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第24回国民文化祭・しずおか2009

 平成二十一年十一月一日(日)長泉町文化センターを会場に「第二十四回国民文化祭・しずおか2009 文芸祭川柳大会」が開催されました。
 大会当日は全国各地からおよそ700名の皆様にご参加いただき、盛況のうちに大会を終了することができました。
 ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。次の通り大会結果を掲載いたします。


▼小・中学生の部

文部科学大臣賞
いつの日かゴミで車を走らすぞ    山口県 秋本 達哉

国民文化祭実行委員会会長賞
真っ白なてのひら何を掴むかな    静岡県 斉藤 愛美

静岡県知事賞
ゴミがないぼくのおうちはきもちいい 岡山県 中力 保斗

第二十四回国民文化祭実行委員会会長賞
けんかして友達のよさやっと知る   福岡県 木之下 亮

静岡県教育委員会教育長賞
けしごむはやくにたつほどくろくなる 静岡県 折田 孝斗

長泉町長賞
おじいちゃん七十五歳のさかあがり  静岡県 小島  葵

第二十四回国民文化祭長泉町実行委員会会長賞
生き生きと頑張る君に金メダル    島根県 石倉  葵

長泉町教育委員会教育長賞
友のあいドミノのようにつづいてく  広島県 尾崎 夢大


▼高校生・一般の部

文部科学大臣賞
お手植えの根っこに埋めてある昭和  熊本県 平田 朝子

国民文化祭実行委員会会長賞
地球儀が静かなお茶を飲みたがる   茨城県 葛西  清

静岡県知事賞
尺玉を庶民に見せたマニフェスト   東京都 近江あきら

第二十四回国民文化祭実行委員会会長賞
自慢する顔がだんだん若くなる    静岡県 塚本 寄道

静岡県教育委員会教育長賞
山麓の風で都会の眼を漱ぐ      宮城県 藤本真喜子

長泉町長賞
パレットの乾く間もない絶頂期    栃木県 渡辺 裕司

第二十四回国民文化祭長泉町実行委員会会長賞
美しい誤解のまんま兵の墓      千葉県 山口 早苗

長泉町教育委員会教育長賞
なにもない村だが蛍乱舞する     青森県 高瀬 霜石

全日本川柳協会会長賞
百年の根っこが百の音奏で      静岡県 水口 樹里

静岡県川柳協会会長賞
麓から視野の限りの大文字      山口県 富田 房成
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(2009/12/28(Sun) 12:41:14)

 た か ね 川 柳 会  過 去 の 年 間 賞 受 賞 作 品

平成十一年 
昭和史に忘れたままの傘がある     真田 義子
選者 飯尾麻佐子、石田一郎、川上富湖、柴崎昭雄、太田紀伊子、熊谷岳朗、奥田一星、平山虎竹堂 

平成十二年 
シアワセって退屈ですねお月さま    多田 幹江
選者 復本一郎、赤松ますみ、近江あきら、いとう岬、川上大輪、西恵美子、高瀬霜石、平山虎竹堂 

平成十三年 
好きだ好きだと男を騙す発泡酒     新貝里々子
選者 児玉ヒサト、中田たつお、遠藤みゆき、柳沢花王子、藤沢岳豊、酒井路也、斉藤由紀子、平山虎竹堂 

平成十四年 
抱きしめてやりたい真夜中のポスト   寺田 柳京
選者 辻 晩穂、真弓明子、鈴木柳太郎、江畑哲男、松岡恵美子、長谷川冬樹、筒井祥文、平山虎竹堂 

平成十五年 
風に逢うまだたてがみのあるうちに   新貝里々子
選者 浪越靖政、猿田寒坊、太田紀伊子、山倉洋子、成田孤舟、川上大輪、竹下勲二朗、森中惠美子


平成十六年 
穴堀りをするには少し陽が高い   川路 泰山
選者 板垣孝志、宮村典子、門脇かずお、長谷川酔月、津田暹、雫石隆子、大木俊秀、大野風柳

平成十七年 
傷一つ時効を過ぎてから痛む    高瀬 輝男
選者 佐藤美文、米島暁子、熊谷岳朗、菅原孝之助、小島蘭幸、浅野滋子、大橋政良、徳永政二

平成十八年 
一冊の本一本の藁になる      池田 茂瑠
選者 佐藤岳俊、国吉司図子、川俣秀夫、久保田元紀、桜井閑山、木本朱夏、大木俊秀、新家完司

平成十九年 
団塊のこれから角のない切符    柳沢平四朗
選者 千島鉄男、渡辺松風、山ア蒼平、宮村典子、浅利猪一郎、板垣孝志、川上大輪、赤松ますみ
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(2009/01/26(Sun) 10:16:37)

平成二十年度 たかね年間賞受賞作品 

   正 賞
母さんが教えてくれた非常口     井口  薫

準 賞
  ストライクゾーンがぶれてくる野心  戸田美佐緒
  玄関の前に消えない水溜り      鹿野 太郎
  ひとり酒この平凡は捨てられぬ    高瀬 輝男
  人を読むお世辞の中の照り返し    柳沢平四朗
  花の雨少しほとぼりさめるまで    鈴木まつ子



いわて紫波川柳社主幹    岩手県   熊谷 岳朗 選
  特 選
 母さんが教えてくれた非常口      井口  薫
  佳 作
 幸運な朝だ卵に黄身二つ        増田 久子
 苦しくて息ができなのでしゃべる    真理 猫子
 恥かいてかいて林檎が熟れてくる    戸田美佐緒
 自画像は強く優しい顔にする      畔柳 晴康
 
▽風土性によるものでしょうが、岩手と違って明るく温かな句が多いと思いました。心温められました。

熊谷 岳朗(くまがい がくろう)
いわて紫波川柳社主幹
全日本川柳協会常任幹事
句集「風はうたう」



川柳宮城野社主幹      宮城県   雫石 隆子 選
  特 選
 母さんが教えてくれた非常口      井口  薫
  佳 作
ストライクゾーンがぶれてくる野心   戸田美佐緒
 出直しの敵に自分の影もいる      柳沢平四朗
 薄墨の心に白い月が出る        石井  昇
 もう一つ確かなものに農作業      大塚 徳子
 
▽「たかね川柳会」の意欲的な作品拝見致しました。静岡の風土性はあまり感じることもなく、関西、関東風でもないのが「たかね川柳」なのかも知れません。特選句は常套的ではありますが「母」と「非常口」に現代性と愛を読みました。

雫石 隆子(しずくいし りゅうこ)
川柳宮城野社主幹、宮城県川柳連盟理事長
句集「樹下のまつり」
「浜夢助の川柳と独語」編者



 「風」主宰           埼玉県    佐藤 美文 選
  特 選
 花の雨少しほとぼりさめるまで     鈴木まつ子
  佳 作
 風袋を引けばふわりと浮く命      石井  昇
 ストライクゾーンがぶれてくる野心   戸田美佐緒
 人を読むお世辞の中の照り返し     柳沢平四朗
 出直しの敵に自分の影もいる      柳沢平四朗
 
▽年間賞であるからある程度の風格(品格ではない)と物語性がほしい。テクニックも裏へ隠れたほうがいいのだが、これは騙されたかもしれない。特選句、きれいごとに流されていない。

佐藤 美文(さとう よしふみ)
「風」主宰。柳都川柳社同人。
「佐藤美文句集」「川柳文学史」
「風 佐藤美文句集」ほか。



白帆川柳社主幹       東京都   成田 孤舟 選
  特 選
 人を読むお世辞の中の照り返し     柳沢平四朗
  佳 作
 各論も総論もないトコロテン      戸田美佐緒
 ひとり酒この平凡は捨てられぬ     高瀬 輝男
 断崖の渕を歩いているカルテ      安田 豊子
 生ビール進行形の恋がある       望月  弘
 
▽全体に理解し易い句で納得出来たが、反面いま一歩突っ込みが足りない気がした。特選句・人を読むは下の句の「照り返し」で句全体が引き締まっていると思う。

成田 孤舟(なりた こしゅう)
川柳白帆吟社主幹
全日本川柳協会理事
句集「風の四季」「氏す姓」



石川県川柳協会会長     石川県   酒井 路也 選
  特 選
 ストライクゾーンがぶれてくる野心   戸田美佐緒
  佳 作
 断崖の渕を歩いているカルテ      安田 豊子
 超後期 霞食っても生きてやる     寺脇 龍狂
 気がつくと空っぽの舟漕いでいた    多田 幹江
 ネジをまくでも私は私で        中田  尚
 
▽六十三句どの句も佳吟で一理ありました。その中でも自分の意思、主観がはっきり出ている句に私は高い点を入れました。感服でした。

酒井 路也(さかい みちや)
石川県川柳協会会長、日川協常任幹事
石川県芸文協理事
句集「家路」「路」「十字路」「路也」「白山」



川柳研究社幹事        埼玉県   渡辺  梢 選
  特 選
 玄関の前に消えない水溜り       鹿野 太郎
  佳 作
 葛根湯やさしく嘘を吐いている     濱山 哲也
 ひとり酒この平凡は捨てられぬ     高瀬 輝男
 花の雨少しほとぼりさめるまで     鈴木まつ子
 各論も総論もないトコロテン      戸田美佐緒
 
▽粒揃いの作品からの選句に悩みました。特選句は玄関先で何が起きるか分からない現代の不安感を「水溜り」の比喩で表現。佳1の可笑しさ、佳2の平凡が平凡でない自負、佳3のドラマ性、佳4は今の政治にぴったり。何れも心に響く作品でした。

渡辺  梢(わたなべ こずえ)
1938年宮城県生まれ
川柳研究社幹事
全日本川柳協会常任幹事



番傘川柳本社        大阪府   森中惠美子 選
  特 選
 太陽が大きく見えた旅立つ日      真田 義子
  佳 作
 ひとり酒この平凡は捨てられぬ     高瀬 輝男
 母さんが教えてくれた非常口      井口  薫
 幸運な朝だ卵に黄身二つ        増田 久子
 生ビール進行形の恋がある       望月  弘
 
▽年間賞候補作品の句群にそれぞれの表現と存在感はある。旅立つ日の太陽の大きくすばらしいロケーションを特選とした。ひとり酒、非常口、幸運な朝、進行形の恋等、ことばに無駄がなく明るい。

森中 惠美子(もりなか えみこ)
番傘川柳本社副幹事長(同人歴五十年)
句集「水たまり」「水たまり今昔」
「仁王の口」



川柳塔社理事        鳥取県    新家 完司 選
  特 選
 玄関の前に消えない水溜り       鹿野 太郎
  佳 作
 調律の日だけピアノの蓋が開く     増田 久子
 週刊誌俺の病気が載っている      金田政次郎
 プチ整形するより字でも習おうか    谷口さとみ
 雨の日は間違い電話さえ来ない     芹沢穂々美
 
▽ベスト10は簡単に選ぶことができたが、そこから絞り込むのに苦労した。特選の句は、誰もが抱えている不快な気分や状況を「玄関先の水溜り」に抽象化したのが手柄。

新家 完司(しんけ かんじ)
川柳塔社理事、川柳展望社会員
新家完司川柳集「平成元年」「平成五年」
「平成十年」「平成十五年」「平成二十年」
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(2009/01/26(Sun) 10:01:18)

 

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