平成十八年六月十七日 定例句会 於 駒形神社社務所
席 題 「開 く」 池田 茂瑠 選 目を開けてお前の腹がまだ読めぬ のぶ男 玉手箱開かなくてもおじいちゃん 洋 未 才覚と無縁に生きて開ける窓 平四朗 身内皆敵かも知れぬ遺書開く 輝 男 気前よく広げた傘が閉まらない アキラ トンネルを抜けると里の空気だな 梨 絵 よく開く蛤の味見事なり のぶ男 開いてもエレベーターは信じない 弘 開いてますと注意もできぬ向い席 泰 山 家族の目集めて開く旅土産 輝 男 お握りはすべて半値の開店日 びん郎 開襟のシャツが主役の顔になる 弘 クールビズ梅雨の谷間に胸を開け のぶ男 策なんか無いよと開くたなごころ 輝 男 五 客 優しさが心の扉開き切る 由利子 昭和史を開けば罪の数ばかり 輝 男 あかずの間閉めたからにはあく筈だ 洋 未 開脚へ見てないふりがむずかしい 弘 ライバルと差が開いてく気の焦り 由利子 人 位 手品終えお開きにするクラス会 びん郎 地 位 酒追加しようハマグリ開きそう 鰹 天 位 賽銭をはずんで運をこじ開ける 弘
宿 題 「 雨 」 佐野由利子 選 ひと夜あけサポーターに涙雨 亘 予報はずれ名も返上の雨女 平四朗 ぼんやりとごろ寝している雨の午後 千恵子 アメダスより確かな祖母の偏頭痛 平四朗 雨あがり子らが跳ねてる水たまり 二三子 雨だれを背中で聞いてツメを切る 博 司 日曜日妻とデートを雨が妬く 安 心 居酒屋のノレンが誘う雨やどり 穂々美 銀の雨古都の蛇の目へ粋に降り 泰 山 降り出した雨に責任押しつけた 洋 未 雨に咲く白にも燃えるものがある 茂 瑠 親不孝返せぬ傘を今も抱く アキラ 君去りし街にセピアの雨が降る 鰹 明日は雨背中の傷が痛み出す 寿 恵 雨あがりブランドの傘じゃまになる 洋 未 春雨が洗い清める過去未来 太 郎 梅雨入りの雨にアジサイ呼吸する 梨 絵 諍いへ不吉な雨が加速する 豊 子 下ごころ見透かされてる雨男 穂々美 外へ出て最初の敵は雨だった のぶ男 雨垂れのリズムと遊ぶ膝小僧 圀 彦 雨だれの音つきささる老いの午後 は な 五月雨が続き思いが深くなる は な 軒下にロマンス生んだ俄雨 びん郎 雨ざらし打たれ上手の生き上手 澄 子 五 客 どしゃ降りに飛び出して行く母の傘 アキラ 斜めから降る八月の黒い雨 太 郎 地下街で無駄も買います雨やどり 大 鯉 逆らえば雨は下から吹き上げる のぶ男 大声もやむなしトタン屋根の雨 廣 司 人 位 乞うた雨三日も続けば出る欠伸 幹 子 地 位 雨降りが続くと酒の友が来る 俊 坊 天 位 梅雨入りを喜ぶ蛙 世も平和 のぶ子
宿 題 「ふわふわ」 加藤 鰹 選 老いらくの恋でじいちゃんふんわふわ泰 山 主義主張持たぬニートが浮いて生き よし子 主義持たぬ木偶でその日の風次第 輝 男 僕の夢風に吹かれるシャボン玉 竹 水 シャボン玉親子で遊ぶ虹の橋 登 志 ふわふわのドレス犯罪見え隠れ 澪 子 ふわふわと心が揺れる曲り角 千恵子 オムレツがふわふわ焼ける幼妻 しげる 肉饅の頬が寄り添う保育園 弘 お見舞はカステラと来る友の声 安 心 マシュマロのような女でよくもてる 輝 男 マシュマロのほっぺにチューをしたくなる 昌 利 出来たてのパンのにおいで朝になる 尚 オットット ビールに泡があればこそ 豊 子 大吟醸ふわりふわりと悪女ぶる 美弥子 舞うように女余酔の帰路につき 茂 瑠 売り言葉をふわふわにする国訛り 智 美 聞く耳をもたぬ初恋青い空 草 園 ふわふわと軽くこの世を泳ぎ切る アキラ ふわふわと長生き神が神を呼ぶ 満 月 蜘蛛の糸風に流して店構え 重 雄 ばあちゃんも呼んで指差す飛行船 静 枝 鬼の忌へ私はやわらかく着込む 茂 瑠 体重に羽毛ぶとんの窒息死 亜季浩 身が沈むソファーへ決議煮詰まらず 平四朗 ふわふわと背骨の細いおとこたち 美弥子 軽過ぎた約束でしたプロポーズ アキラ これからを託すあなたの腕の中 五 貫 五 客 ふわふわのオムレツ心までふわり 薫 陽を吸った布団にわけがありそうで 穂々美 ワッフルがふんわり焼けた日曜日 由利子 無重力妻に敷かれて心地良い のぶ男 結婚するセンベイ布団さようなら 安 心 人 位 さて今日は何をしようか根無し草 圀 彦 地 位 欲望も栄華も所詮風の戯画 平四朗 天 位 たんぽぽも町に出たきり帰らない しげる
宿 題 「時事川柳」 望月 弘 選 済みませんそれが犯した罪の果 亘 丸のみで九月が来たらサヨウナラ 尚 拘置所へ入れるほどの金もない 圀 彦 社保庁の分母を変えるテクニック 亜季浩 風の子を摘みとる鬼の眼がにくい 昌 利 笑い声消すよに罪はテレビから 和 枝 夢の中僕は宮本シュンスケだ 洋 未 エレベーターボタンの前に見る社名 野次馬 地球儀をぐるぐる探すクロアチア 鰹 介護する人もされたい歳となる 敏 子 石油高恋のドライブままならぬ 輝 男 殺人犯の更正これが解らない 圀 彦 少子化へ侵蝕の波容赦ない 豊 子 少子化がどうあれ子供重荷です よし子 少子化へ事故と事件が追いかける アキラ 少子化の波に年金ギブアップ 澄 子 クールビズショーにライオンもういない 静 枝 クールビズいっそアロハを着てみよう洋 未 日銀が錬金術の先を盗り 亘 錬金術の尻尾が絡むヒルズ族 平四朗 今ここで退けば僕の絵紙切れだ よし子 盗作と一目でバレる絵が証拠 徳 子 新聞に平和の文字がみつからぬ 梨 絵 伐採のし過ぎか地球暴れ出し 二三子 離れない死ぬも一緒とずるい嘘 のぶ男 日本を売る人年々増えている 廣 司 愛国心無理に教えて何処へ行く 大 鯉 昭和史の波紋を揺する隣組 政次郎 改革の種は蒔いたが水がない 尚 電車駄目エレベーターも恐ろしい びん郎 次の椅子狙う過熱のクールビズ 安 心 エレベーター人の命をもて遊ぶ のぶ子
五 客 村上のハンド日銀まで襲う 泰 山 申請が無くても免除せよメール 獏 沓 シャクだけどズバリチクリと細木流 まつ子 井戸端の談合すぐに水が漏れ 竹 水 儲かればいいと過労死見捨てられ 大 鯉 人 位 鬼どもがあっちこっちに出る日本 安 心 地 位 ちゃんこ鍋世界の調味料を入れ 鰹 天 位 民主党仕立て直しの背広着る アキラ
宿 題 「自 由 吟」 互 選 Dリーダーになり微風さえ気に掛かる由利子 Cちちははへ噛んで含めて言い聞かせよし子 B飲まれたい日のぐい呑みが小さく見え アキラ B豆腐噛む脳が荷崩れせぬように 泰 山 Bあじさいにてるてる坊主睨まれる 弘 Bちょぼ髭をはったりだとは気付かない 安 心 B本当の涙一人になったとき しげる B男だけ話題にのぼるクールビズ 亜季浩 B異議なしの拍手で終わるムダ話 まつ子 Bナツメロをふとんの中で聴く平和 尚 B一ランク下げて目線を楽にする 大 鯉 A欠点は上手に出して渡る橋 和 枝 A歳のせいにされて治療もままならず二三子 Aどうであれ妻はやっぱり妻でいる 野次馬 Aからっぽの詩のうを揺する路地の花は な A引っ込めた腹で出てくる試着室 五 貫 A痛いほど解る相談辛く煮る 草 園 A世渡りの巧い話で損をする 政次郎 A賛成の多数を以って可決する 重 雄 A削除キー押しても消えぬ過去の傷 春 江 A粉飾は百も承知の決算書 獏 沓 @パッチワーク明日の夢をつなぎ合う敏 子 @波乱万丈涙のあとをなぞらえる 梨 絵 @無限大そは人間の欲深さ 輝 男 @覚悟して下さい私ABです 智 美 @偉くなるとさん付けでなく呼び捨てに びん郎 @言い負けて勝ったと決めた安堵感 竹 水 @自尊心持ってダボハゼ石の上 博 司 @童話とは亀が負けたら作れない 叶志秋 @人間が怖くて兵器思いつき 廣 司 @雁首が揃って帰宅カレーの日 太 郎 @根性で骨身惜しまずまだ稼ぐ 俊 坊 @大正の生れで和裁の座りダコ 登 志 @酸欠の肺へタバコがまた上がる 静 枝 @終点への所要時間を聞いてみる 昌 利 @ヨン様も人並でした不眠症 穂々美 @時は金心大事に生きている 澄 子 @見慣れない花幻想の夢を抱く 豊 子 @本心をなかなか言えぬ輪の中で 義 子
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[36] (2006/06/17(Fri) 20:36:37) |
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