創 作 自薦句 虎 竹 抄
「いざなぎ景気」 大塚 徳子 果てしない旅路だ急ぐことはない 仙 台 いざなぎの景気あべこべホームレス 減塩が続き人生味気ない あさがおもわたしも何故か左巻き
「テ レ ビ」 松橋 帆波 ワーキングプアも見ている審議拒否 東 京 健康に良い食材が多すぎる カップラーメンの定価を知りません 納豆で二倍に増えた視聴率
「バレンタインデー」 新貝 里々子 若づくり恋という字にまた転び 袋 井 約束の小指あれから待つばかり オンリーユー聴けばさざ波立つハート もう一度お逢いしたいのです かしこ
「自 由 吟」 山本 野次馬 円周率3で学力低下する 函 南 ジーパンの穴に吹き込むすきま風 真空の中で私は甦る 捨てましょう笑い忘れたピエロなど
「生きている」 石田 竹水 御神籤はみんな大吉神の枝 静 岡 初夢は生け簀の雑魚が鯛に成る 私語七分本音三分の自己主張 生きているうちに楽しみ食べまくる
「あまり好きでないもの」 増田 久子 遠慮して食べないわけでないケーキ 焼 津 なまじ知恵あるから嫌われるカラス 来賓の祝辞次から次の無駄 南向きだけど西日が強すぎる
「自 由 句」 山本 トラ夫 変換のミスが響いた報告書 長 泉 お金まで湧き出るような今日の運 海峡の向こうは硬い骨ばかり ご自愛の中を婚期が過ぎてゆく
「良い年に」 鹿野 太郎 めくばせに口で答えて和ませる 仙 台 ステップを踏んで一病晴れ渡る 瞳きらきらガラスの橋を渡り終え 紅白のオズマに平和噛み締める
「 雪 」 畔柳 晴康 大寒だ懐までも雪が舞う 浜 松 雪が降る二人寄り添い雪見酒 露天風呂出るをためらう雪景色 雪あそび孫より先に爺ころぶ
「雑 然」 瀧 進 雑談にちらり本心顔が見え 島 田 混雑を避けて人生遠回り ラッシュアワー豊かな胸に押し出され 雑巾になって余生を磨きます
「雑 詠」 藪ア 千恵子 先入観捨てて出直す靴の紐 焼 津 堂々と師の影を踏む民主主義 猛ダッシュ抜いて味わう孤独感 冗談にさらり本音を絡ませる
「 春 」 井口 薫 約束の駅へスカーフ蝶にして 袋 井 着ぶくれよさらば春ですストレッチ 常緑樹に囲まれ春の陽が遠い 椿ポトリ 独りの部屋が事件めく
「 力 」 岡村 廣司 未熟ゆえ肩の力がまだ抜けず 焼 津 力抜くことも大事と知った娑婆 無気力を見たか相手が力抜き 力の差笑って耐える他はない
「不 自 然」 毛利 由美 メイクしてわざわざ変になる少女 つくば 目が合うと相槌を打つ英会話 なんとなく敬われていない敬語 黒髪が真っ黒すぎて勘ぐられ
「 三 」 小林 ふく子 午後三時わがままを言う胃の袋 袋 井 三寒四温春が天から降りて来る 三本のバラで心を売りました リハビリの足へワルツが重たくて
「時 事 吟」 中田 尚 重大なミスかも知れぬそのまんま 浜 松 新知事をトリトリトリでお出迎え チョコレートまずは期限を確める 発掘をしたら何にもなくなった
「春 の 坂」 真田 義子 名も知らぬ花一輪に癒されて 仙 台 いつからか風が背を押す六十路坂 旅の空朝日を浴びて鳥になる 海からの風はやわらか春の坂
「少 子 化」 柳澤 猛郎 統廃合する学校の世知辛さ 袋 井 大学の門定員を割る受験 箸づかい女子の受験で引っかかり 山車引く子供がいない御祭礼
「過 去」 安田 豊子 ナツメロへ酔えば残り火疼きだす 浜 松 今更に悔いてどうなる過去の傷 忘られぬ過去を繰っている未練 まざまざと過去が弾ける日向ぼこ
「自 由 吟」 内山 敏子 ふる里の香りを包む春の風 浜 松 癒えぬこと知りつつ笑顔たやさない ホッチキスあなたの愛をパンチする 松飾り取れた体に休肝日
「ふくよか」 鈴木 まつ子 ふくよかな母の乳房で児の寝顔 島 田 ハリのある豊胸術で若返り ふくよかなグラビア飾る撮り下ろし ふくよかな芯までぬくい愛しかた
「いちにち」 高橋 春江 お茶沸かせ猫ともめてる朝の床 袋 井 迷う日はデッサンだけの画布にする シナリオを替えたら舞台ころげ落ち 採点は甘いが今日も良しとする
「バーゲンセール」 横山 昌利 バーゲンに妻のいろはがみえてくる 相 馬 踏まれても稔る路傍の草でいる 熟知した道の小石に蹴つまずく 掻き毟る髪に罪などないものを
「雑 詠」 馬渕 よし子 異状なし生命線を信じよう 浜 松 ポチ死んで銀河鉄道乗ったかな 削除キー押して小さな罪逃れ 相談をされてずばりは嫌がられ
「充 電」 成島 静枝 充電の夫睡魔に逆らわず 千 葉 子育てのストレス分かつ孫の守り ひと泳ぎ四肢にくまなくいく酸素 充電とニート境目模糊のまま
「囲 う」 笹 美弥子 本心は囲いの中に埋めてある 仙 台 語り部を囲んで童らの瞳のひかり 囲いのなか羽ばたく音よノラ巣立ち いい会話炉端囲んでキリタンポ
「コ ン ト」 加茂 和枝 ほら見ろと似た者同志尻尾振る 岩 沼 スニーカー昨日の泥がついている 本心はコントで隠し渡る橋 ここまでは全部忘れた白い紙
「暖冬異変」 中矢 長仁 新潟で雪が無いのは百年目 愛 媛 雪祭り雪を尋ねて山奥へ 珍しく大寒に出る蕗のとう 何でかな家の大根良く出来た
「白 梅」 芹沢 穂々美 父の忌に律儀に咲いた梅の花 沼 津 白梅の白さに託し孫を抱く 月末は一円玉も役にたつ とぎ汁に家庭のヒミツ持ってかれ
「 盃 」 薗田 獏沓 ぐい呑みにして二級酒に格を下げ 川根本町 注ぐ真似と呑む真似下手のご返盃 盃を高く固めの酒を酌む 盃を片付けコップでらちがあき
「雑 詠」 滝田 玲子 明日よりも今日が大事と生かされる 浜 松 少子化のあしたの風が見つからぬ 便利すぎ人間のネジ巻き忘れ 走馬灯脳裏に灯し夢を追う
「雑 詠」 竹内 さき 占うて一駅歩く春うらら 浜 松 ひらひらと別れもきれいああ桜 あせぬ間にひと目逢いたい古都の人 とんとんとまな板に春賑やかい
「雑 詠」 西垣 博司 階段で強度不足の足を知る 静 岡 妻テレビ俺新聞でメシを食い 酔い覚めの水現実を連れて来る 大根に肩車されているサシミ
「痛 い」 酒井 可福 ゆっくりと腰を押さえて壁づたい 北九州 痛かろう敷居に小指引っかけて 伸びをした筋肉もまた悲鳴あげ 懐を大上段に斬る弔報
「雑 詠」 ふくだ 万年 白黒をつける心算が居直られ 大 阪 喪服着た後姿につい見とれ 苛めなど何処吹く風と生きてゆけ 風邪くすり抱えミニ穿きさあデート
「つ ぼ み」 鈴木 恵美子 いい事の続きを見たいつぼみ買う 静 岡 顧みるつぼみの時代瞑想す 愛されてつぼみ大きな花となる 背なにいるつぼみが日毎重くなり
「近況お知らせ」 金田 政次郎 不器用に川柳中毒しています 静 岡 テラスでの一服モンロー・ヘップバーン 投薬の行方見てますお静かに 丁寧な妻のガードに寄っかかり
「 梅 」 設楽 亜季浩 お湯割りと言えば梅かと店のママ 静 岡 梅干しで穴の開いてた弁当箱 松竹梅となりの店は上中下 価値観に南高梅もただの梅
「未 納 金」 佐藤 香織 詫ないが納めてやっとつかえとれ 福 岡 言い訳に幾度も遠方ですと逃げ 後ろめたい懐深くしのばせる すまないの一言甘えの二言
「迎 春」 川口 亘 一日の違いで変わる初日の出 藤 枝 産神の社とり巻く善に満ち 賽銭の額で拍手軽く済み 老体を笑顔に見せる妻の知恵
「お 正 月」 川口 のぶ子 大晦日猫までかりる忙しさ 藤 枝 お正月金粉入りの酒に酔い 初春をテレビかかえて笑いこけ お年玉貰ってみたい子に戻り
「たいへんです」 堀場 大鯉 プライドを重く感じる老いの背な 焼 津 そむかれた怒りやわらぐ酒に逢う 議論にも可愛い女へ負けてやる 補聴器で聞けば案外いい話
「春立つ日」 竹内 登志 春立つ日心浮き立つ隠居部屋 浜 松 遊園地遊具さびてる閑古鳥 かくし芸まさかまさかに宴が湧き 如月へ早や衣替したウインドウ
「仏 の 手」 柏屋 叶志秋 いたずらな風が季節の色変える 山 形 罪人も最期に辿る仏の手 大リーグ目指して日本カスばかり 味のない形ばかりの冬苺
「雑 詠」 森島 寿恵 進化した文化に迷う石頭 浜 松 三代でとり交うかるた福笑い 耳鳴りが気になる老いの寒い冬 吊り橋にゆれる足元ふるえ出す
「自 由 吟」 御田 俊坊 耐えること変り身早い男意志 高 畠 髪洗い気分よくなり気が変わり 五十肩痛さに耐えて眠られず 生きているだから痛さに耐えている
「自 由 吟」 山田 フサ子 今日の構図幸福感につつまれる 袋 井 考える平和平和に老いの道 さわやかな朝に元気が湧く不思議 「働 く」 朝比奈 零児 働いて働いてきた六十年 島 田 作業着が一番似合うファッション 損得は問わずに励む日々の行 清貧に甘んじ心満たされる
「暖 冬」 中安 びん郎 暖冬に彼岸の花が早く咲き 静 岡 暖冬で穴釣り出来ず氷割れ 暖冬で年頃娘薹が立ち 暖冬を老人感謝農家泣き
「自 由 吟」 寺脇 龍狂 十円で一年を買う初詣 浜 松 尊敬をされぬ先生せぬ生徒 手加減をちゃんとして打つ母のむち きらわれるくせに鴉は歌になり
「鮎三昧・・・其の五」 永田 のぶ男 釣り場変え囮の重い畑道 静 岡 茶摘み娘が気になり薮へ糸絡め 釣り友に久しぶりだな日焼け面 縄張りに命を賭けた鮎のハス
「雑 詠」 堀井 草園 空っぽな財布が重い千鳥足 静 岡 六根清浄背中の垢がまだ重い 晩年の骨太憎いま光る 力抜く流れ蛇行で本音知る
「物 忘 れ」 林 二三子 立っているからと何でも頼まれる 芝 川 食い違う会話何故だか通じてる クシャミしただけで用事をもう忘れ 物忘れクシャミのせいにしてとぼけ
「変 身」 川村 洋未 見てはだめ今マドンナになるところ 静 岡 生活苦ヴィトンにシャネルやめようか 生まれたよ僕今ここで声あげた 電話口お国言葉がついぽろり
「 傘 」 長澤 アキラ 割り切ったつもりの傘が畳めない 静 岡 時どきは変な灯だってある 透明の傘で隠れているつもり 犬とする立小便が情けない
「ホームレス」 真理 猫子 愛嬌があるかないのかデコメール 岡 崎 居住地は愛を知りたい愛知県 禁煙車 旅が苦痛な愛煙家 自然薯のふくらはぎから溶ける愛
「馬 観 音」 山口 兄六 募金箱見栄でも偽善でもいいよ 足 利 十字架の先に妾を干しておく 背徳のメロディーがなる不審な夜 恐竜は滅んだきっと善だった
「禁 恋 歌」 谷口 智美 わたくしのため息だけが舞っている 伊 豆 桃色であなたの名前書いてみる 今のうちだよこの糸をほどくのは チューリップ邪心を捨てるように植え
「 無 」 中野 三根子 ゆるやかな坂を転げるここち良さ 静 岡 優しさに思いがけずにしっぽ出す ゆるやかに心のひだがほどけ出す 雲ひとつない青空に励まされ
「私 の 毒」 池田 茂瑠 喪服着る屋根の重さを感じつつ 静 岡 自販機も抱え優しい軒になる 暗算で愛を私の毒と解く 転がった汚れが赤い鞠にある
「 味 」 多田 幹江 プロセスはいいの勝負は味でしょう 静 岡 いつの間に義母が接いだ亡母の味 涸れるなよ潮の味するべらんめえ 老いらくの恋甘辛く炊き上がり
「黄 水 仙」 佐野 由利子 立ち姿いつでも凛と黄水仙 静 岡 パッと傘ひらいたような笑い声 雪景色フラワー店は春の色 慰めの言葉といえど刺がある
「ジャパニーズ」 川路 泰山 肩書きがあれば人間などいらぬ 島 田 部長から下は真面目な影法師 ばっかり漬たべた蛙が空で舞う 懲役の程度で幅のきくジャパン
「雑 詠」 高瀬 輝男 天気図より君の心は不可解だ 焼 津 玉石混合磨けば光るのは俺か 分け合えぬ貧富いくさの火は消えず コメディアンの駄洒落が責める法の裏
「 鬼 」 望月 弘 鬼は外妻の行方がわからない 静 岡 腹時計いつも電池が切れている 精巧なロボット市民権を得る 鋏の絵鬼の金棒かもしれぬ
「仮縫いの翼」 加藤 鰹 仮縫いのままの翼で飛びすぎた 静 岡 二日酔い記憶の恐ろしいパーツ そんなんで戦えますか朝マック 雪うさぎあなたと居られますように
顧 問 吟 「幻 想」 柳沢 平四朗 徒食してほざくニートの人不在 静 岡 屠蘇に酔う自嘲の齢がのしかかる ひこばえの幻想萌える老い一ke 勝算へ昨日の駒は捨てました
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[73] (2007/03/26(Sun) 17:50:12) |
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