静岡川柳たかねバックナンバー
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北海道
目が二つあって見逃しばかりする  大橋 政良
深呼吸して決断の戸を叩き     中川  司
北窓を開けて何かを待つ時間    浪越 靖政
まっすぐに歩いて首を殺ぐわれる  大野 直之
青 森
炊き込みのめしで人生語れない   北村 吾朗
生きている小鍋を洗う音させて   横山キミヱ
街道の椅子はふんわり心地良い   山田十九子
美しく生きるって辛いね柘榴    内山 孤遊
ふるさとは日溜りである母である  櫛引あやの
前向きに善処ぞうきん換えました  中村みのり
約束の小指ときどき獣めく     八木田幸子
言い訳はアドリブばかりちぎれ雲  中道 文子
秋 田
妻は趣味さみしい夫は枕抱く    猪股 幸子
この耳を福祉の届く位置に置く   吉田 義雄
岩 手
故郷が変わる私は変わらない    除田 六朗
ワッハッハ心の憂さはさておいて  宮野たきこ
実直に歩いた父の花笩       加差野静浪
晩年の美学なんぞで生きられねぇ  畠山 軍子
皺の掌で孫抱き上げ見せる地球   中田さだ子
裸木になったのサ!冬を生きるため 葛岡ヒデ子
夢のようと古鐘ふらつき見せている 佐熊いさ子
ひばり揺影哀しい酒を注ぎこぼす  菅沼 道雄
梅雨明ける晴れ間の誘い水着干す  駿河 噴午
この先の時間造花はどう過ごす   高橋 杏仁
シュレッダー孤独を理解してくれる 中島 久光
山 形
人生の暮色炎えますスニーカー   石沢 久子
罪隠しされど許さぬ雪卍      柏屋叶志秋
叱るより褒める言葉で母の愛    御田 俊坊
さくら咲く一度にどっと息吹き出る 丸山あきら
春愁やときめいて割る生卵     高橋 白兎
宮 城
しなやかなけもののように散る夕陽 笹 美弥子
貝よりも石になりたい時がある   真田 義子
引力に逆らうにぎりめしを持つ   鹿野 太郎
眉間には我慢比べの跡がある    高橋 繭子
農民の農は命の物語り       保田 二郎
このドアを開けて慈顔に逢えるのね 勝又 明城
新聞に鬼よりこわい親が居る    小室 春柳
しつけ糸解きたくない子の自立   太田 良喜
天然の髪を憎んだことがある    中沢ゆり子
蒸しあがるワタシをたんと召し上がれ 横関智恵子
殺さない程度で売れぬ私小説    高橋 朗風
北極に立って自転に気づかない   本村 靖弘
人間のおごりに慣れたゴミ袋    千葉 幸子
両の手を抱きしめている嬉しい日  岩松 紀子
雨が止むまでに答えは出るだろう  吉野 和夫
愛国に燃えて達磨になったワシ   鹿野  椿
朝露キラリ森の童話が走り出す  あきたじゅん
海の底這えずり回る導火線     長谷川文子
福 島
尾灯去る魚のぬめりを掌に残し   小野 清秋
負け犬のすがった藁で縄を綯う   横山 昌利
斧を持つ男と明日の話しする    江尻 麦秋
人を恋うかたちで廻る洗濯機    中野 敦子
運転の妻は平気な峠道       佐藤 千四
コンセント入れて鼓動の第二章   山田 寛二
天気図のどれも私の味方する    高橋 成子
茨 城
引き出しに渡せなかったラブレター 鈴木 良平
ひと味を絡めて責める唐辛子    岡 さくら
空想で泣いた日経験で泣く日    毛利 由美
道を説く立場の人の非常識     舟橋  豊
人間の心拡げる抽象画       川村 英夫
勝ち組へ耳打ちプロの甘い罠    松本 晴美
朱の墨に納得できて息が抜け    葛西  清
組立てる虚構ロイトになりたがる  三浦 武也
紙オムツ母は女を捨てきれず    園 いく子
栃 木
パソコンを捨てた僕らはトムソーヤ 山口 兄六
母在ればきっと喜ぶチンの音    赤羽とし枝
箸置けばさっとお茶出た頃もあり  刑部 鬼子
見合い席苺一つが残される     鈴木 久樽
走り出す私を好きになる私     三上 博史
埼 玉
喪があける正座くずして南風    戸田美佐緒
冗談と笑い飛ばしている涙     篠原智恵子
晴黄色おとことおんな混じり合う  山口はんし
ケータイを翳すと明日が見えますか 島崎 穂花
造花では花瓶の嘆き癒せない    吉井 清子
生い立ちを辿れば匂う泥の水    木崎 栄昇
防壁の穴から自我を解き放す    神山 元子
眼力が繁るページを巻き戻す    渡辺  梢
釣り落とす魚はなぜか出世する   池田 耕一
中流の意識で貯金底を突き     竹内田三子
背徳の虹が出たので店仕舞い    石井  昇
虫喰いで阿吽の会話腹を読む    斉藤 幸子
荒れ球を流し打ちして嫁の勝ち   長瀬久太郎
蛇行して見えて来ました余生の灯  市川 静枝
方言が消え私に貌が無い      岡部 美雄
東 京
算盤を合わせるために捨てるもの  松橋 帆波
星のない北都に灯すほうたる恋  やまぐち珠美
行き止まり いたく少年傷つける  吉川 一男
持ち直し生前墓地の草むしろ    鈴木きよし
三角の角をくすぐるドンの爪    清水香代子
晴れた日は手が届きそう北の島   渡辺 涼子
決断へ天地無用の荷が届く     上村  脩
もう一度働く為の水を飲む     永井 静佳
シアワセでないから金を溜めている 播本 充子
問題は寿命デジタル移行の日    小坂 恭一
千 葉
息抜きが上手風船丸く住み     成島 静枝
在りし日に帰るホタルの棲む郷で  田制 圀彦
青空を仰ぐ進むと決めた朝     富士 千歳
これしきの涙となった波の白    横田輪加造
オクラほどの粘りもなくて妻でいる 本田 哲子
打ち水にカメラを意識する浴衣   中沢 広子
成功の手術さいなむ後遺症     西山隆志郎
消印の街で生きよう水を飲む    長尾 美和
梅雨空へ梯子を掛けて追い払う   老沼 正一
丸かじりトマトの生命ほとばしる  平蔵  柊
水槽に終点のない回遊魚      滝川ひろし
夕焼けへ誘われて出る引き籠り   潮田 春雄
神奈川
扇風機にあああ留守番はたいくつ  翁長  裕
さあみんなアトムになって遊ぼうぜ 松尾 冬彦
晩成へトランペットを離さない   渡辺 貞勇
少子化に深さを増した国の井戸   神川 敦子
人生はボレロあせらず夢を抱き   米多吉吾郎
飲み屋でも靴は一番端に置く    荻原 鹿声
脱皮する少年神を従える      土屋 久昭
なつメロに男泣きする鬼瓦     妹尾 安子
ヒーローはまだか日本の深い霧   二宮 茂男
川柳を謡い海馬へ鞭を打ち     小山 一兎
演技賞やはり熟女に差し上げる   小泉 正巳
人生の嵐の中にある嵐       森  孝夫
ぬくもりをもらうぬくもりでかえす 杉山 太郎
山 梨
接写されこのまま居たいバラの花  風間 和子
心神喪失息子が恋をする      小林信二郎
少々は漏れても嬉し母の傘     浅川和多留
長 野
君の手をとるとびきりの微笑で あいざわひろみ
熟れているものみな罪の香りする  興津 幸代
君の名をなぞり火の粉を振り払う  吉平 一岳
青空に父の顔あり手紙書く     丸山 健三
自叙伝のトマトはどれも甘かった  宮本 夢実
異なるもの並んだだけのハーモニー 北澤 百代
夫の顔犬とたわむれえびす     山口フミ子
MRIに切腹命じられ       南澤奈緒美
眠れなく部屋いっぱいになる羊   中沢まつえ
梅雨晴れ間フル回転の洗濯機    杉浦 宏子
腰痛が古希の坂道ころげ出す    佐藤 睦子
新 潟
退職辞令まるめて覗くあかね雲   白勢朔太郎
恋人が鳩の目をして逢いにくる   山倉 洋子
握手した橋を渡って行く夕日    若林 柳一
雨雲に三尺玉が意地を見せ     平井 音子
放鳥の鳩が退職するという     夏井 誠治
静 岡
朱の羽根を繭の窓から予約する   池田 茂瑠
知恵の輪がなかなか解けぬ拉致の国 石上 俊枝
かくれんぼ呼びにも来ない花畑   石田 竹水
独り居の窓へ仲間の一つ星     市川 重雄
価値観の相違息子と喰いちがい   秋元 京子
振り上げた手が九条で降せない   伊藤 泰史
冷たさと温さがわかる下り坂    内山 敏子
よもぎ摘む指を離れぬ遠い飢餓   江川ふみ子
尻馬に乗るのが好きで良く落ちる  岡村 廣司
無機質な街でゼラチン質の嘘    荻田飛遊夢
かもめ鳴く港に嘘を消しに行く   鍵山 裕樹
事前事後母の教えの拭き掃除    金田政次郎
鬼と会う日の装いは純白で     川路 泰山
下心何も無いからパアを出す    川村 洋未
アデランス付けて女房の別世界   斉藤 才男
雑草の戦場となる広い庭      鈴木 泰舟
納棺の時は裸で入れてくれ     長澤アキラ
紅差して脈打ちだした私小説    中田  尚
愛国を分析したら核がみえ     永田のぶ男
雨の日は雨のやさしさ確かめる   中野三根子
空港に畳一枚土地がある      中前 棋人
ゴーサイン待つ4Bを尖らせて   中村 広志
乗客がてんやわんやの蜂の群れ   中安びん郎
一人言言ってみたさに酒を足す   西垣 博司
詰め込んだ悩みが胃から溢れそう  林 二三子
肩の荷が降りると小石乗せられる  堀井 草園
妻の眼を通すと消えてゆくロマン  堀内しのぶ
酒乱なら見合いの席で言ってくれ  増田 信一
舗装割る草の雄叫び風が聞く    増田まさし
頂上で天狗の鼻が干涸びる     馬渕よし子
螺子一つ転がり幕が下ろされる   水品 団石
我武者羅に生きた昭和が光り出す  望月 鐘雄
生き生きと子供が描くビオトープ  望月 邦昭
矢印を行くと天寿の手と出合う   望月  弘
揺れたのは私でした通り雨     森下居久美
口ばしが丸味を帯びたからブロー  森田 安心
合掌を知らぬグルメに小骨置く   柳沢平四朗
言い訳をするなら電源は切るぞ   山本トラ夫
酸素補給あなたの海へ帰ります   山本野次馬
百均に知人のベンツつんと居る   提坂まさえ
貧しさに負けまいとする笑い皺   佐藤 清泉
相聞歌時刻どおりにすれちがう   佐藤 灯人
八月の風は心に吹き溜る      佐野由利子
蝶もまた農夫もおなじ水勝負    設楽亜季浩
結末は飛び去る恋と青い鳥     柴田 亀重
沈丁花 鬼のフェロモンかもしれぬ 新貝里々子
こだわりがしなる命のある限り   鈴木 澄子
困ったら楢山行きもわるくない   鈴木まつ子
聴診器あててみようか嘘ひとつ   芹沢穂々美
スタミナの切れない内に妥協する 曽根田しげる
生きているこの楽しさよ蝶の舞う  高瀬 輝男
ヤンママが見事にさばく子育て記  高橋 春江
忍の字をいくつ呑み込むのど仏   滝田 玲子
夕霧にほんのりあかい恋うさぎ   竹内 さき
生きたくて胸のホタル火掻き立たせ 竹内 登志
眠れない夜考えたオムライス    多田 幹江
悩むふりさえしてくれず終わる恋  谷口 智美
怒鳴り合う夫婦も夜は床一つ    田原 痩馬
若作り入道雲に負けません     土屋 渓水
君屹度治るひまわり見てごらん   寺田 柳京
団塊がもろみのように仕上げ待つ  萩原まさ子
病床でひしと抱き合う血の絆    森島 寿恵
手のひらに掬えば透明海の色    八木 益代
初恋の割り符を探す月灯り     安田 豊子
立て付けの悪い扉のような妻    山田三千代
童心に戻る実家で食べる飯     山本 柳斎
たわごとを堪える仏の聞き上手   山本 智子
とりあえず頷いておくあの話    横地 容子
運命の日が前触れも無く来たる   吉村小名樹
子のために惜しまぬ母の汗しとど  平野ふじ子
一呼吸おいて茶の間へ生の声    丸山 隆三
子等巣立ち部屋の振子が時忘れ   藤原  衣
タレントを束ねしぐれてくるテレビ 石川 重尾
良い人と言われこっそり捨てる灰汁 渥美さと子
熱愛も失恋も過ぎ薬風呂      斉藤 進歩
ひと口で語り尽せぬ鍋の焦げ    鈴木田鶴子
丸よりも自分を主張する楕円    石川  忠
呪文解くように写経の一万字    小林 笑楽
マドンナも素顔を見せたクラス会  瀧   進
才人は土足で風に角をつけ     佐治 揺葉
嫁が来て義父はこまめに髭を剃り  飯田 玲子
志半ばで散った地に生きる     紅野さゆみ
一しずく鍾乳洞が世に教え     植松 静河
少子化に分母の愛を思案顔     村田 雅範
焼ぼっ杭駅でばったり燃え上る   太田 生枝
戦争は一番悪いけものです     片岡 玉虫
風を詠む俺は詩人か予報士か    畔柳 晴康
溺れさすあなたの海が胸にある   南 裕次郎
年金日渡る世間へ偏頭痛      市川 正子
この歳にならなきゃ咲かぬ花でした 金原 光江
父の日は父カラフルにコップ酒   金原 忠枝
柱時計反抗期かな派手に鳴る    猪瀬みつ子
三球三振まだ言い訳をする愚か   松川多賀男
人がいや一人ぼっちはもっといや  川島 五貫
神棚にチケット上げて指を折り  諏訪部たみ子
菩提寺の鐘朝もやが絵に仕立て   遠藤美惠子
捨てる夢拾う夢あり今日の幸    内藤 房子
富 山
どん底で仏の足の胼胝と会う    孝井  栞
石 川
男時女時グラデーションの宵の刻  越村 智彦
マスコミが動き事件にしてしまう  藤村 容子
わたくしと遊びたがらぬのが私   吉本 君枝
老犬に疲れまざまざ夏の陣     酒井 路也
福 井
一輪の花でありたい風景画     森口かな江
愛 知
あじさいもわたしも雨のリアクション 浅野 滋子
あの世でもキミは毎日酔っぱらい  真理 猫子
声の無いにんげんばかり碧空よ   柳   圭
方言が出てふる里の顔になる    中根 文作
朗らかで北の風とも仲がいい    今村美根子
薬飲むこの世に未練ある限り    袴田  華
理不尽に気付かぬ振りをする背中  上村 末子
真っ当な汗人間の匂いする     宇佐美 妙
望むのはよそう半分わたしの血   池 樹代子
謀られたかこっちもお面持っていて 神谷三八朗
岐 阜
地下街にごろり出世魚の死骸    松葉 鈴子
三 重
シャボン玉空の全部を抱き割れる  大野たけお
平凡でいいさと負け惜しみを言う  松田 順久
奈 良
少しずつ海へ転がる泣きながら   板垣 孝志
老人ホームみんな母から生まれた子 居谷真理子
ずん胴になっていないか砂時計   ひとり 静
春帽子脱いで仮面をはずす魔女   森野 政利
京 都
趣味で書く日本絵の色紙すばらしい 木村 彦二
老なかばそろそろ小骨抜いていく  衣川 登代
大 阪
涙腺も男結びもゆるくなる     嶋澤喜八郎
傘さして大好きな木に逢いにゆく  赤松ますみ
カタツムリに条件反射させてみる  辻   葉
末期がん食べなきゃ損と歯科に行く ふくだ万年
とりあえず来たバスに乗る寂しい日 宮前 秀子
ツユクサの告発忘れてはいない   山田ゆみ葉
母が辿った放物線のあとを追う   籠島 恵子
和歌山
ささやかな暮し眩しい天がある   北山 絹子
独りになる怖さを知っている暦   杉山 精子
手のひらにある幸せに気づかない  柏原 夕胡
あの時の屈辱バネに今がある    上地登美代
反省と言う寄り道で一呼吸     口井千代子
役持たぬ人がいろいろ言うてくれ  田中 みね
朝帰りして鳴くうちの雨蛙     福本 英子
体育会系の男が浮いている     翁長 裕美
兵 庫
靴下がくたびれているワンコイン  西端 康孝
古里は僕の心の中に在る      松永 幸男
踊り場で死んでいたのは父の影   相馬さわこ
目薬を求めて虹の橋渡る      佐藤 純一
捨て難い顔になってる丸ポスト   河内谷 恵
広 島
まっすぐに生きて涙にたどり着く  正畑 半覚
野に転びパノラマの空ひとり占め  流 奈美子
紆余曲折やさしい湖へ辿り着く   中木 未香
香 川
騙しの手口役者揃えて俺俺や 川原 喜吉
愛 媛
十年間さがし続けた人に逢う    井上美惠子
故郷が変わる私は変わらない    除田 六郎
高 知
わだかまり流せば空も笑い出す   岡村 千鳥
福 岡
石ころに濁流の愛角を剃る     酒井 可福
合掌のその真ん中に仏様      楠根はるえ
大切なこと言えなくてただ歩く   前田 伸江
焼いて煮て食べて消したい癌の種  千代 八灯
入れ知恵の切れ目話が繋がらず   江藤 一市
長 崎
おめでとう大きく笑う達磨の目   平井 翔子
真っ白に洗う私の自尊心      平井 義雄
沖 縄
音が消えほほ笑むだけの仏さま   国吉司図子
諍いもあって絆が太くなる     多良間典男
[37] (2006/09/25(Sun) 19:13:07)



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