静岡川柳たかねバックナンバー
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「春・このごろ」           横田 輪加造
江戸猿若に十八代目の風         東 京
九代目のパレードを追う組織票
披露目が祝儀が四連チャンで来る
訃報欄まさか文枝が文朝が


 「タイミング」           山口  智史
この喧嘩負けてやるから飯おごれ    足 利
咳払いごめんなさいのタイミング
捨て台詞吐いて自分に負けている
美人だねと言っておけ喜ぶから


 「人魚姫伝」          尾形  奏子
何もかも捨てて選んだのはあなた       天王寺
その昔人魚だったほこり胸に
あなたへの愛を抱いたまま泡に
巻き貝にきいた人魚姫の話


「春うらら」             真田  義子
春うらら何を食べても太りそう         仙 台
たんぽぽの風と一緒に旅に出る
止まり木で嘘と知りつつ夢を見る
小春日の風はまあるくなって吹く


 「  色  」             山本 トラ夫
思い出の隙間もなくて君の色      長 泉
生き死にをひと色に込め白蓮華
モノクロの野心をいまだ持っている
くちびるの赤あかあかと理屈言う


輪加さまが独身だったおどろいた    寺脇  龍狂
立札へゴミと一緒に心捨て           浜 北
マンモスも見たいが並ぶのもつらい
唄は愛ファンをだました森夫婦
太りたい人だっている消化器科


 「ちょっと・・・ヤバイ」      西垣  博司
俺以外みな花粉症睨まれる       静 岡
検査結果医師の眉間にシワがある
すきっ腹にゃあのバリウムもチョイいける
あのギャグを歯の治療中思い出す


歳月がチラリと過ぎた戸の隙間     寺田  柳京
節穴の眼が芸術を嘲笑い         静 岡
淋しくて赤電話からかけてます
蓮咲いて泥のおかげを忘れない
炎天下じっと我慢の影法師


これ以上近づかないで ですます語    笹  美弥子
まあいいか寛容範囲広くとる      仙 台
いつか帰る大地に素足あたたかい
情報過多渦巻く風に惑わされ
ひっそりと咲いておりますこぼれ種


 「手 酌 酒」           横山  昌利
ストレスを平気で飲んでいる胃酸       相 馬
葉桜がとっても似合うひとといる
携帯オフ雨のリズムの手酌酒
スパイスのきついおんなを抱いている


 「  運  」            馬渕 よし子
切り札を出さず負かした今日の運       浜 松
躓いた石がわたしの運を変え
遮断機が下りて手前の運逃がし
神様の下さる運も不公平


「切 れ る」            岡村  廣司
切れた子の餌食にされている教師     焼 津
切れ易い子供を接ぐには心
椅子蹴って立ったは俺は一人だけ
切れ味が鈍ったとみて去る味方


 「自 由 吟」             辻    葉
私なら光源氏を神にする        大 阪
風に逆らう私のような花びら
大枠で囲まれたくはないのです
困ったな極楽トンボついて来る


 「よくある話」           増田  久子
窓際は見た目には陽の当る席          焼 津
飾る黄が増えて金運ない家系
ヘボ将棋から売り切れる無人売り
魅力ある字が達筆と限らない


 「九条が危うい」           鎌田  一尾
生きていて悲喜こもごもに描くドラマ     山 元
抵抗の両手も川は塞がれず
黄昏れて急加速度のつく入り陽
九条を狙う輩が多過ぎる


「じゃんけん」           新貝 里々子
最初はグー心の内を見透かされ      袋 井
最初はグー チョキチョキわたし刻まれる
最初はグー ライバルからの石つぶて
最初はグー パーッと派手に散りましょう


 「楽 し い」             鹿野  太郎
楽天の黒星幾つ並ぶかな        仙 台
定年へ未使用の色取って置く
義経の伝説せせらぎが語る
モーニングサービスぐらい出す葉っぱ


 「雑  詠」            田原  痩馬
人つくる安全神話人やぶる          熱 海
本当はストレスたまる聞き上手
反日を打ち出の小槌にする外交
生命より大切ですかダイエット


 「ひたひたと」           井口   薫
近ごろはポカンと怖い穴が開く        袋 井
掛け声でようやく動き出すからだ
ハイチーズ スモーク掛けて下さいね
独立の部屋で揺れてるお婆さん


「雑  詠」            江川 ふみ子
罪といてひたすら母は経をよむ      函 南
喜寿もまだ女の風を染めたがり
リュウマチに負けぬ指から鈴が鳴る
ふんぎりがつかず跳べない水たまり


 「自 由 吟」            鈴木 まつ子
シナリオが耳慣れてくる嘘に飽き      島 田
見過ごしてしまった夢が芽吹き出す
告白は今だ言葉が噛み合わず
年とればそれなりの良さ人の良さ


 「  靴  」            加茂  和枝
長かった冬を忘れて春の靴          岩 沼
雑音を拾った靴が疲労ぎみ
今日も靴同じ所で躓いて
もう少し時間がかかる転び癖


 「雨 の 日」            服部  松子
かなしみの涙 川風拭いてゆく         焼 津
ひょっとことおかめ苦労の皺隠す
我がままな私黙認する夫
癒されてまだまだ生きる生命線


「昇る日沈む日」          柏屋 叶志秋
二日酔いまだ醒めぬのに日は昇る     山 形
日は要らぬ砂漠の地にも日は昇る
言い訳は明日にしよう夕日落つ
あと幾度眺めるだろう夕日落つ


 「風のいたずら」      高橋  春江
掴めそうな風にするりと逃げられる   袋 井
白紙委任わたしの心明かせない
風なぐに残り火かすか燃え始め
立ち読みがたのしかったネ セーラー服


 「自 由 吟」            堀内 しのぶ
新緑に洗い直しているいのち          焼 津
新緑へ弾みのついた万歩計
花も鼓動も生きよと祈る百度石
咲きほこる花の心が妬ましく


 「メディア」            金田 政次郎
垂れ流すメディアの声が麻痺にする      静 岡
さまざまな声振り回す提供者
生の声ドラマは夜のニュースショー
報道はぎっしり詰めた民の声


「心 の 内」            鈴木  澄子
不完全燃焼たまる皮下脂肪        浜 北
予測する余命へ夢が堰を切る
度の過ぎた自負へ足元さらわれる
何気ない仕種に姑が生きている


 「さ く ら」          川口 のぶ子
夜桜をおぼろ月夜と重ねみる      藤 枝
夜ざくらに儚く恋の夢散りぬ
お花見の宴の酒に酔いしれる
霧雨にほろほろ泣くか桜花


 「五 線 紙」            芹沢 穂々美
おたまじゃくしどこの五線でキーを打つ    沼 津
五線紙に書いてみたいな恋の唄
流行を着たくて着れぬ裏事情
心地良い風に誘われ髪染める


 「重  湯」            長谷川 寅吉
亡き戦友はコッチへ来いと手で招く      焼 津
この重湯一さじくれたや亡き戦友に
重湯とはこんなに不味いと今は知る
この重湯命の糧と目をつむり


「トンチンカン」          大塚  徳子
トマトの名付け親よ出てこいもも太郎   仙 台
残念無念 線路の上に桜散る
薄っぺらな同情よりも金をくれ
頭の中でトンチンカンの音がする


 「芽 吹 き」             成島  静枝
お腹の子暴れていると娘の電話     千 葉
十キロも太った母の回顧録
母子手帳悲喜こもごもがある栞
晴れやかな芽吹きテンション上げていく


 「笑  い」            薗田  獏沓
仔猫じゃれガードマンまで笑ってる      中川根
よく笑う女子高生が乗り合せ
少しでもモナリザに似てうす笑い
タイミング少し外れて父のギャグ


 「戦 中 派」            堀場  大鯉
味のある字だと癖字を褒めてくれ       焼 津
義理堅く濡れ手にゴミも付けてくる
親友の悪口聞くと腹が立ち
生き延びる術は長けてる戦中派


「思いつくままに」         中田   尚
命浮く 後の車両に乗っていた      浜 北
ヒーローになった古田の野球愛
楽天の勝ちがこんなに盛り上がる
キッコロも森も愛する地球博


 「人生いろいろ」          山本 野次馬
一人旅チョット寂しいはぐれ雲        函 南
帰宅から三言で済ます戦中派
リストラの再就職は犬の番
今日の虹何か好い事ある予感


 「雑  詠」            滝田  玲子
血糖値飽食のつけ背負わされ         浜 松
ノー天気忘れ上手でまるく生き
明日はあすあしたの風に賭けてみる
高松塚カビで泣かされ竜白虎


 「前 向 き」            設楽 亜季浩
還暦が交り求めカルチャーへ         静 岡
横向くなしっかり前を見て歩け
躓きを酔ったふたりのバカ笑い
どうせなら未来と言わず明後日


「雑  詠」            竹内  登志
冷静になれば何でもない冗句       浜 北
仰ぎ見る千変万化 雲の旅
好き同志世界は一つ血が混り
青春の希望はかないセピア色


 「自 由 吟」            柳澤  猛郎
終章へ咲かせる花を模索する      袋 井
妻の絵にとけて平和な通過駅
知恵熱も下がり浮かばぬ脳といる
藁一本掴んで春の海といる


 「雑  詠」            市川  正子
ペイオフなどどこ吹く風の火の車       天 竜
青春期戦中戦後後遺症
髪染めて暫く歳を忘れよう
少々の事では負けぬ古狐


 「おかげさま」           森島  寿恵
おかげさま我が家は平和日々感謝       浜 北
葱坊主捩じり鉢巻子沢山
老木に見事に生きた桐の花
色付いた枇杷にひよ鳥寄って来る


誘われて普通の顔で助手席へ      福田 勝太郎
万札にお礼を述べてレジの前       大 阪
みやげものヴィトンの袋に詰め替える
慣れた道今日の晩飯親の家
溺愛の息子に告げる母の檄


 「介護の灯」            内山  敏子
寝たきりへ優しく妻の処方箋      浜 松
病む人へ笑顔たやさぬ介護の手
孫程のナースの笑みに癒される
深夜の灯ともしてナースステーション


 「情  報」            山田  光男
杖たよる妻に聞かせるいい話         静 岡
知っていて知らぬふりして耳を貸し
金貸して知恵貸し後でデモ受ける
スイッチオン世界のニュース流れくる


「行  動」            安田  豊子
無鉄砲に走った転んだ若かった        浜 北
この星に生まれ輪廻の齢重ね
生き下手がひたすら歩くゼブラゾーン
エンディングノート惚けないうちに書くつもり


サクランボ赤く実を付け網を掛け    山田  ぎん
柿の葉が五月の空に清々しい         静 岡
連休に曾孫が元気で顔を見せ
苺狩り車二台で甥の家
裏の畑ジャガイモ胡瓜茄子も植え


「自  分」              川口   亘
幾度なく歩いた事のいばら道       藤 枝
わが道と自負するに足る生きた道
元気だけ取り柄で過ぎた思いのみ
宇宙から見れば毛筋の吾が歩み


 「自 由 吟」 御田  俊坊
決意して納得ずくで会得する      高 畠
会心の作と思って投句する
いろいろな情報あって迷わされ
笑いにも泣くもいろいろ面白い


 「  鏡 」            望月  満月
手鏡の中でも孫の欲しい風          静 岡
満ち足りぬ私の世界へ舟を漕ぐ
夢の中生きてる夢を持っている
忘れてる今日も笑顔が映ってる


  「無 駄 口」           堀井  草園
せっかちが自分の影に付き纏う        静 岡
ナツメロを聴いて昨日が遠くなり
顔のない街の校舎は汗臭い
無駄口が嫌いで好きで靴磨く


「  杖  」            中安 びん郎
田の草を嘸取ったろう杖を突く      静 岡
杖を突く乃木将軍もかくやかと
杖探す杖が無ければ歩けない
杖突くと同情の目に圍まれる


 「雑  詠」            林  二三子
職退いてゆったり稼ぐ自家菜園     芝 川
高望みしても叶わぬDNA
老いた母昔の記憶だけは冴え
母の日に老母からもらうありがとう


 「虫けらどん」           永田  延男
手がとどく背中が痒い金の虫         静 岡
腹の虫思いもよらず腰にくる
リストラ後夢の中まで仕事虫
好きで飲む毒か薬か線がない


「香  る」            中野 三根子
五月晴れ街は新茶で香り出す         静 岡
風香る山はみどりの衣きて
吊り橋にゆれる私とこいのぼり
藤棚の下でほのかに競い合う


「第一のコース」           谷口  智美
弁当にのりでゴメンのラブマーク     伊 豆
奥二重入れたシャドーがアイライン
あじ干物 皮も食べたねプロポーズ
第一のコース何歳でものれる


 「運  命」         堀場  梨絵
生甲斐の趣味端くれの一歩づつ     静 岡
もう一人のわたしどこかに居るかしら
運命に逆らっているこの不況
ぬるま湯のくらしにビックリ箱を置く


 「雑  詠」            佐野 由利子
壮快さ子を二人乗せペダル漕ぐ        静 岡
目に泪ためて女の大笑い
一瞬の迷い相手に悟られる
蟻の列邪魔してみたい焼けっぱら


「敵 味 方」            長澤 アキラ
尾を捨てるふんぎりつかず猿のまま      静 岡
悩みなどスッカラカンの顔をして
肝機能この世の憂さを競い合い
続柄に「人間」と書く敵味方


猫背です胸の秘密が重すぎて       池田  茂瑠
相槌の底に隠した刺動く         静 岡
止り木が私の羽根に足りません
久し振りまだ罪積んでおりますか
原点は悪を重ねた路地だった


 「B G M」        多田  幹江
戦闘服がいっぱい上りのぞみ号     静 岡
罪はない北のアサリも汐を吹く
棒切れに火を点けたのはあなたでしょ
ふる里のBGMは波の音


「夢うたげ」       川路  泰山
若みどり旅を続ける影法師        島 田
草いきれ昔むかしへ蛍とぶ
おろかさも悲しみもなし天の川
ぽろっと鱗おちてて明日へ星が降る


「風 の 花」        望月  鐘雄
人を信じてボランティアから帰る    静 岡
恋と愛まだまだわたしクラシック
お静かに今しあわせの風が来る
古時計人を信じる音ばかり


「逆上がり」       望月   弘
ロボットに二足歩行で負けている     静 岡
逆上がりすればと思う砂時計
団塊の不法投棄は禁止する
黒猫がいて妾宅を噂され


「ブルーカラー」        加藤   鰹
ニックネームはジョニー信用できないな 静 岡
ろくでなし達の酒場でダバダバダ
三日月がポキン てめえもグルだとは
仁丹の匂いとゲンコツの記憶

     顧  問  吟 

静かさがこんなに邪魔なわだかまり   柳沢 平四朗
下敷は過去に無職の春談義          静 岡
生かされて生きてまさかの馬齢積む
ロボットが世界に魅せるお家芸
風雲児の描く覇権のあぶり出し


[8] (2005/06/10(Thu) 19:29:57)



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