「雑 詠」 井口 薫 それ以上もう無理ですとコンパクト 袋 井 御職業つい推し測るロレックス 断末魔蛍光灯の命乞い 投句終了やっと刑期を終えました
「人生いろいろ」 金田 政次郎 ちょっとだけピンボケだった低姿勢 静 岡 四季ごとの折り目でいつも風邪を引き ふる里の愛が欲しくて汽車に乗る 好きだから吸取紙の染みになる
「霊 柩 車」 横山 昌利 火達磨になって男は栗拾う 相 馬 正夢を念じて寝込む木偶の坊 いよいよ来たかぴたりと止まる霊柩車 灰色の街で電車を待っている
「大 福」 石田 竹水 笑わせて怒って泣いて人の顔 静 岡 ダメージの繰り返しからいい着地 大福で酒 甘党に叱られる 改革のよだれ増税天こ盛り
「 夢 」 笹 美弥子 ドロップ飴優しい母よ夢の中 仙 台 ウトウトと目線の先の春を掘る 何度でもあたためなおす春の夢 夢の端摑まんとする心意気
「厳 寒」 新貝 里々子 お話にあれそれあれが増えて冬 袋 井 くずかごに放る句苦苦苦 苦苦苦 お餅がつかえたのかな脳停止 黒ビールが旨いと生意気な炬燵
「雑 詠」 福田 勝太郎 月末は肉が嫌いで豚が好き 大 阪 小遣いが菩薩に見える縄のれん 微笑んで尻で席とり会釈する 朝帰りウグイス張りで妻めざめ
「自 由 句」 山本 トラ夫 人生は難しいこと妻に説く 長 泉 本降りがご破算にした勝ちゲーム マラソンの水は粗末にされている 隙のない心にも降るにわか雨
「雑 詠」 内山 敏子 マスク美人其の内側を見たくなる 浜 松 無愛想が老舗の味で勝負する タイトルを付けて進まぬ五七五 一病へ薬が無二の友となる
「まともな人生」 増田 久子 混んでいるから入りたい喫茶店 焼 津 ティッシュだけもらって通る駅の地下 満ち潮の名残りのゴミが続く浜 ドッグフードだけで生きてる犬元気
「包 装 紙」 中田 尚 リサイクル叫んでいるがよく包む 浜 松 半透明 生活臭は消えなくて 包装紙プライバシーがプッカプカ 包装紙店の宣伝だけにする
「雑 詠」 江川 ふみ子 ふるさとへつづく線路へ佇つ郷愁 函 南 反論をする気で少し飲んで行き うなづきが賛成だとは限らない 落ち込んだ穴で忠告思い出し
「 鏡 」 芹沢 穂々美 三面のどこに焦点合わそうか 沼 津 とても奇麗そんな鏡がほしいなあ 鏡台の紅が外出誘いだす 気紛れな鏡おんなを狂わせる
「時 代」 高橋 春江 金よりもカードで重い財布だき 袋 井 花好きで動物ずきで日が昏れる 無洗米すこし時代に乗ってみる 町はずれモンロー調でウォーキング
「老 い る」 柳澤 猛郎 反骨の日々懐かしみ丸く老い 袋 井 永遠の愛金婚へまだゆるぎない 生き恥をさらしたくない脛の傷 残り火へ自問自答を繰り返す
「氷の上で」 尾形 奏子 夢ありき僕は幾度も立ち上がる 天王寺 どん底で摑んだ砂にあるヒント 美しきもの今日の努力を惜しまない フィニッシュの向こうに目指すフロンティア
「雑 詠」 竹内 さき ほこほこと想い出あふる草餅に 浜 松 菜の花や揺れてゆれ恋生まれそう 白木蓮ひらり美し嘘を言う 風ぬくし母の過去形軽く着て
「貧しい心」 岡村 廣司 平常心保つ修行がまだ足らぬ 焼 津 職去ってから魂はニュートラル 心にも皺がたっぷり増えたかも 栄養と教養慾しい心にも
ネクタイのまだ赤を選る九十坂 寺田 柳京 畑にも言い分がある二毛作 静 岡 この畑駄目なら外へ種を播く 老春の僅かな髪へ櫛を当て 戯れ言を並べ笑って生き延びる
「しあわせ」 羽田 共生 しあわせもリサイクルして下さいね 牧之原 名乗り出ぬしあわせ高額当たりくじ 発禁本残念読めぬ中国語 成金は昔ガチャマン今マウス
「雑 詠」 田原 痩馬 糞ばばあ言って子供は親離れ 熱 海 部屋付きと聞いて時めく露天風呂 軋み出す錆びた夫婦の蝶番 白い肌嫁が嫉妬と自慢する
「 夜 」 山本 野次馬 独り寝の見上げる空は冬銀河 函 南 少子化に精子卵子が騒ぎ出す 握り締めた夢は今日を語らない むっくりと起き出す徘徊の如く
「春うらら」 大塚 徳子 耳痛いほどに静まる午前二時 仙 台 トンネルで春が足踏みしています ランラララ空が明るい春が来る ふきのとう捜して歩く春うらら
「立 春」 竹内 登志 節分の豆ははちじゅう五の黄粉 浜 松 春立ちて鳥も媼も早春賦 春一番味噌汁に浮くふきのとう 恋芽生え貰ったチョコは倍甘い
「雑 詠」 森島 寿恵 野も山も春の訪れ枇杷の花 浜 松 道草で拾った今日の良いおかず 風向きが変れば敵も付いてくる 鬼の豆拾った孫が真似をする
少子化の余暇に淋しい海がある 山田 フサ子 一円貨仲間はずれの音がする 袋 井 鉛筆を削って余暇を輝こう 好きなだけの詩の前後がつながらぬ 一條の光信じて生きてゆく
「心 の 友」 堀場 大鯉 お前もか同期の風邪を笑いあう 焼 津 二心ない明解な友が好き 減らず口利くが約束破らない バカだなと言われハハハの仲であり
「雑 詠」 成島 静枝 拍手の波動地球へ谺する 千 葉 詐欺除けに後姿も若造り 知恵絞る明日は我が身の事故事件 平凡な波幸せの音がする
「自 由 吟」 鈴木 まつ子 本性を見抜くただ酒もてなされ 島 田 豊かさへ大売出しが山と積み 寄せる愛心底惚れて打算抜き 花と蝶寄ると触るとひとしきり
「雑 詠」 馬渕 よし子 この辺でひと息入れよう青い空 浜 松 近づいた影が獲物を探してる ときめいた頃の話へ孫笑う 時どきはうんと自分を褒めて生き
「ちょっぴり」 設楽 亜季浩 嫁ぐ日にちょっぴりセンチポチまでも 静 岡 指はじきちょっぴりと言う駄賃 お財布にちょっぴりと言う五十万 白い息ちょっぴり吐いてランドセル
「 寒 」 山本 治 手が痺れ吐き出す息に母の愛 函 南 雪山に手酌の酒で盛り上がる 霜柱立って冬そら背伸びする 誰の足こたつの中にある臭い
「ひととき」 加茂 和枝 好不調弾まぬ毬にある不満 岩 沼 山茶花の赤に元気を試される 今はただ笑っていよう我慢です 萎れても私の顔は微笑こぼす
「雑 詠」 滝田 玲子 お守りも時代にそって進化する 浜 松 飛梅が絵馬見下ろして口噤む ママさがしてと迷子が握る手の温み トレパンに重ね着ミニの女高生
「戦 友 会」 寺脇 龍狂 粛々と絶滅を待つ戦友会 浜 松 頑固屋も賀状どころか練兵休 五ケ條の質素がつなぐ大和魂 寒々とタンスに眠る勲八等
「万 能」 薗田 獏沓 細工物切り出し一丁あればよし 川根本町 ピン一本持てば大てい錠は開く お料理にエアロビ縫い物才女です 見て聞いて直ぐにこなせる凄い腕
「自 由 吟」 御田 俊坊 人生のゲーム苦戦で呼ぶ笑い 高 畠 上向きの景気に乗って上がる株 こつこつと稼いで伸ばし栄え行く 辛抱を堪え栄えた父の汗
「大 寒」 中安 びん郎 大寒に海水浴も気は確か 静 岡 大寒中雪下ろしせず富士仰ぐ 大寒の布団脱けるにドッコイショ 大寒中節句荒らしが野良に出る
「自 由 吟」 林 二三子 豪雪の画面こたつにもぐり込む 芝 川 雪の中取られぬままの柿目立ち 雪降らぬこの地やっぱりありがたい 蝋梅をつつく小鳥に春をみる
「笑 顔」 谷口 智美 その笑顔あるから明日も頑張れる 伊 豆 とりあえず笑顔でいよう福が来る 君のシワ笑い皺だね素敵だよ おはようと鏡の私にも笑顔
「家 族」 堀井 草園 あの頃を「シャン」と話せば薄笑い 静 岡 家族の輪乱さず窓を開けておく 子の勇気任せて明日の青い空 大正の傘は骨太捨てないで
「雑 詠」 柴田 亀重 サザンカも若者も咲く寒の花 沼 津 危篤から一年越えて子の疲労 人・車 鬼が隠れる通学路 ケイタイに死語とされるか恋の文
「 夢 」 真田 義子 大空へ翼をつけた子らの夢 仙 台 ポチがいてみんなの声が丸くなる 幾十年音は変わらぬオルゴール 幾年も何も変わらぬ月と星
「暮 し」 堀場 梨絵 孫の笑顔と張り合っていて今日が終え 静 岡 てのひらにわたしを乗せるやわらの手 こうの鳥舞いおりた娘の新居 もう少し火種が欲しい我が余生
「 雑 」 川村 洋未 キヨスクで土地のみやげをみつくろう 静 岡 あめとムチ間をぬって泣き落とし この頃の天は二物をあたえます いいかげん発音かえて意味二つ
「 夢 」 中野 三根子 初夢の続きみたくて昼寝する 静 岡 ヨン様に出逢ってしまう夢の中 夢の中父の小言がなつかしい 若い彼ハワイでビキニみんな夢
「春を待つ」 佐野 由利子 後退りなんかするまい正義感 静 岡 春を待つブランコ高くたかく漕ぐ 欲張って大事な物が零れ落ち 大丈夫何とかなるさ青い空
「自 由 吟」 藤野 俊子 薄給の娘のブランドに母どっきり 掛 川 今日も又凍る心で見るニュース 春を呼ぶ野焼きに景気目を覚ませ 外泊が増えて優しくなったパパ
「屁の河童」 永田 のぶ男 屁でもない大義に生きる男だて 静 岡 この位屁とも思わぬ臑の傷 屁の様な話に惑うおおおとこ 屁の河童俺は天下の素浪人
「不 倫」 真理 猫子 寒梅の二輪春には堕ちる恋 岡 崎 梅の香に持っていかれた決め台詞 梅干を口に含んで消す不倫 涙でも塩気を足して梅茶漬け
「ファンタの冬@」 山口 兄六 鍋奉行冬将軍に勝てそうだ 足 利 降る雪の全てが白と信じたい 冬篭りずっと携帯いじる君 除雪車のように勝手な人でした
「藁に縋る」 池田 茂瑠 羽根のある妻を繋いだ杭朽ちる 静 岡 難題を解いて結んだ固い愛 一冊の本一本の藁になる この愛に力の限り賭けてみる
「 爪 」 多田 幹江 喜んでお分けしますわ爪の垢 静 岡 よくご覧小指の爪のいぢらしさ 爪をかむポーズあの娘も春めいて 赤鬼の爪がきれいで恐くなる
「春 彩」 川路 泰山 健脚と言う程でなし膝栗毛 静 岡 彩色の増すも褪せるも風次第 シャンシャンの声につられて達磨買う 立つ春へ古い男を刷り直す
「お と こ」 長澤 アキラ 真っ当に生きて身軽な空財布 静 岡 敵の敵それでもたまに敵になる 荒野にも誰か歩いた跡がある 襟立てて気前良すぎたなと思う
「雑 詠」 高瀬 輝男 生きている証し罵声も叱声も 焼 津 わたくしの返事ピシャっドアを閉め 素晴しかった今日よサヨウナラ雨戸閉め 笑えるっていいな人生坂道で
「リセット」 望月 弘 いい知らせ風力計が撒いている 静 岡 極楽の前売券を入手する お守りは天気予報を入れておく 青春のリセットボタン作動せず
「マスカレード」 加藤 鰹 回り椅子から6Gのプレッシャー 静 岡 恋人も妻も両A面だから 軽はずみなジョークがK点を越える 春風がG線上に乗って来た
顧 問 吟 「シ ニ ア」 柳沢 平四朗 寒卵をすすり無冠の懐手 静 岡 笑っても笑顔にならぬ虫がいる 鉄分を妥協で埋める好々爺 拝金に媚びたシニアの面よごし
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[19] (2006/03/10(Thu) 20:28:20) |
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