静岡川柳たかねバックナンバー
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「自 由 吟」            寺脇  龍狂
合併で市長ばかりが忙しい         浜 松
ひきだしに勲八等が息ひそめ
封筒の奥までのぞくラブレター
読んでますお知らせ欄と悩みごと


 「人生模様」            真田  義子
携帯がやっと通じたオリオン座      仙 台
現住所ここは泉が湧く所
母が織る人生模様美しい
紀元前を想像させる遺跡群


「自 由 句」            山本 トラ夫
本能を使い切らずに終わりそう     長 泉
かみさんに手刀切って貰う金
なすままに根性までがひねくれた
猫道にはずれて人に媚をうる


「儚  い」            新貝 里々子
跳ぶ足をうおの目などに召し取られ      袋 井
皮算用の癖が直らぬボールペン
一泊の旅のごときにはしゃぎすぎ
時刻表一本櫻標的に


「  夢  」            大塚  徳子
ミソスープ固定観念捨てました        仙 台
ミトコンドリアにかくれんぼするカルシューム
奥歯食いしばり皆勤賞がない
必要なものの一つに夢がある


学ぶ程海広くなり深くなる       山田 フサ子
振り向けば幾度峠を越したやら         袋 井
洗濯物がタンゴを踊る老多忙
渡る世の起伏にためている疼き
やさしさにふれたその日の軽い靴


「花 万 朶」             鈴木 まつ子
花万朶思いを寄せる人と酌む        島 田
ゆずりあう一歩へ日差しやわらかい
花冷えのフリーズドライ冬と春
いっき盛り今日を限りの花散らし


「春 の 山」            成島  静枝
老梅がイナバウアーで出迎える        千 葉
旧交の息があがったミニハイク
号令を掛ける幹事はまた私
梅まつり紅梅がついしゃしゃり出る


 「海 明 け」             横山  昌利
仕合わせのかたちに春の陽が昇る        相 馬
飽食の猿を笑ってなどおれぬ
海明けの港にボクの首が浮く
景気づけに呑んだ胃ぐすりマムシ酒


  「老いた筆」              柏屋 叶志秋
進めない道はなかった少年期        山 形
老いた筆書くは反省文ばかり
野の花も脇役よりは主役好き
川底に丸くなれない石がある


  「深 呼 吸」            加茂  和枝
精一杯自分の足でつかむ春          岩 沼
満開の梅花に想う生きていた
雑草も夢をつかんで花が咲く
春の陽につかんだ夢と深呼吸


「突然ですが・・・」         戸田 美佐緒
背徳のルージュ悪女の顔になる      さいたま
丸腰でくるから拒めない和解
蛇口からいつか溢れる無神論
突然ですが妻も女でござ候


  「真  水」            石田  竹水
人生のレシピ涙の隠し味            静 岡
生きる夢ドライフラワー真水飲む
佛だと言われた鬼が人に成る
楽しみの風に吹かれて舞う余生


 「春ですか」            鹿野  太郎
メーターも上がる減ら無い口のママ      仙 台
国会の秩序守っている睡魔
郊外で一際光るハートビル
華やかな記憶に小骨二つ三つ


 「春のかぜ」             高橋  春江
花ふぶき髪にひとひら持ち帰る        袋 井
春の風ヘソ出しルック待ちかねて
満開の花のおごりを散らす風
老いふたり妻の謀反が愛らしい


「雑  詠」            山本 野次馬
新風へ飛び出す君の竹トンボ         函 南
嘘のない父の手だから温かい
アイドルの掟真顔は明かせない
気迫だけみせて翼のひ弱さよ


 「風 光 る」             江川 ふみ子
子の家の合鍵を持つ春の虹          函 南
さくら散る中へ浄土を置いてみる
万歩計孫と歩めば風光る
耳をなくすと何と静かな海だろう


 「五  月」             金田 政次郎
木遣唄お江戸絵巻の先を行き      静 岡
初鰹男の贅の茶づけ飯
わさび沢冷たい水も鼻に抜け
魂を熱くさせてるサクランボ


「自 由 吟」            柳沢  猛郎
夕焼けへ今日の叙情を噛みしめる       袋 井
人生のパズルに公式などはない
倒産の死角にあった保証印
この年齢で未だ駄馬でいる靴を履く


 「創  作」            鈴木 恵美子
生き甲斐の趣味へ炎を絶やさない    静 岡
亀の歩みで趣味を繋げる川柳誌
逢った日のメモは花マル小さく書き
大器晩成母は気長に待っている


「雑  詠」            滝田  玲子
ブランドの傘でうかれる春の雨      浜 松
突風もめげずペダルの若い足
顔の傷まだ隠したい厚化粧
新緑に元気をもらいのばす背な


  「老らくの恋」           堀場  大鯉
老らくへプロムナードが硬すぎる        焼 津
たかが恋などと孤高の影が言う
休肝日だから逢引き味気ない
野仏に老いの道行きあやぶまれ


「少しケチな話」           増田  久子
ゴム長が川の深みを忘れがち         焼 津
句より字を見せたがってる草書体
バイエルの先へ行けない孫二人
客用の布団ばかりを干すテラス


「落下しきり」           井口   薫
ロボット語講座を探す介護法         袋 井
時差のある会話笑いでカバーする
テロップに遅れとらないよう歩く
落下しきりああ痩せていく花便り


 「自 由 吟」             御田  俊坊
青春の芽生えで恋の花開く           高 畠
春の風芽生える蕾動き出す
豪雪で垂木が折れた的外れ
酒の席本音を炙り出されそう


  「く る ま」              芹沢 穂々美
車座になって何何悪巧み          沼 津
狭い庭車庫にのっとりせがまれる
トスをしたボール受け止め火傷する
ピーカンの空へののじを書いている


  「あいうえお」           西垣  博司
安心の保険生活費の不安          静 岡
一つ服泣きと笑いをタイが分け
嘘本当使い分けてる一つ口
絵心もなく川柳も生齧り
尾の先を少し丸めてカウンター


「め が ね」              設楽 亜季浩
メガネかけ約款を読む虫めがね        静 岡
価値観に席が合わなくなった老いふたり
春ウララ眼鏡マスクは日本人
小姑のメガネに適う嫁を待つ


  「私と故郷」            竹内  さき
初恋を濃ゆくして会うたもと橋         浜 松
心降るともし灯深む挽歌集
てのひらのドラマと浸る私海
私にもある身の丈を漕ぐ故郷


 「雑  感」            川口   亘
生真面目が過ぎて叱言に聞こえてる       藤 枝
侘びしいかそれが本音か嘘を云い
神経は弥次郎兵衛にも似せて生き
なし崩しすぐに火のつく年金者


「時 事 吟」            田原  痩馬
変人のキップの切れる人いない      熱 海
剛腕に母屋差し出す民主党
実話から戻りつつある土地神話
イチローが本性むき出す愛国心


「人 間 性」            岡村  廣司
歯車になったら言えぬ主義主張     焼 津
人間の驕りが悲劇作り出す
追風に乗ると傲慢鼻につき
生き恥を曝す事などご免だね


  「雑  詠」            ふくだ 万年
愛なのか我慢で聞いた妻の愚痴         大 阪
邪念持ち刺された棘は我慢する
禁酒だがこれが最後と三杯目
浅知恵の塊り溶けずほろ苦い


 「明  日」            馬渕 よし子
過去を捨て輝く明日へする脱皮        浜 松
指きりの指が果せぬまた明日
明日へと無限の夢を追い求め
保証ない明日の命をいとおしむ


「叱  る」            薗田  獏沓
子を叱る親の声する生きた町         川根本町
なぜ叱る解説するから腹が立つ
一呼吸おいて破向う恐ろしさ
父親の小言は今も錆びてない


「  光  」            笹  美弥子
光ろうよ綺麗なたまご産むために       仙 台
脇役で光る貴方にいやされる
光ること知らずに楚楚と路地の花
富士山の切り札があり日本好き


「雑  詠」            鈴木  澄子
剪定の痛みを分かつ枝の張り         浜 松
健全な大樹の元で子は育つ
肩の荷をおろして気力迄うすれ
キヤチェンジ春は心もなめらかに


「自 由 吟」         中田   尚
数打てばマズイメールも二つ三つ       浜 松
審判も人間誤審だってある
他力から王・松坂が光りだす
平凡なシナリオならばいいのだが


「雑  詠」             竹内  登志
予報では晴れと言うのに膝は雨         浜 松
笑い袋全開にする嬉しい日
縁起よく春買う財布張り知らず
八十路坂卆寿をめどに励む趣味


 「雑  詠」            内山  敏子
渋ちんもこっそり買った宝くじ        浜 松
痴話喧嘩続きで茶漬食べている
食べ盛り電車待つ間のカップ麺
似た者と言われ夫婦のうまが合い


 「旅路にて」             栗原  波朗
 思いやり長続きする間柄           三 島
寒暖に腹が立つ程年令を取り
ぐうたらはいやだが身体動かない
凄い句か並び私の心萎え


 「風邪を引く」             川口 のぶ子
からっ風心の隙間入り込む       藤 枝
寝不足がとうとう風邪を引きおこし
うたた寝につい油断して風邪を引き
風邪に背を向けて突っきる貧乏神


桜花駿府公園人が集り         山田  ぎん
動物園桜満開人が寄り            静 岡
ピンク色土手の桜が見事咲き
桜咲く護国神社へ逢いに行く
裏の畑芹を摘んでる老い元気


「雑  詠」            森島  寿恵
啓蟄に虫も這い出る春を告げ        浜 松
姉の文字乱れて老いを知る哀し
据膳に嫁の優しさ彼岸入り
微笑んだ孫のピンクに染まる頬


  「背  な」            安田  豊子
寒暖の振り子が老いの背を叩く         浜 松
背伸びしてみても何にも変わらない
丸い背を奮い立たせるイナバウア
殻を脱ぐ程でなかった春の使者


「雑  詠」            藤野  俊子
スプーンは良いから地震予知をして       掛 川
大バーゲン終り家計簿見たくない
妻と娘に居間を取られてスナックへ
内緒だと皆にささやく情報屋


 「  春  」           中安 びん郎
春雷に吃りの兄がやかましい         静 岡
庭の芝無限に生える春の草
春疾風スカート族が立ち竦む
春の海釣り上げるのは河豚ばかり


「自 由 吟」            柴田  亀重
祝傘寿 老いに留守番役がある         沼 津
聞き上手囃囃す氷上舞いの美女
趣味に住む優雅な群れへ潜り込む
語らない亡父母流浪の波枕


 「雑  詠」            堀井  草園
試験管本当の嘘が逃げまくり         静 岡
長生きの親父うろちょろ褒めすぎる
回復期背中の垢が重すぎる
手の平で迷う日本語軽くなり
 

「霞  む」            中野 三根子
春がすみゆれる心も風と散る         静 岡
夢の中父のおもかげかすみ出す
春の雨パラソルの色かすんでる
ほほえみを残して彼は霧の中


 「好き嫌い」            佐野 由利子
好き嫌いはっきりしてる人だもん       静 岡
春なのにメールの返事まだ来ない
精一杯がんばっているカタツムリ
禁煙が口寂しくてガムを買う


「雑  詠」            林  二三子
思い出を溜めて押入れあふれそう       芝 川
電化製品我が家に多機能は不要
春の雨花の命が気にかかる
新芽ぷちぷち木々が賑わって来た


「立ちあがる」           川村  洋未
ストレスはまるめて固めほうり投げ    静 岡
マニキュアをぬってつぶした赤い恋
うちの子もそろそろなるか宇宙人
この迷路出口を先に確かめる


「世の歪み」            永田 のぶ男
人の口塞ぎとまらず水が漏れ         静 岡
マイク前米搗きバッタ今日もまた
ロボットに魂入れて泣き笑い
合併で公僕やたら忙しい


「綻  び」            長澤 アキラ     
ほころびがあって自由を謳歌する    静 岡
綻びを綴る深夜の赤ワイン
いいことがあったか椿ほころびる
文明の綻びがあるパンツ穴


「チョイワルオヤジ」        松橋  帆波
サングラスかけると腹が引き締まり      東 京
ロレックスぽいのをはめて飲むワイン
ナナハンも乗れると免許にはあるが
分割で買った喜平が似合わない


 「幼  虫」            真理  猫子
春夏秋冬浮気の虫は元気です         岡 崎
虫メガネでも見えないよ結婚線
泣き虫に見えてアリガト花粉症
ダンシングオールナイトな腹の虫
 

「は  な」            高橋  繭子
杉花粉 鼻で受粉をしてるって         大河原
さくら開花 私も開花宣言を
モクレン満開取り壊された家の庭
一本桜 自分のために咲いている


 「続・花言葉」           谷口  智美
本心は下心ですコチョウラン         伊 豆
疲れたと言えぬヒマワリ空元気
名刺だけばらまいている金木犀
待てますか私を試すアマリリス


「春が行く」             多田  幹江
春うららとまり木を乾す裏通り        静 岡
ざわざわと義母の木亡母の木も萌えて
風媒花見果てぬ夢に縛られる
こんな春あんな春過ぎ風薫る


  「女  神」           池田  茂瑠
待つ辛さ幾度鏡に聞かせたか      静 岡
この本が私にくれたものは悪
女神にも男を掴む爪がある
怨念の紐を這わせた深い闇


  「雑  詠」            高瀬  輝男
わたくしのドラマも謎を秘めてます      焼 津
不発弾ばかりでウツを抜け出せぬ
此処へ来て磁石狂っていたを知り
春なれや絆忘れて翔びたいな


  「  頭  」            川路  泰山
立法府頭の悪いのが揃う           島 田
足元を照らしそこねた東大出
社長族上手に頭下げてるね
教育は単調 社会複雑に


「もう中指は」             山口  兄六
次世代の恋にドタキャンされている      足 利
問診を受ける不純な亀の餌
谷間からこぽれる春に生を受け
お揃いで照れ隠せないサクランボ


「尊 厳 死」                望月   弘
のほほんと生きて尊厳死を主張      静 岡
ロボットに着せたい服を募集中
家計簿で足し算眠ってばかりいる
親指に腱鞘炎の刑を科す


 「もう親指は」           加藤   鰹
星が降る正しき戦などはない      静 岡
バカヤロー 夕陽も僕もよく言われ
寝違えてああ健康の有り難さ
友の死にもう親指は隠さない


   顧  問  吟 
 「蝶つがい」       柳沢 平四朗
才覚はゼロで愚直の字をなぞる        静 岡
薄い陽を大事に老いの馬の耳
片方を責め共犯の蝶つがい
籤運の悪さへ手帳白いまま

[24] (2006/05/11(Wed) 20:06:28)



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