平成二十四年 十月二十日
た か ね 定 例 句 会
於 アイセル静岡
参加者(順不同)滝田玲子、曽根田しげる
望月弘、増田信一、佐野由利子、市川重雄
石上俊枝、山本智子、勝又恭子、川村洋未
山田浩則、長澤アキラ、加藤鰹、杉山光代
中田尚、薮﨑千恵子、林二三子、尾崎好子
三島紀久子、松田夕介、南天子、池田茂瑠
中野三根子、小林ふく子、鈴木まつ子、中
司、渥美さと子、鈴木千代見、斉尾くにこ
畔柳晴康、岡村廣司、中矢長仁、大塚徳子
栃尾奏子、奥宮恒代、薗田獏沓、内山敏子
石田竹水、成島静枝、川口亘、谷口さとみ
毛利由美、安田豊子、鹿野太郎、酒井可福
濱山哲也、真理猫子、森田安心、西垣博司
八木益代、川口のぶ子、永田のぶ男、那須
正、山本野次馬、荒牧やむ茶、森下居久美
▽滝田玲子さんが浜松からうなぎパイを抱えて参加して下さいました。ごちそうさま~
席 題 「邪 魔」 勝又 恭子 選
邪魔なのにどいてくれない立ち話 玲 子
玄関の孫の自転車邪魔をする 紀久子
また来たよ夕食時間ねらってる 三根子
座禅組む鼻にとまったハエの奴 信 一
父さんが邪魔になってる日曜日 浩 則
長い足そうじするからたたんでね 洋 未
眠らない子等へいらつく夫婦部屋 弘
目の上のこぶが増長して困る アキラ
足の爪メタボの腹が邪魔をする 弘
濃いお茶がだんだん薄くなってきた 尚
デートする席に流れる別れ歌 信 一
淋しさを慰めに来るおせっかい 智 子
話し合い済んだ所へ水さされ 千恵子
邪魔立てをしては笑いの三才児 重 雄
デート中わざとケータイかけてくる 千恵子
一円玉邪魔になるからお賽銭 しげる
肩書きが定年過ぎて首を絞め 信 一
近くまで来たのと義母が二泊する 鰹
通せんぼされて想いが伝わらぬ 千恵子
片付けが下手で納戸が混んでいる 二三子
ライバルの横槍またもはじまった 千恵子
評論家プレーの流れ止めている 信 一
邪魔だとは言えずにこにこ輪に入れる千恵子
親切が済んだ話を餌にする アキラ
名門に生まれて背負う重い石 信 一
五 客
邪魔邪魔と言ってみたいな金女 信 一
物置に夫の邪魔な釣り道具 二三子
旅の朝台風向きを変えて来る 光 代
御当地で買った土産が邪魔になる 洋 未
長い足和室が少し苦手です 尚
人 位
石一つ置かれ躓く出世道 千恵子
地 位
長電話クライマックス見せません 尚
天 位
どうしても調和の取れぬ色一つ 千恵子
宿 題 「秋だなあ」 望月 弘 選
お隣りの柿も私も色づきぬ 恒 代
色づいた柿が呼んでる里ごころ 豊 子
献立が次々うかぶいい季節 恭 子
秋深く柿食いちらすヒヨの群れ 智 子
一仕事終えて案山子も休む野良 やむ茶
スーパーに秋の味覚が勢揃い 千恵子
山道で毬栗見つけ手が竦む 光 代
秋だなあ月に惚れても片思い 天 子
痩せたくて稔りの秋の隅にいる 茂 瑠
爪の角ストッキングが秋を知る 静 枝
新米を塩でむすんで紅葉狩り 紀久子
お彼岸を忘れなかった曼珠沙華 益 代
赤トンボ一筆箋に写し取り 静 枝
申し訳のようにぽつんと秋なすび まつ子
新タワー空の青さに突き刺さり 獏 沓
秋だなあ虫が奏でるシンフォニー のぶ子
人肌も缶コーヒーも恋しくて 尚
いわし雲冷やし中華はもう終わり 夕 介
定食のメインディッシュはさつま芋 猫 子
窓の灯がこんなに心温くする ふく子
秋だなあと体重計がつぶやいた 哲 也
天高く馬より先に人が肥え 廣 司
テーブルに一度は並ぶ栗御飯 浩 則
ランバダを踊るトンボが憎らしい 夕 介
人生の機微折り畳み秋がゆく アキラ
紅葉を肴に飲んだ露天風呂 信 一
ダイエットもうできないよ秋だもの 洋 未
家路へと急ぐサンマの換気扇 千代見
杉の葉に松茸ドンと横たわり やむ茶
スーパーの棚から秋になっていく くにこ
絵手紙のザクロ弾ける音がする アキラ
ボジョレーを飲みつ夜長のクリスティー 鰹
デパートが急に枯葉の色になる 洋 未
店頭の特等席に初さんま 益 代
五 客
秘め事が紅葉したら逢いましょう ふく子
カレーからシチューにかわるコマーシャル 奏 子
カサカサと落ち葉舞う音 肌の音 猫 子
秋の風抜け毛一本さらわれる 千代見
秋だなああなたに電話したくなる 博 司
人 位
まぼろしの酒が届いた秋夜長 好 子
地 位
秋の夜の一番星は遊び好き くにこ
天 位
五階まで挨拶に来た赤トンボ 由利子
宿 題 「ブレーキ」 佐野由利子 選
お財布がストップ掛ける回り寿司 徳 子
おいしくて食べすぎているバイキング三根子
食欲の秋にブレーキ甘くなる 居久美
体重のグラフでケーキ遠ざける 恭 子
バイキングブレーキきかず胃が太る 紀久子
ブレーキが飲み放題できかぬ夜 紀久子
呑み過ぎにブレーキかける妻の酌 敏 子
ブレーキが効かぬ晩酌妻の留守 長 仁
論客は議事にブレーキかけたがる 博 司
オスプレイブレーキ掛けて利き目なしのぶ男
止まらない悪口の足踏んづける 智 子
ブレーキが外れています喋り過ぎ 竹 水
宴席を乱すブレーキきかぬ人 益 代
ブレーキをかけて抑えている理性 千恵子
ブレーキがきかない妻の捨てゼリフ 千恵子
「どうせ無理」そんなブレーキ壊しちゃえ さとみ
ここだけと念を押しても飛ぶ噂 俊 枝
ブレーキを踏めばこの愛逃がしそう 恒 代
ブレーキが効かなくなった青春期 千代見
ブレーキを掛けつつ恋のスリリング 好 子
青春の恋のブレーキかけられず 光 代
生真面目な恋にブレーキ止まらない 玲 子
青春の恋にブレーキなど効かぬ 野次馬
女同士のお喋りにブレーキは無駄 二三子
夫婦にも時にブレーキ車間距離 獏 沓
下り坂もうブレーキは利かぬ齢 廣 司
急ブレーキ踏んで転んだ身の不覚 豊 子
心にもブレーキかけて確認を 浩 則
ブレーキの故障を告げる皮下脂肪 哲 也
のけぞってブレーキかける下り坂 由 美
助手席の妻がブレーキ踏んでいる 長 仁
五 客
ブレーキが錆びついている脳回路 徳 子
ブレーキの効かない口を持っている 尚
ブレーキと舵取り握る山の神 重 雄
我がバイク美人を見たらすぐ止まる 安 心
晩酌にブレーキかける血糖値 二三子
人 位
ときどきは睨みブレーキかけてやる 恭 子
地 位
火がついた恋にブレーキなど不要 夕 介
天 位
ブレーキの効かぬ男の酒おんな 重 雄
宿 題 「 金 」表現自由 加藤 鰹 選
金持ちの話を遠く聞いている 博 司
金婚のページに着くまでのドラマ 奏 子
一歩二歩積んだ努力で得たと金 竹 水
寝たきりのベッドの下で軋む金 豊 子
金バッチちょいと酔わせりゃ金メッキさとみ
少子化に役立つ金が二つある 可 福
形見分け母の金歯が気にかかる 三根子
金時計動かなくても神棚に 洋 未
金婚式おんなじ顔になる二人 哲 也
怒るなら金平糖の角にして 智 子
金のオノ落としたなんて言いにくい 恭 子
初恋が実り嬉しい金屏風 千恵子
金券は羽があるのか舞って失せ 亘
お祭りの金魚が妻を手懐ける 太 郎
掴めない金を浮き世へ置いて逝く 重 雄
愛よりも金が欲しいと言った妻 信 一
生きるのも死ぬのも全て金任せ 尚
へそくりを並べニヤニヤ留守居番 晴 康
一過性金環食も失恋も 夕 介
守護霊が夏バテ中で金がない 猫 子
俺々も金が無ければ怖くない 信 一
綺麗事言っても金が物を言い 千恵子
黄金虫財布の中で死んでいた 静 枝
年金の支給日孫が知っている 博 司
禿げてきた維新の風の金メッキ 夕 介
借金もないが余分な金もない 二三子
地獄の沙汰金はエンマの飲み代か 重 雄
ゴールドの私ペーパードライバー 三根子
金メッキ剥いでしまえば生き易い 恭 子
金平糖幼き頃の夢をのせ 敏 子
愛の鐘二人を染める黄金崎 紀久子
高額で金買いますの電話くる 紀久子
金ピカの歯が拘らぬ高笑い さと子
エビ天がからりと揚がる金曜日 徳 子
五 客
不器用で恋も金魚も掬えない 哲 也
金ペンですらすら書いた借用書 玲 子
あり余る金は棺に入れてやる 弘
札束をマクラにしたら肩がこる 尚
愛よりもお金を選ぶのは素直 竹 水
人 位
ど忘れが激しくなったお金持ち 由利子
地 位
金のない週末パジャマ着てすごす 由利子
天 位
金持ちと間違えられた事がない 廣 司
宿 題 「自 由 吟」 互 選
⑩口応えしてくる妻の居る安堵 廣 司
⑧美しい嘘を薬にする介護 ふく子
⑦景色よりガイドの口がおもしろい 益 代
⑥母の手は何にも勝る充電器 俊 枝
⑥目の高さ変えると見えてくる心 千代見
⑤言い足りぬ愚痴へ夫の高いびき 由利子
⑤嬉しいねボクをやる気にさせる嘘 奏 子
④人の愚痴聞いて血圧上がり気味 まつ子
④隣人も隣国も境界で揉め 由 美
④ファスナーが上と下とで揉めている 弘
③消えかけた愛だが尚もラッパ吹く よし子
③口止に奢ったビール喋り出る しげる
③山歩き心がゼロになって行く 夕 介
③花柄が地味で伸びない私の芽 茂 瑠
③付加価値を付けて人間安くなる くにこ
③スポイトで吸った言葉がどす黒い 野次馬
③盗み聞き壁も障子も猫も聞く 晴 康
②サプリです夢もしっかり採りましょう 哲 也
②鼻歌のリズムに踊る肉野菜 やむ茶
②母さんを思い出してる吾亦紅 アキラ
②目標があれば必ず矢も当る 安 心
②校則もいじめも知らぬ川の中 尚
②お弁当ちょっと豪華な月曜日 太 郎
②雑草の根っこは伸びている野心 竹 水
②ときめいたことにして添う五十年 徳 子
②正直に生きていつかは金の斧 さとみ
②生きてればいいことあるさ皆の衆 のぶ男
②免許証忘れて走りポリス立つ 紀久子
②せっかちな私がいつも駅で待つ 三根子
②醒めちゃった口説き文句が月並で 洋 未
②へそ曲げた妻がだんだん河豚になる千恵子
②過疎地への移住田舎が活気づき 二三子
②尖閣も日本神風吹いとくれ 可 福
②ゆっくりと夢を繋いで生きていく 義 子
②流れ星訃報ハガキを置いて行く 智 子
②パソコンの悪い遊びの悩む秋 重 雄
②寒暖の気付きが遅れ始めだす 信 一
②まだ妻の噴火予知すらできてない 博 司
②秋だなあブレーキかけて金遣う 天 子
②彼岸花さけて通れぬことばかり さと子
②新米と味噌汁たける朝が満ち 敏 子
2012年12月号