静岡川柳たかねバックナンバー
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「お 正 月」            金田 政次郎
コーラスが良いね日本の「お正月」      静 岡
凧揚げてコマを回した日の温さ
泣いた子に詫びて獅子舞二度回り
猪がジャンプをしたら凄かろう



 「雑  詠」            内山  敏子
流れには乗れない話もち込まれ        浜 松
冗談が程よく溶けてまあるい灯
年一度遠い絆の年賀状
大合併ふる里の名が消えちゃった



「何故ですか」           山本 野次馬
裏門にこびる大人の影がある      函 南
捻じ曲がる教育論にない正義
抱いてやる事しか出来ぬ子の柩
バーチャルの中しか生きぬ子の心


「どこにもあること」        増田  久子
小春日に目立ちたがりが一つ咲き      焼 津
一人旅昔は楽しかったのに
病棟の中庭で見たイシャイラズ
校庭を猫が横切る日曜日


「からっぽ」            増田  信一
曇りなき顔して今日も介護する        焼 津
雨女晴れの特異日寄り切った
墓建てて一番乗りは俺かいな
何も無い心に風を入れようか


「はじめて」            小林 ふく子
はじめてへ踏み込む位置を掃除する      袋 井
はじめての海に荒さを問うてみる
はじめてはファジーな彩がよく似合う
はじめてが好きで明日の花開く


「ボールペン」            中田   尚
ボールペン走り出したらサスペンス       浜 松
考えが文字になったら脈を打つ
エンピツで書けばウソだと逃げられる
少しだけ大人になってペンを持つ


「恋 懺 悔」           新貝 里々子
恋は卒業逢いたい人をまだ温め       袋 井
オンリーユーがいっぱいあった魔女だった
まさかわたしが孤独にすごすクリスマス
月火も金土日も空いてます


 「冬ごもり」            井口   薫
重ね着をしよう唇寒いから        袋 井
お節介火傷しました舌の先
サプライズ気付いた時は穴の底
自己嫌悪灰汁抜きしてる穴の中


「とぼける」           鈴木 恵美子
おとぼけの顔で真面目な事を言う    静 岡
おとぼけが笑いの種を小出しする
とぼけつつ自己主張する笑い皺
仮面つけちょっといたずらしてしまう


  「冬 の 月」            柏屋 叶志秋
雨よりも風が嫌いな破れ傘          山 形
カラオケの宴は音痴が盛り上げる
闘犬も餌のためなら尻尾振る
冬空に輝く月はクリスタル


「時 代 劇」         高橋  繭子
私が悪ぅございました 胃炎       大河原
苦しゅうないもっと近ぅ寄れ 敵よ
お供つかまつる 師走の風に風邪
いざご免 亥年に走り出し候


 「逆転の構図」           戸田 美佐緒
逆転の構図が覗く化粧室     さいたま
盆栽の枝に吊した日章旗
矢印の使者が火種を持ってくる
完全な円で絆を抜けられぬ


「期  待」           相馬 さわこ
早よお風呂入り紅白始まるで       神 戸
走り屋の音で聞こえぬ除夜の鐘
無宗教無欲だったらなお良いが・・・
よい年と性懲りもなく期待する


  「ダブルクリック」          横山  昌利
いける口が揃って夜を深くする      相 馬
潮境のうずに頑固な父がいる
ダブルクリックやがて親父の道を行く
どん底で苦いさかずき舐めている


「人  生」            高橋  春江
バトン無用不毛の地にはまだゆけぬ      袋 井
健脚も優しい風にすぐまろび
字余りの人生だっていいじゃない
気楽さを呑んで寂しさこぼしてる


「  風  」            芹沢 穂々美
浮いた話風が運んで消していく        沼 津
恐い者しらずで行った敵の家
かたつむり殻から出よう重い足
風ぐるま水子地蔵に遊ばれて


「お人好し」            堀場  大鯉
句読点付けぬレターを読み違え        焼 津
どさくさの陰でも吸えぬ甘い汁
じめじめと話すと猫もそっぽ向き
つめ込みの頭へ染みるもの僅か


「明 か り」             鹿野  太郎
ちっぽけな泉茶の間で湧いている        仙 台
歯ブラシに託す一番いい笑顔
ライバルは盆栽だけと笑う妻
みちのくに生まれて粘るよりチェンジ


「九十九折」            石田  竹水
楽しさは近道しないつづら折り       静 岡
チチンプイもとに戻らぬ恋の傷
楽しさが彩づく山のいろは坂
白黒に妥協をしない碁盤の目


「ローリング」           滝    進
転がって加速止まらぬ好奇心         島 田
核論争大波小波右左
埒もない話車座ローリング
ローラーに乗って終ったヒアリング


「日  々」            西垣  博司
生き甲斐は暦の朱書 丸印          静 岡
拾い手を待って一円玉の鬱
煩悩の小舟が日々に蛇行する
鼻風邪にこんなに多い処方薬


「雑  詠」             ふくだ 万年
ケセラセラ口笛ふいて今日も過ぎ        大 阪
買った籤くちぶえ吹いて夢を見る
毛皮着てヘソのウラ魅せ風邪を引く
歳だから十年日記買うべきか


「冒  険」             竹内  さき
さあさあーと風を越す億の冒険        浜 松
風一夜山のあなたに果てるまで
恋ペンに宿して旅をする熟女
朱を入れて今年の命手の平に


 「初  雪」            大塚  徳子
初雪を纏い笹竹イナバウアー        仙 台
冬の川蛇行をしたり澱んだり
センセーショナルいじめいじめと騒ぎ立て
薄くてもテレビにわたし感度いい


 「目  線」             升  ますや
思春期の目線の先に何かある         気仙沼
思春期の目線へ母が追いかける
伏目から上目せわしい十五才
娘へ苦言素直に聞いている不思議


 「雑  詠」             森島  寿恵
師走風町にネオンの花が咲き      浜 松
鰯雲流れて明日へ季が動く
電線にカラスの群が柿ねらう
約束を忘れられたか待ちぼうけ


「介  護」            成島  静枝
修羅越えてベッドの姑を抱き上げる      千 葉
お母さんいるね安堵の眼を閉じる
口元の笑みなんの夢見ているの
ベッドまで介護更新通知来る


 「も し も」             設楽 亜季浩
もしもだよ仮りと断る再検査      静 岡
もしやこれ青空市に似てる服
IT化もしも電気が止まったら
私にももしもがあればヒルズ族


「自 由 吟」            山田 フサ子
年重ね秒針どっと早くなる        袋 井
終章はそこまで来てる物忘れ
霜月の心へ咲かす花の彩
手鏡に春夏秋冬みだれ髪


  「夢去りぬ」            鈴木 まつ子
来る、来ないひたすら待っている月夜      島 田
愛も憎もどこへ消えたか過去にする
愛しむ夢のつづきに酔いしれる
胸しんしん心はらはら夢去りぬ


「自 由 吟」            堀内 しのぶ
勝ち組に入った気分初詣で           焼 津
春を待つ膨らむ愛も花開き
どの芽にも咲く日の夢がきっとある
畦道を辿れば童心よみがえる


  「  旅  」               薮ア 千恵子
誕生日キャリーバックのプレゼント       焼 津
来年も孫と約束する旅行
娘と孫が次々旅のプラン立て
誘われて今しかないと旅に行く


  「つれづれに」           川口 のぶ子
やる気などとうに捨てたか日指追う      藤 枝
日溜りに集まる人の杖の数
ともすれば散りそうな気を引きしめる
居心地の良いにまかせて老い拾う


  「入院生活」            中矢  長仁
病窓に枯葉舞い降り師走知る          松 山
車椅子乗り降り出来て一人こぐ
一人で立ち杖を頼りに歩けたぞ
夜景見てホテルの様と妻が言う


「晩  秋」            畔柳  晴康
歳でない秋霖出足鈍らせる           浜 松
掛け布団引張りあった今朝の冷え
もみじ狩り腰に手を当て背をそらす
背を丸め人生秋の落葉踏む


  「道 連 れ」               馬渕 よし子
生かされています僅かな年金で         浜 松
目が覚めて今日一日の荷を背負う
三歩後歩いた癖がまだ抜けず
鼻歌が聞こえ我が家は安泰日


  「笑  顔」            朝比奈 零児
美辞麗句無用笑顔のご挨拶          島 田
ひょこひょこと笑顔ぶら下げ西東
世辞よりも笑顔に惹かれ人が寄り
三代の笑顔が招く福の神


  「雑  詠」            滝田  玲子
あいまいさについてゆかれぬニート族     浜 松
駆けまわる師走第九でしめくくる
聞き流すことも覚えた処世術
波風を立てぬ暮らしにじっと耐え


「つわぶきの花」            笹  美弥子
晩秋のそこだけ明るい石路の花       仙 台
石路の花ちさくゆらして風の道
まったりと冬の入口石路の花
もう一度座りなおして組みたてる


  「喜  び」              加茂  和枝
多面体ひとつ光れば満足で         岩 沼
問題はゆっくり噛んで出す答え
一日を足は支える有難う
喜びは体の中のエネルギー


  「生 き る」             竹内  登志
世渡りのコツ弁える風見鶏           浜 松
成せばなる窮地に老の底力
郷に入り郷に従う生き上手
好奇心八十路に脳の活性化


  「  大  」             安田  豊子
生きて来た証に大きい絵を描こう        浜 松
大好きなあなたがいれば鏡見る
大小があるからバランスとれている
大金を掴む話はもう来ない


「  花  」            川口   亘
野に咲いた花にも似せたいい出会い      藤 枝
野仏に誰の手向けか花一輪
競い咲きやっと見られる菊の花
県崖に周囲の花も立ち止まり


  「自 由 吟」              御田  俊坊
約束を守り信用堅さ増す           高 畠
信頼が守る善人温かい
寒さには負けず汗かく雪囲い
風邪だけは寒さに弱く玉子酒


  「九州場所」            中安 びん郎
九州場所馬賊芸者が目を奪い        静 岡
蹴たぐりで九州場所も勝ち名乗り
九州場所地元大関期待掛け
九州の次は日本の横綱を


  「シクラメン」           林  二三子
卒寿なお手術に耐えたいい笑顔        芝 川
手術無事終えてひとまず安堵する
これからも続く介護に心する
冬の陽ざし受けて窓辺のシクラメン


「自 由 吟」       提坂 まさえ
飲み干したグラスに答え訊いてみる  静 岡
ストローですってしまおうわだかまり
足と腰油がきいて今日は晴れ
夫婦仲耐震工事やっておく


  「自 由 吟」        谷口  智美
風物詩熊手にジャンボ神経痛    伊 豆
ヤラセでもいいからもっと会話して
最大のボランティアかも労働者
民営化反対派でしょアーユーセイ


「ポ エ ム」         真田  義子
ゆっくりと歩いてごらん空見上げ  仙 台
歩くたび違う景色に出会うから
いつか見たあの青空を抱きしめて
美しい未来見つめて歩こうよ


  「信  用」             真理  猫子
針穴をつついて逃げるマスメディア       岡 崎
ここ掘れワンワンそんなヒロシが騙されて
今年こそ見積もり取って生きてみる
一番の大法螺吹きはわたしです


「自 由 吟」       堀井  草園
欲張りのからんだ枝は折れ易い    静 岡
無が夢中せっせと蒔いた無精卵
雑談の中で耳垢齧り出す
淋しくて諦めだけは漬けて置く


  「不吉な予感」       酒井  可福
滑落の夢に妻の名呼んで起き    北九州
口笛が夜の静寂の悪を呼ぶ
外からの口笛娘いそいそと
黒猫が尻尾を立てて睨んでる


「鮎三昧・・・其の四」    永田 のぶ男
川の絵が好きで稚鮎を群がらせ  静 岡
川底に鮎を名人苔で見る
よそ者を追っ払う鮎体当り
赤とんぼ止まった竿は動けない


   「転(こ) け る」            長澤 アキラ
丹田に力をこめて逃げまわる          静 岡
面接で特技を聞かれうたう歌
引っ張ってアイロンかけて化粧する
警官の前で信号無視をする


「健  康」       川村  洋未
出たくない健康という落し穴     静 岡
雨にぬれそれでもタバコ吸いたいか
健康と表書きする免罪符
一夜漬うりも私も同じ穴


  「神  様」         中野 三根子
神様になってしまった今日の母  静 岡
神の声きいてやさしさたしかめる
神さまに許してもらううそひとつ
念のため指切りをする神さまと


「美辞麗句」         佐野 由利子
内緒だと言った人から喋り出し  静 岡
甘やかしいや厳しすぎ子の躾
言いたい事一方的な投書欄
お世辞と取られなかった美辞麗句


  「つれづれに」           堀場  梨絵
海凪いでゆっくり亡父の声を聞く        静 岡
卵焼きに家紋を押して今日暮れる
金次第何をするにも金がいる
あれもこれもと何もしないで今日が終え


「裏 の 帯」       池田  茂瑠
季に合った羽根に女が変えてゆく   静 岡
東京の砂漠の上の挙式です
胸の奥まではあなたに染まらない
喪の帯を締めると美女になる私


  「雑木林のサンバ」      川路  泰山
さ緑の命を拾う美顔術       島 田
草群れて薄いお頭は置いてきぼりに
美男美女消えて烈火の熱さ踏む
雑木林のサンバに冬が揺れ動く


「ケータイ」         多田  幹江
地雷めくケータイ除けて行く砂漠 静 岡
ケータイに夢中の友とすれ違う
ケータイにひっかかってる濡れ落葉
国境を越えて電子のおめでとう


   「兵 と は」            高瀬  輝男
兵力をバック竹島尖閣と            焼 津
漁船拿捕兵力持たぬ弱さ突き
平和説くうしろチラチラ核兵器
民は飢え兵器倉庫は満杯だ


「チョリソー」              山口   兄六   
♂と♀ただそれだけでいたい夜         足 利
純愛のガラスケースで眠る僕
二日酔い君の都合になる記憶
募金箱見栄でも偽善でもいいよ


「大   吉」                望月   弘
人生のエキシビジョンへジャンプする   静 岡
時効からファーストキッス探し出す
大吉が宝くじには通じない
わたくしが優先席で揺らされる


 「道 玄 坂」           加藤   鰹
ちょっとした角度で真実が消える    静 岡
うらばなし聞こえた白ラムを追加
帰ってはこない彼女とボールペン
ホテル街抜ければ他人だね僕ら


   顧  問  吟 
 「ド ラ マ」        柳沢 平四朗
痩せて来た暦へ使者はもう来ない        静 岡
シナリオが一つドラマは数知れず
団塊のこれから角の無い切符
人情が邪魔をしている舌足らず





[65] (2007/01/26(Thu) 09:52:41)



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