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 平成十八年度 たかね年間賞受賞作品 

正 賞
  一冊の本一本の藁になる        池田 茂瑠

準 賞
  切り株の芯父がいて母がいて      望月 鐘雄
  襟立てて気前良すぎたなと思う     長澤アキラ
  一円貨仲間はずれの音がする      山田フサ子
  満ち足りてくると助言が気に入らぬ   岡村 廣司   
    



「川柳人」主宰        岩手県  佐藤 岳俊 選
  特 選
 切り株の芯父がいて母がいて      望月 鐘雄
  佳 作
 人間の背中で爪を研いでます      高橋 繭子
 恋人の肩越しに見る百日紅       戸田美佐緒
 トンネルの中で本音が見えてくる    堀井 草園
 処方箋楽しいうそを少し混ぜ      川村 洋未
 
▽2005年の広島、2006年の岩手で「たかね」の皆さんにお世話いただき感謝している。たかねは高嶺。2005年富士山頂に立った。特選「切り株の芯」は地に足をついた作品。「人間の」「恋人の」「トンネルの」「処方箋」に批評の目があった。

佐藤 岳俊(さとう がくしゅん)
「川柳人」主宰。
詩集『酸性土壌』評論集「縄文の土偶」
「現代川柳の原風景」「現代川柳の荒野」


 
沖縄県川柳協会会長      沖縄県  国吉司図子 選
  特 選
 封筒の奥までのぞくラブレター     寺脇 龍狂
  佳 作
 満ち足りてくると助言が気に入らぬ   岡村 廣司
 正札のゼロに思わず指を折る      川村 洋未
 音のない拍手も混じる多数決      江川ふみ子
 たとえばの話に伏せてある本音     江川ふみ子

▽特選・ラブレターとは縁のない年ですが、ユーモアがあり、誰でもやっている楽しいしぐさですよね。秀1〜4までは、日常生活の中でよくあること。満ち足りてくると少しは有頂天になるし、物の値段を百円から0の数を数えなければわからない値段さえ出てくる。それを買う人がいるから世の中おもしろい。

国吉司図子(くによし しずこ)
沖縄県川柳協会会長
那覇川柳の会名誉会長
日川協沖縄全国大会実行委員長



 下野川柳会会長         栃木県  川俣 秀夫 選
  特 選
 処方箋楽しいうそを少し混ぜ      川村 洋未
  佳 作
 満ち足りてくると助言が気に入らぬ   岡村 廣司
 一円貨仲間はずれの音がする      山田フサ子
 針のない時計さがしに骨董屋      高橋 春江
 捨てて来た未来を拾うロスタイム    柳沢平四朗
 
▽年間賞候補作品のほとんどが十七音字の句で嬉しい限り・   
 特選句・・・高齢化ニッポンにも欲しいものです。

川俣 秀夫(かわまた ひでお)
下野川柳会十四代会長
宇都宮雀郎会副会長
「下野川柳」千六百号記念句集“夢一句



川柳天守閣同人代表     大阪府  久保田元紀 選
  特 選
 一円貨仲間はずれの音がする      山田フサ子
  佳 作
 切り株の芯父がいて母がいて      望月 鐘雄
 一冊の本一本の藁になる        池田 茂瑠
 美人です煮ても食えない金魚です    福田勝太郎
 複雑な話はしない発泡酒        川島 五貫
 
▽静岡地域の川柳の選は今回が初めてであったが、伝統川柳、現代川柳、メディア川柳の入り混じっている地域だと思う。主観の効いた現代川柳が少なかったのが淋しい。

久保田元紀(くぼた もとき)
川柳天守閣同人代表。日川協常任幹事
大阪市生涯学習センター川柳講師
著書「現代川柳十七条」「川柳よ何処へゆく」



 川柳美すゞ吟社主幹    長野県   桜井 閑山 選
  特 選
 一冊の本一本の藁になる        池田 茂瑠
  佳 作
 いつかいつかを貯めている小抽出し   多田 幹江
 大丈夫何とかなるさ青い空       佐野由利子
 輪の中に入る勇気と出る勇気      中田  尚
 襟立てて気前良すぎたなと思う     長澤アキラ
 
▽佳句が揃い、何度か読んでやっと十五句。その中からの五句は迷いに迷いました。結局、私の生き様を詠んでいるような句になりました。悪しからず。

桜井 閑山(さくらい かんざん)
川柳美すゞ吟社主幹
長野県川柳作家連盟副会長
長野県カルチャーセンター講師


 
川柳塔社常任理事    和歌山県   木本 朱夏 選
  特 選
 一冊の本一本の藁になる        池田 茂瑠
  佳 作
 水色を捕まえるまでチューニング    ひとり 静
 月満ちるいいなおんなは子が産める   成島 静枝
 内緒だが二年前まで尾があった     長澤アキラ
 人間の背中で爪を研いでます      高橋 繭子
 
▽年間賞候補作品七十二句。定型を守り、一読明解、ユーモアと穿ちの利いた楽しい作品の数々に選句の苦しさを忘れました。特選句は一読明解ながら、内容に奥深いものがあり私の胸にひびきました。

木本 朱夏(きもと しゅか)
川柳塔社常任理事・毎日文化センター
川柳講師・サンケイ新聞和歌山川柳選者
句集「転生」



 NHKぱらぼら川柳会    神奈川県 大木 俊秀 選
  特 選
 ぬるま湯にニートの湯垢浮いている   堀井 草園
  佳 作
 月満ちるいいなおんなは子が産める   成島 静枝
 襟立てて気前良すぎたなと思う     長澤アキラ
 年収が足りず悪女に出会えない     山口 兄六
 雪解けるまではバレずに済みそうだ   林 二三子
 
▽作る方も選ぶ方も上6、上7、上8の字余りは平ちゃらという向きが多い中で、七十二候補作品中、上5部分の字余りはわずか3句にすぎませんでした。まことに結構です。一句の生殺与奪は下5が握っていると言われますが、折角の好作品が下5でヘナヘナになったものが散見され残念でした。手垢のついていないハッとする句をいただきました。
 
大木 俊秀(おおき しゅんしゅう)
番傘川柳本社。NHKぱらぼら川柳会
「俊秀流川柳入門」(家の光協会)
「はじめての川柳」(NHK学園)



毎日新聞鳥取柳壇選者    鳥取県  新家 完司 選
  特 選
 絶好調ふんわり丸くオムライス     川村 洋未
  佳 作
 飼われたくなくてすぐ死ぬカブトムシ  増田 久子
 襟立てて気前良すぎたなと思う     長澤アキラ
 靴底の減らない人が謝罪して      寺脇 龍狂
 一冊の本一本の藁になる        池田 茂瑠
 
▽「たかね」の皆さまの句を拝見するのは初めてのことですので、どのような句が出てくるのか緊張しましたが、私が目ざしているのと同じ方向に思えて安心しました。

新家 完司(しんけ かんじ)
川柳塔社同人・川柳展望社会員
毎日新聞鳥取柳壇選者
新家完司川柳集(1)〜(4)



[64] (2007/01/26(Thu) 09:42:41)



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