たかねで川柳を頑張ってる良い子のみんなに「ブトとボソ」の話をしてあげよう。

 

ブトこと本名「ハシブトガラス」、ボソこと本名「ハシボソガラス」という。『類は友を呼ぶ』とは正に適切で、嫌われ者である僕のマイ・ブームがカラスでござる。

私たちの周りにいるカラスは二種類、これがブトとボソ。似てはいるものの実際は「オーストリア」と「オーストラリア」ほど違って、知れば知るほど興味深い生き物なので聞いてほしい。

 

まず見分け方。ブトはボソより一回り大きくて(太と細と覚えるとよい)一緒にいると「親と子だな」と錯覚する。見た目、ブトは額が盛り上がってボサボサのウルフヘアーで粋がっているのに対し、ボソは額が撫でらかで、整髪したオールバックにキメているから違いもよく分かる。近めでこの識別が出来たときの感動はついつい「君はボソだよね」って話しかけるほどだった。またブトは「カーカー」と澄んだ声で、ピョンピョン跳ねるようにして歩くし、ボソは「ガァーガァー」と濁った声で、人間のように足を交互に気取って歩くから遠目でもどちらか判断できる。

 

そして性格であるが、ルックスがそのままポリシーになっているから面白い。どちらというと肉食系のブトは気が荒く、人を攻撃するのはコヤツだ。道端で動物の死がいに群がっているのもそう。一方、ボソは雑食でも木の実や虫などを好む。よく高いところからクルミを落としたり、車に轢かせて割ろうとしているのはコッチ。そう、ブトは過激派であり、ボソは鳥本来の姿を守ろうとする保守派である。食生活はそのまま棲み分けにつながるから、ブトは街志向でボソは田舎志向になっている。その証拠に当方は田舎なのでほとんどはボソだ。

 

観察するとカラスはネグラを拠点に集団で大きな縄張りを持っている。その縄張りを各夫婦で分担しており、社会構成は人間とまったく同じだ。それが分かったのは家の裏山がボソのネグラで、家の周りには普段2羽(おそらく夫婦)のボソがいるからだ。夕暮れ裏山に入る前、一時電線に大挙することはあるが、近辺のゴミ捨て場で争うことはない。ちょっと見平和だが、雀や鳩が巣作りをする時期になると卵やヒナを狙ってどこからかブトが縄張り荒らしにやってくる。でもボソはそれを黙って見ているだけだ。やはり腕力では敵わないらしい。でもあれほど見て見ぬ振りをするのは、ブトとボソは身分制度でもあるのだろうか?そこが今後のマイ・?である。

 

カラスはとても賢くて唯一道具を使う鳥だ。だからカラスを理解しようとする気持ちは絶対に通じるものだと僕は考える。それが共存の一歩。だからカラスのことも僕のこともあまり嫌わないでほしい。

 

2014年6月号