静岡川柳たかねバックナンバー
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「菊 の 花」            大塚  徳子
一球を待って三振してしまう         仙 台
白鳥の翼に乗って来る童話
学校の怠慢生徒かわいそう
霊前にいじめを嘆く菊の花



 「恋は空席」            戸田 美佐緒
貴女を待って恋は空席です。かしこ     さいたま
ときめきが痛い痛いと切ながる
ため息で残り時間を消していく
以上で終る味気のない僕でした



「舞  台」            高橋  春江
喝采もないのに舞台しがみつき     袋 井
斬られ役今日はみごとに死んでやる
パソコンは一本指の手法です
雑魚だから群れていないと寂しいの


「冬ですね」            相馬 さわこ
寒そうに空のバス行く七時前        神 戸
マスコミに踊らされて自殺連鎖
冬花火見る時だけは恋の顔
冬ですね旧友に出す文戻る


「面食らう」            石田  竹水
愉快かな暮らしは漫画そのまんま       静 岡
陽が沈み愉快にネオン喋り出す
口下手が砂に書いてた誉め言葉
喜びが重さなり過ぎて面食らう


「  花  」            安田  豊子
口説かれて花は多彩な香を放つ        浜 松
はらからの想いは尽きぬ曼珠沙華
踏ん張って遮二無に生きる水中花
少子化を睨み寡黙な茄子の花


「雑  詠」             ふくだ 万年
微笑みは言葉以上の意思表示          大 阪
閉じ込めた妻の愚痴から異常音
面の皮薄いのだろうかこの寒さ
夕餉膳格差社会が見え隠れ


「生 き る」           山本 野次馬
生きている証しか人に嫉妬する       函 南
だいじょうぶ楔を元へ打ち直す
しがらみと同居していく心地よさ
大あくび人間らしく酸素吸う


 「虎 竹 抄」            鈴木 恵美子
毛糸玉ころころ愛を編み続け       静 岡
川の字に寝てはいないよぼく元気
喧嘩した昨日を忘れ仲が良い
わんぱくがぐったりしてる何かある


「酒  場」           金田 政次郎
連れられた酒場で薔薇の花に逢い    静 岡
水割に季節が浮かぶカウンター
距離を置く耽美な恋のナルシズム
こみあげる恥の記憶の啼き声


  「雑  詠」            成島  静枝
青い目へ車中メイクが恥かしい        千 葉
恥文化日本の良さが消えかかる
世間様教えた母が小さくなる
赤トンボたまには母を笑わせて


「合わせる」         馬渕 よし子
頷いているが目線を合わせない     浜 松
イエス・ノー言えぬ日本の舌足らず
焦点を合わすと発火するメガネ
足並を合わすと夫走り出す


 「破 れ 傘」            横山  昌利
煮崩れの豆腐が嗤う骨粗鬆     相 馬
未練たらたら破れた傘をさしている
吊されていよいよ軽くなる右脳
快諾の妻に油断をしてしまう


「まぼろし」          新貝 里々子
噛みしめる恋も奥歯も萎えている     袋 井
坂道を無様に転び恋終る
マニキュアは恋のあの日と同じ色
疼くものあれはまぼろしあれは夢


  「雑  詠」            笹  美弥子
玄関に君が一輪の吾亦紅        仙 台
菊人形大河ドラマに彩を塗る
切り取り線いったりきたり倦怠期
そのことに触れまいモーツアルト聞く


「没句供養」            薮ア 千恵子
ひたすらに歴史を呑んで海無言       焼 津
故郷の祭に続く木遣り歌
散歩道風が運んでくる季節
一肌を脱いで返している恩義


「バランス」            増田  信一
リセットができる自分史あったなら      焼 津
方言のシャワーをあびて生き返る
連れ添いは勝ち負け五分でちょうどいい
若い時出した手形が今回る


「もう終わり」           中田   尚
この間雑煮食べたら大晦日          浜 松
学生の時にこんなに早ければ
計画が計画のまま十二月
下書きのままで終わった句と眠る


「動 物 園」             井口   薫
子供より子供になって動物園          袋 井
オランウータンの千両役者動かない
象ナナ子喪中へ檻の前静か
動物の視線人間ウォッチング


「自 由 吟」            寺脇  龍狂
恵贈の歌集に光る師のサイン        浜 松
改革の華は一、二期 危機四、五期
言い訳を優先席へして座り
ちびっ子もメジャーも同じホームラン


「小さな灯」            真田  義子
転ぶたびあっけらかんと歩き出す       仙 台
ポケットに楽しい言葉入れてます
ライバルがいるから僕も光り出す
平和です小さな町の小さな灯


「雑  詠」            江川 ふみ子
生きていく箸が重たい日暮れどき       函 南
ドアチェーン人間不信となる私
終のある人生今をいとおしむ
確実に一秒一秒死に向う


「老  い」             堀場  大鯉
整形の鼻だけ老いぬ可笑しさよ         焼 津
山頭火来そうな道に秋の蝶
手のひらで切るお豆腐に秋を知る
老残を忘れる杖よ菊日和


「自 由 吟」             川口 のぶ子
サイズから試着の部屋の狭き門        藤 枝
回転の遅い頭のネジを巻く
来客が押売だけになる世代
見上げればまんまるの盆秋の月


 「  雨  」            畔柳  晴康
降り止まぬ雨と句作の根くらべ        浜 松
懐しい想いを馳せる雨の午後
苦にするなゆっくり休め今日の雨
気晴しに散髪したが雨やまぬ


 「い ば る」             設楽 亜季浩
威張っても私あってのアナタでしょ      静 岡
いばるのは病気のせいと受けとめる
意地張ってしょんぼりしてる威張りんぼ
威張るのも定年は許してた


 「現  象」             西垣  博司
晴天も続けば人は疎んじる       静 岡
クーラーを掛けて地球をあたためる
疎んじて暑さ寒さのご挨拶
ひねくれた松が素直に時を漕ぐ


「秋 の 空」            加茂  和枝
青空をひとつ探して日が暮れる        岩 沼
古いけど家のおばあは宝物
何もかも本気で汗をかく世代
腰曲がるそれでも仕事精を出す


 「雑  詠」             内山  敏子
兎小屋ローンの海を泳ぎきる      浜 松
アクセント昔のままで来る返事
思い出をつなぎ合わせる里の風
いっ時の緊張ほぐす鳩時計


「自 由 吟」            山田 フサ子
脇役へささやか母の女道         袋 井
秋晴れに酔って野山へドライブする
倖せは健康意見一致でおしゃれする
平凡を愛し静かに独楽まわる


  「矢  印」            芹沢 穂々美
矢印が天に向き変え生かされる         沼 津
噂など耳をふさいで聞き流す
ネクタイを外す男のいかり肩
結納の席でウソなど言えますか


「愛犬一五才」            増田  久子
茶太郎の名で代々の雑種犬           焼 津
だれにでも馴付き番犬は失格
犬だって飼う気になるは顔次第
可愛くて長寿で無芸うちの犬


  「喜  寿」               岡村  廣司
喜寿が来てさあここからが正念場        焼 津
切れ味をまだ落とされぬ喜寿の坂
おだてれば喜寿率先のボウリング
百薬の長を味方に喜寿を過ぎ


  「冬が来る前に」          酒井  可福
人里に冬眠の餌求め下り           北九州
やさしさを一つ残した子守柿
股引のゴムも入れ替え冬支度
松の木もワラの腹巻き巻いて冬


  「蕎  麦」            宮野 たきこ
痩せ地ゆえどこまで続くソバ畑         岩 手
揺れ咲くは北の大地の白小花
新蕎麦に舌鼓舌鼓の太鼓腹
婆が打つ蕎麦には勝てぬイタリアン


「雑  詠」            滝田  玲子
天高く体重計が狂い出す            浜 松
あちこちで尾鰭をつけて飛ぶ噂
金持ちが貧乏ゆすりする不思議
閑人に見えるか道をよく聞かれ


  「詰 め る」               薗田  獏沓
食う人を思い弁当飾り盛り          川根本町
満員でお尻を押してドアを閉め
詰め込みと言われる学校履修もれ
端で見る将棋とっくに結んでいる


  「しり取り川柳」          中矢  長仁
家の前スーパー出来て便利です        松 山
便利です朝晩に出る特価品
特価品教えてくれるレジ係
レジ係新人さんも美人です


  「頑 張 る」            川口   亘
宇宙から神の啓示か虹の橋           藤 枝
独り身の端役主役のない芝居
気力では負けないつもり歳が邪魔
足や気を示し合わせの欲しい歳


「雑  詠」              森島  寿恵
苦の坂で歩く男の勇み足          浜 松
いろは坂越すに越せない七曲り
カレンダー秋の夜長に身がふるえ
竹蜻蛉飛ばす大きな夢を乗せ


  「自 由 吟」              藤野  俊子
柳友はラジオがくれた宝物         掛 川
介護保の行方気になり年令を知る
口げんか負けるが勝ちと知り乍う
良き夫生んだ姑だと娘をなだめ


  「生  活」             鹿野  太郎
ヒツウチに留守電息を潜めてる         仙 台
九献から踊る阿呆の泣き笑い
ハンドベル一つ鳴らしていいですか
お疲れさん柳の枝が酌をする


  「がたつく」             鈴木 まつ子
読めるけど書けない漢字すぐ忘れ        島 田
目も耳も読み損なってガタがくる
年ごとにたるみ度レベルアップする
生きてゆく苦労つきもの背が寒い


「雑  詠」            竹内  登志
若者のパワー貰って生きのびる        浜 松
残り火へ大地の恵み秋の寶
ニューモード眺めるだけのウインドウ
見栄張った域は半ばで崩れ出し


  「生 き る」              朝比奈 零児
逞ましく生きた昭和の激動期         島 田
命ある限り努力の灯は消さず
精一杯生きて励めと日が昇る
前向きに生きて爽やか顔の艶


  「冒  険」            竹内  さき
美しく腰のタオルが光る国         浜 松
風漢走って走る十二月
北風に耐えて花の美抱く女神
脈脈とつむく私の一人鍵


  「虐  待」            山田  光男
虐待児命の保証だれがする          静 岡
虐待は安全場所が子らにない
虐待は上にも下にもない良心
虐待は親のえごから子はあわれ


「自 由 吟」       御田  俊坊
図に乗ると信用落とし暗くなる    高 畠
結ばれて夫婦の絆設計図
命とは枯れ落ちるまで分らない
年毎に枯れ落ちて来るクラス会


  「自 由 吟」        山田  ぎん
故郷の蜜柑届いてありがとう    静 岡
富士の山何処から見ても美しい
食事時犬が私を迎えてくれ
菊の花見事に咲いて玄関に


「バレー戦」         中安 びん郎
競技より得点を見るバレー戦   静 岡
ジュースでは気が気ではないバレー戦
団結は鉄より堅いバレー戦
一点差手に汗握るバレー戦


   「焦れったい」           堀井  草園
鴬嬢笹鳴きまでは真サラヨ           静 岡
手応えを掴めぬ頭上流れ弾
憎いまで横に首振る余り風
月も見ず一日一善下戸淋し


「  心  」            中野 三根子
母の前心がとけてゆるみ出す         静 岡
思い出をさがして心の旅に出る
心から笑ってしまう母の前
夢の中やさしい心あふれ出す


 「ソーラン節」           林  二三子
背丈程の昆布のれんの様に干し     芝 川
足早に利尻の秋は去ってゆく
鰊番屋の広さ最盛期を偲ぶ
番屋からソーラン節が消えている


「鮎三昧・・・其の三」       永田 のぶ男
爽快に友釣りの夢若返る         静 岡
鮎の口梅雨に水なく乾きぎみ
釣れなくて名人の真似しても駄目
竿さばき橋の上から指図され


  「雑  詠」            川村  洋未
今だから言えるだなんて罪だねえ        静 岡
目に見える効果でてこそ自慢でき
冷たさが時に適度な距離保ち
愛情で払ってためた領収書


「朝 の 雨」       多田  幹江
みんないい人カラス黒くて当り前   静 岡
無人売り百円玉が好きらしい
八起き目の出花を挫く朝の雨
人殺しの話に順れて肌寒い


  「日向ぼこ」        佐野 由利子
目立たない位置になくてはならぬ人 静 岡
幸せの真ん中にいて愚痴ばかり
山間を暫し走って露天風呂
日向ぼこ言いたい事を言い合って


「  秋  」         長澤 アキラ
あきらめた過去がくすぶる火消壷 静 岡
風の音静かに聞いた秋桜
遠い日の祭囃を抱いて老い
生き過ぎたボヤキながらも医者通い


   「こ こ ろ」            堀場  梨絵
一筆をふまえて生きる秋の陣          静 岡
この秘密吐けばどんなに楽だろう
相手しだいいい子になっていたんだね
なにもしないでいいよと子らに見離され


「指 定 席」       谷口  智美
見せ方は計算済みのVネック     伊 豆
謎ひとつおいてつき合う長い友
座布団に温もり残る無人駅
天国は完全予約指定席


  「十 二 月」         山口  兄六
白菜の芯役になるサバイバル   足 利
売れ残るケーキに鼻で笑われる
十二月また振り出しで会いましょう
夜祭りの終わりに髭を剃らぬまま


「崩 れ る」         池田  茂瑠
揺れ動く心へ支え頼りない   静 岡
愛の穴塞ぐ幾枚要る切手
この帯を解けば私が崩れ出す
尾てい骨熱気の渦に沈めよう


  「リ ン ゴ」            川路  泰山
リンゴ地に落ちてから引力産まれ        島 田
白雪姫もイブもアダムもリンゴから
地球を制覇したのはリンゴでした
ナイーブになろうとリンゴ剥いてます


「自 由 吟」              高瀬   輝男   
生きるためならば共食い許されよ        焼 津
ああ殺意腕に一匹蚊が止まる
悪用に利用度高い人の知恵
人肌の善意殺した介護法


「適材適所」                望月   弘
ちがってもいいとみすずを好きな星    静 岡
目をつむるまでは余生をつくらない
相槌を適材適所貼ってある
百薬でまだ煩悩が薄まらぬ


 「ブリキの鳥」           加藤   鰹
電飾の街 野良犬は眠れない       静 岡
マスメディア自殺ブームを煽りたて
渡り鳥北朝鮮のスパイかも
気ちがいの目線で対話する愚か


   顧  問  吟 
 「囲  む」        柳沢 平四朗
続編へ手垢のついた言葉達           静 岡
真実もあの目この目に囲まれる
紅葉がノックしている旅栞
遠慮なく石鹸が減る生きている




[59] (2006/12/26(Mon) 08:26:41)



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