静岡川柳たかねバックナンバー
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「夢 の 泣」            吉村 小名樹
蛇の道を知ってる友にあしらわれ       静 岡
こだわりを持つ性格で孤独好き
ついむきになるから群れに入れない
地の底を這う夢を見てうなされる


 「気  象」            石田  竹水
平成の下駄では天気占えぬ         静 岡
恋をして心は晴れている梅雨日
天の川氾濫 恋が溺れちゃう
暑い日々行水もまたおつな涼


「聖  戦」            増田 まさし
兵卆の命一銭五厘なり         静 岡
勝戦信じた傷がまだ疼き
聖戦の悪夢拭いても拭っても
敗戦の痛み薄れて見る九条

「祝・たかね四百号」        金田 政次郎
四百号綴るたかねの花明かり        静 岡
手で撫でて四百号の木霊訊く
その先を見据えくす玉未だ割らず
鍬と鎌四百号に在る稔り


「四〇〇号に・・・」        中田   尚
たかね発四百号の大花火           浜 松
一歩ずつ五百号へのあたたかさ
大輪へあせらず種をまき続け
恋人は十七音とたかね誌と


「めでたいのがお好き」祝四〇〇号   増田  久子
どう略しても寿の字は笑う          焼 津
鶴亀のどちらがお好きわたし亀
寿の文字も明るい四号車
長生きをしましょうジャンボ当るまで


「自  由」            滝田  玲子
八月の空にゆきつく海ゆかば          浜 松
金になる話になるとつむぐ口
好況のかげで人間使い捨て
うわさ話パラソル回す炎天下

「バイキング」            石岡  正司
バイキング年はとりたくないものだ   大和高田
急かぬ身へ四季の移りの早いこと
二人だけ乗せて夜空の観覧車
清水市は消えたが山本長五郎


 「浮  草」            田制  圀彦
もげた鼻置いてピエロは消えました      千 葉
喋れない九官鳥でございます
螢火の青さいのちの答です
蹴飛ばしてやりたい影が泣くのです


 「ボクシング」           松橋  帆波
拳闘という語が死んだ日なのかも      東 京
親子愛なのか角兵衛獅子なのか
儲ければいいに似ている勝てばいい
この上にパレードという挑発か


  「自 由 吟」              寺脇  龍狂
いつ出るか平成ママの第一号         浜 松
名前ではやさしい母に見えるのに
NHK律儀に見せるプロ野球
オシムらくジーコの時もそうだった

  「いちご白書」           ひとり  静
妖精も人魚も魔女もいた時間        奈 良
モノトーンでも呼び水になる 痛い
水色を捕まえるまでチューニング
葱きざむいちご白書が遠くなる


 「不  安」             阿部 闘句郎
制帽の不安漲る頭蓋骨            神奈川
脳みそを叩いてみたくなる不安
青春の不安張り付く受験票
翻訳のできない妻のヒステリー


  「  運  」            薮ア 千恵子
脳味噌を足してじっくりまぜ合わす       焼 津
付いてるね言われじっくり手相見る
この運気逃げないように蓋をする
絶好調今から恐い下降線


 「自 由 吟」            風間  和子
ご親切度を越し取れぬ厚化粧         甲 府
反対を押してっぺんでうな垂れる
逢うまではルンルン後のせつない胃
よく似てる言われて憎い子の口調


 「  夏  」             新貝 里々子
一日をパジャマですごすクールビズ      袋 井
半額のシールのついたおすしです
炭酸水のようなビールでないビール
だらだらと残り少ない日を生きる


 「軽  い」            高橋  春江
紙コップ軽い話がよく似合う         袋 井
脇役はいつもヨイショで日が暮れる
指定席例のアハハは抑えよう
新聞を見出しで了る日もあって


 「脳ドリル」             井口   薫
鯖読んだ歳あばかれる脳ドリル         袋 井
グーチョキパー脳年齢へ背伸びする
ありがたや右脳へ旅を処方され
一陣の風を呼び込む脳ドリル


 「ラ ン チ」             横山  昌利
身ぐるみを剥がれて軽いおとこです   相 馬
無精髭 夏の陽射が剃り落とす
子のいない庭でお子様ランチ食う
単純なもつれが見えぬ熱帯夜



「遠 花 火」            堀内 しのぶ
遠花火女の迷路出口なく           焼 津
遠花火狂いをかくし見る女
遠花火いっしょうけんめい語りかけ
ふっ切れた影が疼いた遠花火


 「野バラの愛」     柏屋 叶志秋
インクないペンで書いてる自己主張   山 形
愛さねば泣かずに済んだ散る野バラ
大宇宙吾が命などゴミのよう
一呼吸おけば許せることばかり


「母  娘」            成島  静枝
陣痛のつらさおんなはすぐ忘れ      千 葉
月満ちるいいなおんなは子が産める
ズッシリと寝た児が重い子守り唄
子育てを楽しみなさい今だけよ


  「座 布 団」            田原  痩馬
座布団の裏にあるのが儂の貌          熱 海
座布団へヒマに咲かせる札の花
座布団が舞う時なんとか大相撲
座布団に本音を詰めて妻は逝く


「獅子座の季節」           高橋  繭子
子どもらの歓声にある波しぶき        大河原
大都会半裸や全裸混じる夏
ギラギラの太陽ふしだらノススメ
挑んではならぬ獅子座の女には


 「ケセラセラ」            戸田 美佐緒
大根の首を洗いにくる家裁          さいたま
恋人の肩越しに見る百日紅
目覚ましを捨てるか夜のうで枕
へその緒を切られ河童に戻れない


 「交 差 点」             真田  義子
リハビリでゆっくり見えてきた明日       仙 台
飾らない言葉が好きな花一輪
指切りをしたばっかりに目が覚める
交差点ここで笑うと負けそうだ


「自 由 吟」            森下 居久美
かき氷かいて見ている甲子園        掛 川
野良に居て何より風の有り難さ
カルピスが濃いの薄いの暑い夏
締め切りの窓が切り取る夏の空


  「自 由 吟」           あいざわひろみ
特売のキャベツがとても軽すぎる      茅 野
角瓶なんて真面目すぎます困ります
人生もスイッチバックすればよい
ハイテクの森でそろばんパチパチと


 「自 由 吟」              木部 つや子
底辺を知らぬ手にある貧福祉          横 浜
沈む船見ていて撃沈されちゃった
議論とは人の話を聞かぬこと
人生のクロージングを決められぬ


 「涼  風」            大塚  徳子
一坪に涼風運ぶ秋の色             仙 台
涼風に蟻はせっせと蓄える
涼風に稲穂頭をたれて秋
涼風に枯れ葉はらはら冬支度


「人間模様」             山本 野次馬
キッと飛ぶ大空だって僕のもの         函 南
肩書きのラベルがやけにへばり付く
靖国へ人それぞれがさす小骨
広すぎるあの星ですかおかあさん


「家  族」             鹿野  太郎 
糸目など付けないパパのおしながき       仙 台
梅雨の夜ブーケ持つ娘に脂汗
お見合いの席を外してメールする
ラジオから流れる俺が割れた音


 「雑  詠」            西垣  博司
公園に二本で行けぬ足となり      静 岡
余命より残高息が切れかかり
高いびき嬶天下の有難さ
クーラーもなりを潜める夫婦仲


 「ハ ガ キ」            笹  美弥子
会いたいと金釘流の母の文          仙 台
絵手紙のあとから友のナスカボチャ
ハガキ一枚あしたを生きる糧にする
さりげなく葉書に恋の一行詩


  「雑  詠」            山田 フサ子
鉛筆を削り暑さの坂昇る           袋 井
八起き目の筆がくすぶる暑い日々
自分史に流れた春を書いておく
竹トンボ山のむこうにあこがれる


「ストップ」            芹沢 穂々美
ためらわず減速しよう長い旅         沼 津
猪口を出す妻の仕草に謎がある
回転寿司どこで止めよう皿の数
言い訳と知っても許す五月病


 「雑  詠」            ふくだ 万年
当たらない予感あっても買うジャンボ  大 阪
夏休みチョイとお出かけ火星まで
君にある魅せて惑わすすぐれ技
ヘソ出しをしない娘は風邪なのか


「ほどほど」            堀場  大鯉
スパルタの頃を忘れた笑い皺       焼 津
返り咲く場所も決意もない八十路
眼力のコンパニオンに労わられ
偏差値に疲れた頃が花だった


  「強  い」            岡村  廣司
出る杭は打たれる度に強くなり         焼 津
ライバルととても言えない強い奴
子供生む度に嫁の座強くなる
男でしょ強い女性に脅される


「の ん き」           鈴木 恵美子
あわてん坊とのんき仲良く同居する     静 岡
のんきだけ取り柄の母の笑いじわ
旅に出る朝どたばたと支度する
明日があるさにっこり笑う祖母がいる


 「午  睡」            宮野 たきこ
クサッても通した意地にまず乾杯     岩 手
ふて寝して明日の活力たくわえる
目覚めればここは人生の午後だった
子守唄自分で歌って寝に就く児


「冒  険」           竹内  さき
コーヒーの二杯私を大にして       浜 松
再会の呼びすてじんと熱くなる
紅いバラ占って居る愛一途
角丸く女色した糧握る


  「任 せ る」            薗田  獏沓
健康は妻に任せて皆食べる         川根本町
行く先はカーナビだけが知っている
性別は神に任せて嫁の腹
なすがまま妻の出す物着て出掛け


「自 由 吟」           竹内  登志
先の先よんで渡れぬ石頭           浜 松
おしゃべりが過ぎて内緒の口すべり
妥協して読みの甘さに悔い残る
嘘も方便時には使う生きる知恵


 「自 由 吟」            御田  俊坊
手を繋ぎ平和な世界築きたい       高 畠
家庭から世界の絆平和の血
剣要らぬ子供の世界欲しいもの
剣道で修行を積んだ心意気


「い の ち」            加茂  和枝
休止符をときどき入れて命とは      岩 沼
アリアだけ聞こえてきます体から
命とはぷつんと切れるさだめとは
真剣に生きた証に感謝して


  「友  よ」            川口   亘
勿論の言葉の裏にある噂            藤 枝
口軽が喋って起こす噂だね
かけ過ぎの情けの裏にある皮肉
知りすぎてその身がつらい枯れ尾花


「  星  」            安田  豊子
灯を消して時効の星に懺悔する        浜 松
満天の星のどこかに母がいる
天の川わたしも逢いたい人がいる
星の降る川辺に集う恋ほたる


 「あいうえお折句(ゆ〜ん)」     酒井  可福
揺れる恋余所の街までランデブー     北九州
隣人の留守に預かる連絡票
浪人の若者達が誘る ん
終りとせ訳も解らず利口ぶり


「下  駄」            設楽 亜季浩
いまの子に二ノ字ゝが通じない       静 岡
人だけになってしまった総入歯
下駄浴衣おんなになれる夏祭り
先生は下駄に着物で鯉に餌


  「ジョッキ干せ」          羽田  共生
警戒心と防犯ブザーで子が育ち         牧之原
鴨一家ひっこし巡査もおてつだい
ジョッキ干せ八十五センチまだいける
兄弟喧嘩の種残ってる島ひとつ


「七  夕」            川口 のぶ子
七夕の願いもむなし雨に泣く         藤 枝
七夕の逢瀬をはばむ黒い雲
ゴロゴロとかみなり様が威嚇する
夕涼み見上げてごらん星が無い


 「雑  詠」            森島  寿恵
雨降りは嫌だと言えば照り続き      浜 松
野の花は踏まれる度に強く伸び
難題が解けず鉛筆先細り
人の口悪口言えばすぐ伝わり


「没 供 養」            鈴木 まつ子
中八でまんまと抜けた句の誤算       島 田
何回も舌で転がし地に還る
没供養とことん煎じ拝まれる
生きたままグサリ切り込む句を求め


  「雑  詠」            山田  光男
師の激に耐えて花咲く初舞台          静 岡
わが道を進むときめたナース帽
おそろしい手加減忘れた愛のむち
戸を這うも毛虫に大きな夢がある


「雑  詠」          馬渕 よし子
夏バテを防ぐ回りのエネルギー    浜 松
頼られて予想外にと出た馬力
苗床へ未来の夢の種を蒔く
子等の声聞こえ少子化ほっとさせ


 「自 由 吟」          望月  満月
約束を鏡の中であたえてる        静 岡
夢を持つ文字が好きで抱きしめる
まだ乗れる自由と言う人生の切符
御自由の風にも乗って来ています


 「矛  盾」         中安 びん郎
参拝をしても止めても非難され     静 岡
冷房をするとオゾンが破壊され
増税で暮らしはすぐに良くなるか
年寄が喜ぶ厚い生き字引


「真  夏」        林  二三子
長い梅雨明けて花々色を増し   芝 川
上高地多少の汗も心地良い
夏休み朝から子らの声響き
走り込む球児勝利の夢を持ち


「乱  心」        堀井  草園
骨抜きの闇夜に叫ぶ鬼子母神    静 岡
順風に乗るのが怖い濡れ落ち葉
売れるもの無い引越しの後遺症
躓いた石で迷いが解けて来る


 「介護の愛」          柴田  亀重
無表情でも動ける幸の介護部屋     沼 津
群れて飲むコーヒーの香の仲良しよ
何の為生きる死迄の問題だ
自慢して極楽愚痴は地獄唄


  「自 由 吟」            山田  ぎん
父釣った鮎が五匹も泳いでる          静 岡
客が来てスイカを切ってテレビ見る
ハーモニカ吹いてるようにもろこしを
此の暑さ老いはテレビを見ているよ


「私  的」            辻    葉
千手観音に千を誓って憚らず          大 阪
秘密を守る快感として守る
会者定離いいえ私は放さない
のんびりとさせてはくれぬ影法師


 「雨に歌えば」          永田 のぶ男
都市砂漠生け贄捧げ雨を乞う    静 岡
一滴の雫の下にある大河
恵みの雨潤う大河郷となる
雨上り笛や太鼓や三味歌う


 「帰  る」         川村  洋未
いつ帰る聞いていいやら悪いやら 静 岡
帰ろうよいい事はないこれ以上
さよならと点になるまで手を振って
携帯で鍵をあけてと家の前


 「今のうち」      多田  幹江
言い訳のうまいカラスのワイフです   静 岡
ささくれています心も指先も
トンネルをクシャミしながら脱けて来た
働けるうち生きているうち今のうち


  「過  去」       堀場  梨絵
過去帳からしたたり落ちる愛いくつ  静 岡
肩に手が触れたお人に逢えた街
お手玉のいろ鮮やかに亡母を乞う
蜜蜂が稼いでくれる夏の陣


「虎 竹 抄」           長澤 アキラ
早起きをするが未だに得がない      静 岡
来客が有ると片付く家の中
歩留まりの良過ぎる娘まだ未婚
居酒屋で汚れた昼を脱ぎ捨てる


 「  虫  」          谷口  智美
電波時計より正確な腹の虫   伊 豆
ごめんなさい誇大広告ですムカデ
蟻だって遺言くらいあったろに
ポジティブと言ってくださいキリギリス


「槍 の 錆」          池田  茂瑠
安らぎをくれる造花の赤でいい   静 岡
権力の波に弱音の椅子浮かぶ
字余りの槍で先から錆びてゆく
格子柄好む清楚な母ゆずり


「  夏  」         佐野 由利子
見詰められたじろいながら蝉脱皮    静 岡
善良な私に飛んできた火の粉
胸反しラジオ体操朝の風
星降る夜ベランダに干す児の水着


「電脳グルメ」            真理  猫子
電池切れでもケータイは玉手箱    岡 崎
レーズンが美味しい秋のバイキング
わた菓子の中に不倫な添加物
種明かす出番を待っているバナナ


「夏サイト」               山口  兄六
メールからメールへ続くヘビ花火     足 利
アポロンが夜遊びをする熱帯夜
砂浜の貝が遊びの恋と知る
要するに僕はあなたが好きらしい


「生きながらえてありがとう」 曾根田しげる
地図にない道も歩いて丸くなる 静 岡
聞き馴れぬ新語溢れて世が歪む
歳重ね杭にはなれぬ聞くだけよ
相槌を打ってくれます嫁が居る


  「ふ ぐ り」         川路  泰山
日本の夏へ浴衣と下駄買いに      島 田
行水で小粋に虫の声を聞く
まだまだとふぐりが騒ぐ夕涼み
幾たびも洗い直して風を着る


「自 由 吟」               高瀬  輝男
闇また闇 伏流水の長い旅            焼 津
酌いでやる君の痛みがわかるから
何度聞いても海は答えを出し惜しむ
クッションにする気で吐いた嘘一つ


「にんげん」                望月   弘
肝臓でぐさりと折れる妻の愚痴      静 岡
近頃の子らと昔の餓鬼の弁
妻と僕ふたりで人になっている
にんげんを棲ませて地球悔いている


 「晩  夏」            加藤   鰹
シャガールの青より謎深き女       静 岡
ぷっつりとメール途切れて夏終わる
おでん屋の親父泣かせること言うね
三十二年振りの凱歌に燃えた夏


   顧  問  吟 
 「  笛  」       柳沢 平四朗
年金の萼介護へちぎれそう           静 岡
もう鳴らぬ笛煩悩を持て余し
歓心を買う人品の付け黒子
団塊へマリオネットの膝嗤う


[48] (2006/09/25(Sun) 21:20:41)



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