静岡川柳たかねバックナンバー
トップページへ







自 由 吟
  虎 竹 抄


「自 由 吟」      真田  義子
プライドを捨てたら楽になる背中     仙 台
何もかも洗い流して生きる幸
人生をすべてプラスに生きる幸
追伸が余り長くて書き直す


「雑  詠」      竹内  さき
連休よドライブの恋そのまんま      浜 松
群碧の中でして居る背伸びかな
も一人の私になれる海がある
遠景の夢裏切らぬ初夏の中


「  俺  」      金田 政次郎
夢うつつ二つの道に俺が居る       静 岡
生き抜いた道だ平和にしておこう
正直な影だしっぽを巻いている
押し出され戻れぬ俺は廃棄物


「  嘘  」      瀧    進
Eメール偽り多きラブゲーム       島 田
白百合の君についつい騙される
多過ぎる嘘に方便パンクする
へそくりの金が可愛い嘘をつき


「野いちご」      戸田 美佐緒
野苺のときめき甘く熟れてくる      さいたま
ノーメイクでも素敵です僕の恋
煙をあげて雑魚が焼けますウフフ
捨てられぬ霞だんだん重くなる


「雑  詠」      寺田  柳京
馬走る風に舞い立つ花吹雪        静 岡
金持ちが嫌いで金で苦労する
慾張れと猿に天与の頬袋
吊橋の真ん中で聞く金を貸せ


「自 由 吟」      大塚  徳子
春うららあなたに会える遠回り      仙 台
形見分け父の心を貰い受け
身をけずる思いで花を分けてやる
ドイツ語に臆病になる診察日


「よくばり桂林の旅」  新貝 里々子
オートバイ逞しいのはおんなたち     袋 井
少数民族はかなげなのは最初だけ
中国の赤赤赤をもて余す
激安のツアーで度胸試される


「凧 祭 り」      畔柳  晴康
凧祭り爺やも孫も熱をあげ        浜 松
凧絡む歳を忘れて糸を引く
凧終えて御殿屋台の笛を吹く
凧は舞い鯉も泳ぐよ五月風


「時刻表1000号」  毛利  由美
青春をともに旅した時刻表        つくば
気ままには旅の出来ない女の子
空想の旅も発着は大阪でした
ケータイに最寄りの駅の時刻表


「マイアミにて」    薮ア 千恵子
二度とないチャンスマイアミの地に立つ  焼 津
南国の風情椰子の木に囲まれ
プール付きセレブ気分で過ごす家
歓談に同時通訳息子して


「  青  」      川口   亘
青虫が蝶に変わって春謳歌        藤 枝
信号の青色なりの事故も有る
突然の雷雨も恐い青い顔
知らないで青春時代過ぎていた


「囲  む」      濱山  哲也
学校をぐるりコンビニ取り囲む      青 森
囲碁敵死んで碁石も喪に服す
愛人をかつて囲ったホームレス
飲みすぎてしまったらしい四面楚歌


「雑  詠」      山本 野次馬
髭剃れば空の青さに笑われる       函 南
ガチャガチャで当たったような恋をする
正直に歩むと脆い杖を持つ
筋書きのところどころにある句点


「行楽日和」      中矢  長仁
忙しくなるぞ連休孫が来る        松 山
連休にお出でおいでと行楽地
晴天が続き賑わう行楽地
隠れ宿でひっそりしたい老夫婦


「時 事 吟」      寺脇  龍狂
使った人まだ来ない人給付金       浜 松
ミサイルへ天下泰平裸んぼ
初音聞く去年と同じ日同じとこ
王(ワン)ちゃんとミスターが言う俺も言う


「時 事 吟」      松橋  帆波
消極的支持率を問うアンケート      東 京
世渡りは解釈 総理から学ぶ
ビーンボールもデッドボールもある選挙
確率はどっち 地震と北の核


「自 由 吟」      中安 びん郎
北鮮の良心見えぬ拉致事件        静 岡
株安に悶えているよ日本中
物価高苦悶している永田町
新内閣そろそろ飽きてきた頃だ


「自 由 吟」      成島  静枝
姑へランクアップの予定延び       千 葉
緑陰でトラックが寝る大欅
当番医ついでに産科産めないが
低空のカラスはグルメうちのゴミ


「気 配 り」      岡村  廣司
落ちこぼれと見られぬ様に気を配り    焼 津
気配りも過ぎると逆に疎まれる
嫁姑気配り要らぬ仲となり
気配りを要らぬ節介とは意外


「あ の 人」      西垣  博司
いいお年召していますねそのルージュ   静 岡
ありきたりみたいな恋をしてしまう
どこにでも居そうな人でそうでない
その赤い唇 罪の色に似る


「自 由 吟」      提坂 まさえ
近くだけ探してみたが青い鳥       静 岡
新人さんお裾分けして青い風
イコールにするため少し塩加え
給付金家族全部を足してみる


「自 由 吟」      川村 美智代
花さくら咲いて散らして北へ行く     静 岡
ハミングが五線譜に乗り風に舞う
青が好きつゆくさの花朝の色
薯煮鍋地味な幸せ煮込み中



「自 由 吟」      萩原 まさ子
桜だと酒が加わる日本人         静 岡
もやしっ子本気加えて太くなる
好物が笑顔を添えて待つ予感
疲れ果て夢の中へと倒れ込む


「自 由 吟」      石上  俊枝
熟年の青い炎で燃え尽きる        静 岡
青春はアーという間に通り過ぎ
一匙が我が家の味と嫁伝え
孫が増え仏壇の前輪をつなぎ


「雑  詠」      芹澤 穂々美
真顔して定期券買う新入生        沼 津
遠足の子等のリュックがほくそ笑む
いつ仕舞うコタツ布団が欠伸する
日向ぼこニートの数が増えている


「雑  詠」      滝田  玲子
球根よりひと足早い草目ざめ       浜 松
言い過ぎたひと言重くのしかかる
順番待つハローワークの寒い椅子
下駄箱の奥で泣いてるハイヒール


「ゆっくり」      安田  豊子
花の気をもらい三代ハーチーズ      浜 松
まざまざと過去蘇る藤の下
身の丈でゆっくり歩く古希の道
七転び八起きゆっくり生き延びる


「  魂  」      薗田  獏沓
魂が抜け出た様な顔で寝る        川根本町
心から祈り神様迷わせる
魂の叫び嬉しい大反響
魂を込めてコケシの目鼻入れ


「足 の 裏」      鈴木 千代見
ウォーキング魚の目連れて一万歩     浜 松
赤い靴相性よくてよくしゃべる
カサカサだ愚痴こぼしてる足の裏
うたた寝にへのへのもへじ足の裏


「ぼんぼり」      川口 のぶ子
初孫の笑いが家に春を呼び        藤 枝
ぼんぼりが手招きで呼ぶさくら堤
トンネルを抜けて其処から春を追い
思い出が何故か段々遠くなり


「エコロジー」     鈴木 まつ子
陽の目見ぬリサイクルから物の価値    島 田
コンポスト楽しむようにひとひねり
美しい地球泣いてるエコ表示
僅かでも無駄なくまわすエコロジー


「自 由 吟」      内山  敏子
置き去りの週刊誌読む鈍行で       浜 松
セールスもノルマあるからチャイム押す
お腹から笑うと逃げる弱虫毛虫
反省をすればやさしい風に逢う


「雨が好き」      小林 ふく子
傘持って一喜一憂する一歩        袋 井
夜の雨明日の予定が焦ってる
雨の午後迷った心挽いてます
雨が好きあの日と同じ雨の夜


「雑  詠」      飯塚 すみと
花冷えで着てゆく服がわからない     静 岡
好い人がタケノコ持って門の外
透きとおる幼児の脳に戻れない
京ことば静かに招く奥深さ


「答  え」      加茂  和枝
あなたとはプラスマイナス答えなし    岩 沼
たっぷりと遊んで心快晴に
一日のけじめシャワーを全開に
ひと言で霧がすぅっと晴れてゆく


「ゴールデンウィーク」 恩田 たかし
コールデンたくさん寝たがまだ寝られ   静 岡
連休は計画立てずケンカする
雨降りにドライブ行こう梅ケ島
吊橋を娘と渡りほのぼのと


「心  境」      鹿野  太郎
いい人と言われてたまにハッとする    仙 台
シルバーがキラキラ外に出てみよう
もう何もいらない爺にしておくれ
横たわるこのサバたぶん尊厳死


「朝ドラから・・・」  尾崎  好子
まず笑みを誘う双子の顔写真       藤 枝
双子ちゃんらの名前から親心
縁って私にとって宝物
だんだんと松江のしじみ汁を吸い


「レクイエム」     石井   昇
止まり木で昇華できない夢を酌む     蓮 田
掛け算をしても悲しみだけ残り
終の地へ微熱いだいたままの石
壁と戦った卵へレクイエム


「雨の午後に」     栃尾  奏子
胸を打つ碧に出会ったガガーリン     大 阪
母の手にかかりキャベツは七変化
バイブルが優しく包む至らなさ
試されるのは追い風が止んでから


「絞り出す」      石田  竹水
恥を知り僕は自信を取り戻す       静 岡
腰紐が三本有って締まらない
決断が浅はかすぎて貝に成る
わが事に成ると余力を絞り出す


「叱  る」      鈴木 恵美子
悪い事しっかり叱り抱きしめる      静 岡
母さんはとても悲しい目で叱る
亡父さんに叱って欲しいわたしです
父の一喝子はすくすくと延びる


「待 つ わ」      増田  久子
蝶になる日までを耐えている毛虫     焼 津
上達を祈る隣のバイオリン
長女二女残し三女が嫁に行く
アナログで見ます最後のその日まで


「ジャンケン」     井口   薫
下心なくてジャンケン パーの癖      袋 井
読み合って全員チョキという強気
ジャンケンで小さなドラマ仕立てられ
グーチョキパー武器のお手入れしておこう


「母 の 日」      森下 居久美
母の日の絵が思い出の一ページ      掛 川
嬉しくて使いそびれた肩たたき
もう少し元気でいてねカーネーション
嫁、娘カーネーションが揺れている


「自 由 吟」      林  二三子
はびこった草と今夏も勝負する      芝 川
植え終えた棚田爽やかな景色
立ち上がる度にヨイショが口をつく
贅沢なひと時ホッと新茶飲む


「雑  草」      酒井  可福
雑草に花も名もある意地がある      北九州
雑草の意地が小さな花咲かす
雑草の自然環境守る自負
大輪の花を夢見るかすみ草


「つららさん、元気?」 今井 卓まる
新緑の鱗なだめる凪の風         浜 松
親密度ベンチシートで計る距離
トイレットペーパーだった命綱
迷うなら愛でひとつになればいい


「電脳世界」      高橋  繭子
パソコンが真面目に画像処理をする    大河原
ノッペラボーになるはたやすきEメール
ウェブたどる足跡を消す深い森
パソコンの要領 使う人に似る


「諸行無常」      真 理 猫 子
うぐいすも婚活 春は過ぎたけど     岡 崎
蛸の足みたい動く胸騒ぎ
お祭りの終わった頃に血が騒ぐ
結婚をしてないカラスなぜ鳴くの


「祝  吟」      山口  兄六
娘さん欲しいと辛い酒注がれ       足 利
お守りを透かして見れば君がいる
安産の神のあくびが止まらない
電話代また跳ね上がる孫の声


「誕 生 日」      増田  信一
この年でうれしいような無いような    焼 津
誕生日この頃やけに早くなり
ロウソクは要らないという年になる
誕生日一緒に祝う連れは無し


「素直になる」     小野  修市
ありがとうを直ぐ言える人偉いねえ    静 岡
芽吹く春自然に添うて歩いてく
若い頃の純情今も持っている
声出して笑えばそれで万事良し


「第十八回京浜川柳大会ボツ句」中田   尚
化粧品変えてもシワに吸い込まれ        浜 松
式まではニュートン味方だったのに
ウソはだめDNAが見ています
道草をGPSが見逃さず



「雑  詠」      多田  幹江
阿波踊りもどきに燃える町おこし     静 岡
星月夜昭和はおぼろおぼろなり
涙目のおんなに弱い男伊達
ショッピングモールに君の影がない


「思 い 出」      永田 のぶ男
赤よりも白を着こなす春ほたる      静 岡
教養は学歴でない品の良さ
花冷えにおんなが居ない暖炉の火
躓いた石と別れた元少女


「錆びた鍵U」     谷口 さとみ
鳳仙花どうはじけてもヘ長調       伊 豆
ほおずきをつぶし本音が言える秋
ほっとくと月下美人は見えないよ
その鍵はとっくに変えたドアの鍵


「自 由 吟」      長澤 アキラ
スッピンになると顔出すDNA      静 岡
七転び八起きはとても痛かった
悲しみの飽食空が澄んでくる
ジャージャージャー シャーシャーシャーシャー チョボチョボチョボ


「  男  」      川村  洋未
あの男 思えば猫と同レベル       静 岡
禁煙を守る男にほれなおし
取りあった たいした男でもないが
ライバルが普通の男連れていた


「ゆったり」      中野 三根子
たまに乗る普通列車の旅が好き      静 岡
一人旅窓の景色が語り出す
公園のベンチやさしさたっぷりと
図書館の静けさの中一人居る


「届かない波」     池田  茂瑠
都合よい方へえくぼの向き変える     静 岡
火の章の続きを書けば目が乾く
届かない私を騙す程の波
月の夜は水子の戻る道を掃く


「言 い 訳」      佐野 由利子
言い訳の嘘をやすやす見破られ      静 岡
飲み込みが早い女は物静か
本当の事は言わない処世術
あの時にでは遅すぎる虐待児


「新 兵 器」      高瀬  輝男
人間のプライドが産む新兵器       焼 津
西東暗い話題が満ち溢れ
ややこしい世間は他所に金魚飼う
解決の素案デパ地下から拾う


「やさしい鉛筆」    望月   弘
新緑と書く鉛筆が柔らかい        静 岡
好きな子へ円い鉛筆よく転げ
鉛筆のやさしさ蝶が舞いあがる
シャープペン少女のこころ覗き見る


「自 由 吟」      加藤   鰹
モザイクが目立つ彼女のプロフィール   静 岡
絆創膏だらけで別れられなくて
留守電にセット潮時かも知れぬ
天秤に乗るほどの愛だったんだ


「なすりあい」     柳沢 平四朗
極楽へ予約のキップで届かない      静 岡
仲違い擦りあってる蝶番
躁と鬱 振り子のように日を刻む
世の中が斜になった人の価値
[173] (2009/06/08(Sun) 10:48:07)



2009年7月 虎竹抄 >> << 2009年4月句会
Copyright © 静岡川柳たかねバックナンバー. All Rights Reserved.