートが群れている


「平成20年 夏」     毛利  由美
これでいいのだとこの世を去った人   つくば
あの猿は渋谷を楽しんだろうか
ともかくも成功おめでとう北京
お互いに豪雨お見舞申し上げ


「まつりごと」       松橋  帆波
「あの人は今」立候補するそうな    東 京
全員が改革を言う立候補
風見鶏みたいな政治評論家
国の為ですか お上の為ですか


「野  暮」        岡村  廣司
野暮でした女性の歳を言い当てて    焼 津
媚なんて売れない野暮の俺だから
野暮用で情けないよと嬉しそう
いくさした時代の嘘は可成り野暮


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
わがままの機嫌とるのにくたびれる   焼 津
時々は仮面をつけてみたくなる
あれこれと趣味にノイズが入り込む
吊り橋が揺らす私の理想論


「  雨  」        石井   昇
薄情な人ねと雨にせめられる      蓮 田
純情な雨の襟足透き通る
男でしょ雨を泣かせちゃいけません
雨でいい希望の傘を開きます


「漢  方」        濱山  哲也
健康茶探し回るという病気       つがる
葛根湯やさしく嘘を吐いている
商売は漢方だよと育てられ
漢方薬死んだ頃には効くだろう


「退  化」        井口   薫
劣化した骨に伺いたてながら      袋 井
ハイテクの森触覚を退化させ
ポツリポツリの指へパソコンどっこいしょ
人のせいに出来ぬ独りの探し物


「自 由 吟」        竹内  さき
夏終えて私の海で腕を組む       浜 松
やっと得た紫の恋帯しめて
ぼんやりと一人散歩に月が呼ぶ
ひらひらと賑やかドラマ旅立ちて


「行  方」        鹿野  太郎
朝帰り出来ない湿布貼ってある     仙 台
墓参りだけで実家にもう寄らぬ
若者の夢がとっても味気ない
平成のペンキ上塗り武装論


「ドーピング」        成島  静枝
棚ぼたのメダルが届くドーピング     千 葉
陽性に角界口も重くなる
酒タバコ麻薬に似たり止められず
いつの間に筋肉質な妻の乱


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
投票にいかない町が格差いう      浜 松
糖尿へ飲ませず墓へ缶ビール
濁点を打ちたい程の炎暑です
年金がたまった頃に孫が嫁き


「年取ったなあ」        増田  久子
ビデオ撮りヘップバーンが今も好き     焼 津
降りることまでバス代をにぎりしめ
もうピンクレディが懐メロだなんて
面積は今も尺貫法がいい


「夕  立」        畔柳  晴康
親爺より恐い雷雨に手を合せ     浜 松
忠告の傘を持たずにざんぶらこ
夕立が赤い絆の縁むすび
猛暑日だひと雨欲しく水を撒く


「ゆ く 夏」        鈴木 千代見
暑かった夏締めくくるいわし雲     浜 松
夏の恋赤いもみじに浮気する
線香花火ゆかたにうちわありがとう
砂浜にぞうり片方置き忘れ


「自 由 吟」        提坂 まさえ
ミルで挽く苦いコーヒーいれたくて   静 岡
人間のつもりの猫と昼寝する
おばけとて今の日本にゃ出たくない
音楽会となりの寝息聴いている


「  豆  」        石上  俊枝
風香るコロコロコロと豆ご飯      静 岡
納豆の糸引き回す朝の膳
お手玉の豆も一緒によく遊ぶ
なつかしい煮豆の中に母の顔


「痛  み」        馬渕 よし子
地球儀を回せば飢餓の子等が見え    浜 松
負け組の中で生き抜く鍵探し
古傷へ触れた夫の無神経
恋唄へ胸の疼きが蘇る

「も・み・じ」       小林 ふく子
モザイクで見え隠れする自負がある   袋 井
門の内見たい見えない邪気がある
森を抜け見えてきましたジョークなど
門外不出満ちてこぼれる時を待つ


「夏 の 花」        芹沢 穂々美
ヒマワリに背な押されても老いていく  沼 津
サルスベリやっぱり猿は避けている
コスモスが乗っ取りかけてきたようだ
シソの花お役ごめんと旅に出る


「悲  哀」        新貝 里々子
さし歯一本ガムのごときに召し盗られ  袋 井
歯医者へと右足少しひきずって
冷やっこ これに決めよう夕ごはん
御身大事にもう噛れない草加せんべい


「蒙 古 斑」        大塚  徳子
壁新聞賞味期限の夜が来る       仙 台
天然でねばりが強い山のイモ
ふりむけばいつも味方の顔がある
還暦の大台なれど蒙古斑


「迷 い 道」        真田  義子
古日記今も聞こえる遠花火    仙 台
哀しみを癒してくれる歌がある
逆らわず流れにまかす我が人生
ここからはゆっくり進む迷い道


「  許  」        薗田  獏沓
懺悔して仏に許し乞うている  川根本町
宮総代神よ許して飲む話
贅沢に馴れて感謝を忘れてる
人許し人を信じて和む風


「手 料 理」        酒井  可福
手料理と云って出たのが冷奴     北九州
手料理にこんなものかと言った罰
手料理を食わせる前の耳に胼胝
手料理の本が山積み台所


「雑  詠」        内山  敏子
せっかちの後追いかける忘れ物 浜 松
夫婦げんか派手には出来ぬ三世代
無駄の無い百の子を生む茄子の花
押しちがいタイマー付きのメッコ飯


「人生危機感」       金田 政次郎
無位無冠潔いのか木偶なのか     静 岡
訓練が要る人生のペナルティー
人生のツボを忘れた案内人
赤裸々の転落だった負けパターン


「雑  詠」        飯塚 すみと
ほしいほしいシュートも運のその一つ 静 岡
現代っ子スローモーション苦手かな
プリーズの言葉二の足ふむ私
用心のけいたい傘が役立たず


「エコライフ」        鈴木 まつ子
趣味も兼ね自然にかえすコンポスト 島 田
美しい国が泣いてるエコ表示
温暖化地球に魔物棲んでいる
自分にも人にもやさし再利用


「点 と 線」        瀧    進
言い訳のサイン・コサイン・タンジェント 島 田
角が取れ個性結ばぬ対角線
エゴとエコ独り善がりの放物線
点と線結ぶ絆の夫婦愛


「自 由 吟」        鈴木 恵美子
人柄を思い浮かべる塩むすび     静 岡
さわやかな笑顔の裏の強い意志
父母の待つ過疎の空気はやわらかい
パック詰めにしたい空気が里にある


「時  間」        加茂  和枝
新しいことが見つかり忙しい    岩 沼
どんどんと時間が過ぎる白い地図
絵手紙が私をさそう小旅行
やっぱりね我家が一番旅の宿


「雑  詠」        滝田  玲子
おそ松くん昭和を笑うシェーが逝く  浜 松
逆風に背中をむけて追い返す
心にもないお世辞にものってみる
やんわりと刺が探りを入れてくる


「世  相」        安田  豊子
華やかな五輪の裏にテロの影      浜 松
対岸の火事じゃ済まない温暖化
後が無い歳と勝手に言うお上
断崖の渕を歩いているカルテ


「暑中御見舞」       川口   亘
暑さには負けないだけの気概持ち  藤 枝
越せるかな疑心暗鬼に勝ちたいな
出来ないはやらなかったに盡きたるか
懸命に生きて印を書いて置く


「燃 え る」        川口 のぶ子
甲子園球場内が燃えている       藤 枝
世界中オリンピックで燃えにもえ
この暑さ化けてもすぐに熱中症
化かされて年金迄が赤字負い


「長 生 き」        ふくだ 万年
長生きも芸のうちよと妻の酌      大 阪
長生きも芸のうちよと諭す妻
長生きも芸のうちよとストレッチ
長生きも芸のうちよと友と飲む


「自 由 吟」        中安 びん郎
杖持つが黄門ほどは偉くない    静 岡
清流に足首浸し夢心地
立ったり座ったりでやる瀬ない
演技する心危険な綱わたり


「おもいびと」       栃尾  奏子
ゆく夏を惜しめば揺れる大文字     大 阪
残り香よ源氏は三条邸あたり
揺れている妬心おんなである証
花となりお見えになる日待っている


「弁  当」        藤田  武人
窓開かぬ電車駅弁通り過ぎ       大 阪
ご当地の駅弁ずらりデパ地下に
故郷の駅弁恋しバス旅行
手弁当開けて至福は鼻腔から


「泡沫の月」        戸田 美佐緒
月光をコピーできない独裁者   さいたま
百態の女を詰めるダンボール
泡沫の月が今夜も死に急ぐ
風鈴のまだアリバイが吊ってある


「北京五輪」        尾崎  好子
凄いのが分かる陸上百二百       藤 枝
金二冠早引退の文字踊る
マラソンの金は日本で育まれ
ソフト金あの感動を忘れまい


「自 由 吟」        恩田 たかし
食えぬ米 国が売るから大被害     静 岡
旬魚塩焼きさんまめちゃうまい
夢見てた二週連続グランプリ
素晴らしき人たち出会う句会の輪


「  秋  」        林  二三子
久しぶりと言われても名がすぐ出ない  芝 川
母の愚痴しみじみわかる年になる
雲のない空とてつ無く高く見え
秋晴れに浮かれ弁当作りする


「それから」        今井 卓まる
まず呑もうそれから長いソーセージ   浜 松
刺すときは刺してみせます仲間でも
夏の夜シャワーの音はひとりずつ
明日もね目を見て話出来ません


「自 由 吟」        小野  修市
大相撲清めの塩に疑惑あり       静 岡
ダイエットウエストメタボ夏に負け
海水浴水着着ているトドも居る
ひとごとのように船頭舟を降り

「菊  月」        増田  信一
菊月に孫に引かれて墓参り       焼 津
菊人形花より団子変えようか
白い菊やめて仏壇赤ピンク
菊娘月日流れて枯れすすき


「自 由 吟」        真理  猫子
笑えないニュースのギャラはきびだんご 岡 崎
首相交代パンツのゴムを付け替える
にんげんの百年ほどのせいくらべ
来世で払う予定のツケがある


「いかんいかん」      谷口 さとみ
ビールからなかなか移りきれぬ秋    伊 豆
いかんいかん秋刀魚百円越えちゃいかん
見つめてる場所で必ず蹴つまずく
予言などされても風呂と酒と飯


「恋 の 夢」        柴田  亀重
我が恋の幼き頃の夢を追い       沼 津
夢を追う夢遊病者の胸の中
夢は夢追って目覚めてあこがれる
幼なき頃の恋の夢追う宝船

「食 べ る」        中田   尚
リポーター食べる前から味を言い    浜 松
早食いをテレビが美化にしてしまう
メタボ腹秋の味覚にくすぐられ
好き嫌い言っても物が何かある


「雑  詠」        川村  洋未
ケータイが黙ったままで日が暮れる   静 岡
写真なら美人に見える自信有り
どこ行くの予定ない日もたずねられ
中ほどにつめてと言われ前に出た


「口  紅」        中野 三根子
少しずつ母に近づく紅の色       静 岡
コーヒーのカップに残る紅の跡
鏡台に残った母の紅を引く
秋だからワインレッドに変えてみる


「安  芸」        山口  兄六
栗の絵の箱で色付く菓子売り場     足 利
コンビニの新作菓子で秋を知る
秋味のビール夜長のお友達
夕焼けの彩もやっぱり秋が旬


「つれづれに」       堀場  梨絵
大変だ足引きずって朝のわれ     静 岡
盆がくる亡夫が逢いに来てくれぬ
さてやるか今日は夢中に詩の恋
淳一の冬の花火にのめり込む


「鮎友釣り三昧・・・其の二十四」永田 のぶ男
誘われて誘って入る縄のれん        静 岡
大釣りの話題はいつも尽きぬもの
居酒屋で囮を借りた礼を言い
かぶりつき塩の化粧で鮎が生き


「お ば け」        長澤 アキラ
鏡台の前に座っているオバケ      静 岡
魂の隅で出番を待つオバケ
参加者はオバケに限る闇サイト
八月の平和み霊を語らない

 
「  泡  」        多田  幹江
わたくしの前横切ったのはバブル  静 岡
折れ線グラフの谷底が泡を吹く
屯して蟹が泡吹く潮だまり
あぶく銭せびるハシブトカラスの子


「泣 か す」        石田  竹水
足踏みの無駄が素敵な夢を見る    静 岡
泣く真似の得意を知っていて泣かす
座りたくなる目の前の高い椅子
仏間での手品は種が見え過ぎる


「泥  水」        池田  茂瑠
溝一つ埋めねば返事貰えない      静 岡
傷口に寄せるあなたの青い波
復縁を決める泥水飲み過ぎて
甘い知と従う風の後ろから


「  無  」        川路  泰山
欲捨てて白紙一枚膝に置く       島 田
余命表まだシナリオは白の儘
晩学のブックバンドを愛おしむ
捨て石の儘の姿で風を聴く

 
「定 年 後」        佐野 由利子
新聞を隅々までも定年後     静 岡
山々を多色刷りする秋が来る
突然の風がふたりを引き離す
耳朶にそーっと触れただけの恋


「自 由 吟」        高瀬   輝男
どの坂で私の主義を盗まれた     焼 津
気にすると監視カメラに追われてる
わが子にも意外な美点知る噂
梨の芯リンゴの芯は意地っ張り


「昨  今」        望月   弘
切れ味を諸刃の剣は黙秘する      静 岡
オフサイドまでライバルが攻めあがる
かっこいい戦をテレビ見せたがり
年金がころころ変わるプレーオフ


「自 由 吟」        加藤   鰹
ありがたいことだねどこも痛くない   静 岡
かといって民主党では役不足
マルキューもパルコも親父には無縁
お御輿の上で張り子のトラが吠え


「空  気」        柳沢 平四朗
天の川お伽噺の目で見たい    静 岡
少年の日が待ち伏せている海の家
即答を避けて空気に無視される
曲り角やはり男を少し捨て


[131] (2008/10/25(Fri) 12:48:32)



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