平成十八年十月二十一日 定例句会 於 静岡市駒形神社 社務所
席 題 「 旅 」 林 二三子 選 秋の空思い出作る二人旅 三根子 古里の方言をきき旅に出る 三根子 集積所満杯にする旅の恥 弘 ツアー客方向音痴世話をかけ 零 児 大胆に女も捨てる旅の恥 茂 瑠 気晴らしにちょっと豪華な旅プラン 獏 沓 休肝日延期しました妻の旅 弘 日本の春夏秋冬グルメ旅 零 児 高いとこ苦手敬遠空の旅 零 児 コスモスも女心も揺れる旅 鰹 三代の顔が揃った旅の宿 零 児 凸凹の道ばかりです夫婦旅 泰 山 凧糸を切って地酒の梯子旅 泰 山 古里が少し恋しい旅三日 輝 男 停年を期に夫婦して旅に出る 獏 沓 旅好きな妻が浮き浮き旅前夜 零 児 憧れは世界一周船の旅 由利子 折り込みのパック旅行にすぐ応募 零 児 五 客 秋風の音で届いた旅の私語 平四朗 充電の旅の夜長は話好き 平四朗 肥ってもいいさ味覚の旅に負け 茂 瑠 鈍行の秋満喫の旅日和 零 児 賢妻の殻旅先の酒へ脱ぐ 茂 瑠 人 位 マンネリの流れを変える旅支度 平四朗 地 位 同行の妻に感謝の有難う アキラ 天 位 デジカメを満腹にする紅葉狩 弘
宿 題 「気 配」 佐野 由利子 選 自転車がカタン朝刊取りに出る 智 美 愛犬に浮気の気配嗅ぎ出され 重 雄 百舌が鳴く秋の気配がしのびよる 寿 恵 先客の気配にそっと引きかえす 登 志 さりげない心配りが身に染みる 三根子 気づくのがかなり遅れていたホの字 亜季浩 ライバルの弱い気配に油断する 昌 利 ずるずると結ばれそうな腐れ縁 大 鯉 鼻水にクシャミ早寝の玉子酒 竹 水 振り向いて別れの気配感じとる アキラ 秋色の気配深まる山の木々 零 児 盗み酒うぐいす張りの床が鳴る 獏 沓 ゴキブリの動く気配に身構える のぶ子 ボーナスが出そうな気配なく不安 玲 子 親の目でしかと掴んだ子のサイン 豊 子 ひたひたと迫る気配に怖くなる 徳 子 娘の目どうも気になる恋模様 泰 山 手紙来る予感も思慕の中に持つ 茂 瑠 きな臭い気配北鮮燻り出す 零 児 苦手なる人が来る偏頭痛 たきこ こうの鳥下りた気配に夢を盛る 敏 子 菓子袋あけているのがなぜわかる 洋 未 核実験また遣る気配凄味見せ びん郎 和解する気配夫がお茶を入れ 二三子 よいことがありそう空が晴れて来る 俊 坊 お迎えに来そうで先に墓参り 竹 水 花添える菩提寺亡母の来る気配 政次郎 天仰ぐ母がこたえの鈴鳴らす 美弥子 五 客 曼珠沙華しっかり秋を連れてきた 穂々美 構わない方が気配りかと思う しげる お出かけの気配に犬がまといつき 玲 子 気配など微塵も見せぬ盗塁王 獏 沓 背がさむいカッコントウを飲んでおく 尚 人 位 行き届く妻の気配りこそばゆい しげる 地 位 こぼれ萩ふたり潮時かも知れぬ 鰹 天 位 暴騰の気配見抜いて投資する 安 心
宿 題 「思いやり」 高瀬 輝男 選 目出度い日腹を立てないことにする 獏 沓 寝たきりへ昔話の蛍籠 平四朗 お昼寝をおこさぬようにくしゃみする洋 未 譲ること覚えて人が丸くなり 泰 山 代引きの荷から財布へ来る電話 静 枝 激憤の振りで収める部下の危機 じゅんこ うたた寝に掛けてくれたねこのケール長 仁 大袈裟に出来の悪い子褒めてやる 廣 司 しくじりに当り障りのない見舞い 大 鯉 欲望を捨てるあなたと歩いてる 満 月 辛くとも我慢しなさい肩叩く ぎ ん カスミ草ごめん主役になれないね 茂 瑠 この先は立ち入らぬのが思いやり 由利子 時々は憎まれ役になる親仁 亜季浩 月仰ぎ母の祈りが見え隠れ たきこ 思いやり杖に柱になって老い は な 亀の仔を海辺へ向ける思いやり びん郎 その気持ち嬉しかったぜ恩に着る 政次郎 車椅子乗った目線で押してやる 穂々美 さりげない言葉の裏の思いやり は な 笛太鼓泣いたカラスが笑うまで 五 貫 読んでくれ酔ってつぶれて打つメール洋 未 お互いの趣味を理解し邪魔はせず 二三子 疲れてる頃合を見てお茶を出す 敏 子 思いやり過ぎて子供が甘くなり 零 児 その先はもう問うまいと話題変え たきこ 負け犬の尻尾は見ないことにする 昌 利 たとえばのはなしで気遣う思いやり 美弥子 五 客 独り住む老いを気遣う両隣り 登 志 水溜り先に渡って手を貸そう 穂々美 病妻へ明るい色の紅を買う 美佐緒 角砂糖一方的に溶けていく 野次馬 風届けましょうあなたの残り火へ 茂 瑠 人 位 逃げ口のある方角へ追い詰める 葉 地 位 言うだけは言った背中を見守ろう アキラ 天 位 鬼の目の涙はきっと真水かも 平四朗 軸 吟 手料理で単身赴任もてなされ 輝 男
宿 題「はし(表現自由)」川路 泰山 選 毎食の会話途切れる箸二膳 廣 司 菜箸に愛がはじける煮ころがし 敏 子 居候箸が遠くて届かない 重 雄 箸二膳揃う幸せかみしめる 春 江 遠景を見たく禁断の橋渡る 輝 男 和解まだ出来ず黙ったままの箸 は な 箸二膳茶碗二つが閑古鳥 のぶ男 橋出来て空巣被害も持ち込まれ 博 司 道端の石は不運を語らない 美佐緒 端たない金の話に泣く世過ぎ 政次郎 端っこの方へデカパン秋日和 静 枝 端役からいつか来る日を待つ主役 亘 桟橋はドラマが生まれ消えてゆく 穂々美 橋一つ陸の孤島を過去にする 博 司 レンゲ一面端から端に休耕田 穂々美 洋食に箸を注文戦中派 獏 沓 フルコース箸で食べたいレストラン 三根子 端っこに座り睨みを利かしてる 由利子 端々に文句をつけて嫌われる 由利子 五十年喜怒哀楽の夫婦箸 零 児 強敵に出会う橋への交差点 アキラ 言葉の端を拾って食べる三次会 徳 子 廃道に昔を拾う古い橋 獏 沓 箸上手く持てぬ上司に魅力ない 二三子 大揺れも熱い二人の丸木橋 平四朗 橋のない川にロマンが沈んでる しげる ぬりはげた還暦夫婦揃いばし 三根子 居酒屋で情報を飲む端の席 竹 水 真ん中で思案めぐらす長い橋 葉 はしはしに愛の強さと脆さみせ のぶ男 不機嫌なサインは音で箸を置く 平四朗 橋ひとつ越えて訛りを聞きに行く 美弥子 五 客 侮辱した言葉だよなあ橋向う 安 心 橋渡し要らぬふたりの目が笑う 玲 子 菜箸が強過ぎるのよ山の神 アキラ マディソンの橋揺れている濡れている 鰹 たかが箸五本の指をあわてさせ 弘 人 位 また婚期逃がしてしまう迷い箸 鰹 地 位 命日に思い出すなあパンの耳 太 郎 天 位 無印の箸でジャンケンにも挑む 美佐緒
宿 題「 自 由 吟 」 互 選 G錆ついた釘は本音をあかさない 春 江 E仲直りしようかごはんできたから 智 美 E単純なほうが幸せかも知れず 大 鯉 Dあなたと私煮込めばきっとタヌキ汁 じゅんこ C追いかけようまだ幸に手が届く アキラ B帰りじなあんた私をどうする気 のぶ男 B文字に乗り行く旅先は過去未来 じゅんこ B切なさは男にもある秋の風 由利子 B肩車いつの間にやら脛かじる 登 志 Bコンビニにおでんが座り冬を待つ 尚 B方針を忘れてしまう風見鶏 美佐緒 A裏金の流れ図太く女将待つ しげる Aいい人と云えぬ姑でまだ元気 博 司 A苦労して喜びを得たしつけ糸 竹 水 A涸れかかる詩情を誘う秋の雨 は な A気取らない百年の計は自由です 満 月 A農家には嫁ぎたくない農家の娘 叶志秋 A返せない重ね重ねの恩がある 徳 子 A辻褄を合わす言葉が火を煽る まつ子 A言い訳に持ってる札を全部出す 洋 未 Aキャッチボールグラブに痛い子の成長 獏 沓 @ひと前は夫唱婦随を演技する 廣 司 @幸せの中途半端が焦げ臭い 草 園 @ひだまりへ逃げていくさに遠くいる昌 利 @良い方に解釈すれば腹立たぬ びん郎 @諍いを途中で降ろす縄電車 弘 @片袖がぬれてうれしい二人かさ 三根子 @再生紙となりの財布のぞいてる 穂々美 @大空へ指紋を残すはぐれ雲 野次馬 @昭和史の戦禍を駆けた歳回り 豊 子
参加者(順不同・敬称略)曽根田しげる 柳沢平四朗、望月弘、川路泰山、池田茂瑠 中野三根子、佐野由利子、あらいじゅんこ 林二三子、永田のぶ男、高瀬輝男、加藤鰹 朝比奈零児、薗田獏沓、長澤アキラ、辻葉 高橋春江、堀場大鯉、望月満月、大塚徳子 岡村廣司、内山敏子、堀井草園、森島寿恵 成島静枝、中矢長仁、御田俊坊、横山昌利 笹美弥子、川島五貫、山田ぎん、西垣博司 竹内登志、谷口智美、石田竹水、鹿野太郎 中田尚、金田政次郎、松野はな、安田豊子 滝田玲子、川口亘、柏屋叶志秋、川村洋未 鈴木まつ子、設楽亜季浩、宮野たきこ、中 川司、芹沢穂々美、山本野次馬、市川重雄 戸田美佐緒、川口のぶ子、中安びん郎、上 田元、森田安心、中村教子、山口兄六
▽川柳マガジン「第一回全国結社対抗誌上 川柳大会」において、見事日本一に輝いた 長野県みすゞ吟社の選抜メンバー、あらい じゅんこさんが句会に参加して下さり、い い刺激を下さった。また、朝比奈零児さん と共に、元大井川鉄道SL車掌さんの薗田 獏沓さんが初参加。病気療養でお休みして いた川路泰山さんが復活。林二三子さんも 久々に遠方から参加下さって賑やかな句会 となった
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[62] (2006/12/26(Mon) 09:32:41) |
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