四月十六日 四月定例句会 於 駒形神社社務所
席 題 「可愛くない孫」加藤 鰹 選 可愛くない孫ですどうもすみません由利子 田吾作を馬鹿にしているニキビ顔 びん郎 こにくらしい孫がアカンベーして逃げる 梨 絵 孫帰りやっといつもの二人きり 三根子 嫁に似た目鼻口もと一歩引く 由利子 孫の部屋書き損なったラブレター びん郎 だんまりもまた言葉かも反抗期 平四朗 孫の守り一日中であごが出る 三根子 お年玉で買ったのかしら金時計 びん郎 悪がきの顔をのぞけばうちの孫 泰 山 一言を云えば二言返る孫 泰 山 小憎らしい孫のべんちゃら下心 平四朗 へらず口だけが達者に孫育つ 泰 山 介護犬俺の代りに蹴飛ばされ 輝 男 小六の孫の羽根にも色がつく 茂 瑠 おばかだね出歯になるよ指しゃぶり洋 未 色っぽい替え歌唄う変声期 びん郎 小六の孫が口塗る眉も引く 茂 瑠 ませた孫ズボンの寝押し今日もしてびん郎 お礼くらい言えよ誕生プレゼント 由利子 よくさわぐ隣の孫がおとましい 三根子 日曜は野良手伝わず孫ゴルフ びん郎 嫁に似た孫の口調が気にさわる 三根子 残さずにお子様ランチ食べてみろ 洋 未 介護など断れと孫嫁を責め 輝 男 じいじより好きなんだもんパパとママ 由利子 ませた孫平然と喫う巻き煙草 びん郎 年金の振込み孫に覚られる 弘 思春期の孫に起伏が摑めない 平四朗 初孫もひげが生えるとにくくなり 泰 山 ハゲと言う孫に小遣いだけはやる 茂 瑠 お年玉貰えば孫は逃げ帰る 弘 生意気な孫に言われるあほんだら びん郎 憎い嫁孫もおんなじ袈裟の中 弘 農業を当てにするなと孫が言い びん郎 孫の部屋酒びんを見ておったまげ びん郎 今日もまた孫に理論で押し切られ 輝 男 抱きたいがにんにく臭い孫だから 茂 瑠 五 客 肩たたきの代償孫が○を出し 梨 絵 八十キロの孫が湯舟を半分に 梨 絵 うとまれてもうアルバムの孫はない平四朗 くそばばあそれなら君はくその孫 由利子 禿頭たたいて孫の逃げる足 弘 人 位 おばあちゃんたのむと云えば金のこと 梨 絵 地 位 中三の孫に鏡台荒らされる 茂 瑠 天 位 レジの前孫のおもちゃが高すぎる 三根子
宿 題 「マヨネーズ」川村 洋未 選 へぼ胡瓜生かす屋台のマヨネーズ 政次郎 一張羅見るたび憎いマヨネーズ 澪 子 マヨネーズ大好き妻の皮下脂肪 は な 脇役も立身出世ひとひねり 穂々美 キューピーのお臍を押してマヨネーズ 獏 沓 お茶漬けと刺身にまぶすマヨネーズのぶ男 マヨネーズでドレスアップをするサラダ 玲 子 マヨネーズの末路は尻をチョン切られ 梨 絵 握る程腹が痛いとマヨネーズ 重 雄 マヨネーズたっぷり世代違い見え よし子 マヨネーズの依存症だよ独り部屋 薫 引き込みがつかぬ憎さやマヨネーズ草 園 おかずはマヨネーズ若かった二人 静 枝 メーンにはなれぬくやしいマヨネーズ 輝 男 マヨネーズと握手拒否する才女の手輝 男 マヨネーズ逆さに振られボクみたい五 貫 マヨネーズごはんにかける何事ぞ 梨 絵 嘘でしょうエッ納豆にマヨネーズ 圀 彦 マヨネーズ様サマですわ料理下手 薫 妻の留守厨の味方マヨネーズ 平四朗 自家マヨに料理上手なほめ言葉 野次馬 マヨネーズ和えて話をはぐらかす 居久美 逆立ちが得意あだ名がマヨネーズ 圀 彦 主役にはなれぬが皆引き立たせ よし子 春野菜おしゃれなショールマヨネーズ 三根子 絞り切る無罪放免マヨネーズ アキラ どうする気和食の卓のマヨネーズ 大 鯉 マヨネーズかけぬサラダを食べ残すびん郎 大波小波野菜に化粧ほどこされ 尚 秀 句 マヨネーズ脇役で居て親しまれ 幹 子 マヨネーズすらも食えない妻の乱 叶志秋 かけすぎて成人病が顔を出す 尚 マヨラーにシェフも料理も泣いている 千恵子 マヨネーズぐにゅぐにゅぐにゅと自己主張 正 子
宿 題 「夜 桜」 望月 鐘雄 選 人に酔い人に恋して舞うさくら 野次馬 夜桜に愛の呪文も効きはじめ しのぶ 夜桜へマツケンサンバは角帯で 政次郎 夜桜へ月がかかって一句詠む よし子 夜桜へ月も微笑むツーショット 登 志 夜桜へ誘った蝶と擦れ違い 草 園 夜桜乱舞樹齢も艶のわびとさび 平四朗 夜桜が女の肌を迷わせる 泰 山 夜桜の力をかりて思い告げ 洋 未 明け方に夜桜を見に来るカラス 泰 史 夜桜に正体見せた新社員 せつ子 夜桜へ不粋な時計無視しよう 輝 男 夜桜よ散らぬお前がいじらしい アキラ 夜桜を散らして進む車椅子 しのぶ 夜桜に誘い誘われ恋が来る 洋 未 夜目遠目桜の下で超美人 よし子 夜桜に残り火もやす姥桜 澪 子 夜ざくらも二人ならよい雨だって しげる 夜桜が鼻をつまんだゴミの山 弘 夜桜へ踊る不倫の尾が覗く 平四朗 花よりも酒が主役で寂しいな 尚 夜桜へマナー転がる紙コップ 敏 子 桜花舞う八百屋お七の涙かも 鰹 夜桜に気持ちほんのりさくら色 三根子 夜桜に酔ったか妻が美しい 居久美 夜桜でざわめく人がみな炎 しげる 路地裏の夜桜誘う縄のれん 重 雄 弘前の桜は三味の音で舞い 俊 枝 夜桜へストレス預け春ウララ 澪 子 夜桜がいたずらをする花迷路 千恵子 盃に散る夜桜もふたり連れ 三千代 夜桜が怪しく光る野天風呂 俊 枝 夜叉の面かぶり夜桜咲き誇る アキラ 酔っ払い夜桜とするグチ話 アキラ 闇深く千鳥ケ淵に散る桜 鰹 五 客 夜桜の下で女の嘘を聞く 由利子 夜桜に愛の一言しゃべらせる 泰 山 夜桜へこころは少しエロチック 弘 夜桜に夫婦げんかの手をつなぐ 澄 子 頑張ろうそんな気にする夜の桜 圀 彦 人 位 夜桜で見初めし妻がいま吹雪 教 子 地 位 夜桜へわたしのドラマだけ無色 茂 瑠 天 位 ライトアップ私も桜になりたいわ 泰 山
宿 題 「 薬 」 柳沢 平四朗 選 正直に呑んでる薬も親ゆずり 満 月 几帳面すぎて薬の副作用 澪 子 薬包紙八十路の春の千羽鶴 正 子 薬包紙であなたと折った鶴が舞い 寿 恵 先生の意にそい日々の薬づけ せつ子 薬満載イエローカード引きずって しのぶ 特効薬わたしの好きな土と花 しげる 常備薬のひとつに妻の愛がある 昌 利 かすり傷母が舐めれば痛くない ぎ ん 呑んべーが百薬の長言い訳に びん郎 底意地の悪い上司に解毒剤 由利子 失敗が薬となった立志伝 泰 山 覚醒剤飲んで推理の舟を漕ぐ 茂 瑠 百薬の長を裏切る不摂生 弘 吹けば飛ぶ軽い命の薬づけ 梨 絵 小児科の薬に添える紙兜 敏 子 使いわけ薬と毒の匙加減 のぶ男 万能薬母の神話が拒めない 教 子 グルメ通高い薬を飲んでいる 徳 子 贅沢な食後の薬が掌に余る 政次郎 胃の隅に薬の部屋を持っている 博 司 赤い糸神話に揺れる薬指 居久美 新薬と知らぬ私はモルモット 政次郎 ちちんぷい祖母の薬がよく効いた よし子 凍りつく眼で薬害を裁くムチ 猛 郎 お世辞までたっぷり沁みたハナグスリ 圀 彦 秘薬でもあるのか妻の七変化 太 郎 妻の愚痴飲み込むための胃腸薬 野次馬 元気かの電話くすりよりも優れ 二三子 労りの言葉良薬よりも効き よし子 本心を探る試薬を二三滴 薫 五 客 死にもせず治りもせずに薬漬け 廣 司 秘薬飲み前立腺がうろたえる 野次馬 百薬が過ぎて悔いてる遅い春 正 子 もの忘れ止める薬も飲み忘れ 三根子 坊ちゃんへ他人のめしがいい薬 大 鯉 人 位 晩酌のビールは保健衛生費 薫 地 位 漢方に似てじんわりとする躾 圀 彦 天 位 薬屋の隣へ余生越してくる 弘 軸 吟 薬草の匂う土瓶に母が棲み 平四朗
宿 題 「自由吟」 互 選 Fその裏に返事の出来ぬわけがあるは な E燃え尽きてわたし只今給油中 春 江 D蜘蛛の巣の真ん中にいる正義感 由利子 D惜春の胸に夢二の女住む 茂 瑠 C八百長と言わず根回しとかハハハ圀 彦 C羊水がゆらりゆらりと動く春 静 枝 B近頃のニュースに欲しい安定剤 澪 子 B流行はどうあれ好きな一張羅 登 志 Bゆっくりと花を楽しむ途中下車 敏 子 A妻旅行静かなオレと洗濯機 五 貫 Aまたダメか咲かぬサクラへ親の脛猛 郎 A今日だけの私演じるアイライン 野次馬 A春の靴炎を秘めて廻り道 しげる A計算はなかった愛の雪崩きく 梨 絵 A金からむバトンタッチの難しさ 大 鯉 A邪魔な枝払って気力まで抜ける よし子 Aロケットも神に祈って打ち上げる叶志秋 Aうそひとつ私の中にある不思議 三根子 @B面が好きで年金そっと生き 正 子 @旅の空人それぞれの風の音 義 子 @どの顔も浮き世渡った笑いじわ 幹 子 @正体不明のままで現住所 徳 子 @悪口を笑い飛ばして没にする 泰 史 @花見サンデー人も満開春うらら 玲 子 @一病も無くて話が描けない 弘 @生業の短い命花あかり 豊 子 @無口でももくもく稼ぐ父が好き 俊 坊 @世評など何処吹く風と天下り 獏 沓 @旅立ちにさくら泣いたり笑ったり美弥子
他誌に紹介された たかね作品 ▽仙台なんぶ 259号 罪深い駈け込み寺の花見客 政次郎 パソコンは得意鉛筆削れない 一 尾 あのことは何も言わない春の海 義 子
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[7] (2005/04/16(Fri) 19:29:57) |
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