静岡川柳たかねバックナンバー
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自 由 吟
  虎 竹 抄


「2009 夏」    森下 居久美
オーシィツクツク 食べ損なったかき氷  掛 川
チンチロリン 延期のままのバーベキュー
リーンリーン 出番の来ないかもめーる
ガチャガチャガチャ ブルーシートが乗ったまま


「暮らし向き」     増田  久子
来年のバザーの品を買うバザー      焼 津
給付金使った記憶ないが無い
夢枕には千匹を超す羊
中古車を買って三回目の車検


「スタート」      井口   薫
リモコンの気配総理の背後から      袋 井
閣僚の記念撮影お急ぎを
マニフェスト リボン解いたら白煙が
チルドレン賞味期限は四年なり


「気 疲 れ」      成島  静枝
丸ノコが黙るコードも切るダンナ     千 葉
働くと威張る丸ノコ ヨイショする
殿様は良きに計らえ後始末
秋めいた空へ血圧深呼吸


「生 き る」      大塚  徳子
ホイホイと生まれてヤレヤレと生きる   仙 台
父の死す日も朝御飯食べていた
生かされて喘ぎ喘ぎ生きている
一言がキラリと光るありがとう


「雑  詠」      馬渕 よし子
貧乏の筈だが何故か脂肪肝        浜 松
評判の味へわたしの舌が拒否
夏草のいたちごっこもやっと終え
意気込んだ食べ放題へ胃が怯え


「参  加」      小林 ふく子
参加する川柳なのに席がない       袋 井
曖昧な返事参加とみなされる
あの人が参加するならやめておく
多数決多い方へと参加する


「オバタリアン」    濱山  哲也
ガハハハと男トイレになだれ込む     つがる
町銀座まけろまけろと吠え歩く
二枚目と涙にもろいオバタリアン
無料バス途中で止めて消えました


「虎 竹 抄」      真田  義子
この山を越えたらきっと見える海     仙 台
ふんぎりをつけたら見えた青い空
サスペンス好きな女のサングラス
トゲのある言葉奥歯で噛み砕く


「現  実」      新貝 里々子
おばあさんの溢れる街ですっと溶け    袋 井
体型が無理だと言っている下着
情熱の赤は赤でも昭和かな
裏通り記憶はたしかこのあたり


「  猫  」      川口 のぶ子
ミニ畑のきゅうりうっかりメタボなり   藤 枝
朝取りのトマトの味の甘いこと
猫の手を借りたい時にいない猫
猫なでの声が気になる落し穴


「  い  」      戸田 美佐緒
いまはまだノックしないで爪を咬む    さいたま
柔らかな顔になるまで湯に沈む
お土産にあの日の雨を持っていく
戻れない夜へ真昼の月が哭く


「恋愛マニュアル」   栃尾  泰子
キスひとつ恋の魔法をかけられる     大 阪
愛されているうちは淑女の仮面
紅強くひいて戦士になる乙女
崖っぷち魔女も悪女も解き放つ


「  恋  」      松橋  帆波
勝手だが妻より妻にしたい人       東 京
メモリーへ男名前で棲む子猫
矛盾まで愛しい君と居る時間
君の名がカフェインよりも効く夜更け


「願  い」      鹿野  太郎
人になるハードボイルド小野田塾     仙 台
ようやっと見つけた技術家庭塾
妻の前のたうち回るかすり傷
訳ありとネット市場に出す娘


「  旅  」      内山  敏子
満月と枝豆つまむビール党        浜 松
秋風へ旅をひろげるスニーカー
鈍行で里の温さを拾う旅
秋風へ誰かに電話したくなる


「夏だねぇ」      西垣  博司
鍋底を叩いて蝉の夏祭り         静 岡
ゴキブリの逃げ足の良さただ見とれ
砂浜で大地を知った土踏まず
殺虫剤夏の家計にのしかかる


「雑  詠」      安田  豊子
諍いの余寒無言の茶をすする       浜 松
七十路の残り火を消す夢芝居
苛立ちを宥めて覗く万華鏡
三色で足るひとり居の彩選ぶ


「自 由 吟」      竹内  さき
風やみて恋も静かに秋実る        浜 松
赤トンボ茜の夕陽数見せて
しっとりとコーヒーをのむいい時間
幻か秋も深もよドラマ旅


「ヒロイン」      提坂 まさえ
イチロー風 もの凄いことさり気なく    静 岡
キリギリスよく貯えてよく歌い
脇にいて時々くっている主役
ひまわりの花終えてなお立ち尽くす


「忘 れ る」      川村 美智代
苦しみを忘れるために泣いてみる     静 岡
今日もまた忘れっぽくて浮いている
痛い足少し忘れて花を買う
忘れるを流れにまかせ老い二人


「  道  」      藤田  武人
肩並べ夢を描いた並木道         大 阪
閻魔から帰れと言われ道迷う
畦道で案山子相手に影を踏む
道端で踏まれて耐える丸い石


「自 由 吟」      酒井  可福
腹の虫泣いて止めますダイエット     北九州
揺れました壊れる物は何も無い
肩書きがあって政治に幅が出る
日焼けする暇も無かった夏休み


「秋 の 風」      毛利  由美
給食を恋しがらせる昼ごはん       つくば
アナログな夏を楽しむ扇風機
夏休み明けて休校などごめん
そしていま流感にかかるのも手か


「病院通い」      中谷  長仁
病院へ今日も仲良く老夫婦        松 山
タクシーが覚えてくれて直ぐに来る
待合で名医ですよと噂する
院長も川柳が好き持って行く


「走  る」      山本 野次馬
向かい風妻の背中で耐えている      函 南
命日へひたすら走るだけの事
バッテリー切れて惰性の日が暮れる
突っ走る若さが欲しい五十代


「雑  感」      川口   亘
背負いして呉れると云って効かぬ孫    藤 枝
配給の言葉忘れて今日を生き
つい先を読む気にさせる電子辞書
失敗が有って人間らしくなり


「雑  詠」      芹沢 穂々美
投げ役になってボールの品定め      沼 津
おにぎりの中の梅干情が濃い
篭の中 初で無垢とは大誤算
中立で世間の風になびかない


「残 り 火」      鈴木 まつ子
ときどきはスパークをする恋の仲     島 田
打ち込めば不平不満も取り消され
惜しみない川柳が好き人も好き
めくるめく愛の残り火揺れやまず


「自 由 吟」      寺脇  龍狂
そんな世にフントになるか新政府     浜 松
教え子も世話子もなくて生きている
大勝へ負けてやれよとビールいう
耳鳴りも白内障も知らず戦友は逝き


「自 由 吟」      滝田  玲子
新型は夏も好きです白マスク       浜 松
新米と秋刀魚で残暑くぐり抜け
ひと雨がほしいと案山子こうべたれ
不況風リストラ化する夏花火


「く  せ」      鈴木 恵美子
梱包の几帳面さに信用し         静 岡
ごね得が立派な家に独り住む
八方美人言われたくない律義者
けちんぼの母出すものはいさぎよし


「男 と 女」      石井   昇
にくらしい いとおしい男と女       蓮 田
矢印をたよりにゆけば行き止まり
悩むより閃きで書く点と線
仕方なく生きて怠惰な灯をともす


「踊  る」      篠原   久
阿波へ来て一度は阿呆になるつもり    四国中央
地唄舞奥の深さに動と静
炭起しスルメ躍らせ一人旅
踊らない風は路地裏通り抜け


「  根  」      薗田  獏沓
枝ぶりも良いが根張りはもっと良い    川根本町
正直に曲がった松の根の姿
根の強さ岩の割れ目で生きてゆく
「さあ来いと」根っこしっかり張った松


「  風  」      加茂  和枝
小休止やりたい事が山ほどに       岩 沼
爽やかな風は素顔で受け止めて
どしゃぶりに笑顔が消えた太陽で
山を見て本音で話す人が好き


「ベ ル ト」      瀧    進
別腹がベルトの穴を追いかける      島 田
バイキング ベルトの穴も味方する
ダイエット心ベルトにたたら踏む
両輪のベルト弛んだ倦怠期


「有 頂 天」      岡村  廣司
有頂天なると自分を見失う        焼 津
お世辞とも気付かずなった有頂天
有頂天つい気遣いを忘れてた
落し穴気付く筈なし有頂天


「宴  会」      鈴木 千代見
箸袋細かく畳み好きでした        浜 松
注ぎ足しの酒に本音をのぞかせる
三次会ついてゆく人ゆかぬ人
カラオケの分厚い本が回りくる


「自 由 吟」      萩原 まさ子
若返り整形したら夢語ろう        静 岡
美しく偽る鏡あったらな
マドンナに聞けないままの後日談
父さんに残す枝豆冷えている


「憧  れ」      石上  俊枝
マネキンに予約しました我が望み     静 岡
ああしたいこうもなれたらいいのにな
希望から理想の花が芽生え出す
憧れと現実 口は一文字


「秋のミルーク」    恩田 たかし
とめどなく色んな思い現れる       静 岡
哀愁を知らず背中で語ってる
別れあり新たな門出 出会いあり
秋になり飽きない商い空きになる


「後期高齢」      畔柳  晴康
赤い血も老化したのか燃えて来ぬ     浜 松
のぞみなし惚れる薬も期限切れ
メタボ腹偽装するのに苦労する
後期だな遠慮もするが威張ってる


「雑  詠」      飯塚 すみと
登校日世間もなにか明るみに       静 岡
裏の人どくだみほしいと頼みくる
換気扇家族の留守にそうじする
合成酒低サラリーに買いやすい


「91甲子園(常葉橘)」 尾崎  好子
春夏や初出場と賑やかい         藤 枝
菊川は弟 橘お兄ちゃん
神様を頂く天理智弁PL
洗練をされたチームと褒めちぎる


「セ ― ル」      佐藤  明美
オフになり二足新調夏の靴        三 島
半額の靴のサイズが大きすぎ
半額でつい買い過ぎるお惣菜
バーゲンに自分サイズの服がない


「涼  風」      林  二三子
来年も咲いてほしいとお礼肥え      芝 川
心地よくなり寝過ごしてしまいそう
店頭には食欲そそる物並び
温かいものが恋しくなってきた


「自 由 吟」      小熊  カズ
思い出す暗い夜道で苦笑い        菊 川
露天風呂壁の向こうに君がいる
晩ご飯考えながら朝ご飯
朝起きる時計片手に二度寝する


「半  分」      中田   尚
半そでが少々さむい秋の入り口      浜 松
リンゴ半分秋が半分同居する
半分を割って日本が大慌て
どの人とペアになっても損をする


「09 おにぎりの夏」 和    一
おにぎりの夏思い出を独り占め    伊豆の国
真ん丸の握り具合に見える顔
梅干しの口に広がるメッセージ
むせ返る夏を頬張る塩かげん


「還  暦」      増田  信一
還暦がうれしいような無いような     焼 津
還暦をもう一度とは欲張りか
還暦を過ぎても会社行ってます
還暦でちゃんちゃんこなど要りません


「他人ごと」      永田 のぶ男
美の壷を画鋲で止めて安堵させ      静 岡
蹴った石雑草と畔仲良すぎ
叩かれたトウモロコシは仇討ち
他人ごと地震水害爪の後


「物言わず」      小野  修市
冬瓜が煮えて無口な酒となる       静 岡
負けたとは言えぬ口元への字なり
安心と言えぬどんぐりまなこかな
妻と居て声には出さず胸の中


「タイミング」     谷口 さとみ
思い出を濾過する役をする時間      伊 豆
ズボラにも信念がつく歳になり
事故にあい便利と恐さ知る車
どう言うかよりタイミング難しい


「パラシュート・ガール」今井 卓まる
満月の夜までキスを我慢する       浜 松
空き缶を蹴りたくなったハイヒール
涙ごと焦げてしまった夏休み
じゃあまたね 君との日々を深呼吸


「ぷんぷん」      高橋  繭子
ネガティブな会話にウツが寄ってくる   大河原
ヤな仕事バケツリレーでぶん回す
お忘れでしょうね社員の心など
こっそりと専務がブログ書いている


「愚  直」      多田  幹江
いい加減に生きるって大変なこと     静 岡
拝まれて北の大地の支店長
音無しの構えはとてもできません
報知器の愚直サンマを焼かせない


「そして秋」      勝又  恭子
夏限定少し正直ですわたし        三 島
このときとばかりにはしゃげ夏祭り
輝いていたね真夏の一ページ
夏の日の思い出残すロゼワイン


「三 日 月」      中野 三根子
三日月が大好きになる旅の空       静 岡
つらい時見上げた空に月がいる
彼とみたあの三日月が気にかかる
ねむれない夜の三日月語り合う


「過ぎる季節」     池田  茂瑠
体温の違う愛だが固めねば        静 岡
一季節過ぎる答をきけぬまま
私も青い飼う蛇なを青い
一歩退く仮面の裏が読めたから


「ノスタルジー」    真 理 猫 子
初恋は舟木一夫で思い出す        岡 崎
生け垣に隠しておいたラブレター
帰省したような気分になるローカル線
忘れたいことを浚ってゆく夕陽


「掲 示 板」      山口  兄六
口元のホクロが目立とうと光る      足 利
似顔絵の君はやっぱり僕好み
暇人が暇人を呼ぶ掲示板
コメントは不要単なるボヤキです


「たりない」      川村  洋未
身長がたりない分は横はばで       静 岡
イケメンがそろわぬ時はお笑いで
日本酒がたりない時は料理酒で
メンバーがそろわぬ時はライバルも


「虫メガネ」      石田  竹水
読めていた 先が読めない虫メガネ     静 岡
レッテルを賞味している通の舌
嘘っぽい話興味の耳を呼ぶ
目に見えぬ棘ほど痛くなる言葉


「勇  気」      薮ア 千恵子
大方は○と×とにふるい分け       焼 津
失敗を笑い話にする勇気
成り行きの結果を良しとする勇気
外見に格差出ている喜寿の会


「老いた犬」      長澤 アキラ
忘却の後期が歌うわらべうた       静 岡
修羅の面はずして眠る老いた犬
女房とは出合い頭の事故だった
夏終る前に本当のビール飲む


「イ ビ キ」      佐野 由利子
内緒だがわたしもイビキ掻くらしい    静 岡
上品に振る舞う人は見栄っ張り
オッパイが垂れた女の悪足掻き
気の合った友達と行く小旅行


「正  論」      高瀬  輝男
正論が詰まらせている非常口       焼 津
正論も複数あると知る非才
迂闊にも正論という舌に負け
私の意見これこそ正論だ


「気 配 り」      望月   弘
労力でなく能力を派遣する        静 岡
洋食へ箸一膳を添えてある
直線にかかれば鞭は当ててない
一言をがまんをすれば風は無い


「自 由 吟」      加藤   鰹
カモミールティーと優しい秋の海     静 岡
逗子葉山ちょっとリッチな風に触れ
避雷針 君が頼りと背負わされ
ろくでなし達のトラックターミナル


「不 本 意」      柳沢 平四朗
真実を掘り下げすぎて夢が消え      静 岡
ほほ杖の窓へ自嘲が転げこむ
軋ませて不本意な戸も少し開け
一度広げた風呂敷は畳まない
虎竹抄 | Link |
(2009/10/09(Thu) 09:26:17)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「夏  姿」      林  二三子
思い出が詰まりサイフは軽くなる     芝 川
思い出はメタボでもいい夏休み
大渋滞 雲の流れが先にゆく
夏姿トマト真赤に熟れている



「祭  り」      濱山  哲也
北の地が沸点となる夏祭り        つがる
不景気で夏の夜空の花が減る
露天商の原価計算してしまう
病室に届けと祭り太鼓打つ


「今日の店」      毛利  由美
スーパーのチラシで決める今日の店    つくば
夫とのランチ会話が弾まない
ママ友とランチ四時間ぐらいいる
美容師の提案によりより茶髪


「ヒロイン」      戸田 美佐緒
ネギ生姜 素朴が好きな冷奴        さいたま
ヒロインの顔で佇む始発駅
アイシャドー男が迷う色にする
お湯はじく妻の肌です露天風呂


「自 由 吟」      竹内  さき
さらさらとねむの木揺れて夏は逝く    浜 松
風たちて写る鏡に影ふたつ
花明かり想い出深く灯を入れて
そしてもう一度逢いたい京の人


「小 休 止」      加茂  和枝
雨降りも晴れてもこの身よく動き     岩 沼
立ち止まる勇気をくれた若い友
ささやかな経験ですがお裾分け
年齢を越えてじっくりティータイム


「  盆  」      酒井  可福
泣きに来て母の墓石に励まされ      北九州
走馬燈俺に似るなと父の影
愚痴っても後は感謝の仏の灯
帰る人見送る里の遠花火


「良心的な出来心」   増田  久子
後続のパトへ別れのウインカー      焼 津
コーラスへ移調試みたいピアノ
およばれの西瓜は赤いとこ残す
賞味期限切れを旦那にくれてみる


「自 由 吟」      内山  敏子
芋掘りの児等の喚声天に抜け       浜 松
デパ地下の試食で食の足りる人
カラフルな傘と仲良し泥の靴
うっかりと名前もうつすカンニング


「きのこ雲」      石井   昇
口笛を吹いて尻尾を振っている      蓮 田
ランク付けすれば食み出す七光り
決着をつけて心の月が冴え
胸の奥残像消えぬきのこ雲


「疑  い」      安田  豊子
いつもより歪な笑顔怪しまれ       浜 松
顔見れば夫婦だったらすぐ解る
疑いをもつと聞く耳かゆくなる
人間のエゴで地球が病んでいる


「傘の気持ち」     真田  義子
ゴミにされ傘の気持ちはよくわかる    仙 台
裏通り花とおしゃべりしています
薬漬けされたねずみがしゃべり出す
合歓の花何も野心はありません


「無  人」      井口   薫
無人駅達成感のない切符         袋 井
正直なコイン集まる無人市
お忍びの筈グーグルにキャッチされ
ブルドック多分深夜は笑ってる


「雑  詠」      山本 野次馬
トイレ紙の切れ目逆らいながら切る    函 南
迂回路の先に待ってる熱帯夜
見てみぬ振りをする事が多すぎる
正直な人には溶ける角砂糖


「を ん な」      芹沢 穂々美
座布団が愚痴いっている長っ尻      沼 津
釣り針にひっかけられて不眠症
わたくしの体の中で胃が不貞寝
薬指曲げてをんなが身構える


「今だから」      鈴木 千代見
今だから心に響く父の声         浜 松
今だから言えるあなたが好きだった
今だからやさしくできる介護の手
今だから透けて見えてる妻のくせ


「政  変」      大塚  徳子
政変にあわてふためくチルドレン     仙 台
アラフォーが文化遺産の恋をする
すんなりとゲート通れぬ微熱ある
なんの苦労も知らぬ世襲の七光り


「初  秋」      小林 ふく子
ひと夏を騒がしくしたスケジュール    袋 井
風鈴があがきのようにチリと鳴り
古傷が九月の風に触れたがる
秋のドア少し開いてみることに


「  嘘  」      篠原   久
飲み込んだ嘘胃袋でうろたえる      四国中央
嗽して綺麗さっぱり今日の嘘
嘘いくつオウム主人にそっぽ向く
軽い嘘妻が命じる百叩き


「  夏  」      滝田  玲子
線香花火暗くなるのが待てぬ子等     浜 松
暗い世を忘れておどる盆踊り
なつかしいゆらりゆれてる金魚売り
海ゆかば亡父の遺骨と終戦忌


「自  戒」      瀧    進
九分九厘驕りが生んだ勇み足       島 田
欠点を知って長所が見えてくる
欠点と夫婦仲良く同居する
いヽ所無い分先に夢がある


「生 意 気」      薗田  獏沓
ちょっと金持って生意気言ってみる    川根本町
生意気な子が献血を申し出る
負け続け生意気な子も通路変え
色恋は卒業したと白々し


「タ バ コ」      佐藤  明美
清浄機不機嫌そうに動き出す       三 島
マイカーも禁煙席を設けたい
タバコだけならば高額納税者
もう少し健康的に吸いましょう


「自 由 吟」      成島  静枝
サングラスファッションならず眼の老化  千 葉
サングラスATMに寄ってみる
青い目になるかも知れぬ目の日焼け
全方位トンボになってマニフェスト


「  愛  」      川口 のぶ子
盲目の愛と云っても子は宝        藤 枝
ひと口に愛と云っても理は多い
目に見えぬ大きな愛に包まれる
愛しいと云われる迄の仲の良さ


「政  界」      岡村  廣司
国の為そんな政治家出て欲しい      焼 津
トリックが多過ぎないか政党に
政治家にレッドカードがなぜ出せぬ
この国をまかせる人が今欲しい


「夏 祭 り」      畔柳  晴康
下駄うちわ浴衣可愛い娘っ子       浜 松
花火見る音で握る手ちから入れ
暑い夜を金魚すくいで涼を取る
納涼の盆の踊りに歳忘れ


「自 由 吟」      鈴木 まつ子
乗せられたうまい話に裏がある      島 田
貧乏をなつかしむよう語り種
ほんのひと言がやる気をひきたてる
いっぷくの清涼英気養わせ


「雑  詠」      川口   亘
歌心 時と場合で意味も変え        藤 枝
行動のコード外れてすぐ転び
見た目だけ追えば辛いと云う仕草
思い出を絵にする迄にたそがれる


「足  跡」      西垣  博司
八分目を二合のメシで今日も越す     静 岡
夢は無いだがその先の旅が有る
あり余る煩悩抱いて生きている
足跡をひとつ残して干物買う


「政 治 屋」      中矢  長仁
代々に築いた地盤手放せぬ        松 山
遺伝子は政治家向きと自負してる
政治屋は族と二世で占めている
時々はパーティーをして金稼ぐ



「雑  詠」      飯塚 すみと
雨の晩カレーをわが子旨く食う      静 岡
零才児よちよち歩き独り占め
信号があるのにスキを見てわたる
御神灯仕掛け花火に菩薩がお


「自 由 吟」      萩原 まさ子
ボーとする癖大物に見えるかな      静 岡
フェミニスト宣言丸く生きている
ブレまくる総理言い訳間に合わぬ
自民党というだけで落選に


「ふ わ り」      川村 美智代
ふくらんだ噂オロオロするばかり     静 岡
もったいないもったいないとまた食べる
晩酌をちょいと失敬癖になる
ふわふわりたんぽぽどこへ行くンかな


「自 由 吟」      提坂 まさえ
根本は心の広さ阿修羅像         静 岡
のびかけたパンツのゴムと根競べ
トビウオになるまで全裸にて泳ぐ
宿題を早めにやる子泣き出す子



「鞠(いが)」     石上  俊枝
隠し事ご機嫌とりが土産下げ       静 岡
尖る口納得しない毬がいる
言い分を右から左聞いておく
重箱の隅 姑の顔浮かぶ


「アリバイ」      川島  五貫
バイキングの列でまぐろがあと五きれ   富 士
職探し励ましている蝉しぐれ
昼間から飲める休みがまだ四日
アリバイを固めて明日はしのび逢い


「夏季休暇」      栃尾  奏子
エリンギがしゃくしゃく顎で音になる   大 阪
ポリポリと夏を頂きます胡瓜
籤を引く様にししとう食べている
青い空夢もトマトも丸かじり


「隙  間」      藤田  武人
隙間から見える五円を取る私       大 阪
湯煙に隙間を探す露天風呂
長いすの隙間目掛ける熟女達
返信が心の隙間埋めていく


「秋の味覚」      山口  兄六
栗の絵の箱で色づく菓子売り場      足 利
アキアジはもう届かない三回忌
渋柿を盗み横恋慕の涙
松茸で騙しだましの倦怠期


「ぴょんぴょん」    高橋  繭子
難しく考えちゃダメうさぎ脳       仙 台
可愛さに隠しておこうキック力
長い耳かざし未来の音を聞く
ゆっくりとうさぎ日和の日が暮れる


「想  い」      鹿野  太郎
納豆が必要なんだマニフェスト      仙 台
ハンドルを握ると変わるかたつむり
その日暮らしでも短いな一年
家内との年の差決めた水瓶座


「帝国ホテルに泊まる」 新貝 里々子
翔び支度女の城を明け渡す        袋 井
セキュリティのすごさに負けた好奇心
ルームサービス夢見る夢子演じ切る
チェックアウトはいこれまでと夢終わる


「熱  い」      尾崎  好子
日本一熱い佐久間が今日多治見      藤 枝
日本一熱いを担ぐ町興し
住民の心も熱い日本一
熱いなあ首にタオルが私流


「たかが人生されど」  小野  修市
ああそれもこれも運命と言える年     静 岡
ひとつずつ悟って年を重ねゆく
その通り人に合わせた日が暮れる
我慢した心に母が笑ってる


「オ マ ケ」      多田  幹江
休漁の錨カモメにつつかれる       静 岡
夕べの夢と逃げた男は戻らない
夜を待つネオンテトラと退社ベル
ここだけの話に付いてくるオマケ


「自 由 吟」      市川  重雄
軍艦マーチパチンコマーチ世の移り    静 岡
終戦の生死を分けた神の声
苦い水たくさん呑んだ老いの知恵
苦い酒呑んでご免と口洗う


「自 由 吟」      佐藤  香織
赤子泣くまだ足りないの母の愛      福 岡
緑陰に熱くつんざく愛の歌
帰宅中亭主のメールに友帰り
孫が来る計画倒れのあれやこれ


「僕の夏休み」     小熊 カズ丸
花火する約束前から棚の上        菊 川
助手席で渋滞はまり笑い顔
日焼けして背中の皮で遊ばれる
「久しぶり」無くてもわかるおともだち


「雑  詠」      寺脇  龍狂
式場も予約短冊義理で書き        浜 松
マスク飽きそろそろ出番サングラス
お隣と往き来がふえた朝の花
振り込めもよく知っている素寒貧


「ひまわり」      中野 三根子
夏だからまっすぐ空に花開く       静 岡
ひまわりを追いかけていく迷い路
太陽と語り合ってる花の精
ひまわりに負けない笑顔持っている


「  月  」      川村  洋未
おぼろ月猫さえデートするものを     静 岡
ふわふわとおぼろの月と肩を組む
ぬげそうな三日月の靴ほうり投げ
満月だあたしの彼は要注意


「漫  画」      長澤 アキラ
親戚に坊主が二人いて安堵        静 岡
もう生きて居るのもいやな休肝日
大往生残すものなど何も無い
漫画ならも少しましな四コマ目


「講  座」      薮ア 千恵子
お喋りがとっても好きな講座生      焼 津
役員が回って講座やめられず
タクシーで乗り合いながらいく講座
先生のやる気についていく講座


「沁 み る」      石田  竹水
正直に生きて擦り傷治らない       静 岡
靴下の穴から意志が顔を出す
あきらめて見上げた空は曇り出す
生きてます暑い寒いが身に沁みる


「いろいろな方」    永田 のぶ男
病棟で食事待つ人いらぬ人        静 岡
病院は寝るところでなく起こされる
夏の風点滴の音聞き比べ
救急室いろいろな方唸ってる


「ト イ レ」      谷口 さとみ
走ったら間に合うけれど走れない     伊 豆
紙くれる他人が神に見えるとこ
広すぎも明るすぎても出やしない
アイデアをメモした紙でふいちゃった


「丸 い 月」      池田  茂瑠
掟から逸れる小さな一歩です       静 岡
終止符を打たれ二つに割れた愛
化け方を変えよう月が丸いから
助手席に私と違う香が残る


「自 由 吟」      中田   尚
予報士が雨雨雨にいじめられ       浜 松
そうめんの味を知らずに夏終わる
梅雨からサンマの時期にワープする
封筒を切ったら紅葉など一葉


「胃酸過多」      佐野 由利子
躓いて初めて人の温かさ         静 岡
強情を水で薄めて家族の和
実家には白寿に近い母が居る
胃癌かと思い込んだら胃酸過多


「最後の夏休み」    今井 卓まる
足音がひとりぼっちの邪魔をする     浜 松
就活に駆け込み脱いだスニーカー
涙とか焼けた歩道が隠し場所
暗闇に光る指切りまた会おう


「雑  詠」      真 理 猫 子
アンテナはいつもあなたに向いてます   岡 崎
座布団に仕事させない母の席
ごほうびは手書きの南十字星
にらめっこ負けたことない目尻です


「  蝉  」      増田  信一
蝉鳴くとなぜか暑さが倍になる      焼 津
鳴く蝉が気にかからないのは平和
この頃は蝉取りをする子がいない
空にらみ蝉の抜け殻ほこらしげ


「自 由 吟」      高瀬  輝男
神でない証か欲が離れない        焼 津
集中砲火浴びても意志は変えられぬ
大夕焼けこんな自分が捨てきれぬ
耐えた日のドラム 爽やかな日のピアノ


「もったいない」    望月   弘
リサイクル上手な妻に使われる      静 岡
ゴミ袋八分目だと捨てられぬ
歳時記にリバーシブルを勧められ
エコだから古くなるまで妻と居る


「夏の日の恋2009」 加藤   鰹
君に逢うハンドル少し汗ばんで      静 岡
夏の夜の夢 妖精を追いかける
ジェネレーションギャップをハグで埋めたいな
日焼け跡剥がして夏の恋終わる


「シナリオ」      柳沢 平四朗
道草へ後悔もなく生き急ぐ        静 岡
帯封に埋もれたままの蔵書印
丸投げの余生シナリオなど要らぬ
同情のアメ甘いとは限らない
虎竹抄 | Link |
(2009/09/09(Tue) 08:58:13)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「青  汁」      佐野 由利子
青汁を飲ませてみようフリーター     静 岡
機が熟すまでは静かに座ってる
連弾のピアノが狂う倦怠期
裏側も見せて気楽なお付き合い


「ブラック・ブラック」 中矢  長仁
受験生親の期待がのしかかる       松 山
模倣犯子どもはいつも親を見る
許そうかと思いながらもムチを振る
この場合謝りたいが意地もある


「なにを今更」     新貝 里々子
にわか雨恋に恋して濡れている      袋 井
ひと目惚れのおとこに席を譲られる
整体のベットに伏せて策を練る
なにを今更疲れることは止めておく


「  葦  」      石井   昇
午後のお茶無口な花が喋りだす      蓮 田
この川に明日はあるのか葦が揺れ
いのちの洗濯ケイタイOFFにする
いつまでも義理で浮いてるシャボン玉


「自 由 吟」      川口 のぶ子
血圧の上り下がりを見る天気       藤 枝
老け込んだ気を立て直す孫の声
心配をするより先にまず動く
途切れたら繕いをする気の余裕


「雑  詠」      西垣  博司
ワイパーが未練の滴拭き残す       静 岡
今年から二次会養命酒にしよう
又来るね捨てぜりふして孫帰る
帰らない鉄くずを待つスペアキー


「自 由 吟」      内山  敏子
旅に出るやさしい風に逢えそうで     浜 松
皮算用全部ハズれた宝くじ
チマチョゴリ着て旅先の輪にとける
妻と子の攻撃に会う二日酔い


「女  達」      栃尾  奏子
平凡な日々に胡椒をひとつまみ      大 阪
手鏡にスタンバってる魔女悪女
猜疑心少し含んで下がる眉
守りから攻めへ母は女の顔になる


「オライの家族」    鹿野  太郎
泣き笑い見て受け継いだ傘一つ      仙 台
超音波画像に父の詫びる顔
前向きに生きるアイテム太い足
祝辞令 鳥獣戯画になる茶の間


「家  族」      松橋  帆波
父の生き様はいつでも酒臭い       東 京
父が米磨いでくれたと母無邪気
飲まないで帰れば妻が飲んでいる
煙草吸う妻にしたのは私です


「日  常」      藤田  武人
釣れてないらしい並んだチンおかず    大 阪
期限切れを感謝災害用備蓄
非常食と呼んで我が家のメタボ犬
スタミナを付け一日の折り返し


「梅雨に咲く」     提坂 まさえ
ツンと行くブランドの傘足早に      静 岡
苦い水あなたのためと蛍舞う
色という色とりいれて梅雨に咲く
凡人は祀らぬ二十三回忌


「カラオケ」      濱山  哲也
演歌派とポップ派マイク奪い合う     青 森
カラオケに人生滲み出している
なあるほど歌手になれない顔ばかり
デュエットの権利で腰に手を回す


「退 化 中」      毛利  由美
抗加齢おむつの方は難しい        つくば
あららまた一回借りた本を借り
主婦友も同じペースで退化中
受験生二人 呆けてはいられない


「雑  詠」      山本 野次馬
棘のないバラにもあった嫉妬心      函 南
喉もとの棘の丸さにある疑惑
茨道抜けた途端に落とし穴
棘のないペンは明るい明日を描く


「北の○○」      酒井  可福
ディズニーが好きで世継ぎを外される   北九州
大国に馬鹿にされない為の嘘
我が侭は百も承知の駄々を捏ね
ミサイルはダメだと言えば再度撃つ


「雑  詠」      飯塚 すみと
買いすぎたクツを捨て去る現代っ子    静 岡
盲目の若いピアノに引き込まれ
洗車して妻よ気持ちが見えるかね
好きな娘の背中もいいな水彩画


「雑  詠」      馬渕 よし子
迷惑にならない位置で呼吸する      浜 松
安売りの棚に私も鎮座する
次週まで待てぬドラマに悩まされ
約束を守って損をした思い


「遠い隣人」      成島  静枝
借金でドロップアウトだと噂       千 葉
老い過ぎたオトコ似合わぬアウトロー
年金は生活保護の手を拒み
隣組 風の便りへ祈る無事


「雑  詠」      竹内  さき
深読みのコーヒー濃ゆくヒール履く    浜 松
指折って占う雨の裏表
ふっされて女暦を恋う挽歌
じんわりとロマンの海で妥協する


「欠  片」      戸田 美佐緒
残照のザが舞っている花畑        さいたま
こわれもの同士と歩く炎天下
ドーナツの穴で燥いでいるコント
謎解きが非常口から落ちてくる


「自 由 吟」      萩原 まさ子
時の人なぜか良い事のみ言われ      静 岡
約束の時間忘れている海馬
浮かぬ顔時短で早く帰るパパ
根気よく推敲をしてボツになる


「自 由 吟」      石上  俊枝
合わせぬ目こころの奥にいる誠      静 岡
夕映えに童謡残る砂の山
時間ですママの号令あさ明ける
待つ針と待たせる針が気をもませ


「浜  辺」      安田  豊子
過去の絵がきらきら踊る初夏の浜     浜 松
砂浜の思慕ひたひたと溶けていく
寄せ返す浜が呼んでる父母の声
夕焼ける浜へ慕情の果てしない


「お  盆」      小林 ふく子
盆供用仏は人を待っている        袋 井
トゲ抜けて顔だち母に近くなり
逃げ道を先祖供養に教えられ
夕焼けの空は浄土へ続いてる


「視 聴 率」      瀧    進
井戸端の話題トップにスキャンダル    島 田
天の声いつしか変わるアンケート
民の声メディアに舵を握られる
良識がメディアの風に飛ばされる


「しぞ〜か弁川柳」   中安 びん郎
あちーのに野良へ行くたぁずにゃあなあ  静 岡
たまにゃーよ うみゃーもんでも食わしょーれ
老化ずら四つんびゃあしてくさー採る
まーちっと経ちゃぁえー世が来らーれー


「  夏  」      森下 居久美
白球を追う少年の熱い夏         掛 川
背番号ないスタンドの応援団
ワンスリー打てよチャンスだコンバット
メガホンが揺れる勝利の応援歌


「雑  詠」      寺脇  龍狂
ほっそりとジーンズ朝からかっこいい   浜 松
うちの子はピアノに向かぬ二.〇
民営になっても土日休便局
海に賊 空にミサイル 家に妻


「雑  詠」      滝田  玲子
マイカーで病院梯子息が切れ       浜 松
折込みに急かされ無駄も買いに行く
スッピンのママが届ける忘れもの
親鳥が運ぶ餌を待つヒナの口


「鑑  定」      井口   薫
鑑定をする迄石は光ってた        袋 井
両親が鑑定された顔合わせ
自問自答 今日を鑑定する日記
反骨の骨が頼らぬ鑑定書


「  雨  」      篠原   久
雨蛙土下座してまで雨を乞う       四国中央
蝸牛引越し一夜で二〇〇ミリ
梅雨晴れ間 涙の跡の忘れ傘
通り雨みたいでしたね給付金


「わで始まる言葉」   鈴木 恵美子
悪だくみいたずら坊やのこの笑顔     静 岡
若き日の健脚誇る登山靴
忘れ得ぬ友の安否が気にかかり
脇道に再会という夢拾う


「台所の女」      鈴木 千代見
新じゃがのツルッとむけて白い膚     浜 松
刺身の妻いつもあなたの側がいい
テーブルの定位置にいる爪楊枝
予約タイマー主婦の時間を切りきざむ


「夏が来る」      芹沢 穂々美
汗をかくもう終わりかと明日もかく    沼 津
茄子の色変えてみたくて責め続け
サイコロは悲しい時も夢の数
加齢臭わたしシャネルの5番です


「幸せな旅」      真田  義子
幸せな風に乗ってるひとり旅       仙 台
万物は天に向かって伸びていく
何事も楽しみながら生きていく
のんびりと風と一緒に旅をする


「ヒマワリ」      鈴木 まつ子
ヒマワリの笑顔が映える雨あがり     島 田
ヒマワリが昴然と立つ居住権
ヒマワリが眠気もよおす昼下り
ヒマワリが気高く咲いた優良児


「盛  夏」      畔柳  晴康
汗を拭き涼しさ感ず夏の富士       浜 松
シャツまでも脱いでエコするこの暑さ
百日紅夏の暑さに負けず咲く
大漁と鮎のおこぼれ届く夕


「自 由 吟」      川村 美智代
時計見て慌て怒ってほっとして      静 岡
いまなんじ一日何度覗くやら
雨音のメロディを聞く風呂の窓
一番機見送る根っこ何想う


「休み返上←」     恩田 たかし
休みなく新たな道にチャレンジだ     静 岡
朝五時に子に起こされて疲れ増す
休みたい安みたいけど休めない
梅雨時のじめじめ感がのしかかる


「近  々」      川口   亘
手加減をしたい気持ちも有る余裕     藤 枝
誰とでも話あえるか下手上手
喜んですぐ乗せられて目玉食い
あきらめの早い方です直ぐ忘れ


「後期高齢者」     岡村  廣司
高齢者になって命が惜しくなり      焼 津
高齢者にされて天引き拂わされ
高齢者生きているのも楽じゃない
後期から末期になればお成佛


「梅  雨」      薗田  獏沓
中元が濡れて届いた梅雨さ中       川根本町
年寄りを出不精にする梅雨続く
紫陽花は雨の季節を咲き誇り
風雨にも新芽揃えて槙の列


「戦 陣 訓」      金田 政次郎
サムライ日本戦陣訓を糧とする      静 岡
暗黙の掟の中の戦陣訓
迎合す忠から孝への呪縛
脱却は困難だった戦陣訓


「キャッチボール」   大塚  徳子
結婚の相手を決めたキャッチボール    仙 台
父さんが先ずは教えるキャッチボール
棘の無い言葉選んでキャッチボール
時々はナックル投げるど根性


「  汗  」      加茂  和枝
青空が好きで全身弾ませる        岩 沼
おてんとさん沈まぬうちのひと仕事
スケジュール全部こなして午前様
ほどほどの重さで良かったかたつむり


「自 由 吟」      山田  ぎん
タチアオイ静岡の花咲き揃い       静 岡
老いの足低いビワを取って食べ
つばめの子大きな口で餌もらう
長生きも世話にならない気を遣い


「自 由 吟」      藪ア 千恵子
間が抜けた頃に返事の筆不精       焼 津
腰低くして揚げ足を取りにくる
やり返す主義かいつでも上目線
絶滅の危惧マナティーのグロテスク


「富士山静岡空港」   尾崎  好子
お茶に良い霧空港へ反比例        藤 枝
霧のため降りられなくて羽田まで
駐車場只がどえらく高く付き
赤と黒はや知事さんは一手指す


「平凡な不運」     増田  久子
朗らかな友と過した日の疲れ       焼 津
挫折した源氏が二十年を耐え
友達もくじ運のない人ばかり
メタボではないが五ミリの背の縮み


「両手が空いて」    永田 のぶ男
胃の中で乾いた小舟酒を呼ぶ        静 岡
背がほしい踵の高い靴を買う
金屏風 鳳凰一羽戻り待ち
ギザギザな影容姿端麗な方


「ベジタブル」      谷口 さとみ
空豆の真綿私を睨んでる          伊 豆
玉ねぎに助けを借りて立ち直る
プチトマト何もせぬのによく目立つ
勇気だし苺嫌いと言ってみる


「空 の 色」      中野 三根子
七月の空は七夕良くにあう        静 岡
雨のあと虹が広がる青い空
夕空に染まった君のあの瞳
母と居た夕日の中の子守りうた


「どうしよう」     中田   尚
どうしよう点滴薬がオトモダチ      浜 松
どうしよう命の重さ忘れそう
ねてばかり曜日時間がとんでゆく
どうしようおかゆばかりでホネばかり


「選  挙」      増田  信一
政治家は選んだ人と同レベル       焼 津
選挙前選挙後の顔反比例
政治家に頼んだ後の高いツケ
欲と欲つながり合ってワイロ生む


「サヨナラ」      山口  兄六
あの恋を忘れられずに模倣品       足 利
またねなどないピリオドに見送られ
君に傘渡して濡れて帰ります
電源が切れて自由な岐路に佇つ


「雑  詠」      孝井   栞
孫あやす仁王 喜劇の顔をして       富 山
束の間のプラネタリウム成す蛍
ウインクしたくなる銀行のカメラ
モアイ像になる皆既日食の日


「自 由 吟」      真 理 猫 子
ガラパゴスでネイルアートの修行する   岡 崎
朝ごはん絵文字のパンでがまんして
水洗もケラケラ笑う女子トイレ
コピーして履歴書に貼る笑い皺


「にゃお〜ん」     高橋  繭子
猫たちが教えてくれる悪女学       仙 台
丸く寝る忘れんぼうになるために
人間にシッポがなくてフラフラリ
こっそりと爪研いでいる猫パンチ


「不  況」      林  二三子
不況風黄色いサイフ買ってみる      芝 川
特売のチラシにママの目が光る
休暇願い一つ返事で許可が出る
給付金くらいじゃ家計埋まらない


「  恋  」      川村  洋未
結界の恋水揺れてあふれ出す      静 岡
風が来る発火しそうな恋心
ひさびさの恋に戸惑うスニーカー
恋の花咲くと信じて水をやり


「雑  詠」      多田  幹江
目を瞑る夢の続きを見たいから      静 岡
隙間だらけの貌持ち歩く休肝日
口チャックして心療内科混む
輪を抜けて男はネコになりました


「約  束」      石田  竹水
世の塵を拾う軍手を束で買う       静 岡
詐欺よりも劣る約束守らない
聞かされて消化出来ずに居る言葉
人間は錆びないように日日磨く


「人生の味」      小野  修市
ゆっくりと胸に人柄しみてくる      静 岡
人生の味はなかなか解せぬ味
煩悩が消えず煙が横にはう
聞き耳をたてた床屋の椅子きしむ


「雑  詠」      今井 卓まる
エアコンが効いているから休戦日     浜 松
ノルマ終え入道雲とにらめっこ
駆け足の浜辺の果てにオチがない
娘より古い機種持つ世帯主


「軌  跡」      長澤 アキラ
歳月のところどころに欠けグラス     静 岡
諦念の早さを競う富士さくら
おしめ迄清く貧しい転び癖
染みついた灰汁をふやかす日の孤独


「厚いドア」      池田  茂瑠
前向きに生きよう鼻は低いけど      静 岡
続きまだ深くあるのよこの悲恋
浮けません理性のドアが厚すぎて
駄目押しのライバルの釘長く効く


「不安な世」      高瀬  輝男
予算また追加失業者は減らぬ       焼 津
生きている証 噂もたんと喰べ
時により私も少し背伸びする
雑音に負けずに夢を描き足そう


「八月の鉛筆」     望月   弘
八月へ暑中見舞の青いペン        静 岡
絵日記へ色えんぴつを遊ばせる
十二色ペンで真夏の雲を描く
平和へのメッセージするシャープペン


「マジかよ」      加藤   鰹
予定日はいつと訊かれたスリーL     静 岡
失恋に泣いているのによく食うわ
ゴキよりも妻の悲鳴が恐ろしい
時流れジンベイザメになる人魚


「ほ む ら」      柳沢 平四朗
味付けのドラマへ史実そっぽ向く     静 岡
大それた夢へ財布も共犯者
花道と決めた解脱のほむら立ち
真四角な頭へ帽子丸すぎる
虎竹抄 | Link |
(2009/08/09(Sat) 08:56:19)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「眼  鏡」        石田  竹水
絵に描いた餅にも賞味期限来る     静 岡
人を見る眼鏡を外すコップ酒
イケメンがニッコリ笑う非常口
自己主張させて静まる絵具箱


「自 由 吟」        鹿野  太郎
ポップコーンほうばっているジュリエット 仙 台
梅雨晴れを大皿に盛るお父さん
病室のベッドから湧くナトリウム
カロリーを弾き検算鬼と化す


「後  悔」        安田  豊子
うっかりと吐いた意見の風当り     浜 松
保証印押して眠れぬ夜が続く
根回しの口火切ったが回らない
CMを信じたばかり消えぬ悔い


「雨  季」        栃尾  奏子
さあ勝負今日初陣のてるぼうず     大 阪
一言が許せず二人梅雨の入り
雨の午後ページを繰っている惰性
微笑んだあなた長い雨季が終わる


「  母  」        松橋  帆波
暑いねで始まる母の電話口       東 京
上京の母へ地下鉄ややこしい
夏の夜も先には寝ない母がいる
母の背の記憶と裸電球と


「  母  」        篠原   久
飛び切りの笑顔を提げて母見舞う    四国中央
カサブランカ初夏の匂う母の部屋
鶴を折る母の哀れを見てしまう
四月一日生まれも母を恨まない


「自 由 吟」        竹内  さき
つゆの雨しきりと恋し母満ちる     浜 松
想い出を深くして恋しています
美女ありき眠れるバラのひとり言
遠き日に揺れ私にもある故郷


「六月の…」        新貝 里々子
あみだくじ恋から少しずつ離れ      袋 井
なぜだろう花子ばかりに雨が降る
さくらんぼ夢のつづきの中で熟れ
ぼやき癖つけた鉛筆尖らせる


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
出る予定ない日の雨は美しい       浜 松
名声も形はないが世襲です
極道のヒラで意味なく世を送り
付き添いの方が病人らしく見え


「最近の世相T」      金田 政次郎
親に孝どの子もプロを志す       静 岡
近道を探し探してくたびれる
近未来朧ぼろぼろ職探し
真相究明沒沒しています


「雑  詠」        石井   昇
雨上がり未練が消えて星が降り     蓮 田
心太押されて空のラッパ吹く
生きるって哀しいものさはぐれ雲
さようなら遊び疲れたゼロ番地


「健康診断」        濱山  哲也
診断に絶対来ない友がいる      つがる
バリュームを飲めば忘れる右左
日に一度ジョークを処方しています
目敏くも美女をとらえる健康だ


「  あ  」        戸田 美佐緒
棘ひとつ抱いて私は繭になる      さいたま
吐息つく私のように雨が降る
ルミノール反応だらけ傷だらけ
しきたりが無知な私を取り囲む


「出 る 杭」        岡村  廣司
叩かれる事を覚悟の強い杭       焼 津
出る杭を打つ程力つけたいな
出る杭が打たれぬ工夫思案する
愛想良く出てくる杭は打ちにくい


「今更の発見」       増田  久子
君が代は肺活量の要る歌だ       焼 津
蒔かぬ種咲きほこるのは草の花
たっぷりの時をくれてる大時計
氏神の森にカラスも鳩も住む


「自 由 吟」        酒井  可福
紫陽花の花も空梅雨艶もない      北九州
飛ぶ蛍酢っぽい水で我慢する
不景気に雨までケチる空模様
不景気の流れに僕も心太


「自 由 吟」        寺田  柳京
長生きへ二度目の不況こんにちは    静 岡
消費税の先取りをする物価高
潔く兜を脱いだ男前
ニッコリと迎えて呉れたチングルマ


「お 中 元」        小林 ふく子
人間でよかったお中元が来る       袋 井
人生の賭けをしているお中元
ゆとりある心を添えてお中元
お中元貰うリストに入れられる


「紫 陽 花」        成島  静枝
ピーポーが止まる紫陽花覗き込み    千 葉
ストレッチャーいずれ我が身か独居老
聴き上手だけどあなたは蝸牛
紫陽花が身の丈に合う七変化


「ひまわり」        提坂 まさえ
振り向いて足跡少し消しておく     静 岡
夫という他人しっかり描いてみる
ひまわりも落ち込むことがあるのです
開けてみて手遅れと知るマイハート


「初  夏」        石上  俊枝
明日こそは寝息が綴る陽を信じ     静 岡
雑草と紛争をする初夏の庭
解けない糸ポケットで重くなる
苦労して曲がったキューリ膳の上


「ほ ら ね」        川村 美智代
シルバー席ためらわないでよかったか 静 岡
給付金自動車税がお手をする
新空港立ち木を知事の涙飛ぶ
捜し物ほらねやっぱりあったじゃん


「勘 違 い」        萩原 まさ子
親切を好きと思われても困る      静 岡
マニフェスト実行される筈がない
年齢に目隠しをして赤を着る
うれしいなラマダンの夜が明けていく


「1 4 歳」        毛利  由美
14歳世の中的に問題児        つくば
iPod耳にとぼとぼ向かう塾
口数は減ってもたまにある笑顔
サッカーに始まり終わる君の春


「ルーヴル展」       井口   薫
ルーヴル展パリの空気に洗われる    袋 井
縁にルーヴルの格ずっしりと
婦像の前混んでいてほっとする
タッフの心労も見た美術展


「しぞ〜か弁川柳」     中西 びん郎
田植え終えみゃーんちゴロ寝昼寝だぜ  静 岡
暑くてもちっとぬくてーだけじゃんか
富士山へ登りてゃーけんこの腰じゃ
おまっちもこーなるだぜん年とりゃー


「  月  」        薗田  獏沓
月痩せて東の山に腰掛ける       川根本町
古城跡一本の松枝を張り
義理果し胸張る道を月照らす
急ぐけどゆっくり帰る月の道


「張  る」        芹沢 種々美
優等生ウサも晴らそう湿布薬      沼 津
桜の木咲いて終わって欠伸する
柏餅中のアンコが自己主張
ネギ坊主背比べして意地っ張り


「  雨  」        大塚  徳子
雨上がる傘を忘れる能天気       仙 台
雨上がる鱗飛び散る蝶が飛ぶ
雨上がる声高らかに山笑う
雨上がる地固まっている仲直り


「振り向く」        鈴木 恵美子
振り向けば初心の若き句が笑う   静 岡
立て直すチャンスをくれた技に誓う
原点に立って子育て練り直す
振り向けばいつも笑顔のボクがいる


「うっかり」        鈴木 千代見
うっかりと相づち打って誤解され    浜 松
うっかりと孫ない人に孫自慢
いま吸ったのは何だろうクリーナー
居眠りで美人の肩に寄りかかり


「意  外」        藤田  武人
肉じゃがが意外と美味い彼女です 大 阪
計画は見直す度に現実味
こっそりとおやつをカゴに入れるパパ
眼鏡掛け賢く見せて行く見合い


「行  楽」        川口 のぶ子
連休に流感絡み国が揺れ  藤 枝
行楽の行く手さえぎる風の神
行楽に安易な行動暗い影
缶詰にされて後悔する旅行


「雑  詠」        滝田  玲子
春風に乗ってルンルン踏むペダル   浜 松
ガラガラとはずれが踊る抽せん機
ロボットに職場追われて派遣切れ
過疎の町人情あって捨てられぬ


「インフル」        尾崎  好子
豚になり新になっての大騒ぎ  藤 枝
それだからマスク業界フル稼働
豚しゃぶやポークステーキ食べて良い
インフルにも嫌われちゃった高齢者


「椅  子」        馬渕 よし子
朽ちかけていても和める母の椅子   浜 松
椅子取りへパワー全開見せ付ける
この重み耐えてる椅子よありがとう
心地良い椅子を見つけて寿命延び


「たっぷり」        鈴木 まつ子
ふるさとの夕陽たっぷり溶く絵皿    島 田
森林浴気鋭あふれて甦る
たっぷりと情けがこもる母性愛
たっぷりと君に抱かれて生む絆


「  道  」        畔柳  晴康
遠い道地図に無い道人生道   浜 松
我が道の手本にするよこの出合い
遠回り爺は平らな道選ぶ
石段か女坂いや駕篭にする


「自 由 吟」        山本 野次馬
包帯の滲みをだれも気付かない   函 南
マティーニに恋愛運を試される
なすすべもなく見守るだけの夕日
百年に一度もう来ぬ出来事だ


「寄  道」        西垣  博司
少しだけ寄道をする切符買う    静 岡
人生に化粧心を少し副え
次の駅終点というアナウンス
単線のその先にある別れ路


「野  球」        内山  敏子
スタンドの声ピッチャーの耳を刺す 浜 松
炎天の空へ抜けてくホームラン
一点に笑う子泣く子甲子園
来年に賭け球場の土握る


「雑  詠」        飯塚 すみと
つり人が静かに向かう遊水地  静 岡
町内会班長引き受け妻まかせ
損か得百えん市に人の群れ
フロ水がやたら多いと妻小言


「薬 好 き」        中矢  長仁
毎食後寝る前も飲む欠かさずに  松 山
薬好き処方の通り欠かさない
忘れたら大変メモを付けている
拍子ぬけ医者は忘れて良いと言う


「雑  詠」        川口   亘
頼り甲斐ないと思えば愛想盡き   藤 枝
呪縛から放されて知る悩みふえ
ひと滴それでも赤くなるお酒
人前をとりつくろって云うお世辞


「自 由 吟」        山田  ぎん
長生きをして年金をもらい受け 静 岡
つばめの子大きな口で餌もらい
長生きし世話にならない気を付ける
ひこの手を取って遊ぶは老い大変


「町内会体育部長」     恩田 たかし
初めてのグランドゴルフ四苦八苦 静 岡
お弁当何がいいのか四苦八苦
川柳を考えながら四苦八苦
朝早くお昼過ぎまで四苦八苦


「メ ― ル」        中野 三根子
ケータイのメールはいつも待っている  静 岡
メールだけ心をつなぐ糸デンワ
ラブメール ハートが今日もあふれてる
ママからの届いたメール パパ元気


「幸せな旅」        真田  義子
幸せな旅です風が見えました  仙 台
うぐいすが去年と同じ声で鳴く
運命の朝がゆっくり開けてくる
バラ咲いて今日の運命決まる朝


「ロビーウーマン」     多田  幹江
時給ゼロのロビーウーマンです私 静 岡
私もこちらのネコになりました
ウーマンも沈んでしまう大広間
私を待ってたような試着室


「自 由 吟」        森下 居久美
紫陽花に元気をもらう雨が好き 掛 川
クッキーを焼こうか今日は雨予報
アルバムを静かにめくる雨が好き
この雨が上がればきっと虹が出る


「初  夏」        林  二三子
花粉過ぎ木々の緑が目にしみる    芝 川
緑のシャワー浴びて爽やかウォーキング
山肌の新緑に目が癒される
あじさいが雨を好んで咲きほこる


「身の足掻き」       永田 のぶ男
梅雨の絵を書き出す前に紅を濃く    静 岡
深呼吸空の蒼さを丸め込む
気取っても纏まりつかぬ身の足掻き
影だけになって羽田で別の便


「とりあえず」       山口  兄六
とりあえず恋は性病検査から     足 利
とりあえずお金を貯める離婚まで
とりあえず地名で呼んでいる彼女
とりあえず低反発の恋枕


「魔  性」        池田  茂瑠
濃霧から這い出て私堕ちました    静 岡
雨の日も芯の魔性が舞えと言う
姫鏡覗く炎が見えるまで
地下街のリード女が強く取る


「空  港」        増田  信一
静岡もやっと空港できました     焼 津
パスポートとってみたけど行き先が
高いとこ嫌いだけれど空は別
エアポート英語の方がロマンある


「思い出はイイことだらけ」今井 卓まる
ポケットに仕舞ったままのラブレター 浜 松
プリン食べ忘れたんだよ また会おう
飲みかけのカップ下げられ終わる恋
また会おうその時 涙 倍返し


「自 由 吟」        真 理 猫 子
金運もさらって逃げるすきま風  岡 崎
いい男だった昔が逃げていく
ゴキブリも出会い頭じゃバックする
ほんとうは私 逃げたい 私から


「雑  詠」        谷口 さとみ
包帯に私の癖を忍ばせる    伊 豆
とばっちり受けて売れないペアカップ
丈夫過ぎ割れるとホッとする食器
マヨネーズどこに入れよかさしすせそ


「百合の花」        佐野 由利子
逆境をバネに明日へ立ち上がる   静 岡
風乗せてぐるぐるメリーゴーランド
ポンと肩叩かれ見れば百合の花
疲れたと幸せそうな顔をして


「自転車に乗る」      小野  修市
道ゆずりよろけてゴミと相撲取る   静 岡
坂などと言えぬ登りでヒザ笑う
住みなれた街を走るが迷子です
おばあさんすいすい僕を抜いていく


「動  く」        長澤 アキラ
夢はどうなる飯はどうなる派遣です 静 岡
努力して尽いていればの話です
職安の蟹工船が動き出す
そして今最後の一字書き終える


「ル ー ペ」        藪崎 千恵子
長所だけみましょう嫁と持つルーペ 焼 津
身内には甘いルーペが孫を褒め
ちっぽけなこと大げさにいうルーペ
人様の粗を見るなと言うルーペ


「今  日」        川村  洋未
今日もまたあれそれこれで暮れていく 静 岡
今日からと見ればきのうも書いてある
今日だけとおやつのふたをゆるくしめ
今日くらいゆるゆる過す誕生日


「新 兵 器」        高瀬   輝男
記録破りの猛暑へギャグが通じない    焼 津
先ず軽くジャブを一発初対面
言い訳の理由に降った雨でない
天性の丸さりんごを責められぬ


「鉛筆の芯」        望月   弘
Fで書く手紙は真面目すぎないか    静 岡
Hから出る冗談が苦笑する
HBから友達の輪をつくる
4Bがふんわりと描く夏の雲


「初夏の恋」        加藤   鰹
初恋の記憶に凛とタチアオイ  静 岡
草いきれ入道雲と同化する
迎え火を見つめる愛の日がゆらり
梅雨空にまた違う人好きになる


「い び つ」        柳沢 平四朗
清濁を吊って不潔な水へ棲む    静 岡
いつまでの軈てか老いの自由形
世相なお歪善意の立ちくらみ
生きざまへ舌三寸のテクニック
虎竹抄 | Link |
(2009/07/26(Sat) 13:44:28)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「自 由 吟」      真田  義子
プライドを捨てたら楽になる背中     仙 台
何もかも洗い流して生きる幸
人生をすべてプラスに生きる幸
追伸が余り長くて書き直す


「雑  詠」      竹内  さき
連休よドライブの恋そのまんま      浜 松
群碧の中でして居る背伸びかな
も一人の私になれる海がある
遠景の夢裏切らぬ初夏の中


「  俺  」      金田 政次郎
夢うつつ二つの道に俺が居る       静 岡
生き抜いた道だ平和にしておこう
正直な影だしっぽを巻いている
押し出され戻れぬ俺は廃棄物


「  嘘  」      瀧    進
Eメール偽り多きラブゲーム       島 田
白百合の君についつい騙される
多過ぎる嘘に方便パンクする
へそくりの金が可愛い嘘をつき


「野いちご」      戸田 美佐緒
野苺のときめき甘く熟れてくる      さいたま
ノーメイクでも素敵です僕の恋
煙をあげて雑魚が焼けますウフフ
捨てられぬ霞だんだん重くなる


「雑  詠」      寺田  柳京
馬走る風に舞い立つ花吹雪        静 岡
金持ちが嫌いで金で苦労する
慾張れと猿に天与の頬袋
吊橋の真ん中で聞く金を貸せ


「自 由 吟」      大塚  徳子
春うららあなたに会える遠回り      仙 台
形見分け父の心を貰い受け
身をけずる思いで花を分けてやる
ドイツ語に臆病になる診察日


「よくばり桂林の旅」  新貝 里々子
オートバイ逞しいのはおんなたち     袋 井
少数民族はかなげなのは最初だけ
中国の赤赤赤をもて余す
激安のツアーで度胸試される


「凧 祭 り」      畔柳  晴康
凧祭り爺やも孫も熱をあげ        浜 松
凧絡む歳を忘れて糸を引く
凧終えて御殿屋台の笛を吹く
凧は舞い鯉も泳ぐよ五月風


「時刻表1000号」  毛利  由美
青春をともに旅した時刻表        つくば
気ままには旅の出来ない女の子
空想の旅も発着は大阪でした
ケータイに最寄りの駅の時刻表


「マイアミにて」    薮ア 千恵子
二度とないチャンスマイアミの地に立つ  焼 津
南国の風情椰子の木に囲まれ
プール付きセレブ気分で過ごす家
歓談に同時通訳息子して


「  青  」      川口   亘
青虫が蝶に変わって春謳歌        藤 枝
信号の青色なりの事故も有る
突然の雷雨も恐い青い顔
知らないで青春時代過ぎていた


「囲  む」      濱山  哲也
学校をぐるりコンビニ取り囲む      青 森
囲碁敵死んで碁石も喪に服す
愛人をかつて囲ったホームレス
飲みすぎてしまったらしい四面楚歌


「雑  詠」      山本 野次馬
髭剃れば空の青さに笑われる       函 南
ガチャガチャで当たったような恋をする
正直に歩むと脆い杖を持つ
筋書きのところどころにある句点


「行楽日和」      中矢  長仁
忙しくなるぞ連休孫が来る        松 山
連休にお出でおいでと行楽地
晴天が続き賑わう行楽地
隠れ宿でひっそりしたい老夫婦


「時 事 吟」      寺脇  龍狂
使った人まだ来ない人給付金       浜 松
ミサイルへ天下泰平裸んぼ
初音聞く去年と同じ日同じとこ
王(ワン)ちゃんとミスターが言う俺も言う


「時 事 吟」      松橋  帆波
消極的支持率を問うアンケート      東 京
世渡りは解釈 総理から学ぶ
ビーンボールもデッドボールもある選挙
確率はどっち 地震と北の核


「自 由 吟」      中安 びん郎
北鮮の良心見えぬ拉致事件        静 岡
株安に悶えているよ日本中
物価高苦悶している永田町
新内閣そろそろ飽きてきた頃だ


「自 由 吟」      成島  静枝
姑へランクアップの予定延び       千 葉
緑陰でトラックが寝る大欅
当番医ついでに産科産めないが
低空のカラスはグルメうちのゴミ


「気 配 り」      岡村  廣司
落ちこぼれと見られぬ様に気を配り    焼 津
気配りも過ぎると逆に疎まれる
嫁姑気配り要らぬ仲となり
気配りを要らぬ節介とは意外


「あ の 人」      西垣  博司
いいお年召していますねそのルージュ   静 岡
ありきたりみたいな恋をしてしまう
どこにでも居そうな人でそうでない
その赤い唇 罪の色に似る


「自 由 吟」      提坂 まさえ
近くだけ探してみたが青い鳥       静 岡
新人さんお裾分けして青い風
イコールにするため少し塩加え
給付金家族全部を足してみる


「自 由 吟」      川村 美智代
花さくら咲いて散らして北へ行く     静 岡
ハミングが五線譜に乗り風に舞う
青が好きつゆくさの花朝の色
薯煮鍋地味な幸せ煮込み中



「自 由 吟」      萩原 まさ子
桜だと酒が加わる日本人         静 岡
もやしっ子本気加えて太くなる
好物が笑顔を添えて待つ予感
疲れ果て夢の中へと倒れ込む


「自 由 吟」      石上  俊枝
熟年の青い炎で燃え尽きる        静 岡
青春はアーという間に通り過ぎ
一匙が我が家の味と嫁伝え
孫が増え仏壇の前輪をつなぎ


「雑  詠」      芹澤 穂々美
真顔して定期券買う新入生        沼 津
遠足の子等のリュックがほくそ笑む
いつ仕舞うコタツ布団が欠伸する
日向ぼこニートの数が増えている


「雑  詠」      滝田  玲子
球根よりひと足早い草目ざめ       浜 松
言い過ぎたひと言重くのしかかる
順番待つハローワークの寒い椅子
下駄箱の奥で泣いてるハイヒール


「ゆっくり」      安田  豊子
花の気をもらい三代ハーチーズ      浜 松
まざまざと過去蘇る藤の下
身の丈でゆっくり歩く古希の道
七転び八起きゆっくり生き延びる


「  魂  」      薗田  獏沓
魂が抜け出た様な顔で寝る        川根本町
心から祈り神様迷わせる
魂の叫び嬉しい大反響
魂を込めてコケシの目鼻入れ


「足 の 裏」      鈴木 千代見
ウォーキング魚の目連れて一万歩     浜 松
赤い靴相性よくてよくしゃべる
カサカサだ愚痴こぼしてる足の裏
うたた寝にへのへのもへじ足の裏


「ぼんぼり」      川口 のぶ子
初孫の笑いが家に春を呼び        藤 枝
ぼんぼりが手招きで呼ぶさくら堤
トンネルを抜けて其処から春を追い
思い出が何故か段々遠くなり


「エコロジー」     鈴木 まつ子
陽の目見ぬリサイクルから物の価値    島 田
コンポスト楽しむようにひとひねり
美しい地球泣いてるエコ表示
僅かでも無駄なくまわすエコロジー


「自 由 吟」      内山  敏子
置き去りの週刊誌読む鈍行で       浜 松
セールスもノルマあるからチャイム押す
お腹から笑うと逃げる弱虫毛虫
反省をすればやさしい風に逢う


「雨が好き」      小林 ふく子
傘持って一喜一憂する一歩        袋 井
夜の雨明日の予定が焦ってる
雨の午後迷った心挽いてます
雨が好きあの日と同じ雨の夜


「雑  詠」      飯塚 すみと
花冷えで着てゆく服がわからない     静 岡
好い人がタケノコ持って門の外
透きとおる幼児の脳に戻れない
京ことば静かに招く奥深さ


「答  え」      加茂  和枝
あなたとはプラスマイナス答えなし    岩 沼
たっぷりと遊んで心快晴に
一日のけじめシャワーを全開に
ひと言で霧がすぅっと晴れてゆく


「ゴールデンウィーク」 恩田 たかし
コールデンたくさん寝たがまだ寝られ   静 岡
連休は計画立てずケンカする
雨降りにドライブ行こう梅ケ島
吊橋を娘と渡りほのぼのと


「心  境」      鹿野  太郎
いい人と言われてたまにハッとする    仙 台
シルバーがキラキラ外に出てみよう
もう何もいらない爺にしておくれ
横たわるこのサバたぶん尊厳死


「朝ドラから・・・」  尾崎  好子
まず笑みを誘う双子の顔写真       藤 枝
双子ちゃんらの名前から親心
縁って私にとって宝物
だんだんと松江のしじみ汁を吸い


「レクイエム」     石井   昇
止まり木で昇華できない夢を酌む     蓮 田
掛け算をしても悲しみだけ残り
終の地へ微熱いだいたままの石
壁と戦った卵へレクイエム


「雨の午後に」     栃尾  奏子
胸を打つ碧に出会ったガガーリン     大 阪
母の手にかかりキャベツは七変化
バイブルが優しく包む至らなさ
試されるのは追い風が止んでから


「絞り出す」      石田  竹水
恥を知り僕は自信を取り戻す       静 岡
腰紐が三本有って締まらない
決断が浅はかすぎて貝に成る
わが事に成ると余力を絞り出す


「叱  る」      鈴木 恵美子
悪い事しっかり叱り抱きしめる      静 岡
母さんはとても悲しい目で叱る
亡父さんに叱って欲しいわたしです
父の一喝子はすくすくと延びる


「待 つ わ」      増田  久子
蝶になる日までを耐えている毛虫     焼 津
上達を祈る隣のバイオリン
長女二女残し三女が嫁に行く
アナログで見ます最後のその日まで


「ジャンケン」     井口   薫
下心なくてジャンケン パーの癖      袋 井
読み合って全員チョキという強気
ジャンケンで小さなドラマ仕立てられ
グーチョキパー武器のお手入れしておこう


「母 の 日」      森下 居久美
母の日の絵が思い出の一ページ      掛 川
嬉しくて使いそびれた肩たたき
もう少し元気でいてねカーネーション
嫁、娘カーネーションが揺れている


「自 由 吟」      林  二三子
はびこった草と今夏も勝負する      芝 川
植え終えた棚田爽やかな景色
立ち上がる度にヨイショが口をつく
贅沢なひと時ホッと新茶飲む


「雑  草」      酒井  可福
雑草に花も名もある意地がある      北九州
雑草の意地が小さな花咲かす
雑草の自然環境守る自負
大輪の花を夢見るかすみ草


「つららさん、元気?」 今井 卓まる
新緑の鱗なだめる凪の風         浜 松
親密度ベンチシートで計る距離
トイレットペーパーだった命綱
迷うなら愛でひとつになればいい


「電脳世界」      高橋  繭子
パソコンが真面目に画像処理をする    大河原
ノッペラボーになるはたやすきEメール
ウェブたどる足跡を消す深い森
パソコンの要領 使う人に似る


「諸行無常」      真 理 猫 子
うぐいすも婚活 春は過ぎたけど     岡 崎
蛸の足みたい動く胸騒ぎ
お祭りの終わった頃に血が騒ぐ
結婚をしてないカラスなぜ鳴くの


「祝  吟」      山口  兄六
娘さん欲しいと辛い酒注がれ       足 利
お守りを透かして見れば君がいる
安産の神のあくびが止まらない
電話代また跳ね上がる孫の声


「誕 生 日」      増田  信一
この年でうれしいような無いような    焼 津
誕生日この頃やけに早くなり
ロウソクは要らないという年になる
誕生日一緒に祝う連れは無し


「素直になる」     小野  修市
ありがとうを直ぐ言える人偉いねえ    静 岡
芽吹く春自然に添うて歩いてく
若い頃の純情今も持っている
声出して笑えばそれで万事良し


「第十八回京浜川柳大会ボツ句」中田   尚
化粧品変えてもシワに吸い込まれ        浜 松
式まではニュートン味方だったのに
ウソはだめDNAが見ています
道草をGPSが見逃さず



「雑  詠」      多田  幹江
阿波踊りもどきに燃える町おこし     静 岡
星月夜昭和はおぼろおぼろなり
涙目のおんなに弱い男伊達
ショッピングモールに君の影がない


「思 い 出」      永田 のぶ男
赤よりも白を着こなす春ほたる      静 岡
教養は学歴でない品の良さ
花冷えにおんなが居ない暖炉の火
躓いた石と別れた元少女


「錆びた鍵U」     谷口 さとみ
鳳仙花どうはじけてもヘ長調       伊 豆
ほおずきをつぶし本音が言える秋
ほっとくと月下美人は見えないよ
その鍵はとっくに変えたドアの鍵


「自 由 吟」      長澤 アキラ
スッピンになると顔出すDNA      静 岡
七転び八起きはとても痛かった
悲しみの飽食空が澄んでくる
ジャージャージャー シャーシャーシャーシャー チョボチョボチョボ


「  男  」      川村  洋未
あの男 思えば猫と同レベル       静 岡
禁煙を守る男にほれなおし
取りあった たいした男でもないが
ライバルが普通の男連れていた


「ゆったり」      中野 三根子
たまに乗る普通列車の旅が好き      静 岡
一人旅窓の景色が語り出す
公園のベンチやさしさたっぷりと
図書館の静けさの中一人居る


「届かない波」     池田  茂瑠
都合よい方へえくぼの向き変える     静 岡
火の章の続きを書けば目が乾く
届かない私を騙す程の波
月の夜は水子の戻る道を掃く


「言 い 訳」      佐野 由利子
言い訳の嘘をやすやす見破られ      静 岡
飲み込みが早い女は物静か
本当の事は言わない処世術
あの時にでは遅すぎる虐待児


「新 兵 器」      高瀬  輝男
人間のプライドが産む新兵器       焼 津
西東暗い話題が満ち溢れ
ややこしい世間は他所に金魚飼う
解決の素案デパ地下から拾う


「やさしい鉛筆」    望月   弘
新緑と書く鉛筆が柔らかい        静 岡
好きな子へ円い鉛筆よく転げ
鉛筆のやさしさ蝶が舞いあがる
シャープペン少女のこころ覗き見る


「自 由 吟」      加藤   鰹
モザイクが目立つ彼女のプロフィール   静 岡
絆創膏だらけで別れられなくて
留守電にセット潮時かも知れぬ
天秤に乗るほどの愛だったんだ


「なすりあい」     柳沢 平四朗
極楽へ予約のキップで届かない      静 岡
仲違い擦りあってる蝶番
躁と鬱 振り子のように日を刻む
世の中が斜になった人の価値
虎竹抄 | Link |
(2009/06/08(Sun) 10:48:07)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「花は散る」      新貝 里々子
若き日へリセットしたい食前酒      袋 井
おしながきサクラ吹雪も盛り込まれ
フルコース団体客がなだれ込み
マイセンのお皿が嘆く不況風


「兎 小 屋」      岡村  廣司
玄関を開けるコツ要る兎小屋       焼 津
兎小屋貧乏神が蹴躓き
裕福と書いて貼っとく兎小屋
兎小屋なんとか手足伸ばされる


「雑  詠」      西垣  博司
底力秘めた女のノーメイク        静 岡
スニーカー余生のひもをしめ直す
大不況ここで会ったが百年目
雑踏の中で一人の旅をする


「行 く 春」      井口   薫
花追って古希の幸せ全開に        袋 井
風吹くなも少し咲いていたいから
さくら散る五線譜を舞い泳ぎつつ
咲ききってそして桜は樹に還る


「お 菓 子」      濱山  哲也
駄菓子屋のくじに人生教わった      つがる
母は見た僕のケーキが逃げるのを
卒業し息子は東京のひよこ
幸せはバームクーヘンだと思う


「フランスにて」    真田  義子
エスカルゴ食べてフランス人になる    仙 台
エスカルゴどこからみてもかたつむり
モナリザの顔で過ごしたパリの午後
レストラン水も買わせるしたたかさ


「年 度 末」      毛利  由美
先生の人気が分かる離任式        つくば
たくさんの別れ見てきた年度末
エイプリルフールグッズはさすがない
クラス変え前のそぞろな春休み


「ぬくもりを感じて」  栃尾  奏子
春コートふわり私に蝶の羽       大 阪
猫足で行く一面の花畑
にっこりと君は四葉のクローバー
もう泣かぬ今日から春の絵の中に


「煙  草」      松橋  帆波
禁煙の理由を書いて売る煙草       東 京
胃カメラの日が決まってもたぶん吸う
禁煙の三日ぐらいは君子めき
喫煙者組合などをふと思う


「  春  」      藤田  武人
ホームラン狙ってみたい始球式      大 阪
ラブコール受話器を持つと標準語
雪解けを待っていたのは胸の傷
花霞まとい夢見る山の神


「雪よもい」      戸田 美佐緒
くすぐりの刑を受けてる俺の臍      さいたま
裏ごしにされた南瓜の自暴自棄
終止符が打てぬ鬼ごっこで転ぶ
パンドラの蓋を忘れた自由主義


「男 風 呂」      瀧    進
自慢気に何やら隠す男風呂        島 田
磨りガラス君ビーナスのシルエット
女風呂気になるうちはまだ元気
今日の垢流し湯上り缶ビール


「電子辞書」      成島  静枝
プッツンをして黙り込む電子辞書     千 葉
電気屋のチラシまだ来ぬ給付金
便利さに馴れて引けない紙の辞書
叩くのもスキンシップか直る辞書


「雑  詠」      馬渕 よし子
長生きは嫌だと父の背が語る       浜 松
避けたいと思う相手と乗り合わせ
先手読むコツを覚えた運の向き
一言が眠りのマグマ揺り起し


「雑  詠」      滝田  玲子
人間を見下しカラス高笑い        浜 松
言い訳は聞いてくれない娑婆の風
達筆の寸志びっくりする中味
カルテ見て老化ですべて片付ける


「無  題」      寺田  柳京
自転車で中学生を避けて行く       静 岡
若者よお國のために死ねますか
ほっとけば忽ち伸びる八重葎
ほろ酔いの俺を埋めろよ花吹雪


「菜種梅雨」      畔柳  晴康
菜花咲く誰が呼ぶのかしとしとと     浜 松
草と花待って居たのよ走り梅雨
まだ降るの花見の予定決めかねる
おしめりが有って楽する花粉症


「挿絵の女」      金田 政次郎
美しい挿絵の女に恋をする        静 岡
ページから挿絵の女の吐息訊く
浮きたてるリアルに挿絵の女が炎え
イラストに生きた挿絵の物語り


「初夏が来る」     小林 ふく子
かげろうの恋トマトはあおいまま     袋 井
君と観た桜も君もどこへやら
それからも続いて欲しい花便り
特急列車のように初夏が来る


「黒いバラ」      竹内  さき
頑張って生きて残った黒いバラ      浜 松
趣味多彩君臨の輪に影見えぬ
素顔です両手の米が忙しい
夕暮れてちーさき海で背伸びする


「自 由 吟」      鹿野  太郎
平成の三種の神器持ち無職        仙 台
お互いに墓穴を掘って出す誤報
太陽と指きりをしたアデランス
男運悪いがツバメ巣を作る


「自 由 吟」      萩原 まさ子
春ですね思いっきりの派手を着る     静 岡
振り向いてちょっと直して行きましょう
平服と言われかえって迷い出す
平静を装う波が沈むまで


「自 由 吟」      川村 美智代
思い出はまだ捨てられぬ青い服      静 岡
日が落ちる群青色が苦笑い
一生を引立てかカスミ草
こんなにも青があるのに拾えない


「自 由 吟」      提坂 まさえ
神様を振り向かせたか原ジャパン     静 岡
振り向けば団塊だらけ春うらら
ほんとうはすごく派手かもカタツムリ
振り向いて私を嗤うチューリップ


「自 由 吟」      石上  俊枝
働き蜂派手な論争かやの外        静 岡
サンバかと思う露出度目が笑う
開港を立ち木フラッシュ地権者と
好奇心旺盛わたし七変化


「育 て る」      芹澤 穂々美
良い種を蒔こう非行の芽は出ない     沼 津
逆上がり苦労話を聞いてくれ
クラシック聞いた茸がヘソを曲げ
やりすぎた肥料で育て愚痴を言う


「あら、あら」     鈴木 まつ子
質問へ野党持ち上げては落とし      島 田
懐にしのばせた恋妻にばれ
暴走車信号無視で直走り
やんちゃな児ハラハラさせるウインドー


「春の一歩」      加茂  和枝
春風に押されて未知の入口に       岩 沼
新しい足跡つけて新入生
夢だけはでっかく一歩踏みしめて
春の絵に解けてみようと肩に雨


「お星さま」      大塚  徳子
ピリピリと左右前後を見て歩く   仙 台
年金の制度が生んだ核家族
玄関のドアを開ければ身構える
雲間からウインクしてるお星さま


「明  日」      鈴木 千代見
酒の量明日の休みが味方する     浜 松
明日あると甘え心が顔を出す
手探りで明日を探す闇の中
明日がくるやっとやっとの退院日


「自 由 吟」      恩田 たかし
桜散る入園式の華やかさ         静 岡
昔なら入学卒業父はこず
沢山の夫婦で参加入園式
ここに来てラジオに送るネタ探し


「雑  詠」      寺脇  龍狂
食べて洗い一人二役オイとハイ      浜 松
独り者時々ほしい糸切歯
アメリカの孫へ単語の長電話
米ドルと孫の百点不安定


「覗  く」      安田  豊子
覗き目の好きな雀の群れる軒       浜 松
強がりは止めた淋しさ覗かれる
プライバシーこっそり覗く障子の目
苛立ちを宥めて覗く万華鏡


「いい加減」      薗田  獏沓
前借りをしてから来ないアルバイト    川根本町
結論を後回しにする夫婦劇
どうせ直ぐばれる恋仲美辞麗句
法話聞き一言二言覚えてる


「旨 い 酒」      中谷  長仁
美味いのは仲間同士で飲むお酒      浜 松
うまいのは小野の小町と飲むお酒
美味いなあ酒の肴にかつお節
何よりも大切なのは酒の味


「  鬼  」      酒井  可福
制服が仕事の鬼に仕立て上げ       北九州
鬼だって反省もする泣きもする
仏にも鬼にも父は成る役者
金棒を忘れた鬼が照れ笑い


「迷 い 道」      石井   昇
知らぬまに墓穴を掘ったナルシスト    蓮 田
名も知らぬ浜で口笛吹いている
迷い道抜けて人間らしくなり
雨のち雨苦い快感受けている


「昼 休 み」      山本 野次馬
ラーメンと引き換えにする時間給     函 南
喉もとのあたりへエコがしがみつく
ワンコインランチタイムの蟻になる
胃袋と戦争してる五分前


「疑  念」      川口   亘
試練にも堪えて初めて価値を知る     藤 枝
試さざる内の疑念はそっと捨て
他所ごとのように云われて身が火照り
四方山の話にいつか花が咲き


「  夢  」      川口 のぶ子
終日を何もしないで夢うつつ       藤 枝
投げ槍の答をいつか持て余す
春一番暫しの夢も掻き消され
抜け出して見る可きものを知る今宵


「麻生首相」      尾崎  好子
億分の千が支持率出して来る       藤 枝
柔軟さ二転三転悪怯れず
真紀子節にも怯まない強靭さ
カメラマンひょっとこ面に撮ってみせ


「雑  詠」      飯塚 すみと
ふとん干しやれど息子は感じない     静 岡
花粉まひ車の窓をあけられず
野球勝ちみんな笑顔の日本人
痩せすぎはかえって悪いと医者はいう


「自 由 吟」      内山  敏子
放送局むこう三軒花火散る        浜 松
玄関の偽装セールス追い返す
ハミングで今日の料理が出来上がり
大地から春の勇気があふれでる


「  箱  」      鈴木 恵美子
千羽鶴無心に貯めている小箱       静 岡
ダンボール子の夢運ぶ貨車となり
宝石箱母の形見がひとつだけ
おもちゃ箱母の手作りかしこまり


「花のあとさき」    増田  久子
偵察のように一枚咲くさくら       焼 津
満開も五部咲きもある花だより
禁漁区草魚をかくす花筏
道路際落花さかんを掃き寄せる


「給 付 金」      森下 居久美
給付金ヒナもパクパク口を開け      掛 川
冷蔵庫壊れています給付金
ETC付いてないから野良に居る
バラ撒きの後が恐いな消費税


「しぞ〜か弁川柳」   中安 びん郎
杖突きゃあポストぐりゃーはやーけーる  静 岡
足腰はこきたん悪りい治んにゃ〜
年寄りに生きぎゃあがある生き字引
眼鏡〜よ探す刑事みてゃ〜な目つきょして


「今更一人」      永田 のぶ男
豪快に笑うと怖いものはない       静 岡
豪快に笑って腹の虫治め
喝采も拍手もいらぬ腹の虫
一人身でしみじみと洗濯の泡


「  桜  」      真理  猫子
母の胸いつも桜が舞っている       岡 崎
足元がショパンを弾いている桜
哀しみも三分咲かせる姥桜
桜散る酒の肴を引き連れて


「八 起 き」      石田  竹水
塩少し加えた恋が愛に成る        静 岡
一手先読んで手の内さらけ出す
八起き目の運はチャンスだ掴み取る
言い過ぎの主張いさめる大笑い


「散 歩 道」      山口  兄六
行列の出来ない店で買う時間       足 利
嫁に行く娘の風呂を父は待つ
お互いに年を取ったな散歩道
仲直りしよう畳の目を超えて


「不 景 気」      増田  信一
不景気で勿体無いが見直され       焼 津
不景気で会社の空気ピリピリと
不景気も景気も家は大差ない
不景気で貧乏神が大はしゃぎ


「長  寿」      林  二三子
百歳の言葉にカドのない温み       芝 川
百歳の未だ狂わぬ鯨尺
刺し子の目少しの狂いもなく進み
お喋りや笑いで認知症逃れ


「いざさらば」     多田  幹江
マジックの種も尽きたしいざさらば    静 岡
念願の開港見えたいざさらば
アナログよ口惜しいけれどいざさらば
年金の日までぢいちゃんいざさらば


「自 由 吟」      中田   尚
ミサイルに国が地球が揺れている     浜 松
おれそうな心に初夏の風が吹く
タレントを知事にマイナス埋まるかな
木を切って知事の命を斬りました


「デスマッチ」     今井 卓まる
春眠の暁を知るデスマッチ        浜 松
デスマッチ終わる気配のデスマッチ
畳の目 数え戦うデスマッチ
タイトルに困った恋のデスマッチ


「春 の 月」      小野  修市
満月はしっぽりつつみ深情け       静 岡
三日月は涙も見せぬ薄情け
川面にゆれてる月は移り気だね
家の月毎月赤字並んでる


「ひでスタート」    川村  洋未
ひかえめといいつつ主張するピンク    静 岡
ひとりでもケーキを二つ買う重さ
火の車この頃やけにはばきかす
一人言誰か聞いてよ返事して


「さみしさ」      中野 三根子
行くあてのないさみしさに涙する     静 岡
もう少し近くに居たい今日もまた
夕暮れの空に描いた母の顔
もしもしとそっとダイヤル押してみる


「錆びた鍵T」     谷口 さとみ
ひとつでは済まぬ四葉のクローバー    伊 豆
サルビアを吸う遊びにもあるハズレ
あつすぎてひまわりのない道選ぶ
ケイタイを忘れただけで溺れてる


「たてがみ」      池田  茂瑠
振り過ぎた尾から逃げてく運だった    静 岡
この恋も切った女の糸切り歯
勢いがあるたてがみの絵を飾る
眉細く奈落の底で整える


「雑  詠」      長澤 アキラ
タライから海まで長い平泳ぎ       静 岡
余り物ですと貧乏神を出す
何にでも治癒の上手い砂時計
背負うもの無くてチョウチョをやってます


「春 4 月」      佐野 由利子
春4月それぞれの靴音響く        静 岡
初孫をそーっと抱いてほくそ笑む
ファインダー覗けば友のいい笑顔
お揃いのシューズを買おう給付金


「自 由 吟」      高瀬  輝男
従順な川を煽動する雨量         焼 津
恥などは無視人間を続けるぞ
よんどころ無く中立でいるわたし
試すため生かされているモルモット


「鉛  筆」      望月   弘
HBから生まれてるあいうえお      静 岡
4Bで父6Bで母を描く
キツネ貌Fの硬さで書いてみる
平和から色鉛筆が招かれる


「自 由 吟」      加藤   鰹
ちっぽけな器だ愚痴をよくこぼす     静 岡
大器晩成いいえあなたはパラサイト
すり寄って来るのはおとり鮎ばかり
命はらはら両手で受け止める桜


「ほ こ り」      柳沢 平四朗
駄菓子屋の甦生へ父も子になった     静 岡
目鯨を立てても老いの絵空事
自画像の裏へ埃が溜り出す
善人のルピを阿呆とする夕日
虎竹抄 | Link |
(2009/05/08(Thu) 10:45:53)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「雑  詠」     滝田  玲子
学校を休み受験の塾通い     浜 松
腰痛を小走りさせる発車ベル
厚化粧落とすと皺が浮きあがる
人生の波のり越えた皺の数


「春だから」     新貝 里々子
三月のサ行さくらの糸でんわ    袋 井
火を浴びて抱き合う恋の二月堂
フィクションの多いお話春だから
本当を言えば荷崩れ大崩れ


「  春  」     藪ア 千恵子
春うらら窓開けて待つ恋の使者  焼 津
春風に自閉の殻を脱がされる
啓蟄が春の音符に踊り出す
病んでいる地球に優し春の風


「とり残された昭和」 川口 のぶ子
駆けぬけた戦中戦後母強し    藤 枝
青春を昭和と共にかき消され
ひばり節共に戦後を駆けぬけた
今日と云う時は二度とはかえらない


「私の昭和」     林  二三子
五円持ち境内で待つ紙芝居    芝 川
映画看板見れば昭和にひき込まれ
映画館青春だったサユリスト
一台のテレビ家族で囲んでた


「雀百まで」     中谷  長仁
真っ先に目を向けているのは谷間 愛 媛
豊胸で重そうだなあ女子リレー
睨まれるおしり触っただけなのに
このたずな緩められない飛んで行く


「自 由 吟」     寺脇  龍狂
給付金で名を挙げる人下げる人  浜 松
コンビニはブランド財布の見せどころ
隣り家の梅とも知らず褒めてくれ
節くれてダイヤに向かぬ妻の指


「ha-ru」     栃尾  奏子
旅立ちの車窓見送る春霞      大 阪
師の恩に気付くのはまだ先の事
鏡よ鏡わたしは魔女になれますか
まだ少女春よ春よと憧れる


「雑  詠」      石井   昇
後ろ髪ひかれたままの橋渡る    蓮 田
握り潰された卵は孵れない
何もかも受けて立ちます回遊魚
万華鏡グローバル化で狂い咲き


「自 由 吟」      西垣  博司
ガレージに若葉ともみじ同居する 静 岡
明日にでも解雇通知が来る不安
天下り族に着せたい作業服
生活の維持に自動車追いやられ


「まつりごと」     松橋  帆波
ニッポンの二択が好きな羊達    東 京
改革の約款無いのかも知れず
老人に群がる正義 偽善など
郵政の次はJAだよきっと


「自 由 吟」       ふくだ 万年
パンドラの箱を開けたがこの世情  大 阪
死に場所を探せず死期を遠くする
晴れ舞台育てた母の皺に笑み
デパートで駅弁たべて旅気分


「国民の子供」     毛利  由美
成人式気ぐるみを着た子供たち   つくば
なま足にミニスカ 外はシャーベット
スカイツリー見届けてください未来
妊婦さんその子は国民の子供


「群青の空」      真田  義子
そうは言っても許してしまう好きだから 仙 台
六十路坂宇宙に想い吐いてみる
耐えた背に優しく風が吹いてくる
群青の空を味方につける旅


「雑  詠」       山本 野次馬
海峡に沈み呼吸を整える      函 南
母の手はいつも力みのない波長
切り札はとっくに時効過ぎていた
引き出しに仕舞い切れないとげの数

「非  婚」 戸田 美佐緒
係累が重たくなってくる非婚    さいたま
人込みに紛れてしまう縁結び
守護神に集う結婚適齢期
婚活と呼び名を変えている見合い


「自 由 吟」      寺田  柳京
その道の達人というろくでなし   静 岡
血眼に集める札の薄っぺら
老妻あわれ見えない方の目を見張る
有難く今朝の命の水を飲む


「民 間 人」      石田  竹水
コーヒーの加糖は恋に甘くない    静 岡
ジャンケンの鋏で欲の絆切る
肩書きは民間人で天下り
ちぐはぐな答えの味に輪が和む


「自 由 吟」       萩原 まさ子
オスカーが日本魂呼び覚まし     静 岡
支持率があんなにも差両首脳
悪夢みせ何食わぬ顔ガソリン屋
後悔も味わいながらケセラセラ


「時 事 吟」      川村 美智代
変えることオバマに期待世界の目  静 岡
日本国オスカー像が眩し過ぎ
漢検協「変」の字選び偏頭痛
悪評を背に給付金歩き出す


「自 由 吟」      提坂 まさえ
字面だけ変えて障がい軽くなり    静 岡
酩酊も低迷もありおらが国
強すぎる言葉ラップを巻いておく
心臓に妻の鼓動も入れてある


「『おくりびと』を観て」井口   薫
生きるとは死とはと虎落笛やまず  袋 井
納棺師の所作お手前の優美さで
土壇場で男泣くしか無いのかも
人生のいい位置で観た おくりびと


「おくりびと」     成島  静枝
行列がジャスコの二階映画館    千 葉
観客が賞に納得「おくりびと」
オスカーへお目が高いとメッセージ
生ききってパッピー死出の旅切符


「時事川柳」      石上  俊枝
スーツ合う二世議員は苦を知らず  静 岡
言葉尻揚げ足とって国迷子
閑古鳥シャッター通り巣を作る
かんぽの宿半端な売りに怒りの湯


「自 由 吟」      鹿野  太郎
失った十年に子ら優良児      仙 台
蛇口から嗚呼ワクチンが溢れ出る
家計図に手を加えたい時もある
挫折した手足が妙に太くなる


「近  々」     川口   亘
時々は息抜かないと貯るツケ   藤 枝
貧乏は馴れ染めからの間柄
来てますね返事の出ない独り言
書きあげて脱字違いに気が滅入る


「迷  い」     安田  豊子
生きる知恵辞書から貰う日日重ね 浜 松
決断へますます深くなる迷い
杓子定規で引いた線なら気も軽い
悔いのないドラマにしたく見栄を張る


「  父  」     酒井  可福
幸せな家庭は父の底力      北九州
おもちゃ屋に縁遠い父孫を抱き
裏も知る父は寡黙に酒を飲む
お化けにも鬼にもなって機嫌とる


「早 春 賦」     増田  久子
合格に中学も沸き塾も沸き    焼 津
犬ふぐり踏んではしゃいだベビー靴
てんぷらへ丁重に掘る蕗のとう
四人寄り私のほかは花粉症


「春の訪れ」     薗田  獏沓
春なのに細めんが好き貧乏性   川根本町
菜の花の脈うつ中に実習生
心地よくそよ風浴びる春帽子
鈍行が桜吹雪の中をゆく


「手 作 り」     鈴木 千代見
火を止めて薬味を採りに行く強味 浜 松
手作りのマフラー春が来てしまい
ラップして母から届く五目豆
自慢するパパの作ったお弁当


「手職人の美と楽しさ」金田 政次郎
デザインの素朴に用の面白さ  静 岡
手仕事のコレクションです竹とんぼ
陶磁器に職人名の価値を観る
自由の目権威に負けぬ美の手職


「桃の節句」     芹沢 穂々美
満月に引けをとらない紅白梅  沼 津
白酒で酔ったふりする右大臣
段飾り見栄たっぷりのすまし顔
吊し雛脇役でいる初節句


「  道  」    鈴木 まつ子
カタツムリ垣根伝いの散歩道   島 田
人の道外れた男女まだ懲りず
言い訳がのらりくらりと道にそれ
まだ夢は尽きない趣味の道しるべ


「甘  い」     畔柳  晴康
失敗だまだ考えが甘かった    浜 松
お土産の饅頭甘く二度に分け
孫だけは甘い茶菓子を持つ両手
甘い水ひと滴だが溺れゆく


「春が来た」     小林 ふく子
春はまだ川の向こうで咲いている 袋 井
春がすみ鬼がうたた寝してるよな
思い出に少し泣きたいおぼろ月
桜咲き草書のような顔で散る


「賞味期限」    岡村  廣司
我が家では賞味期限を鼻で決め  焼 津
期限切れ俺が喰うのを待つ家族
美容室賞味期限を延ばすとこ
人間の賞味期限を誰決める


「徒然なるままに」 藤田  武人
一口で故郷香る贈り物      大 阪
初恋はまるで小粒なサクランボ
弁当箱主役は俺と叫ぶ梅
定年後父パソコンとにらめっこ


「風  邪」     恩田 たかし
寝込んでる私の上に子がダイブ  静 岡
熱だした私の横で添い寝する
寝込んだよ家族全員風邪ひいた
風邪治し移した風邪の後始末


「交通安全」     濱山  哲也
平成がスピード違反しています  青 森
手を挙げて間違ってると言いましょう
ゆっくりと歩けば見方増えてくる
恋という出会い頭の事故もある


「  器  」     大塚  徳子
過去は過去決意新たな花咲かす  仙 台
ナックルを投げる女のど根性
茶匙一杯の余韻で今を生きている
のんびりと大きな器焼いている


「春だもん」     竹内  さき
やっと春私は私咲いて人     浜 松
咲いて咲く窓辺のバラよ恋だもん
対あなたコーヒー熱く春の駅
幻か味噌汁匂うワンルーム


「  風  」     瀧    進
順風に乗って大凧糸が切れ    島 田
うわさ話 路地を曲がってつむじ風
変革が浮世の風に向きを変え
逆風を受けてドロップショットする


「想 い 出」  鈴木 恵美子
想い出の一行しかと抱きしめる  静 岡
想い出はたんぽぽのよう空に舞う
さみだれに花一輪が語り出す
愛の章こよなきまでに晴れわたり


「自 由 吟」   内山  敏子
新緑に昔を偲ぶ車椅子      浜 松
リハビリに憩う瞳に若葉萌え
抜歯後の涙を癒す初ツバメ
歯科治療に食の楽しみ奪われる


「春の気配」  加茂  和枝
始めての道を見つける目は踊り  岩 沼
腕まくり裾をたぐって深みなど
手を握る幼子春を大股に
もう一度良く見る春の気配など


「雑  詠」    飯塚 すみと
十階のクレーンで二階の家造る  静 岡
衝動買いあの人同じ袋さげ
少しだけ恥をかきかき道そうじ
年の差をつくづく感じる子の食事


「静岡弁川柳」 中安 びん郎
固資税が上がり畑を持てにゃあよ 静 岡
生きてさえいれば留守番ぐりゃあ出来
おまっちゃーまだ若きゃあだでヘチこくな
食いっぷりえーけんそけ〜ら汚すなよ


「W B C」   尾崎  好子
いい響き侍ジャパン原の陣    藤 枝
衿正し正座して見るWBC
イチローの凄さ見事さ堪らない
世界一孫らとしたいハイタッチ


「雑  詠」  多田  幹江
都わすれふと君の名を想い出す  静 岡
木に登るまでは大事なおサルさん
ヒト科こぞってネットの餌つつく
この先をどこへ流れる川の鯉


「固めた襟」  池田  茂瑠
私の噂を乗せたゆがむ風     静 岡
泡ばかり預る胸のポケットに
貞女への挑み固めた襟に持つ
ブラジャーのサイズも母を越えていた


「自 由 吟」     川村  洋未
帰り際にっこり笑う運の良さ   静 岡
パーティの平服という落し穴
通販の健康器具で家メタボ
特効薬忘れる事さすぐできる


「何んとなく」    永田 のぶ男
今日もまた画鋲二つに支えられ  静 岡
酢味噌あえ愛は精算出来ぬまま
雨降れば帰ってしまう風の神
顔のない人が私を呼んでいる


「自 由 吟」     中田   尚
マヨネーズしぼってみたら春の色 浜 松
人生は死ぬ時もまた金がいる
口ぐるま上手に春をのせてくる
本当にシワがきえたら信じよう


「やさしさ」     中野 三根子
雪の夜笑った父の声がする     静 岡
半天が母の手作り暖かさ
よろけたらあなたがそっと手をつなぐ
振り向けばいつも笑った母が居た


「わが秩父」     山口  兄六
駅までの道は追い風空っ風    足 利
虹ひとつもう結論が出せそうだ
幸せな老後の話 妻と猫
危険だと思うこの席譲ります


「自 由 吟」     真 理 猫 子
一階の妻と遠距離恋愛だ      岡 崎
雪は降る おでんの具にも塩胡椒
在りし日の母が歌っている土鍋
笑いたくなった 河童に会いに行く


「しっかり生きる」  小野  修市
気が多くきれいな花を追いかける 静 岡
核心をつかれて胸がおどってる
出会い系振り込め生きる隙つかれ
総選挙したら戻れる椅子がない


「拝復、いち様」   今井 卓まる
痛いことにっこり笑い妻は言う  浜 松
肩揉んでやるよと淡い下心
禁煙が太る理由と妻なだめ
愚痴る僕 赤ベコのよう笑う君


「雑  詠」     長澤 アキラ
不景気に絵馬の背広がよく笑う  静 岡
サクラ咲くサイフが軽くなって行く
石塊を拾うと投げてみたくなる
後ろから石を投げてはいけません


「ちょっとだけ淋しい日 Part2」 谷口 さとみ
ただいまを機嫌伺うように言う     伊 豆
あかぎれの時に手相をほめられた
家が建つお米の家が減ってゆく
誕生日だけどやっぱり生たまご


「  風  」     増田  信一
我が家では不景気の風慣れてます 焼 津
千の風次の話題は納棺師
吹きまくるリストラの風かいくぐり
春の風ひらりと降りた梅桜


「絵 手 紙」     佐野 由利子
絵手紙の桜吹雪に誘われる    静 岡
娘より嫁が頼りと八十路母
試着室値札見てから試着する
輪の中に空気読めない人がいる


「無為徒食」     高瀬   輝男
フクロウは百年先も視野に入れ   焼 津
奔放な雲に国境無視される
我ながら天に恥じてる無為徒食
完璧な土手が流れの自由消す


「くるま社会」    望月   弘
軽い舌乗せてリムジン突っ走る  静 岡
助手席のナビは方向音痴だな
言の葉へ放水をする消防車
天寿だなゆっくり走る霊柩車


「琥珀の刻」     加藤   鰹
艶っぽい話ゆらりとブランデー  静 岡
客席で観る心中の美しさ
君を恋う僕は琥珀の中の蟻
冗談がキツイよお別れだなんて


「  錆  」     柳沢 平四朗
妥協した喉の小骨に疼かれる   静 岡
臆病な釘で錆つく脳軟化
手枷足枷渡る余命へ屯する
子が三人明日の杖は探すまい
虎竹抄 | Link |
(2009/04/28(Mon) 12:37:25)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「黒 光 り」        大塚  徳子
幸せをお稲荷さんに詰めている     仙 台
星一つ黒光りする星条旗
お茶の間のなかなか止まぬ隙間風
話し合いケータイ持たぬことに決め


「雑  詠」        石井   昇
日本をジャパンに変えた工業化      蓮 田
チェンジだと花火を揚げる西東
吹き溜りノッペラボウの泣き笑い
ギア一つ落し人生軽くなる


「倦 怠 期」        鈴木 千代見
倦怠期という病にある微熱       浜 松
ドライフラワー心変りがしたくなる
しゃぼん玉舞い倦怠期くる予想
透明人間同じ空気を吸っている


「昭⒚2二度目赤紙」(結婚半年)寺脇  龍狂
新婚へ有無を言わせず赤紙は        浜 松
預金なしお腹に一人親二人
日の丸も千人針も中古で
征くなとも死ねとも言わず母の皺


「偶  感」        寺田  柳京
ねずみなどどうだっていい猫の恋    静 岡
一歩ずつ退くと小皺がかくれます
生きて居る罰金ですかアハハハハ
その内に誰も無税の国へ行く


「春 隣 り」        新貝 里々子
加湿器の湯気派遣切りとは遠くいる   袋 井
男とは今朝もくしゃみが止まらない
パンジーが笑うと花粉症目覚め
部屋中をバンドネオンにしてひと日


「雑  詠」        井口   薫
胸襟を開いて春を誘い込む       袋 井
いざというとき出てしまう手ぶれ癖
柊の花の可憐は贖罪か
年齢の制限ばかりジャンプ台


「ももいろ」        小林 ふく子
桃色の風に扉は開いたまま        袋 井
ひらがなの花はピンクがよく似合う
クレヨンのピンクはいつも柔らかで
好きと書く薄桃色の紙がいる


「自 由 吟」        真田  義子
目を閉じて明日の風を読んでいる    仙 台
寝つかれぬ夜は夜汽車の音がする
鉛筆を削ると見える現住所
ポケットの嘘が時々笑い出す


「雑  詠」        馬渕 よし子
近付きの印情報一つ呉れ        浜 松
乾杯のグラス微妙な音を立て
叩かれて磨いた腕も解雇され
ここに来て老老介護おまけ付き


「花も実もあるかな」    増田  久子
生涯をかけてもやっと二DK       焼 津
福袋からのパールで着るスーツ
化粧品使い続けて詐欺と知る
ジャズピアノ目指しバイエル三年目


「前 借 り」        松橋  帆波
変人を人と思っていた不覚       東 京
マニュアルにあるスマイルと消費税
大衆は正義 匿名ですけれど
前借りは選挙に来ない世代から


「文字の風景」       戸田 美佐緒
さかずきと契って夜を盗まれる    さいたま
それだから夫婦なのよと皿を拭く
茶漬け喰うズンドコ節を聞きながら
温もりを分け合っている猫じゃらし


「家  族」        鹿野  太郎
私から見ればペットは雲の上      仙 台
反骨の旋毛だ凄い疳の虫
ご破算にするしなくても年度末
官僚はセオリー通り息をする


「  時  」        安田  豊子
割り切れぬ余りに生きる種がある    浜 松
花咲かす灰が寝ていた句を起こす
日向ぼこ少女に戻る陽の匂い
さりげなく刻む時計が早すぎる


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
反芻をしながら助言腹に入れ      焼 津
父というつっかい棒に助けられ
孫の知恵借りて時代の波に乗る
今日もまたピエロになれという鏡


「  糸  」        鈴木 恵美子
毛糸玉コロコロママの顔で編む     静 岡
結ばれた糸もつれ出し愛其の後
一人身のほつれた愛の灯がともる
着たままのつくろい妻の糸切り歯


「自 由 吟」        竹内  さき
恋をして愛して月の砂漠ゆく      浜 松
淡い紅夜霧に少し嘘がある
よしよしとコーヒー担ぐポスト前
指切りの今を大事に靴を履く


「色 と 嘘」        金田 政次郎
キリストの目へ白足袋の嘘を脱ぐ    静 岡
とんぼ切る真赤な嘘が翻る
遠い日の嘘が陽だまり黄に染める
七色の露が滲んだ虹の嘘


「雑  詠」        滝田  玲子
手の内は互いに見せぬ嫁姑       浜 松
平成の世に算盤が正座する
奥深い趣味に頭を酷使され
神様にそっと漏らした願いごと


「悶  々」        川口   亘
生き甲斐を見つける迄の揚げ羽蝶    藤 枝
成る程と思う気持ちの先が見え
賞でる気が有ると桜が栄えて見え
大勢に押し流されて行く惨め


「赤 べ コ」        薗田  獏沓
赤べコの首ゆらゆらと返事する     川根本町
赤べコと一緒に祈る新年会
残業も駆けつけべコの首を押す
行きつけの店の赤べコ人を好く


「自 由 吟」        内山  敏子
高熱へ右往左往の解熱剤        浜 松
どん底を知らぬ二十歳の晴れ姿
先輩へ若いジョークが通じない
壁の耳秘密を風に乗せたがり


「自 由 吟」        ふくだ 万年
落ちこぼれ拾う心は母心        大 阪
僕の子さ頭悪くて当たり前
妻の愚痴俺が聞かずに誰が聞く
年一度携帯電話が脱皮する


「雑  詠」        山本 野次馬
この坂はきっと息子も登る坂      函 南
点線の隙間に貰う月明かり
色褪せて記念日初老の日向ボコ
年金前日話が盛り上げる


「五時から男」       濱山  哲也
会社では積極的になにもせず      つがる
何も無い残る金目は選挙権
はしご酒この頃細い縄梯子
課長にゴマ擂り部長に豆を擂る


「インフルエンザ警報」   毛利  由美
スキー学習のバスで流感蔓延す     つくば
担任の先生もインフルエンザ
ワクチンの当たる確率はいかほど
この冬は素顔にマスクが定番


「自 由 吟」        川村 美智代
給付金貰うな貰えどっちなの      静 岡
それなりに皆年とりて喪服菊
いい男うちの旦那はほど遠い
二〇〇九牛に引かれて何処へ行く


「自 由 吟」        提坂 まさえ
今さらでも愛していると言ってくれ   静 岡
ダイエット腹の虫には知らせない
悪役を一度やりたい加藤剛
忘れても困りはしない過去ばかり


「自 由 吟」        石上  俊枝
踏み出せぬ一歩に過去がしがみつき  静 岡
我慢した心に鞠を仕舞い込む
許す気がサンマの骨をスッと抜く
熟女たちランチと肥満盛り上がる


「変  身」        萩原 まさ子
整形で変身 財布まで痩せた       静 岡
三高でパスタも美味いいい男
いい男出てこの国を救ってよ
嬉しいなラマダンの夜が明けていく


「希  望」        瀧    進
窓際に余生の夢が花開く    島 田
リタイアへ見果てぬ夢を消去する
サンドバック打たれ叩かれ強い奴
転職を決めた内助のアダプター


「雑  詠」        飯塚 すみと
妻旅行雑用多く日は暮れる   静 岡
負け試合相手の方が上だった
よそ見せず今日は流れにそう素直
フロの栓一人を忘れケンカ起き


「怒ってる」        岡村  廣司
怒ってる時はいい智恵浮かばない  焼 津
怒ってるらしい音する台所
無視されて怒っているぞ信号機
国民が怒っているぞ給付金


「祝  日」        川口 のぶ子
暖冬は暮れと言う事忘れさせ  藤 枝
やきいもがなぜか恋しくなる季節
祝日を一つふやして曾孫の日
餅を背にしりもちついて笑う孫


「金  婚」        中矢  長仁
紅い糸確かめながら半世紀   松 山
金婚にシェフから技のプレゼント
お爺さん年金減るで生きとって
金婚の次はダイヤの夢を呼ぶ


「自 由 吟」        恩田 たかし
百年に一度の○○使いすぎ      静 岡
土地投資株に投資でまたバブル?
不景気も誕生日にはケーキ出る
国のドン マンガ読めるが先読めず


「自  由」        酒井  可福
立ちションもできぬカメラがにらんでる 北九州
肩書きに踊らされてたサラリーマン
アク取りが下手でスープの味濁る
腕時計腹時計にも負けている


「判  子」        芹沢 穂々美
シャチハタで愛の深さは計れない   沼 津
銀行印秘密にしてる預金高
認め印認めた愛のくされ縁
百均の判子にだって見栄がある


「人  生」        畔柳  晴康
浮き沈み寄せては返す我が人生    浜 松
今日は無事明日の苦難はいまだ未知
自信ない自惚れだけで生きている
この我慢この気の弱さだれぞ知る


「雑  詠」        成島  静枝
大根をスパッと切らすシャープナー 千 葉
エアコンの温度はエコと妻が決め
寝転んで手抜きの掃除目のあたり
留守電が苦手で今日も足りぬ用


「  風  」        西垣  博司
ひらがなの人生にして流す風  静 岡
イからンを縒って解して古希の風
川原石風の説法行脚聞く
日めくりを破って今日の風を断ち


「足  元」        加茂  和枝
今日の幸願って赤い陽が登る  岩 沼
足元はしっかり夢を担ぎます
ひと言が多い雲に矢が刺さる
楽しんで楽しく生きようこの時を


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事  島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「麻生首相」        尾崎  好子
麻生なら民主に勝てるそう思い  藤 枝
お育ちは良いし射撃は五輪に出
ユーモアもお持ちだけれど的を得ず
愛敬は有るが時勢にそぐわない


「やさしい方」       永田 のぶ男
手を貸した思いやりから深情け  静 岡
薄化粧やさしい方が盾となる
愛し方一緒に歩む下駄揃え
チューリップ後でいい事ありそうな


「  冬  」        増田  信一
木枯らしが不景気になり寒さ倍     焼 津
温暖化冬の厳しさ削いでゆく
雪化粧良いも悪いも消してゆく
メタボ腹腹巻よりも暖かい


「新  年」        孝井   栞
包丁を研ぐのもシェフの技の内 富 山
痛い足リハビリと主婦兼ねる母
国産品生産地まで書きません
鍼の先探る私の配管図


「アラウンド」       高橋  繭子
「アラサー」で大人の準備はじめます 大河原
「アラフォー」に不惑の思惑てんこもり
ハッと手をついてしまったアラウンド
「アラ還」の大器晩成自由人


「自称、普通のサラリーマン」今井 卓まる
タバコ吸い商談囲う悪い癖    浜 松
餅の絵の友情描き探る腹
連れションを蒸せんだ仲も明日は敵
本物になりたくなって馬鹿になる


「鬼の目にも・・・」    小野  修市
派遣切り鬼も泣き出すせちがらさ    静 岡
置き去りにされた心が泣いている
不景気で鬼も金棒質におく
辛いけどいいこと思い笑います


「ああ・・・」       長澤 アキラ
年輪の二つ三つが歪んでる       静 岡
尊厳はいらぬあなたは派遣です
ロボットという哀しみを抱いている
モノクロの世界に遠くわらべうた


「一  列」        多田  幹江
ブロイラー横一線に餌をつつく    静 岡
ドミノ倒しの先端に居る自爆
干し大根のラインダンスは風任せ
傲慢な飛ぶ鳥あとを蹴散らかし


「生 き る」        石田  竹水
秒読みになった命が燃え上がる    静 岡
余生いま好奇心から夢貰う
病院の擂餌を食べて生き返る
放たれた矢へ向き合ってみるも策


「自 由 吟」        真理  猫子
旅に出るバイリンガルな足音で     岡 崎
傘をさすとホップステップしたくなる
不況ゆえ愛の言葉もリサイクル
恋人といてもひとりになれる海


「チャンス」        中野 三根子
良い事が私にすべて押し寄せる    静 岡
あの席がこの次あくと待っている
おとなりが出掛けた留守に掃除する
今日こそは彼のとなりをゲットする


「雑  詠」        林  二三子
小さな胸はずませ走る寒稽古  芝 川
春に向け花粉対策から始め
食生活整えアンチエイジング
ご祈祷が効いたと思う嬉しい日


「自 由 吟」        川村   洋未
造花でも言いたい事があるのです 静 岡
先送りのばしのばして忘れてく
真夜中におばけと二人テレビ観る
つっかい棒はずしていたが立っている


「ちょっと淋しい日 Part1」谷口 さとみ
ソラシドが出ない私のハーモニカ    伊 豆
だるまさん試しに押した寝たまんま
弁当をチンするたびに風邪をひく
他人より夫が遠い人に見え


「亡母まで」        池田  茂瑠
千切り絵に挑む小さな器です     静 岡
赤い糸女の白い手に絡む
シャボン玉飛ばす亡母に届くまで
この愛に虫の保護色欲しかった


「時 事 吟」        川路  泰山
用済みの働き蜂は踏み潰す   島 田
無精卵売って少子化対策だ
避難用ボトルの中に蛆が湧く
黄泉の水でゆっくり粥を炊け


「痛  み」        中田   尚
春なのにハートに小骨つきささる 浜 松
迷惑な痛みと共に生きている
生きている痛みしっかり感じつつ
タミフルの効かない風邪が暴れてる


「女 風 呂」        佐野 由利子
くだらない話し果てない女風呂   静 岡
おだやかな語尾ゆったりと御歌会
輪の中の真ん中にいる薔薇の花
寂しくはないか頑固を通し過ぎ


「明 日 へ」        高瀬   輝男
牛歩でもいいさ明日への第一歩    焼 津
あの事は笑い話にしておこう
うちの子ってなんだペットの事なのか
人間の顔を捨てたら気楽かな


「給 付 金」        望月   弘
救急の車輌で届く給付金        静 岡
税金でたらたら給付されている
牛の背で急かされている給付金
給付金貰えるほどの稼ぎあり


「春うらら」        加藤   鰹
生き血でも吸っていそうな由美かおる 静 岡
印籠は目に入らぬよ 痛いじゃん
禁煙の貼り紙鼻で笑われて
申し訳ないけどヒマじゃないんです


「無  粋」        柳沢 平四朗
拾ったり捨てたり余生人になる   静 岡
真四角な貌で無粋も飛びっきり
切り口は暈して父の処世術
もう一つ虫を殺して空気読む
虎竹抄 | Link |
(2009/03/26(Wed) 12:52:43)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「地デジ反対」       濱山  哲也
泣くほどに徳光ギャラがアップする   つがる
モナモナとするな仕事をホされるぞ
若いまま健作歳をとっている
細木数子ちょっと小枝が多過ぎる


「自 由 吟」        今道  偲映
初夢が未だに覚めぬ寝正月        大 阪
逆風の時代をつなぐ凧の糸
ひび割れた餅でも丸く膨らんだ
カタカナが似合うハケンもケータイ


「雑  詠」        石井   昇
陰干しのままでいいのと母の愛     蓮 田
夢追ったああ蛍雪のリンゴ箱
可能性求めて海に出た金魚
欲得と離れた独楽でよく廻る


「自 由 吟」        内山  敏子
肩書きの取れた名刺がかぜを引く    浜 松
割り込んだ椅子に冷たい目が刺さる
平和ですこんな素敵な初日の出
献立のタネは立ち読みから仕入れ


「不 思 議」        岡村  廣司
飲み屋にも駐車するとこ有るなんて   焼 津
外国の基地が日本に有る不思議
持ち主が無いのに鯨なぜ捕れぬ
神の名の基にいくさをする不思議


「なあ酒よ」        松橋  帆波
マルクスはまだ生きているハイボール  東 京
その先を言ったか下戸に問い質す
千鳥足二人アカペラしてござる
過去形が多すぎないか なあ酒よ


「雑  詠」        西垣  博司
血液がさらさらすぎてコクがない    静 岡
核家族核分裂の離婚沙汰
歳月の鉋が削る曲線美
唇に火種のようなルージュひく


「雑  詠」        山本 野次馬
リセットなどない人生をまっしぐら   函 南
指輪置く勇気が持てず米を研ぐ
ぎくしゃくな空気吸ってる金魚鉢
ニニロッソ聞けば夕日が鳴り止まぬ


「セレナーデ」       真田  義子
も一人の私をうつす水たまり       仙 台
せせらぎの音が奏でるセレナーデ
旅に出て少し大きなあくびする
幸せを夢見て赤いバラを買う


「自 由 吟」        ふくだ 万年
天国の妻の目掠め旅ひとり       大 阪
恋せよと喜寿の男に賀状書く
富士の山我が家の庭に胡坐かく
見え見えがこぼれ落ちてる酒場の娘


「新  春」        毛利  由美
初詣 筑波山から富士拝む        つくば
結局は夫婦で片付けるお節
切るに切れない賀状だけのご縁
寒中見舞い喪中の友を温める


「元  気」        小林 ふく子
庭の隅 冬の命が燃えている       袋 井
北風と遊ぶ洗濯物の端
恋の冬カイロで元気つけてます
転んでもタダでは起きぬ姫だるま


「  傘  」        芹沢 穂々美
気が合うね相合い傘の下心       沼 津
傘の骨武骨だけれど意地っ張り
蛇の目傘悩んだ恋の言い逃れ
ジャンプ傘抱かれていたい人が去る


「  星  」        安田  豊子
満点の星を数えて遠い日よ       浜 松
行く末を問えばまたたく冬銀河
煩悩を捨てると透けてくる微罪
私は山羊座じっくり放つ終の里


「冷 た い」        鈴木 千代見
バラのトゲ美人が薄ら笑いする     浜 松
冷たい言葉一人前になれという
冬の月 心が凍りつきそうだ
霜柱大地をそっと持ち上げる


「  顔  」        薗田  獏沓
片腕と言われ二番手顔を出す      川根本町
温か味無いね整い過ぎた顔
丸い鼻如何にもお人好に見え
時々は自分を癒す無駄遣い


「枯れすすき」       金田 政次郎
チクタック未だ正確な針で生き     静 岡
整頓が滞り無い寒い部屋
ラムネ玉すぽっと遠い音で鳴り
泣けて来る俺は河原の枯れすすき


「カレンダー」       大塚  徳子
カレンダー丸めて覗く未来像      仙 台
オレオレのカモが巣鴨に寄ってくる
カマキリの鎌に掛からぬ黙秘権
日捲りに春の出会いを予約する


「自 由 吟」        竹内  さき
シナリオにない冬の靴脱ぎ捨てて    浜 松
恋をして昭和に染みた影二つ
何もかも朱色の傘に納まって
出遅れて私の海で賽をふる


「パンの耳」        栃尾  奏子
再生を誓ってパンの耳を噛む      大 阪
母さんが命吹き込むパンの耳
お蔭様ですパン耳は残さない
パン耳を君とかじった頃の幸


「家  族」        鹿野  太郎
人の世の綾なす道でいい出会い     仙 台
ハンディーの足跡がある滑走路
何時までも三原色のサユリスト
階段の足跡父に打ち明ける


「自 由 吟」        藤田  武人
爺ちゃんが隠した肉を釣り上げる    大 阪
今の僕寝正月にした結果です
三が日A定食の御節のみ
正月も鍋の相手は発泡酒


「近  況」        川口   亘
氣ばかりが勝って体を置き忘れ     藤 枝
見た目だけ追えばすぐにも日を忘れ
記念日と決めた今日の日何の日か
知らないで居るのが楽と決めたい日


「初  夢」        中矢  長仁
七並べ僕が切り札持っている      松 山
富士山が見たいが募り夢に見た
半世紀紡いで来たな赤い糸
頂上はまだまだ先の雲の上


「雑  詠」        滝田  玲子
絵手紙で届いた甘い柿の色       浜 松
人並みの暮らしも暗い超不況
夢破れ帰る田舎は過疎の村
傷心を優しく癒やす露天風呂


「自 尊 心」        瀧    進
自惚れてプライドばかりよく育ち    島 田
自我我執こねくり返す自尊心
あなた好きだけど私の方が好き
プライドの未練たらたら千日手


「雑  詠」        馬渕 よし子
寒風が今夜は鍋と決めてくれ      浜 松
この歳になってもやはり鯖を読み
割り込んだお尻をぐっと押し返し
マニュアルに逆らい個性磨いてる


「好きなアニマル」     増田  久子
漁師なら高値をつける三毛のオス    焼 津
下手すぎる絵でも兔とわかる耳
留守がちの隣の犬を手懐ける
アサヒよりサッポロよりもいいキリン


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事    島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
湯島宮最初で最後の除幕式   浜 松
賀状から軍歌の友が消えちゃった
忘れない程度に拉致が持ち出され
取っといた菓子が一番まずかった


「自 由 吟」        中安 びん郎
リハビリで伸びた嬉しい試歩の距離   静 岡
リハビリに行くにはいつも杖を持ち
リハビリにとても良くない酒タバコ
リハビリに何時か大勢仲間出来

「  波  」        加茂  和枝
白波が私の元気誘い出す    岩 沼
一秒を大事に生きる波頭
茫洋と大波小波許される
穏やかな波間にしたい事がある


「新  春」        酒井  可福
門松の番兵立てる家が夢   北九州
三が日布団が僕を離さない
新春に海老省略の雑煮食う
正月を迎えて暗いニュース聞く


「アナログ」        井口   薫
アナログと鏡の隅に出ています   袋 井
デジタルへ変換のギア入らない
流れとはいえどアナログ鬱鬱と
鮮明が過ぎれば肩の凝ることも


「自 由 吟」        成島  静枝
泣き言を言えず優勝する箱根  千 葉
前向きに疲れときどき後ろ向く
風袋の所為さ体重増えている
雍容に女正月事始


「雑  詠」        飯塚 すみと
曖昧な気持でいる時鍋こがす  静 岡
アイロンもかけず気らくに行く内科
姪の家みかん頼みに山に入る
お情けで寄ってる店がアブナイゾ


「ダンスパーティー」    畔柳  晴康
パーティーだ派手と言われた服を着る  浜 松
組んだ腕スロークロック曲に乗る
タンゴ曲歳に似合わぬ元気出る
疲れても笑いたやさぬルンバ曲


「雑  詠」        川口 のぶ子
のら猫が留守の我が家の番をする 藤 枝
名を借りて猫の云うのもひと理屈
背に腹は変えられないという蛙
菜園のレタスにバッタ穴をあけ


「お 正 月」        鈴木 恵美子
丑年ヘスローライフのプラン練る    静 岡
百態の丑のっしのっしと押し寄せる
半纏に若さが跳ねている初荷
停年のない主婦の座の事始め


「箱根駅伝」        尾崎  好子
感動は胸腸にしみわたる      藤 枝
名門を背中にしょったど根性
留学生脚の長さへ牛蒡抜き
正月の二日三日と血も熱か


「自 由 吟」        山口  兄六
初恋が忘れられずに模倣品      足 利
肩組めば震えるみんな人なんだ
面接で内定僕は演技賞
似顔絵の君はやっぱり僕好み


「正月雑詠」        多田  幹江
風鎮のことりともせず年明ける  静 岡
重箱の隅まで主張するお節
年玉へ埋蔵金が狙われる
マヌカンを脱がせて買った初春の服


「過 保 護」        池田  茂瑠
指切りの構図自制の枠を出る  静 岡
過保護の過一つ花嫁吊してる
寛ぐと被った過去の泥匂う
手紙焼く煙に咽た胸の鬼


「久しぶり」        新貝 里々子
久しぶり一歩二歩引くほめ言葉  袋 井
久しぶり整体師にはあごにひげ
久しぶり老いたと思うお互いに
久しぶり牛ステーキを持て余し


「元  気」        石田  竹水
無添加の僕に誘いの調味料   静 岡
捨て石に成ろうと努力する余生
七人の敵が味方になるオセロ
も一人の僕と元気で生きて居る


「おしゃべり」       中野 三根子
自販機もカーナビさえもよく喋る 静 岡
お隣と噂ばなしに花が咲く
ケータイを忘れて今日は一人居る
兄弟の思い出話盛り上がり


「自 由 吟」        林  二三子
年一度賀状で友の安否問う      芝 川
良い事が有るようデカイ熊手買う
千両が日陰で凛と自己主張
ろう梅がひと足早い春を告げ

「自 由 吟」        藪崎 千恵子
丑年もあっという間の三ケ日  焼 津
ゆったりと大地踏みしめずっこける
だいそれた自己研鑽の旗を上げ
丁寧が好きでみんなに笑われる


「パクパク」        今井 卓まる
君の過去パクパク食べて忘れよう   浜 松
キリがない金魚パクパク求む愛
久しぶりパクパク食べた君の声
パクパクと恋を諭している金魚


「自 由 吟」        真 理 猫 子
牛年というのに時計遅れない     岡 崎
給料が社外研修中らしい
金がないけれど平穏無事な牛
にんげんもゴミも一緒に洗う海


「雑  詠」        谷口 さとみ
大みそか全部煮込んで鍋料理    伊 豆
オムレツがスクランブルで立ち往生
アリバイを九割作り会いに行く
ホイホイと洗い終えると雨が降る

「料理教室」        長澤 アキラ
食べ頃になるまで男天日干し      静 岡
もち網の上で男をきつね色
メタボ腹はらから炙り絞り取る
ぐつぐつとガラ迄煮込み出汁を取る


「鮎友釣り三昧・・・其の二十八」永田 のぶ男
水温み港にみえる淡い群れ       静 岡
逆らわず大波小波敵をよけ
白子網稚鮎引いたらバケて出る
宿命の一年魚の悲喜の旅


「  食  」        川村  洋未
ただのケチ手料理が良いと言う君   静 岡
コラーゲンたっぷりとってあでやかに
好ききらい無いというのにやせっぽち
かすみでも食えと言うのか永田町


「酢味噌和え」       佐野 由利子
フィーリングぴったり合った酢味噌和え 静 岡
五線譜に踊る真っ赤なサクランボ
あの方と心合うまでチューニング
不器用で溶けそこなった角砂糖


「妻と年の暮れ」      小野  修市
大掃除やせるチャンスと妻は言う   静 岡
肩揉ませ腰を揉ませて妻はねる
食べるだけ食べて飲んでるやせ薬
ありがたい愚痴をこぼせる妻がいて


「虎 落 笛」        川路  泰山
寒空へ問答無用派遣切り    島 田
権力の猛威で蟻を踏み潰す
ぬくぬくと冬越しをする政財官
虎落笛地球全土に吹き荒れる


「幸  せ」        増田  信一
幸せの位置が上がって出る不満 焼 津
年重ね幸せの色変えてみる
温暖化幸せ温度下げてみる
平凡が幸せなのと今わかる


「自 由 吟」        中田   尚
昭和史を生きた話に花がさき    浜 松
銃口に平和がやせていくばかり
背中にも眼のある母をだませない
ああこわいタクシー電車遊歩道


「自 由 吟」        高瀬   輝男
とは言うが本音は朱い花望む    焼 津
人間の弱さを知っている風だ
飢える国富める国あり民主主義
忠告も聞く耳持たぬかたつむり


「正月の風」        望月   弘
ふるさとの風の便りと酌んでいる    静 岡
孫の風嫁のDNAもある
ささやかにハローワークの風で生き
牛の背で議論をされる不況風


「リーマン」        加藤   鰹
プロセスはいいから結果出しなさい 静 岡
笑いたくないのに今は笑わねば
酒追加アサリが砂を吐きそうだ
肩書きが消えたらハエも蚊もシカト


「  変  」        柳沢 平四朗
帳尻はとうに相殺古だたみ     静 岡
パソコンもバベルの塔の案内図
仙人になれぬ「変」の字どう繋ぐ
老老介護浪花節だと言わせない
虎竹抄 | Link |
(2009/02/26(Wed) 12:12:18)

 

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