静岡川柳たかねバックナンバー
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自 由 吟
  虎 竹 抄


「眼  鏡」        石田  竹水
絵に描いた餅にも賞味期限来る     静 岡
人を見る眼鏡を外すコップ酒
イケメンがニッコリ笑う非常口
自己主張させて静まる絵具箱


「自 由 吟」        鹿野  太郎
ポップコーンほうばっているジュリエット 仙 台
梅雨晴れを大皿に盛るお父さん
病室のベッドから湧くナトリウム
カロリーを弾き検算鬼と化す


「後  悔」        安田  豊子
うっかりと吐いた意見の風当り     浜 松
保証印押して眠れぬ夜が続く
根回しの口火切ったが回らない
CMを信じたばかり消えぬ悔い


「雨  季」        栃尾  奏子
さあ勝負今日初陣のてるぼうず     大 阪
一言が許せず二人梅雨の入り
雨の午後ページを繰っている惰性
微笑んだあなた長い雨季が終わる


「  母  」        松橋  帆波
暑いねで始まる母の電話口       東 京
上京の母へ地下鉄ややこしい
夏の夜も先には寝ない母がいる
母の背の記憶と裸電球と


「  母  」        篠原   久
飛び切りの笑顔を提げて母見舞う    四国中央
カサブランカ初夏の匂う母の部屋
鶴を折る母の哀れを見てしまう
四月一日生まれも母を恨まない


「自 由 吟」        竹内  さき
つゆの雨しきりと恋し母満ちる     浜 松
想い出を深くして恋しています
美女ありき眠れるバラのひとり言
遠き日に揺れ私にもある故郷


「六月の…」        新貝 里々子
あみだくじ恋から少しずつ離れ      袋 井
なぜだろう花子ばかりに雨が降る
さくらんぼ夢のつづきの中で熟れ
ぼやき癖つけた鉛筆尖らせる


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
出る予定ない日の雨は美しい       浜 松
名声も形はないが世襲です
極道のヒラで意味なく世を送り
付き添いの方が病人らしく見え


「最近の世相T」      金田 政次郎
親に孝どの子もプロを志す       静 岡
近道を探し探してくたびれる
近未来朧ぼろぼろ職探し
真相究明沒沒しています


「雑  詠」        石井   昇
雨上がり未練が消えて星が降り     蓮 田
心太押されて空のラッパ吹く
生きるって哀しいものさはぐれ雲
さようなら遊び疲れたゼロ番地


「健康診断」        濱山  哲也
診断に絶対来ない友がいる      つがる
バリュームを飲めば忘れる右左
日に一度ジョークを処方しています
目敏くも美女をとらえる健康だ


「  あ  」        戸田 美佐緒
棘ひとつ抱いて私は繭になる      さいたま
吐息つく私のように雨が降る
ルミノール反応だらけ傷だらけ
しきたりが無知な私を取り囲む


「出 る 杭」        岡村  廣司
叩かれる事を覚悟の強い杭       焼 津
出る杭を打つ程力つけたいな
出る杭が打たれぬ工夫思案する
愛想良く出てくる杭は打ちにくい


「今更の発見」       増田  久子
君が代は肺活量の要る歌だ       焼 津
蒔かぬ種咲きほこるのは草の花
たっぷりの時をくれてる大時計
氏神の森にカラスも鳩も住む


「自 由 吟」        酒井  可福
紫陽花の花も空梅雨艶もない      北九州
飛ぶ蛍酢っぽい水で我慢する
不景気に雨までケチる空模様
不景気の流れに僕も心太


「自 由 吟」        寺田  柳京
長生きへ二度目の不況こんにちは    静 岡
消費税の先取りをする物価高
潔く兜を脱いだ男前
ニッコリと迎えて呉れたチングルマ


「お 中 元」        小林 ふく子
人間でよかったお中元が来る       袋 井
人生の賭けをしているお中元
ゆとりある心を添えてお中元
お中元貰うリストに入れられる


「紫 陽 花」        成島  静枝
ピーポーが止まる紫陽花覗き込み    千 葉
ストレッチャーいずれ我が身か独居老
聴き上手だけどあなたは蝸牛
紫陽花が身の丈に合う七変化


「ひまわり」        提坂 まさえ
振り向いて足跡少し消しておく     静 岡
夫という他人しっかり描いてみる
ひまわりも落ち込むことがあるのです
開けてみて手遅れと知るマイハート


「初  夏」        石上  俊枝
明日こそは寝息が綴る陽を信じ     静 岡
雑草と紛争をする初夏の庭
解けない糸ポケットで重くなる
苦労して曲がったキューリ膳の上


「ほ ら ね」        川村 美智代
シルバー席ためらわないでよかったか 静 岡
給付金自動車税がお手をする
新空港立ち木を知事の涙飛ぶ
捜し物ほらねやっぱりあったじゃん


「勘 違 い」        萩原 まさ子
親切を好きと思われても困る      静 岡
マニフェスト実行される筈がない
年齢に目隠しをして赤を着る
うれしいなラマダンの夜が明けていく


「1 4 歳」        毛利  由美
14歳世の中的に問題児        つくば
iPod耳にとぼとぼ向かう塾
口数は減ってもたまにある笑顔
サッカーに始まり終わる君の春


「ルーヴル展」       井口   薫
ルーヴル展パリの空気に洗われる    袋 井
縁にルーヴルの格ずっしりと
婦像の前混んでいてほっとする
タッフの心労も見た美術展


「しぞ〜か弁川柳」     中西 びん郎
田植え終えみゃーんちゴロ寝昼寝だぜ  静 岡
暑くてもちっとぬくてーだけじゃんか
富士山へ登りてゃーけんこの腰じゃ
おまっちもこーなるだぜん年とりゃー


「  月  」        薗田  獏沓
月痩せて東の山に腰掛ける       川根本町
古城跡一本の松枝を張り
義理果し胸張る道を月照らす
急ぐけどゆっくり帰る月の道


「張  る」        芹沢 種々美
優等生ウサも晴らそう湿布薬      沼 津
桜の木咲いて終わって欠伸する
柏餅中のアンコが自己主張
ネギ坊主背比べして意地っ張り


「  雨  」        大塚  徳子
雨上がる傘を忘れる能天気       仙 台
雨上がる鱗飛び散る蝶が飛ぶ
雨上がる声高らかに山笑う
雨上がる地固まっている仲直り


「振り向く」        鈴木 恵美子
振り向けば初心の若き句が笑う   静 岡
立て直すチャンスをくれた技に誓う
原点に立って子育て練り直す
振り向けばいつも笑顔のボクがいる


「うっかり」        鈴木 千代見
うっかりと相づち打って誤解され    浜 松
うっかりと孫ない人に孫自慢
いま吸ったのは何だろうクリーナー
居眠りで美人の肩に寄りかかり


「意  外」        藤田  武人
肉じゃがが意外と美味い彼女です 大 阪
計画は見直す度に現実味
こっそりとおやつをカゴに入れるパパ
眼鏡掛け賢く見せて行く見合い


「行  楽」        川口 のぶ子
連休に流感絡み国が揺れ  藤 枝
行楽の行く手さえぎる風の神
行楽に安易な行動暗い影
缶詰にされて後悔する旅行


「雑  詠」        滝田  玲子
春風に乗ってルンルン踏むペダル   浜 松
ガラガラとはずれが踊る抽せん機
ロボットに職場追われて派遣切れ
過疎の町人情あって捨てられぬ


「インフル」        尾崎  好子
豚になり新になっての大騒ぎ  藤 枝
それだからマスク業界フル稼働
豚しゃぶやポークステーキ食べて良い
インフルにも嫌われちゃった高齢者


「椅  子」        馬渕 よし子
朽ちかけていても和める母の椅子   浜 松
椅子取りへパワー全開見せ付ける
この重み耐えてる椅子よありがとう
心地良い椅子を見つけて寿命延び


「たっぷり」        鈴木 まつ子
ふるさとの夕陽たっぷり溶く絵皿    島 田
森林浴気鋭あふれて甦る
たっぷりと情けがこもる母性愛
たっぷりと君に抱かれて生む絆


「  道  」        畔柳  晴康
遠い道地図に無い道人生道   浜 松
我が道の手本にするよこの出合い
遠回り爺は平らな道選ぶ
石段か女坂いや駕篭にする


「自 由 吟」        山本 野次馬
包帯の滲みをだれも気付かない   函 南
マティーニに恋愛運を試される
なすすべもなく見守るだけの夕日
百年に一度もう来ぬ出来事だ


「寄  道」        西垣  博司
少しだけ寄道をする切符買う    静 岡
人生に化粧心を少し副え
次の駅終点というアナウンス
単線のその先にある別れ路


「野  球」        内山  敏子
スタンドの声ピッチャーの耳を刺す 浜 松
炎天の空へ抜けてくホームラン
一点に笑う子泣く子甲子園
来年に賭け球場の土握る


「雑  詠」        飯塚 すみと
つり人が静かに向かう遊水地  静 岡
町内会班長引き受け妻まかせ
損か得百えん市に人の群れ
フロ水がやたら多いと妻小言


「薬 好 き」        中矢  長仁
毎食後寝る前も飲む欠かさずに  松 山
薬好き処方の通り欠かさない
忘れたら大変メモを付けている
拍子ぬけ医者は忘れて良いと言う


「雑  詠」        川口   亘
頼り甲斐ないと思えば愛想盡き   藤 枝
呪縛から放されて知る悩みふえ
ひと滴それでも赤くなるお酒
人前をとりつくろって云うお世辞


「自 由 吟」        山田  ぎん
長生きをして年金をもらい受け 静 岡
つばめの子大きな口で餌もらい
長生きし世話にならない気を付ける
ひこの手を取って遊ぶは老い大変


「町内会体育部長」     恩田 たかし
初めてのグランドゴルフ四苦八苦 静 岡
お弁当何がいいのか四苦八苦
川柳を考えながら四苦八苦
朝早くお昼過ぎまで四苦八苦


「メ ― ル」        中野 三根子
ケータイのメールはいつも待っている  静 岡
メールだけ心をつなぐ糸デンワ
ラブメール ハートが今日もあふれてる
ママからの届いたメール パパ元気


「幸せな旅」        真田  義子
幸せな旅です風が見えました  仙 台
うぐいすが去年と同じ声で鳴く
運命の朝がゆっくり開けてくる
バラ咲いて今日の運命決まる朝


「ロビーウーマン」     多田  幹江
時給ゼロのロビーウーマンです私 静 岡
私もこちらのネコになりました
ウーマンも沈んでしまう大広間
私を待ってたような試着室


「自 由 吟」        森下 居久美
紫陽花に元気をもらう雨が好き 掛 川
クッキーを焼こうか今日は雨予報
アルバムを静かにめくる雨が好き
この雨が上がればきっと虹が出る


「初  夏」        林  二三子
花粉過ぎ木々の緑が目にしみる    芝 川
緑のシャワー浴びて爽やかウォーキング
山肌の新緑に目が癒される
あじさいが雨を好んで咲きほこる


「身の足掻き」       永田 のぶ男
梅雨の絵を書き出す前に紅を濃く    静 岡
深呼吸空の蒼さを丸め込む
気取っても纏まりつかぬ身の足掻き
影だけになって羽田で別の便


「とりあえず」       山口  兄六
とりあえず恋は性病検査から     足 利
とりあえずお金を貯める離婚まで
とりあえず地名で呼んでいる彼女
とりあえず低反発の恋枕


「魔  性」        池田  茂瑠
濃霧から這い出て私堕ちました    静 岡
雨の日も芯の魔性が舞えと言う
姫鏡覗く炎が見えるまで
地下街のリード女が強く取る


「空  港」        増田  信一
静岡もやっと空港できました     焼 津
パスポートとってみたけど行き先が
高いとこ嫌いだけれど空は別
エアポート英語の方がロマンある


「思い出はイイことだらけ」今井 卓まる
ポケットに仕舞ったままのラブレター 浜 松
プリン食べ忘れたんだよ また会おう
飲みかけのカップ下げられ終わる恋
また会おうその時 涙 倍返し


「自 由 吟」        真 理 猫 子
金運もさらって逃げるすきま風  岡 崎
いい男だった昔が逃げていく
ゴキブリも出会い頭じゃバックする
ほんとうは私 逃げたい 私から


「雑  詠」        谷口 さとみ
包帯に私の癖を忍ばせる    伊 豆
とばっちり受けて売れないペアカップ
丈夫過ぎ割れるとホッとする食器
マヨネーズどこに入れよかさしすせそ


「百合の花」        佐野 由利子
逆境をバネに明日へ立ち上がる   静 岡
風乗せてぐるぐるメリーゴーランド
ポンと肩叩かれ見れば百合の花
疲れたと幸せそうな顔をして


「自転車に乗る」      小野  修市
道ゆずりよろけてゴミと相撲取る   静 岡
坂などと言えぬ登りでヒザ笑う
住みなれた街を走るが迷子です
おばあさんすいすい僕を抜いていく


「動  く」        長澤 アキラ
夢はどうなる飯はどうなる派遣です 静 岡
努力して尽いていればの話です
職安の蟹工船が動き出す
そして今最後の一字書き終える


「ル ー ペ」        藪崎 千恵子
長所だけみましょう嫁と持つルーペ 焼 津
身内には甘いルーペが孫を褒め
ちっぽけなこと大げさにいうルーペ
人様の粗を見るなと言うルーペ


「今  日」        川村  洋未
今日もまたあれそれこれで暮れていく 静 岡
今日からと見ればきのうも書いてある
今日だけとおやつのふたをゆるくしめ
今日くらいゆるゆる過す誕生日


「新 兵 器」        高瀬   輝男
記録破りの猛暑へギャグが通じない    焼 津
先ず軽くジャブを一発初対面
言い訳の理由に降った雨でない
天性の丸さりんごを責められぬ


「鉛筆の芯」        望月   弘
Fで書く手紙は真面目すぎないか    静 岡
Hから出る冗談が苦笑する
HBから友達の輪をつくる
4Bがふんわりと描く夏の雲


「初夏の恋」        加藤   鰹
初恋の記憶に凛とタチアオイ  静 岡
草いきれ入道雲と同化する
迎え火を見つめる愛の日がゆらり
梅雨空にまた違う人好きになる


「い び つ」        柳沢 平四朗
清濁を吊って不潔な水へ棲む    静 岡
いつまでの軈てか老いの自由形
世相なお歪善意の立ちくらみ
生きざまへ舌三寸のテクニック
虎竹抄 | Link |
(2009/07/26(Sat) 13:44:28)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「自 由 吟」      真田  義子
プライドを捨てたら楽になる背中     仙 台
何もかも洗い流して生きる幸
人生をすべてプラスに生きる幸
追伸が余り長くて書き直す


「雑  詠」      竹内  さき
連休よドライブの恋そのまんま      浜 松
群碧の中でして居る背伸びかな
も一人の私になれる海がある
遠景の夢裏切らぬ初夏の中


「  俺  」      金田 政次郎
夢うつつ二つの道に俺が居る       静 岡
生き抜いた道だ平和にしておこう
正直な影だしっぽを巻いている
押し出され戻れぬ俺は廃棄物


「  嘘  」      瀧    進
Eメール偽り多きラブゲーム       島 田
白百合の君についつい騙される
多過ぎる嘘に方便パンクする
へそくりの金が可愛い嘘をつき


「野いちご」      戸田 美佐緒
野苺のときめき甘く熟れてくる      さいたま
ノーメイクでも素敵です僕の恋
煙をあげて雑魚が焼けますウフフ
捨てられぬ霞だんだん重くなる


「雑  詠」      寺田  柳京
馬走る風に舞い立つ花吹雪        静 岡
金持ちが嫌いで金で苦労する
慾張れと猿に天与の頬袋
吊橋の真ん中で聞く金を貸せ


「自 由 吟」      大塚  徳子
春うららあなたに会える遠回り      仙 台
形見分け父の心を貰い受け
身をけずる思いで花を分けてやる
ドイツ語に臆病になる診察日


「よくばり桂林の旅」  新貝 里々子
オートバイ逞しいのはおんなたち     袋 井
少数民族はかなげなのは最初だけ
中国の赤赤赤をもて余す
激安のツアーで度胸試される


「凧 祭 り」      畔柳  晴康
凧祭り爺やも孫も熱をあげ        浜 松
凧絡む歳を忘れて糸を引く
凧終えて御殿屋台の笛を吹く
凧は舞い鯉も泳ぐよ五月風


「時刻表1000号」  毛利  由美
青春をともに旅した時刻表        つくば
気ままには旅の出来ない女の子
空想の旅も発着は大阪でした
ケータイに最寄りの駅の時刻表


「マイアミにて」    薮ア 千恵子
二度とないチャンスマイアミの地に立つ  焼 津
南国の風情椰子の木に囲まれ
プール付きセレブ気分で過ごす家
歓談に同時通訳息子して


「  青  」      川口   亘
青虫が蝶に変わって春謳歌        藤 枝
信号の青色なりの事故も有る
突然の雷雨も恐い青い顔
知らないで青春時代過ぎていた


「囲  む」      濱山  哲也
学校をぐるりコンビニ取り囲む      青 森
囲碁敵死んで碁石も喪に服す
愛人をかつて囲ったホームレス
飲みすぎてしまったらしい四面楚歌


「雑  詠」      山本 野次馬
髭剃れば空の青さに笑われる       函 南
ガチャガチャで当たったような恋をする
正直に歩むと脆い杖を持つ
筋書きのところどころにある句点


「行楽日和」      中矢  長仁
忙しくなるぞ連休孫が来る        松 山
連休にお出でおいでと行楽地
晴天が続き賑わう行楽地
隠れ宿でひっそりしたい老夫婦


「時 事 吟」      寺脇  龍狂
使った人まだ来ない人給付金       浜 松
ミサイルへ天下泰平裸んぼ
初音聞く去年と同じ日同じとこ
王(ワン)ちゃんとミスターが言う俺も言う


「時 事 吟」      松橋  帆波
消極的支持率を問うアンケート      東 京
世渡りは解釈 総理から学ぶ
ビーンボールもデッドボールもある選挙
確率はどっち 地震と北の核


「自 由 吟」      中安 びん郎
北鮮の良心見えぬ拉致事件        静 岡
株安に悶えているよ日本中
物価高苦悶している永田町
新内閣そろそろ飽きてきた頃だ


「自 由 吟」      成島  静枝
姑へランクアップの予定延び       千 葉
緑陰でトラックが寝る大欅
当番医ついでに産科産めないが
低空のカラスはグルメうちのゴミ


「気 配 り」      岡村  廣司
落ちこぼれと見られぬ様に気を配り    焼 津
気配りも過ぎると逆に疎まれる
嫁姑気配り要らぬ仲となり
気配りを要らぬ節介とは意外


「あ の 人」      西垣  博司
いいお年召していますねそのルージュ   静 岡
ありきたりみたいな恋をしてしまう
どこにでも居そうな人でそうでない
その赤い唇 罪の色に似る


「自 由 吟」      提坂 まさえ
近くだけ探してみたが青い鳥       静 岡
新人さんお裾分けして青い風
イコールにするため少し塩加え
給付金家族全部を足してみる


「自 由 吟」      川村 美智代
花さくら咲いて散らして北へ行く     静 岡
ハミングが五線譜に乗り風に舞う
青が好きつゆくさの花朝の色
薯煮鍋地味な幸せ煮込み中



「自 由 吟」      萩原 まさ子
桜だと酒が加わる日本人         静 岡
もやしっ子本気加えて太くなる
好物が笑顔を添えて待つ予感
疲れ果て夢の中へと倒れ込む


「自 由 吟」      石上  俊枝
熟年の青い炎で燃え尽きる        静 岡
青春はアーという間に通り過ぎ
一匙が我が家の味と嫁伝え
孫が増え仏壇の前輪をつなぎ


「雑  詠」      芹澤 穂々美
真顔して定期券買う新入生        沼 津
遠足の子等のリュックがほくそ笑む
いつ仕舞うコタツ布団が欠伸する
日向ぼこニートの数が増えている


「雑  詠」      滝田  玲子
球根よりひと足早い草目ざめ       浜 松
言い過ぎたひと言重くのしかかる
順番待つハローワークの寒い椅子
下駄箱の奥で泣いてるハイヒール


「ゆっくり」      安田  豊子
花の気をもらい三代ハーチーズ      浜 松
まざまざと過去蘇る藤の下
身の丈でゆっくり歩く古希の道
七転び八起きゆっくり生き延びる


「  魂  」      薗田  獏沓
魂が抜け出た様な顔で寝る        川根本町
心から祈り神様迷わせる
魂の叫び嬉しい大反響
魂を込めてコケシの目鼻入れ


「足 の 裏」      鈴木 千代見
ウォーキング魚の目連れて一万歩     浜 松
赤い靴相性よくてよくしゃべる
カサカサだ愚痴こぼしてる足の裏
うたた寝にへのへのもへじ足の裏


「ぼんぼり」      川口 のぶ子
初孫の笑いが家に春を呼び        藤 枝
ぼんぼりが手招きで呼ぶさくら堤
トンネルを抜けて其処から春を追い
思い出が何故か段々遠くなり


「エコロジー」     鈴木 まつ子
陽の目見ぬリサイクルから物の価値    島 田
コンポスト楽しむようにひとひねり
美しい地球泣いてるエコ表示
僅かでも無駄なくまわすエコロジー


「自 由 吟」      内山  敏子
置き去りの週刊誌読む鈍行で       浜 松
セールスもノルマあるからチャイム押す
お腹から笑うと逃げる弱虫毛虫
反省をすればやさしい風に逢う


「雨が好き」      小林 ふく子
傘持って一喜一憂する一歩        袋 井
夜の雨明日の予定が焦ってる
雨の午後迷った心挽いてます
雨が好きあの日と同じ雨の夜


「雑  詠」      飯塚 すみと
花冷えで着てゆく服がわからない     静 岡
好い人がタケノコ持って門の外
透きとおる幼児の脳に戻れない
京ことば静かに招く奥深さ


「答  え」      加茂  和枝
あなたとはプラスマイナス答えなし    岩 沼
たっぷりと遊んで心快晴に
一日のけじめシャワーを全開に
ひと言で霧がすぅっと晴れてゆく


「ゴールデンウィーク」 恩田 たかし
コールデンたくさん寝たがまだ寝られ   静 岡
連休は計画立てずケンカする
雨降りにドライブ行こう梅ケ島
吊橋を娘と渡りほのぼのと


「心  境」      鹿野  太郎
いい人と言われてたまにハッとする    仙 台
シルバーがキラキラ外に出てみよう
もう何もいらない爺にしておくれ
横たわるこのサバたぶん尊厳死


「朝ドラから・・・」  尾崎  好子
まず笑みを誘う双子の顔写真       藤 枝
双子ちゃんらの名前から親心
縁って私にとって宝物
だんだんと松江のしじみ汁を吸い


「レクイエム」     石井   昇
止まり木で昇華できない夢を酌む     蓮 田
掛け算をしても悲しみだけ残り
終の地へ微熱いだいたままの石
壁と戦った卵へレクイエム


「雨の午後に」     栃尾  奏子
胸を打つ碧に出会ったガガーリン     大 阪
母の手にかかりキャベツは七変化
バイブルが優しく包む至らなさ
試されるのは追い風が止んでから


「絞り出す」      石田  竹水
恥を知り僕は自信を取り戻す       静 岡
腰紐が三本有って締まらない
決断が浅はかすぎて貝に成る
わが事に成ると余力を絞り出す


「叱  る」      鈴木 恵美子
悪い事しっかり叱り抱きしめる      静 岡
母さんはとても悲しい目で叱る
亡父さんに叱って欲しいわたしです
父の一喝子はすくすくと延びる


「待 つ わ」      増田  久子
蝶になる日までを耐えている毛虫     焼 津
上達を祈る隣のバイオリン
長女二女残し三女が嫁に行く
アナログで見ます最後のその日まで


「ジャンケン」     井口   薫
下心なくてジャンケン パーの癖      袋 井
読み合って全員チョキという強気
ジャンケンで小さなドラマ仕立てられ
グーチョキパー武器のお手入れしておこう


「母 の 日」      森下 居久美
母の日の絵が思い出の一ページ      掛 川
嬉しくて使いそびれた肩たたき
もう少し元気でいてねカーネーション
嫁、娘カーネーションが揺れている


「自 由 吟」      林  二三子
はびこった草と今夏も勝負する      芝 川
植え終えた棚田爽やかな景色
立ち上がる度にヨイショが口をつく
贅沢なひと時ホッと新茶飲む


「雑  草」      酒井  可福
雑草に花も名もある意地がある      北九州
雑草の意地が小さな花咲かす
雑草の自然環境守る自負
大輪の花を夢見るかすみ草


「つららさん、元気?」 今井 卓まる
新緑の鱗なだめる凪の風         浜 松
親密度ベンチシートで計る距離
トイレットペーパーだった命綱
迷うなら愛でひとつになればいい


「電脳世界」      高橋  繭子
パソコンが真面目に画像処理をする    大河原
ノッペラボーになるはたやすきEメール
ウェブたどる足跡を消す深い森
パソコンの要領 使う人に似る


「諸行無常」      真 理 猫 子
うぐいすも婚活 春は過ぎたけど     岡 崎
蛸の足みたい動く胸騒ぎ
お祭りの終わった頃に血が騒ぐ
結婚をしてないカラスなぜ鳴くの


「祝  吟」      山口  兄六
娘さん欲しいと辛い酒注がれ       足 利
お守りを透かして見れば君がいる
安産の神のあくびが止まらない
電話代また跳ね上がる孫の声


「誕 生 日」      増田  信一
この年でうれしいような無いような    焼 津
誕生日この頃やけに早くなり
ロウソクは要らないという年になる
誕生日一緒に祝う連れは無し


「素直になる」     小野  修市
ありがとうを直ぐ言える人偉いねえ    静 岡
芽吹く春自然に添うて歩いてく
若い頃の純情今も持っている
声出して笑えばそれで万事良し


「第十八回京浜川柳大会ボツ句」中田   尚
化粧品変えてもシワに吸い込まれ        浜 松
式まではニュートン味方だったのに
ウソはだめDNAが見ています
道草をGPSが見逃さず



「雑  詠」      多田  幹江
阿波踊りもどきに燃える町おこし     静 岡
星月夜昭和はおぼろおぼろなり
涙目のおんなに弱い男伊達
ショッピングモールに君の影がない


「思 い 出」      永田 のぶ男
赤よりも白を着こなす春ほたる      静 岡
教養は学歴でない品の良さ
花冷えにおんなが居ない暖炉の火
躓いた石と別れた元少女


「錆びた鍵U」     谷口 さとみ
鳳仙花どうはじけてもヘ長調       伊 豆
ほおずきをつぶし本音が言える秋
ほっとくと月下美人は見えないよ
その鍵はとっくに変えたドアの鍵


「自 由 吟」      長澤 アキラ
スッピンになると顔出すDNA      静 岡
七転び八起きはとても痛かった
悲しみの飽食空が澄んでくる
ジャージャージャー シャーシャーシャーシャー チョボチョボチョボ


「  男  」      川村  洋未
あの男 思えば猫と同レベル       静 岡
禁煙を守る男にほれなおし
取りあった たいした男でもないが
ライバルが普通の男連れていた


「ゆったり」      中野 三根子
たまに乗る普通列車の旅が好き      静 岡
一人旅窓の景色が語り出す
公園のベンチやさしさたっぷりと
図書館の静けさの中一人居る


「届かない波」     池田  茂瑠
都合よい方へえくぼの向き変える     静 岡
火の章の続きを書けば目が乾く
届かない私を騙す程の波
月の夜は水子の戻る道を掃く


「言 い 訳」      佐野 由利子
言い訳の嘘をやすやす見破られ      静 岡
飲み込みが早い女は物静か
本当の事は言わない処世術
あの時にでは遅すぎる虐待児


「新 兵 器」      高瀬  輝男
人間のプライドが産む新兵器       焼 津
西東暗い話題が満ち溢れ
ややこしい世間は他所に金魚飼う
解決の素案デパ地下から拾う


「やさしい鉛筆」    望月   弘
新緑と書く鉛筆が柔らかい        静 岡
好きな子へ円い鉛筆よく転げ
鉛筆のやさしさ蝶が舞いあがる
シャープペン少女のこころ覗き見る


「自 由 吟」      加藤   鰹
モザイクが目立つ彼女のプロフィール   静 岡
絆創膏だらけで別れられなくて
留守電にセット潮時かも知れぬ
天秤に乗るほどの愛だったんだ


「なすりあい」     柳沢 平四朗
極楽へ予約のキップで届かない      静 岡
仲違い擦りあってる蝶番
躁と鬱 振り子のように日を刻む
世の中が斜になった人の価値
虎竹抄 | Link |
(2009/06/08(Sun) 10:48:07)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「花は散る」      新貝 里々子
若き日へリセットしたい食前酒      袋 井
おしながきサクラ吹雪も盛り込まれ
フルコース団体客がなだれ込み
マイセンのお皿が嘆く不況風


「兎 小 屋」      岡村  廣司
玄関を開けるコツ要る兎小屋       焼 津
兎小屋貧乏神が蹴躓き
裕福と書いて貼っとく兎小屋
兎小屋なんとか手足伸ばされる


「雑  詠」      西垣  博司
底力秘めた女のノーメイク        静 岡
スニーカー余生のひもをしめ直す
大不況ここで会ったが百年目
雑踏の中で一人の旅をする


「行 く 春」      井口   薫
花追って古希の幸せ全開に        袋 井
風吹くなも少し咲いていたいから
さくら散る五線譜を舞い泳ぎつつ
咲ききってそして桜は樹に還る


「お 菓 子」      濱山  哲也
駄菓子屋のくじに人生教わった      つがる
母は見た僕のケーキが逃げるのを
卒業し息子は東京のひよこ
幸せはバームクーヘンだと思う


「フランスにて」    真田  義子
エスカルゴ食べてフランス人になる    仙 台
エスカルゴどこからみてもかたつむり
モナリザの顔で過ごしたパリの午後
レストラン水も買わせるしたたかさ


「年 度 末」      毛利  由美
先生の人気が分かる離任式        つくば
たくさんの別れ見てきた年度末
エイプリルフールグッズはさすがない
クラス変え前のそぞろな春休み


「ぬくもりを感じて」  栃尾  奏子
春コートふわり私に蝶の羽       大 阪
猫足で行く一面の花畑
にっこりと君は四葉のクローバー
もう泣かぬ今日から春の絵の中に


「煙  草」      松橋  帆波
禁煙の理由を書いて売る煙草       東 京
胃カメラの日が決まってもたぶん吸う
禁煙の三日ぐらいは君子めき
喫煙者組合などをふと思う


「  春  」      藤田  武人
ホームラン狙ってみたい始球式      大 阪
ラブコール受話器を持つと標準語
雪解けを待っていたのは胸の傷
花霞まとい夢見る山の神


「雪よもい」      戸田 美佐緒
くすぐりの刑を受けてる俺の臍      さいたま
裏ごしにされた南瓜の自暴自棄
終止符が打てぬ鬼ごっこで転ぶ
パンドラの蓋を忘れた自由主義


「男 風 呂」      瀧    進
自慢気に何やら隠す男風呂        島 田
磨りガラス君ビーナスのシルエット
女風呂気になるうちはまだ元気
今日の垢流し湯上り缶ビール


「電子辞書」      成島  静枝
プッツンをして黙り込む電子辞書     千 葉
電気屋のチラシまだ来ぬ給付金
便利さに馴れて引けない紙の辞書
叩くのもスキンシップか直る辞書


「雑  詠」      馬渕 よし子
長生きは嫌だと父の背が語る       浜 松
避けたいと思う相手と乗り合わせ
先手読むコツを覚えた運の向き
一言が眠りのマグマ揺り起し


「雑  詠」      滝田  玲子
人間を見下しカラス高笑い        浜 松
言い訳は聞いてくれない娑婆の風
達筆の寸志びっくりする中味
カルテ見て老化ですべて片付ける


「無  題」      寺田  柳京
自転車で中学生を避けて行く       静 岡
若者よお國のために死ねますか
ほっとけば忽ち伸びる八重葎
ほろ酔いの俺を埋めろよ花吹雪


「菜種梅雨」      畔柳  晴康
菜花咲く誰が呼ぶのかしとしとと     浜 松
草と花待って居たのよ走り梅雨
まだ降るの花見の予定決めかねる
おしめりが有って楽する花粉症


「挿絵の女」      金田 政次郎
美しい挿絵の女に恋をする        静 岡
ページから挿絵の女の吐息訊く
浮きたてるリアルに挿絵の女が炎え
イラストに生きた挿絵の物語り


「初夏が来る」     小林 ふく子
かげろうの恋トマトはあおいまま     袋 井
君と観た桜も君もどこへやら
それからも続いて欲しい花便り
特急列車のように初夏が来る


「黒いバラ」      竹内  さき
頑張って生きて残った黒いバラ      浜 松
趣味多彩君臨の輪に影見えぬ
素顔です両手の米が忙しい
夕暮れてちーさき海で背伸びする


「自 由 吟」      鹿野  太郎
平成の三種の神器持ち無職        仙 台
お互いに墓穴を掘って出す誤報
太陽と指きりをしたアデランス
男運悪いがツバメ巣を作る


「自 由 吟」      萩原 まさ子
春ですね思いっきりの派手を着る     静 岡
振り向いてちょっと直して行きましょう
平服と言われかえって迷い出す
平静を装う波が沈むまで


「自 由 吟」      川村 美智代
思い出はまだ捨てられぬ青い服      静 岡
日が落ちる群青色が苦笑い
一生を引立てかカスミ草
こんなにも青があるのに拾えない


「自 由 吟」      提坂 まさえ
神様を振り向かせたか原ジャパン     静 岡
振り向けば団塊だらけ春うらら
ほんとうはすごく派手かもカタツムリ
振り向いて私を嗤うチューリップ


「自 由 吟」      石上  俊枝
働き蜂派手な論争かやの外        静 岡
サンバかと思う露出度目が笑う
開港を立ち木フラッシュ地権者と
好奇心旺盛わたし七変化


「育 て る」      芹澤 穂々美
良い種を蒔こう非行の芽は出ない     沼 津
逆上がり苦労話を聞いてくれ
クラシック聞いた茸がヘソを曲げ
やりすぎた肥料で育て愚痴を言う


「あら、あら」     鈴木 まつ子
質問へ野党持ち上げては落とし      島 田
懐にしのばせた恋妻にばれ
暴走車信号無視で直走り
やんちゃな児ハラハラさせるウインドー


「春の一歩」      加茂  和枝
春風に押されて未知の入口に       岩 沼
新しい足跡つけて新入生
夢だけはでっかく一歩踏みしめて
春の絵に解けてみようと肩に雨


「お星さま」      大塚  徳子
ピリピリと左右前後を見て歩く   仙 台
年金の制度が生んだ核家族
玄関のドアを開ければ身構える
雲間からウインクしてるお星さま


「明  日」      鈴木 千代見
酒の量明日の休みが味方する     浜 松
明日あると甘え心が顔を出す
手探りで明日を探す闇の中
明日がくるやっとやっとの退院日


「自 由 吟」      恩田 たかし
桜散る入園式の華やかさ         静 岡
昔なら入学卒業父はこず
沢山の夫婦で参加入園式
ここに来てラジオに送るネタ探し


「雑  詠」      寺脇  龍狂
食べて洗い一人二役オイとハイ      浜 松
独り者時々ほしい糸切歯
アメリカの孫へ単語の長電話
米ドルと孫の百点不安定


「覗  く」      安田  豊子
覗き目の好きな雀の群れる軒       浜 松
強がりは止めた淋しさ覗かれる
プライバシーこっそり覗く障子の目
苛立ちを宥めて覗く万華鏡


「いい加減」      薗田  獏沓
前借りをしてから来ないアルバイト    川根本町
結論を後回しにする夫婦劇
どうせ直ぐばれる恋仲美辞麗句
法話聞き一言二言覚えてる


「旨 い 酒」      中谷  長仁
美味いのは仲間同士で飲むお酒      浜 松
うまいのは小野の小町と飲むお酒
美味いなあ酒の肴にかつお節
何よりも大切なのは酒の味


「  鬼  」      酒井  可福
制服が仕事の鬼に仕立て上げ       北九州
鬼だって反省もする泣きもする
仏にも鬼にも父は成る役者
金棒を忘れた鬼が照れ笑い


「迷 い 道」      石井   昇
知らぬまに墓穴を掘ったナルシスト    蓮 田
名も知らぬ浜で口笛吹いている
迷い道抜けて人間らしくなり
雨のち雨苦い快感受けている


「昼 休 み」      山本 野次馬
ラーメンと引き換えにする時間給     函 南
喉もとのあたりへエコがしがみつく
ワンコインランチタイムの蟻になる
胃袋と戦争してる五分前


「疑  念」      川口   亘
試練にも堪えて初めて価値を知る     藤 枝
試さざる内の疑念はそっと捨て
他所ごとのように云われて身が火照り
四方山の話にいつか花が咲き


「  夢  」      川口 のぶ子
終日を何もしないで夢うつつ       藤 枝
投げ槍の答をいつか持て余す
春一番暫しの夢も掻き消され
抜け出して見る可きものを知る今宵


「麻生首相」      尾崎  好子
億分の千が支持率出して来る       藤 枝
柔軟さ二転三転悪怯れず
真紀子節にも怯まない強靭さ
カメラマンひょっとこ面に撮ってみせ


「雑  詠」      飯塚 すみと
ふとん干しやれど息子は感じない     静 岡
花粉まひ車の窓をあけられず
野球勝ちみんな笑顔の日本人
痩せすぎはかえって悪いと医者はいう


「自 由 吟」      内山  敏子
放送局むこう三軒花火散る        浜 松
玄関の偽装セールス追い返す
ハミングで今日の料理が出来上がり
大地から春の勇気があふれでる


「  箱  」      鈴木 恵美子
千羽鶴無心に貯めている小箱       静 岡
ダンボール子の夢運ぶ貨車となり
宝石箱母の形見がひとつだけ
おもちゃ箱母の手作りかしこまり


「花のあとさき」    増田  久子
偵察のように一枚咲くさくら       焼 津
満開も五部咲きもある花だより
禁漁区草魚をかくす花筏
道路際落花さかんを掃き寄せる


「給 付 金」      森下 居久美
給付金ヒナもパクパク口を開け      掛 川
冷蔵庫壊れています給付金
ETC付いてないから野良に居る
バラ撒きの後が恐いな消費税


「しぞ〜か弁川柳」   中安 びん郎
杖突きゃあポストぐりゃーはやーけーる  静 岡
足腰はこきたん悪りい治んにゃ〜
年寄りに生きぎゃあがある生き字引
眼鏡〜よ探す刑事みてゃ〜な目つきょして


「今更一人」      永田 のぶ男
豪快に笑うと怖いものはない       静 岡
豪快に笑って腹の虫治め
喝采も拍手もいらぬ腹の虫
一人身でしみじみと洗濯の泡


「  桜  」      真理  猫子
母の胸いつも桜が舞っている       岡 崎
足元がショパンを弾いている桜
哀しみも三分咲かせる姥桜
桜散る酒の肴を引き連れて


「八 起 き」      石田  竹水
塩少し加えた恋が愛に成る        静 岡
一手先読んで手の内さらけ出す
八起き目の運はチャンスだ掴み取る
言い過ぎの主張いさめる大笑い


「散 歩 道」      山口  兄六
行列の出来ない店で買う時間       足 利
嫁に行く娘の風呂を父は待つ
お互いに年を取ったな散歩道
仲直りしよう畳の目を超えて


「不 景 気」      増田  信一
不景気で勿体無いが見直され       焼 津
不景気で会社の空気ピリピリと
不景気も景気も家は大差ない
不景気で貧乏神が大はしゃぎ


「長  寿」      林  二三子
百歳の言葉にカドのない温み       芝 川
百歳の未だ狂わぬ鯨尺
刺し子の目少しの狂いもなく進み
お喋りや笑いで認知症逃れ


「いざさらば」     多田  幹江
マジックの種も尽きたしいざさらば    静 岡
念願の開港見えたいざさらば
アナログよ口惜しいけれどいざさらば
年金の日までぢいちゃんいざさらば


「自 由 吟」      中田   尚
ミサイルに国が地球が揺れている     浜 松
おれそうな心に初夏の風が吹く
タレントを知事にマイナス埋まるかな
木を切って知事の命を斬りました


「デスマッチ」     今井 卓まる
春眠の暁を知るデスマッチ        浜 松
デスマッチ終わる気配のデスマッチ
畳の目 数え戦うデスマッチ
タイトルに困った恋のデスマッチ


「春 の 月」      小野  修市
満月はしっぽりつつみ深情け       静 岡
三日月は涙も見せぬ薄情け
川面にゆれてる月は移り気だね
家の月毎月赤字並んでる


「ひでスタート」    川村  洋未
ひかえめといいつつ主張するピンク    静 岡
ひとりでもケーキを二つ買う重さ
火の車この頃やけにはばきかす
一人言誰か聞いてよ返事して


「さみしさ」      中野 三根子
行くあてのないさみしさに涙する     静 岡
もう少し近くに居たい今日もまた
夕暮れの空に描いた母の顔
もしもしとそっとダイヤル押してみる


「錆びた鍵T」     谷口 さとみ
ひとつでは済まぬ四葉のクローバー    伊 豆
サルビアを吸う遊びにもあるハズレ
あつすぎてひまわりのない道選ぶ
ケイタイを忘れただけで溺れてる


「たてがみ」      池田  茂瑠
振り過ぎた尾から逃げてく運だった    静 岡
この恋も切った女の糸切り歯
勢いがあるたてがみの絵を飾る
眉細く奈落の底で整える


「雑  詠」      長澤 アキラ
タライから海まで長い平泳ぎ       静 岡
余り物ですと貧乏神を出す
何にでも治癒の上手い砂時計
背負うもの無くてチョウチョをやってます


「春 4 月」      佐野 由利子
春4月それぞれの靴音響く        静 岡
初孫をそーっと抱いてほくそ笑む
ファインダー覗けば友のいい笑顔
お揃いのシューズを買おう給付金


「自 由 吟」      高瀬  輝男
従順な川を煽動する雨量         焼 津
恥などは無視人間を続けるぞ
よんどころ無く中立でいるわたし
試すため生かされているモルモット


「鉛  筆」      望月   弘
HBから生まれてるあいうえお      静 岡
4Bで父6Bで母を描く
キツネ貌Fの硬さで書いてみる
平和から色鉛筆が招かれる


「自 由 吟」      加藤   鰹
ちっぽけな器だ愚痴をよくこぼす     静 岡
大器晩成いいえあなたはパラサイト
すり寄って来るのはおとり鮎ばかり
命はらはら両手で受け止める桜


「ほ こ り」      柳沢 平四朗
駄菓子屋の甦生へ父も子になった     静 岡
目鯨を立てても老いの絵空事
自画像の裏へ埃が溜り出す
善人のルピを阿呆とする夕日
虎竹抄 | Link |
(2009/05/08(Thu) 10:45:53)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「雑  詠」     滝田  玲子
学校を休み受験の塾通い     浜 松
腰痛を小走りさせる発車ベル
厚化粧落とすと皺が浮きあがる
人生の波のり越えた皺の数


「春だから」     新貝 里々子
三月のサ行さくらの糸でんわ    袋 井
火を浴びて抱き合う恋の二月堂
フィクションの多いお話春だから
本当を言えば荷崩れ大崩れ


「  春  」     藪ア 千恵子
春うらら窓開けて待つ恋の使者  焼 津
春風に自閉の殻を脱がされる
啓蟄が春の音符に踊り出す
病んでいる地球に優し春の風


「とり残された昭和」 川口 のぶ子
駆けぬけた戦中戦後母強し    藤 枝
青春を昭和と共にかき消され
ひばり節共に戦後を駆けぬけた
今日と云う時は二度とはかえらない


「私の昭和」     林  二三子
五円持ち境内で待つ紙芝居    芝 川
映画看板見れば昭和にひき込まれ
映画館青春だったサユリスト
一台のテレビ家族で囲んでた


「雀百まで」     中谷  長仁
真っ先に目を向けているのは谷間 愛 媛
豊胸で重そうだなあ女子リレー
睨まれるおしり触っただけなのに
このたずな緩められない飛んで行く


「自 由 吟」     寺脇  龍狂
給付金で名を挙げる人下げる人  浜 松
コンビニはブランド財布の見せどころ
隣り家の梅とも知らず褒めてくれ
節くれてダイヤに向かぬ妻の指


「ha-ru」     栃尾  奏子
旅立ちの車窓見送る春霞      大 阪
師の恩に気付くのはまだ先の事
鏡よ鏡わたしは魔女になれますか
まだ少女春よ春よと憧れる


「雑  詠」      石井   昇
後ろ髪ひかれたままの橋渡る    蓮 田
握り潰された卵は孵れない
何もかも受けて立ちます回遊魚
万華鏡グローバル化で狂い咲き


「自 由 吟」      西垣  博司
ガレージに若葉ともみじ同居する 静 岡
明日にでも解雇通知が来る不安
天下り族に着せたい作業服
生活の維持に自動車追いやられ


「まつりごと」     松橋  帆波
ニッポンの二択が好きな羊達    東 京
改革の約款無いのかも知れず
老人に群がる正義 偽善など
郵政の次はJAだよきっと


「自 由 吟」       ふくだ 万年
パンドラの箱を開けたがこの世情  大 阪
死に場所を探せず死期を遠くする
晴れ舞台育てた母の皺に笑み
デパートで駅弁たべて旅気分


「国民の子供」     毛利  由美
成人式気ぐるみを着た子供たち   つくば
なま足にミニスカ 外はシャーベット
スカイツリー見届けてください未来
妊婦さんその子は国民の子供


「群青の空」      真田  義子
そうは言っても許してしまう好きだから 仙 台
六十路坂宇宙に想い吐いてみる
耐えた背に優しく風が吹いてくる
群青の空を味方につける旅


「雑  詠」       山本 野次馬
海峡に沈み呼吸を整える      函 南
母の手はいつも力みのない波長
切り札はとっくに時効過ぎていた
引き出しに仕舞い切れないとげの数

「非  婚」 戸田 美佐緒
係累が重たくなってくる非婚    さいたま
人込みに紛れてしまう縁結び
守護神に集う結婚適齢期
婚活と呼び名を変えている見合い


「自 由 吟」      寺田  柳京
その道の達人というろくでなし   静 岡
血眼に集める札の薄っぺら
老妻あわれ見えない方の目を見張る
有難く今朝の命の水を飲む


「民 間 人」      石田  竹水
コーヒーの加糖は恋に甘くない    静 岡
ジャンケンの鋏で欲の絆切る
肩書きは民間人で天下り
ちぐはぐな答えの味に輪が和む


「自 由 吟」       萩原 まさ子
オスカーが日本魂呼び覚まし     静 岡
支持率があんなにも差両首脳
悪夢みせ何食わぬ顔ガソリン屋
後悔も味わいながらケセラセラ


「時 事 吟」      川村 美智代
変えることオバマに期待世界の目  静 岡
日本国オスカー像が眩し過ぎ
漢検協「変」の字選び偏頭痛
悪評を背に給付金歩き出す


「自 由 吟」      提坂 まさえ
字面だけ変えて障がい軽くなり    静 岡
酩酊も低迷もありおらが国
強すぎる言葉ラップを巻いておく
心臓に妻の鼓動も入れてある


「『おくりびと』を観て」井口   薫
生きるとは死とはと虎落笛やまず  袋 井
納棺師の所作お手前の優美さで
土壇場で男泣くしか無いのかも
人生のいい位置で観た おくりびと


「おくりびと」     成島  静枝
行列がジャスコの二階映画館    千 葉
観客が賞に納得「おくりびと」
オスカーへお目が高いとメッセージ
生ききってパッピー死出の旅切符


「時事川柳」      石上  俊枝
スーツ合う二世議員は苦を知らず  静 岡
言葉尻揚げ足とって国迷子
閑古鳥シャッター通り巣を作る
かんぽの宿半端な売りに怒りの湯


「自 由 吟」      鹿野  太郎
失った十年に子ら優良児      仙 台
蛇口から嗚呼ワクチンが溢れ出る
家計図に手を加えたい時もある
挫折した手足が妙に太くなる


「近  々」     川口   亘
時々は息抜かないと貯るツケ   藤 枝
貧乏は馴れ染めからの間柄
来てますね返事の出ない独り言
書きあげて脱字違いに気が滅入る


「迷  い」     安田  豊子
生きる知恵辞書から貰う日日重ね 浜 松
決断へますます深くなる迷い
杓子定規で引いた線なら気も軽い
悔いのないドラマにしたく見栄を張る


「  父  」     酒井  可福
幸せな家庭は父の底力      北九州
おもちゃ屋に縁遠い父孫を抱き
裏も知る父は寡黙に酒を飲む
お化けにも鬼にもなって機嫌とる


「早 春 賦」     増田  久子
合格に中学も沸き塾も沸き    焼 津
犬ふぐり踏んではしゃいだベビー靴
てんぷらへ丁重に掘る蕗のとう
四人寄り私のほかは花粉症


「春の訪れ」     薗田  獏沓
春なのに細めんが好き貧乏性   川根本町
菜の花の脈うつ中に実習生
心地よくそよ風浴びる春帽子
鈍行が桜吹雪の中をゆく


「手 作 り」     鈴木 千代見
火を止めて薬味を採りに行く強味 浜 松
手作りのマフラー春が来てしまい
ラップして母から届く五目豆
自慢するパパの作ったお弁当


「手職人の美と楽しさ」金田 政次郎
デザインの素朴に用の面白さ  静 岡
手仕事のコレクションです竹とんぼ
陶磁器に職人名の価値を観る
自由の目権威に負けぬ美の手職


「桃の節句」     芹沢 穂々美
満月に引けをとらない紅白梅  沼 津
白酒で酔ったふりする右大臣
段飾り見栄たっぷりのすまし顔
吊し雛脇役でいる初節句


「  道  」    鈴木 まつ子
カタツムリ垣根伝いの散歩道   島 田
人の道外れた男女まだ懲りず
言い訳がのらりくらりと道にそれ
まだ夢は尽きない趣味の道しるべ


「甘  い」     畔柳  晴康
失敗だまだ考えが甘かった    浜 松
お土産の饅頭甘く二度に分け
孫だけは甘い茶菓子を持つ両手
甘い水ひと滴だが溺れゆく


「春が来た」     小林 ふく子
春はまだ川の向こうで咲いている 袋 井
春がすみ鬼がうたた寝してるよな
思い出に少し泣きたいおぼろ月
桜咲き草書のような顔で散る


「賞味期限」    岡村  廣司
我が家では賞味期限を鼻で決め  焼 津
期限切れ俺が喰うのを待つ家族
美容室賞味期限を延ばすとこ
人間の賞味期限を誰決める


「徒然なるままに」 藤田  武人
一口で故郷香る贈り物      大 阪
初恋はまるで小粒なサクランボ
弁当箱主役は俺と叫ぶ梅
定年後父パソコンとにらめっこ


「風  邪」     恩田 たかし
寝込んでる私の上に子がダイブ  静 岡
熱だした私の横で添い寝する
寝込んだよ家族全員風邪ひいた
風邪治し移した風邪の後始末


「交通安全」     濱山  哲也
平成がスピード違反しています  青 森
手を挙げて間違ってると言いましょう
ゆっくりと歩けば見方増えてくる
恋という出会い頭の事故もある


「  器  」     大塚  徳子
過去は過去決意新たな花咲かす  仙 台
ナックルを投げる女のど根性
茶匙一杯の余韻で今を生きている
のんびりと大きな器焼いている


「春だもん」     竹内  さき
やっと春私は私咲いて人     浜 松
咲いて咲く窓辺のバラよ恋だもん
対あなたコーヒー熱く春の駅
幻か味噌汁匂うワンルーム


「  風  」     瀧    進
順風に乗って大凧糸が切れ    島 田
うわさ話 路地を曲がってつむじ風
変革が浮世の風に向きを変え
逆風を受けてドロップショットする


「想 い 出」  鈴木 恵美子
想い出の一行しかと抱きしめる  静 岡
想い出はたんぽぽのよう空に舞う
さみだれに花一輪が語り出す
愛の章こよなきまでに晴れわたり


「自 由 吟」   内山  敏子
新緑に昔を偲ぶ車椅子      浜 松
リハビリに憩う瞳に若葉萌え
抜歯後の涙を癒す初ツバメ
歯科治療に食の楽しみ奪われる


「春の気配」  加茂  和枝
始めての道を見つける目は踊り  岩 沼
腕まくり裾をたぐって深みなど
手を握る幼子春を大股に
もう一度良く見る春の気配など


「雑  詠」    飯塚 すみと
十階のクレーンで二階の家造る  静 岡
衝動買いあの人同じ袋さげ
少しだけ恥をかきかき道そうじ
年の差をつくづく感じる子の食事


「静岡弁川柳」 中安 びん郎
固資税が上がり畑を持てにゃあよ 静 岡
生きてさえいれば留守番ぐりゃあ出来
おまっちゃーまだ若きゃあだでヘチこくな
食いっぷりえーけんそけ〜ら汚すなよ


「W B C」   尾崎  好子
いい響き侍ジャパン原の陣    藤 枝
衿正し正座して見るWBC
イチローの凄さ見事さ堪らない
世界一孫らとしたいハイタッチ


「雑  詠」  多田  幹江
都わすれふと君の名を想い出す  静 岡
木に登るまでは大事なおサルさん
ヒト科こぞってネットの餌つつく
この先をどこへ流れる川の鯉


「固めた襟」  池田  茂瑠
私の噂を乗せたゆがむ風     静 岡
泡ばかり預る胸のポケットに
貞女への挑み固めた襟に持つ
ブラジャーのサイズも母を越えていた


「自 由 吟」     川村  洋未
帰り際にっこり笑う運の良さ   静 岡
パーティの平服という落し穴
通販の健康器具で家メタボ
特効薬忘れる事さすぐできる


「何んとなく」    永田 のぶ男
今日もまた画鋲二つに支えられ  静 岡
酢味噌あえ愛は精算出来ぬまま
雨降れば帰ってしまう風の神
顔のない人が私を呼んでいる


「自 由 吟」     中田   尚
マヨネーズしぼってみたら春の色 浜 松
人生は死ぬ時もまた金がいる
口ぐるま上手に春をのせてくる
本当にシワがきえたら信じよう


「やさしさ」     中野 三根子
雪の夜笑った父の声がする     静 岡
半天が母の手作り暖かさ
よろけたらあなたがそっと手をつなぐ
振り向けばいつも笑った母が居た


「わが秩父」     山口  兄六
駅までの道は追い風空っ風    足 利
虹ひとつもう結論が出せそうだ
幸せな老後の話 妻と猫
危険だと思うこの席譲ります


「自 由 吟」     真 理 猫 子
一階の妻と遠距離恋愛だ      岡 崎
雪は降る おでんの具にも塩胡椒
在りし日の母が歌っている土鍋
笑いたくなった 河童に会いに行く


「しっかり生きる」  小野  修市
気が多くきれいな花を追いかける 静 岡
核心をつかれて胸がおどってる
出会い系振り込め生きる隙つかれ
総選挙したら戻れる椅子がない


「拝復、いち様」   今井 卓まる
痛いことにっこり笑い妻は言う  浜 松
肩揉んでやるよと淡い下心
禁煙が太る理由と妻なだめ
愚痴る僕 赤ベコのよう笑う君


「雑  詠」     長澤 アキラ
不景気に絵馬の背広がよく笑う  静 岡
サクラ咲くサイフが軽くなって行く
石塊を拾うと投げてみたくなる
後ろから石を投げてはいけません


「ちょっとだけ淋しい日 Part2」 谷口 さとみ
ただいまを機嫌伺うように言う     伊 豆
あかぎれの時に手相をほめられた
家が建つお米の家が減ってゆく
誕生日だけどやっぱり生たまご


「  風  」     増田  信一
我が家では不景気の風慣れてます 焼 津
千の風次の話題は納棺師
吹きまくるリストラの風かいくぐり
春の風ひらりと降りた梅桜


「絵 手 紙」     佐野 由利子
絵手紙の桜吹雪に誘われる    静 岡
娘より嫁が頼りと八十路母
試着室値札見てから試着する
輪の中に空気読めない人がいる


「無為徒食」     高瀬   輝男
フクロウは百年先も視野に入れ   焼 津
奔放な雲に国境無視される
我ながら天に恥じてる無為徒食
完璧な土手が流れの自由消す


「くるま社会」    望月   弘
軽い舌乗せてリムジン突っ走る  静 岡
助手席のナビは方向音痴だな
言の葉へ放水をする消防車
天寿だなゆっくり走る霊柩車


「琥珀の刻」     加藤   鰹
艶っぽい話ゆらりとブランデー  静 岡
客席で観る心中の美しさ
君を恋う僕は琥珀の中の蟻
冗談がキツイよお別れだなんて


「  錆  」     柳沢 平四朗
妥協した喉の小骨に疼かれる   静 岡
臆病な釘で錆つく脳軟化
手枷足枷渡る余命へ屯する
子が三人明日の杖は探すまい
虎竹抄 | Link |
(2009/04/28(Mon) 12:37:25)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「黒 光 り」        大塚  徳子
幸せをお稲荷さんに詰めている     仙 台
星一つ黒光りする星条旗
お茶の間のなかなか止まぬ隙間風
話し合いケータイ持たぬことに決め


「雑  詠」        石井   昇
日本をジャパンに変えた工業化      蓮 田
チェンジだと花火を揚げる西東
吹き溜りノッペラボウの泣き笑い
ギア一つ落し人生軽くなる


「倦 怠 期」        鈴木 千代見
倦怠期という病にある微熱       浜 松
ドライフラワー心変りがしたくなる
しゃぼん玉舞い倦怠期くる予想
透明人間同じ空気を吸っている


「昭⒚2二度目赤紙」(結婚半年)寺脇  龍狂
新婚へ有無を言わせず赤紙は        浜 松
預金なしお腹に一人親二人
日の丸も千人針も中古で
征くなとも死ねとも言わず母の皺


「偶  感」        寺田  柳京
ねずみなどどうだっていい猫の恋    静 岡
一歩ずつ退くと小皺がかくれます
生きて居る罰金ですかアハハハハ
その内に誰も無税の国へ行く


「春 隣 り」        新貝 里々子
加湿器の湯気派遣切りとは遠くいる   袋 井
男とは今朝もくしゃみが止まらない
パンジーが笑うと花粉症目覚め
部屋中をバンドネオンにしてひと日


「雑  詠」        井口   薫
胸襟を開いて春を誘い込む       袋 井
いざというとき出てしまう手ぶれ癖
柊の花の可憐は贖罪か
年齢の制限ばかりジャンプ台


「ももいろ」        小林 ふく子
桃色の風に扉は開いたまま        袋 井
ひらがなの花はピンクがよく似合う
クレヨンのピンクはいつも柔らかで
好きと書く薄桃色の紙がいる


「自 由 吟」        真田  義子
目を閉じて明日の風を読んでいる    仙 台
寝つかれぬ夜は夜汽車の音がする
鉛筆を削ると見える現住所
ポケットの嘘が時々笑い出す


「雑  詠」        馬渕 よし子
近付きの印情報一つ呉れ        浜 松
乾杯のグラス微妙な音を立て
叩かれて磨いた腕も解雇され
ここに来て老老介護おまけ付き


「花も実もあるかな」    増田  久子
生涯をかけてもやっと二DK       焼 津
福袋からのパールで着るスーツ
化粧品使い続けて詐欺と知る
ジャズピアノ目指しバイエル三年目


「前 借 り」        松橋  帆波
変人を人と思っていた不覚       東 京
マニュアルにあるスマイルと消費税
大衆は正義 匿名ですけれど
前借りは選挙に来ない世代から


「文字の風景」       戸田 美佐緒
さかずきと契って夜を盗まれる    さいたま
それだから夫婦なのよと皿を拭く
茶漬け喰うズンドコ節を聞きながら
温もりを分け合っている猫じゃらし


「家  族」        鹿野  太郎
私から見ればペットは雲の上      仙 台
反骨の旋毛だ凄い疳の虫
ご破算にするしなくても年度末
官僚はセオリー通り息をする


「  時  」        安田  豊子
割り切れぬ余りに生きる種がある    浜 松
花咲かす灰が寝ていた句を起こす
日向ぼこ少女に戻る陽の匂い
さりげなく刻む時計が早すぎる


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
反芻をしながら助言腹に入れ      焼 津
父というつっかい棒に助けられ
孫の知恵借りて時代の波に乗る
今日もまたピエロになれという鏡


「  糸  」        鈴木 恵美子
毛糸玉コロコロママの顔で編む     静 岡
結ばれた糸もつれ出し愛其の後
一人身のほつれた愛の灯がともる
着たままのつくろい妻の糸切り歯


「自 由 吟」        竹内  さき
恋をして愛して月の砂漠ゆく      浜 松
淡い紅夜霧に少し嘘がある
よしよしとコーヒー担ぐポスト前
指切りの今を大事に靴を履く


「色 と 嘘」        金田 政次郎
キリストの目へ白足袋の嘘を脱ぐ    静 岡
とんぼ切る真赤な嘘が翻る
遠い日の嘘が陽だまり黄に染める
七色の露が滲んだ虹の嘘


「雑  詠」        滝田  玲子
手の内は互いに見せぬ嫁姑       浜 松
平成の世に算盤が正座する
奥深い趣味に頭を酷使され
神様にそっと漏らした願いごと


「悶  々」        川口   亘
生き甲斐を見つける迄の揚げ羽蝶    藤 枝
成る程と思う気持ちの先が見え
賞でる気が有ると桜が栄えて見え
大勢に押し流されて行く惨め


「赤 べ コ」        薗田  獏沓
赤べコの首ゆらゆらと返事する     川根本町
赤べコと一緒に祈る新年会
残業も駆けつけべコの首を押す
行きつけの店の赤べコ人を好く


「自 由 吟」        内山  敏子
高熱へ右往左往の解熱剤        浜 松
どん底を知らぬ二十歳の晴れ姿
先輩へ若いジョークが通じない
壁の耳秘密を風に乗せたがり


「自 由 吟」        ふくだ 万年
落ちこぼれ拾う心は母心        大 阪
僕の子さ頭悪くて当たり前
妻の愚痴俺が聞かずに誰が聞く
年一度携帯電話が脱皮する


「雑  詠」        山本 野次馬
この坂はきっと息子も登る坂      函 南
点線の隙間に貰う月明かり
色褪せて記念日初老の日向ボコ
年金前日話が盛り上げる


「五時から男」       濱山  哲也
会社では積極的になにもせず      つがる
何も無い残る金目は選挙権
はしご酒この頃細い縄梯子
課長にゴマ擂り部長に豆を擂る


「インフルエンザ警報」   毛利  由美
スキー学習のバスで流感蔓延す     つくば
担任の先生もインフルエンザ
ワクチンの当たる確率はいかほど
この冬は素顔にマスクが定番


「自 由 吟」        川村 美智代
給付金貰うな貰えどっちなの      静 岡
それなりに皆年とりて喪服菊
いい男うちの旦那はほど遠い
二〇〇九牛に引かれて何処へ行く


「自 由 吟」        提坂 まさえ
今さらでも愛していると言ってくれ   静 岡
ダイエット腹の虫には知らせない
悪役を一度やりたい加藤剛
忘れても困りはしない過去ばかり


「自 由 吟」        石上  俊枝
踏み出せぬ一歩に過去がしがみつき  静 岡
我慢した心に鞠を仕舞い込む
許す気がサンマの骨をスッと抜く
熟女たちランチと肥満盛り上がる


「変  身」        萩原 まさ子
整形で変身 財布まで痩せた       静 岡
三高でパスタも美味いいい男
いい男出てこの国を救ってよ
嬉しいなラマダンの夜が明けていく


「希  望」        瀧    進
窓際に余生の夢が花開く    島 田
リタイアへ見果てぬ夢を消去する
サンドバック打たれ叩かれ強い奴
転職を決めた内助のアダプター


「雑  詠」        飯塚 すみと
妻旅行雑用多く日は暮れる   静 岡
負け試合相手の方が上だった
よそ見せず今日は流れにそう素直
フロの栓一人を忘れケンカ起き


「怒ってる」        岡村  廣司
怒ってる時はいい智恵浮かばない  焼 津
怒ってるらしい音する台所
無視されて怒っているぞ信号機
国民が怒っているぞ給付金


「祝  日」        川口 のぶ子
暖冬は暮れと言う事忘れさせ  藤 枝
やきいもがなぜか恋しくなる季節
祝日を一つふやして曾孫の日
餅を背にしりもちついて笑う孫


「金  婚」        中矢  長仁
紅い糸確かめながら半世紀   松 山
金婚にシェフから技のプレゼント
お爺さん年金減るで生きとって
金婚の次はダイヤの夢を呼ぶ


「自 由 吟」        恩田 たかし
百年に一度の○○使いすぎ      静 岡
土地投資株に投資でまたバブル?
不景気も誕生日にはケーキ出る
国のドン マンガ読めるが先読めず


「自  由」        酒井  可福
立ちションもできぬカメラがにらんでる 北九州
肩書きに踊らされてたサラリーマン
アク取りが下手でスープの味濁る
腕時計腹時計にも負けている


「判  子」        芹沢 穂々美
シャチハタで愛の深さは計れない   沼 津
銀行印秘密にしてる預金高
認め印認めた愛のくされ縁
百均の判子にだって見栄がある


「人  生」        畔柳  晴康
浮き沈み寄せては返す我が人生    浜 松
今日は無事明日の苦難はいまだ未知
自信ない自惚れだけで生きている
この我慢この気の弱さだれぞ知る


「雑  詠」        成島  静枝
大根をスパッと切らすシャープナー 千 葉
エアコンの温度はエコと妻が決め
寝転んで手抜きの掃除目のあたり
留守電が苦手で今日も足りぬ用


「  風  」        西垣  博司
ひらがなの人生にして流す風  静 岡
イからンを縒って解して古希の風
川原石風の説法行脚聞く
日めくりを破って今日の風を断ち


「足  元」        加茂  和枝
今日の幸願って赤い陽が登る  岩 沼
足元はしっかり夢を担ぎます
ひと言が多い雲に矢が刺さる
楽しんで楽しく生きようこの時を


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事  島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「麻生首相」        尾崎  好子
麻生なら民主に勝てるそう思い  藤 枝
お育ちは良いし射撃は五輪に出
ユーモアもお持ちだけれど的を得ず
愛敬は有るが時勢にそぐわない


「やさしい方」       永田 のぶ男
手を貸した思いやりから深情け  静 岡
薄化粧やさしい方が盾となる
愛し方一緒に歩む下駄揃え
チューリップ後でいい事ありそうな


「  冬  」        増田  信一
木枯らしが不景気になり寒さ倍     焼 津
温暖化冬の厳しさ削いでゆく
雪化粧良いも悪いも消してゆく
メタボ腹腹巻よりも暖かい


「新  年」        孝井   栞
包丁を研ぐのもシェフの技の内 富 山
痛い足リハビリと主婦兼ねる母
国産品生産地まで書きません
鍼の先探る私の配管図


「アラウンド」       高橋  繭子
「アラサー」で大人の準備はじめます 大河原
「アラフォー」に不惑の思惑てんこもり
ハッと手をついてしまったアラウンド
「アラ還」の大器晩成自由人


「自称、普通のサラリーマン」今井 卓まる
タバコ吸い商談囲う悪い癖    浜 松
餅の絵の友情描き探る腹
連れションを蒸せんだ仲も明日は敵
本物になりたくなって馬鹿になる


「鬼の目にも・・・」    小野  修市
派遣切り鬼も泣き出すせちがらさ    静 岡
置き去りにされた心が泣いている
不景気で鬼も金棒質におく
辛いけどいいこと思い笑います


「ああ・・・」       長澤 アキラ
年輪の二つ三つが歪んでる       静 岡
尊厳はいらぬあなたは派遣です
ロボットという哀しみを抱いている
モノクロの世界に遠くわらべうた


「一  列」        多田  幹江
ブロイラー横一線に餌をつつく    静 岡
ドミノ倒しの先端に居る自爆
干し大根のラインダンスは風任せ
傲慢な飛ぶ鳥あとを蹴散らかし


「生 き る」        石田  竹水
秒読みになった命が燃え上がる    静 岡
余生いま好奇心から夢貰う
病院の擂餌を食べて生き返る
放たれた矢へ向き合ってみるも策


「自 由 吟」        真理  猫子
旅に出るバイリンガルな足音で     岡 崎
傘をさすとホップステップしたくなる
不況ゆえ愛の言葉もリサイクル
恋人といてもひとりになれる海


「チャンス」        中野 三根子
良い事が私にすべて押し寄せる    静 岡
あの席がこの次あくと待っている
おとなりが出掛けた留守に掃除する
今日こそは彼のとなりをゲットする


「雑  詠」        林  二三子
小さな胸はずませ走る寒稽古  芝 川
春に向け花粉対策から始め
食生活整えアンチエイジング
ご祈祷が効いたと思う嬉しい日


「自 由 吟」        川村   洋未
造花でも言いたい事があるのです 静 岡
先送りのばしのばして忘れてく
真夜中におばけと二人テレビ観る
つっかい棒はずしていたが立っている


「ちょっと淋しい日 Part1」谷口 さとみ
ソラシドが出ない私のハーモニカ    伊 豆
だるまさん試しに押した寝たまんま
弁当をチンするたびに風邪をひく
他人より夫が遠い人に見え


「亡母まで」        池田  茂瑠
千切り絵に挑む小さな器です     静 岡
赤い糸女の白い手に絡む
シャボン玉飛ばす亡母に届くまで
この愛に虫の保護色欲しかった


「時 事 吟」        川路  泰山
用済みの働き蜂は踏み潰す   島 田
無精卵売って少子化対策だ
避難用ボトルの中に蛆が湧く
黄泉の水でゆっくり粥を炊け


「痛  み」        中田   尚
春なのにハートに小骨つきささる 浜 松
迷惑な痛みと共に生きている
生きている痛みしっかり感じつつ
タミフルの効かない風邪が暴れてる


「女 風 呂」        佐野 由利子
くだらない話し果てない女風呂   静 岡
おだやかな語尾ゆったりと御歌会
輪の中の真ん中にいる薔薇の花
寂しくはないか頑固を通し過ぎ


「明 日 へ」        高瀬   輝男
牛歩でもいいさ明日への第一歩    焼 津
あの事は笑い話にしておこう
うちの子ってなんだペットの事なのか
人間の顔を捨てたら気楽かな


「給 付 金」        望月   弘
救急の車輌で届く給付金        静 岡
税金でたらたら給付されている
牛の背で急かされている給付金
給付金貰えるほどの稼ぎあり


「春うらら」        加藤   鰹
生き血でも吸っていそうな由美かおる 静 岡
印籠は目に入らぬよ 痛いじゃん
禁煙の貼り紙鼻で笑われて
申し訳ないけどヒマじゃないんです


「無  粋」        柳沢 平四朗
拾ったり捨てたり余生人になる   静 岡
真四角な貌で無粋も飛びっきり
切り口は暈して父の処世術
もう一つ虫を殺して空気読む
虎竹抄 | Link |
(2009/03/26(Wed) 12:52:43)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「地デジ反対」       濱山  哲也
泣くほどに徳光ギャラがアップする   つがる
モナモナとするな仕事をホされるぞ
若いまま健作歳をとっている
細木数子ちょっと小枝が多過ぎる


「自 由 吟」        今道  偲映
初夢が未だに覚めぬ寝正月        大 阪
逆風の時代をつなぐ凧の糸
ひび割れた餅でも丸く膨らんだ
カタカナが似合うハケンもケータイ


「雑  詠」        石井   昇
陰干しのままでいいのと母の愛     蓮 田
夢追ったああ蛍雪のリンゴ箱
可能性求めて海に出た金魚
欲得と離れた独楽でよく廻る


「自 由 吟」        内山  敏子
肩書きの取れた名刺がかぜを引く    浜 松
割り込んだ椅子に冷たい目が刺さる
平和ですこんな素敵な初日の出
献立のタネは立ち読みから仕入れ


「不 思 議」        岡村  廣司
飲み屋にも駐車するとこ有るなんて   焼 津
外国の基地が日本に有る不思議
持ち主が無いのに鯨なぜ捕れぬ
神の名の基にいくさをする不思議


「なあ酒よ」        松橋  帆波
マルクスはまだ生きているハイボール  東 京
その先を言ったか下戸に問い質す
千鳥足二人アカペラしてござる
過去形が多すぎないか なあ酒よ


「雑  詠」        西垣  博司
血液がさらさらすぎてコクがない    静 岡
核家族核分裂の離婚沙汰
歳月の鉋が削る曲線美
唇に火種のようなルージュひく


「雑  詠」        山本 野次馬
リセットなどない人生をまっしぐら   函 南
指輪置く勇気が持てず米を研ぐ
ぎくしゃくな空気吸ってる金魚鉢
ニニロッソ聞けば夕日が鳴り止まぬ


「セレナーデ」       真田  義子
も一人の私をうつす水たまり       仙 台
せせらぎの音が奏でるセレナーデ
旅に出て少し大きなあくびする
幸せを夢見て赤いバラを買う


「自 由 吟」        ふくだ 万年
天国の妻の目掠め旅ひとり       大 阪
恋せよと喜寿の男に賀状書く
富士の山我が家の庭に胡坐かく
見え見えがこぼれ落ちてる酒場の娘


「新  春」        毛利  由美
初詣 筑波山から富士拝む        つくば
結局は夫婦で片付けるお節
切るに切れない賀状だけのご縁
寒中見舞い喪中の友を温める


「元  気」        小林 ふく子
庭の隅 冬の命が燃えている       袋 井
北風と遊ぶ洗濯物の端
恋の冬カイロで元気つけてます
転んでもタダでは起きぬ姫だるま


「  傘  」        芹沢 穂々美
気が合うね相合い傘の下心       沼 津
傘の骨武骨だけれど意地っ張り
蛇の目傘悩んだ恋の言い逃れ
ジャンプ傘抱かれていたい人が去る


「  星  」        安田  豊子
満点の星を数えて遠い日よ       浜 松
行く末を問えばまたたく冬銀河
煩悩を捨てると透けてくる微罪
私は山羊座じっくり放つ終の里


「冷 た い」        鈴木 千代見
バラのトゲ美人が薄ら笑いする     浜 松
冷たい言葉一人前になれという
冬の月 心が凍りつきそうだ
霜柱大地をそっと持ち上げる


「  顔  」        薗田  獏沓
片腕と言われ二番手顔を出す      川根本町
温か味無いね整い過ぎた顔
丸い鼻如何にもお人好に見え
時々は自分を癒す無駄遣い


「枯れすすき」       金田 政次郎
チクタック未だ正確な針で生き     静 岡
整頓が滞り無い寒い部屋
ラムネ玉すぽっと遠い音で鳴り
泣けて来る俺は河原の枯れすすき


「カレンダー」       大塚  徳子
カレンダー丸めて覗く未来像      仙 台
オレオレのカモが巣鴨に寄ってくる
カマキリの鎌に掛からぬ黙秘権
日捲りに春の出会いを予約する


「自 由 吟」        竹内  さき
シナリオにない冬の靴脱ぎ捨てて    浜 松
恋をして昭和に染みた影二つ
何もかも朱色の傘に納まって
出遅れて私の海で賽をふる


「パンの耳」        栃尾  奏子
再生を誓ってパンの耳を噛む      大 阪
母さんが命吹き込むパンの耳
お蔭様ですパン耳は残さない
パン耳を君とかじった頃の幸


「家  族」        鹿野  太郎
人の世の綾なす道でいい出会い     仙 台
ハンディーの足跡がある滑走路
何時までも三原色のサユリスト
階段の足跡父に打ち明ける


「自 由 吟」        藤田  武人
爺ちゃんが隠した肉を釣り上げる    大 阪
今の僕寝正月にした結果です
三が日A定食の御節のみ
正月も鍋の相手は発泡酒


「近  況」        川口   亘
氣ばかりが勝って体を置き忘れ     藤 枝
見た目だけ追えばすぐにも日を忘れ
記念日と決めた今日の日何の日か
知らないで居るのが楽と決めたい日


「初  夢」        中矢  長仁
七並べ僕が切り札持っている      松 山
富士山が見たいが募り夢に見た
半世紀紡いで来たな赤い糸
頂上はまだまだ先の雲の上


「雑  詠」        滝田  玲子
絵手紙で届いた甘い柿の色       浜 松
人並みの暮らしも暗い超不況
夢破れ帰る田舎は過疎の村
傷心を優しく癒やす露天風呂


「自 尊 心」        瀧    進
自惚れてプライドばかりよく育ち    島 田
自我我執こねくり返す自尊心
あなた好きだけど私の方が好き
プライドの未練たらたら千日手


「雑  詠」        馬渕 よし子
寒風が今夜は鍋と決めてくれ      浜 松
この歳になってもやはり鯖を読み
割り込んだお尻をぐっと押し返し
マニュアルに逆らい個性磨いてる


「好きなアニマル」     増田  久子
漁師なら高値をつける三毛のオス    焼 津
下手すぎる絵でも兔とわかる耳
留守がちの隣の犬を手懐ける
アサヒよりサッポロよりもいいキリン


「新  年」        鈴木 まつ子
初詣で変わりばえせぬ願い事    島 田
暗き世に春待つ心しきりなり
クラス会着ていく服が決まらない
今年また今年のバリア華を添え


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
湯島宮最初で最後の除幕式   浜 松
賀状から軍歌の友が消えちゃった
忘れない程度に拉致が持ち出され
取っといた菓子が一番まずかった


「自 由 吟」        中安 びん郎
リハビリで伸びた嬉しい試歩の距離   静 岡
リハビリに行くにはいつも杖を持ち
リハビリにとても良くない酒タバコ
リハビリに何時か大勢仲間出来

「  波  」        加茂  和枝
白波が私の元気誘い出す    岩 沼
一秒を大事に生きる波頭
茫洋と大波小波許される
穏やかな波間にしたい事がある


「新  春」        酒井  可福
門松の番兵立てる家が夢   北九州
三が日布団が僕を離さない
新春に海老省略の雑煮食う
正月を迎えて暗いニュース聞く


「アナログ」        井口   薫
アナログと鏡の隅に出ています   袋 井
デジタルへ変換のギア入らない
流れとはいえどアナログ鬱鬱と
鮮明が過ぎれば肩の凝ることも


「自 由 吟」        成島  静枝
泣き言を言えず優勝する箱根  千 葉
前向きに疲れときどき後ろ向く
風袋の所為さ体重増えている
雍容に女正月事始


「雑  詠」        飯塚 すみと
曖昧な気持でいる時鍋こがす  静 岡
アイロンもかけず気らくに行く内科
姪の家みかん頼みに山に入る
お情けで寄ってる店がアブナイゾ


「ダンスパーティー」    畔柳  晴康
パーティーだ派手と言われた服を着る  浜 松
組んだ腕スロークロック曲に乗る
タンゴ曲歳に似合わぬ元気出る
疲れても笑いたやさぬルンバ曲


「雑  詠」        川口 のぶ子
のら猫が留守の我が家の番をする 藤 枝
名を借りて猫の云うのもひと理屈
背に腹は変えられないという蛙
菜園のレタスにバッタ穴をあけ


「お 正 月」        鈴木 恵美子
丑年ヘスローライフのプラン練る    静 岡
百態の丑のっしのっしと押し寄せる
半纏に若さが跳ねている初荷
停年のない主婦の座の事始め


「箱根駅伝」        尾崎  好子
感動は胸腸にしみわたる      藤 枝
名門を背中にしょったど根性
留学生脚の長さへ牛蒡抜き
正月の二日三日と血も熱か


「自 由 吟」        山口  兄六
初恋が忘れられずに模倣品      足 利
肩組めば震えるみんな人なんだ
面接で内定僕は演技賞
似顔絵の君はやっぱり僕好み


「正月雑詠」        多田  幹江
風鎮のことりともせず年明ける  静 岡
重箱の隅まで主張するお節
年玉へ埋蔵金が狙われる
マヌカンを脱がせて買った初春の服


「過 保 護」        池田  茂瑠
指切りの構図自制の枠を出る  静 岡
過保護の過一つ花嫁吊してる
寛ぐと被った過去の泥匂う
手紙焼く煙に咽た胸の鬼


「久しぶり」        新貝 里々子
久しぶり一歩二歩引くほめ言葉  袋 井
久しぶり整体師にはあごにひげ
久しぶり老いたと思うお互いに
久しぶり牛ステーキを持て余し


「元  気」        石田  竹水
無添加の僕に誘いの調味料   静 岡
捨て石に成ろうと努力する余生
七人の敵が味方になるオセロ
も一人の僕と元気で生きて居る


「おしゃべり」       中野 三根子
自販機もカーナビさえもよく喋る 静 岡
お隣と噂ばなしに花が咲く
ケータイを忘れて今日は一人居る
兄弟の思い出話盛り上がり


「自 由 吟」        林  二三子
年一度賀状で友の安否問う      芝 川
良い事が有るようデカイ熊手買う
千両が日陰で凛と自己主張
ろう梅がひと足早い春を告げ

「自 由 吟」        藪崎 千恵子
丑年もあっという間の三ケ日  焼 津
ゆったりと大地踏みしめずっこける
だいそれた自己研鑽の旗を上げ
丁寧が好きでみんなに笑われる


「パクパク」        今井 卓まる
君の過去パクパク食べて忘れよう   浜 松
キリがない金魚パクパク求む愛
久しぶりパクパク食べた君の声
パクパクと恋を諭している金魚


「自 由 吟」        真 理 猫 子
牛年というのに時計遅れない     岡 崎
給料が社外研修中らしい
金がないけれど平穏無事な牛
にんげんもゴミも一緒に洗う海


「雑  詠」        谷口 さとみ
大みそか全部煮込んで鍋料理    伊 豆
オムレツがスクランブルで立ち往生
アリバイを九割作り会いに行く
ホイホイと洗い終えると雨が降る

「料理教室」        長澤 アキラ
食べ頃になるまで男天日干し      静 岡
もち網の上で男をきつね色
メタボ腹はらから炙り絞り取る
ぐつぐつとガラ迄煮込み出汁を取る


「鮎友釣り三昧・・・其の二十八」永田 のぶ男
水温み港にみえる淡い群れ       静 岡
逆らわず大波小波敵をよけ
白子網稚鮎引いたらバケて出る
宿命の一年魚の悲喜の旅


「  食  」        川村  洋未
ただのケチ手料理が良いと言う君   静 岡
コラーゲンたっぷりとってあでやかに
好ききらい無いというのにやせっぽち
かすみでも食えと言うのか永田町


「酢味噌和え」       佐野 由利子
フィーリングぴったり合った酢味噌和え 静 岡
五線譜に踊る真っ赤なサクランボ
あの方と心合うまでチューニング
不器用で溶けそこなった角砂糖


「妻と年の暮れ」      小野  修市
大掃除やせるチャンスと妻は言う   静 岡
肩揉ませ腰を揉ませて妻はねる
食べるだけ食べて飲んでるやせ薬
ありがたい愚痴をこぼせる妻がいて


「虎 落 笛」        川路  泰山
寒空へ問答無用派遣切り    島 田
権力の猛威で蟻を踏み潰す
ぬくぬくと冬越しをする政財官
虎落笛地球全土に吹き荒れる


「幸  せ」        増田  信一
幸せの位置が上がって出る不満 焼 津
年重ね幸せの色変えてみる
温暖化幸せ温度下げてみる
平凡が幸せなのと今わかる


「自 由 吟」        中田   尚
昭和史を生きた話に花がさき    浜 松
銃口に平和がやせていくばかり
背中にも眼のある母をだませない
ああこわいタクシー電車遊歩道


「自 由 吟」        高瀬   輝男
とは言うが本音は朱い花望む    焼 津
人間の弱さを知っている風だ
飢える国富める国あり民主主義
忠告も聞く耳持たぬかたつむり


「正月の風」        望月   弘
ふるさとの風の便りと酌んでいる    静 岡
孫の風嫁のDNAもある
ささやかにハローワークの風で生き
牛の背で議論をされる不況風


「リーマン」        加藤   鰹
プロセスはいいから結果出しなさい 静 岡
笑いたくないのに今は笑わねば
酒追加アサリが砂を吐きそうだ
肩書きが消えたらハエも蚊もシカト


「  変  」        柳沢 平四朗
帳尻はとうに相殺古だたみ     静 岡
パソコンもバベルの塔の案内図
仙人になれぬ「変」の字どう繋ぐ
老老介護浪花節だと言わせない
虎竹抄 | Link |
(2009/02/26(Wed) 12:12:18)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「お 正 月」        谷口 さとみ
賽銭は増えずお願い事は増え      伊 豆
雑煮食べママはパートへ子は塾へ
もういいかい今日はひとりだカップ麺
明日もまた笑いたいから豆浸す


「新  年」        岡村  廣司
どの神にしようか迷う初詣で       焼 津
忘れては居なかったんだ賀状来る
おだやかな顔していよう松の内
鼻唄のゆとりを持とう今年こそ


「元旦に思う」       金田 政次郎
八度目の丑ですドーモ済みません    静 岡
元旦の採光老いを引き締める
天寿とや加齢の芯の先細り
夢多く盛って描いた初春の空


「自 由 吟」        竹内  さき
初雪よ一直線なプロポーズ       浜 松
寄り添うて短き命願をかけ
恋と米両手でこなすいい女
さらさらと私を写す水鏡


「外  圧」        鹿野  太郎
夕張のメロン北への使者にする     仙 台
忙しい顔、貌、面の伏魔殿
アマチュアをごぼう抜きする大リーグ
日の丸のスピーチ耳の掃除する


「雪 の 日」        栃尾  奏子
神代から元旦凛と来るきまり      大 阪
抱負だけ馬鹿にでっかい三が日
雪の日は雪の日なりの過ごし方
うっとりとコタツ爪先から入る


「前期高齢だから・・・」  増田  久子
駐車場もみじマークとして並ぶ     焼 津
どこで出てどこで終るか今の歌
マラソンの中継で知る町の位置
文庫本東野圭吾だけ探す


「人  間」        大塚  徳子
ゆうやけこやけいつか羽ばたく鶴を折る 仙 台
カマキリのことを想いて日が暮れる
人間が好きで人間らしくする
ゼロから人間やり直す牛の年


「家  族」        薗田  獏沓
背もたれに家族みんながなってくれ   川根本町
農耕の血はネクタイを羨やまず
嬉しい時悲しい時も抱く家族
枯野だが家族楽しく握り飯


「ぱぴぷぺぽ」       戸田 美佐緒
ぱぴぷぺぽ軽い話に油断する      さいたま
前略と書くと無沙汰が畏まる
窓際の古い机が歌い出す
雪おんな前後不覚の酒になる


「復 活 祭」        新貝 里々子
淋しくていつもポコポコ湧いている   袋 井
愛は錯覚わたしを縛る長い紐
球根に聴かせるピアノコンチェルト
焦るまいゆっくり人間として生きる


「夕 焼 け」        安田  豊子
惚れられて煩わしくて怖くなる     浜 松
大らかに笑い哀しい演技する
何回も転び得難いコツ拾う
夕焼け小焼け自分還る里のいろ


「年 寄 り」        西垣  博司
私よりそろそろワシが似合うかな    静 岡
今の世を生きてこの世の憂さを食い
風切って歩めばきっと風邪を引く
年寄りの話日向で笑い合い


「道  草」        真田  義子
あの時に光をくれた三分粥       仙 台
スパイスをかけ間違った人といる
道草をしながら恋の二つ三つ
ゆっくりと雲が流れるうれしい日


「自 由 吟」        中田 きく子
満足の度合いに揺れている私      静 岡
お茶をたてひとり静かな刻を持ち
節くれの指が過ぎし日ものがたり
指先が恋しき人の名を拾う


「  鼻  」        馬渕 よし子
上向きの鼻で宝を嗅ぎ当てる      浜 松
何も彼も許してくれた団子鼻
褒められて鼻の回りがこそばゆい
鼻息が荒くて誰も寄り付かず


「み が く」        井口   薫
平穏な日です包丁研ぐことに      袋 井
刃こぼれの目立つ五感を磨いてる
床もみじ修行の汗を光らせる
終点へ磨き足りないままの旅


「めでたし」        提坂 まさえ
お話の通り帰ったかぐや姫       静 岡
物忘れこれでいいのだ我が海馬
古炬燵ぽっと赤らむ使い初め
旅終えて妻の小言は元通り


「嬉しいな」        川村 美智代
太陽が笑えば花も子も笑う       静 岡
極楽ぞ赤黄のもみじ露天風呂
春さくら秋はコスモス四季嬉し
ピアノ弾く孫の指からちさい秋


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
死んでまで会社につくすことはない   浜 松
建売りが売れ残っている幟
新総理出足ほどにはパっとせず
使う日を夢に仕える政治秘書


「スケジュール」      加茂  和枝
丁寧に私を試す風が吹く        岩 沼
風呂敷に包んだ愛が重たくて
崖っ淵空が青くて救われる
膨らんだ夢が後押す予定表


「雑   詠」        寺田  柳京
捨てられた男の様な昼の月       静 岡
野良犬を見下している昼の月
掌の畑に伸びる葱其の他
まほろぼの地球を人が何故こわす


「家  族」        藪ア 千恵子
遠く住む家族と話す趣味のこと     焼 津
アメリカと通話料金気にしない
少しずつ英語身につく五年生
帰国するまでがんばって待ってます


「雑  詠」        成島  静枝
やすくてもホテルのバーはちと行けぬ 千 葉
円高のメリットワイン飲めぬ口
霜月と師走を残すカレンダー
Qちゃんの引退己を知っている


「別  れ」        石井   昇
愛が終ったか氷柱も溶けてゆく     蓮 田
流氷と歌うわたしの別れ唄
消えてゆく霧笛が夢も連れてゆく
ふと想う雲になりたい流れたい


「後期高齢」        畔柳  晴康
失敗も高齢ゆえと演技する       浜 松
便利だよ後期高齢使い分け
出し渋る年金暮し口にする
まだ呼ぶな必ず逝くが急がない


「見 舞 い」        鈴木 千代見
病室を出るタイミングつかめない    浜 松
表札を見つけて呼吸整える
その程度でよかったネェと見舞い客
病名に触れず世間の話する


「寒  い」        藤田  武人
帰り道湯気の向こうに縄暖簾      大 阪
春を待つ窓辺に飾る寒桜
クルクルと回れ寒鰤冬が来た
懐は紙切れだけのボーナス日


「昼 休 み」        恩田 たかし
昼休み句にははまりすぎさぼりすぎ   静 岡
くつろぎの昼休みには缶コーヒー
秋風に揺れる木々の葉紅葉中
心地いい風と日射しに踊る木々


「自 由 吟」        石上  俊枝
家事放棄してざんぶりと露天風呂 静 岡
上を見て下を眺めてよしとする
ピースしてプラス思考の運を呼び
ひと指でドミノ倒しに風が起き


「自 由 吟」        萩原 まさ子
寒いから帰る家族という温み     静 岡
槽糟の妻が入れたるお茶を飲む
薬指見てまだチャンスありと知る
母の苦を節くれの指知っている


「貴 方 へ」        芹沢 穂々美
赤い傘貴方のために買いました 沼 津
五色豆貴方の背中押している
丸テーブル貴方の愛を一人占め
秋霖や貴方の誘い待っている


「  夫  」        内山  敏子
定年へ夫の口座妻の名に    浜 松
亭主づら威張ってみても粗大ゴミ
お留守番夫へひとつ地酒買う
忘れたふり上手になった処世術


「暖 と 寒」        小林 ふく子
湯豆腐が土鍋で独り言を言う   袋 井
冬の窓明かりに愛が溢れてる
例えばの話自分が寒くなる
絹手袋時々人を騙してる


「雑  詠」        滝田  玲子
逆風に押され出口が見えてこぬ  浜 松
苦労した人生皺が物語る
一粒の涙を武器の娘に敗ける
それぞれの顔に明日の夢が待つ


「コ タ ツ」        酒井  可福
コタツにはお茶とみかんがよく似合う 北九州
独り身のコタツ万能家具となる
コタツから首だけ出して空返事
コタツなら指でコチョコチョ触れてみる


「抜かりなし」       毛利  由美
交渉難航クリスマスプレゼント     つくば
年賀状素材をパソコンで模索
共有の場所はみんなで大掃除
新札の準備抜かりがないように


「老  老」        中矢  長仁
今平和ただ平凡に日が過ぎる    松 山
微笑んで平和に暮らす老夫婦
始まるか心配し合う物忘れ
楽しもう後の人生二人旅


「椅  子」        濱山  哲也
床屋さん椅子を誉めると話し出す   つがる
お好みの男だな座り直してる
きっちりと仕事をこなすパイプ椅子
公園のベンチ枯葉が座ってる


「自 由 吟」        山田  ぎん
月見酒すすきと萩が縁側に     静 岡
月を見て戦時の夫忍ばれる
草餅を見れば古里思い出す
新米が松茸が出る秋を食べ


「雑  詠」        ふくだ 万年
暖房を弱めジャケット着るエコー    大 阪
ダイエット決め手ないから本売れる
笑い顔おのれの皺に懺悔する
気にするな一人で育つ子もいるさ


「  暮  」        川口   亘
チラシ見て今日も特価の綱渡り  藤 枝
北風が急に邪魔するトイレ立ち
予算繰り段々堰が高くなり
老化込むは明日は話の妻と云い


「印 象 派」        鈴木 まつ子
礼儀作法印象深い茶懐石    島 田
背信の胸に眩しい弥陀の影
しみじみと生まれ育った家ながめ
格調も主義も問わない印象派


「  絵  」        川口 のぶ子
荒海のうねりの中から拾う絵図  藤 枝
一本の絹糸に見る穴かがり
絵に画いたようにいかない世の動き
思い出を絵にしているはまだ未熟


「  男  」        瀧    進
愛妻に惚れた弱味を握られる    島 田
ファイティングポーズに男見栄を張り
女房に糸引かれてる出世凧
大老と持ち上げられて煙たがれ


「雑  詠」        飯塚 すみと
妻コタツまずは手に取る旅チラシ    静 岡
引き込もりさせぬバーゲン五割引
歯ブラシをてんでに置いて洗面所
休みの日雨音しずか起きられず


「湧  く」        鈴木 恵美子
宴会のしめは音痴の大爆笑     静 岡
上り坂愛の鼓動が鳴り響く
しなやかに八十路詩情をたぎらせる
年末に湧く『運命』の大合唱


「お金のあれこれ」     小野  修市
税金で議員は野次に磨きかけ    静 岡
煙にまきふところさぐる二枚舌
退職金みていた夢が消えてゆき
年金の額が趣味を決めている


「ノーベル賞」       尾崎  好子
同時であノーベル賞で飛び上がり   藤 枝
親戚でないのにこうも喜べる
無限大この頭ではどの頭
おきかえて思うに素手で手宙つかむ


「見えない努力」      今井 卓まる
良い柿は嫁ぎ先でも愚図らない    浜 松
三日前仕掛けたエクボ蟻地獄
三面鏡ボクの知らない顔がある
ぼろぼろと流す涙でウソ洗う


「自 由 吟」        林  二三子
意地は捨て子らの意見を受け入れる  芝 川
頑固などもう消えている老いた父
足腰の小言にも慣れ共に生き
笑いじわ増えて病気を忘れさす


「  虹  」        中野 三根子
良いことがあったよ今日は虹ふたつ   静 岡
決めている心の中の虹の色
クレヨンで書いた今日の虹の空
心から笑ったあなたへ虹あげる


「自 由 吟」        川村  洋未
さりげなくゼロを数えてもとへ置く 静 岡
バーゲンを待たず自分にプレゼント
財布手に予算と見栄がゆずり合う
ブランドで固めた人が寒そうだ


「  私  」        多田  幹江
どうでもいいのに私の誕生日    静 岡
わたくしを差し置き我雨ざんざ
私って鰑のような人だとさ
ネオンテトラも私も夜の川が合う


「  糧  」        石田  竹水
御破算を願って一歩整える     静 岡
痛かった言葉の棘も糧に成る
好き放題言って去ってく第三者
神さまを二股掛ける罰当り


「春 の 色」        真 理 猫 子
元旦はクラゲの色になる私       岡 崎
雷に運ばれてくる天の声
ゴキブリもきっと平和を祈ってる
正月は「賀正」「賀正」と鳴くカラス


「アルパカ」        山口  兄六
少子化の波でキャベツが育たない  足 利
芳醇なワインは挫折してできる
乱獲で消えてしまった清純派
オヤジ狩りされて三十路のボンバイエ


「師  走」        増田  信一
師走でも正月来てもマイペース   焼 津
師走でも関係ねーと定年じゃ
クリスマスおもちゃケーキの要らぬ家
師走でも不景気風が静けさを


「スーパー」        佐野 由利子
スーパーが意地を賭けてるこの景気 静 岡
挨拶がすらすら言えた日の安堵
膝割って話せば分かる縺れ合い
単純という美しさ富士の山


「  道  」        長澤 アキラ
不器用で尻尾の振れぬ犬である     静 岡
悔恨の形に歪む靴の跡
なあ妻よ長い道程だったナア
灰汁を抜きだんだん帰る海の道


「鮎友釣り三昧・・・其の二十七」永田 のぶ男
コップ酒釣り業論じ飲み潰れ     静 岡
鮎釣りで三途の川の優勝者
補償終えダムと消えゆく鮎の川
冬の日も川原を覗く御仁たち


「哀  楽」        川路  泰山
風紋の如移りゆく覇者王者     島 田
アルバムの汚れとなったバラの花
煮詰めれば渋み辛みも甘くなり
羽根布団かけふんわりと生きてます


「海峡の帆」        池田  茂瑠
団塊の端の固まり悪い芯       静 岡
下駄箱に目的果たせない靴が
深追いへ織ろう海峡越える帆を
売れ残る私値切っていいのです


「自 由 吟」        高瀬   輝男
情と理の狭間丁半で決めようや   焼 津
鏡台でいざ出陣の顔が出来
人間の奢り責めるか温暖化
新任地は宇宙だなんて夢だった


「歳末風景」        望月   弘
夢はジャンボに宝くじ依存症      静 岡
クリスマスせめてケーキのいいはなし
ワクチンに見放されてる不況風
酒屋からまだ届かないカレンダー


「ノスタルジア」      加藤   鰹
ロックオンもう後戻り出来ぬ恋 静 岡
アラフォーの風が首から肩へ抜け
柴又へ行く寅さんに逢いたくて
くるみもち遠い汽笛を聞いている


「無  為」        柳沢 平四朗
等身大に生きた骸はのっぺらぼう    静 岡
帳尻は天へ預けた四面楚歌
背伸びした位置で心のかくれんぼ
歳月に無為を食わせた自己嫌悪


虎竹抄 | Link |
(2009/01/26(Sun) 10:23:05)

自 由 吟
  虎 竹 抄



「未   練」        新貝 里々子
あの頃は信号みんな青だった      袋 井
ダイエットすればこの服着られそう
泣いて笑っておとこをひとり消去する
逢いにゆく音符ひとつを握りしめ


「雑  詠」        石井   昇
盃の底に小さなおれがいる        蓮 田
資本論蟹工船の灯が暗い
信念を持てば行くのはけもの道
真っ赤っか今日を納めて陽が沈む


「  緑  」        栃尾  奏子
愛してる言葉だけでは救われぬ     大 阪
後少し待とうか時雨から氷雨
冬の海臨み再会待っている
嗚呼ここでひとつに戻る分岐点


「年 の 暮」        岡村  廣司
切り札を使い果たした年の暮      焼 津
年の暮喪中と転居やたら来る
高速道車で埋まる里帰り
何もかもご破算したい大晦日


「少し困ったこと」     増田  久子
留守電が間違い電話一つ受け      焼 津
おすそ分け生きてる鰻もらったが
文字通り粗品タオルの色が落ち
手おくれのように健康講座聴く


「雑  詠」        西垣  博司
余命の差女房はまだ紅をひき      静 岡
毒舌をたしなめている喉仏
大恐慌知るや知らずや蟻は這う
舞台からとび降りて買う秋の旬


「自 由 吟」        内山  敏子
ボーナスをジングルベルが煽りたて   浜 松
おおような顔でへそくり貯める母
咄家の笑い薬に酔うひと日
孫が来るパッと明るくなる茶の間


「漫  画」        濱山  哲也
冠が少年である週刊誌         つがる
教養は教科書よりもマンガ本
四百円おかしなことをいう総理
立ち止まり天を仰いでする風刺


「シナリオ」        真田  義子
言い勝った日いつもより早く寝る    仙 台
ワレモコウ恋の余白は開けておく
人生のシナリオを書き直したい
もう少し飛び続けたいブーメラン


「自 由 吟」        ふくだ 万年
間違えて妻の貯金に振り込んだ     大 阪
正座して初めて解る気の弱さ
医者の技一度で治さず通わせる
酒タバコ止めてメタボで早く逝く


「日常生活」        恩田 たかし
ポニョポニョと歌をうたいて腹つまむ  静 岡
ダジャ関を考えてると句が浮かぶ
川柳を考えてるとダジャ関が
仕事しろラジオにメールしてばかり


「  風  」        馬渕 よし子
木枯しが骨の髄まで痛めつけ      浜 松
風向きが変わらぬ内に逃げ帰る
わだかまり解けて風まで心地良い
孫が来て夫婦の風を入れ換える


「  夢  」        安田  豊子
拭っても笑んでも消えぬ泣きぼくろ   浜 松
離れたい影がしつこく付きまとう
陽の温み包まれ母と逢う夢路
七十の夢にもちゃんと色がある


「振り向けば・・・・」   金田 政次郎
子は大将妻元師で俺伍長        静 岡
合掌す仏は見えず妻過ぎる
相棒は貸し借りが無い良い仲間
本当に幸福なんだ我が家の灯


「四季 喜怒哀楽」      小林 ふく子
冬の日に小さな孫の重さ知る       袋 井
春の日に遍路で自分省みる
夏の日に足へ車がおんぶした
秋の日に試歩で台地の温さ知る


「ぼろぼろ」        大塚  徳子
モッタイナイダンナの古着妻が着る   仙 台
真っ直ぐな道にもあった水溜り
髪染めてナンパされそう予感する
ぼろぼろと年月零す飯こぼす


「寒 と 私」        竹内  さき
落ちつかぬ恋をしている師走時     浜 松
ハーハッとかじかんだ手に一句舞う
恋しくて石焼芋の愛を抱く
北風に負じと行こう寒の坂


「人を見る」        薗田  獏沓
先生の目を引く為に悪さする      川根本町
六法を盾に素人人裁く
白い歯をキラリ人を信じさせ
年なりの地味なプライド漂わせ


「重  大」        鹿野  太郎
甲高い声が巨人のキーワード      仙 台
小遣いが減らないようにゴミ減らす
慎重に止める規制のベルト穴
物作り大国を揺さぶるキャリア

「  風  」        畔柳  晴康
待ち兼ねた涼風こんど寒い風      浜 松
吹く風は名物なれどからっ風
ウン決めた墓に入らず千の風
墓参り千の風とか留守でした


「好 奇 心」        鈴木 千代見
飲んだふり彼の心はどっち向き     浜 松
いけないと分ってメールそっと見る
居酒屋に背のびしている未成年
襖越し気になる話息を詰め


「  濁  」        藤田  武人
この愛を告げる瞳に濁り無し      大 阪
純真な心が濁ったら大人
悪友と徹夜で飲もう濁り酒
老兵が濁った空を見上げては


「ガラクタ」        井口   薫
困るだろうなこんなガラクタ置いてけば 袋 井
ガラクタも無ければ風邪を引きそうで
想い出を見せてガラクタ命乞い
よれよれの地図に迷ったあとばかり


「  夢  」        毛利  由美
いい夢見てるね幸せな寝顔       つくば
つかの間の再会果たす夢のなか
再会のシチュエーションが変 夢だ
アラームが鳴る 現実なのか夢なのか


「自 由 吟」        山本 野次馬
反論の知恵沸いて体力使い切る     函 南
小波抱く母なる海が騒がしい
数式へ時々首の空回り
前を向くことしか出来ぬ零の位置


「車で旅行」        中矢  長仁
満タンにしたらのんびり出掛けよう   松 山
のんびりの旅の筈だが飛ばす道
飛び回る北海道のでかい道
お土産が一杯になり帰ろうか


「自 由 吟」        鈴木 恵美子
肩凝りをほぐしてくれるもみじの手   静 岡
夕焼けの男のロマン背に秘める
満ち足りて古巣で趣味に生きる日々
晩年は心鍛える真剣味


「時 事 吟」        寺脇  龍狂
天国も神無月なら降りてこい      浜 松
立候補せぬが解散気にかかり
アフガンに一粒の麦蒔いて逝き
大エースホームラン王いてチームビリ


「秋の画布」        加茂  和枝
もうちょっと ちょっとの時間大事です 岩 沼
ありがとう細い絆が切れました
たくさんの夢を見ましたこれからも
自分流本気で描いた秋の画布


「雑  詠」        滝田  玲子
派手を着て熟女パワーに燃える秋    浜 松
脈がないと見たかセールス腰浮かす
口先の強がり犬もお見通し
永田町背後で派手に動く金


「  小  」        川口   亘
小才効き其の場凌ぎの知恵で逃げ   藤 枝
小咄が間合のぬけた座を救う
小半刻孫の相手に飽きる頃
小兵よく大きな者に食い下がる


「汚   染」        芹沢 穂々美
青虫に食い尽されて認知症    沼 津
空気汚染青虫にまで飛び火した
汚染米食べた毛虫の面汚し
カタツムリ環境汚染察知した


「老   猫」        成島  静枝
孫が来ていじくりまわすうちの猫 千 葉
テリトリー面子にかけてする威嚇
豊漁の秋刀魚に猫も膳につく
年だねえ目やにを拭いて引っ掻かれ


「雑  詠」        飯塚 すみと
例のアレそうそう私もそれにする 静 岡
水を眺めて写生うまくゆき
子の見合い期待はせぬが受けてみる
歯の治りょう女医のやさしき声があり


「高  い」        鈴木 まつ子
エリートが高飛車になる身のこなし 島 田
プライドが高くなるほど傷がつき
身の丈がすらりとポーズ超美人
届かない高嶺の花に遠眼鏡


「いの一番」        瀧    進
夫唱婦随黙って俺について来い     島 田
栄転のメール女房にいの一番
陳情書まずはお土産見比べる
勝馬に乗って駆け出す金と欲


「  つ  」        川口 のぶ子
積立も出来ない悩み年金者     藤 枝
つきなみの答も出ない今ピンチ
通販があの手この手で押してくる
つめ込んで横にそれたか出ぬ答


「自 由 吟」        酒井  可福
いじめだな今更メタボ扱いは   北九州
のろのろと走る車に飛ばす眼
行き先も告げずに父の旅支度
食い過ぎを残す子供のせいにデブ


「骨   折」        伊藤   理
ラッシュでもそこのけそこのけ松葉杖 東 京
上半身きたえてやるさ松葉杖
ここどうぞ車窓も霞む松葉杖
駆けまわる夢の枕は松葉杖


「自 由 吟」        山田  ぎん
濡れるのも良し此の人と傘をさす   静 岡
老い歌う酒飲軍歌肩を組む
朝夕は涼しく虫の声を聞く
官僚は人の金でも我の金


「真っ赤だな」       照山  紅葉
真っ赤だな恋する婆の艶姿     秩 父
真っ赤だな佛舞い降る巾着田
真っ赤だなハワイの土産マカダミア
真っ赤だな巣鴨のパンツ真っ赤だな


「不 眠 症」        中安 びん郎
生まれ付き悪くもないが眠られぬ 静 岡
不眠症千数えても眠られぬ
老妻はいつでも側で高鼾
不眠症夜は無料の警備員


「王 さ ん」        尾崎  好子
ホームラン三十本へバット置き  藤 枝
テロップで事ある如におどかされ
手術後の体調みんな気遣った
王さんのラストゲームが儘ならぬ


「自 由 吟」        石上  俊枝
新米の湯気に苦労の汗消える  静 岡
嫁姑役者見ている我が息子
コップ酒一期一会で盛り上がる
猪口も手も胸のバリアも眠くなる


「自 由 吟」        堤坂 まさえ
アドレス帳もっと探せと芋のツル  静 岡
栗をむく二時間ドラマけりがつき
桃太郎洗濯機から飛び出した
神様が留守だ大いに楽しもう


「まつりごと」        松橋  帆波
食の安全を言うと残飯が笑う     東 京
背景は平和ではない平和賞
戦争を知らない居酒屋のホッケ
昭和史が苦手で困る金バッヂ


「霜  月」        増田  信一
温暖化半袖裸足霜月に        焼 津
霜月も季節の色が薄くなり
霜焼けも皸無い霜月に
干し柿も汗を掻いてる霜月に


「  手  」        中田   尚
人の手に癒されてまた使われる     浜 松
不運しか掴んでいない手が二つ
白い手がハートに触れて助けられ
票つかむでかい右手が肩透かし


「  秋  」        林  二三子
色づいた森に流れる秋時間       芝 川
トンボ見つけ思わず指を立ててみる
黄金色の棚田芸術品に見え
渋皮煮じっくり煮てる秋夜長


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
特売の鮭の切身が薄すぎる       焼 津
勢いに釣られて奢る羽目となり
懐メロが青春の日々誘い出す
登下校見守っているボランティア


「約  束」        石田  竹水
老い先は聞くなよ俺はまだ米寿   静 岡
有り得ない事が地球に起きている
青空に平和の鳩が黒過ぎる
五分前約束守る人だった


「還  暦」        小野  修市
定年へ支えた妻の手弁当        静 岡
還暦の疲れが溜るが金はない
年金をあてにしていたお人好し
六十と言えども若い夢も見る


「普通のサラリーマン」   今井 卓まる
昇る陽にタイマーかける沈む時    浜 松
いわし雲ツマミ食いしてサボる午後
飲むだけと言ったじゃないの嘘つきね
おむすびに混ぜた黒ゴマ呪文あり


「東   京」        川村  洋未
皇居前ビルに輝く月静か      静 岡
浅草のレシートが出る土産買う
青い目と交番さがす雷門
地下鉄を乗り継ぎ雨と知恵比べ


「キ  ス」        谷口 さとみ
おはようもおやすみなさいもキスで言う 伊 豆
気持ちいいことは気の合う人とする
ひっそりと歳だけふえる誕生日
キスだけは喧嘩中でもしようよね


「秋 の 音」        真 理 猫 子
指揮者だけ笑顔で踊るシンフォニー   岡 崎
冬枯れの夫婦いろりの火は熱く
のこぎりを引く我慢したこと数え
落ち葉踏む音イタイイタイヨサヨウナラ


「ロータス」        山口  兄六
ハリケーンその真ん中にいるオバマ   足 利
フル稼働させる失恋洗濯機
悲しみをためて映画を見て泣こう
言い訳は無用ごめんで事足りる


「鮎友釣り三昧・・・其の二十六」永田 のぶ男
鮎絵皿いつも一緒に泳いでる      静 岡
香の鮎をしばらく焼かず皿の上
焼き鮎に猫もうっとり足竦む
塩焼きの鮎は笑顔か泣き面か


「悪 い 癖」        長澤 アキラ
触りたい所にバストが付いている    静 岡
午前二時妻を騙したドアを開け
募金箱 素通りできぬ悪い癖
誰にでも傘を差し出す悪い癖


「ご 時 世」        川路  泰山
山吹の花が似合いか議員さん       島 田
兜虫ばかり集めた組閣だな
投資家の闘志乱れる乱降下
皺寄せの波に呑まれる蟻の列


「マドンナ」        多田  幹江
マドンナにカーブ投げ合うエイジング 静 岡
姫老いて緩いカーブにひっかかり
宴更けて元マドンナの肩を揉む
塩漬けの夢食べ頃をとうに過ぎ


「白い旗と帆」       池田  茂瑠
大まかな妻で女が欠けている    静 岡
白旗の白は染めずに残します
頷いて去る背に白い帆を貸そう
過脂肪の妻の背後で生きてます


「淡  心」        佐野 由利子
だんだんと趣味でなくなる趣味の会   静 岡
謎ひとつ方程式にない答え
人間の脆さを隠す頬っ被り
好きなのに反発ばかり淡心


「気が弱く」        高瀬  輝男
また妥協悔いているのはパンの耳    焼 津
陽が沈むその一ときの走馬灯
効用書なるほどよくも調べたな
雑草の生きる権利を奪っちゃった


「山の便り」        望月   弘
前略で猪が出ますお大事に       静 岡
ふるさとは硲で隣り呼んでいる
美しい国です水に戻したい
矍鑠に猪突猛進だった傷


「十 二 月」        加藤   鰹
ぬる燗がいいねお酒も抱擁も      静 岡
半額になるまで君のこと待つよ
白い息吐いてあなたが駆けてくる
冬銀河そうっと肩に手を回す


「沸   く」        柳沢 平四朗
つるべ落しへ甘い妥協を強いられる 静 岡
自惚れがKYの眼に届かない
陽だまりのベンチへ沸いている徒党
天引きがポックリ寺へ愚痴を塗る

虎竹抄 | Link |
(2008/12/25(Wed) 15:33:01)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「た め 息」        谷口 さとみ
靴ひもを結ぶと用を思い出す      伊 豆
残しても食べても悔いるバイキング
一張羅さえ十年は着ていない
窓を拭くあなたの居場所見えるまで


「自 由 吟」        真理  猫子
しぶ柿のままで初恋そのままで     岡 崎
境界を引いた後ろは崖っぷち
やさしさも時には風邪をひくらしい
引力の強いぐうたら星にいる


「乗 り 物」        濱山  哲也
エレベーター乗ってるときは宇宙人   青 森
エスカレーター乗ってるときは肥満体
観覧車乗ってるときは迷い人
手の平に乗ってるときは恋インコ


「破 れ 傘」        柏屋 叶志秋
雨止めばリストラされる破れ傘     山 形
最期には人も秋刀魚も骨になる
黒豆を煮る火加減の愛がいい
水溜まり一つ一つに月がある


「時 事 吟」        松橋  帆波
談合の配電盤が美しい         東 京
連休が商店街を過疎にする
国会で目糞鼻糞言うている
文明の利器自殺者を減らせない


「秋 の 蝶」        真田  義子
足早に秋が流れる交差点        仙 台
恋をして蝶に変身する私
幸せな隙間に絡むくもの糸
カーテンコールそして私は蝶になる


「コスモス」        鈴木 恵美子
また逢えたコスモスといる秋ですね   静 岡
ほほえみを返してくれる秋桜
コスモスよそろそろ別れのときが来る
コスモスの群生愛は限りなく


「政  界」        岡村  廣司
国会にレッドカードが無いなんて    焼 津
長寿国なのに大臣短命で
ポリシーは無いが反対だけの党
総理まで派遣勤務になったとは


「カスミソウ」       大塚  徳子
大臣の口にあてがう猿ぐつわ      仙 台
もろもろを水に流して人許す
華やかな頃の余韻で生きている
そっと咲きそっと散りたいカスミソウ


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
椰子の島安いから行くハネムーン    浜 松
御祝儀の足りない分は歌を書き
ダイヤモンド捨ててみたいなゴミ出し日
三千本打って見送る栄誉賞


「禁  煙」        成島  静枝
禁煙中茶の間の空気旨くなる      千 葉
木鋏が手持ち無沙汰で切り過ぎる
本気かもタスポ捨てたらファンファーレ
煙草屋のダンナ売り物吸ってない


「食  む」        藤田  武人
飴効果知名度一位金太郎        大 阪
ドラキュラもメタボトマトでダイエット
父の膳いつも一品多かった
晩ご飯食べに通ってくれたひと


「女 た ち」        栃尾  奏子
ジャジャ馬な愛と葛藤する少女     大 阪
だきしめて儚くもろいから強く
母さんは黙ってお茶を入れ直す
内緒事おんな共有して平和


「蛇・猫・咳そして眼」   戸田 美佐緒
蛇というだけでピストル向けてくる   さいたま
日当りの良いほうへいく猫の髭
幸運を引きよせ咳が止まらない
口ほどに物を言う眼に狙われる


「私 と 貌」        竹内  さき
耐え抜いた口紅外の風をよむ     浜 松
コーヒーをどうぞ私へ風うごく
うす化粧して風と出る街の中
そして気がつく人間の貌となる


「ゆっくりと」        増田  久子
柿八年その柿の実が一つ成る       焼 津
ダイヤルのゆっくりがいい黒電話
骨密度年相応という不安
お早うでいいかな午前十時半


「老の朝と昼と夜」     金田 政次郎
素晴らしい老人介護神話だな      静 岡
日だまりに捨てて在るのは俺の影
ジグザグと陽気に渡る丸木橋
酒や良し小皿程好い音で鳴り


「  朝  」        鈴木 千代見
朝なのに愚痴くずかごにポイと捨て   浜 松
朝の活気トイレが二つ感謝する
妥協した朝はどんより曇り空
再会に心に糊をきかす朝


「帰  省」        芹沢 穂々美
ガソリン代先に渡して帰省させ     沼 津
年取らずにジーパンはいて帰省する
川で泳ぐそんな時代の少年期
青くさいトマト畑の淡い恋


「未  熟」        提坂 まさえ
この家も熟したなあと床軋む      静 岡
私こと熟年ですが未熟です
キッチンで熟睡をするメロン様
一行のメール熟読雨あがる


「熟しどき」        萩原 まさ子
機は熟しニートが空へ飛び立つ日    静 岡
柿熟れる頃渋い顔見せる医者
熟しどき時間ではない両想い
ごめんねが言えず気遣い豆々と


「完  熟」        石上  俊枝
シューベルト聞きつ眠っているワイン  静 岡
完熟の我が娘まだ嫁き遅れ
熟す歳 角も年々丸くなり
共に生きカラスに残す熟し柿


「自 由 吟」        伊藤  泰史
熟読は無理だ女の恋心        静 岡
サンマなら秋が一番おいしいな
鬼は外だから世の中鬼の群れ
今一度あの日の君に会いたいな


「運 動 会」        毛利  由美
天気図が語る運動会日和        つくば
バズーカ砲かかげ我が子をビデオ撮り
玉入れにPTAは策を練る
フォークダンス喜んでいるのは外野


「  本  」        山本 野次馬
死ぬまでは本音が言えぬ腹八分     函 南
引き潮に本音ポロリとぼろを出す
本物になろうと深海を覗く
本心を捨てる樹海のど真ん中


「絵  馬」        酒井  可福
張り込んだ絵馬に多少の期待掛け    北九州
どの絵馬もお願い頼む悲壮感
神様も本気になれぬ絵馬ばかり
神様を笑わす一句絵馬に書く


「灯火親しむ」       川口   亘
助動詞や副詞一字で気を変える     藤 枝
書き印るし残せるだけの歌を書き
思い出を絵にする迄に手間をとり
いい話タンスの奥で眠りこけ


「老 眼 鏡」        安田  豊子
後期高齢などと勝手に言うお上     浜 松
あきらめと失う事に慣れました
じっくりと発酵する間ありません
夢捨てず辞書を操ってる老眼鏡


「自 由 吟」        ふくだ 万年
留守と言え電話の向う怒鳴り声     大 阪
ギネスもの妻は元気で長電話
駆け落ちをするほど深い仲じゃなし
あの二人消える順番あるらしい


「趣  味」        薮ア 千恵子
携帯も必要かなと気が変わる      焼 津
雑用に追われ川柳逃げていく
お喋りを楽しみにいく趣味の会
文化祭作品できぬ趣味三つ


「大  空」        馬渕 よし子
ちっぽけな悩みと知った空の青     浜 松
満点の星がロマンを持って来る
大空へ放った夢に兆し見え
大空の下で喘いでいる暮らし


「自 由 吟」        鹿野  太郎
上達の早い月謝に負けられぬ   仙 台
阿久悠に近いセリフを言ったのに
嬉し泣き凭れる中の味噌にぎり
髭のある妻が起死回生の駒


「カ ラ ス」        石井   昇
カアと啼くカラス戦を起こさない 蓮 田
母さんは烏でいいの鵜は嫌い
烏の子帰るお山がありません
黒いことは悪いことですかカラス


「自 由 吟」        内山  敏子
紅葉にひかれ一泊露天風呂    浜 松
叱るだけ叱ってけろり親子酒
あの猛暑いつか忘れて冬支度
飼い主を引張り散歩させる犬


「ステージ」        薗田  獏沓
歌手になるステージ夢に皿洗い 川根本町
ステージへ花を贈って盛り上げる
将来を任せる弟子の初舞台
迫真のステージ涙そそる席


「  枕  」        鈴木 まつ子
一湾の波を枕に旅はるか        島 田
折り紙が笹舟になる箸枕
新婚の甘さすっぽり腕まくら
親を看る祈りをこめた水枕


「医療検診」        畔柳  晴康
サア検診不安が先で身が震え    浜 松
採血で添えた白衣の手が温い
内視鏡歳はとれどもなかピンク
検査すみアトは欠伸と背伸びする


「も み じ」        小林 ふく子
早すぎる秋を覗いてみることに 袋 井
皆に会う命燃やしているもみじ
小春日にもみじやさしく地に還る
来年の約束しよう濡れもみじ


「自 由 吟」        川口 のぶ子
物価高年金者には辛い夏     藤 枝
外出に金の要らない散歩道
物価高横目で睨むだけになり
スーパーを見させて貰うエコバック


「事 故 米」        尾崎  好子
古希すぎて事故米という米を知る   藤 枝
事故米でボロ儲けした金を出せ
買う方も米の善し悪し分る筈
成敗は黄門さまに頼みたい



「秋祭りさまざま」     中矢  長仁
宮出しに子等早起きし駆け付ける  松 山
怪我も出る喧嘩神輿の鉢合わせ
太鼓台勢揃いしてかき比べ
お神輿が海に飛び込み禊ぎする


「雑  詠」        西垣  博司
かけ違いされたボタンの所在なさ   静 岡
長電話同病という赤い糸
マンション化九尺二間をカナに変え
くつ下の穴が窺うシャバの風


「炎  天」        滝田  玲子
蟻の列ぞろぞろ動く炎天下     浜 松
炎天下熟れたトマトが雨を待つ
炎天下日傘まわして愚痴を聞く
炎天下白球を追う甲子園


「雑  詠」        飯塚 すみと
コーヒーの香りの中にアイデアを  静 岡
思考する回路を逆にしてみたら
その日ぐらし大方のひと感じてる
あやつりのサッカーロボット右ひだり


「子に帰る」        瀧    進
脳細胞ひと皮むけて青い空    島 田
脳の皺伸ばし心の若返り
思い出のひと日を綴る老介護
子に帰る笑顔の老母は慈母観音


「秋 の 色」        加茂  和枝
きっと来る寒さに種が実ります    岩 沼
秋色に心と体嬉しそう
秋満載少し遠くへ足運ぶ
体だけ元気で実り手に残る


「雑  詠」        中安 びん郎
リハビリへ行ったお陰で友が出来  静 岡
リハビリで知った性善説の人
リハビリで日増し好くなる足と腰
原油高松根油でも掘りましょか


「自 由 吟」        恩田 たかし
七五三喜ぶ娘微笑まし         静 岡
仕事料あれよあれよと泡と消え
今日も又ラジオに送るネタ探し
新たなる事にチャレンジ秋の空


「  赤  」        森下 居久美
記念日を語らっている赤ワイン     掛 川
赤点を見せられた日の偏頭痛
ボジョレーの旗ひらひらと赤とんぼ
待ち受けは君にもらった赤いバラ


「自 由 吟」        中田   尚
前前とあせるメガネを持っている    浜 松
よく転びカルテメタボにさせるだけ
しもやけの手にまず冬が降りてくる
善人か まず赤ちゃんに仕分けられ


「雑  詠」        林  二三子
親のエゴ背負い塾行く子が暗い     芝 川
親の背が見えれば子らも迷わない
無欲の汗額に被災地で励む
枝整え冬に備えてお礼肥え


「暮 ら し」        堀場  梨絵
淋しさはこの鳩尾に埋めてある    静 岡
馬上ゆたかに風よけの夫だった
編みかけのマフラー風が追いかける
運命は神にさからう足袋はだし


「丸 ご と」        石田  竹水
こつこつと耐えてそのまま石になる   静 岡
お月さん丸ごと食べます十三夜
物言いは聞かない夫婦四ツ相撲
ジャンケンの鋏が人情切り捨てる


「雑  詠」        西垣  博司
余命の差女房はまだ紅をひき      静 岡
毒舌をたしなめている喉仏
大恐慌知るや知らずや蟻は這う
舞台からとび降りて買う秋の旬


「自 由 吟」        長澤 アキラ
楽焼の肌に命を染めあげる       静 岡
良心の転がる音が絶え間ない
対岸に今も聞えるわらべ唄
自分史の最後を飾る紙オムツ


「  空  」        中野 三根子
青空に見上げる虹のかけた橋     静 岡
こんなにも青空が好き君が好き
秋空を一人ながめるいわし雲
時々は秋空みつめ考える


「没句に日の目」      川村  洋未
目が見えて歩けるならばバリバリさ   静 岡
一、二食食べなくたって働いた
スケジュールあればあったで尻重く
男の野心見きわめて乗る女


「鮎友釣り三昧・・・其の二十五」永田 のぶ男
一杯をやるまい鮎の寿司の山      静 岡
指定席話の弾む鮎の会
赤ら顔意気投合の鮎仲間
酔う程に天下泰平釣り頭


「神 無 月」        増田  信一
神無月一年全部神無しだ        焼 津
神無月お宮参りは無駄骨か
神無月お頼みします仏様
神無月関係ないね無神論


「紅葉前線南下中」     高橋  繭子
震災に負けるものかの秋祭り      仙 台
デスティネーションキャンペーンおらほさ来てけさい
着ぶくれて何やらおかし秋の暮れ
夏はもう一年後ですご自愛を


「凡 夫 婦」        多田  幹江
俺さまの肩もなだらになって秋     静 岡
ふたりならクモの巣城も悪くない
ありがとうは食えないなんて言わないの
飲み食いの祭りのあとのとばっちり


「自 由 吟」        小野  修市
となりより伸びきたカキを味見する   静 岡
仕事をば敵のようにつっぱしり
神無月でも家に居る山の神
意地を張り目ん玉むいて損をする

 
「自 由 吟」        今井 卓まる
月明かり冴えない色気二割増し  浜 松
妻の年若く間違え上機嫌
僕の趣味彼女が変わりまた変わる
意味もなく愛という字を二度なぞる


「定 年 後」        佐野 由利子
よい便り郵便やさんありがとう    静 岡
簡単に他人に添わぬ太い眉
人込みを猪突猛進母が来る
反骨がいやに素直に定年後


「ク ッ ク」        山口  兄六
秋刀魚サンマ小骨で母を思い出す    足 利
秋味のビール夜長のお友だち
マイホーム蝉が消えたら秋の虫
NG大賞は君へのプロポーズ


「  鴉  」        川路  泰山
夕暮れの街で啖呵を切る鴉       島 田
一本が足らず烏は黒のまま
鵜の真似も出来ず烏は群をなす
弁証法烏も迷う無精卵

 
「妻の構図」        池田  茂瑠
風上の陣を有利に使えない    静 岡
妻の引く構図も影が多かった
花のない小枝つないで逢いにゆく
悔い残る赤い踵の高さだけ


「自 由 吟」        高瀬  輝男
黄菊白菊多彩な秋のプログラム     焼 津
飲食の舌にも水の美味が染み
目の前で回れ右する青い鳥
歌姫も時勢に勝てぬ歌謡曲


「  秋  」        望月   弘
女から体重計から睨まれる       静 岡
ビールから酒へ気転の妻がいる
稲を刈る父が枯葉をくちずさむ
ふるさとの秋デジカメを呼んでいる


「晩  秋」        加藤   鰹
雲に乗る話に乗ろう酒追加       静 岡
ご意見はもっとも鼻毛出ているよ
ワインより赤い貴方の嘘に酔う
サヨナラの向うは深い深い闇


「自 由 吟」        柳沢 平四朗
忠告は父の昔が底にある     静 岡
脈のある間は明日を揺り戻す
秒針は杞憂を敵にして進む
影法師も皺くちゃだから振向かぬ
虎竹抄 | Link |
(2008/11/25(Mon) 14:28:38)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「夏 の 宵」        成島  静枝
七夕の飾り怪しい空模様        千 葉
カラオケの舞台人待ち顔の昼
ガソリンが足を引っ張る遠花火
裏方へおばけいそいそ盆踊り


「赤トンボ」        大塚  徳子
世の中が歪んで見えた赤トンボ     仙 台
物価高レジで目玉が回り出す
蒲焼は食べずに済ます妻用事
買い控え丁度良かったダイエット


「残  暑」        金田 政次郎
天高く澄み望楼に人見えず       静 岡
天窓を開ける麒麟の住む我が家
残された私の靴と違う靴
一枚の最後のパズル妻が埋め


「先  生」        寺脇  龍狂
先生がセンセイ並みに見えてくる    浜 松
先生が黙って休むこともあり
衣食住みんな油の使いすぎ
立ち退いた村へ要らない泉湧き


「夏の太陽」        加茂  和枝
あの人を許して空は夏になる      岩 沼
ライバルは必要でした今日の汗
有難い自分ひとりで咲けぬ花
灼熱の太陽浴びて生きている


「雑  詠」        石井   昇
カリスマの体内時計進みがち      蓮 田
石蹴って好い日と思う日和下駄
万物流転ひと爭って澱む
覇者の剣所詮うたかた土となる


「節約生活」        毛利  由美
小さいともう言わせないエコライフ   つくば
節約の一端になうMサイズ
お買い得品でまかなう成長期
買いだめをきちんと使い切る努力


「  火  」        薗田  獏沓
政爭にももみくちゃになる聖なる火   川根本町
全力で火を煽る人疎外され
それなりに身を整えて火を鎮め
神様の示す道だが火が見えず


「満  足」        岡村  廣司
思いきり汗を流した満足感       焼 津
満足な顔で昼寝の大連休
腹八分ほんとにそれで満足か
平凡に生き長らえた満足度


「極  暑」        川口   亘
先ずこれが本音と見せた嘘も有る    藤 枝
書き損じ許されないでいる清書
もっともの話と云って気をもたせ
効果など出ない内から気が萎れ


「雑  詠」        川口 のぶ子
泣きじゃくる幼の顔に玉の汗      藤 枝
扇風機一人じめして風邪を引き
くもの巣にあそばれている私
屋根の上眞赤な夕日が落ちてくる


「自 由 吟」        竹内  さき
夕暮れて人影恋し湖畔の灯       浜 松
棘抜いたバラひっそり買うピアス
日が暮れてポックリ高く古都の秋
コーヒーも熱く両手にほっと秋


「迷  い」        安田  豊子
焦る程迷い言葉が浮かばない      浜 松
戸惑った隙に突かれた肚の虫
聞き耳を立て逃さない噂好き
戻れない迷路あなたと組むプラン


「雑  詠」        滝田  玲子
プライドはあるが老化が邪魔をする   浜 松
嘘少し混ぜた会話が盛りあがる
大正のロマンに生きた夢二の絵
低迷のドアをノックの風の音


「リハビリ」        畔柳  晴康
一歩二歩胸張り手振る試歩の足    浜 松
リハビリは痛さ苦しさ汗までも
痩せ我慢男の意地は未だ捨てぬ
足の怪我癒えて正座に笑みこぼれ


「食 い 気」        鈴木 まつ子
腹の虫鳴って困った会議中       島 田
腹ペコでみな平らげる回復期
それとなくすぐ手が伸びるつまみ食い
色気より食べる生きがい通になる


「迷  う」        鈴木 千代見
回転すしながめていたら取りそびれ   浜 松
雨の日の受話器持つ手が落ち着かず
あの時の選択中の暮らしぶり
神様の目を引くような派手な絵馬


「おはよう」        内山  敏子
朝が来るそれは明るい家庭から     浜 松
おはようのリズムで朝の歯をみがく
おはようが今日一日を左右する
おはようが駆け抜けてゆく通学路


「飲  む」        芹澤 穂々美
大ジョッキ持つ手の重み憂さ晴らし   沼 津
裏切られ思いきり飲む赤ワイン
梅酒まで見くびっている空財布
焼香のけむりで人が消えてゆく


「雑  詠」        ふくだ 万年
お父さん飲み屋じゃ何時も社長さん   大 阪
気に入りのスカート穿く為筋トレを
くだらない事覚えている枯れた妻
メタボ腹逝く時スリム気にしない


「お元気で」        中矢  長仁
落し穴低カロリーも食べ過ぎりゃ    松 山
対策さメタボと言われメジャー買う
取り柄です元気に口の利けるのが
妻元気夫を連れて散歩する


「実  る」        小林 ふく子
実りまで大器晩盛の日を過ごす     袋 井
なす実り嫁と姑が奪い合い
十五夜の今年の実り味見する
それぞれの色に化粧の実がたわわ


「入  院」        寺田  柳京
痩腕のわずかしかない血を採られ    静 岡
点滴の一つ一つの命かも
頼母しく見る看護婦の鼻の孔
罅入りの甕の命をいとおしむ


「た め 息」        新貝 里々子
敗戦忌ため息を消す蝉しぐれ   袋 井
エアコンがあってよかったこの暑さ
エアコンを利かせ地球を考える
大袈裟なため息暑さ頂天に


「大吉の日」        増田  久子
ありがたくまず通される台所  焼 津
中ジョッキ仰向くほどもなく干せる
この家の黒猫あぐらだけ狙う
生まれつきです鼻声という長所


「体  操」        濱山  哲也
ライバルとジャンプボールを奪い合う つがる
得意先前屈ばかり繰り返す
残業に酒にカラオケ右左
ピン札の匂いを嗅いで深呼吸


「青 い 空」        真田  義子
青空を写す鏡を持っている  仙 台
青空を残してくれて逝った人
この道をずっと行きたい青い空
新しい気持ちで歩く青い空


「おばけU」        西垣  博司
視聴率おばけをねらうディレクター  静 岡
柳の木さがしておばけ棒の足
すっぴんが化けて鏡をあとにする
ギャル化粧おばけ以上に怖くなり


「男を縛る」        戸田 美佐緒
個性派を揃えてラッパ狂い出す   さいたま
あらそった朝には指輪きつくなる
コスモスの這いつくばって生きている
手に残る男を縛る赤い紐


「  嘘  」        馬渕 よし子
嘘ついた口だ何度もうがいする 浜 松
身を守る嘘がだんだん上手くなり
美しい嘘で希望をまた持たせ
恋多き女の涙に味がない


「自 由 吟」        山本 野次馬
蝉しぐれ今を生きろと励まされ  函 南
壇上の声が庶民に届かない
お人よしそれでも人を憎めない
野に降りてやがては土になるつもり


「  線  」        井口   薫
線引きが下手でストレス溜めている  袋 井
なぜここに赤線なのか借りた本
白線の内側にいて飛び立てぬ
普通の人が普通の顔で銀座線


「  葉  」        鈴木 恵美子
木の葉みな違った顔を持つ張り絵  静 岡
葉隠れに逢うジョギングの片想い
人生の航路木の葉に乗ってみる
草いきれ有機野菜に励む汗


「夏の思い出」       恩田 たかし
誕生日お寿司を食べて腹壊し     静 岡
もう四日お腹今でもパラダイス
コアリズムしてる妻より痩せる僕
終戦日毎回食べるすいとんに


「自 由 吟」        鹿野  太郎
モンゴルに勝てるほうれん草がない   仙 台
切りのいいとこで猫撫で声がする
友好の太いパイプがすぐ詰まる
フリーターの輪から零れる未来像


「愚  痴」        瀧    進
愚痴の無い亭主も女房物足りぬ   島 田
いゝ嫁も愚痴手土産の里帰り
嫁の愚痴無くて姑出番ない
ライバルの愚痴三昧線がよく響き


「雑  詠」        飯塚 すみと
噛み合わせよく診る医者はどこにいる 静 岡
自分では分らぬ色を妻見分け
スイッチを切ったつもりがまだついて
あちら捨てこちらとろうか花屋さん


「リハビリ」        中安 びん郎
リハビリに伸びた嬉しい試歩の距離   静 岡
リハビリに行くにはいつも杖を持ち
リハビリにとても好くない酒タバコ
リハビリに何時か大勢仲間出来


「雑  詠」        山田  ぎん
つばめの子大口そろえ親を待つ   静 岡
花が咲き水をやってる老日か
女の子大きな目をして口も開き
散歩道花を摘み摘み仏壇に


「夏の落とし物」      栃尾  奏子
太陽の死角で胸をときめかす      大 阪
熱帯夜彼女は人魚だったのだ
さよならを告げられてから向日葵に
交差点フワリおんなじアクセント


「息子よ…父よ…」     藤田  武人
平等に育てた筈の好き嫌い    大 阪
歓声に伸びる白球弧を描き
変わらない青空待っている田舎
知らぬ間に追い越していた父の背な


「白  髪」        酒井  可福
人は人 白髪羨む禿頭     北九州
妻だけは禿げずに白く居てほしい
五十路坂日に日に増える共白髪
玉手箱程のご利益ない白髪


「言 い 訳」        塚本  寄道
ボクがウルトラマンだった頃の話    長 泉
満腹になってもすぐに腹が減る
テスト後言い訳ばかりしたくなる
踏まれても負けるもんかと伸びるバネ


「雑  詠」        藪ア 千恵子
この暑さ脳の回路が停止する      焼 津
良い事があって素直な耳でいる
アメリカの学校に五年生の孫
宿題も英語できます四苦八苦


「楽しめよ」        石田  竹水
水掻きが無くて世の中泳いでる     静 岡
人間に揉まれて孤独楽しめる
憎まれているのも生きている証
敗北は認めていないから長寿


「夫  婦」        山口  兄六
どちらからキスをしたかでばれる嘘   足 柄
手を握り二人子供の顔になる
デジタルの時計妥協は許さない
いつも待ちいつも待たせる腕時計


「蜃 気 楼」        真 理 猫 子
気温より少し低めの嘘を吐く      岡 崎
煙突から後期高齢者の叫び
何事もなかったことにする鞄
不自由な理性が写す蜃気楼


「雑  詠」        林  二三子
覚めないでほしい楽しい夢だから    芝 川
足腰は痛むが口はまだ元気
山一つ崩して郷が都会めき
もっとエコしろよと地球動き出す


「猛  暑」        小野  修市
デブ腹が夏の温度をもっと上げ     静 岡
デブの息車の窓をくもらせる
この猛暑妻ドタドタと元気良い
熱帯夜忘れしばしの花火かな


「猫じゃらし」        多田  幹江
おばさまを思い出せない犬が吠え    静 岡
白星をつけると咽ぶ窓の月
ハンガーが足りないひょっとしてカラス
老春の陽だまりに咲く猫じゃらし


「鮎友釣り三昧・・・其の二十三」永田 のぶ男
釣れた鮎タモに入れると西瓜の香      静 岡
趣味の会囮と酒を持ちきれず
落ちつかぬ河川の工事気もそぞろ
来年の予想占う下り鮎


「葉  月」        増田  信一
雑草の生き様を見ろもやし君      焼 津
旧盆が分かり始める年になる
葉月です雑草取りに四苦八苦
甲子園汗と涙にかぶりつき


「エコかな?」       川村  洋未
長雨でたまった過去を整理する     静 岡
ゴミあふれ世界遺産は遠い富士
身の丈にあった車で無事故です
ほめまくりかたづけさせてエコ教え


「思いきり」        中野 三根子
思いきり笑ってしまう母の前      静 岡
思いきり泣いたら朝が美しい
思いきり飲んだらすべて忘れてる
思いきり食べてしまったああこわい


「金  魚」        佐野 由利子
目覚ましは数十匹のセミの声      静 岡
反論はゆっくり咀嚼したあとで
根性があって勇気の無い男
祭りの夜買った金魚は三日間

「夏まつり」        谷口 さとみ
秘め事をひとつ探しに夏まつり  伊豆市
口止めを目配せでしてすれ違う
戻れないだから尺玉哀しそう
アセチレンガスと一緒に終える夏


「自 由 吟」        今井 卓まる
通院の皆勤賞は自慢なの   浜 松
大儲けないが大損とも無縁
裏切りを朝まで待てずキーを挿す
仕方なしソーメンすする初夜の箸


「死  角」        池田  茂瑠
感覚の乏しい視野に花が散る  静 岡
後ろ髪引くのは狂う風ばかり
悪ならば死角の鬼が売ってます
厚底に時代遅れの足はめる


「  雨  」        川路  泰山
霧雨の中で漢を確かめる  島 田
運不運凌ぐ手のない逆さ雨
茫々の野面を敲く戦雨
大河相承残夢の中に漢一人


「自 由 吟」        高瀬   輝男
夢があるから人間として生きる    焼 津
頃合いへ愚見一つを進呈す
尻尾まで変身なんて出来ないな
上手だな喜怒哀楽の猿芝居


「ビールの季節」      望月   弘
百日花大人の恋を稔らせる       静 岡
風鈴をうるさく聞いて熱帯夜
太陽もそばかすがある気にしない
男だな小便小僧オトコだな


「自 由 吟」        加藤   鰹
引き抜いた釘が造反組になり      静 岡
未熟者だな未熟さに気づかない
自分へのご褒美だとさパスポート
タバコ税アップいじめはやめたまえ


「西  日」        柳沢 平四朗
追憶の手でむしってる夏の草   静 岡
歪んでいる靴で西日を蹴っ飛ばす
用意した篭を嫌った青い鳥
秒針は杞憂を敵にして進む


虎竹抄 | Link |
(2008/09/25(Wed) 09:40:13)

自 由 吟
  虎 竹 抄



「蜃 気 楼」        戸田 美佐緒
風向きが変われば消える蜃気楼     さいたま
石を蹴る石の行方は語らない
正解が浮かんだ夜の洗面器
恥かいてかいて林檎が熟れてくる


「カナブン」        大塚  徳子
物価高元気なくなり死にかける     仙 台
もしかして食べ残しかもAランチ
近頃は大人隠れて悪さする
侵犯かカナブンブンが行き来する


「自 由 吟」        竹内  さき
つゆの雨あれは涙か失恋か       浜 松
夕顔が匂う君の名呼んでみる
でんと赤い夕陽の向こう見たくなる
ふる里の森平泳ぎするロマン


「平成二十歳の夏」   濱山  哲也
夏だから稲川淳二ショーが来る     つがる
草などに負けてたまるか溶き卵
二十歳だが平成とても疲れてる
似合わなくなったTシャツまた一つ


「近況報告」        毛利  由美
雑草と同じ速度で成長期        つくば
お馬鹿な子に夢を持たせるお馬鹿キャラ
せーのーで梅雨の晴れ間に布団干す
抜歯して知る血の味は鉄の味


「雑  詠」        石井   昇
嘘っぽい顔でならんだ握り飯      蓮 田
半煮えの鍋で議論をする豆腐
薄墨の心に白い月が出る
浮雲の流れる果てや曼珠沙華


「性  分」        岡村  廣司
市役所へ入るときょろきょろしたくなる 焼 津
銀行へ入るといつも萎縮する
病院へ入ると何故か落着かぬ
警察へ入ると水が欲しくなる


「ちゅら海」        栃尾  奏子
蝋燭がユラリ私の過去未来       大 阪
踏み込めぬ溝に流れる親の愛
ちゅら海よ心洗濯しに帰る
切なさを抱いて少女の羽化間近


「  海  」        小林 ふく子
約束の海には少し遠い足        袋 井
海と会い無色の水になっていく
気晴らしに海へ心を預けます
夏の海人食べたいと言わないで


「家  族」        鹿野  太郎
ぎっちりと昭和が詰まるI・POD   仙 台
やけくそで鳴く日もあろう雨蛙
フィアンセと重い御輿を担ぐ父
玄関の前に消えない水溜り


「暮 ら し」        新貝 里々子
あれそれのあれがあれからないのです  袋 井
そば枕安定剤も切れました
バリアフリーの家で足あげ体操
妻という季節外れのからっ風


「祭  り」        塚本  寄道
お祭りの道路に並ぶ宝箱        長 泉
友と行く夜店ワクワク夏祭り
夏祭り同窓会になる夜道
塾帰りビルの谷間に見る花火


「雨 の 日」        芹沢 穂々美
雨の日は間違い電話さえ来ない     沼 津
昼から雨たっぷり充電できました
愚痴よそう雨の日ぐらい笑いたい
雨音に予定を変える日曜日


「雑  詠」        鈴木 恵美子
精一杯派手に泣いてるボクといる    静 岡
ポケットにアメ年だなと苦笑い
ダイエットしてよと膝に攻められる
昨日春今日は夏日と着ては脱ぐ


「雑  音」        馬渕 よし子
聴診器不平不満をまた捕え      浜 松
雑音が消えて孤独を噛み締める
雑音の中で闘志が燃え上がり
雑音と思って妻の愚痴を聞く


「警  告」        井口   薫
パソコンがまたオーナーに警告す    袋 井
スニーカーの底が警告する歪み
警告がずらりと並ぶ説明書
クリックを躊躇承諾書の厚さ


「亡  父」        酒井  可福
改心の涙で研いだ父の魂        北九州
物言わぬ遺影の父が返す笑み
結果論育児放棄の父である
かあちゃんに詫びろと言って酒をかけ


「雑  詠」        成島  静枝
カタカナ語メタミドホスは載ってない  千 葉
思い出すことで報いる母の恩
留守にするキッチン二泊分磨き
ご褒美に働き蟻に買う新車


「  数  」        安田  豊子
失敗の数だけ夢をふくらます      浜 松
未知数に挑む私の生命線
つまづいた石を数える余命表
付き合いの陰に隠れる嘘の数


「雑  詠」        滝田  玲子
世渡りのノウハウ学ぶ縄のれん     浜 松
満月のロマンを過去にする宇宙
晩学の余白に写経しめくくる
のらりくらり口は達者で上手く逃げ


「自 由 吟」        真田  義子
紫陽花がゆっくり咲いて梅雨に入る   仙 台
シナリオの通りに今日も歩き出す
あの時の嘘が今でも光ってる
生きているだけでうれしい今日の空


「ギ  ー」        鈴木 千代見
振り向いて風のいたずら影もなし    浜 松
油切れ人間ドック行かなくちゃ
そっと踏む築四十年だからなあ
送り出し胸さわぎして外に出る


「青  春」        加茂  和枝
春ごよみ農の季節がやってくる     岩 沼
気持ち良い空気が顔を撫でて行く
おとなしい喧嘩相手が気にかかる
たっぷりと今が青春言える年


「オンリーワン」      瀧    進
子を連れて女房無言の里帰り   島 田
父の日は毎日ですと酌をされ
月末の女房神様ほとけ様
「ありがとう」愚妻よ俺のオンリーワン


「長 生 き」        金田 政次郎
三代を生き三代に悔があり   静 岡
閻魔から催促が来た読み捨てる
お詫びして娑婆の片隅借りてます
自らと向き合う弱さ蝉しぐれ


「自 由 吟」        内山  敏子
寄り添いて心遊ばすコンサート  浜 松
コンサート足からやって来る冷気
誕生日明日から後期高齢者
級会おしゃべりの種どっさりと


「無  情」        鈴木 まつ子
人の逝く静寂無情の雨が降る  島 田
無情にも家族置き去り許されぬ
脛齧り情け知らずな子に育ち
今更と根掘り葉掘りとおせっかい


「気 休 め」        山本 野次馬
一時の笑いが気休めを誘う      函 南
念じてる気休めなんて脆い物
カラカラ喉からわめく常連語
有頂天煽てた脳へサロンパス


「区 切 る」        薗田  獏沓
激動の昭和戦争で一区切り     川根本町
街の灯の悲喜それぞれにあるドラマ
先代と区切りをつける三代目
喜寿米寿白寿と区切るよい讃辞


「自 由 吟」        ふくだ 万年
小走りで試食に並ぶツアー客  大 阪
後ろから嫁が糸引きジ・エンド
嫁の部屋時々ノックして暮らす
席ふたつひとり占めしてひとり旅


「実  感」        川口   亘
暫くはそっとしてねといい笑顔  藤 枝
云うことにこと欠いて知る付け焼刃
仕草だけ追って道理に近づける
揚げ句には出来ないことで音をあげる


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
あじさいがうるさい程に路に咲き   浜 松
父の日も戦争ぐらいに忘れられ
スピードでもしも負けたらどなんしよう
蝸牛見えぬ葉陰に季語が泣き


「法  事」        畔柳  晴康
読経する僧侶片手で汗ぬぐう    浜 松
大伽藍木魚すずかぜ孫眠る
法話聞きあとは包んだ金寄進
法要を済ませヤレヤレ軽い肩


「  春  」        川口 のぶ子
暫らくは春と云う季に遊ばれる    藤 枝
夢うつつのどかに春の息を吸い
そっと手に抱いた春から空を見る
手拍子が春と遊んでさくら堤


「しりとり川柳(避暑)」  中矢  長仁
梅雨明けの猛暑になった避暑に行く 松 山
避暑に行く場所は我が家の霧ケ峰
霧ケ峰冷房病で点けられぬ
点けられぬクーラーせめて風送る


「幸  せ」        中安 びん郎
幸せになるには欲を無くすこと   静 岡
火星には水があるのか五分と五分
小姓より豊太閣に成り上がる
付き合いは細く長くとよくおごり


「雑  詠」        柴田  亀重
お絵描きも下手で無理だと言う手本 沼 津
箱ばかり残る政治に似てる家
見た目良い悪い仕事と語らない
此のグチを捨てねば妻に捨てられる


「自 由 吟」        山田  ぎん
白内障手術したのでよく見える    静 岡
家の前花が見事に咲き競い
食事前ビール飲んでるいい笑顔
ビアガーデンみんな笑顔でさわいでる


「雑  詠」        飯塚 すみと
盲学校名称替わり偉くなり     静 岡
ミカン買いチョコ買い満足行楽日
しっかりとたたむ癖あり潔癖症
日曜日金魚水替え待っている


「なんだかな〜」      小野  修市
物価高目尻の皺も吊り上る       静 岡
気が多く手ばかり出して空回り
財があり気前良い方まってます
ぬかるみに足踏ん張って生きていく


「孤  憂」        西垣  博司
その先は崖でしかない泣きぼくろ    静 岡
地に這った薄日の中の影法師
障子越しいつかしじまで雨が泣き
とっくりの酒冷えて妻七年忌


「自 由 吟」        恩田  享史
目に見えぬ嘘は必ず暴かれる      静 岡
幸せな笑顔でつくる目尻シワ
複数のビール混ぜると鉄の味
ぐらぐらと思いつくのがグリとグラ


「自 由 吟」        藪ア 千恵子
別腹にする好物が出てギャフン     焼 津
量よりも質にこだわる歳となり
カラフルな旅です梅雨もなんのその
自分にも旅の記念を買ってくる


「七  月」        増田  信一
ラッキーな月だと思い宝くじ      焼 津
真夏でも風鈴吊るし後団扇
文月に恋文出して秋を待つ
短冊に願いを綴る年は過ぎ


「鮎友釣り三昧・・・其の二十二」  永田 のぶ男
水も冷え友の動きも鈍くなる       静 岡
下り鮎群れて仲よく追い忘れ
日は西に動きの悪い群れの鮎
下りでの昔は釣れた尺の鮎


「自 由 吟」        長澤 アキラ
目の中に入れたらやはり痛かった    静 岡
文明の極みであろう湯が沸る
淋しさも脆さも包む馬鹿笑い
おろおろと足音だけが遠ざかる


「旅 の 空」        中野 三根子
地図だけで世界の空へ飛んでみる    静 岡
テレビでも世界旅行をしてしまう
雲の上小さな自分みつめてる
地平線追いかけている旅の空


「雑  詠」        林  二三子
強がりを言ってもやはり年に負け    芝 川
通販で飛び付いた器具部屋の隅
町名が変わって郷が味気ない
友の無事暑中見舞で確かめる


「老 朽 船」        多田  幹江
老朽船軽いものなら積めますか     静 岡
気がつくと空っぽの舟漕いでいた
日が暮れてオムツも眠くなりました
絞られて花のオブジェになりました


「雑  詠」        川村  洋未
一番の笑顔見せるのまだはやい     静 岡
プチ整形心のしみも消え去った
お帰りのお返事ボタンセットする
女です化粧の時間確保する


「茶を入れる」       石田  竹水
尾を振れと尾の無い俺に無理を言う   静 岡
もう一度転べば痛み思い出す
昔ばなしが大好きで茶を入れる
陽は昇るみんなに笑顔振り撒いて


「しっとり」        山口  兄六
しっとりとなついて欲しい雨宿り    足 利
メール内チラッと覗く顔がある
ダメだって言ってもピィと鳴くヒヨコ
脳みそを返して欲しいアツイ夜


「  命  」         中田   尚
点滴が最終章を書き換える       浜 松
見舞い客最終章に長い列
カラフルな管が命にしがみつく
付き添いもシフトを組んで引きのばし


「  火  」        真理  猫子
忘れたい事はくすぶる火山灰      岡 崎
初恋は今も火種を点けたまま
見守っていたい花火もあの人も
陽が落ちて火星へ帰るミニトマト


「自 由 吟」        今井 卓まる
旋律が際立つ今宵機を迎え       浜 松
生業は握手とお辞儀する笑顔
記念日を妻間違え俺女々しい
ぐらぐらと沸きに沸きます原油高


「フォトグラム」      谷口 さとみ
花を撮るふりしてあなた狙ってる    伊 豆
私のシャッターチャンスにいたあなた
リセットのボタンに慣れてない昭和
一枚でくるくるまわる風ぐるま


「  男  」        佐野 由利子
公休日 男はウソを考える       静 岡
生ぬるい男にワサビてんこ盛り
クスクスとラジオ聞いてる独り者
嘘少し混ぜれば手紙上手くみえ


「赤いパズル」       池田  茂瑠
逢う前に赤いパズルの隅を解く    静 岡
討ちにゆく胸の水はけ終ったら
姑使う私がゴミに出した羽根
濃く塗って逢って掴めたものは泡

 
「漢の画譜」        川路  泰山
舌峰に布は着せない表道       島 田
連山を串刺しにして酒肴とす
どこまでを許すか山に霧が降る
山ばかり描いて漢が綴る画譜


「雑  詠」        高瀬  輝男
気まぐれなコント拾った繁華街     焼 津
見え透いているから乗ろう口車
身の程を知らされ冬が尚寒い
華やかな舞台夢見る小銭たち


「ビールの季節」      望月   弘
大切な客かも知れぬ瓶ビール      静 岡
サヨナラに同席しない缶ビール
生ビール進行形の恋がある
地ビールに案内されていくホテル


「自 由 吟」        加藤   鰹
ニイハオと言うかも知れぬこのウナギ  静 岡
総選挙しろよと鍋が吹きこぼれ
ちょいウザい等身大のルミエール
幸せがたじろぐ通り雨が降る

 
「ピ エ ロ」        柳沢 平四朗
福相の血圧という敵を抱き       静 岡
足跡に平伏しない予定表
影法師お前も優柔不断だな
盃の底にピエロが棲んでいる


虎竹抄 | Link |
(2008/08/24(Sat) 13:53:24)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「洗  濯」        鈴木 千代見
帰省する洗濯物も連れてくる      浜 松
太陽を追いかけながらお洗濯
今日は晴れ旅へ心のお洗濯
洗濯機嫁も姑も絡み合い



「自 由 吟」        ふくだ 万年
首の上外して見ればえぇ姿       大 阪
暇だから今日もお医者の梯子する
梅雨ですね嫁と紫陽花七変化
逝く時は傘が無くてもいいらしい



「あじさい」        鈴木 恵美子
紫陽花に内緒話を盗まれる       静 岡
あじさいの季節別れた友を恋い
あじさいが廃墟の庭に咲き誇る
雨の日のペンは静かに燃えている



「雑  詠」        井口   薫
呑み込んだ言葉でメタボ加速する    袋 井
なぜだろう棘抜いてから孤独感
躓くと怒りどんどん遡り
原油高廻転寿司へ自己規制


「ある一日」        増田  久子
調律の日だけピアノの蓋が開く     焼 津
幸運の財布もキャッシュ出てくだけ
大根がこんなに増えたかつらむき
冬ソナの曲とっときのメール着く


「父 の 日」        岡村  廣司
父の日が話題になった事もない     焼 津
父の日もやっぱり被るヘルメット
父の日と日記に書いておいただけ
父の日はビール多目に飲んで寝る


「雑  詠」        石井   昇
さだめなら青空なんか望まない     蓮 田
同じ月見ても泣く人笑う人
沈黙のままでエロスの夜が明ける
はらっても未練目にしむ薄煙り

「  震  」        高橋  繭子
ポジティブなひとは気づかぬ小地震   大河原
中地震みな平等に揺れている
あっという間に引き裂いた大地震
かなしみの数だけ襲いくる余震


「自 由 吟」        松橋  帆波
談合で僕らはみんな生きている     東 京
万歳が好きで羊の無責任
ヨン様の国 日の丸を焼いている
白人がやられりゃみんなテロにされ


「自 由 吟」        提坂 まさえ
タマネギがすきとおるまで第五聞く   静 岡
大荷物幸運いつも入れ忘れ
小雨降るフランスパンをたてて持ち
紫陽花の決めかねている今朝の色


「聞  く」        薮ア 千恵子
片意地の付けが回った肩の凝り     焼 津
しびれ出す足を笑っている正座
一聞いて十を知るには足りぬ脳
ふんふんと聞いて返している自慢

「淋しい日」        金田 政次郎
合歓の葉の眠り羨む不眠症       静 岡
ペタンコの夢で風船伸びている
夕闇に飛ばそう俺の処方箋
仏様休憩室は何処ですか


「梅雨明け」        小林 ふく子
にわか雨濡れて歩いた日の想い     袋 井
雷に次の予定が脅えてる
理由などいらない汗がひた垂れる
夏が来て避暑地の財布喧しい


「聖  火」        成島  静枝
チベットを引き摺っている聖火隊    千 葉
海外じゃトーチリレーと単に言う
政争でもみくちゃになる聖なる火
それはそれオリンピックは楽しみだ


「雑  詠」        萩原 まさ子
赤い糸結びきれずに空を舞う     静 岡
プロポーズあじさい色の返事して
宵宮の小粋な娘豆しぼり
うさぎ小屋だから家族の目が届く

「運  命」        真田  義子
運命で繋がれていた赤い糸       仙 台
淡い恋記憶のすみでまた燃える
ほろ苦い思い出混ぜて飲む紅茶
雨の日の言い訳電話鳴っている


「クロアチアの旅」     新貝 里々子
こんにちわが通じるアドリア海はブルー 袋 井
スクワットの成果城壁登りつめ
夫婦喧嘩 世界遺産の真ん中で
腹いせにド派手なピアスふたつ買う


「雑  詠」        芹沢 穂々美
花結び急いで開けるいい予感      沼 津
踊りすぎ腰痛になるフラダンス
祭りばやし女ごころが乱れます
踊らされ自治会の役引き受ける


「自 由 吟」        寺脇  龍狂
拝啓も時下尊堂もないメール      浜 松
姉が逝き明治は遠くなりにけり
子の噛んだ残り医療がかじりに来
超後期霞食っても生きてやる

「家  族」        塚本  寄道
父と僕悪いとこだけよく似てる     長 泉
じいちゃんの倉に宝がありそうだ
ごまかして甘えてみても母は母
試験前母の小言と焦るボク


「自 由 吟」        内山  敏子
スッピンの化粧忘れた働く手      浜 松
バス待ちへ笑いころげる手話の子等
衝動買い朱に年齢ふと忘れ
ウインドーの程でなかった海老フライ


「一 週 間」        濱山  哲也
月曜日支配者顔でやってくる      つがる
火のようなトラブル水をかけまくる
木の陰に隠れて五時に現れる
週末は幾ら追っても逃げていく


「雨を楽しむ」       中矢  長仁
気まぐれな私アジサイ雨が好き     松 山
雨が好きカエル・アジサイ・蝸牛
夜降って昼は仕事の出来る慈雨
梅雨空も初夏の風物傘を買う

「  窓  」        山本 野次馬
平成の窓で足踏みするラッパ   函 南
産道へ夢いっぱいの窓があく
駄菓子屋の扉にオールウェイズの窓
空っぽの小窓に百彩のドラマ


「初  夏」        毛利  由美
生足の白さまぶしい初夏の候  つくば
序の口の暑さに向かう扇風機
健全な子が塗っている日焼け止め
オープンガーデン見せたい人と見たい人


「小 宇 宙」        栃尾  奏子
店内を心配りで敷き詰める    大 阪
タカイ下駄響く頑固な店の奥
臨月へ妻のまあるい小宇宙
愛のある暮らし始めるエコバッグ


「梅 雨 空」        西垣  博司
貯水槽担いだ雲が居候     静 岡
空に海有るかのように降りつづく
予報ではカサは要らぬと云った筈
梅雨空の一服を待つ屋根仕事


「  風  」        薗田  獏沓
電子辞書晩学の脳かすめ吹く     川根本町
いい風が吹いた僕らも仲直り
涸れかかる詩情微風吹き渡る
この風に乗って幸せ掴もうよ


「  錆  」        安田  豊子
いつまでも錆びた肩書き鼻にかけ  浜 松
錆ついた脳にも消えぬ記憶力
ローカル線錆びたレールを渡る猿
風鈴の渋い音色も錆びてこそ


「自  由」        酒井  可福
ATC気軽に預金が借金に   北九州
耳寄りの話は一歩引いて聞く
どん底に居てもデッカイ夢をみる
ほどほどに大人を真似て叱られる


「メリハリ」        大塚  徳子
野球とや盗んで刺してなんぼやで 仙 台
ガソリンに振り回される四月バカ
モロコシを人と車で奪い合い
昼行燈メリハリつける句読点


「  背  」        鈴木 まつ子
背中にも眼はありますよ読む空気   島 田
背中から漲る気迫芸も冴え
お疲れの背骨を伸ばす呼吸法
人生のイロハ辿って色を足す


「眠  気」        馬渕 よし子
マンネリの暮らし一日眠気差す   浜 松
目覚ましが鳴ると眠気が倍になり
年金が減ってやる気が失せ眠気
飽食に慣れて心地の良い眠気


「自 由 吟」        山田  ぎん
太陽に輝く風車鯉のぼり       静 岡
嬉しさは丸をふたあつ大はしゃぎ
今日こそは勝つと意気込み勇み足
試合無い雨で出来ない空見上げ


「希  望」        畔柳  晴康
高いのは望だけにて身は低い    浜 松
今日も又不出来で終る高望み
雨が降る望ねがいは明日にする
稔らない後期高齢夢ばかり


「さくらさくら」      瀧    進
断ち切れぬ思い未練の花筏     島 田
葉桜になって堤の風を恋う
咲く春も散る春もあり山桜
金さんの桜吹雪に悪も散る


「雑  詠」        滝田  玲子
ながながと未練残した飛行雲   浜 松
句が出来ず焦りエンピツ転がされ
再生紙森の緑にいやされる
角とれた石がやさしい顔してる


「自 由 吟」        竹内  さき
も一人の紅落ちぬ間にカンナ炎ゆ   浜 松
踊ろうよ芸ない影と夜明けまで
入れ替えた私の姿歩幅かえ
暮れなずむ夕焼けの海手をつなぐ


「雑  詠」        飯塚 すみと
朝の廊蛞蝓一匹頭あげ       静 岡
小書店の隅が中二の談話室
朝青龍負ければいいと妻が言う
年になりやさしい方の辞書を買う


「わが家系」        中安 びん郎
わが家系農業が好き土も好き      静 岡
わが家系音楽が好き歌も好き
わが家系のんびり型で長寿型
わが家系胴長短足力士型


「白百合が咲く」      柴田  亀重
鶯が近くで美声梅雨晴れ間       沼 津
連日のシビレ・悪寒のナゾ解けず
幸せに八十越し生かす安定剤
祝長寿支える妻がいる強さ


「自 由 吟」        小野  修市
仕事行く妻に見えない尻尾振る     静 岡
めざわりなメタボも好きさ俺の腹
ポイ捨ての顔が見たくて後を追う
一度だけ信じた そして泣かされた


「日  常」        堀場  梨絵
台本のない演技を今日もしています   静 岡
その先へ待ったをかけるのも日課
がまんしたから今日はごほうびあげようか
矢面に立っても命まだ達者


「六  月」        増田  信一
水無月と何で付けたの入梅に      焼 津
六月と思う暇なくすぐ師走
半年で稼ぐお仕事ありますか
六六六六六唸っていたら梅雨明けた


「自 由 吟」        林  二三子
訪販の罠を見抜ける歳になる      芝 川
身長が年取る毎に減る辛さ
老化かな許せることが多くなり
右左脳を塞がぬためによく喋る


「御 招 待」        石田  竹水
晴れた日は喜び半分温暖化       静 岡
天国の消印で来た御招待
鉄よりも強くてやわい思い遣り
老いの日々寝るのも惜しくなる時間


「鮎友釣り三昧・・・其の二十一」永田 のぶ男
つれづれに誘いさそわれ鮎河原       静 岡
雨の日も風にもめげず鮎が呼ぶ
釣り師には雷さんは嫌な奴
ハス任せ遡上の川に苔任せ


「生 渇 き」        多田  幹江
灰汁抜いて軽い女になりました     静 岡
他人は他人今日も暮れゆく無言坂
人間を乾しに出ましょう梅雨晴れ間
老春の陽だまりにいる生渇き


「市民川柳葬送曲第八」   長澤 アキラ
おにぎりが駆け出して行く五月晴れ   静 岡
流れ矢に当たったような絶頂期
みよちゃんと落書きをした寺の塀
五月晴れ 妻にもばれず別れたし


「ピンク・デビル」     川路  泰山
桃色の鬼が笑っている谷間       島 田
大きな河だな少し泳いでみるか
悪臭を放つ河ならぶった切る
強引に生きて漢の譜を綴る


「青 い 鳥」        池田  茂瑠
騙された祭りだ笑い過ぎぬよう     静 岡
青い鳥君には羽根があるのだね
花が咲く女の罠の渕なのか
私まだ蕾ゆっくり開きます


「寵  愛」        山口  兄六
神様に頼み忘れて今日の雨       足 利
見え透いた自己紹介に騙されて
寵愛の迷路 私は花菖蒲
うっかりと妻に漏らしたボーナス日


「匂  い」        真理  猫子
禁煙のタクシーだけど酒くさい     岡 崎
きな臭い還元水で育つ芋
裏切りの匂い漂うクオカード
与野党の切り札おなじオヤジ臭


「自 由 吟」        今井 卓まる
したくても自慢できないツーショット  浜 松
足元で仕事終わるを待つ子猫
理攻めして客に勝ってもノルマ負け
アリバイに使った店は定休日


「かけひきゲーム」     谷口 さとみ
人相の良くない招き猫がきた      伊 豆
嘘と知りながら待ってる逃避行
捨てたいが鏡は秘密知っている
君が今食べたケーキは人参よ


「おもいきり」       中野 三根子
心からさけんでしまうありがとう    静 岡
夢の中やっぱり今もおかあさん
夢で良いやさしい君とただ握手
青い空ただそれだけで感謝する


「マナー違反」       中田   尚
ああこわい人形いくつ潰すのか     浜 松
十五才親のタスポを使わせる
ケータイででっかい声の独り言
押し車わざと後ろを蹴らないで


「薔  薇」        川村  洋未
芽は出たがここには薔薇を植えたはず 静 岡
どの薔薇を連れて帰るかまよい道
しおれても薔薇の姿はとどめたい
あの薔薇は他人の庭で動かない

 
「忘 れ る」        佐野 由利子
忘れごと多い自分に腹が立ち     静 岡
出来ないと思わせるのも一つの手
ライバルのテンポに合わすことは無い
おやアンタも私と同じ猫嫌い


「雑  詠」        高瀬  輝男
空想をケタケタ笑う流れ雲       焼 津
笑えない事故を笑顔で応えてる
混迷の世を跋扈する悪企み
去って行く背中悔しさかくさない


「花 泥 棒」        望月   弘
運のいいことに躓く石がない      静 岡
花好きの花泥棒を許せない
真っ白に漉かれた紙がウツになる
ふるさとにのるかそるかの三世代


「自 由 吟」        加藤   鰹
初恋の日に揺れているタチアオイ    静 岡
ずるいのが一人たちまち醒める酔い
温室の中で育てた殺人鬼
謎一つ解けて僕らの梅雨が明け

 
「五月の風」        柳沢 平四朗
子に負けて五月の窓の風と逢う     静 岡
どんじりを笑う元気が憎めない
前頭葉枯れて積ん読しおり棚
天引きで楢山行きを急かされる


虎竹抄 | Link |
(2008/07/24(Wed) 09:34:57)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「メ  ガ」             大塚  徳子
どうぞどうぞと仮面の注ぐ赤ワイン       仙 台
人間が大きく見えた青リンゴ
タスポカードの貸し借りはご法度か
これでもかメガ文字足らずカギカッコ



「私とバラ」             竹内  さき
占ってコーヒー甘く君を待つ          浜 松
ときめいて唇少し揺れている
ため息も深く尽くして春はゆく
以上ですテーブルのバラ仐をかす



「ためいきの・・・」         新貝 里々子
「愛してる」なんて気軽に嘘っぱち       袋 井
花束を抱いたおとこは大嫌い
本心は花束も欲しラヴも欲し
ときめいたそんな昔は遠い過去


「雑  詠」              滝田  玲子
富士を背に照れて赤らむ桜えび         浜 松
ノンちゃんが待つ雲に来る桃子さん
値上がり品ずらり並んだ痛い春
栄転の内示で靴が軽くなる


「未  練」             安田  豊子
コーヒーへ苦い未練をかき回す          浜 松
脳みその眠気を覚ます濃い煎茶
独り酒飲めばあれこれ悔いばかり
花より団子飲んで喋って泣けてくる


「雑  詠」             ふくだ 万年
定年でスーツと仮面脱ぎ捨てた         松 原
お疲れさん壁の背広に話しかけ
籤買って心ウキウキ居酒屋へ
買ったけど使う宛てないペアカップ


「目のやり場」            増田  久子
人目気にするほど人は気にしない         焼 津
交番で眼鏡のまんま泣く迷い子
正直に叶姉妹へ異性の目
親の目が黒いからいい気のニート


「  恩  」             馬渕 よし子
恩人の影をしっかり踏んでいた         浜 松
恩なのか計算高い人なのか
恩返し当てにしないが忘れない
恩返しなどと孫連れ食べに来る


「未 練 酒」             鈴木 まつ子
失意の日しばらくそっと保温する        島 田
花の雨少しほとぼりさめるまで
つかの間の気分転換聴くショパン
この思い惚れた弱みの未練酒


「家族の肖像」            濱山  哲也
一言多い弟と足りぬ兄             つがる
カタログ誌童話のように妻が読む
発泡酒ほどよく舐めて眠る犬
劣勢の遺伝が親と子の絆


「5月5日」             毛利  由美
結婚記念日ユニクロでシャツを買う       つくば
夫には5月5日はこどもの日
5月5日かぶとは屋根裏で眠る
あまりない屋根より高いこいのぼり


「雑  詠」              飯塚 すみと
上手くない口笛吹いて児が下校         静 岡
カード出しレジ長びかす老婆居て
女子高生どっち向いても笑い合い
安い靴右と左の履き心地


「雑  詠」              山本 野次馬
失恋中ですファミレスでカフェラテ        函 南
鉛筆の芯の脆さに気付かない
折じわのシャツが弾ける入社式
雨漏りの穴から木漏れ日の笑い


「自 由 吟」             寺脇  龍狂
湯上りと言えばメールも艶かし         浜 松
顔ぶれが変わる四月のヘルメット
高齢へ中期を作るチエがない
祖父が逝き天長節が死語となり


「雑  詠」             内山  敏子
肩書きが取れてフワリと軽くなる        浜 松
ペダル踏む裾にまつわる初夏の風
凧の糸切れて自由な風に乗り
連休の来客妻は音をあげる


「自 由 吟」             栃尾  奏子
一途さを愛してやまぬのは飛天         大 阪
ひらりらと蝶が覗き穴にとまる
その場から世相を払う柔軟さ
はじまりも終わりも知っている宇宙


「丸 い 月」             石井   昇
誰が宥めたのか月が真ん丸い          蓮 田
泣き出したお好み焼きを裏返す
極楽は塩がのってる升の角
上衣着る認めたくない負け戦


「自 由 吟」             藪ア 千恵子
薄墨の袋を抱いている涙            焼 津
袖振り合う人の情けが身に沁みる
届かない背中に焦れる五十肩
踏ん切りの悪い男の愚痴を聞く


「母 の 日」             酒井  可福
ひとときを母の墓前に手を合わす        北九州
母の日は男料理の見せどころ
母の肩つぶれぬようにもみほぐす
母の日の前は小遣いせびられる


「鮎を食う」             金田 政次郎
手を延べる遡上の堰に舞う鱗          静 岡
年魚とは悲しみ誘う鮎の性
鮎を食う焼きたてを食う指で食う
落ち鮎はしっぽも食って供養する


「ほろ酔い」             岡村  廣司
ほろ酔いにならなきゃ軍歌出てこない   焼 津
水溜りぐらいほろ酔い避けてゆく
副作用有るわけないさほろ酔いに
ほろ酔いがたたいたドアーお隣だ


「ゆっくりと」    真田  義子
思い出の中で生きてる淡い恋       仙 台
自画像は素顔のままに描くつもり
ゆっくりと過去振り返る春の月
ゆっくりと心浮かせる露天風呂


「花  見」       鈴木 恵美子
桜散る野辺にすみれが顔を出す        静 岡
たましいがそぞろ歩きをした花見
タンポポの黄に語りかけたい散歩
風みどり詩人の椅子にちょっと掛け


「定  年」       鈴木 千代見
定年日熱い視線に背を押され   浜 松
アイロンがけ着ることもない作業服
明日からは肩書きもとれ自由人
待つ妻に先ずは感謝の赤いバラ


「売  る」       薗田  獏沓
名を売ってから選挙に出る時代 川根本町
日本の舌を馴らしたハンバーガー
生臭をラップして売る焼き魚
恋人の居ない女が艶を売る


「  道  」      井口   薫
怖いもの知らずの頃のハイウェイ  袋 井
直線の道で疲れがどっと出る
インターが出来て野原に御殿街
逃げ道をせっせと造る道路税


「凧 祭 り」       畔柳  晴康
伝統の凧の祭りに老い忘れ   浜 松
大きさと糸を切り合う凧合戦
天までも子の成長を願う凧
空に凧よくぞ男に生まれけり


「梅雨間近」       小林 ふく子
びしょ濡れの心シャワーで癒してる  袋 井
急な雨時間潰しに友が増え
思いの外いい句に会える雨の午後
梅雨晴れ間ソーダ水を飲んだよう


「風  邪」       成島  静枝
三食の合間を休む主婦の風邪     千 葉
風邪声を武器にセールス斜め切り
ウイルスが右脳左脳を掻き混ぜる
鼻水を猫も垂らしている師走


「  靴  」       芹沢 穂々美
新品のスニーカーおろす大安日  沼 津
慣れぬ靴はいて愚痴でも聞きましょう
ピンヒールはくには足が太すぎる
雨の日のセールスの靴乾いてる


「山 頭 火」       瀧    進
たんぽぽの風と奏でる自由律    島 田
野良犬と軒共にする秋しぐれ
破れ笠月を添い寝の無住寺
生かされてまた故郷の空を見る


「無 農 薬」       中矢  長仁
この野菜虫も食べてる無農薬      松 山
食べて見て素材は自信無農薬
新鮮で味一番の無農薬
子に送る味一番の無農薬


「近  況」        川口   亘
威張るだけ損をするよと諌められ  藤 枝
威張っても杖の分だけ労わられ
少子化に出す小遣いも高くつき
気懸りを幾つものこす未知が有り


「  春  」       川口 のぶ子
愚痴の芽も新茶も同じ春を知り    藤 枝
幻想に悩まされてる春の宵
人恋し春という季をもて遊ぶ
気詰まりを段々外し春を呼ぶ


「雑  詠」       山田  ぎん
触れ合いの仲間笑顔で話し掛け   静 岡
用宗の老人センター人が寄り
カーネーション母の日祝う玄関に
家曾孫アレコレ言って指をさし


「身を洗う」       加茂  和枝
太平洋波はざぶんと身を洗う    岩 沼
本当の旅に出逢えた友ができ
ゆったりの旅で元気になる私
次次と課題が生まれゆく地球


「歯 科 医」       中安 びん郎
老化して顎が細まり歯科へ行く   静 岡
口開けて痛くないねと歯科医言い
川柳に興味持ってる歯科医院
梅干しの種噛んで行く歯科医院


「08 4/30〜5/1」     西垣  博司
駆け込みでささやかなトクしたつもり   静 岡
古のれんやめて今夜は給油する
日本中火気厳禁の夜が更ける
ガソリンが五月の空に高く舞い


「自 由 吟」       松橋  帆波
料亭で大人の知恵を授けよう     東 京
放射能以外も漏れる原子力
米軍はやはり占領軍であり
平壌は投げる卵も無いだろう


「無  題」             鹿野  太郎
年金で豊かに過疎の風になる         仙 台
筍の皮を丸めて吸う昭和
伏せをする盲導犬が消す邪念
火種撒き散らしてトーチリレーする


 「夫  婦」             戸田 美佐緒
ゴキブリも家来にしてる妻の乱      さいたま
殿様と呼べば振り向く妻である
駄目ですよそこは私の天守閣
それだって照る日曇る日夫婦です


 「ガラクタ」          塚本  寄道
ガラクタも言葉ひとつで値打ち物    長 泉
ガラクタと分かっていても欲しくなる
ガラクタの中に隠れた猜疑心
ガラクタと言われてもこれ宝物


 「アドベンチャー」         多田  幹江
情報の森にぽつんと天邪鬼          静 岡
食充ちて飛ばぬヤンバルクイナ生む
チャイナを食すアドベンチャーの貌をして
親の気も知らぬハシブトカラスの子


「雑  詠」             柴田  亀重
庇い合う痛い苦しい言わないで        沼 津
麗なる外へチワワの甘えなき
オリンピック聖火へ御負付く話題
時過ぎて誰も聞きたくない話


 「水 芭 蕉」             林  二三子
新緑の風に吹かれて露天風呂       芝 川
ハイキング会釈で木道譲り合う
水芭蕉雪解けを待ち顔を出す
ひっそりでもしっかり自己主張している


 「五  月」          増田  信一
五月は春か夏俺の心秋         焼 津
鯉のぼり男の影が薄くなり
五月病俺の場合は秋になる
五月晴れ雨が降っても前を見る


 「鮎友釣り三昧・・・其の二十」   永田 のぶ男
子供らが河原で学ぶ水泳ぎ          静 岡
せせらぎで真夏に育つ元気な子
子供らの遊び場あけて竿を出す
見守ってマナーを示す天狗連


「自 由 吟」             中田   尚
無関心命命が軽くなる            浜 松
ミスをして反省をしてミスをする
パンダにも二十五円にも揺れる
先着に電車つかって間に合わず


 「  心  」             中野 三根子
いつまでも母は心の中に居る       静 岡
母の日に心づくしの花の色
心にもない言葉さえ言ってみる
心から感謝をしても遅すぎる


 「タイミング」         川村  洋未
時お金いつもおくれてやってくる    静 岡
中間にいればいつでも逃げられる
さがし物見つかる頃は役立たず
ごめんねと言えるチャンスが消えて行く


 「甘  え」            石田  竹水
傷口の甘えに耳は貸しません         静 岡
人混みの中で甘えの孤独感
ビー玉を転がしている密告者
三日月が恐い徘徊もうしない


「祟 り 神」             山口  兄六
仲がいいお互い後ろめたいから        足 利
どうぞどうぞと危険ゾーンを譲り合う
行列のできない店で買う時間
天国か地獄か一夫多妻制


 「毒りんご」             真理  猫子
バイパスができた過疎地は過疎のまま   岡 崎
どんぐりを知らない子らのせいくらべ
あら熱を恋の微熱で取っている
正直に生きているから毒りんご


 「自 由 吟」          今井 卓まる
大海で鯨も独り大涙          浜 松
海の深さを目分量で測る猛者
煩さに起きて気付いた我がイビキ
大の字もそろそろ飽きたニート君


 「ストーリー」           谷口 さとみ
花が咲くまでは水やり欠かさない       伊 豆
たいくつで口紅変えてみたくなる
もう一杯呑めばデジャブがみえたかも
実印に託す喜怒哀楽のケリ


「雑  詠」             佐野 由利子
乗り換えに夫と走る跨線橋           静 岡
男より早く歩いて嫌われる
五線譜に少年の夢踊ってる
駅までの散歩も兼ねるマイホーム


「懐かしい過失」             寺田  柳京
パラソルで顔かくしてもそれと知れ     静 岡
黒くても金魚覚悟は出来ている
整形をしない当時に似て生れ
懐かしい過失だったと諦める


 「浅い考え」           池田  茂瑠
踏み込めぬ掟の線を持つ二人      静 岡
両親の手が弾めない毬にした
考えの浅い部分もある手紙
薄い胸おこした思慕の火も淡い

 
 「乱  調」        川路  泰山
十指皆恋人にして妻がいぬ            島 田
熟れ過ぎた桃だが味は抜群さ
太陽を半分に切るジジとババ
高齢者乗せて地盤が陥没だ


「雑  詠」             高瀬  輝男
社交辞令の余韻にあったバラのトゲ       焼 津
黙殺をされているなと気付く宴
輪の中に隠されていた落とし穴
重病の地球へカンフルでも打つか


「宇宙から」                望月   弘
万華鏡から覗かれている財布        静 岡
衛星が捨てられていく青い空
徘徊のワタシを宙が監視する
宇宙人もどきが棲んでいる地球


 「しぞ〜か弁川柳」        加藤   鰹
オトマシイ明日は我が身か大地震     静 岡
容姿などトンジャカネエと言うけえが
センダッテ買ったテレビだセセクルな
コクルってコックリさんじゃにゃあだから

 
  顧  問  吟 
 「  臍  」          柳沢 平四朗
春いっぱい旅の言葉が屯する           静 岡
腹いせのペンを写経で見失う
帳尻は天へ預ける四面楚歌
熟年の視点へ臍をつけ替える



虎竹抄 | Link |
(2008/06/26(Wed) 08:37:12)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「雑  詠」             井口   薫
喝采を浴びた桜に風の恩            袋 井
独り旅佛に道を聴き歩く
独りです開脚立ちをして耐える
がらんどうだからリボンを掛けておく



「さ つ き」             小林 ふく子
鯉のぼり空気まずいかおいしいか        袋 井
新茶飲む腹の虫にも知らせとく
五月晴れここらで答出しましょう
すぐそこの夏をのぞいてみることに



「自 由 吟」             栃尾  奏子
覗きみて以来妬心をたぎらせる         大 阪
自尊心かき集めては狭い視野
路地裏を黒いルールが支配する
場違いなムードつま先から凍る


「雑  詠」              成島  静枝
姑の癖を夫も持ち合わせ            千 葉
私にはカチンと来たわ無言劇
ヨイショして男の面子らしきもの
シーソーの中で迷惑してる猫


「無 人 駅」             真田  義子
ゆっくりと春彩になる無人駅           仙 台
肩に星はらりと落ちた無人駅
草笛のこだまが返る無人駅
寅さんが帽子忘れた無人駅


「四  月」             毛利  由美
入園式ママはまだまだ美しい          つくば
新社員スーツ姿もスリムだね
エイプリルフール生まれのお友達
新しい試練 仕送りが始まる


「昆 虫 記」             濱山  哲也
引きこもり蓑虫だって羽がある          つがる
年とった僕にカマキリもう逃げぬ
浮気ムシ妻の視線が殺虫剤
お目当てはお隣ですよコガネムシ


「四 姉 妹」             戸田 美佐緒
おんなですどこを押しても非常ベル      さいたま
刃こぼれをしても女が転ばない
万華鏡くるりと戻す女の手
女が崩すポーカーフェイスの夜


「凸 と 凹」             加茂  和枝
辛いとは絶対言わぬ冬の花           岩 沼
土作り春の希望が膨らんで
凸凹の工事に使うエネルギー
わだかまりようやく消えて春の色


「文  字」             塚本  寄道
筆書きでベタぼめされたヘタな文字       長 泉
読めるけど書けなくなった現代人
必勝という文字ボクにのしかかる
好きですと書いた向こうに君がいる


「自 由 吟」             萩原 まさ子
悔恨を集めなおして明日の夢         静 岡
争いは中腰で聞く処世術
中流の胡坐崩していく格差
赤福の甘さ加減は藪の中


「雑  詠」              藪ア 千恵子
先人の話此の身も近くなる           焼 津
自信家に逆らっている肚の中
それぞれの暮らし個性が花ざかり
ほいほいと煽てに乗せる二言目


「自 由 吟」              安田  豊子
覆面を脱いでひとりの日向ぼこ         浜 松
冗談で済まぬ言葉が胃に溜る
ひたむきに走る車は語らない
七十の坂ひたすらに強い自我


「雑  詠」             滝田  玲子
いまポトリ散ると知ったか藪椿         浜 松
法話聞き己を悟る道広げ
輪の中に仕切り上手がいて平和
旅プラン練ってうかれる春の靴


「雑  詠」             芹沢 穂々美
紙風船しおれてからの怨みごと         沼 津
高いハードル越えて生きる気教えられ
恐い者知らずで行った敵の家
ミンチされわたくしの句が上手く出る


「  息  」             馬渕 よし子
老人を痛める国へ出る吐息           浜 松
悪巧みこの時だけは息が合い
鼻息の荒さ回りを寄せ付けず
休止符へ辿り着く前息が切れ


「  底  」             鈴木 恵美子
底抜けに明るい母の子育て記          静 岡
どん底で本当の愛に支えられ
底光りする勝手場に城を持つ
胸底にそっと沈めた過去の愛


「そして春」             新貝 里々子
そして春花子の人形目を覚ます         袋 井
春野菜コロコロ会話弾み出す
ある時は花より団子よもぎ摘み
そして春しだれ櫻を身に纏い


「ロケット」             柏屋 叶志秋
直ぐ切れる芸能人の赤い糸           山 形
日本の政治を変える奥座敷
食いだめができたら人は働かず
ロケットも神に祈って打ち上げる


「期  待」             増田  久子
コラーゲン加齢の加速には負ける        焼 津
大きめの園服に夢込めて着せ
幸運な朝だ卵に黄身二つ
胎教へくり返されるモーツアルト


「自  由」             酒井  可福
カミナリに泣く子あやしてヘソ踊り   北九州
家系図に頑固頑固と書いてある
一喝のカミナリ今も耳の奥
エアロビのリズムに合わぬトドの妻


「木 乃 伊」    石井   昇
木乃伊になりなさいとミイラが云った   蓮 田
古備前がぽつんと一つ置いてある
悔いはない二人で漕いだ舟だから
乱反射只ほど高いものはない


「春 帽 子」       大塚  徳子
さくらさいたらドナーカードに名を書こう   仙 台
おだやかに山懐に抱かれてる
おせんにキャラメルひとついかがと目を配る
ゆうやけこやけひとり佇む春帽子


「雑  詠」       内山  敏子
朝寝坊遅刻は春のせいにする   浜 松
旬を待ち旬を食する平和です
赤を足しとっても軽いローヒール
甲子園喜びの声天に抜け


「自 由 吟」       寺脇  龍狂
病み上り三坪の庭出足ならし  浜 松
見てみたい元大臣のム所暮らし
団塊が葬際族に衣替え
公害の元は油屋自動車屋


「雑  詠」      鈴木 千代見
箱の中りんご無言で腐ってく   浜 松
病院の梯子私も仲間入り
青い空邪魔っけの雲きっと彼
おばさんと声をかけられ向く私


「自 由 吟」       鈴木 まつ子
孫と居て平穏無事の小宇宙   島 田
端っこを捕っては批判するカラス
旨い汁口を拭って知らん顔
退いて暦もフリースケジュール


「花  嵐」       中矢  長仁
それぞれに咲いた便りを待っている  松 山
開花日は南からとは限らない
満開に心躍らせ旨い酒
花嵐一夜吹かれて乱れ散る


「雑  詠」       ふくだ 万年
よく見れば髪の毛細くなっただけ   松 原
薄着です風邪は怖いがウフフです
薄味と濃い味重ね夫婦味
義理のチョコ皮算用が埋めてある


「曖  昧」       岡村  廣司
曖昧な言葉がうまい日本人   焼 津
程程と言う曖昧が性に合い
うま過ぎる話曖昧さも交じり
曖昧な妥協するから残る悔い


「  湯  」       瀧    進
婿殿の愚痴も浮いてる終い風呂   島 田
バスタブがメタボな腹を排除する
ひとり旅一寸淋しい露天風呂
ダイエットできぬ分だけ湯が溢れ


「自 由 吟」       竹内  さき
わたくしを隠してみたい古都ローマ   浜 松
ありがとう又よろしくで生きている
まじないで心と語るひとりごと
いつの間に母色の飯たいている


「命買います」       金田 政次郎
分け売りの命まとめて吟味する   静 岡
首のない背筋がぴんと立っている
引き返す負けのリズムが口惜しい
いい風だ二人分買い妻を呼ぶ


「自 由 吟」       川口 のぶ子
ふところが春に目覚めて軽くなる   藤 枝
花粉症春にはきつい仕置き待ち
しっかりと春という季に遊ばれる
いかなごの何時もかわらぬ味とどく


「雑  詠」       山本 野次馬
フリーサイズ着て存在感を消す   函 南
アピールが下手で携帯すら鳴らず
片足へ義足を付けてジャンプする
的外れの矢が私を苦しめる


「人形供養」       畔柳  晴康
供養する嫁したむすめの雛人形   浜 松
役終えた人形供養読経する
香を焚くけむり人形軽く笑み
人形は逝く春共に永久の旅


「服  装」       薗田  獏沓
軍服がぴったり決まる独裁者   川根本町
ユニフォーム死力を尽くし砂まみれ
おしゃれ着にポケット無くて不自由し
軍服を着ると正義の貌になり


「  中  」       川口   亘
家中が寝坊する日を待ち侘びる   藤 枝
中位まだまだ甘い親の依胡
中毒になるから好きな酒は断つ
家の中支えて呉れる妻が居る


「音 キ チ」       中安 びん郎
音キチは三味線が好きソプラノも   静 岡
音キチはいつもスキャット唄ってる
音キチは数学は丙音楽は甲
音キチはテレビの洋楽全部聴く


「自 由 吟」             今井  卓也
午前様妻の尋問目が泳ぐ           浜 松
ちぐはぐな会話塞ぎて契り籠む
サボリーマン冴えた言い訳墓穴掘る
野良猫の腋をくすぐる初夏の草


 「  春  」             山田  ぎん
お茶席で着物姿のしとやかさ       静 岡
茶花ほめ掛軸読めぬ茶席着く
桜花ちらちら落ちて手に受ける
けしの花おし絵に作りプレゼント


 「御 用 心」          鹿野  太郎
鬼来ないようシャボン玉吹いている   仙 台
狩人になれない鯖のアレルギー
人の道から校長が踏み外す
深そうだ納豆食べるあの二人


 「自 由 吟」            松橋  帆波
大臣も苦手らしいなカタカナ語        東 京
新旧交代村の掟が邪魔をする
演出とヤラセ 政治とバラエティー
首都移転 そんな童話もありました


「宿題余句」             西垣  博司
ハイヒール毛皮で見切品値切り        静 岡
又ひとつわからぬ後期高齢者
家よりも立派な車庫で車寝る
蘊蓄が冴えて時計が動かない


 「切  符」             石田  竹水
笑わせるジョークとぼけた顔が効く    静 岡
躓いた石に笑われたくはない
おもかげの消えてく母の温い手よ
天国へ行ける切符の途中下車


 「約  束」          中野 三根子
指きりをしてもしっかり忘れてる    静 岡
忘れないつもりでいつも生きている
小指だけいつもあなたを覚えてる
約束のいつもの歌を口ずさむ


 「脳 ト レ」            林  二三子
何用か忘れて戻る元の位置          芝 川
知っている筈の言葉が出て来ない
孫と遊ぶ脳の活性化につなげ
脳トレにクイズ番組利用する


「隠 れ 虫」             山口  兄六
逆切れのチャンスに賭けるズルイ癖      足 利
喧嘩後に二人で積んでいるレンガ
手料理のまずさもちょっとした個性
着信の履歴に隠れ虫が居る


 「自 由 吟」             真理  猫子
哀しみが仮装行列する電車        岡 崎
掃除機が壊れてしまうほどの嘘
雨音が月光仮面を連呼する
石けんの小さな泡の中に春


 「雑  詠」          多田  幹江
品格の差問うまでもなくお里      静 岡
わたくしに無いもの一つ美女の面
アンテナが高過ぎ風も通らない
余所見しない人も何だかつまらない


 「鮎三昧・・・其の十九」      永田 のぶ男
炎天下傘だけ浮いて移動する         静 岡
足使い石の頭をみぎひだり
長袖と手こう虫よけ万全に
大切なマナー守って釣り修行


「雑  詠」             柴田  亀重
老い走る干した布団へ俄か雨         沼 津
ガン二回手術完治の運の良さ
笑う夢テンツクテンの幻か
姉米寿負けず楽しい明日の夢


 「自 由 吟」             中田   尚
青春がポンとはじける甲子園       浜 松
春の芽が弾けサクラが加速する
スタートは確かサクラが咲いていた
サクラの木親の見栄には苦笑い


 「エイプリルフール」      増田  信一
モテまくりフリまくってもモテまくる  静 岡
運が運 金が金呼び大富豪
招待状彼の世から来て目が覚めた
月世界食いまくっても無重力


 「泥  沼」            谷口 さとみ
ニンニクを抜いたあなたの猜疑心       伊 豆
袋菓子に手をつっこんで生きている
何したいそう聞く君と別れたい
君と会う会うだけだけど歯をみがく


「雑  詠」             川村  洋未
五分だけ昼寝また生きかえるから        静 岡
あたしにもあめ玉一つわけてよね
化粧した生きているかと確かめる
ありがとうその一言で軽くなる


「廻るすし」                池田  茂瑠
古き世を華麗に残す雨の古都        静 岡
回転のすしで埋まるか愛の溝
鶴一羽折って別れの手紙出す
許せない私を蹴散らした靴を


 「大 跨 ぎ」           佐野 由利子
ふてぶてと昼寝の夫 大跨ぎ      静 岡
気をつけていってらっしゃいさぁ昼寝
家系かなすぐ熱中し直ぐ冷める
野暮用は明日に回し桜花

 
 「  涙  」        川路  泰山
勇ましく生きて群青色を選る           島 田
赤鰹の素振り百遍背を研く
生きざまへ涙が集く八十路かな
目標の消えて寂しい男坂


「雑  詠」             高瀬  輝男
人間の策には勝てぬ鬼も居る          焼 津
爪のない指したたかに世を渡る
欲捨てず這いつくばって生きてやろ
四次元でさ迷いたくて酒を手に


「さ く ら」                 望月   弘
入学を果たして愛でるちりぬるを      静 岡
散りそうな人も花見の中にいる
踏みそうで桜の下を歩けない
金さんのDNAと花吹雪


 「エイプリル・メイ」       加藤   鰹
とりあえず嵌めた指輪が外れない     静 岡
やり直すべきか三面鏡に問う
クーデター頷いていた奴がグル
無礼講でいいよと上座から言われ

 
  顧  問  吟 
 「尾  鰭」          柳沢 平四朗
貸せたがる杖は苦汁を匂わせる          静 岡
過去は背に行末胸に日記濃い
小康の食卓へ置く自己批判
理髪やの椅子から尾鰭生えてくる



虎竹抄 | Link |
(2008/05/26(Sun) 08:37:12)

「雑  詠」             高瀬  輝男
課題一つ解けた芯から笑えるぞ        焼 津
とどのつまりはすべては霧の中に消え
儀式好きなピアノで君が代が得意
柿を剥くこの昂りは沈まらぬ


「人  格」            望月   弘
品格を朝の鏡へ貼っておく        静 岡
ブランドはいつも心に着せている
いちにちを生きた自分を誉めてやる
人格の坂を転げていくことば


 「ディスペラード」       加藤   鰹
冬銀河愛の台詞が見つからぬ       静 岡
ケータイも僕もそろそろ電池切れ
感謝状よりも福沢諭吉かな
産めよ増やせよ戦後を生き抜いたネズミ

 
  顧  問  吟 
 「  夢  」       柳沢 平四朗
ハイテクの夢へ動きの取れぬ壷         静 岡
自分だけの定規で計る保身術
ひけらかす夢が生活を傾ける
可愛げの無い老練の孤独癖

※他本誌参照
虎竹抄 | Link |
(2008/04/26(Fri) 08:17:12)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「雑  詠」            石井   昇
捨てたのにやっぱり海に来てしまう     蓮 田
遠い日に父と作った砂の城
嬉しさの涙は熱きものと知り
恐ろしい話をどうもありがとう


 「もうすぐ春」           小林 ふく子
春の音するまで毛糸編んでます      袋 井
足跡が消えかかります春はそこ
一番に出した芽だから摘んでおく
花便りそろそろ床を上げようか


 「笑 い 話」             増田  久子
無人駅ただで乗る気の人も来る     焼 津
塾通いしても遺伝子元のまま
沿道の大声援で走るビリ
使用前使用後逆もある写真


「フリーズ」            毛利  由美
あれ以来がらんがらんの冷凍庫        つくば
失言に凍りついてる関係者
抱擁をされて固まる異国の地
家族には内緒再解凍カレー


「雑  詠」            井口   薫
雑念も生きてる証ヤジロベー          袋 井
おおかたの場に根を張れる雑種です
雑学を秀才に説くクラス会
壁一重時差も格差も雑居ビル


「自 由 吟」           藪ア 千恵子
しっぺ返しされて落ち込む正義感       焼 津
口チャックしないと愚痴が溢れ出る
聞く耳を持たずに帰る良い話
強烈なパンチ浴びせにくる笑顔


「  心  」            鹿野  太郎
傷付いた形で落ちて来る涙           仙 台
ささやかなプライド僕を苦しめる
歳重ね軽くなったか胸の石
大冒険決めた社長に身を砕く


「漂  流」            新貝 里々子
豹柄のマフラー疑似餌かもしれぬ     袋 井
思考停止魂神の思し召し
ピンヒールおとこひとりを串刺しに
切なくて泣くこともある夜更けまた


 「白 い 息」            濱山  哲也
消しゴムが降って一面画布になる       つがる
吹雪止む笑顔眩しい青い空
性善説信じています白い息
雪国に生まれた父の黒い首


 「節  分」             増田  信一
鬼は外間違えたふり妻の背に          焼 津
腹は内メタボ糖尿血圧と
鬼と福貧乏神に追い出され
鬼だってピンキリあるよ福だって


  「怒り川柳」              山本 野次馬
社長だと威張るが社員私だけ         函 南
おはようの声で娘はそっぽ向く
娘は一番風呂私は終い風呂
親指で始まる味気ない会話


「軽いごみ」            寺田  柳京
辞書にない言葉が老を愚弄する       静 岡
国会のテレビで俺も眠くなり
植林の昔をうらむ花粉症
年寄りの二人ぽっちの軽いごみ


 「三  月」              金田 政次郎
誰が為の鼓調べや春の宵           静 岡
抵抗の雛人形の無表情
桃色に染まり少女が脱皮する
有難いよいしょ支える妻と居る


  「モアイ像」             瀧    進
言い訳は何んにも言うなモアイ像        島 田
定年を待ってる俺もモアイ像
野暮言わぬ男どっしりモアイ像
人類の明日見えますかモアイ像


  「  色  」             馬渕 よし子
反発をして塗り替える自分色          浜 松
色褪せた夫婦茶碗が重すぎる
似合わない朱がこんなに好きになり
美しい国から明るい色が消え


 「智  恵」             岡村  廣司
言い訳の仕方で智恵の程が知れ        焼 津
入れ智恵を妻に復習して出掛け
智恵の無い親でがんばれしか言えず
智恵袋有るのに補充間に合わず


 「雑  詠」             酒井  可福
石つぶて三回ジャンプ諦める         北九州
少子化の町にも親の無責任
越後屋の擦り手の真似が似合う奴
温暖化騒げば寒く成る季節


 「人  柄」             鈴木 まつ子
人柄がいいとその気になってくる       島 田
天然の笑いど忘れ物忘れ
人柄が良すぎて見えぬ落し穴
日々好日明るさだけは持ちつづけ


 「角 砂 糖」             加茂  和枝
揉め事にたっぷり時間塩胡椒      岩 沼
バラバラの家族をつなぐ母の味
サービスは笑顔ひとつで事足りる
時間だけ過ぎて平和な角砂糖


 「温 暖 化」            佐藤  香織
大気層開けてはならぬ開かずの間       福 岡
水中の稲作農家大繁盛
海草の野菜畑がトレンディー
進化して大海泳げ鰓呼吸


 「自 由 吟」            石上  俊枝
うちの鍋ネギがギューッとでかい顔   静 岡
欲のない人ほど金は転げ込む
あの世まで金金金と掻き集め
ストレスを捨てに集まる縄のれん


「明  U」            西垣  博司
あの角の先に明日が有ると云う      静 岡
明け方の夢は朝日に溶けぬまま
人並の明るさの灯がわが家にも
本心は明かさぬままでひとつ屋根


  「初  春」            芹沢 穂々美
ブーツはく大根足の照れ笑い          沼 津
ポチ袋とび交う親の胸の内
おせちにも来し方の味受け継いで
機器文字の謹賀新年味気ない


 「勝  負」            塚本  寄道
目標へ最初の一歩踏み出した         長 泉
いつだって本気を出して勝負する
乗り越えた経験ボクのエネルギー
白か黒つけてはならぬ事もある


 「  薬  」            鈴木 千代見
雨の日に笑い薬を買いに行く         浜 松
薬になる酒にしておく今日の酒
妙薬と梅干を貼るおばあちゃん
失敗を耐えて見守る父と母


 「雑  詠」            ふくだ 万年
嫁さんを変えず米寿の仲間入り        松 原
痴話げんか目線ずらして仲直り
書いたメモメモの置き場所メモに書く
老いたなぁ手摺り階段選んでる


 「小さな夢」            真田  義子
フラスコの中に小さな夢が咲く        仙 台
女偏夢ひとすじに生きて行く
我が胸に冬の蛍が迷い込む
笑うたびしわを伸ばして生きてます


「雑  詠」            寺脇  龍狂
上るほど詫びと謝罪のメカニズム       浜 松
郵政の年賀ハガキはキレイ過ぎ
囚徒にも見せてやりたい星月夜
初メールまず○○へ送信し


「鬼 は 外」            薗田  獏沓
優しさも鬼面で隠す天の邪鬼      川根本町
鏡見て鬼も優しい顔になる
柊が苦手な鬼が憎めない
鬼は外拾った豆は落花生


「雑  詠」            内山  敏子
用心をしながら敵の策に落ち         浜 松
友情を恋と信じていたピエロ
欲の手がたんまり狙うつかみどり
腰のばす時間が長い老の鍬


「夕 焼 け」            畔柳  晴康
奇麗だな想い出よぎる夕茜        浜 松
今一度夕日のように燃えたいな
眞っ赤だよ退き際映えて幕を引く
夕焼けだ明日も良き日と手を合せ


「糸  口」            戸田 美紗緒
やさしさのひと言靄が消えました     さいたま
手がかりを探して夜の米を研ぐ
春日和あすの私を抱きしめる
菜箸を揃えて語尾を改める


 「如  月」             成島  静枝
如月に新年会が三つほど        千 葉
節分会雪掻きをするうちの鬼
立春の声省エネを励まされ
バースディ一日延びる閏年


 「冬 半 ば」            辻    葉
雪降りの街のりんごが着きました       大 阪
つくり話を咎めはしない冬の夜
お湯割りの焼酎とワインが並ぶ
さくら咲くその頃まではノーメイク


 「雑  詠」            安田  豊子
輪の中に乗れず二の足踏む辛さ        浜 松
ふらついた足に絡まる請求書
雑草で生きて悔ない七十坂
過去の無理仲よく暮らす今が花


「雑  詠」            川口 のぶ子
さわやかに明けて初日を拝みおり     藤 枝
七草の粥に心も暖まる
暖かな日差しに猫の髭動く
お年玉あちらこちらへ旅をする


 「読  む」            鈴木 恵美子
時を読むキャスター世界へ目を配り      静 岡
母の膝童話づくしへ子の寝顔
しおりからあの日の想いこぼれ出る
ウフフフフこらえ切れない本といる


「捩れ舞台」            堀井  草園
左利き口より前へ顎を出し          静 岡
桃色吐息鼻水だけはまだ拭ける
下手な嘘顔色だけはおてのもの
十二才進化もせずに馬鹿踊り


「  葦  」         大塚  徳子
ジャガイモと思えば気持ち楽になる      仙 台
一本の葦の善し悪し見える底
足を地につけて生きよう農作業
雨上がる明日の山から陽は昇る


「ある夫婦」            中矢  長仁
悪友が祝辞を買って出ると言う        愛 媛
付いて来るかい山坂あるが夫婦旅
孫の声聞いてジジババ顔ゆるむ
眼で話す口は要らない老夫婦


「近  況」            川口   亘
介護の手口惜しいけれどちから借り    藤 枝
どうしたの自分のからだ他人が住み
手加減に容赦はないか遊ばれる
気にすればする程辛い身の不承


「雑  詠」            滝田  玲子
ペット様我が家のポチも家族並        浜 松
刑務所もバリアフリーという時代
伝統の箱根を走るあつい息
聞き上手話し上手で輪がはずむ


 「自 由 吟」            山田  ぎん
静岡は雪も降らない暖かい          静 岡
曾孫可愛い歩き始めて笑顔見せ
裏の川小鳥が餌を取りに来る
子供たち仲良く学校帰り来る


 「老  化」            中安 びん郎
老化とは病気で無いと医者が言い       静 岡
起きる度毎朝老化新記録
家内より貴重な物に杖が有る
林無くば杖を探し様が無い


 「翔  ぶ」            林  二三子
自分へのご褒美を買う誕生日         芝 川
旅の空主婦を忘れて翔んでいる
ひとまわり先も翔びたい年女
カレンダーが予定で埋まる有りがたさ


 「鮎三昧・・・其の十七」      永田 のぶ男
健脚についていけないご老脚         静 岡
努力家も囮が浮いたビール党
汗しぼり入賞なんぞ屁でもない
締め切りに軽量の缶山となす


 「立  春」 中田   尚
こよみだけ春だ春だと騒ぎ出す     浜 松
セーターを脱いだらあれれ春の雪
まだ寒いクビをちぢめる福の神
救われたまだあたたかい甘酒に


「白 加 賀」            柴田  亀重
あって普通さ一人一台自家用車        沼 津
ジジババはネズミモグラか穴の中
白加賀よ今年こそ生れ梅の花
メジロちゃん今日は寿太郎オゴリだぜ


「チョコレート」          中野 三根子
義理チョコを集めたパパはニッコニコ   静 岡
こっそりと私にひとつ高いチョコ
チョコが好きやっぱり母とチョコが好き
バレンタイン今年も家族で食べくらべ


「つれづれに」           堀場  梨絵
恩給の額が私の付き合い費          静 岡
女傑にもなれずピンチを我慢する
欲張りの多趣味いつまでやれるのか
思い出と共に私もたそがれる


 「北 の 酒」            池田  茂瑠
姫ダルマだけで孤愁の部屋飾る        静 岡
左遷地の銘酒住みよい北だった
妻という肥満の謎が横にいる
簡単に終止符を打つ癖と老い


 「ショッピング」          川村  洋未
バーゲン品ゼロの多さに手を離す       静 岡
ストレスがバック一つに化けた時
見るだけと言って帰りは大荷物
試着室こんな私もかわいくて


 「February」        谷口 さとみ
豆撒きで鬼が出てゆき土笑う         伊 豆
淋しがりダダッ子の冬なごり雪
ホワイトデー渡せぬままのチョコ食べる
リスト見て土産のように配るチョコ


 「ビッグジム」           山口  兄六
七転び八起き早起きなのは妻         足 利
終電で電車男は売れ残る
大胆になれる世界は君のため
失恋に耐えられるかなGショック


 「しあわせのかたち」 真理  猫子
前向きになれば出口のない炬燵     岡 崎
真冬でもプラス思考の熊になる
真っ直ぐの基準は猫に任せてる
しあわせを形にするとアメーバー


「遠慮なく」             石田  竹水
無器用を武器に遠慮なく生きる        静 岡
まかせとけ最初に俺が毒見する
振り向いたから見たくない物を見る
どん底を歩いたなんて甘えてる


 「わたくし」             多田  幹江
わたくしの波長に合わぬノッポビル    静 岡
テンションの高い人には触らない
友だちのお友だちから買うサプリ
私の敵はわたくしでしたハイ


 「自 由 吟」 佐野 由利子
ごちゃごちゃと煮込んで冬の鬼退治   静 岡
そこそこの暮し私のティータイム
どんどんと仲間が減っていく不思議
のろのろと見えてチャッカリ者である


 「追  憶」           川路  泰山
とんぼ追い稲叢に伏す ててなし子      島 田
稲叢と犬の乳首を母代わり
紺碧の空へ届かぬ相聞歌
結跏趺坐 遠いところで鳶の輪


「雑  詠」             高瀬  輝男
課題一つ解けた芯から笑えるぞ        焼 津
とどのつまりはすべては霧の中に消え
儀式好きなピアノで君が代が得意
柿を剥くこの昂りは沈まらぬ


「人  格」            望月   弘
品格を朝の鏡へ貼っておく        静 岡
ブランドはいつも心に着せている
いちにちを生きた自分を誉めてやる
人格の坂を転げていくことば


 「ディスペラード」       加藤   鰹
冬銀河愛の台詞が見つからぬ       静 岡
ケータイも僕もそろそろ電池切れ
感謝状よりも福沢諭吉かな
産めよ増やせよ戦後を生き抜いたネズミ

 
  顧  問  吟 
 「  夢  」       柳沢 平四朗
ハイテクの夢へ動きの取れぬ壷         静 岡
自分だけの定規で計る保身術
ひけらかす夢が生活を傾ける
可愛げの無い老練の孤独癖




虎竹抄 | Link |
(2008/03/26(Tue) 08:47:12)

自 由 吟
  虎 竹 抄


「時  間」            堀内 しのぶ
持ち時間ばかり数えている余生       焼 津
生涯を見つめ直した孤の時間
生きる時間まだありますと許す神
少子化へ冬の時間が長すぎる


 「雑  詠」            成島  静枝
せち料理亡き姑がいる背中        千 葉
好きなことしようなんとかなるお金
早春の里の絵原画手に入れる
自分への原点回帰する子年


 「二  月」             金田 政次郎
古色奏奉鬼面が笑う神楽舞       静 岡
シナリオの鬼は覚悟が出来ている
週刊誌俺の病気が載っている
冬の蝿どでんと転げそれつきり


「冬 休 み」            毛利  由美
集金に子が帰省する冬休み          つくば
もう嘘はつかなくていいクリスマス
いつも来る人から来ない年賀状
黒豆にはまって体重が戻る


「  酒  」            瀧    進
枡酒に男ロマンを語りかけ           島 田
男酒浮世の憂さは語るまい
根回しの酒酌をする下心
婿殿の十八番とび出す祝酒


「雑  詠」           馬渕 よし子
有頂天なって着地の場所忘れ         浜 松
尻もちをついてプライド捨てました
空欄を埋めるに愛が足りません
喧嘩する度に昔を掘り返す


「淋しい漁港」           増田  久子
元旦の舳先せめての大漁旗           焼 津
風と雲から天候当てる漁夫
漁港より魚センターだけ知られ
水産校海の男を育てない


「思春期まっ盛り」         塚本  寄道
不器用でおっちょこちょいなボクの恋   長 泉
強情で聞く耳持たぬボクがいた
この先は波乱含みのボクの道
受け取ってボクの真心贈るから


 「チャンス」            真田  義子
ゆっくりと時間流れて旅の宿         仙 台
切り札を出さずチャンスを待ってます
塩加減ひとつで決める母の味
ライバルに一歩下って付いて行く


 「雑  感」             川口   亘
非通知の電話の恐いまだ深夜          藤 枝
日の目見るやつと意見の通る夢
ひと言の云った駄洒落で座が乱れ
非常口確めておく地震予知


  「初  春」              鈴木 恵美子
初春へ霊峰富士と屠蘇を酌み         静 岡
墨をする日本の香り深く吸う
忙しい年になりそうこまねずみ
一枚の賀状一年の想い込め


「雑  詠」            藪ア 千恵子
やっかみがあちこち作る落し穴       焼 津
あちこちへ触れ回りたい良い知らせ
筋書きの無いスポーツに踊る夢
教育も財布の中も無いゆとり


 「自 由 吟」              内山  敏子
親の字を楷書ででかく筆始め         浜 松
八十路坂躓く石とよく出合う
冬が来て満杯になるコンセント
温度計と灯油の目盛りにらめっこ


  「ぼたん鍋(亥年)」         濱山  哲也
格差酔いビール・発泡・第三と         つがる
アニータの胸と態度は変らない
県庁のトイレを使う癖がつく
美くしい国で泥んこ遊び消え


 「年末年始」             中矢  長仁
世の中師走騒がしいけど知らん顔        松 山
ワイン抜きあやかっているクリスマス
仏壇にお年玉置き拝ませる
松の内過ぎまでは無理ダイエット


 「油  断」             岡村  廣司
過不足の無い人生に有る油断         焼 津
慢心にどんでん返しきっと来る
人間の油断を病魔衝いてくる
あんなのと見縊っていて負けた悔い


 「雑  詠」             西垣  博司
捨てられず倍加熱する期限切れ        静 岡
整形で東洋の顔減る気配
言い訳をまだ云えるだけボケてない
期限切れすぐ追いかける胃腸薬


 「迷  い」             安田  豊子
枯渇した脳へボリューム上げる酒       浜 松
たった一つの勲章それは過去の傷
千の風歌い迷いがふっ切れる
後悔を拾い集めて百八つ


 「本  音」             鹿野  太郎
福袋より訳ありのイチキューパー    仙 台
蜜月を少し過ぎるともう真坂
苦しいと飛行機雲が道標
家計簿が四方八方から悲鳴


 「雑  詠」            酒井  可福
三度引くおみくじ凶で済まされぬ       北九州
新年の挨拶妻の従順さ
暖冬にワーと泣き出す雪ダルマ
信じたら足すくわれた救世主


 「おひさま」            大塚  徳子
偽の一字スポットライト浴びて春    仙 台
庭にすずめ遊ばせている危機管理
分別を無くしてしまった大食らい
寛容なおひさま注ぐ地が温い


「  空  」            山本 野次馬
飲み干した空き缶海へ凪いで行く     函 南
おごりなど捨ててみなさい青い空
同じ空おなじ正座でまた会おう
空回りしてるぺタルで明日を読む


  「手  袋」            小林 ふく子
人間の底辺を知る軍手穴            袋 井
絹手袋掴んだ悪が手に刺る
手袋を脱いで幸せわし掴み
手袋が欲しい地蔵の陽の寒さ


 「雑  詠」            石井   昇
理論家が吐いた理論にけつまずき       蓮 田
風袋を引けばふわりと浮く命
控え目な猫が残した魚の骨
冬の朝妻高夫低異変なし


 「  涙  」            高橋  春江
涙壺浅いかなみだすぐ溢れ          袋 井
演技する涙はすぐにボロが出る
哀しみの涙は見せずそっと拭き
大仰に泣いて甘えるママの膝


 「お 正 月」            畔柳  晴康
門に松一理の塚もまた越した         浜 松
孫を呼ぶ背と腰まがり松飾る
言い飽きた今年こそはと言う言葉
ペットまで晴れ着を飾る初詣で


 「  孫  」            薗田  獏沓
年寄りと園児仲よく餅を搗く        川根本町
紅白の投げ餅祝う上棟式
子の夢は月で餅搗く白兎
赤ちゃんのお尻の様な供え餅


「よたよた」            鈴木 まつ子
よたよたと年始帰りの酒が効き        島 田
悪酔いの独楽はよたよたして止まり
構えてはみてもよたよたつんのめり
よたよたとした足取りで目が躍り


「新  年」            井口   薫
屠蘇を酌む音頭太字の楷書体       袋 井
新顔の賀状二枚に温かさ
かたつむりだって一緒にお正月
新しい年へ軸足かえてみる


「雑  詠」            ふくだ 万年
カレンダを買うのを忘れ銀行へ        松 原
母施設のこして家族ドライブに
屁理屈を正論に替え長い舌
義母の尻長きに耐えて嫁箒


「認 知 症」            中安 びん郎
えんどうを去年も植えた場所へ植え    静 岡
ドイツ語を英語で喋り気付かない
東大を受ければ入ると思ってる
今引いた辞書を夢中で探してる


「自 由 吟」            寺脇  龍狂
ガソリンと核と公害逃げ場ない      浜 松
七十を若いと言って笑われる
オレオレへ待ってたように送金し
ケータイにしたがつんぼは変らない


 「自 由 吟」             川口 のぶ子
ぼんやりと見上げた空に流れ星     袋 井
行く末を案じてくれる夫がいる
美容院若さもとめて髪を染め
年の暮忙しさだけが行き過ぎる


 「雑  詠」            堀井  草園
押一手自信を持った二枚舌          静 岡
松過ぎて錆が取れないドッコイショ
石の垢拭いて三年先を読む
呼び止めた勇気にホッとする他人


 「雑  詠」            提坂 まさえ
ATM給料前のあいそなさ          静 岡
通帳もカードも持たず泣きもせず
風の先選んでみたい落ち葉たち
顔ぶれは揃った知恵はいま一つ


「星  々」            川村  洋未
ウォーキング今夜もあの星あえるかな   静 岡
寄り添った星に名前をつけた夜
君は星浮いたせりふでささやいた
星いっぱいグランドに寝る空を飛ぶ


 「  夢  」            中野 三根子
初夢に待ってる人が出てこない        静 岡
夢の中今日も私がお姫さま
年金をもらっていても夢がある
やっぱりね夢は今年も宝くじ


「鮎三昧・・・其の十六」      永田 のぶ男
競技会天狗河原へ勢揃い           静 岡
早朝に地元議員がご挨拶
スタートに河原を駆ける竿の群れ
釣り師には常識越えるルールあり


「一分(いちぶん)を・・・」       長澤 アキラ
一分を立てて傷口なめている         静 岡
痩せ我慢そして不適な薄笑い
泣くがいい馬鹿な男の影法師
生き下手がそろいこの世がおもしろい


「霜  柱」            林  二三子
ロウバイ咲き喪中の初春を和ませる      芝 川
花作り始めてエコに興味わき
霜柱除けて花芽のたくましさ
霜柱土の呼吸が聞こえそう


「自 由 吟」               中田   尚
いつまでもツボミ堅しで終わりそう    浜 松
もう少しドキドキさせて仏様
杉花粉少し手加減しておくれ
どうしようマークシートに嫌われた


「お 正 月」            増田  信一
お正月嬉しくもあり無くもある        焼 津
お正月年をとるたび早くなる
羽子板も凧も見ないで七草か
お年玉あげる人だけ増えてゆく


 「語  る」            石田  竹水
豊かさに胡坐をかくと痛手負う        静 岡
着地してドラマを語る竹トンボ
名も知らんあの人を待つ無人駅
視力には自信も世間見切れない


 「迎  春」            柴田  亀重
初詣で大社に寄せる人の波          沼 津
欲と夢砂ボコリ立つ神大社
タクシーへ釣りは要らぬと太っ腹
甘党が好きな橘飩避けている


 「  夢  」            多田  幹江
タレントの夢は細木のエサになる       静 岡
一夜飾りもいい夢見たと初メール
先送りの夢でふくらむ初暦
もう少しこの夢見せてくれますか


 「疑  点」            池田  茂瑠
定位置で私は笑顔向けるだけ         静 岡
純情の恋デッサンのまま終える
胸の中見せよか疑点晴れぬなら
ほほえみの私に甘さ足りません


 「胃  袋」 佐野 由利子
羊水の中の温さと朝の床        静 岡
オクターブ上げた暮らしに的をおく
マンションの陽射し一番布団干す
パクパクと入る胃袋恙無し


「牡 丹 雪」            山口  兄六
結婚をしようと決めた牡丹雪         足 利
アゲハ蝶びしょ濡れのまま飛べないね
頷いてくれているのはホストだけ
謙譲語腹に納める朝ごはん


 「  夢  」             真理  猫子
夢中です年賀欠礼致します        岡 崎
夢枕なぜかお告げはアラビア語
初夢はバンドエイドに着地する
今年こそ狼少年ここにいて


 「圏  外」 谷口 さとみ
紅を濃くきっちり書いて電話する    伊 豆
留守電は傍にいそうでオフサイド
見たくないものしか見えぬ日曜日
大根が買えない帰り道もある


 「田 舎 街」           川路  泰山
豆腐屋のラッパが街に朝を告げ        島 田
チャルメラが一際寒い宵の街
夜なきそば鳴戸一切れ寂しいね
底辺を無休で稼ぐ納豆売り


「雑  詠」             高瀬  輝男
いくつもの秘密を抱いて生きてます      焼 津
コミカルなジョークへ鬼も苦笑い
他人の書いた矢印なんか無視しよう
一線を引くから他人顔となる


「  酒  」                 望月   弘
百薬の長を座右の銘とする        静 岡
二次会の酒が上司を切っている
ハンドルに酒の禁避剤塗ってある
カタカナで呑みひらがなで酔っている


 「マジですか」         加藤   鰹
マジですか白いご飯にイチゴジャム   静 岡
マジですかあんな美人に喉仏
マジですかワゴンセールと同じ服
マジですか地球の叫び声がする

 
  顧  問  吟 
 「詫 び 事」       柳沢 平四朗
あらたまへ並んだ首は見たくない        静 岡
晩年の今日は吹かない明日の風
寒椿ぽとり偽装を見せしめる
賞味期限の仇へモラルの返討ち




虎竹抄 | Link |
(2008/02/26(Mon) 08:17:12)

自由吟 虎 竹 抄


「  道  」            鹿野  太郎
老いらくの恋にメールの花便り         仙 台
不器用にしか生きられぬ道一つ
ライバルの走りを見ると胃が痛む
犠打一つ決めておいしい酒を呑む



 「自 由 吟」            薮ア 千恵子
懐のせいだと風邪をひいている          焼 津
買物をし過ぎストレスまた溜める
カーブスでポパイになっていく熟女
夢を見るのはやめました宝くじ



「偽  装」            増田  信一
偽装なら顔と体と年までも        焼 津
偽装して嫁に出したい娘居る
偽装などとんと縁ない自営業
東大出に化けて一流もぐり込む


「計算ずく」            増田  久子
旧姓に戻れば吉になる字画           焼 津
スーパーは時に百均より安い
顔写真撮る来年のパスポート
貰う気で隣りの小菊ほめちぎり


「  嘘  」            小林 ふく子
花束にちょっぴり嘘が混じってる       藤 枝
口紅を濃く塗り嘘をまき散らす
嘘を聞く耳は半分眠らせる
今だから笑い話になった嘘


「偽  り」            馬渕 よし子
大粒の涙しっかり仕組まれる          浜 松
無理矢理に接着剤で接ぐ絆
真相を突かれ入院して安堵
目的は金です愛は餌でした


「雑  詠」             内山  敏子
バスの中雨の雫をもてあます          浜 松
フルコースよりも一杯のり茶漬
お隣も平気で値切る市場篭
食べさせる物を探した戦中派


「ふ し ん」           高橋  繭子
公園にいたら不審者にされた          大河原
会長にたてつき不審者にされた
厚着していたら不審者にされた
事件事件みんなが不審者になった


「雑  詠」             酒井  可福
大漁を誓う小舟の無鉄砲            北九州
全力を挙げて燃えきる決意だけ
我が道は理想を描きマイペース
天空の月に仏の顔を見る


「コ ー ド」             井口   薫
二次元コード老いを迷路へ誘い込む      袋 井
嗚呼ショック鏡の中のバーコード
認知症加速コードで処理をされ
Gコードしもべのように忠実に


「自 由 吟」              真田  義子
落葉踏む今年も同じ道歩く           仙 台
曲がり角思いがけない事ばかり
青春の光景よぎるメロドラマ
こだわって空の青さを気づかない


「ALWAYSわが家の夕日」     濱山  哲也
コロッケとカレーが天下獲っていた       つがる
風船をくれた富山の薬売り
金が無いのが自慢だと父だけ笑う
平成になってラムネに色が着く


 「いまどき」              毛利  由美
昔とは違う重ね着の順番             つくば
顔文字でつつがなくドタキャンをされ
健康が手段から目標になる
家庭ではまかり通っている偽装


「年 の 暮」              岡村  廣司
突然に来たわけでなし年の暮      焼 津
いろいろの鬼が出たがる年の暮
喘ぐ人ばかり見ている年の暮
女房の財布覗いた年の暮


「陽  気」              鈴木 恵美子
陰を陽に変えてしまったジンフィズ     静 岡
逢って来た余韻ハミング出るくりや
宴会を笑い上戸が盛り上げる
母の振るタクトで踊るひよこ達


「戦 中 派」              中安 びん郎
ラブレター墨で消された戦中派         静 岡
動員で英語を知らぬ戦中派
戦時中干し柿だけが甘かった
戦中派廃物利用お手のもの


 「自 由 吟」              寺脇  龍狂
原発でイルミネーション花盛り        浜 松
大安は老いの吉日入選句
コンビニで昔は値段いま日付
国防を食い物にする司令官


 「  嘘  」              瀧    進
方便の嘘がけろりと澄まし顔          島 田
やめてけれ嘘に訛りは似合わない
感嘆符つけて嘘から出た実
嘘の嘘見抜く女房の顕微鏡


 「面取り芋」              石上  俊枝
三つ指をついて不満を殻に入れ         静 岡
面取りをした芋のよう生きたいな
目立つ人どこに弱点隠すのか
面倒な事ほど先に飛んでくる


「句会初参加」             海野   満
ねじれても何も変わらぬ日本国         静 岡
いるだけであなたの笑顔華やいで
無口でも背中でわかる男粋
甘い汁ヤミに集まる黒い影


  「どっこいしょ」            石井   昇
信念を味方につけて河渡る            蓮 田
過去からの招待状が波を立て
どっこいしょおみくじは凶 花を買う
老いたるや思考の海で溺れてる


「二〇〇八年元旦」          金田 政次郎
トップ切る子歳に負けぬ朝を起き        静 岡
知友チューと友の賀状が賑わしい
初笑いクシャクシャにする百面相
こころして春の息吹を深呼吸


  「故  郷」             薗田  獏沓
くに訛りくにの銘酒でくにの唄         川根本町
廃道に昔を拾う古い橋
星空と水美しい僕のくに
凧糸と飛行機雲の幾何模様


「音  楽」              畔柳  晴康
音楽に耳傾けてよだれたれ            浜 松
幼稚園孫の音楽目を細め
音楽の切符二枚が嬉しいの
ナツメロに昔の若さ取り戻す


  「雑  詠」               滝田  玲子
清貧に生きた昭和の頑固者            浜 松
辛抱をしたか石まで丸くなる
祠から座敷わらしが顔を出す
核のゴミ残す現代人のエゴ


  「自 由 吟」             ふくだ 万年
ユニクロをヴィトン袋で持ち歩く        大 阪
肺ガンになるまで吸えない僕でした
当たるまで買い続けますジャンボ籤
熟れてても生き残れないと職安に


  「喪  中」             成島  静枝
ネズミ年喪中ハガキに描けぬ干支         千 葉
年始客用の準備も空気抜け
JPの窓口賀状へ言う喪中
神仏も英気養なう子(ね)正月


「自 由 吟」              御田  俊坊
失言で信用落す羽目となり         高 畠
失言と感じて終い悔い残る
騙される金がないからほっとする
酒に酔い車運転暴走とは


  「自 由 吟」              川口 のぶ子
あっしまった思った時には腰立たず     藤 枝
危険とは身近に起きる気のゆるみ
気にかけて呉れる人あり良い出合い
出来ないと云い出せないでいる内気


  「  疑  」             川口   亘
やがて知る自分の下手な猿芝居         藤 枝
洒落言で笑わせる手も少し萎え
知らないと云い切るまでに嘘を云い
考えを伝えることに骨が折れ


  「  友  」              加茂  和枝
あったかい言葉を残し逝った友         岩 沼
最高の笑顔でいつもありがとう
何でもない何でもないと友笑う
友のよに生きる指針が出来ました


「中  位」              安田  豊子
平均を保つ苦心のやじろべえ       浜 松
中流と思って暮らす定年後
中立の構えで生きる三世代
身の丈の暮らし静かな老い二人


  「幸  せ」              大塚  徳子
アルバムの幸せだったツーショット     仙 台
苦汁を誉めて脳味噌冴えてくる
毛糸二本結んで一目立ち上がる
抜糸して歩く幸せ噛み締める


  「  影  」              高橋  春江
影法師お前もするか俺の真似           袋 井
夕焼けが影を妬いてるペアルック
師の影を踏んで大きくなる子供
ねえあなた遺影の夫が笑ってる


  「偽  装」              鈴木 まつ子
見せかけの偽装わずかな欲を買い         島 田
浅はかな奢り指輪でつりあげる
善人と仕立て秘策を練っている
はずせない仮面でじらす恋心


「今年の私・・・・・」            中田   尚
明けまして目出たく年を一つとり      浜 松
ネジをまくでも私は私で
一病をもって今年もスネかじり
いつまでも甘えています足 ワ・タ・シ


  「持  続」              石田  竹水
好い話 続きは明日の顔で聞く           静 岡
好奇心持続している万華鏡
気遣いは無用に願う水墨画
七転びやっと六十路で起き上がる


「雑  詠」              林  二三子
悩みいっぱい希望が入る余地がない         芝 川
奉仕する笑顔相手も和ませる
豊食に鈴生りの柿放っとかれ
持ち歩く辞書にひとひら紅葉の葉


「家族旅行」              川村  洋未
風邪ひくな二度とはないぞただ旅行       静 岡
孫連れちゃセレブのふりもボロが出る
親類にないしょの旅行そっと出る
超リッチ高層ホテルお客様


「雑  吟」              堀井  草園
鬼の首取った明日の背暗い            静 岡
無いものを強請って迷う道しるべ
阿保臭いコンチキチンの馬鹿踊り
訛声の方へ流がにくらしい


  「自 由 吟」              田中 うね子
クリスマスチキンの骨でジジが死ぬ        上 尾
詰まらせる餅も買えないババ独り
新年は誰も居なくて寝正月
寝正月床擦れ出来てボケ進み


「鮎三昧・・・其の十三」       永田 のぶ男
晴天に雨は奥でも降っている          静 岡
増水に塵の流れと空見上げ
鉄砲水身一つでいいすぐ岡へ
安全は無事なればこそ世に残る


「鮎三昧・・・其の十五」       永田 のぶ男
岩陰に魚体きらめき一人締め           静 岡
竿とられ滑る河原で臑に傷
滑っても竿は死んでも離さない
百の神すべて味方にタモの中


「春 秋 T」              長澤 アキラ
なだらかな坂を拒んでする血止め         静 岡
最終回神の手形がまだ落ちぬ
負け組の夫を妻は受け止める
振り返るゆとりは有るが金が無い


  「ワ イ ン」              中野 三根子
ワインならあなたの好きな赤い色         静 岡
上機嫌 今日はピンクのロゼにする
イブの夜やっぱり雪と赤ワイン
星空に二人でグラス傾ける


「  流  」             谷口 さとみ
流し目にパワーがあったバブルの世       伊 豆
残飯がもの申してて流れない
願われて星は律儀に流れてる
うきななど流していてもプリン好き


「ヘルメット」             佐野 由利子
言い分はまだまだあると喉仏           静 岡
ホカロンは無用わたしの皮下脂肪
秋トマト何か足りない味気ない
カールした髪が嫌がるヘルメット


「  下  」             真理  猫子
財政が討議されてる袖の下           岡 崎
縁の下なんて実家へ置いてきた
小説になりそうなほど下心
イケメンの下ごしらえは醤油味


  「雑  詠」            多田  幹江
あたくしの席でしょタヌキ起きなさい     静 岡
真実を吐いてデスクを去る男
リップサービスたっぷりの売れないエステ
ワープロは乱筆ご免とは言わぬ


「氷  塊」        池田  茂瑠
二枚目の舌と半端な火を煽る        静 岡
父走る出世を知らぬ貨車のまま
溶け切れぬ氷が胸にある妬み
私を青く育てた青い月


  「寝 正 月」             川路  泰山
自我の慾だけを願うた初詣で         島 田
禁の字は遠に麻痺した寝正月
脳味噌の黴に気付かぬ温暖化
末期かも老漢一人米を研ぐ


「自 由 吟」               高瀬   輝男
文化の世財布なんかは持ちません       焼 津
ひとり酒この平凡は捨てられぬ
三叉路だ五叉路だ決にまだ迷い
策はまだある筈雨の音を聞く


「スイッチ」                望月   弘
スイッチをONシャッターは上らない    静 岡
スイッチがエレベーターで苦笑する
スイッチの自動音声どっこいしょ
平和へのスイッチ故障しています


 「秩父路へ」             加藤   鰹
妻でない人と秩父のからっ風       静 岡
着膨れてスターマインを観る師走
肉まんを半分こして冬銀河
山車が往く冬の緞帳降りて来る

   顧  問  吟 
 「  秋  」             柳沢 平四朗
人を読むお世辞の中の照返し          静 岡
走る日へ振分け荷物あえぎ出す
逃道をやっと探して偉くなる
旅プラン彩濃く秋の仕掛人
猫も噛む窮鼠で道をこじあける





虎竹抄 | Link |
(2008/01/26(Fri) 08:37:12)

自由吟 虎 竹 抄


「いち抜けた」           谷口 さとみ
プチ整形するより字でも習おうか        伊 豆
あいうえおDNAのようにある
空気のような人で私は窒息死
だからなにダイヤが吉と書いてある



 「てんつくまん」          真理  猫子
苦しくて息ができないのでしゃべる        岡 崎
笑いたいだから能面つけてみる
何を見てますか私は四角です
進めない心の中でケンケンパ



「モンスターペアレンツ」      山口  兄六
ポケットに子を入れているモンスター   足 利
両親は気付かぬうちに子の脱皮
愛情があるかが判る塩ムスビ
あげは蝶びしょぬれのまま飛べないね


「テレビ局」            松橋   帆波
謝らぬものの一つにテレビ局          東 京
亀田家の味を覚えたテレビ局
パチンコと保険屋でもつテレビ局
本当は正義でいたいテレビ局


「ル ー ツ」            井口    薫
馬鈴薯のルーツ高貴であるらしい         袋 井
おいもより私の根っこ土深く
日本人のルーツに牙はない筈が
エルメスを辿れば土の香に出合う

「春 の 音」            戸田  美佐緒
はひふへほ笑い袋に種を蒔く         さいたま
スタートの春の支度ができました
ポケットにおじゃましますと夫の手
紅ひいただけです恋が噂され


「旭山動物園」            濱山   哲也
弱虫が大好きなのは動物園           つがる
明らかにオオカミウオは数合わせ
檻の外こちらは馬鹿という獣
旭山びっくらこいたバスの列


「十 二 月」          金田 政次郎
不況なぞ知らぬサンタを子が信じ       静 岡
日没に始まるイブの灯が赤い
のれん押す野暮唇の寒い暮れ
十二月肩の凝らない本を買う


「雑  詠」            滝田  玲子
本心を吐けば返ってくるこだま        浜 松
大臣も博士も出ない過疎の村
自転車もライター並みで使い捨て
涙腺の弱さテレビで泣かされる


「  虫  」            藪ア 千恵子
今日も又やっきり虫が首もたげ       焼 津
宥めても言うこと聞かぬ腹の虫
生温い言葉にマッチ擦ってやり
売り言葉買い言葉にて八つ当たり


「自 由 吟」             西垣  博司
一声を云い忘れてのわだかまり        静 岡
まだ種火残って秋は紅を引く
人間をごった煮にする新聞紙
着信音乾いた街に吸い込まれ


「ボ  ク」            塚本  寄道
地図のない道をボクらは生きていく      長 泉
見ていてよありのまんまのボクのこと
いつだってボクの後ろにいる家族
でこぼこの道もボクなり進むのさ


 「偽  装」             毛利  由美
赤福はもったいないを取り違え         つくば
女心の可愛い証 胸パッド
もう二つ三つのサバは誤差のうち
定価据置の中身が減っている


「雑  詠」             石井   昇
抜けたらば地の果てだった細い道    蓮 田
挫折した線香なれど灯は赤い
人間の本音聞こえる三流紙
沖縄の骨が歪んで哭いている


「雑  詠」             馬渕 よし子
松茸が薄くて味覚語れない         浜 松
陽の光浴びると疼く古い傷
二枚舌持って世間を渡りきる
入れ知恵が効いたか態度でかくなる


「自 由 吟」            御田  俊坊
生きるため時の流れに逆らえず        高 畠
隣から時計にされる靴の音
目の裏にまだある嫁ぐ娘の笑顔
子には子の目標持たせ進ませる


「  耳  」            高橋  春江
聞き直し多くなる日の自己嫌悪        袋 井
又聞きの話し大きく空に舞い
聞きながす耳の形がとてもいい
福耳と云われた耳の独り言


「  道  」             瀧    進
人間を信じ如来が見えてくる          島 田
めぐり合う喜び多き遠回り
煩悩に修行の道を教えられ
女房に余生ハンドル握られる


「  秋  」             安田  豊子
もみじほろほろ過去の痛みを連れてくる     浜 松
人を恋う女ごころに秋が溶け
紅葉の峠は雪という試練
残り火を温め合ってる湯の煙


「素  直」            小林 ふく子
生きたくて素直に医者の世話になる      袋 井
どん底で素直な丸い石に会う
喋るだけ喋り後は素直な人となる
結び目を緩め素直に生きられる


「気まぐれ」            鈴木 恵美子
気まぐれの虫が心の隅に住む         静 岡
気まぐれの言葉に揺れる毬ひとつ
気まぐれなアバンチュールへうろたえる
気まぐれがうわさの火種置いていく


「雑  詠」            寺脇  龍狂
罪悪感持って日切れのパンを食べ       浜 松
無免許がだから乗りたい走りたい
お歳はと歳も聞かれぬ歳となり
大学院さり気なく言う親の見栄


「生きるパートU」         山本 野次馬
生きるってこんなに辛い涙雨         函 南
青春は裏切る事と信じてた
諭されて生きる喜び母に知る
親父ってなんて事ない伝書鳩


「入  院」             酒井  可福
胆嚢に岩をとなりてサザレ石          北九州
点滴の刻む時間がもどかしい
甲高いナースの声で朝が来る
四つ足の点滴連れてご挨拶


 「思いやり」             岡村  廣司
初耳の様に聴いてる思いやり        焼 津
どこの子か知らぬが注意してあげる
穏やかな心で愚痴を聞いてやる
愛のむちきっと生涯役に立つ


 「チルドレン」            増田  久子
先生に批判する子をほめる親         焼 津
ケータイがポケットで鳴ってた小五
遊ぶ子を見たことがないすべり台
イベントの風船欲しくない子供


 「  柿  」             芹沢 穂々美
柿の実が恋だ愛だと赤くなる         沼 津
熟柿に隠しきれない一大事
自己主張して渋柿の内緒事
干し柿の中味ずしんと肝を入れ


「老  境」             中矢  長仁
歳の数重ねて妻は強くなる           愛 媛
麗しく才たけて今老いたけて
もめ事はボケの振りする年の功
楽隠居させて呉れない孫が来る


  「自 由 吟」            鹿野  太郎
授業中ゆめばかり見てこの通り         仙 台
小商い確かに売っていた希望
火遊びを監視している腹の虫
駄菓子屋で暇を潰して生き返る


「  駅  」            成島  静枝
快速が降りたい駅を通過する         千 葉
SUIKAでピッ顔パスの頃懐しむ
エスカレーター息切れ予防膝の保護
うろうろと出口を探すコンコース


  「足  元」            加茂  和枝
弱点で呼ばれています長いこと         岩 沼
天高く自分の道は迷路です
立ち止まる勇気が持てた丸い背な
足元のざわつききっと喜びに


「空  気」             薗田  獏沓
合併の議場の空気真ッ二つ          川根本町
医者よりも山の空気で病癒え
再審に異様な空気弁護団
感謝して空気を吸ったことがない


  「  愛  」              川口 のぶ子
いじめっ児「そうねあったわ」思い出ね     藤 枝
人生はいじめを捨てて良き仲間
目に見えぬ処に愛は育まれ
寄り添った年月ほどに愛を積み


  「自 由 吟」            ふくだ 万年
百まではよろけないよう穿くズボン       大 阪
ビリだって孫は我が家のヒーローさ
ひと周り遅れて走る孫が好き
まだ早い洗濯してから衣替え


  「自 由 吟」            真田  義子
何もない一日でしたポップコーン        仙 台
何があっても夜が明けてくるこの平和
まっすぐに立っているのは父の木だ
一本杉で今も待ってる母がいる


「枯 落 葉」             寺田  柳京
秋刀魚焼く煙は小路の藪へ向け      静 岡
降るならばいっそ地球の丸洗い
団塊の奇麗な羽化へ風光る
老兵のコーラスへ舞う枯落葉


  「過 渡 期」             川口   亘
自転車のサドルを下げて足に変え      藤 枝
抜け穴を知って自分を元気づけ
気心を知られ世辞でも云う気なり
情けない捨てる気も有る風よ吹け


  「ファッション」          鈴木 まつ子
居るだけで引く手数多なトレンディー      島 田
可憐さで大正ロマン見直され
競い合うモデル彩る国際化
秋晴れやファッショナブルで若返り


  「自 由 吟」             内山  敏子
間違へペロリと出した長い舌          浜 松
冷蔵庫も空っぽ明日は年金日
わら草履布に変わってアンコール
ギャンブルへ無限に伸びる欲の皮


「画  像」              畔柳  晴康
似顔絵はびっくりする程若い顔      浜 松
写真より可愛い笑顔照れている
自画像は強く優しい顔にする
煽てるなその画は五年前のだよ


  「ミッキーマウス」          大塚  徳子
新しく一歩踏み出す日の別れ       仙 台
もう一つ確かなものに農作業
偽善者がもっともらしいことを言い
賀状からミッキーマウスの声がする


  「  秋  」             山田  ぎん
手を掛けず菊がつぼみを持っている       静 岡
古里のみかんが届く幸を受け
山紅葉秋深みゆく肌寒さ
さつまいもつる毎抜いて児がはしゃぎ


  「脳 老 化」             山田 フサ子
脳老化等圧線が込んでいる           袋 井
四季を知る双葉あしたへ背伸びする
夢の間秋の夕陽が早すぎて
お賽銭に一時の安らぎをもらう


「希  望」              中安 びん郎
長雨も今まで止まぬことは無い       静 岡
全没も努力をすれば止められる
戦争のあとは平和が訪れる
老化しても名句を出せば名は残る


  「カゼをひき・・・」         中田   尚
こらあかん三十九度にのぼりつめ        浜 松
点滴が体温計を無視してる
ああうまいいつもはまずい水なのに
生きている三食無事に食べている


「雑  詠」             堀井  草園
順風に吹かれ爽やか赤い羽根           静 岡
生煮えのサンバが憎いシンドローム
真っ先に齢の差比べ訃報欄
チャッカリが隣の席で待ちぼうけ


「雑  詠」             林  二三子
身の丈に合ったところに予防線         芝 川
節制しメタボ知らずのスリム体
昨秋のパンツが入りひとまずホッ
プチ旅行主婦の不満をやわらげる


 「落 ち 葉」              提坂 まさえ
忘れても困りはしない過去ばかり        静 岡
ネット漬け指先にある好奇心
顔ぶれは揃った知恵はいま一つ
風の先選んでみたい落ち葉たち


  「自 由 吟」             海野   満
つくり顔企みすぐに見透かされ         静 岡
人知れずたまには弱音吐いてみる
普通だよ普通がつらい人生は
わかってる眼差しという君の口


「鮎三昧・・・其の十四」      永田 のぶ男
炎天に苔の色よく水飛沫           静 岡
口紅をつけた囮をそっと入れ
立てた竿ワン・ツー・スリーどんと来る
全身が天にも昇る血が踊る


「喉  仏」              長澤 アキラ
恥さらし後悔を積み生きている         静 岡
見せられぬ背を子供が見てしまう
寂しくは無いがとポツリ喉仏
もう少し良い目みたくて背伸びする


「羅 針 盤」             増田  信一
行き先は海に出てから風に聞く         静 岡
羅針盤私の未来こっそりと
頭右 体は左 足後ろ
真っ直ぐに歩いていても落とし穴


  「雑  詠」             川村  洋未
今だって言えない事がビンの中         静 岡
行っちゃった時間通りに終電が
ハイヒール重さに耐えてなお細く
土産物不要な化粧ほどこされ


「  答  」            石田  竹水
ハードルはそのままにして今日も飛ぶ     静 岡
ハイと言う返事を聞いて胸がすく
外野席言い放題が宙に舞う
答えんでいいよ旅の流れ星


「青い果実」              池田  茂瑠
こだわりも一緒に髪を染めました        静 岡
純情が過ぎる果実で青いまま
この柵がなければ堕落する私
ゆっくりと眠る右脳が軋むから


「  石  」            多田  幹江
捨てたはずの処に石の影がない        静 岡
ビギナーズラックそこから堕ちた石
おサルさん反省なんかしていない
万感を晒して白い滝落ちる


  「秋 の 月」            中野 三根子
人生をみつめてしまう秋の月        静 岡
目をとじて月夜の中に母と居る
さみしくてそっと見上げた細い月
これだけは言っておきたい今日の月


「万 歩 計」       佐野 由利子
年金をもらって秋の小旅行        静 岡
屁理屈がやたらと多いコップ酒
転た寝をしながらテレビ聞いている
回り道して吠えられる万歩計


  「十 二 月」            川路  泰山
暮れの街浮世の垢を鷲掴み         島 田
一人酌この一年を呑みおさめ
挨拶も杓子定規の大晦日
腰抜けた蕎麦で今年の除夜を聴く


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
今日の事忘れろという夕陽かな        焼 津
聞き飽きた台詞だ首を賭けるとか
日常的事象で妻と囲む膳
分け合えぬ貧富いくさの火種かも


「このごろ」                望月   弘
特措法地球の止まるほど騒ぎ        静 岡
偽装偽装 性善説の崩れる日
病院の予約がほしい救急車
目が覚めるさあノリシロと格闘だ


 「優しい夜の過ごし方」       加藤   鰹
シャガールが見守る二人だけの刻     静 岡
カンパリにソーダ貴女と過ごす夜
スコッチと薪ストーブとヴェルレーヌ
ビバライフ君と奏でるシンフォニー


   顧  問  吟 
 「往 く 年」             柳沢 平四朗
残り火を煽る加齢の坂を往く          静 岡
良心という後悔が背に抜ける
すり減った言葉繕う歳の夜
猫も噛む窮鼠で道をこじあける




虎竹抄 | Link |
(2007/12/26(Tue) 08:17:12)

創 作  自薦句
    虎 竹 抄


「雑  詠」            高橋  春江
いい格好しすぎて衣はがされる         袋 井
傷ついた夢は春までそっとして
明日という頁へ好きな彩を溶く
ノータイになってほんとの空気吸う



 「本  音」            馬渕 よし子
コマ一つ進めてからの風当り          浜 松
意見書へ本音書けぬと書いておく
お利口な人に話の腰折られ
バランスを崩し欲張り見抜かれる



「生きる パートT」        山本 野次馬
羊水の流れ大河へ続くはず        函 南
産声で履歴のページ開く僕
期待だけ背負うカバンは重かった
胸の中火事になるほど君が好き


「自 由 句」            山本  トラ夫
鉛筆を削らなかった夏休み           長 泉
家柄も血統も無い猫の恋
戦いを終えるといつもある余力
寝て起きる起きなかったらどうしよう


「整  形」            松橋   帆波
似た顔のナースばかりの美容外科        東 京
整形外科に容疑者のデスマスク
ボツリヌス菌でスターの仲間入り
教科書の偉人へ鼻毛耳毛など


「太  陽」            真田   義子
太陽が大きく見えた旅立つ日           仙 台
秋の雲会いたい人がふと浮かぶ
自分史の夢を支えてくれた骨
ライバルのでっかい夢にしがみつく


「  秋  」             増田   信一
太るのはゼーンブ秋のせいにして        焼 津
初冬でも秋と思える温暖化
我年も紅葉中か西日です
彼岸花子供の頃が走馬灯


「  秋  」           井口   薫
紅葉前線前頭葉をはや通過          袋 井
恋多き木にちがいない落葉樹
音量を一段上げて受入れる
秋深し急速にくる電池切れ


「  笑  」            薮ア 千恵子
正直で作り笑いがすぐばれる         焼 津
バカ笑いしたら肩の荷素っ飛んだ
笑うだけ笑った後の虚脱感
最後には笑うしかない行き詰まり


「弱肉強食」            増田  久子
鶏小屋へ虎猫が来る三毛が来る       焼 津
早い者勝ちを制するのはミセス
左遷地で子ら山に馴れ川に馴れ
写メールの顔で見事に縁が切れ


「自 由 吟」             寺脇  龍狂
ケータイを持つと手紙が来なくなり      浜 松
諭しすぎ元も子もない角力部屋
市民税上げてもらって政令市
初恋の相手未だに原節子


「茫茫の中の影」         金田  政次郎
米櫃の一粒ならば生きやすい         静 岡
大振り小振りブランコの下の影
電池切れ音を忘れている木馬
延命のリフォームの旅風に舞う


 「雑  詠」            寺田   柳京
唯我獨尊僕はそんなに偉くない         静 岡
均整の美人へ腹を引っ込める
年金が痩せて俺まで痩せて来た
税金が追い上げて来る九十九坂


「雑  詠」            滝田   玲子
風呂敷に小さな義理も包みこむ     浜 松
欠点も個性のうちとあきらめる
昭和史に生きたもったいないも死語
ロボットの電池切れそう千鳥足


「雑  詠」            石井    昇
縁とは不思議なものよ酒肴         蓮 田
雨か嵐か横隔膜の微振動
平和ボケ漫画の蓋が開いている
瓢箪の底から喜劇転げ出す


「ボランティア」          成島  静枝
福祉協お食事会のボランティア        千 葉
老い孤独門もこころも鍵をかけ
訪ねれば嫌なオヤジが超気さく
美しい老いは国より難しい


「  秋  」            毛利  由美
あの夏がこの秋をひとしお秋に        つくば
番組改編メイクドラマは三ヶ月
内閣も秋の雰囲気漂わせ
鍋をして先取り感のある手抜き


「政治なんて・・・」         戸田 美佐緒
ストライクゾーンがぶれてくる野心     さいたま
悪党のDNAが足りません
リハーサル通りにいかぬ猫じゃらし
はみ出したドラマが消える永田町


「家  族」             鹿野  太郎
ひんやりの下着に寄って来る小バエ      仙 台
茶柱が立って波立つ午前午後
愛一つされど呪文は百通り
姿見の前で葛藤する水着


「そ の 先」            岡村  廣司
その先は言うな誰にもわかってる       焼 津
その先を言ったら困るのはお前
その先を言わねばならぬのが掟
その先が言えず男は去ってゆく


「  波  」            鈴木 恵美子
浸食の浜辺に波の声を聞く          静 岡
浜育ち褐色の肌波に乗り
傷心を癒してくれる波といる
波長合う友と充電旅に出る


「雑  詠」            江川 ふみ子
もう少し引っぱらないで阿弥陀さま      函 南
火を貸して下さい心が寒いので
口下手が言うから本当だなと思い
女です鏡に眉を描き続け


「雑  詠」             西垣  博司
なべ底の恋はタワシで引き裂かれ       静 岡
喜寿過ぎて尚華のある女文字
気短かな男の長い自己弁護
日めくりが風邪引きそうに痩せて―秋


「米軍ミサワ基地」          濱山  哲也
米軍が冠に付く日本の地            つがる
ヘイ敗戦国笑顔の奥が言っている
郷に入りては郷に従う日本人
戦闘機見上げてみんな拍手する


 「執  着」             辻    葉
さり気なく咲いて零れたい白萩       大 阪
夕焼けの田んぼから秋が揺らめく
秋に生まれて無性に秋が絡み付く
秋冷を分け哲学の道をゆく


 「フリーハグ」            大塚  徳子
国技とやビックリガッカリと呆れてる     仙 台
厚化粧落としてビックリ別人だ
抜け道のパイプが巡る天下り
フリーハグそんなはやりに騙されて


 「染 ま る」             小林 ふく子
木の家に住み紅葉の山を待つ         袋 井
喜怒哀楽四肢に染めて生き上手
今日の画布しあわせ色に染めました
葉が染まり少し魔力が失せていく


「似ている」             中矢  長仁
似てきたか夫婦でしぐさ顔までも       愛 媛
生き様が親に似てきた困ったな
古時計手入れ良いのかよく動く
定年後夫婦同じの時間表


  「自 由 吟」            ふくだ 万年
マラソンの選手になれとお履き初め       大 阪
介護靴はいてズシリと老いを知る
賑やかな声の数だけ並ぶ靴
昼飯は諭吉で釣りと決めている


「神も仏も」            酒井  可福
パソ壊れデーターの無事神頼み        北九州
ご利益がある神ならば大歓迎
仏壇のおはぎが一つ消えている
神無月車の傷は神不在


  「ライバル」            畔柳  晴康
ライバルがジロリこちらを睨んでる       浜 松
ライバルに負けるものかと胸を張る
ライバルに笑顔会釈のこの余裕
汗ゆぐい今日の勝ち負け引き分ける


「雑  詠」             瀧    進
移り気な恋が解けない乱数表          島 田
昇降舵引いて逆風迎え撃つ
子に帰る老母の思い出蜃気楼
人の世を映す仏の掌


  「ぐし縫い」              芹沢 穂々美
雑布の運針やけにヒステリー          沼 津
運針のハートの形愛がある
おみくじは末吉で良し恋しい日
運針の乱れに何か見抜かれる


  「不 揃 い」            鈴木 まつ子
フルマラソン老いも若きも競い合い        島 田
不揃いのナスでも味覚保証つき
葉は花に逢えぬ運命や彼岸花
見比べて異彩を放つ大家の絵


  「追  憶」            安田  豊子
かやぶきの里に活きづく食文化         浜 松
絵手紙の素朴にこころ囚われる
味わって呑めば昔が揺れる猪口
追憶をゆっくり回す万華鏡


「さ が す」              新貝 里々子
何色かとさがす会話の糸口        袋 井
ツールバーとは路地裏にありますか
歩きながらのメールは打てません
この部屋になにをさがしにきたのだろう


  「雑  詠」             内山  敏子
運動会子供見るより親の会         浜 松
包帯を巻くと泣き止むかすり傷
ありのままに写った鏡を憎めない
倦怠期初心にかえりお茶を点つ


  「不 揃 い」            薗田  獏沓
分け隔てなく育てたが此の違い        川根本町
半分に切って大小この不思議
飼い猫と野良猫鋭い目が違う
縦横と墓の形よ墓地迷路


  「雑  詠」             山田  ぎん
秋の空鳩が飛んでる茜雲            静 岡
涼と風九月になって心地良い
家の前花色々に咲いている
曾孫笑み生えた可愛い歯が二本


「果たして?」             川口   亘
吸血鬼云って呉れるな採血車       藤 枝
昨日から考え過ぎて悩む今日
旧交も老令過ぎて話題消え
記名して偽名が騒ぐ元となり


  「台  風」              川口 のぶ子
台風が去って暑さの置き土産       藤 枝
一寸した事でも転ぶ歳になり
真っ直ぐに歩ける筈の曲る足
落ち着けと充分胸に云い聞かせ


  「自 由 吟」             御田  俊坊
愛想よく威張らず頭低い人           高 畠
世のために尽くす心に頭下げ
嬉しいと手紙を読んで出る涙
最後には元気に暮らせ来る手紙


  「赤い服のくまさん」         山田 フサ子
健康を楽しみながら行く余生          袋 井
支え合い楽しく生きる老いの春
奇麗に生きよう戻らぬ日を抱いて
行く余生趣味の料理の腕ふるう


「雑  詠」              堀井  草園
無駄骨で得した俺のレントゲン       静 岡
公約が避難袋の底が抜け
火遊びが好きで火傷に気付かない
音沙汰のないのが無事か土左衛門


  「原 油 高」             中安 びん郎
原油高また松根油堀りましょか         静 岡
原油高自転車乗れば健康に
原油高ウォーキングは金不要
原油高大八車油差す


「運 動 会」             林  二三子
応援に組んだスクラム崩れない          芝 川
棒倒し騎馬戦もないハラハラも
てっぺんはスマートな子で組体操
ビデオ手に我が子を追って親走る


「円  周」             池田  茂瑠
重い荷へ風を味方にして励む          静 岡
白旗を上げれば事は済みますが
反論へ円周だけは固めよう
濁流へ未練の残り捨ててきた


 「雑  詠」              多田  幹江
噂の根穿る元気なシャベルたち         静 岡
指切りの軽さジワジワ付けが来る
アンチエイジング青〜いシャツ着てさ
きのうを捨てる私を捨てる冬支度


  「第42回県大会ボツ句」       中田   尚
カップめん待つ三分の長いこと         浜 松
両国にモンゴルの風吹き荒れる
福の神わが家の地図を忘れたな
森光子でんぐりがえりまだ続け


「どきどき」            塚本  寄道
真夜中に近づいてくる砂利の音        長 泉
一発逆転ホーム目指して駆け抜ける
授業中指名をされて目を覚ます
初めてのどきどき忘れ街に住む


「ま ぶ す」              石田  竹水
口下手が言葉に笑顔足している         静 岡
握り飯塩か砂糖かまぶす腹
竹光で奇麗な首が切れますか
合鍵の腹が読めない薄笑い


「夏の終わり」            谷口 さとみ
夏まつり後は探されないお面          伊 豆
シミになる心配もないほどの恋
秋風が吹いて萎んでゆくプール
つまらないものを食べたときみは言う


  「秋  風」             中野 三根子
さわやかに笑って風を受け止める        静 岡
コーヒーの香りに私走り出す
心まで秋風の音しみ渡る
風だけが私の心知っている


「雑  詠」            川村  洋未
足腰が弱い列からはずされた         静 岡
幸せが歩いた跡を踏み固め
ドアノブで待ち続けてた恋心
はじかれて味方もいない敵もなし


「上  品」              佐野 由利子
長生きを疎まれる日がきっと来る        静 岡
順調に進む話が気に食わぬ
上品に振舞う人に肩が凝り
スタートに遅れて輪には入れない


「ログアウト」           真理  猫子
割り切りで交際中の元夫婦          岡 崎
沢庵を切る手元から嫉妬心
今夜こそ左脳と縁を切ってやる
優しさは売り切れましたログアウト


  「思うままに」           堀場  梨絵
息抜きの散歩こころの色直し        静 岡
ピーマンの空洞にある無の時間
太陽が好き縁側の回り椅子
場を読んで納得をするわたし


「な ま ず」       長澤 アキラ
家具止めた止めてないのは僕と妻     静 岡
非常食備蓄したのは酒ツマミ
犬小屋の下に置いてる貴重品
断層の左右で夫婦ちがう夢


  「風 の 櫛」            川路  泰山
風櫛の女あくまでも妖艶で         島 田
残り香に何を秘めしや磯の花
忘れ得ぬ出合い生れた七月一日
一九七一を生年月日として置こう


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
生意気な靴にマンネリ指摘され        焼 津
お目出度い話家計簿そっぽ向く
混沌の世だから恥もすぐ忘れ
弾除けはごめん先頭には立たぬ


「そして秋」                望月   弘
予報士がてんてこ舞いの秋の空       静 岡
穂を渡る風が乾いてそして秋
人肌の燗と語らうそれも秋
ソーランで日本の秋を埋めつくす


 「野 良 猫」            加藤   鰹
野良猫が「一万円でどう」と言う     静 岡
年老いたチンチラ過去にしがみ付き
三毛猫と山田うどんで飲むビール
酔った目で自殺未遂を語るノラ


   顧  問  吟 
 「右  脳」             柳沢 平四朗
子の帰省ああ引き算のお出迎え         静 岡
単細胞ヒトの右脳へ喰いさがる
偶然はもう他人事へ老い二人
人情に怪我をしそうな端がある




虎竹抄 | Link |
(2007/11/26(Sun) 08:47:12)

創 作  自薦句
    虎 竹 抄


「雑  詠」            藪ア 千恵子
不用意に出した言葉の後遺症          焼 津
詮索をしすぎて首が回らない
負け犬の言い訳がもう負けている
幅利かす序列を蹴ってみたくなる



 「  月  」            小林 ふく子
三十の顔持つ月はお人好し           袋 井
月のうさぎ丸めた餅は星になる
ほどほどの幸せ月と語ります
おぼろ月彼の心は月に似て



「弱  点」            薗田  獏沓
弱点があって気楽な人が寄る      川根本町
攻めて来るから弱点は見せられぬ
前科には成らぬ程度の罪重ね
完璧でないから人がついて来る


「あれには参った」         松橋   帆波
掌のアンチョコ汗で読み取れず         東 京
暴落の日にパソコンが繋がらず
混浴といえばそうだが猿と鹿
来ないのと言われて思い当たる事


「忘れんぼ」            高橋   繭子
座敷わらしが思い出させてくれる夏       大河原
最近を忘れる執念深いひと
忘れんぼ許してくれる熱帯夜
螺旋階段記憶のドアはどこにある


「言  葉」            安田   豊子
売り言葉買って空しい自己嫌悪          浜 松
失言の尻尾踏まれた酒の量
嘘も方便使い熟して生き残る
一言の重さ優しさ難しさ


「フレンチ」             成島   静枝
フレンチのランチ御招ばれ淑女めき       千 葉
フレンチに箸置き気取り要りません
彩りとソースお代りさせるパン
ナプキンで内緒話の口も拭き


「白 い 歯」           中田   尚
白い歯と小指にハートくすぐられ       浜 松
糸切り歯明日に備えて研いでおく
白い歯で秋の味覚を頂こう
歯は大事いくらお腹が黒くても


「雑  詠」            ふくだ 万年
水溜り飛んで無念の老いを知る        大 阪
岩清水旅の終わりは母の海
ヘソ魅せぬ水着が走る孫つれて
年金を孫がくすねて夏を終え


「母 の 道」            真田  義子
母の道今追いかけている私         仙 台
旅の空心弾んで鳥になる
おしゃべりが好きな人から長電話
いつの間に風がお供のひとり旅


「ス ー プ」             山本 野次馬
ほどほどの距離でスープの冷めぬ仲       函 南
缶きりで我が家のスープ出来上がる
二世帯で味わう二種類のスープ
スープカレー今日の自分を暴露する


「結  果」           毛利   由美
平均をすれば平年並みの夏          つくば
本当に切れていたわ賞味期限
同じもの食べて相方だけ太り
早々にブートキャンプはオークション


 「ライバル」            濱山   哲也
ライバルに負けじと僕も養命酒         つがる
ライバルが美人と話す見る地獄
ライバルが言うライバルに僕が無い
ライバルは今日もきっちり痩せていた


「記  憶」           あいざわひろみ
海鳴りは母の体内から来る       長 野
恋心風がさらっていきました
傷痕は見せない白壁の土蔵
まっさらな今日に記憶を書いていく


  「  う  」            川口    亘
浮き草も終の住居を決める頃        藤 枝
浮き袋つけて泳げぬ身のあわれ
浮気でも瓢箪までにまだ遠い
運命と大袈裟が効き籤を引き


「楽 し 気」            石田  竹水
御破算で静止が出来る五つ玉         静 岡
楽し気に踊り続けて去る枯葉
乾いたら涙が甘く甘くなる
一と一足した答えが世に出ない


「愚  痴」            戸田 美佐緒
とんちゃらん今宵のカメも愚痴を言う    さいたま
好きなことグチって鶴が飛んでいく
自我ばかり通すカエルの孤独癖
たまたまにヒトの顔して生きている


「やれやれ」            新貝 里々子
電池切れ警報だとは知らなんだ        袋 井
夏バテのくすり昼寝が癖になり
サスペンス蝉も子供も消えました
生きるとはペットボトルのお茶を持ち


「夏 終 る」             酒井  可福
秋を呼ぶ風鈴の音に千の風          北九州
夏終りすべて絵日記でっちあげ
盆の明け線香花火だけ残り
鈴虫にステージ譲る蝉の声


「定期テスト」           塚本  寄道
突然に掃除始めるテスト前          長 泉
深呼吸ため息になるテスト中
やったのに思い出せないことばかり
勉強をやるぞと思うテスト後


「自 由 吟」            寺脇  龍狂
蝉時雨止んで気がつく耳時雨         浜 松
理不尽へ自己責任がまた問われ
局長の常識クルマの二、三台
いつ見ても野球のサイン分らない


「花の東京」            増田  久子
上京は青春キップ五人連れ          焼 津
デパ地下でいつもながらの荷が増える
鳩居堂一筆箋を買いに寄る
五人とも巣鴨が似合うけどやめる


「雑  詠」             馬渕 よし子
媚びた日のメーク落としは手間かかる      浜 松
裏窓を開けて息抜きしています
幸せになろう苦労の中で聞く
夫にも渡せぬ鍵を一つ持つ


「豆 台 風」             加茂  和枝
これでもかこれでもかあと雨は秋        岩 沼
ビニールの弱点だけが目立つ傘
湿っぽくならないように泣いておく
豆台風おねだり何かあったはず


 「花を買う日」           提坂 まさえ
明日使う笑顔いくつか用意する       静 岡
コンタクト外して生の君を見る
撥ねと留めいまだに迷う私です
笑い方忘れたのです花を買う


 「  !  」             井口   薫
感嘆符押してメールが様になり        袋 井
背を押してくれた赤ペン感嘆符
老い止めの秘薬疑問符感嘆符
あら綺麗おいしい凄い旅切符


 「想  い」             鈴木 恵美子
かすり傷ひとつふたつはあって老春       静 岡
泥舟に乗ろうあなたと一緒なら
断ち切れぬ想いは遠くちぎれ雲
本当の愛は自然の彩で溶く


「  風  」            瀧    進
たんぽぽと噂の種が風に乗り         島 田
忍耐の手綱さばきが風を呼び
風見鶏読めぬ明日の風を待つ
諍いの心に風が吹き抜ける


  「裏 の 裏」            岡村  廣司
裏の裏読むと疑心が眼を覚ます         焼 津
裏の裏読んだら裏がもう一つ
裏の裏知ると生真面目あほ臭い
裏の裏読み過ぎ霞す右の脳


「処 方 箋」            鈴木 まつ子
てにをはが乱れて話噛み合わず        島 田
朝ドラに今日も明日もと見逃せず
都合よく惚けてみるのも処方箋
兎に角も今の元気がありがたい


  「迷  路」            海野   満
みだれ咲くおいらの時季はいつなのか      静 岡
朝おきていつも同じだそれでいい
パパ臭いおまえも臭いわが家内
人生のどこにいるのかわからない


「雑  詠」             西垣  博司
オントシと云われ半分悄気ている        静 岡
謹しめば何やらそんな顔になる
末席で金持ちの愚痴聞いている
軽く受け流したあとの立ち眩み


  「老 い る」              金田 政次郎
トンネルを数えいつしかお爺さん        静 岡
ベートーベン程よく聞いているつんぼ
翁媼無慚オチンチンは要らない
明日老いる今日一日を若く居る


  「自 由 吟」            川口 のぶ子
幸せを庭のトマトと分かち合い          藤 枝
枝はらい汗がポトポトもう暑い
三十五度パタッと止んで蝉しぐれ
風鈴の音色夕べの風に酔い


  「逃 げ る」            高橋  春江
しつような影にわたしは逃げきれず       袋 井
逃げ回る猫を相手に織るドラマ
立ち向う歳へ最後のガッツポーズ
自己逃避なんと静かな海だろう


「  愛  」              鹿野  太郎
チョイ悪の美学に妻の眩しい瞳      仙 台
微笑んでいる父の星母の星
古里の友と紐解く語り種
足元に一等星が光ってる


  「自 由 吟」             山田  ぎん
此の暑さ子等はプールへまっしぐら     静 岡
朝早く咲く朝顔が彩をくれ
海は今人が集まり波の音
月を見て夫を思い妻は老い


  「自 由 吟」            御田  俊坊
世の動き雲の流れに逆らえず          高 畠
悠々と雲が地球を掻き回す
ばりばりと思い出消して反古される
ばりばりと働く父の背が温い


  「家族しり取り」           中矢  長仁
五時が来た少し早いが縄のれん(夫)      愛 媛
縄のれんなんて小遣い有ったわね(妻)
有ったのに宿題誰か見て欲しい(子)
見て欲しい子の面倒を私寝る(妻)


「  雨  」              畔柳  晴康
長雨に句作のペンも湿りがち       浜 松
老い耄れて晴耕雨読洒落てみる
雑草が生気満々雨の庭
被災地の雨に我が身の心濡れ


  「雑  詠」              内山  敏子
月並な謝罪が続く記者会見        浜 松
口実は脚の痛みにした胡坐
混浴は男が恥じる野天風呂
もう一本ビールをねだる父の指


  「稲  光」             大塚  徳子
ショウゴイン大根おろし暑気払い        仙 台
大ジョッキゴクンと飲んで暑気払い
虫も殺さぬ顔で疝気の虫を飼う
社保庁のあたりで光る稲光


  「雑  詠」             滝田  玲子
コスモスの揺れに迷った赤トンボ        浜 松
古希と書く馴染まぬ筆に手が震え
頼られるうちが花だと諭される
マラソンの元気をもらう暑い朝


「誕 生 祝」              山田 フサ子
落し穴の近くで止まる年の数        袋 井
平坦な道ばかりない土になる
実らない多趣味たのしみ生きている
喜寿過ぎて孫から届く誕生祝


  「雑  吟」             堀井  草園
くじ運の悪い翼が糞おとす           静 岡
優しさに馴れた敷いで脛を打ち
人生に筋書はなく小石積む
ふて寝して細目で俎音を読む


「分 水 嶺」             中安 びん郎
分水嶺桜散る川暴れ川              静 岡
分水嶺場所は日本の中央部
母が生む優秀な子と平凡児
分水嶺綺麗な水が南北に


「シルバー」             中野 三根子
席ゆずるつもりがそっとゆずられる       静 岡
やさしさがシルバーシート暖める
シルバーで何度も映画みてしまう
年金とシルバーシートお出迎え


 「中  国」              増田  信一
中国は昔の日本そのまんま           焼 津
チャイナ服似合ったあなた過去の人
少子化を推進しても増える国
前食べた中国産にゃノー天気


  「鮎三昧・・・其の十二」       永田 のぶ男
雨風よ自然壊すな神頼み            静 岡
来年の遡上状況気にかかる
自然体荒れる枯れるも恵む雨
雨やどり五体真まで冷えてくる


「生き下手」            長澤 アキラ
生き下手で白と黒とがよく見える       静 岡
返り血の後が読めない血のめぐり
血止めするように時時座禅する
血の色の混じる小説書き終える


「  秋  」              林  二三子
店先を秋の果物が陣取り            芝 川
芋掘りの園児満面の笑顔
店頭でサンマに秋を告げられる
サンマ焼く七輪未だ捨てられず


「愚  妻」             多田  幹江
保険証愚妻しっかり付いている         静 岡
お叱りを自分のメタボ棚に上げ
アンチエイジングだとさ都合のいいマイク
着物を着ると動かなくなる愚妻


  「母 の 海」             池田  茂瑠
中立の軍手が白いまま乾く           静 岡
大らかに凪いだ肥満の母の海
未来図の裏にナダレの音消えぬ
疑いも少し入れてく袖だたみ


「つ  め」            川村  洋未
つめに書く愛していると風呂あがり      静 岡
さよならねマニキュア落し右左
マニキュアで染めてつぶした本音ある
つめみがくケータイボタン押しながら


「Eメール」              佐野 由利子
この角を曲り切ったら抜きん出る        静 岡
Eメール届きましたか茜雲
奥さんは節約ばかり言っている
砂浜に恋の抜け殻落ちている


「シマドジョウ」          山口  兄六
天国で妻に会ってもシカトする        足 利
ケータイ族を振り返らせた美人
ウォシュレット父さんそれはエシャロット
渋滞を抜けたらそこは青い空


  「自 由 吟」            真理  猫子
年金を運ぶカボチャの馬車がある      岡 崎
上流の魚には解けぬ化学式
加齢臭まだ熟成が終わらない
警報に勝負を挑む雨の音


「空  漠」       谷口 さとみ
飽きちゃったダメと言わないやさしさに  伊 豆
捕り方を猫に教えているねずみ
ケンカするほうが淋しいよりマシよ
終電が出るまで空車来なきゃいい


  「日 和 見」            川路  泰山
優柔不断なにをするにも出遅れる      島 田
真鍮のラッパへ誰も振り向かぬ
肩書きを担いだだけの猿芝居
日和見が好きでお山の上に立つ


「自 由 吟」                高瀬   輝男   
諸事万端あなたに任す理髪店         焼 津
とどのつまりは常識論で片がつき
サア墓は買った長生きしてやるぞ
大変だ俺の提言シュレッダー


「目のうろこ」               望月   弘
目ん玉の洗濯をする青い空         静 岡
目の鱗いちども落ちたことがない
貼り替えた賞味期限で夫婦する
今日もまた買ってしまった売り言葉


 「バイバイサマー」         加藤   鰹
言うべきを言って煙たがられている    静 岡
夏の恋終わり秋刀魚がほろ苦い
キャッチ&リリース恋はゲームだな
失意の日セミの大合唱を聴く


   顧  問  吟 
 「軈  て」             柳沢 平四朗
おおっぴらに晒す仲なら臭わない        静 岡
まだまだの軈てを責めぬ自由形
老人力の自惚れ返り討ちに会う
ビー球の向うに駄菓子屋が見える




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(2007/10/26(Thu) 08:27:12)

 

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