平成二十四年四月二十一日、ちょうどたかね川柳四月句会の席上に、当会顧問である柳沢平四朗さんの訃報が飛び込んで来ました。享年八十八歳、死因は脳溢血でした。心よりご冥福をお祈り致します。

 

平四朗さんはたかね川柳会創立当時からのメンバーで、長年句会係、会計と会の土台を支えて下さいました。また地元町内で「あすなろ会」を設立、指導に当たり優秀な川柳人を育て上げました。とにかく根っから川柳が大好きな人でした。

ご本人は根っからの蒔絵職人で、筆一つで実弟である柳沢伯夫氏を自宅に引き取り、静岡高校、東京大学に進学させ、代議士にまで育て上げたのは知る人ぞ知る話です。
私事ですが、二十七才の時初めて参加した静岡市民川柳大会会場で「アンタ若いね、今度たかね川柳会に遊びにいらっしゃい」と声を掛けて下さったのが平四朗さんでした。それから川柳に夢中になっていった僕を見て、いつも平四朗さんは「あの時アンタを誘ってよかった。本当によかったよ」とニコニコしながら言って下さいました。こちらこそ本当にありがとうございました。平四朗さんとの出会いがあって、今僕はここにいます。
一番よかったなと思うことは、当会で平四朗さんの句碑を建立してあげられたことです。
先日、平四朗さんの句碑に久々に会って来ました。安倍川を見下ろす高台に建っている句碑を見ていたら、除幕式の日の記念句会の賑やかさが浮かんで来て目頭が熱くなりました。。
平四朗さん、本当にありがとうございました。安らかにお眠り下さい。 合掌。    加藤 鰹

 

 

   柳沢平四朗  川柳作品
丸投げの余生がさごそ生きている
プライドを摘まむ長さの違う箸
有頂天の挫折が高い値で売れる
蹴った石の角が余生に跳ね返る
問い詰めてみたら善意も縫いぐるみ
反対の挙手へ冷や飯てんこ盛り
後ろから風が孤高を剥ぎに来る
八起き目の風は無策の中で吹く

2012年6月号