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自 由 吟
  虎 竹 抄


「地デジ反対」       濱山  哲也
泣くほどに徳光ギャラがアップする   つがる
モナモナとするな仕事をホされるぞ
若いまま健作歳をとっている
細木数子ちょっと小枝が多過ぎる


「自 由 吟」        今道  偲映
初夢が未だに覚めぬ寝正月        大 阪
逆風の時代をつなぐ凧の糸
ひび割れた餅でも丸く膨らんだ
カタカナが似合うハケンもケータイ


「雑  詠」        石井   昇
陰干しのままでいいのと母の愛     蓮 田
夢追ったああ蛍雪のリンゴ箱
可能性求めて海に出た金魚
欲得と離れた独楽でよく廻る


「自 由 吟」        内山  敏子
肩書きの取れた名刺がかぜを引く    浜 松
割り込んだ椅子に冷たい目が刺さる
平和ですこんな素敵な初日の出
献立のタネは立ち読みから仕入れ


「不 思 議」        岡村  廣司
飲み屋にも駐車するとこ有るなんて   焼 津
外国の基地が日本に有る不思議
持ち主が無いのに鯨なぜ捕れぬ
神の名の基にいくさをする不思議


「なあ酒よ」        松橋  帆波
マルクスはまだ生きているハイボール  東 京
その先を言ったか下戸に問い質す
千鳥足二人アカペラしてござる
過去形が多すぎないか なあ酒よ


「雑  詠」        西垣  博司
血液がさらさらすぎてコクがない    静 岡
核家族核分裂の離婚沙汰
歳月の鉋が削る曲線美
唇に火種のようなルージュひく


「雑  詠」        山本 野次馬
リセットなどない人生をまっしぐら   函 南
指輪置く勇気が持てず米を研ぐ
ぎくしゃくな空気吸ってる金魚鉢
ニニロッソ聞けば夕日が鳴り止まぬ


「セレナーデ」       真田  義子
も一人の私をうつす水たまり       仙 台
せせらぎの音が奏でるセレナーデ
旅に出て少し大きなあくびする
幸せを夢見て赤いバラを買う


「自 由 吟」        ふくだ 万年
天国の妻の目掠め旅ひとり       大 阪
恋せよと喜寿の男に賀状書く
富士の山我が家の庭に胡坐かく
見え見えがこぼれ落ちてる酒場の娘


「新  春」        毛利  由美
初詣 筑波山から富士拝む        つくば
結局は夫婦で片付けるお節
切るに切れない賀状だけのご縁
寒中見舞い喪中の友を温める


「元  気」        小林 ふく子
庭の隅 冬の命が燃えている       袋 井
北風と遊ぶ洗濯物の端
恋の冬カイロで元気つけてます
転んでもタダでは起きぬ姫だるま


「  傘  」        芹沢 穂々美
気が合うね相合い傘の下心       沼 津
傘の骨武骨だけれど意地っ張り
蛇の目傘悩んだ恋の言い逃れ
ジャンプ傘抱かれていたい人が去る


「  星  」        安田  豊子
満点の星を数えて遠い日よ       浜 松
行く末を問えばまたたく冬銀河
煩悩を捨てると透けてくる微罪
私は山羊座じっくり放つ終の里


「冷 た い」        鈴木 千代見
バラのトゲ美人が薄ら笑いする     浜 松
冷たい言葉一人前になれという
冬の月 心が凍りつきそうだ
霜柱大地をそっと持ち上げる


「  顔  」        薗田  獏沓
片腕と言われ二番手顔を出す      川根本町
温か味無いね整い過ぎた顔
丸い鼻如何にもお人好に見え
時々は自分を癒す無駄遣い


「枯れすすき」       金田 政次郎
チクタック未だ正確な針で生き     静 岡
整頓が滞り無い寒い部屋
ラムネ玉すぽっと遠い音で鳴り
泣けて来る俺は河原の枯れすすき


「カレンダー」       大塚  徳子
カレンダー丸めて覗く未来像      仙 台
オレオレのカモが巣鴨に寄ってくる
カマキリの鎌に掛からぬ黙秘権
日捲りに春の出会いを予約する


「自 由 吟」        竹内  さき
シナリオにない冬の靴脱ぎ捨てて    浜 松
恋をして昭和に染みた影二つ
何もかも朱色の傘に納まって
出遅れて私の海で賽をふる


「パンの耳」        栃尾  奏子
再生を誓ってパンの耳を噛む      大 阪
母さんが命吹き込むパンの耳
お蔭様ですパン耳は残さない
パン耳を君とかじった頃の幸


「家  族」        鹿野  太郎
人の世の綾なす道でいい出会い     仙 台
ハンディーの足跡がある滑走路
何時までも三原色のサユリスト
階段の足跡父に打ち明ける


「自 由 吟」        藤田  武人
爺ちゃんが隠した肉を釣り上げる    大 阪
今の僕寝正月にした結果です
三が日A定食の御節のみ
正月も鍋の相手は発泡酒


「近  況」        川口   亘
氣ばかりが勝って体を置き忘れ     藤 枝
見た目だけ追えばすぐにも日を忘れ
記念日と決めた今日の日何の日か
知らないで居るのが楽と決めたい日


「初  夢」        中矢  長仁
七並べ僕が切り札持っている      松 山
富士山が見たいが募り夢に見た
半世紀紡いで来たな赤い糸
頂上はまだまだ先の雲の上


「雑  詠」        滝田  玲子
絵手紙で届いた甘い柿の色       浜 松
人並みの暮らしも暗い超不況
夢破れ帰る田舎は過疎の村
傷心を優しく癒やす露天風呂


「自 尊 心」        瀧    進
自惚れてプライドばかりよく育ち    島 田
自我我執こねくり返す自尊心
あなた好きだけど私の方が好き
プライドの未練たらたら千日手


「雑  詠」        馬渕 よし子
寒風が今夜は鍋と決めてくれ      浜 松
この歳になってもやはり鯖を読み
割り込んだお尻をぐっと押し返し
マニュアルに逆らい個性磨いてる


「好きなアニマル」     増田  久子
漁師なら高値をつける三毛のオス    焼 津
下手すぎる絵でも兔とわかる耳
留守がちの隣の犬を手懐ける
アサヒよりサッポロよりもいいキリン


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事    島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
湯島宮最初で最後の除幕式   浜 松
賀状から軍歌の友が消えちゃった
忘れない程度に拉致が持ち出され
取っといた菓子が一番まずかった


「自 由 吟」        中安 びん郎
リハビリで伸びた嬉しい試歩の距離   静 岡
リハビリに行くにはいつも杖を持ち
リハビリにとても良くない酒タバコ
リハビリに何時か大勢仲間出来

「  波  」        加茂  和枝
白波が私の元気誘い出す    岩 沼
一秒を大事に生きる波頭
茫洋と大波小波許される
穏やかな波間にしたい事がある


「新  春」        酒井  可福
門松の番兵立てる家が夢   北九州
三が日布団が僕を離さない
新春に海老省略の雑煮食う
正月を迎えて暗いニュース聞く


「アナログ」        井口   薫
アナログと鏡の隅に出ています   袋 井
デジタルへ変換のギア入らない
流れとはいえどアナログ鬱鬱と
鮮明が過ぎれば肩の凝ることも


「自 由 吟」        成島  静枝
泣き言を言えず優勝する箱根  千 葉
前向きに疲れときどき後ろ向く
風袋の所為さ体重増えている
雍容に女正月事始


「雑  詠」        飯塚 すみと
曖昧な気持でいる時鍋こがす  静 岡
アイロンもかけず気らくに行く内科
姪の家みかん頼みに山に入る
お情けで寄ってる店がアブナイゾ


「ダンスパーティー」    畔柳  晴康
パーティーだ派手と言われた服を着る  浜 松
組んだ腕スロークロック曲に乗る
タンゴ曲歳に似合わぬ元気出る
疲れても笑いたやさぬルンバ曲


「雑  詠」        川口 のぶ子
のら猫が留守の我が家の番をする 藤 枝
名を借りて猫の云うのもひと理屈
背に腹は変えられないという蛙
菜園のレタスにバッタ穴をあけ


「お 正 月」        鈴木 恵美子
丑年ヘスローライフのプラン練る    静 岡
百態の丑のっしのっしと押し寄せる
半纏に若さが跳ねている初荷
停年のない主婦の座の事始め


「箱根駅伝」        尾崎  好子
感動は胸腸にしみわたる      藤 枝
名門を背中にしょったど根性
留学生脚の長さへ牛蒡抜き
正月の二日三日と血も熱か


「自 由 吟」        山口  兄六
初恋が忘れられずに模倣品      足 利
肩組めば震えるみんな人なんだ
面接で内定僕は演技賞
似顔絵の君はやっぱり僕好み


「正月雑詠」        多田  幹江
風鎮のことりともせず年明ける  静 岡
重箱の隅まで主張するお節
年玉へ埋蔵金が狙われる
マヌカンを脱がせて買った初春の服


「過 保 護」        池田  茂瑠
指切りの構図自制の枠を出る  静 岡
過保護の過一つ花嫁吊してる
寛ぐと被った過去の泥匂う
手紙焼く煙に咽た胸の鬼


「久しぶり」        新貝 里々子
久しぶり一歩二歩引くほめ言葉  袋 井
久しぶり整体師にはあごにひげ
久しぶり老いたと思うお互いに
久しぶり牛ステーキを持て余し


「元  気」        石田  竹水
無添加の僕に誘いの調味料   静 岡
捨て石に成ろうと努力する余生
七人の敵が味方になるオセロ
も一人の僕と元気で生きて居る


「おしゃべり」       中野 三根子
自販機もカーナビさえもよく喋る 静 岡
お隣と噂ばなしに花が咲く
ケータイを忘れて今日は一人居る
兄弟の思い出話盛り上がり


「自 由 吟」        林  二三子
年一度賀状で友の安否問う      芝 川
良い事が有るようデカイ熊手買う
千両が日陰で凛と自己主張
ろう梅がひと足早い春を告げ

「自 由 吟」        藪崎 千恵子
丑年もあっという間の三ケ日  焼 津
ゆったりと大地踏みしめずっこける
だいそれた自己研鑽の旗を上げ
丁寧が好きでみんなに笑われる


「パクパク」        今井 卓まる
君の過去パクパク食べて忘れよう   浜 松
キリがない金魚パクパク求む愛
久しぶりパクパク食べた君の声
パクパクと恋を諭している金魚


「自 由 吟」        真 理 猫 子
牛年というのに時計遅れない     岡 崎
給料が社外研修中らしい
金がないけれど平穏無事な牛
にんげんもゴミも一緒に洗う海


「雑  詠」        谷口 さとみ
大みそか全部煮込んで鍋料理    伊 豆
オムレツがスクランブルで立ち往生
アリバイを九割作り会いに行く
ホイホイと洗い終えると雨が降る

「料理教室」        長澤 アキラ
食べ頃になるまで男天日干し      静 岡
もち網の上で男をきつね色
メタボ腹はらから炙り絞り取る
ぐつぐつとガラ迄煮込み出汁を取る


「鮎友釣り三昧・・・其の二十八」永田 のぶ男
水温み港にみえる淡い群れ       静 岡
逆らわず大波小波敵をよけ
白子網稚鮎引いたらバケて出る
宿命の一年魚の悲喜の旅


「  食  」        川村  洋未
ただのケチ手料理が良いと言う君   静 岡
コラーゲンたっぷりとってあでやかに
好ききらい無いというのにやせっぽち
かすみでも食えと言うのか永田町


「酢味噌和え」       佐野 由利子
フィーリングぴったり合った酢味噌和え 静 岡
五線譜に踊る真っ赤なサクランボ
あの方と心合うまでチューニング
不器用で溶けそこなった角砂糖


「妻と年の暮れ」      小野  修市
大掃除やせるチャンスと妻は言う   静 岡
肩揉ませ腰を揉ませて妻はねる
食べるだけ食べて飲んでるやせ薬
ありがたい愚痴をこぼせる妻がいて


「虎 落 笛」        川路  泰山
寒空へ問答無用派遣切り    島 田
権力の猛威で蟻を踏み潰す
ぬくぬくと冬越しをする政財官
虎落笛地球全土に吹き荒れる


「幸  せ」        増田  信一
幸せの位置が上がって出る不満 焼 津
年重ね幸せの色変えてみる
温暖化幸せ温度下げてみる
平凡が幸せなのと今わかる


「自 由 吟」        中田   尚
昭和史を生きた話に花がさき    浜 松
銃口に平和がやせていくばかり
背中にも眼のある母をだませない
ああこわいタクシー電車遊歩道


「自 由 吟」        高瀬   輝男
とは言うが本音は朱い花望む    焼 津
人間の弱さを知っている風だ
飢える国富める国あり民主主義
忠告も聞く耳持たぬかたつむり


「正月の風」        望月   弘
ふるさとの風の便りと酌んでいる    静 岡
孫の風嫁のDNAもある
ささやかにハローワークの風で生き
牛の背で議論をされる不況風


「リーマン」        加藤   鰹
プロセスはいいから結果出しなさい 静 岡
笑いたくないのに今は笑わねば
酒追加アサリが砂を吐きそうだ
肩書きが消えたらハエも蚊もシカト


「  変  」        柳沢 平四朗
帳尻はとうに相殺古だたみ     静 岡
パソコンもバベルの塔の案内図
仙人になれぬ「変」の字どう繋ぐ
老老介護浪花節だと言わせない
[144] (2009/02/26(Wed) 12:12:18)



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