静岡川柳たかねバックナンバー
トップページへ







入  選
バラバラに動く家族の飯を炊く    中田さだ子
戦争は一番悪いけものです      片岡 玉虫
美しく生きるって辛いね柘榴     内山 孤遊
老いの靴銀河までなら歩けます    中道 文子
四捨五入すれば骨壷残るのみ     石井  昇
モノクロの密葬続く長寿国      小泉 正巳
花万朶その他の欲が何あろう     菅沼 道雄
涙腺も男結びもゆるくなる      嶋澤喜八郎
ブランコを漕ぐにんげんになれるまで 小野 清秋
病院へ行こう私の場所がある     河内谷 恵
ケータイを翳すと明日が見えますか  島崎 穂花
引力に逆らうにぎりめしを持つ    鹿野 太郎
ふるさとは日溜りである母である   櫛引あやの
魂をやさしい酒に売り渡す      佐藤 清泉
決断へ天地無用の荷が届く      上村  脩
雨が止むまでに答えは出るだろう   吉野 和夫
独りになる怖さを知っている暦    杉山 精子
月が出るまでは普通のままでいる   赤松ますみ
いい日だな時計も脈もリズミカル   中田  尚
青空に父の顔あり手紙書く      丸山 健三
老人ホームみんな母から生まれた子  居谷真理子
わたくしと遊びたがらぬのが私    吉本 君枝
菜の花の中で安楽死を思う      宮前 秀子
春愁やときめいて割る生卵      高橋 白兎
豆絞り五臓六腑の血が騒ぐ      杉山 精子
前後左右揺れてしっぽができました  ひとり 静
水槽に終点のない回遊魚       滝川ひろし
吉備団子貰ったらしい転びかた    杉浦 宏子
一度だけ風に抱かれた吾亦紅     石沢 久子
待ち時間の姿勢は変えぬキリギリス  宮本 夢実
計算の下手な少女が美しい      望月 鐘雄
お祭りの餅はやっぱり父が搗く    森野 政利
傘さして大好きな木に逢いにゆく   赤松ますみ
生きている小鍋を洗う音させて    横山キミヱ
冷たさと温さがわかる下り坂     内山 敏子
天気図のどれも私の味方する     高橋 成子
人間のおごりに慣れたゴミ袋     千葉 幸子
毎月のわが家を飾るありがとう    正畑 半覚
人を恋うかたちで廻る洗濯機     中野 敦子
朗らかで北の風とも仲がいい     今村美根子


  秀  句
とりあえず来たバスに乗る寂しい日   宮前 秀子
シアワセでないから金を溜めている   播本 充子
ぬくもりをもらうぬくもりでかえす   杉山 太郎

 特  選
手になにも持たなくなって満たされる  やまぐち珠美


選後感 ▽個々のテーマを自由に表現する作品群の伝達性にポイントを置いてチェックを入れた。自由な選句をたのしませていただいた結果を思う。

 森中 惠美子(もりなか・えみこ)
 昭和五年神戸市生まれ・昭和三十一年番傘同人・現在番傘川柳本社副幹事長
句集「水たまり」「仁王の口」ほか


[46] (2006/09/25(Sun) 21:14:41)



たかね400号記念誌上大会   合 点 優 秀 作 品 賞  >> << たかね400号記念誌上大会 新潟  大野 風柳 選
Copyright © 静岡川柳たかねバックナンバー. All Rights Reserved.