末の息子が運転免許をとった。今はやりの「合宿免許」だ。

 

場所は新潟。なんで茨城から新潟まで行くかな、と誰でも思う質問をぶつけたが、返事は「友達が決めたから」

 

いわゆる脱力系の息子で、小2のときに「ぼく、大きくなったら犬になるんだよね♪」と戌年生まれの彼はのたまった。その時は可愛かった。だが、中学の卒業アルバムに『天然ナンバーワン』に選ばれたときには絶句した。

 

話がそれた。

合宿免許は、往復の交通費(新幹線)、宿泊費、食費、教習費すべて含めて二週間で二十三万円。これはかなり安い。通所だと一か月はかかり、最低でも三十万円。もちろん家庭のエンゲル係数は減らない。合宿ならうまくいけば一週間で仮免となり、二週間で卒業だ。

 

卒業検定に合格した彼は、さっそく翌日運転免許センターへ行き、めでたく運転免許証を手にした。

その夜。

「お母さん、車運転したいんだけど」

 

まずは同乗して彼の腕を見せてもらう・・

・・・こ、怖い、遅すぎる。

ほら、早く行かないと後ろの自転車に怒られるよ、ああもう、なら左に寄って追い抜いてもらいな・・

車は自転車に追い抜かれ、ふらふらと帰宅。最後の車庫入れとなったとき、彼は言った。

 

「車庫入れ、やってないんだよねー」

 

ま、まじかー。合宿免許って車庫入れしないのねー、駄目じゃん!

かくして現在私はにわか教官となり、車酔いに悩まされている。

 

 

2013年11月号