平成二十四年 九月二十一日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡

 

参加者(順不同)薮﨑千恵子、佐野由利子

増田信一、林二三子、松田夕介、石上俊枝

杉山光代、尾崎好子、山田浩則、滝田玲子

川村洋未、望月弘、長澤アキラ、八木益代

山本智子、中野三根子、市川重雄、加藤鰹

勝又恭子、畔柳晴康、池田茂瑠、中矢長仁

小林ふく子、鈴木まつ子、南天子、川口亘

岡村廣司、薗田獏沓、真田義子、成島静枝

石田竹水、奥宮恒代、酒井可福、岩永圭二

永田延男、毛利由美、安田豊子、栃尾奏子

山本野次馬、鈴木千代見、山本ますゑ、中

司、外側としみ、川口のぶ子、谷口さとみ

鹿野太郎、濱山哲也、森田安心、西垣博司

森だがやん、森下居久美、曽根田しげる、

荒牧やむ茶、恩田たかし、渥美さと子、那

須野正、馬渕よし子、中川司

 

 

席 題 「  線  」  勝又  恭子 選

二本ある結婚線に希望もち     俊 枝

線路など時代おくれとリニアカー   鰹

遠近のメガネが邪魔な脚線美     弘

年齢に見えない線が引いてある   洋 未

ここまでと線引きをする頑固者   三根子

路線図を見ても解らぬ都心線    浩 則

ガン告知生命線が薄れてく     アキラ

脚線美俵になって健康美      俊 枝

百点が一直線に駆けてくる     益 代

几帳面線もないのにズレもせず   二三子

講演の脱線話残る耳        智 子

稜線の月へ夕餉の急ぎ足      智 子

手の平で豆腐奴にされている    好 子

強敵はライバルよりも放射線    信 一

線引きを無視して生きる自尊心   好 子

五 客

満月のせいで一線越えちゃった    鰹

派遣社員いつもキリトリ線の上    鰹

アイライン今日は濃くして勝負する 三根子

検診へいやとも言えず放射線    智 子

当落の線上にいて落ち着かず    千恵子

 人 位

直線でしか進めない頑固者     信 一

地 位

五線譜でダンスしている赤トンボ   弘

 天 位

捨てきれぬ夢が切り取り線の上   アキラ

 

 

宿 題 「テ ー プ」 増田 信一 選

セロテープくらいでとめておく決意 恭 子

おままごと指のテープまで真似て  静 枝

不器用がからませているセロテープ 由 美

ガムテープ剥げば田舎の母の味   野次馬

頑なに僕を拒否するセロテープ   夕 介

糸だけじゃ逃げられそうと赤テープ 洋 未

君と僕両面テープ透き間なし    洋 未

反省の誓いテープにとってある   益 代

青春のカセット聴かれてはならぬ  夕 介

土俵上弱さが目立つテーピング   智 子

癖のある顔が並んで切るテープ   千恵子

ロボットが筋肉痛で貼るテープ   玲 子

ガムテープ剥がせば新米の香り    鰹

母の愛季節を詰めたガムテープ   俊 枝

お喋りな男の口へガムテープ    由利子

防犯のカメラ証言するテープ    竹 水

約束の声をテープに録っておく   浩 則

遠洋船妻がテープを離さない     千恵子

遠慮ない口に貼りたいガムテープ   居久美

人生の節目に太いテープ貼る     ふく子

自叙伝へテープ貼ったり剝がしたり  由利子

また小言テープのようにくり返す   益 代

五 客

ガムテープそっと剥がせば里の風   さとみ

国宝をテープで流す京の寺      玲 子

末等の子にもテープを張ってやる    弘

ガムテープ貼ってやりたい噂好き   智 子

あなたとの別れのテープ持ってます  義 子

 人 位

重力に逆らう頬にセロテープ     やむ茶

 地 位

8ミリの中の昭和が笑いかけ     やむ茶

 天 位

出来るならしたい人生逆回し     さと子

 軸 吟

テープ切る前に思わぬ汚染水     信 一

 

 

 

宿 題  「秋  風」 尾崎 好子 選

焼き芋の香に飛び出して行った妻    鰹

待ちかねた稔るフルーツ撫ぜる風   晴 康

ヤケドした恋をなだめる秋の風    竹 水

秋風へ愛の残り火燃え上がる    茂 瑠

うたかたの恋を引きずる秋の風   としみ

秋風も恥ずかしそうに避けて吹く  長 仁

秋風が吹けば人間らしくなる    天 子

積ん読へ視線泳がす秋の風     恒 代

秋風に揺られ絵になる赤とんぼ   豊 子

もう終わりあなたに何も感じない  圭 二

呑み代がなくて秋風身に沁みる    亘

秋風へ麦わら帽子眠らせる     ふく子

耳鳴りに耳を叩けば秋の風     まつ子

薄くなる髪の毛秋をキャッチする  千代見

葦簾秋風からみ通り過ぎ      獏 沓

風鈴のすすり泣いてる秋の風    千代見

失恋のページを捲る処方箋     野次馬

秋桜を揺らすくらいの風がいい   さとみ

秋風が我家のあたり強く吹く    三根子

秋風に作業も心地よく進む     二三子

夏バテを癒してくれる秋の風    千恵子

天高く平和に揺れる万国旗      鰹

ここちよい風はいつでも妻の留守   弘

私達もうだめかしら秋の風     三根子

秋風が吹けど秋刀魚が高止まり   信 一

名月に掛かる雲どけ秋の風     可 福

秋風とじゃれてトンボのシルエット 居久美

夏の恋冷ましてしまう秋の風    哲 也

秋風よこころして吹けまだやる気   亘

五 客

片想いまた秋風に連れ去られ    さと子

秋風に気付かぬままに抱き締める だがやん

秋風が酷暑に耐えた身に沁みる   二三子

腹の虫つっついてくる秋の風    夕 介

字あまりの言葉を運ぶ秋の風    アキラ

 人 位

秋風が二人のココロ撫でていく  だがやん

 地 位

政変も不況も知らぬ秋の風     俊 枝

 天 位

秋の風妻の小言を聞き流す     由利子

 軸 吟

七草の二つ三つへ秋の風      好 子

 

 

 

 宿 題 「か  ら」(表現自由) 加藤   鰹 選

頭のなか今も昔もカラッカラ    圭 二

もうKARAもAKBも飽きたなあ やむ茶

お尻振り五歳の娘カラダンス   だがやん

内緒だが賭けマージャンで空財布  のぶ男

隣りからイビキの音がものすごい  三根子

孫が来るたび空っぽになる財布   さとみ

からっきし駄目な息子と暮らす羽目 好 子

協力をしたいが今は素寒貧     廣 司

空メール送って返事空メール    三根子

唐揚げの脂で四股を踏む庶民    太 郎

缶カラを蹴った代償大き過ぎ    千恵子

握手する指に疑念が絡み付き    由利子

ダム涸れに沈んだ村の大鳥居    ますゑ

貝殻の音失恋のセレナーデ     太 郎

空っ風浜の風紋描き出す      晴 康

自宅から見る富士山が日本一    恭 子

秋空のからりと晴れて黄昏る    たかし

食い盛り二人も居って鍋はから   獏 沓

食べ盛りちょっくりの間に釜は空  二三子

世の中の理想現実から廻り     光 代

空元気出して愉快をゲットする   竹 水

今日もまた負けてたまるか空元気  のぶ子

空手形切ってせっせと穴を掘る   洋 未

内心はびくびくしてる空いばり   益 代

気が小さいくせにやたらと空威張り 二三子

空威張りだって元気な証拠だよ   竹 水

愛の巣は空っぽ一人きりの夜    恒 代

空っぽの私が映るガラス窓     恭 子

からっぽと知りつつ開ける貯金箱  義 子

空っぽの賽銭箱に神が拗ね     しげる

空っぽの心に繋ぐ充電器      奏 子

駆けつけでもう空っぽの大ジョッキ さと子

ブランドの財布で中味火の車    ふく子

空っぽの財布に詰める請求書    野次馬

カラカラと鳴いた財布と睨めっこ  信 一

から財布入れてくれよと置いてある 光 代

すっからかん君を送って空財布   洋 未

二日酔い覚めて後悔空財布     夕 介

気がつけば私だけのカラ騒ぎ    さと子

母の笑みうれしい空のおべんとう  ますゑ

幸せの出発点は笑顔から      哲 也

お隣りとツル一本で絡み合う    ふく子

愚痴るまい鬼がからから笑うから  豊 子

からっ風葱も私も甘くなる     奏 子

五 客

過去清算引き出しの中空にする   千恵子

唐草にくるまれ押し入れの昭和   居久美

唐揚げと美人に弱い二段腹     哲 也

からからと辞書が笑ったIT語   玲 子

からからと下駄を響かせ秋が来る  アキラ

 人 位

想い出のページに君からの手紙   居久美

 地 位

米櫃が空っぽだから鮨屋行く    しげる

天 位

カラフルなキノコと女性には注意  夕 介

 

 

宿 題 「自 由 吟」  互 選 

⑦真っ直ぐに歩かないから味が出る 信 一

⑤頂点はおとといだったことにする  弘

⑤空威張りすぐに尻尾を出してくる 千恵子

⑤カレンダー通り賢い彼岸花    好 子

⑤雑談の中で拾った今日の運    ますゑ

⑤若いっていいねすっぴんでも綺麗 まつ子

④平凡もいいが刺激が欲しくなる  義 子

④衣食住足りた女は良く笑う    廣 司

④おもてなし言葉がひとり歩きする やむ茶

④大の字になって変化のない暮らし よし子

③メールなら気軽に言えるありがとう 益 代

③二回目の五輪夢みて生きてみる  安 心

③夕焼けのチャイムの前に日が暮れる 浩 則

③折合いをつけてまあるく暮らす癖 三根子

③困っちゃう仕合せ過ぎて暇が無い 竹 水

③七年後五輪の華が江戸に咲く   可 福

③お財布の中身診察券だらけ     鰹

②ごぶさたに近況話す花手桶    俊 枝

②どうしよう生命線が伸びている  さと子

②古傷に屋台で消えた恋一つ    太 郎

②飼い主によく似て芸のない育ち  玲 子

②食欲が旺盛でよく箸を噛む    博 司

②先輩を越えて驕りが見えてくる  由利子

②秋服の値札のゼロが大過ぎる   智 子

②おしゃれして出掛ける事もボランティア  洋 未

②墓参りもてなし嬉し里の家    光 代

②努力した汗が滲んだ古写真    ふく子

②検診も生きる為には関所だよ   晴 康

②ありがとうそんな言葉に惚れました 天 子

②こんな日はブラックジョーク二三発 恒 代

②頑張れとはげますような遠花火  としみ

②美しきものだけになる走馬灯   奏 子

②人間が決める善玉と悪玉     由 美

②台風が去って風鈴もの悲し    豊 子

②泣きながら本音ぶつけて無二の友 静 枝

②懐かしい友がはるばる提げて来た 長 仁

②秋風に孫と揺れてる遊園地    獏 沓

②羊水に浮かぶ僕には戻れない   野次馬