静岡川柳たかねバックナンバー
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 平成十九年十月二十日(土)
  定例句会  於  アイセル21

▽席 題 「何でも」 高瀬 輝男・選
選り好みしない胃袋忙しい      弘
君となら何でも旨い頑張れる    さとみ
君の耳何でも聞こえ不気味だね   しげる
辛口なら何でも呑めるお手のもの  しげる
何でもない日の花束にある仕掛け  さとみ
何見てもニヤニヤします春ですね  さとみ
屁理屈を一杯抱え朝帰り      アキラ
相槌を打って世間の仲間入り    梨 絵
ともかくも何でも煮ちゃえいただきます
                 さとみ
お節介何でも喋る広い胸      しげる
町内一周回収します何でも屋    由利子
何でもいい続く台詞はまたこれか  さとみ
覗かれて何でも無いととぼけ顔   由利子
あれこれと出来て万年補欠です   さとみ
うるさいなあ何でも彼でも口を出し 由利子
 秀 句
何でもない続きは枕が知っている  さとみ
何とでもなるさ苦境を越えてから  梨 絵
アメリカの要求まるでたかりだな   鰹
是が非でも家のお嫁に来ておくれ  梨 絵
子の憂いなんでもないと言うけれど  鰹
 軸 吟
惜しみなく貢いだあげく拒まれる  輝 男


▽宿 題「 本 」表現自由 長澤アキラ・選
一冊の書籍に飢えを救われて    きく子
夢多い本が闘志を掻き立てる    政次郎
日本は負けて良かった民主主義   びん郎
本心を紅で隠して今日を生き     尚
医学書を開いて病気重くさせ    千恵子
本音など絶対言わぬ二枚舌     由利子
本当の顔は化粧の下に棲む      弘
本当の恋に戸惑う名女優      五 貫
本箱の隅で見つけた虹の彩     野次馬
秋深し積んどく本でうなされる   玲 子
盃を伏せて本音を喋らせる     竹 水
おれの子か鑑定団が本音言う    しげる
落丁のページをさがしに古里へ   美紗緒
快眠のススメを読んで夜が更ける  まさえ
羊水の中で読んでたマンガ本    輝 男
綱一本引き合っている夫婦です   穂々美
濁り酒男の本音聞きのがす     しのぶ
五  客
妥協などしない本音へ鍋が吹く   しのぶ
本音など怖くて言えぬ妻がいる   徳 子
本心を地酒の猪口が躍らせる    野次馬
本当かも知れぬ冗談聞かされる   敏 子
本心をよけながら行く二人旅    まさえ
人  位
本陣の乱れへ鬼の数ふやす     茂 瑠
   地  位
本当のはなしが聞ける耳になり    亘
   天  位
本籍は貴方の腕の中と決め      鰹
   

▽宿 題「そ、で始まる句」中野三根子・選
総裁に成れば総理の椅子予約    獏 沓
損しても得に無縁の子の投資    可 福
その笛に二度とトラの子踊らない  平四朗
その先が気になる次回予告編    二三子
そんなことなのに女は許せない    弘
それはその筋を通すに手間がいり  梨 絵
相談をし合える仲の友が居る     亘
相克の道に理性と感情と      泰 山
そむかれた耳が疑い深くなる    敏 子
その気なら馬鹿を演じて聞いてやる 豊 子
それからをいつも残して夕間暮れ  和 枝
そうかしら含み笑いが気にかかる  美紗緒
そばに居て気にする程の気の配り  のぶ子
そろそろと昭和の名残り忘れかけ  敏 子
そば立てた耳で町内一巡り     博 司
槽糠の妻にハンドル握られる     進
空事と聞いて嵌った落とし穴    千恵子
外堀を埋めてきちんとケンカする  由 美
損得で親を看るやら看ないやら   のぶ男
その中の意見に太い骨がある    梨 絵
五  客
そこそこと言って孫の手独り言   太 郎
背かれて気づく子心親心       進
ソクラテス私も妻で泣いている   哲 也
その線を切ると戻れぬ展開図    さとみ
そつのない演技でお詫び無事に済み  薫
人  位
そっとしてほしい只今脱皮中    豊 子
   地  位
粗略には出来ぬ内助の有難さ    政次郎
天  位
それなりの夢へ個性という一途   平四朗


▽宿 題 「びっくり」 加藤  鰹・選
冗談で言ったでたらめ芯を突く   五 貫
午前様三つ指ついて待っていた   信 一
たかが蜘蛛八十Kが悲鳴上げ    梨 絵
虎屋の羊羹送ってきたぞ意味深だ  穂々美
根も葉もない寝耳に水を掛けられる しげる
妻の声からゴキブリも逃げられぬ  敏 子
イヤリング片方だけの隠し事    竹 水
ハイウエイも急に崩れることがある アキラ
娘の腹変にふくらみうろたえる   重 雄
パソコンの魔術若者荒稼ぎ     輝 男
三兄弟揃って妻が超美人      安 心
蝶よ花よ育てた娘牙を持ち     平四朗
タイマーセット忘れごはんが炊けてない
                 二三子
酔いつぶれ目覚めてみたら留置場  泰 史
取引にまさかと思う核出され    のぶ男
腹心の部下から受けたクーデター  泰 史
わが家の希望の星が鼻ピアス    五 貫
神童と云われた今はフリーター   安 心
影までが太めになった秋の暮    まさえ
体重計久々乗れば五キロ増     由利子
体重計乗ってびっくり二回転    穂々美
玉手箱三下り半が飛び出した    千恵子
我が妻が知らぬ男の手を握る    可 福
一合の酒で仏が鬼になる       弘
ショックです風呂が冷たい裸です  洋 未
レモン一滴生ガキが気絶する    美佐緒
迷い道したばっかりに見たアレレ  哲 也
あんなにも驚いたからおどろいた  三根子
びっくりとすることもない歳になる 俊 枝
五  客
不発弾僕の枕の下にある      美紗緒
参観会カラスが白く塗りたくり   由利子
付け髭で週末だけは化けて来る   しげる
憧れのマドンナが乗るダンプカー  アキラ
時代というビックリ箱の中に住む  哲 也
人  位
何かある飲めぬ夫の千鳥足     千恵子
   地  位
ビックリ箱に遺言状が入れてある  梨 絵
   天  位
サプライズ好きで戸籍がややこしい さとみ


▽宿 題 「 自 由 吟 」 互 選
D目が合ってから動脈が騒ぎ出す   薫
Cうやむやにする気だ視線外せない 五 貫
Cタイミングうまくずらして生き残る義 子
B一ランク下げて仕切りの外で生き 梨 絵
Bさらさらのシルクじゃ君を騙せない野次馬
B正確じゃないから好きな砂時計  哲 也
Bかもねぎが下心あり戸をたたく  洋 未
Bさらさらのシルクじゃ君を騙せない野次馬
B正確じゃないから好きな砂時計  哲 也
Bかもねぎが下心あり戸をたたく  洋 未
Aライバルが苦手にがてを突いてくる由利子
A身に付いた当たり前だが生かせない政次郎
Aコスモスが咲いてあなたのそばに居る
                 三根子
Aチビチビと愚痴を呑み過ぎ二日酔 竹 水
A朝風呂は仏の顔で浮いている   博 司
Aだぶだぶの服で弱みは見せません 美佐緒
@運動会ウサギも亀もストレッチ  静 枝
@老骨のゼンマイ軋むやせ我慢    進
@何だろうやりたい事が山ほどに  和 枝
@気位が高くて腰が曲がらない   千恵子
@楢山も遺言が絡む泥の杖     平氏朗
@忙しいけれど妻ではいてあげる  さとみ
@日本の男に「らしさ」見当たらぬ  弘
@口八丁手はお休みの妻の勝ち   可 福
@札束で叩かれ天狗の鼻折れる   輝 男


 


▽参加者(敬称略)高瀬輝男・曽根田しげる
 望月弘・堀場梨絵・中野三根子・望月満月
 佐野由利子・加藤鰹・谷口さとみ・中田尚
 長澤アキラ・瀧進・金田政次郎・安田豊子
 畔柳晴康・堀井草園・岡村廣司・毛利由美
 成島静枝・鹿野太郎・大塚徳子・高橋春江
 鈴木まつ子・薗田獏沓・内山敏子・川口亘
 川路泰山・御田俊坊・戸田美佐緒・井口薫
 増田信一・西垣博司・川島五貫・石田竹水
 中矢長仁・川村洋未・伊藤泰史・滝田玲子
 加茂和枝・濱山哲也・林二三子・酒井可福
 池田茂瑠・石上俊枝・市川重雄・森田安心
 真田義子・中安びん郎・芹沢穂々美・山本
 野次馬・薮崎千恵子・永田のぶ男・川口の
 ぶ子・提坂まさえ・中田きく子・堀内しの
 ぶ・柳沢平四朗・山口兄六・森下居久美・
 那須野正明・中川司



定例句会 | Link |
(2007/12/26(Tue) 08:57:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

なんちゅうたってアンタ一番美人だに    高橋 春江
あちゃーらも一緒に行ってええかいネー   高橋 春江
強情でこきたっくそんわるい奴       鈴木まつ子
ももねまで前をはだけて風邪ひいた     鈴木まつ子
おてんたらこいて結果にゃへろーこく    瀧   進
すっちょないあんた好いたがこきわりい   瀧   進
ぶそくって食いっぱぐれて腹減った     芹沢穂々美
どけえかへひゃあれる学校あるずらか    芹沢穂々美
二度三度おんなじかぼちゃー食わされる   薗田 獏沓
竹千代の鼻ぁ齧ったタヌキずら〜      堀井 草園
雨だーだー道がじゅるいでやだよなあ    畔柳 晴康
ドアロックやっきりこいて車庫で寝る     畔柳 晴康
あんてえはおとましいって出てこねえ    岡村 廣司
さみいなあ晩げんしまは雨ずらよ      岡村 廣司
もっとコバ歩け車が来るでにゃあか     西垣 博司
引越しでやんごらっさあ家の中       西垣 博司
わきゃーだと威張んな俺もあっただに    中安びん郎
 買ったけんひっぱずれたよ宝くじ      中安びん郎

▽ついこないだまであちーと思っていたっけけど、気が付きゃあ
もういくつ寝るとお正月じゃん。ふんとに月日が経つのはあっと
言う間だねえ。よいお年を迎えてくりょうや〜
〒421‐2106 (受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて


ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2007/12/26(Tue) 08:27:12)

自由吟 虎 竹 抄


「いち抜けた」           谷口 さとみ
プチ整形するより字でも習おうか        伊 豆
あいうえおDNAのようにある
空気のような人で私は窒息死
だからなにダイヤが吉と書いてある



 「てんつくまん」          真理  猫子
苦しくて息ができないのでしゃべる        岡 崎
笑いたいだから能面つけてみる
何を見てますか私は四角です
進めない心の中でケンケンパ



「モンスターペアレンツ」      山口  兄六
ポケットに子を入れているモンスター   足 利
両親は気付かぬうちに子の脱皮
愛情があるかが判る塩ムスビ
あげは蝶びしょぬれのまま飛べないね


「テレビ局」            松橋   帆波
謝らぬものの一つにテレビ局          東 京
亀田家の味を覚えたテレビ局
パチンコと保険屋でもつテレビ局
本当は正義でいたいテレビ局


「ル ー ツ」            井口    薫
馬鈴薯のルーツ高貴であるらしい         袋 井
おいもより私の根っこ土深く
日本人のルーツに牙はない筈が
エルメスを辿れば土の香に出合う

「春 の 音」            戸田  美佐緒
はひふへほ笑い袋に種を蒔く         さいたま
スタートの春の支度ができました
ポケットにおじゃましますと夫の手
紅ひいただけです恋が噂され


「旭山動物園」            濱山   哲也
弱虫が大好きなのは動物園           つがる
明らかにオオカミウオは数合わせ
檻の外こちらは馬鹿という獣
旭山びっくらこいたバスの列


「十 二 月」          金田 政次郎
不況なぞ知らぬサンタを子が信じ       静 岡
日没に始まるイブの灯が赤い
のれん押す野暮唇の寒い暮れ
十二月肩の凝らない本を買う


「雑  詠」            滝田  玲子
本心を吐けば返ってくるこだま        浜 松
大臣も博士も出ない過疎の村
自転車もライター並みで使い捨て
涙腺の弱さテレビで泣かされる


「  虫  」            藪ア 千恵子
今日も又やっきり虫が首もたげ       焼 津
宥めても言うこと聞かぬ腹の虫
生温い言葉にマッチ擦ってやり
売り言葉買い言葉にて八つ当たり


「自 由 吟」             西垣  博司
一声を云い忘れてのわだかまり        静 岡
まだ種火残って秋は紅を引く
人間をごった煮にする新聞紙
着信音乾いた街に吸い込まれ


「ボ  ク」            塚本  寄道
地図のない道をボクらは生きていく      長 泉
見ていてよありのまんまのボクのこと
いつだってボクの後ろにいる家族
でこぼこの道もボクなり進むのさ


 「偽  装」             毛利  由美
赤福はもったいないを取り違え         つくば
女心の可愛い証 胸パッド
もう二つ三つのサバは誤差のうち
定価据置の中身が減っている


「雑  詠」             石井   昇
抜けたらば地の果てだった細い道    蓮 田
挫折した線香なれど灯は赤い
人間の本音聞こえる三流紙
沖縄の骨が歪んで哭いている


「雑  詠」             馬渕 よし子
松茸が薄くて味覚語れない         浜 松
陽の光浴びると疼く古い傷
二枚舌持って世間を渡りきる
入れ知恵が効いたか態度でかくなる


「自 由 吟」            御田  俊坊
生きるため時の流れに逆らえず        高 畠
隣から時計にされる靴の音
目の裏にまだある嫁ぐ娘の笑顔
子には子の目標持たせ進ませる


「  耳  」            高橋  春江
聞き直し多くなる日の自己嫌悪        袋 井
又聞きの話し大きく空に舞い
聞きながす耳の形がとてもいい
福耳と云われた耳の独り言


「  道  」             瀧    進
人間を信じ如来が見えてくる          島 田
めぐり合う喜び多き遠回り
煩悩に修行の道を教えられ
女房に余生ハンドル握られる


「  秋  」             安田  豊子
もみじほろほろ過去の痛みを連れてくる     浜 松
人を恋う女ごころに秋が溶け
紅葉の峠は雪という試練
残り火を温め合ってる湯の煙


「素  直」            小林 ふく子
生きたくて素直に医者の世話になる      袋 井
どん底で素直な丸い石に会う
喋るだけ喋り後は素直な人となる
結び目を緩め素直に生きられる


「気まぐれ」            鈴木 恵美子
気まぐれの虫が心の隅に住む         静 岡
気まぐれの言葉に揺れる毬ひとつ
気まぐれなアバンチュールへうろたえる
気まぐれがうわさの火種置いていく


「雑  詠」            寺脇  龍狂
罪悪感持って日切れのパンを食べ       浜 松
無免許がだから乗りたい走りたい
お歳はと歳も聞かれぬ歳となり
大学院さり気なく言う親の見栄


「生きるパートU」         山本 野次馬
生きるってこんなに辛い涙雨         函 南
青春は裏切る事と信じてた
諭されて生きる喜び母に知る
親父ってなんて事ない伝書鳩


「入  院」             酒井  可福
胆嚢に岩をとなりてサザレ石          北九州
点滴の刻む時間がもどかしい
甲高いナースの声で朝が来る
四つ足の点滴連れてご挨拶


 「思いやり」             岡村  廣司
初耳の様に聴いてる思いやり        焼 津
どこの子か知らぬが注意してあげる
穏やかな心で愚痴を聞いてやる
愛のむちきっと生涯役に立つ


 「チルドレン」            増田  久子
先生に批判する子をほめる親         焼 津
ケータイがポケットで鳴ってた小五
遊ぶ子を見たことがないすべり台
イベントの風船欲しくない子供


 「  柿  」             芹沢 穂々美
柿の実が恋だ愛だと赤くなる         沼 津
熟柿に隠しきれない一大事
自己主張して渋柿の内緒事
干し柿の中味ずしんと肝を入れ


「老  境」             中矢  長仁
歳の数重ねて妻は強くなる           愛 媛
麗しく才たけて今老いたけて
もめ事はボケの振りする年の功
楽隠居させて呉れない孫が来る


  「自 由 吟」            鹿野  太郎
授業中ゆめばかり見てこの通り         仙 台
小商い確かに売っていた希望
火遊びを監視している腹の虫
駄菓子屋で暇を潰して生き返る


「  駅  」            成島  静枝
快速が降りたい駅を通過する         千 葉
SUIKAでピッ顔パスの頃懐しむ
エスカレーター息切れ予防膝の保護
うろうろと出口を探すコンコース


  「足  元」            加茂  和枝
弱点で呼ばれています長いこと         岩 沼
天高く自分の道は迷路です
立ち止まる勇気が持てた丸い背な
足元のざわつききっと喜びに


「空  気」             薗田  獏沓
合併の議場の空気真ッ二つ          川根本町
医者よりも山の空気で病癒え
再審に異様な空気弁護団
感謝して空気を吸ったことがない


  「  愛  」              川口 のぶ子
いじめっ児「そうねあったわ」思い出ね     藤 枝
人生はいじめを捨てて良き仲間
目に見えぬ処に愛は育まれ
寄り添った年月ほどに愛を積み


  「自 由 吟」            ふくだ 万年
百まではよろけないよう穿くズボン       大 阪
ビリだって孫は我が家のヒーローさ
ひと周り遅れて走る孫が好き
まだ早い洗濯してから衣替え


  「自 由 吟」            真田  義子
何もない一日でしたポップコーン        仙 台
何があっても夜が明けてくるこの平和
まっすぐに立っているのは父の木だ
一本杉で今も待ってる母がいる


「枯 落 葉」             寺田  柳京
秋刀魚焼く煙は小路の藪へ向け      静 岡
降るならばいっそ地球の丸洗い
団塊の奇麗な羽化へ風光る
老兵のコーラスへ舞う枯落葉


  「過 渡 期」             川口   亘
自転車のサドルを下げて足に変え      藤 枝
抜け穴を知って自分を元気づけ
気心を知られ世辞でも云う気なり
情けない捨てる気も有る風よ吹け


  「ファッション」          鈴木 まつ子
居るだけで引く手数多なトレンディー      島 田
可憐さで大正ロマン見直され
競い合うモデル彩る国際化
秋晴れやファッショナブルで若返り


  「自 由 吟」             内山  敏子
間違へペロリと出した長い舌          浜 松
冷蔵庫も空っぽ明日は年金日
わら草履布に変わってアンコール
ギャンブルへ無限に伸びる欲の皮


「画  像」              畔柳  晴康
似顔絵はびっくりする程若い顔      浜 松
写真より可愛い笑顔照れている
自画像は強く優しい顔にする
煽てるなその画は五年前のだよ


  「ミッキーマウス」          大塚  徳子
新しく一歩踏み出す日の別れ       仙 台
もう一つ確かなものに農作業
偽善者がもっともらしいことを言い
賀状からミッキーマウスの声がする


  「  秋  」             山田  ぎん
手を掛けず菊がつぼみを持っている       静 岡
古里のみかんが届く幸を受け
山紅葉秋深みゆく肌寒さ
さつまいもつる毎抜いて児がはしゃぎ


  「脳 老 化」             山田 フサ子
脳老化等圧線が込んでいる           袋 井
四季を知る双葉あしたへ背伸びする
夢の間秋の夕陽が早すぎて
お賽銭に一時の安らぎをもらう


「希  望」              中安 びん郎
長雨も今まで止まぬことは無い       静 岡
全没も努力をすれば止められる
戦争のあとは平和が訪れる
老化しても名句を出せば名は残る


  「カゼをひき・・・」         中田   尚
こらあかん三十九度にのぼりつめ        浜 松
点滴が体温計を無視してる
ああうまいいつもはまずい水なのに
生きている三食無事に食べている


「雑  詠」             堀井  草園
順風に吹かれ爽やか赤い羽根           静 岡
生煮えのサンバが憎いシンドローム
真っ先に齢の差比べ訃報欄
チャッカリが隣の席で待ちぼうけ


「雑  詠」             林  二三子
身の丈に合ったところに予防線         芝 川
節制しメタボ知らずのスリム体
昨秋のパンツが入りひとまずホッ
プチ旅行主婦の不満をやわらげる


 「落 ち 葉」              提坂 まさえ
忘れても困りはしない過去ばかり        静 岡
ネット漬け指先にある好奇心
顔ぶれは揃った知恵はいま一つ
風の先選んでみたい落ち葉たち


  「自 由 吟」             海野   満
つくり顔企みすぐに見透かされ         静 岡
人知れずたまには弱音吐いてみる
普通だよ普通がつらい人生は
わかってる眼差しという君の口


「鮎三昧・・・其の十四」      永田 のぶ男
炎天に苔の色よく水飛沫           静 岡
口紅をつけた囮をそっと入れ
立てた竿ワン・ツー・スリーどんと来る
全身が天にも昇る血が踊る


「喉  仏」              長澤 アキラ
恥さらし後悔を積み生きている         静 岡
見せられぬ背を子供が見てしまう
寂しくは無いがとポツリ喉仏
もう少し良い目みたくて背伸びする


「羅 針 盤」             増田  信一
行き先は海に出てから風に聞く         静 岡
羅針盤私の未来こっそりと
頭右 体は左 足後ろ
真っ直ぐに歩いていても落とし穴


  「雑  詠」             川村  洋未
今だって言えない事がビンの中         静 岡
行っちゃった時間通りに終電が
ハイヒール重さに耐えてなお細く
土産物不要な化粧ほどこされ


「  答  」            石田  竹水
ハードルはそのままにして今日も飛ぶ     静 岡
ハイと言う返事を聞いて胸がすく
外野席言い放題が宙に舞う
答えんでいいよ旅の流れ星


「青い果実」              池田  茂瑠
こだわりも一緒に髪を染めました        静 岡
純情が過ぎる果実で青いまま
この柵がなければ堕落する私
ゆっくりと眠る右脳が軋むから


「  石  」            多田  幹江
捨てたはずの処に石の影がない        静 岡
ビギナーズラックそこから堕ちた石
おサルさん反省なんかしていない
万感を晒して白い滝落ちる


  「秋 の 月」            中野 三根子
人生をみつめてしまう秋の月        静 岡
目をとじて月夜の中に母と居る
さみしくてそっと見上げた細い月
これだけは言っておきたい今日の月


「万 歩 計」       佐野 由利子
年金をもらって秋の小旅行        静 岡
屁理屈がやたらと多いコップ酒
転た寝をしながらテレビ聞いている
回り道して吠えられる万歩計


  「十 二 月」            川路  泰山
暮れの街浮世の垢を鷲掴み         島 田
一人酌この一年を呑みおさめ
挨拶も杓子定規の大晦日
腰抜けた蕎麦で今年の除夜を聴く


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
今日の事忘れろという夕陽かな        焼 津
聞き飽きた台詞だ首を賭けるとか
日常的事象で妻と囲む膳
分け合えぬ貧富いくさの火種かも


「このごろ」                望月   弘
特措法地球の止まるほど騒ぎ        静 岡
偽装偽装 性善説の崩れる日
病院の予約がほしい救急車
目が覚めるさあノリシロと格闘だ


 「優しい夜の過ごし方」       加藤   鰹
シャガールが見守る二人だけの刻     静 岡
カンパリにソーダ貴女と過ごす夜
スコッチと薪ストーブとヴェルレーヌ
ビバライフ君と奏でるシンフォニー


   顧  問  吟 
 「往 く 年」             柳沢 平四朗
残り火を煽る加齢の坂を往く          静 岡
良心という後悔が背に抜ける
すり減った言葉繕う歳の夜
猫も噛む窮鼠で道をこじあける




虎竹抄 | Link |
(2007/12/26(Tue) 08:17:12)

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