「フリー吟」             谷口 さとみ

ひとり鍋ネギにも話しかけてみる           伊 豆

お徳用サイズにひるむひとり者

好きなものだけのオデンをコンビニで

止める人いないからつい空けちゃった

 

 

 

「自 由 吟」             濱山  哲也

痩せませんネットサーフィンしてるのに        つがる

銭はないけれど恋ならよく貯めた

天国へのパスポはあるがビザが出ぬ

この国の女性以外が嫌になる

 

 

 

「お ば け」             山本 野次馬

オバQがCMしてるアデランス            函 南

猛暑日は無料にしたい肝試し

現代のおばけ眉毛を剃って出る

雨三日いたずら好きなお化けたち

 

 

「  雨  」             伊藤  豊志

砂時計落ち切る前の午前二時             宮 古

予報士がカワイイ顔で避難せよ

チビちゃんのお名前何と言うのかな

俺も泣くジャイアンも泣く人だもの

 

 

「自 由 吟」             孝井   栞

よく喋るオウムO型かも知れぬ            富 山

味方なのか敵か別れてから判り

空想の羽が時々宇宙飛ぶ

漂白で消えるだろうか鬱な空

 

 

「夏 終 る」             新貝 里々子

くたびれた夫の背なへファブリーズ         袋 井

無花果よやり直したい恋ひとつ

蚊取線香昭和模様にスタンバイ

夏終るメランコリーが止まらない

 

 

「ぶ れ る」             毛利  由美

体液でいちばん美しい涙               つくば

話し方でストーリー性出る話

打ち明けられてなってしまった共犯者

一匹の蚊にハンドルがぶれている

 

 

「初秋の一コマ」           鹿野  太郎

あくせくと忙しいばかり土踏まず           仙 台

コーヒーを楽しみギアを入れ替える

夜爪切る脈が乱れる声がする

ひとつだけ残したものがある晩夏

 

 

「  秋  」             井口   薫

秋空を得意げに切る飛行雲              袋 井

秋深しいや冬かもね現在地

月下美人みだらを晒す朝の空

足早に欠けて行くなよ秋の月

 

 

「こ こ ろ」             石田  竹水

僕の夢変化進化の万華鏡               静 岡

好奇心賞味期限が無く挑む

読み過ぎた空気が起こす乱気流

運は天 気候異変に来る勇気

 

 

「  秋  」             高橋  繭子

忘れもの探してる間に秋が来る            仙 台

もふもふと猫またなでてもふもふもふ

斜陽産業残業手当て死語となる

『DNA違う』と闇からの知らせ

 

 

「魔女の予感」            外側 としみ

りんご煮て優しくなれる日の予感           磐 田

ハロウィンの魔女には魔女の自己主張

女子会のポテトサラダに盛り上がる

どんぐりの帽子にキュンとなる秋だ

 

 

「雨ふらし」             斉尾 くに子

寄り添っているから影も共犯者            鳥 取

つぶやきの滴がぽつりぽつり散る

天女だと絡んでしまう雨ふらし

打ち寄せる単純と純情の波

 

 

「自 由 吟」             鈴木 恵美子

あどけない笑顔のぼくを守らねば           静 岡

口角を上げほほえみをとり戻す

われもこう枯渇の脳へ風を入れ

終活の前断捨離の岩があり

 

 

「ユーモア川柳」           岡村  廣司

前の客小銭探すに手間かかり             焼 津

お大事に医者言ったから休みます

素寒貧と気付いたらしく誘われず

頑張れと言うがどうすりゃいい寿命

 

 

「  力  」             薗田  獏沓

産声は力の限り懸命だ               川根本町

富士百景山に力をつける雲

限られた人生だから汗流す

指先がまだ残ってる徳俵

 

 

「料  理」             小林 ふく子

菜箸を汚し焦して母になる              袋 井

あつあつのご飯に盛った母の愛

空腹の度合いとうまさ比例する

うす味に馴染んで老いを振り払う

 

 

「後期高齢」             畔柳  晴康

老いたれど舌三寸は良く動く             浜 松

アレとコレ薬漬けでも口達者

診断書加齢の文字が記される

二枚舌甘く言い寄る色眼鏡

 

 

「  生  」             藤田  武人

白黒の町ひっそりと生きている            大 阪

生きるって泣いて笑って難しい

生だからそっと抱いてと主張する

腕枕小さな寝息温かい

 

 

「チャンス」             真田  義子

どん底で生きるチャンスを待っている         仙 台

目を閉じて明日の風を読んでいる

なぜかしら今日も小石につまずきぬ

草笛が聞こえて途中下車をする

 

 

「夕  風」             安田  豊子

入口は違う秘湯ののれん揺れ             浜 松

江戸羽子粋な日本の風を呼ぶ

盲目の恋じゃ回らぬ風ぐるま

夕暮れの鐘が淋しい余韻くむ

 

 

「ストレス」             酒井  可福

妻寝言きっとストレス溜めている           北九州

隣国がストレスの素島の波

泣いている夏の太陽雨続き

ストレスが膨らむめしを出してくる

 

 

「自 由 吟」             内山  敏子

気兼ねない友と雑魚寝の長話             浜 松

老人のまだまだ伸びる腰の皺

締めるだけ締めても足りぬ欲の皮

友情に囲まれ再起決意する

 

 

「入 道 雲」             阿部  天気

雷雲が天に拳を上げている              横 浜

背伸びして入道雲とハイタッチ

入念に入道雲の顔を読む

雷を落として父の顔になる

 

 

「腕 試 し」             鈴木 まつ子

牛歩でもいつかは掴む腕試し             島 田

横文字の氾濫辛い答案紙

知るために試すテストに目が冴える

学力の考査ストレス胃にためる

 

 

「衣 装 箱」             戸田 美佐緒

おどければ過去が背中を撫でにくる         さいたま

覗けば地獄糸を垂らしてくれますか

共犯の木偶と案山子に騙される

牛丼屋から今さらの舟を漕ぐ

 

 

「R E D」             栃尾  奏子

赤い靴今日はあなたと鬼ごっこ            大 阪

私の立ち位置赤い薔薇でいる

仕返しのように真っ赤な花が咲く

千年も前から妬心赤きもの

 

 

「自 由 吟」             岩永  圭二

蚊にトンボ今の季節は何なのか            大 阪

風鈴が暴走族の音に変わる

足元を見ればわかる秋の到来

空が泣き我が怪獣も大暴れ

 

 

「自 由 吟」             山田  浩則

呑み過ぎて帰りの足が重くなる            島 田

午前二時帰宅はすでに千鳥足

風邪薬飲んでもバカは治らない

ボケ防止リンゴの皮をむいてみる

 

 

「無  題」             川口   亘

清廉の気持でいつも身を樹てる            藤 枝

本来の姿勢に戻るこれに盡き

知らないで要る手を欠いた想い込み

身の揺れることのなかれと祈る朝

 

 

「雑  詠」             川口 のぶ子

蝉しぐれパタリと止まり夏が去る           藤 枝

夏も去り暑さやわらぎ秋の声

耳につく秋の夜長をチンチロリ

虫の音に耳かたむけて句をひろう

 

 

「イベント」             成島  静枝

イベントの裏方無償の汗をかき            千 葉

時系列やるべき事を書くノート

万一を考慮に入れる危機管理

イベントの成否人脈物を言い

 

 

「秋 の 風」             鈴木 千代見

口紅の色変え新しい私                浜 松

コーヒーのミルクゆっくり溶ける秋

秋風に新茶と表示 新茶飲む

私は見た力強い蝉の羽化

 

 

「家  事」             山田  勝笑

最近は家電とばかり話してる             森 町

黙っては掃除ができぬ母とロボ

夫褒め家事をやらせるタイプです

定年でやっと三食昼寝付き

 

 

「自 由 吟」             奥宮  恒代

ごきげんよう津々浦々を和ませて           森 町

母なればモンスターにもマリアにも

いい訳はキライとペンが横を向く

くたくたになっても許してくれません

 

 

「身の丈で」             馬渕 よし子

安物が私の指で光ってる               浜 松

ブランドを付けると妙に肩が凝り

百均の皿へ幸せたんと盛り

釣り銭で役に立ちたい募金箱

 

 

「こんなもんです」          増田  久子

喪服着てこれ見よがしの二カラット          焼 津

お相手の応援席へホームラン

ピッチャーを替えろとテレビにも怒鳴る

十年も経つと夢にも出て来ない

 

 

「自 由 吟」             南   天子

肺炎と言われたけれど気にしない           焼 津

相棒のうその話も気にしない

暑すぎる夏は私を半殺し

食欲がガタンと落下ミイラ並み

 

 

「秋の気配」             竹内 みどり

雨戸あけ秋の気配がゆっくりと           さいたま

名月をうっとり見とれ信号機

前向きに過去は忘れて一歩出る

お互いにとんちんかんな会話する

 

 

「  米  」             山本 ますゑ

台風の向きが気になる収穫期             磐 田

豊作を見守る顔の太い皺

コンバイン黄金の海を掬いとる

食べすぎに注意と書いたうまい米

 

 

「宿場町・街道」           寺田  柳京

宿場町孝女が幾許身を沈め              静 岡

覆面の恩師が嘆く格子越し

名将の心に触れる塩の道

大名の顔覚えてる一里塚

 

 

「冗句その・・・」          西垣  博司

ウエストは何処ですかとは失礼な           静 岡

表現の自由昨日と違う眉

この先の予定に恥も入れておく

この世から出るとあの世につき当たる

 

 

「  鳥  」             川村 美智代

隣りとの垣根に止まる青い鳥             静 岡

否応なく雀茶色のぶちを着る

ユニクロで派手目選んでいるカラス

かるがもの親子追う目のみなやさし

 

 

「先  生」             菅原  花子

先生の声聞きたくて電話する             盛 岡

先生の言葉がなぜか栄養に

便箋の香りがとてもかぐわしい

先生は女神のように美しい

 

 

「久米の仙人」            中矢  長仁

仙人も乙女の足に目がくらむ             松 山

仙人も目が点になるミニルック

枯れすすきなのに楽しい目の保養

もう一度芽吹いてみたい枯れすすき

 

 

「雑  詠」             飯塚  澄人

新幹線帰省のひとみ孫主役              静 岡

台風が祭りの町を全部消す

七ツ星豪華列車に用はない

長男が母親ゆずり飽きっぽい

 

 

「雑  詠」             尾崎  好子

デング熱即日本のど真ん中              藤 枝

安倍首相五人の姫に囲まれて

広島が被災の窓口ばかり受け

映画祭賞を貰いに行く小百合

 

 

「雑  詠」             多田  幹江

この星にも少し置いてくれますか           静 岡

七福神何故か女は一人きり

猫カフェのボス堂々のお茶っ引き

達筆ですねとワープロに皮肉めく

 

 

「アルコール考」           渥美 さと子

下戸だから酒屋の前を通れない         静 岡

正月の御神酒残りが居候

冷蔵庫ビールに席を貸さないわ

DNAの所為です媚を売るワイン

 

 

「自 由 吟」             長澤 アキラ

本マグロの横でサンマのアカンベー       静 岡

ビアジョッキの底に初秋が噂る

沢庵になっても愚問まだ解けぬ

結局のところ泣き方笑い方

 

 

「自 由 吟」             滝田  玲子

人間がこんな私にした地球              浜 松

今日の疲れ癒してほしく泡をのむ

不器用で手抜きが出来ぬ貧乏性

今年こそ会いましょうねと半世紀

 

 

「蛇  身」             池田  茂瑠

青い鳥指に戻ってくれないか          静 岡

ふるさとを思う寂しい方言で

いつだって蛇に変れる私です

見せられぬ一面持っている私

 

 

「自 然 体」             薮﨑 千恵子

身の丈に合った暮らしでいる平和           焼 津

大らかに風に任せる自然体

たおやかにずばり本心突いてくる

法話聞く心だんだん洗われる

 

 

「  月  」             中野 三根子

今日もまた一人ぼっちのお月さま           静 岡

満月にちょっぴり心見透かされ

きっちりと見つめあってる池の月

月かげが湖面に続く銀の道

 

 

「初  秋」             石上  俊枝

ひまわりが夏に別れを頭下げ             静 岡

虫の声秋風に乗りコーラス隊

紅葉のツアーのチラシ騒ぎます

暑さ越え頑張ったねと彼岸花

 

 

「日  常」             川村  洋未

明日もある窓拭きなどは残しとく           静 岡

雨の日は友に手紙とペンを取る

小銭などためて開けたら二万有り

箇条書きいつかは出来る事も有る

 

 

「自 由 吟」             永田 のぶ男

金のある奴から税を多く取れ             静 岡

自衛権何がなんでもやる気だな

恩知らず鉄板焼きで裏返す

自然界事故で神様忙しい

 

 

「バス旅行」             森下 居久美

荷作りも心うきうきバス旅行             掛 川

作り置く煮物和え物二日分

バス旅行世界遺産がお出迎え

朝風呂に上げ膳据え膳夢の様

 

 

「手 料 理」             佐野 由利子

手料理を素直に夫褒めてくれ             静 岡

ライバルを褒める余裕は有るけれど

返信を直ぐくれる人くれぬ人

猫嫌い隣りの猫を持て余し

 

 

「名  月」             真理  猫子

肉団子盛って月見の宴かな              岡 崎

友だちが月で迷子になっている

五十年前に家出をした兎

あぁ今日も平和だったと月を観る

 

 

「満  月」             勝又  恭子

アドバイス聞いてしまってから迷路          三 島

はしゃぎすぎタバスコすっと渡される

レプリカのうにとイクラが口に合う

満月にきっとみられているピンク

 

 

「  秋  」             増田  信一

あといくつ秋を越したら角取れる           焼 津

考える秋にしたいと昼寝する

冬が来る前にたらふく食べて寝る

鈴虫を子守唄にと聞く老後

 

 

「自 由 吟」             荒牧 やむ茶

まん丸い月だ今宵もはしご酒             小 山

好奇心が突撃ラッパ吹いている

ライバルが僕を見ている雲の上

道半ば行こか戻ろかいばら道

 

「自 由 吟」             林  二三子

赤い糸よくも切れずに半世紀             富士宮

夏終わり赤札がサイフを急かす

家庭菜園茄子もキュウリも役を終え

夏の花疲れ秋明菊が盛ん

 

 

「も し も」             松田  夕介

借金をしてでも欲しいドラえもん           静 岡

人間が小型化したらエコかもよ

人間をリコールしたいのか地球

配給制になったら怖いよね空気

 

 

「野菜たち」             望月   弘

パプリカの赤情熱に酔っている            静 岡

箱入りの娘のようにミニトマト

お日さまの依怙贔屓だなミニトマト

松茸は食わず嫌いの子に育て

 

 

「秋 慕 色」             加藤   鰹

代議士の犬はぬれ衣着せられて            静 岡

不特定多数のヘビが住むネット

親殺し子殺し鬼も泣いている

虫さされだったね恋はジ・エンド