あ  と  が  き

▽四月十二日、森下居久美さんと一緒に菊川文化センターアエルで綾戸智恵のコンサートを見ている最中にケータイが震えた。コンサート終了後に掛け直すと、横田輪加造さんの奥さん、千歳さんからだった。「あのね鰹さん。今朝、輪加造さんが脳溢血で死んじゃったの…」電話を持つ手が一瞬で凍りついた。「なんで!?嘘でしょう?」輪加ちゃんとは数少ない同年代(彼のほうが僕より5歳年下)の川柳愛好仲間としてずっと仲良しだった。彼は川柳以外にも都々逸や雑俳の専門家で、先月のたかね句会で折り句をやったが、その際のルール確認やら近況やらでメールのやり取りをしたばかりだった。彼からの投句もあり、今号の句会報に入選句が載っている。

 

▽川柳をやって一番嬉しいことは友人・仲間が出来る事だと土肥ともしび吟社の佐藤灯人主幹が言っていたが、逆に一番寂しいのは見送る人が多いことではなかろうか。僕も今まで多くの先輩を見送って来たが、輪加造さん。君を見送るにはまだ早すぎる。昨年末に二人目の子どもが生まれて、人生も仕事も子育てもこれからだというのに、さぞかし悔しいことだろう。見上げると夜桜が雪のように舞っていた。輪加ちゃんさよなら ( 鰹 )