平成二十年 九月二十日 遠 足 句 会 於 伊豆ワイナリーヒルズ
席 題 「てっぺん」 谷口さとみ 選 チビの子が自慢げに乗る組体操 二三子 わだかまりひとつ富士山頂に捨て 鰹 天辺で椅子を投げ出す自民党 弘 芋虫も必死テッペン目指してる 輝 男 てっぺんが見えない位置で心地よい 五 貫 墓石の上でカラスが騒いでる 二三子 天辺はどこだ地球はまぁるいぞ 猫 子 天辺を手探りをして夜が明ける のぶ男 秀 作 山頂で一瞬秋の風になる 恭 子 てっぺんでワイン飲んだら眠りたい しげる ワイナリー天辺の鐘幸を呼ぶ 可 福 修善寺のてっぺんにあるワイナリー 弘 軸 吟 旗あればお子様ランチになるごはん さとみ
宿 題 「い、で始まる句」 真理 猫子 選 遺言にはなんにも無いと書いておく 信 一 遺産分け終えて仏間の灯がゆれる アキラ 生き返る湯舟に今日が浮いている 政次郎 生き甲斐は妻子の笑みとコップ酒 修 市 今だから言える話は腐ってる 竹 水 一円の攻防セール梯子する 静 枝 色めがね掛けて世間が見えますか 敏 子 イクラ海胆食べず嫌いを引き受ける 好 子 いいかしら長寿めざしていいかしら 薫 いつかまたそんなこんなで歳になり 亘 言い過ぎた言葉消しゴム探してる 千代見 言い敗けて折れた女房がいじらしい のぶ男 言いきかす言葉に毒もちょっと混ぜ ふく子 言い訳を聞いてくれてるワンカップ 哲 也 言い訳はよそうあしたも陽はのぼる 徳 子 苛立ちを食べてメタボへ邁進中 居久美 以心伝心分かりたくない時もある 由 美 一瞬の風が扇動する選挙 豊 子 いい歳でちっちゃな色気横に置く 安 心 因習の殻脱ぎ捨てて朱を求め 茂 瑠 命がけあなたを守るなんてうそ 千代見 いち抜けたいちで止まらずアデランスさとみ いつもので通じる店でひと休み まさ子 忙しいかわりに御飯食べといて 洋 未 イルカ保護叫ぶステーキ食べながら 鰹 生きるため川柳も好き遊び好き 三根子 色々な過去が出揃う同期会 まさ子 今の世は介護と遺産当てにせず 俊 枝 一言の重み奥歯に引っかかり まつ子 一度目のミスは大目に見てあげる 由 美 一番を目指しこわれていく子供 泰 史 胃袋に未消化のまま今日のウツ 輝 男 以下同文ちょっと空しい授賞式 さとみ 犬と猫だけが黙ってついて来る 信 一 衣食住すべて揃ってまだ不満 穂々美 五 客 井戸の中嵐は知らぬまま逝ける 飛遊夢 居留守だとバレてるらしい長いベル 哲 也 一瞬の脇見で払う養育費 鰹 いい人といわれる腹の八分目 弘 いろいろとあって壁紙張りかえる まさえ 人 位 胃カメラが僕の失恋さがしあて 洋 未 地 位 生きているから今日泣いて明日笑う 太 郎 天 位 いきさつは不明 なれそめは強引 団 石
宿 題 「豆」表現自由 佐野由利子 選 豆鉄砲撃たれじいちゃん鳩のまね 可 福 豆腐屋のらっぱが時速五十キロ さとみ のどごしのヤッコ豆腐がベリーグー きく子 引き合って納豆みたいくされ縁 政次郎 煮え切れぬ豆と女の泥試合 茂 瑠 年の数だけの豆などもう食えぬ 廣 司 気に入ったその手拭の豆しぼり 晴 康 ごま豆腐まだまだ未熟修業僧 進 平和主義豆鉄砲の独り言 アキラ 黒豆を煮るもう少しもう少し 団 石 豆を煮るふつふつふつと嘘ならべ まさえ 納豆を飲むように食う健康児 好 子 豆狸人をだまして腹づつみ 長 仁 孫の打つ豆鉄砲に両手あげ 敏 子 更年期イソフラボンに助けられ 居久美 納豆の粘りがパワー出してくれ 和 枝 鳩が豆食ったようです辞任劇 まつ子 小豆好き甘い物好き酒も好き 三根子 未練かな豆粒ほどの夢を追う 輝 男 納豆と人は練るほど味が出る 泰 史 納豆に未練を混ぜて朝ごはん 猫 子 男ゆえ豆々しさを嫌がられ まさ子 枝豆は五分以内にきてほしい さとみ 豆乳は見直されてか美女が増え のぶ男 柔過ぎて箒持つ手に豆ができ 宇 宙 豆絞りハッピ姿についころり 信 一 豆知識ぎっしり持って頭痛持ち 尚 電池切れしたのか豆な子が昼寝 二三子 あくまでも天を目指すぞ豆のつる 輝 男 味噌樽に寝かせた豆の笑い声 俊 枝 空豆が無駄花ばかり怠けもの しげる 豆乳をごくりと飲んで生き返る 徳 子 五 客 炒ったって煮たって食えぬ豆もある 信 一 純情な私をだます豆狸 竹 水 本名と指輪外して伊豆の宿 飛遊夢 年金に見合う萌やしを今日も買う のぶ男 少子化にインゲン豆は子沢山 竹 水 人 位 情けない豆鉄砲で援護され 卓まる 地 位 お見合いに箸から滑る憎き豆 可 福 天 位 手の豆がはじけてできたさかあがり 洋 未
宿 題 「ワイン」 池田 茂瑠 選 告白を受けるワインのいい香り 輝 男 ワインなど要らぬ地下足袋酎の味 重 雄 ワインでも踊ってみせる安来節 廣 司 ワイン派と焼酎党と二分され 獏 沓 情熱に燃えて火となる赤ワイン 竹 水 注ぐ前に話が長いワイン通 五 貫 しとやかな顔してきつい白ワイン 竹 水 鮮やかに私を染める赤ワイン 由 美 赤ワイン女心の隠し味 千代見 ビンテージ知ったかぶりがいるデイナー 静 枝 慣れぬ手にワイングラスのぎこちなさ 豊 子 ソムリエを気取ればワイン横を向き のぶ子 口づけてワインの記憶君がいる さ き 赤ワイン昨日の恋がとけはじめ 玲 子 齢の差が何よワインで恋賛歌 輝 男 お揃いのワイングラスの眠る棚 進 ワインより俺には似合うコップ酒 野次馬 美しい涙に妥協したワイン しげる あなたとのロマンにワイン傾ける 和 枝 ともだちでいようだなんてロゼワイン 鰹 あなたへの思いに染まる赤ワイン 五 貫 妻たちのランチタイムはワイン付き 宇 宙 ビール家外面ワイン愚痴は酒 信 一 赤ワイン秘密の恋を喋り出す 由利子 佳 作 外は雨てるてる坊主と酌むワイン 政次郎 赤ワイン今日は勝負に出るつもり 恭 子 悪酔いもいいかも君の注ぐワイン 団 石 ワイン好き体もグラス型になり 猫 子 唇にワインが溶けて薔薇になる 博 司 秀 句 赤ワイン底に媚薬が溶けている ふく子 記念日は栓に愛してると刻む 宇 宙 くちびるを盗られる予感赤ワイン 弘
宿 題 「自 由 吟」 互 選 L遅刻した罰か上座が空いている 美佐緒 F人が人許して風を和ませる 獏 沓 E満月に一線越えてしまいそう のぶ男 Dロボットも介護資格を持つ時代 宇 宙 D虫のいい話だ犬もそっぽ向く 輝 男 D目一杯無理をするから綻びる 政次郎 C丸じゃない四角でもない俺楕円 信 一 C正直をとるか生きやすさをとるか 恭 子 B幸せのリズムで体頑張れる 和 枝 B肩書きは要らない安い酒でいい 鰹 B天国も地獄も知っているお酒 安 心 B酸性雨老いの暮らしに降りやまず 博 司 B中古品僕も売られた店じまい 洋 未 B掃除機に吸い込まれてく白昼夢 猫 子 B腹八分残りの二分に情け注す 卓まる Aオブラート包みきれない粉薬 玲 子 A度忘れと逃れる度に身が縮む 豊 子 A喫煙所みたいになった相撲部屋 由 美 A国民の為と白々しい台詞 薫 A息抜きの旅へ財布が音をあげる よし子 A手に豆を作る努力が咲かす花 泰 史 Aブドウ狩り入園料は食べてくる 静 枝 A無くなって良いこともある悩み事 長 仁 Aいつの日か大きな海に着くだろう 義 子 Aお別れに胸一杯が顔になる 五 貫 A古傷を隠しているか蔦が延う ふく子 @旅行社のチラシはすでに秋盛り 二三子 @平和ぼけ大食漢を持て囃す 廣 司 @ライバルへわずかな望みつなぐ星 まつ子 @方言を浴びて元気を取り戻す 弘 @名月を送り夜毎の虫すだく 亀 重 @歳などは時と場合で換えている 可 福 @何かしよう何かしたいと日が暮れる 由利子 @マニフェスト秋晴れの日は休日だ 哲 也 @時として他人なる背の海がある さ き @句誌ひろげ思わず笑うこの一句 晴 康 @若かった罪にスクリュードライバー 太 郎 @あなた生きていますかという心電図 穂々美 @楽しみがまだ残ってるから生きる 竹 水 @矢面に立たされ踊らされる影 野次馬 @ちょっとだけストレスも入れ旅支度 まさえ
参加者(順不同)曽根田しげる、森田安心 池田茂瑠、水品団石、川島五貫、酒井可福 真理猫子、林二三子、勝又恭子、川村洋未 長澤アキラ、望月弘、増田信一、高瀬輝男 加藤鰹、荻田飛遊夢、大塚徳子、岡村廣司 永田のぶ男、佐野由利子、中田尚、井口薫 提坂まさえ、中野三根子、瀧進、畔柳晴康 真田義子、薗田獏沓、中矢長仁、石田竹水 成島静枝、内山敏子、小野修市、尾崎好子 毛利由美、鹿野太郎、西垣博司、安田豊子 進藤宇宙、川口亘、金田政次郎、加茂和枝 濱山哲也、竹内さき、滝田玲子、伊藤泰史 石上俊枝、市川重雄、小林ふく子、那須野 正明、鈴木まつ子、山本野次馬、中川司、 鈴木千代見、山本野次馬、馬渕よし子、萩 原まさ子、芹沢穂々美、戸田美佐緒、川口 のぶ子、今井卓まる、森下居久美、中田き く子、柳沢平四朗
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[134] (2008/11/25(Mon) 15:04:25) |
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