静岡川柳たかねバックナンバー
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自 由 吟
  虎 竹 抄


「青  汁」      佐野 由利子
青汁を飲ませてみようフリーター     静 岡
機が熟すまでは静かに座ってる
連弾のピアノが狂う倦怠期
裏側も見せて気楽なお付き合い


「ブラック・ブラック」 中矢  長仁
受験生親の期待がのしかかる       松 山
模倣犯子どもはいつも親を見る
許そうかと思いながらもムチを振る
この場合謝りたいが意地もある


「なにを今更」     新貝 里々子
にわか雨恋に恋して濡れている      袋 井
ひと目惚れのおとこに席を譲られる
整体のベットに伏せて策を練る
なにを今更疲れることは止めておく


「  葦  」      石井   昇
午後のお茶無口な花が喋りだす      蓮 田
この川に明日はあるのか葦が揺れ
いのちの洗濯ケイタイOFFにする
いつまでも義理で浮いてるシャボン玉


「自 由 吟」      川口 のぶ子
血圧の上り下がりを見る天気       藤 枝
老け込んだ気を立て直す孫の声
心配をするより先にまず動く
途切れたら繕いをする気の余裕


「雑  詠」      西垣  博司
ワイパーが未練の滴拭き残す       静 岡
今年から二次会養命酒にしよう
又来るね捨てぜりふして孫帰る
帰らない鉄くずを待つスペアキー


「自 由 吟」      内山  敏子
旅に出るやさしい風に逢えそうで     浜 松
皮算用全部ハズれた宝くじ
チマチョゴリ着て旅先の輪にとける
妻と子の攻撃に会う二日酔い


「女  達」      栃尾  奏子
平凡な日々に胡椒をひとつまみ      大 阪
手鏡にスタンバってる魔女悪女
猜疑心少し含んで下がる眉
守りから攻めへ母は女の顔になる


「オライの家族」    鹿野  太郎
泣き笑い見て受け継いだ傘一つ      仙 台
超音波画像に父の詫びる顔
前向きに生きるアイテム太い足
祝辞令 鳥獣戯画になる茶の間


「家  族」      松橋  帆波
父の生き様はいつでも酒臭い       東 京
父が米磨いでくれたと母無邪気
飲まないで帰れば妻が飲んでいる
煙草吸う妻にしたのは私です


「日  常」      藤田  武人
釣れてないらしい並んだチンおかず    大 阪
期限切れを感謝災害用備蓄
非常食と呼んで我が家のメタボ犬
スタミナを付け一日の折り返し


「梅雨に咲く」     提坂 まさえ
ツンと行くブランドの傘足早に      静 岡
苦い水あなたのためと蛍舞う
色という色とりいれて梅雨に咲く
凡人は祀らぬ二十三回忌


「カラオケ」      濱山  哲也
演歌派とポップ派マイク奪い合う     青 森
カラオケに人生滲み出している
なあるほど歌手になれない顔ばかり
デュエットの権利で腰に手を回す


「退 化 中」      毛利  由美
抗加齢おむつの方は難しい        つくば
あららまた一回借りた本を借り
主婦友も同じペースで退化中
受験生二人 呆けてはいられない


「雑  詠」      山本 野次馬
棘のないバラにもあった嫉妬心      函 南
喉もとの棘の丸さにある疑惑
茨道抜けた途端に落とし穴
棘のないペンは明るい明日を描く


「北の○○」      酒井  可福
ディズニーが好きで世継ぎを外される   北九州
大国に馬鹿にされない為の嘘
我が侭は百も承知の駄々を捏ね
ミサイルはダメだと言えば再度撃つ


「雑  詠」      飯塚 すみと
買いすぎたクツを捨て去る現代っ子    静 岡
盲目の若いピアノに引き込まれ
洗車して妻よ気持ちが見えるかね
好きな娘の背中もいいな水彩画


「雑  詠」      馬渕 よし子
迷惑にならない位置で呼吸する      浜 松
安売りの棚に私も鎮座する
次週まで待てぬドラマに悩まされ
約束を守って損をした思い


「遠い隣人」      成島  静枝
借金でドロップアウトだと噂       千 葉
老い過ぎたオトコ似合わぬアウトロー
年金は生活保護の手を拒み
隣組 風の便りへ祈る無事


「雑  詠」      竹内  さき
深読みのコーヒー濃ゆくヒール履く    浜 松
指折って占う雨の裏表
ふっされて女暦を恋う挽歌
じんわりとロマンの海で妥協する


「欠  片」      戸田 美佐緒
残照のザが舞っている花畑        さいたま
こわれもの同士と歩く炎天下
ドーナツの穴で燥いでいるコント
謎解きが非常口から落ちてくる


「自 由 吟」      萩原 まさ子
時の人なぜか良い事のみ言われ      静 岡
約束の時間忘れている海馬
浮かぬ顔時短で早く帰るパパ
根気よく推敲をしてボツになる


「自 由 吟」      石上  俊枝
合わせぬ目こころの奥にいる誠      静 岡
夕映えに童謡残る砂の山
時間ですママの号令あさ明ける
待つ針と待たせる針が気をもませ


「浜  辺」      安田  豊子
過去の絵がきらきら踊る初夏の浜     浜 松
砂浜の思慕ひたひたと溶けていく
寄せ返す浜が呼んでる父母の声
夕焼ける浜へ慕情の果てしない


「お  盆」      小林 ふく子
盆供用仏は人を待っている        袋 井
トゲ抜けて顔だち母に近くなり
逃げ道を先祖供養に教えられ
夕焼けの空は浄土へ続いてる


「視 聴 率」      瀧    進
井戸端の話題トップにスキャンダル    島 田
天の声いつしか変わるアンケート
民の声メディアに舵を握られる
良識がメディアの風に飛ばされる


「しぞ〜か弁川柳」   中安 びん郎
あちーのに野良へ行くたぁずにゃあなあ  静 岡
たまにゃーよ うみゃーもんでも食わしょーれ
老化ずら四つんびゃあしてくさー採る
まーちっと経ちゃぁえー世が来らーれー


「  夏  」      森下 居久美
白球を追う少年の熱い夏         掛 川
背番号ないスタンドの応援団
ワンスリー打てよチャンスだコンバット
メガホンが揺れる勝利の応援歌


「雑  詠」      寺脇  龍狂
ほっそりとジーンズ朝からかっこいい   浜 松
うちの子はピアノに向かぬ二.〇
民営になっても土日休便局
海に賊 空にミサイル 家に妻


「雑  詠」      滝田  玲子
マイカーで病院梯子息が切れ       浜 松
折込みに急かされ無駄も買いに行く
スッピンのママが届ける忘れもの
親鳥が運ぶ餌を待つヒナの口


「鑑  定」      井口   薫
鑑定をする迄石は光ってた        袋 井
両親が鑑定された顔合わせ
自問自答 今日を鑑定する日記
反骨の骨が頼らぬ鑑定書


「  雨  」      篠原   久
雨蛙土下座してまで雨を乞う       四国中央
蝸牛引越し一夜で二〇〇ミリ
梅雨晴れ間 涙の跡の忘れ傘
通り雨みたいでしたね給付金


「わで始まる言葉」   鈴木 恵美子
悪だくみいたずら坊やのこの笑顔     静 岡
若き日の健脚誇る登山靴
忘れ得ぬ友の安否が気にかかり
脇道に再会という夢拾う


「台所の女」      鈴木 千代見
新じゃがのツルッとむけて白い膚     浜 松
刺身の妻いつもあなたの側がいい
テーブルの定位置にいる爪楊枝
予約タイマー主婦の時間を切りきざむ


「夏が来る」      芹沢 穂々美
汗をかくもう終わりかと明日もかく    沼 津
茄子の色変えてみたくて責め続け
サイコロは悲しい時も夢の数
加齢臭わたしシャネルの5番です


「幸せな旅」      真田  義子
幸せな風に乗ってるひとり旅       仙 台
万物は天に向かって伸びていく
何事も楽しみながら生きていく
のんびりと風と一緒に旅をする


「ヒマワリ」      鈴木 まつ子
ヒマワリの笑顔が映える雨あがり     島 田
ヒマワリが昴然と立つ居住権
ヒマワリが眠気もよおす昼下り
ヒマワリが気高く咲いた優良児


「盛  夏」      畔柳  晴康
汗を拭き涼しさ感ず夏の富士       浜 松
シャツまでも脱いでエコするこの暑さ
百日紅夏の暑さに負けず咲く
大漁と鮎のおこぼれ届く夕


「自 由 吟」      川村 美智代
時計見て慌て怒ってほっとして      静 岡
いまなんじ一日何度覗くやら
雨音のメロディを聞く風呂の窓
一番機見送る根っこ何想う


「休み返上←」     恩田 たかし
休みなく新たな道にチャレンジだ     静 岡
朝五時に子に起こされて疲れ増す
休みたい安みたいけど休めない
梅雨時のじめじめ感がのしかかる


「近  々」      川口   亘
手加減をしたい気持ちも有る余裕     藤 枝
誰とでも話あえるか下手上手
喜んですぐ乗せられて目玉食い
あきらめの早い方です直ぐ忘れ


「後期高齢者」     岡村  廣司
高齢者になって命が惜しくなり      焼 津
高齢者にされて天引き拂わされ
高齢者生きているのも楽じゃない
後期から末期になればお成佛


「梅  雨」      薗田  獏沓
中元が濡れて届いた梅雨さ中       川根本町
年寄りを出不精にする梅雨続く
紫陽花は雨の季節を咲き誇り
風雨にも新芽揃えて槙の列


「戦 陣 訓」      金田 政次郎
サムライ日本戦陣訓を糧とする      静 岡
暗黙の掟の中の戦陣訓
迎合す忠から孝への呪縛
脱却は困難だった戦陣訓


「キャッチボール」   大塚  徳子
結婚の相手を決めたキャッチボール    仙 台
父さんが先ずは教えるキャッチボール
棘の無い言葉選んでキャッチボール
時々はナックル投げるど根性


「  汗  」      加茂  和枝
青空が好きで全身弾ませる        岩 沼
おてんとさん沈まぬうちのひと仕事
スケジュール全部こなして午前様
ほどほどの重さで良かったかたつむり


「自 由 吟」      山田  ぎん
タチアオイ静岡の花咲き揃い       静 岡
老いの足低いビワを取って食べ
つばめの子大きな口で餌もらう
長生きも世話にならない気を遣い


「自 由 吟」      藪ア 千恵子
間が抜けた頃に返事の筆不精       焼 津
腰低くして揚げ足を取りにくる
やり返す主義かいつでも上目線
絶滅の危惧マナティーのグロテスク


「富士山静岡空港」   尾崎  好子
お茶に良い霧空港へ反比例        藤 枝
霧のため降りられなくて羽田まで
駐車場只がどえらく高く付き
赤と黒はや知事さんは一手指す


「平凡な不運」     増田  久子
朗らかな友と過した日の疲れ       焼 津
挫折した源氏が二十年を耐え
友達もくじ運のない人ばかり
メタボではないが五ミリの背の縮み


「両手が空いて」    永田 のぶ男
胃の中で乾いた小舟酒を呼ぶ        静 岡
背がほしい踵の高い靴を買う
金屏風 鳳凰一羽戻り待ち
ギザギザな影容姿端麗な方


「ベジタブル」      谷口 さとみ
空豆の真綿私を睨んでる          伊 豆
玉ねぎに助けを借りて立ち直る
プチトマト何もせぬのによく目立つ
勇気だし苺嫌いと言ってみる


「空 の 色」      中野 三根子
七月の空は七夕良くにあう        静 岡
雨のあと虹が広がる青い空
夕空に染まった君のあの瞳
母と居た夕日の中の子守りうた


「どうしよう」     中田   尚
どうしよう点滴薬がオトモダチ      浜 松
どうしよう命の重さ忘れそう
ねてばかり曜日時間がとんでゆく
どうしようおかゆばかりでホネばかり


「選  挙」      増田  信一
政治家は選んだ人と同レベル       焼 津
選挙前選挙後の顔反比例
政治家に頼んだ後の高いツケ
欲と欲つながり合ってワイロ生む


「サヨナラ」      山口  兄六
あの恋を忘れられずに模倣品       足 利
またねなどないピリオドに見送られ
君に傘渡して濡れて帰ります
電源が切れて自由な岐路に佇つ


「雑  詠」      孝井   栞
孫あやす仁王 喜劇の顔をして       富 山
束の間のプラネタリウム成す蛍
ウインクしたくなる銀行のカメラ
モアイ像になる皆既日食の日


「自 由 吟」      真 理 猫 子
ガラパゴスでネイルアートの修行する   岡 崎
朝ごはん絵文字のパンでがまんして
水洗もケラケラ笑う女子トイレ
コピーして履歴書に貼る笑い皺


「にゃお〜ん」     高橋  繭子
猫たちが教えてくれる悪女学       仙 台
丸く寝る忘れんぼうになるために
人間にシッポがなくてフラフラリ
こっそりと爪研いでいる猫パンチ


「不  況」      林  二三子
不況風黄色いサイフ買ってみる      芝 川
特売のチラシにママの目が光る
休暇願い一つ返事で許可が出る
給付金くらいじゃ家計埋まらない


「  恋  」      川村  洋未
結界の恋水揺れてあふれ出す      静 岡
風が来る発火しそうな恋心
ひさびさの恋に戸惑うスニーカー
恋の花咲くと信じて水をやり


「雑  詠」      多田  幹江
目を瞑る夢の続きを見たいから      静 岡
隙間だらけの貌持ち歩く休肝日
口チャックして心療内科混む
輪を抜けて男はネコになりました


「約  束」      石田  竹水
世の塵を拾う軍手を束で買う       静 岡
詐欺よりも劣る約束守らない
聞かされて消化出来ずに居る言葉
人間は錆びないように日日磨く


「人生の味」      小野  修市
ゆっくりと胸に人柄しみてくる      静 岡
人生の味はなかなか解せぬ味
煩悩が消えず煙が横にはう
聞き耳をたてた床屋の椅子きしむ


「雑  詠」      今井 卓まる
エアコンが効いているから休戦日     浜 松
ノルマ終え入道雲とにらめっこ
駆け足の浜辺の果てにオチがない
娘より古い機種持つ世帯主


「軌  跡」      長澤 アキラ
歳月のところどころに欠けグラス     静 岡
諦念の早さを競う富士さくら
おしめ迄清く貧しい転び癖
染みついた灰汁をふやかす日の孤独


「厚いドア」      池田  茂瑠
前向きに生きよう鼻は低いけど      静 岡
続きまだ深くあるのよこの悲恋
浮けません理性のドアが厚すぎて
駄目押しのライバルの釘長く効く


「不安な世」      高瀬  輝男
予算また追加失業者は減らぬ       焼 津
生きている証 噂もたんと喰べ
時により私も少し背伸びする
雑音に負けずに夢を描き足そう


「八月の鉛筆」     望月   弘
八月へ暑中見舞の青いペン        静 岡
絵日記へ色えんぴつを遊ばせる
十二色ペンで真夏の雲を描く
平和へのメッセージするシャープペン


「マジかよ」      加藤   鰹
予定日はいつと訊かれたスリーL     静 岡
失恋に泣いているのによく食うわ
ゴキよりも妻の悲鳴が恐ろしい
時流れジンベイザメになる人魚


「ほ む ら」      柳沢 平四朗
味付けのドラマへ史実そっぽ向く     静 岡
大それた夢へ財布も共犯者
花道と決めた解脱のほむら立ち
真四角な頭へ帽子丸すぎる
[174] (2009/08/09(Sat) 08:56:19)



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