静岡川柳たかねバックナンバー
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 平成十九年十一月十七日(土)
  定例句会  於  松 風 寿 司

 
▽席 題 「お寿司に関する川柳」
 中田  尚・選
太巻きにギュッとつまった母の愛  居久美
なつかしい母の味です五目ずし   三根子
子等集う母のちらしに盛り上がる  恵美子
好きなネタ最後に残す戦中派    恵美子
お寿司屋で海苔の産地を討議され  輝 男
遠くから来て寿司ネタとなるまぐろ 輝 男
中日に献上したいたまご焼き     弘
ちらし寿司母の背中が嬉しそう   居久美
シャリネタと国内産で値は安い   のぶ男
廻る寿司そのうち出そうハンバーグ 五 貫
もう逢えぬワサビ多目の別れ寿司  五 貫
カウンター座っていてもカッパ巻き 三根子
回る寿司自分の位置を確かめる   アキラ
亭主留守妻は上寿司出前する     鰹
職人の腕がシラスをまとめ上げ   輝 男
   人  位
秋祭り母の自慢のちらし寿司    由利子
   地  位
ちらしずし里の味覚も混ぜました  茂 瑠
   天  位
かやく寿司喜怒哀楽がのっている  さとみ



▽宿 題「 中 」表現自由 中野三根子・選
人間の真ん中にいて向かい風     薫
中庸の徳を探して右左       可 福
波風を中国産が立てて舞う     千恵子
中の物何かと振ってみる子供    ぎ ん
売り言葉買って中味をすり替える  春 江
中弛み出口が焦るから狭い     茂 瑠
バラ園の中で女が香りだす     獏 沓
中心を外すと見える風の色     アキラ
自信家の写真はいつもまん中で   春 江
道連れの共に濡れてる傘の中    恵美子
真ん中へ父は座れぬ水入らず    平四朗
幸せの中ほどにある注意書き    五 貫
反旗織る機が味方の中にある    茂 瑠
どうやってやせよう今も思案中   居久美
家中を震撼させた白い蟻      由 美
背中でも光る母の眼騙されぬ    平四朗
風呂敷の中身で席が決められた   洋 未
笑顔でも腹の中迄わからない     亘
威張っても夫は五指の中にいる   二三子
ひたむきに生きて女の水中花    梨 絵
中国が波を立てずに待つ五輪    太 郎
饒舌がまん中にいる日向ぼこ    豊 子
中ぶらりん明日の風待つなまけ者  重 雄
五  客
上げ底の中でざわつく下心     千恵子
棺の中お世辞たっぷり聴く弔辞   廣 司
温暖化地球の中は燃えている    可 福
自己暗示中流層に○をつけ      薫
中立の位置でうっかり出る本音   まつ子
人  位
腹の中もう十分に読めている    アキラ
   地  位
真ん中にいて淋しさを抱いている   弘
   天  位
沈んでも浮かんでもいい中ぐらい  五 貫
   


▽宿 題「ひ、で始まる句」佐野由利子・選
秘密なら黙ってなんかいられない  廣 司
日溜りで聞いた話は捨ててくる   しげる
ひと芝居打つ徳利の尻を上げ    草 園
光れるかああ団塊のシンフォニー  泰 山
皮下脂肪手遅れ気味のフィットネス 静 枝
比内鶏味は旨いが贋もある     びん郎
引き受けた後は沈んだ酒になり   博 司
陽の匂い母に匂いのするふとん   恵美子
人の為世のため僕の反戦歌     可 福
久しぶり隣の窓に人の影      しげる
ひょっとことおかめの様な我夫婦  三根子
左団扇汚職まみれの風臭う     平四朗
ひょっとしてあなたが私の王子様  三根子
ひかえめな女性の笑顔がやわらかい 春 江
引き下げた目標だけどまだ高い   長 仁
暇な日がさっぱり無いぞ救急車   廣 司
暇してる同士が語る世情論     野次馬
引き返す勇気にピンチ救われる    進
昼休み少し寝ておく夜のため    長 仁
日々変る妻の小言に合わせ技    信 一
ひとり旅心にふれた人に逢う    敏 子
日向ぼこ老の背中が舟を漕ぐ    敏 子
乾上がったインド洋から来るエール 静 枝
一汗をかいて奇麗な庭になり    俊 坊
久しぶり女の長い立ち話      輝 男
人付き合い誉められ家に落着かず  千恵子
ひょろひょろと親指だけの豆知識  五 貫
ひとりっ子期待で肩が凝っている   弘
ひもじくて尻尾を振れば負けになる 梨 絵
必勝の激に鉢巻き締め直す     泰 史
ひとつまみ塩のかげんで良くもなる 洋 未
ひどすぎる友の友達アルカイダ   徳 子
干上がった河童の皿に雨蛙     玲 子
五  客
ヒステリー起こしてみたい俺だって 信 一
ひやかしのつもりまんまと買わされる玲 子
ひま人がわざわざ持ってくる火種   鰹
日焼けにも野良とハワイの格差あり さとみ
ひまですが医者の資格は持ってます  尚
人  位
一人旅サンキューだけでワシントン のぶ男
地  位
碑の裏へ百を生きると彫っておく  のぶ男
天  位
秘訣など無いさ美貌は生まれつき  竹 水


▽宿 題 「 色 」 望月  弘・選
棘を知り薔薇色にする暮らし向き  竹 水
嫁の色に染まり平和に暮らしてる  二三子
十二色ほどで描けるわが暮し     薫
色褪せた想い出古着捨てられず   晴 康
肩車しあわせ色に夕やける     政次郎
お隣りの色が残らぬ脳でよし    満 月
本当の自分の色を出せぬまま    和 枝
高原を秋一色の画布にする     梨 絵
空世辞に色よい返事などあるか   平四朗
失った色にじみ出てくる秋の酒   五 貫
いつの間に敵陣にいたカメレオン   鰹
お茶漬けを色気が欠けた顔で食い  政次郎
少し色混ぜると見えてくる世間   豊 子
暗がりで試されている白い紙    獏 沓
居士信士お寺が墓に色を付け    重 雄
児等の夢カラーボールがよく弾み   進 
バラ色の夢を託してジャンボ買う  敏 子
上辺では分からぬ妻の芯の色    野次馬
お絵描きにピカソも負ける色づかい のぶ子
青いバラ咲いてしまえばただのバラ 五 貫
役人の無色無臭が朱に染まる    のぶ男
赤い色四捨の枠から届かない    茂 瑠
顔色にいつもおびえる部下の顔    尚
色恋は堪能したか枯すすき     長 仁
まだ女両の乳房のピンク色     徳 子
色沙汰がないから翔べる水たまり  豊 子
赤札を妻が根よく値切ってる    廣 司
青空にちぎり絵を貼る山もみじ   安 心
マドンナのヌードを墨で塗り潰す  輝 男
金髪で青い目だけど日本人      鰹
無色です貴方に会ってから染まる  穂々美
腹黒の男が赤い嘘をつく      廣 司
色男気取りが鼻であしらわれ    可 福
祈る背をステンドグラス包み込む  哲 也
五  客
信号の赤へ欠伸を移される     平四朗
夫ある身です桃色薄めよう     茂 瑠
次世代へ青い地球を残したい    玲 子
父母の色で終着駅に立つ      アキラ
下手な詩も玉虫色に磨かねば    梨 絵
人  位
まあまあと玉虫色がしゃしゃり出る 幹 江
   地  位
赤銅色海の男の香を放つ      千恵子
   天  位
アメ色になった大根冬の味      尚
   軸  吟
人生へ塗ったゑのぐが乾涸びる    弘


▽宿 題 「 自 由 吟 」 互 選
H母さんが教えてくれた非常口    薫
E酸欠の町の稼ぎで子を育て    茂 瑠
E完璧の中でゆっくり酸化する   草 園
D水溜りほどの世界で僕は活き   可 福
D怒鳴っても子供の城は崩せない  野次馬
D無い知恵を絞って老後組み立てる 竹 水
C他人には喜劇に見える泣き黒子  しげる
C本当の悩み他人に話せない    由利子
C小手で勝ち負ける時にはいつも面 哲 也
Bその愛をそっくり包むのし袋   穂々美
Bふとメール孫には孫の暮しあり  春 江
Bスパイスをたっぷり効かせ妻の勝ち敏 子
Bコンサートひと時夢の中にいる  二三子
B痛み止め恋にも菊か飲んでみる  洋 未
B万国旗争いばかりして困る    千恵子
B太陽が私の命照らし出す     義 子
A風紋を消してふたりの逃避行   恵美子
Aひとり酒昔の夢に会いたくて   豊 子
A偲ぶ間もないマニュアルの通夜の膳五 貫
A全ボツの爪が静かに伸びてくる  のぶ男
A君がいるだけでハッピーバースデー 鰹
@役者だね人の目をひく駅の鳩   幹 江
@錦絵をまとい静かに山老いる   アキラ
@不思議だな二百食べても千ふえる さとみ
@さようならたかねの花にありがとう徳 子
@早口についてゆけない脳となり  廣 司
@遠蛙だから素敵なシンフォニー   進
@家庭内暴露をされたおままごと  由 美
@あちこちでバレる溜息面よごし  安 心
@老春のメニューをさがす宵の街  梨 絵
@かまきりの姿勢有事に備えてる  獏 沓
@中和剤撒きに仲人やって来る   博 司
@ごめんねでもつれた糸がやわらかく 尚
@イヤリング揺れてあなたのそばに居る
                 三根子
@絆創膏ねじれ議会の馬の足    泰 史
@政治家を叩けば金のほこり出る  玲 子
@もみじ坂茜を染めて共白髪    泰 山
@硝子戸に好きとふた文字かく聖夜 美佐緒
@穀物の一本道を裂くバイオ    太 郎




▽参加者(敬称略)堀場梨絵・曽根田しげる
 川島五貫・高瀬輝男・多田幹江・池田茂瑠
 鈴木恵美子・望月弘・中田尚・森下居久美
 林二三子・加藤鰹・長澤アキラ・永田延男
 柳沢平四朗・佐野由利子・谷口さとみ・中
 野三根子・大塚徳子・堀井草園・畔柳晴康
 金田政次郎・望月満月・内山敏子・瀧進・
 岡村廣司・高橋春江・毛利由美・御田俊坊
 中矢長仁・鹿野太郎・鈴木まつ子・井口薫
 川路泰山・成島静枝・薗田獏沓・酒井可福
 増田信一・西垣博司・安田豊子・石田竹水
 川村洋未・濱山哲也・滝田玲子・山田ぎん
 芹沢穂々美・戸田美佐緒・山本野次馬・川
 口のぶ子・伊藤泰史・加茂和枝・真田義子
 中安びん郎・薮崎千恵子・川口亘・市川重
 雄・森田安心
▽アイセル21の予約が取れなかったため堀
 場梨絵さん経営の「松風寿司」で定例句会
 を開催しました。結果、普段より多くの参
加者があり、お座敷は満員状態。選者初挑
戦の中田尚君の選句&披講も堂々としたも
のでしたよ。句会終了後は美味しいお寿司
とビールで乾杯!「今後は時々ここで句会
をやらせて頂きましょう」と意見が一致。



定例句会 | Link |
(2008/01/26(Fri) 08:17:12)

ちゃっきり し ぞ 〜 か 弁 川 柳

めっけられ子がのんばめるつまみ食い    瀧   進
おしゃんべりそこらはっちょう噂撒く    瀧   進
仲人口いらんこんだでおてんたら      瀧   進
おまっちゃあ何をぶそくっちゃあいるだ   早川  稔
とろけえてきたでアマアマするずらよ    谷口さとみ
イチンチがヒガサラ釣りにウッショーだ   谷口さとみ
ちょい待ちょう飲むならバスにしやざーえ  杉山あつし
三が日孫けえったがささほうさ       杉山あつし
がれえでやったこんだで堪しょうな     岡村 廣司
今日はまたなんてひゃっけえ日ずらあか   岡村 廣司
だばあけた事ばっか言うこんてえは     岡村 廣司
せっきだぞいらんこんなどやんめーな    畔柳 晴康
あのしゃんべーいやらしいことばっかゆう  畔柳 晴康
とっととしょうれわりゃーの話はまどろっけえ西垣 博司
ひっつけえ人だ酒ぐせよくねえな      西垣 博司
踏んづばす虫を堪忍悪気ゃーねえ      西垣 博司
これからは三味線弾いてかせぐずら     中安びん郎
 買ったけんひっぱずれたや〜ジャンボくじ  中安びん郎

▽あけましておめでとうございます。ええ正月を過ごしているだか?今年も「しぞ〜か弁川柳」ぼちぼちと続けて行くでね。ええ句ん出来たらどしどし送ってくりょうや〜
〒421‐2106 (受付随時、投句料もいらにゃあでね〜)
しぞーか市葵区牛妻2095の13  加藤 鰹あて


ちゃっきり しぞ〜か弁川柳 | Link |
(2008/01/26(Fri) 08:27:12)

自由吟 虎 竹 抄


「  道  」            鹿野  太郎
老いらくの恋にメールの花便り         仙 台
不器用にしか生きられぬ道一つ
ライバルの走りを見ると胃が痛む
犠打一つ決めておいしい酒を呑む



 「自 由 吟」            薮ア 千恵子
懐のせいだと風邪をひいている          焼 津
買物をし過ぎストレスまた溜める
カーブスでポパイになっていく熟女
夢を見るのはやめました宝くじ



「偽  装」            増田  信一
偽装なら顔と体と年までも        焼 津
偽装して嫁に出したい娘居る
偽装などとんと縁ない自営業
東大出に化けて一流もぐり込む


「計算ずく」            増田  久子
旧姓に戻れば吉になる字画           焼 津
スーパーは時に百均より安い
顔写真撮る来年のパスポート
貰う気で隣りの小菊ほめちぎり


「  嘘  」            小林 ふく子
花束にちょっぴり嘘が混じってる       藤 枝
口紅を濃く塗り嘘をまき散らす
嘘を聞く耳は半分眠らせる
今だから笑い話になった嘘


「偽  り」            馬渕 よし子
大粒の涙しっかり仕組まれる          浜 松
無理矢理に接着剤で接ぐ絆
真相を突かれ入院して安堵
目的は金です愛は餌でした


「雑  詠」             内山  敏子
バスの中雨の雫をもてあます          浜 松
フルコースよりも一杯のり茶漬
お隣も平気で値切る市場篭
食べさせる物を探した戦中派


「ふ し ん」           高橋  繭子
公園にいたら不審者にされた          大河原
会長にたてつき不審者にされた
厚着していたら不審者にされた
事件事件みんなが不審者になった


「雑  詠」             酒井  可福
大漁を誓う小舟の無鉄砲            北九州
全力を挙げて燃えきる決意だけ
我が道は理想を描きマイペース
天空の月に仏の顔を見る


「コ ー ド」             井口   薫
二次元コード老いを迷路へ誘い込む      袋 井
嗚呼ショック鏡の中のバーコード
認知症加速コードで処理をされ
Gコードしもべのように忠実に


「自 由 吟」              真田  義子
落葉踏む今年も同じ道歩く           仙 台
曲がり角思いがけない事ばかり
青春の光景よぎるメロドラマ
こだわって空の青さを気づかない


「ALWAYSわが家の夕日」     濱山  哲也
コロッケとカレーが天下獲っていた       つがる
風船をくれた富山の薬売り
金が無いのが自慢だと父だけ笑う
平成になってラムネに色が着く


 「いまどき」              毛利  由美
昔とは違う重ね着の順番             つくば
顔文字でつつがなくドタキャンをされ
健康が手段から目標になる
家庭ではまかり通っている偽装


「年 の 暮」              岡村  廣司
突然に来たわけでなし年の暮      焼 津
いろいろの鬼が出たがる年の暮
喘ぐ人ばかり見ている年の暮
女房の財布覗いた年の暮


「陽  気」              鈴木 恵美子
陰を陽に変えてしまったジンフィズ     静 岡
逢って来た余韻ハミング出るくりや
宴会を笑い上戸が盛り上げる
母の振るタクトで踊るひよこ達


「戦 中 派」              中安 びん郎
ラブレター墨で消された戦中派         静 岡
動員で英語を知らぬ戦中派
戦時中干し柿だけが甘かった
戦中派廃物利用お手のもの


 「自 由 吟」              寺脇  龍狂
原発でイルミネーション花盛り        浜 松
大安は老いの吉日入選句
コンビニで昔は値段いま日付
国防を食い物にする司令官


 「  嘘  」              瀧    進
方便の嘘がけろりと澄まし顔          島 田
やめてけれ嘘に訛りは似合わない
感嘆符つけて嘘から出た実
嘘の嘘見抜く女房の顕微鏡


 「面取り芋」              石上  俊枝
三つ指をついて不満を殻に入れ         静 岡
面取りをした芋のよう生きたいな
目立つ人どこに弱点隠すのか
面倒な事ほど先に飛んでくる


「句会初参加」             海野   満
ねじれても何も変わらぬ日本国         静 岡
いるだけであなたの笑顔華やいで
無口でも背中でわかる男粋
甘い汁ヤミに集まる黒い影


  「どっこいしょ」            石井   昇
信念を味方につけて河渡る            蓮 田
過去からの招待状が波を立て
どっこいしょおみくじは凶 花を買う
老いたるや思考の海で溺れてる


「二〇〇八年元旦」          金田 政次郎
トップ切る子歳に負けぬ朝を起き        静 岡
知友チューと友の賀状が賑わしい
初笑いクシャクシャにする百面相
こころして春の息吹を深呼吸


  「故  郷」             薗田  獏沓
くに訛りくにの銘酒でくにの唄         川根本町
廃道に昔を拾う古い橋
星空と水美しい僕のくに
凧糸と飛行機雲の幾何模様


「音  楽」              畔柳  晴康
音楽に耳傾けてよだれたれ            浜 松
幼稚園孫の音楽目を細め
音楽の切符二枚が嬉しいの
ナツメロに昔の若さ取り戻す


  「雑  詠」               滝田  玲子
清貧に生きた昭和の頑固者            浜 松
辛抱をしたか石まで丸くなる
祠から座敷わらしが顔を出す
核のゴミ残す現代人のエゴ


  「自 由 吟」             ふくだ 万年
ユニクロをヴィトン袋で持ち歩く        大 阪
肺ガンになるまで吸えない僕でした
当たるまで買い続けますジャンボ籤
熟れてても生き残れないと職安に


  「喪  中」             成島  静枝
ネズミ年喪中ハガキに描けぬ干支         千 葉
年始客用の準備も空気抜け
JPの窓口賀状へ言う喪中
神仏も英気養なう子(ね)正月


「自 由 吟」              御田  俊坊
失言で信用落す羽目となり         高 畠
失言と感じて終い悔い残る
騙される金がないからほっとする
酒に酔い車運転暴走とは


  「自 由 吟」              川口 のぶ子
あっしまった思った時には腰立たず     藤 枝
危険とは身近に起きる気のゆるみ
気にかけて呉れる人あり良い出合い
出来ないと云い出せないでいる内気


  「  疑  」             川口   亘
やがて知る自分の下手な猿芝居         藤 枝
洒落言で笑わせる手も少し萎え
知らないと云い切るまでに嘘を云い
考えを伝えることに骨が折れ


  「  友  」              加茂  和枝
あったかい言葉を残し逝った友         岩 沼
最高の笑顔でいつもありがとう
何でもない何でもないと友笑う
友のよに生きる指針が出来ました


「中  位」              安田  豊子
平均を保つ苦心のやじろべえ       浜 松
中流と思って暮らす定年後
中立の構えで生きる三世代
身の丈の暮らし静かな老い二人


  「幸  せ」              大塚  徳子
アルバムの幸せだったツーショット     仙 台
苦汁を誉めて脳味噌冴えてくる
毛糸二本結んで一目立ち上がる
抜糸して歩く幸せ噛み締める


  「  影  」              高橋  春江
影法師お前もするか俺の真似           袋 井
夕焼けが影を妬いてるペアルック
師の影を踏んで大きくなる子供
ねえあなた遺影の夫が笑ってる


  「偽  装」              鈴木 まつ子
見せかけの偽装わずかな欲を買い         島 田
浅はかな奢り指輪でつりあげる
善人と仕立て秘策を練っている
はずせない仮面でじらす恋心


「今年の私・・・・・」            中田   尚
明けまして目出たく年を一つとり      浜 松
ネジをまくでも私は私で
一病をもって今年もスネかじり
いつまでも甘えています足 ワ・タ・シ


  「持  続」              石田  竹水
好い話 続きは明日の顔で聞く           静 岡
好奇心持続している万華鏡
気遣いは無用に願う水墨画
七転びやっと六十路で起き上がる


「雑  詠」              林  二三子
悩みいっぱい希望が入る余地がない         芝 川
奉仕する笑顔相手も和ませる
豊食に鈴生りの柿放っとかれ
持ち歩く辞書にひとひら紅葉の葉


「家族旅行」              川村  洋未
風邪ひくな二度とはないぞただ旅行       静 岡
孫連れちゃセレブのふりもボロが出る
親類にないしょの旅行そっと出る
超リッチ高層ホテルお客様


「雑  吟」              堀井  草園
鬼の首取った明日の背暗い            静 岡
無いものを強請って迷う道しるべ
阿保臭いコンチキチンの馬鹿踊り
訛声の方へ流がにくらしい


  「自 由 吟」              田中 うね子
クリスマスチキンの骨でジジが死ぬ        上 尾
詰まらせる餅も買えないババ独り
新年は誰も居なくて寝正月
寝正月床擦れ出来てボケ進み


「鮎三昧・・・其の十三」       永田 のぶ男
晴天に雨は奥でも降っている          静 岡
増水に塵の流れと空見上げ
鉄砲水身一つでいいすぐ岡へ
安全は無事なればこそ世に残る


「鮎三昧・・・其の十五」       永田 のぶ男
岩陰に魚体きらめき一人締め           静 岡
竿とられ滑る河原で臑に傷
滑っても竿は死んでも離さない
百の神すべて味方にタモの中


「春 秋 T」              長澤 アキラ
なだらかな坂を拒んでする血止め         静 岡
最終回神の手形がまだ落ちぬ
負け組の夫を妻は受け止める
振り返るゆとりは有るが金が無い


  「ワ イ ン」              中野 三根子
ワインならあなたの好きな赤い色         静 岡
上機嫌 今日はピンクのロゼにする
イブの夜やっぱり雪と赤ワイン
星空に二人でグラス傾ける


「  流  」             谷口 さとみ
流し目にパワーがあったバブルの世       伊 豆
残飯がもの申してて流れない
願われて星は律儀に流れてる
うきななど流していてもプリン好き


「ヘルメット」             佐野 由利子
言い分はまだまだあると喉仏           静 岡
ホカロンは無用わたしの皮下脂肪
秋トマト何か足りない味気ない
カールした髪が嫌がるヘルメット


「  下  」             真理  猫子
財政が討議されてる袖の下           岡 崎
縁の下なんて実家へ置いてきた
小説になりそうなほど下心
イケメンの下ごしらえは醤油味


  「雑  詠」            多田  幹江
あたくしの席でしょタヌキ起きなさい     静 岡
真実を吐いてデスクを去る男
リップサービスたっぷりの売れないエステ
ワープロは乱筆ご免とは言わぬ


「氷  塊」        池田  茂瑠
二枚目の舌と半端な火を煽る        静 岡
父走る出世を知らぬ貨車のまま
溶け切れぬ氷が胸にある妬み
私を青く育てた青い月


  「寝 正 月」             川路  泰山
自我の慾だけを願うた初詣で         島 田
禁の字は遠に麻痺した寝正月
脳味噌の黴に気付かぬ温暖化
末期かも老漢一人米を研ぐ


「自 由 吟」               高瀬   輝男
文化の世財布なんかは持ちません       焼 津
ひとり酒この平凡は捨てられぬ
三叉路だ五叉路だ決にまだ迷い
策はまだある筈雨の音を聞く


「スイッチ」                望月   弘
スイッチをONシャッターは上らない    静 岡
スイッチがエレベーターで苦笑する
スイッチの自動音声どっこいしょ
平和へのスイッチ故障しています


 「秩父路へ」             加藤   鰹
妻でない人と秩父のからっ風       静 岡
着膨れてスターマインを観る師走
肉まんを半分こして冬銀河
山車が往く冬の緞帳降りて来る

   顧  問  吟 
 「  秋  」             柳沢 平四朗
人を読むお世辞の中の照返し          静 岡
走る日へ振分け荷物あえぎ出す
逃道をやっと探して偉くなる
旅プラン彩濃く秋の仕掛人
猫も噛む窮鼠で道をこじあける





虎竹抄 | Link |
(2008/01/26(Fri) 08:37:12)

 た か ね 川 柳 会  過 去 の 年 間 賞 受 賞 作 品 

   平成十一年 
昭和史に忘れたままの傘がある     真田 義子
 選者 飯尾麻佐子、石田一郎、川上富湖、柴崎昭雄、太田紀伊子、熊谷岳朗、奥田一星、平山虎竹堂 
平成十二年 
シアワセって退屈ですねお月さま    多田 幹江
 選者 復本一郎、赤松ますみ、近江あきら、いとう岬、川上大輪、西恵美子、高瀬霜石、平山虎竹堂 
平成十三年 
好きだ好きだと男を騙す発泡酒     新貝里々子
 選者 児玉ヒサト、中田たつお、遠藤みゆき、柳沢花王子、藤沢岳豊、酒井路也、斉藤由紀子、平山虎竹堂 
平成十四年 
抱きしめてやりたい真夜中のポスト   寺田 柳京
 選者 辻 晩穂、真弓明子、鈴木柳太郎、江畑哲男、松岡恵美子、長谷川冬樹、筒井祥文、平山虎竹堂 
平成十五年 
風に逢うまだたてがみのあるうちに   新貝里々子
 選者 浪越靖政、猿田寒坊、太田紀伊子、山倉洋子、成田孤舟、川上大輪、竹下勲二朗、森中惠美子
平成十六年 
穴堀りをするには少し陽が高い     川路 泰山
 選者 板垣孝志、宮村典子、門脇かずお、長谷川酔月、津田暹、雫石隆子、大木俊秀、大野風柳
平成十七年 
傷一つ時効を過ぎてから痛む      高瀬 輝男
 選者 佐藤美文、米島暁子、熊谷岳朗、菅原孝之助、小島蘭幸、浅野滋子、大橋政良、徳永政二
平成十八年 
一冊の本一本の藁になる        池田 茂瑠
 選者 佐藤岳俊、国吉司図子、川俣秀夫、久保田元紀、桜井閑山、木本朱夏、大木俊秀、新家完司



おめでとう♪ | Link |
(2008/01/26(Fri) 08:47:12)


 平成十九年度 たかね年間賞受賞作品 

   正 賞
団塊のこれから角の無い切符     柳沢平四朗

準 賞
  気が済んだように雨つぶ地に還る   小林ふく子
  しあわせな道だゆっくり歩きたい   鈴木恵美子
  考慮中なのに時計は止まらない    高瀬 輝男
  エンピツで書けばウソだと逃げられる 中田  尚
  素直っていいね風まで味方する    薮ア千恵子



 弘前川柳主幹         青森県   千島 鉄男 選
  特 選
 しあわせな道だゆっくり歩きたい    鈴木恵美子
  佳 作
 生きるとは難儀な事よつぶし餡     川路 泰山
 気が済んだように雨つぶ地に還る    小林ふく子
 素直っていいね風まで味方する     薮ア千恵子
 真四角に生きても背中丸くなる     長澤アキラ
 
▽川柳「たかね」の吐息に触れ、新たな感激を得た気持ちになりました。青森県と静岡県を結ぶ十七音字の宇宙を楽しませて戴きました。

千島 鉄男(ちしま てつお)
青森県弘前川柳社主幹
青森県川柳社副会長



 
川柳すずむし吟社主幹   秋田県   渡辺 松風 選
  特 選
 納得のゆかない傘の半開き       江川ふみ子
  佳 作
 素直っていいね風まで味方する     薮ア千恵子
 帰りたくない人もいる終電車      山本トラ夫
 考慮中なのに時計は止まらない     高瀬 輝男
 方言のシャワーをあびて生き返る    増田 信一
 
▽年鑑賞候補作品だけあって佳句が多く、選をするのに迷った。決められた数しか選べないのが済まない気がする。特選の「傘」は人の心の奥深さが感じられた。

渡辺 松風(わたなべ まつかぜ)
秋田県川柳懇話会会長
川柳すずむし吟社主幹





 川柳蒼の会主宰       神奈川県  山崎 蒼平 選
  特 選
 分け合えぬ貧富いくさの火は消えず   高瀬 輝男
  佳 作
 団塊のこれから角の無い切符      柳沢平四朗
 立っているからと何でも頼まれる    林 二三子
 字余りの人生だっていいじゃない    高橋 春江
 しあわせな道だゆっくり歩きたい    鈴木恵美子
 
▽たかねの全作品は素直で解かりやすく、それでいて人間の本音が吐かれていて良い。特選はその中で巨きく世界をも捉え、秀1から秀4までオリジナルな本音が吐かれていて良かった。

山崎 蒼平(やまざき そうへい)
川柳「蒼の会」主宰
山崎蒼平句集他著書多数
神奈川新聞選者他、柳歴五十八年



せんりゅうくらぶ翔代表   三重県  宮村 典子 選
  特 選
 団塊のこれから角の無い切符      柳沢平四朗
  佳 作
 春夏秋冬豆腐に厄日なんかない     高瀬 輝男
 立っているからと何でも頼まれる    林 二三子
 帰りたくない人もいる終電車      山本トラ夫
 字余りの人生だっていいじゃない    高橋 春江
 
▽特選句は、まさしく実感句です。昭和二十二年、所謂ベビーブーム生まれの私たち仲間は、その日から「競争」という切符を握り締めて走り続けて来ました。進学、就職、結婚という過酷な節目を越えて今年、還暦を迎えた仲間たちに、老いの切符は角のないものであって欲しいと句は私の願いに届きました。

宮村 典子(みやむら のりこ)
せんりゅうくらぶ翔代表
三重県川柳連盟理事長
全日本川柳協会常任幹事、句集「夢」



 川柳きぬうらクラブ会長  愛知県  浅利猪一郎 選
  特 選
 考慮中なのに時計は止まらない     高瀬 輝男
  佳 作
 今時の言葉を知らぬ広辞苑       毛利 由美
 上品に西瓜を食べるむつかしさ     内山 敏子
 ビニールの弱点だけが目立つ傘     加茂 和枝
 ♂と♀ただそれだけでいたい夜     山口 兄六
 
▽句の方向性というものは、指導者の指針によって定まるものだと思う。そういう意味では、たかねの目指す解りやすく基本に忠実な句を選びました。

浅利 猪一郎(あさり いいちろう)
川柳きぬうらクラブ会長
愛知県川柳作家協会委員
川柳作品集「蜃気楼」(非売品)


 
ぐるうぷ葦編集長      奈良県   板垣 孝志 選
  特 選
 ポケットに楽しい言葉入れてます    真田 義子
  佳 作
 重ね着をしよう唇寒いから       井口  薫
 団塊のこれから角の無い切符      柳沢平四朗
 エンピツで書けばウソだと逃げられる  中田  尚
 真四角に生きても背中丸くなる     長澤アキラ
 
▽朝、昼、晩そして食前食後と条件を変えて、何回もチェックを繰り返して最多チェック数で選びました。特選句の明るさが良いですね!

板垣 孝志(いたがき こうじ)
「ぐるうぷ葦」編集長
川柳マガジンクラブ奈良句会代表世話人
句集「はぐれ雲」「雲になる前」(非売品)



 川柳塔わかやま副主幹   和歌山県  川上 大輪 選
  特 選
 一球を待って三振してしまう      大塚 徳子
  佳 作
 エンピツで書けばウソだと逃げられる  中田  尚
 駆け引きを知らぬ金魚はよく太る    山本野次馬
 今だから言えるだなんて罪だねえ    川村 洋未
 思い出を転がして行く春の坂      真田 義子
 
▽きれいな言葉で飾っても、中身のない川柳は虚しい。作品が何を語り、何を訴えているのか分からない川柳もまた心に響いて来ない。たかねにはそんな川柳がないので嬉しい。しっかりとした目標を持って確実に歩んで行く会員の力強いパワーを感じました
 
川上 大輪(かわかみ だいりん)
和歌山県川柳協会副会長、川柳塔理事
川柳塔わかやま副主幹
句集「二重奏」「流れ星の詩」



川柳文学コロキュウム代表   大阪府  赤松ますみ 選
  特 選
 気が済んだように雨つぶ地に還る    小林ふく子
  佳 作
 商談に同じ訛りの人がいる       山口 兄六
 特急で現実逃避して帰る        真理 猫子
 白酒が効いて今夜の夫婦雛       川口のぶ子
 桜咲く方程式は明かせない       望月  弘
 
▽特選に頂戴した作品には、自然を見つめる作者の確かな目を感じました。自分の言葉で書かれた川柳には読者に強く訴える力があります。たくさんの佳句との出合いに感謝!

赤松 ますみ(あかまつ ますみ)
川柳文学コロキュウム代表
句集「白い曼珠沙華」「セレクション柳人1」
「Les Poissons‐双魚宮」


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(2008/01/26(Fri) 08:57:12)

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