「風になりたい」           松田  夕介

風の靴はいてあなたに会いに行く           静 岡

ハッピーな時は翼も生えてくる

クローンが出来ても僕とボクじゃなあ

黒だけど虹になりたいのはヒミツ

 

 

 

「ケロリン一丁!」          伊藤  豊志

良い子がね地下一階の奥の部屋            宮 古

生三つ四つ五つという呪文

すんませーん大人一名追加っす

車窓から眺める日本海もまた

 

 

 

「真夏のダイエット」         真理  猫子

小規模な失恋今日もしています             岡 崎

淀んでる空気に軽く透かしっ屁

ワイパーが蹴散らす天の号泣を

揉め事が減った地球はやや軽い

 

 

「自 由 吟」             孝井   栞

カラコロと下駄温泉地歐歌する            富 山

泣きじゃくる議員を二歳児が笑う

出番ですかと背伸びして出る扇風機

お客さんも隣も持ってくる胡瓜

 

 

「自 由 吟」             濱山  哲也

平常心でいるほど僕は暇じゃない           つがる

罪人が増えて地獄の埋立地

ハムスターのクルクルを見てダイエット

脂肪肝ぼくも高級食材だ

 

 

「もう一度」             毛利  由美

人間のメンテは車より安い              つくば

多機能は単細胞に荷が重い

飲み方は私が決める市販薬

もう一度くらい聞きたいプロポーズ

 

 

「自 由 吟」             斉尾 くにこ

敗北の顔うずめたいメロンパン            鳥 取

満月のあなたと欠けていくわたし

ライオンも山羊もサソリも人の顔

奉仕する時間はつづくティーカップ

 

 

「二 幕 目」             新貝 里々子

拾われぬままにハンケチ泥まみれ           袋 井

ビギンザビギンあの日の中に身を沈め

マカロンの甘さ軽さのおとこ達

ニ幕目スタッカートに切り替える

 

 

「自 由 吟」             竹内 みどり

紫陽花の咲く鎌倉に行きそびれ            さいたま

川柳よむ天井みたり庭をみる

梅雨明けで静かに浴す露天風呂

長寿国格差は続くどこまでも

 

 

「合掌の中に」            栃尾  奏子

弥陀の掌で足掻いている甘え             大 阪

水鏡待っていたのは母でした

人は風愛を纏ってすれ違う

合掌の中亡父が居る亡母笑う

 

 

「自 由 吟」             鹿野  太郎

酒を飲むひとつの謎を解くために           仙 台

悔いひとつ紫陽花寺に置いてくる

泣き止んでビーチが夏へ光り出す

移り気な風が時々着いてくる

 

 

「恋いろいろ」            鈴木 千代見

指切りの指から微熱離れない             浜 松

今一歩踏み出すための服選ぶ

断捨離に古びた恋のひとかけら

軽い恋ふわりふわりと風まかせ

 

 

「自 由 吟」             奥宮  恒代

まな板の凹み女の奮戦記               森 町

置き去りのきのうが不意に顔を出す

いかなごのくぎ煮ほっこり舌笑う

ジェラードに浮気心を閉じ込める

 

 

「八月といえば」           小林 ふく子

八月の空が涙で曇ってる               袋 井

夏山で出合うお花の万華鏡

氷あります旗も暑いとうなだれる

蝉の声夏を開いて閉じていく

 

 

「たのしい草野球」          増田  久子

ホームラン打ったが二塁踏み忘れ           焼 津

身贔屓が惜敗という三点差

キャッチャーを大きくそれた変化球

守備位置がそのたび変る草野球

 

 

「ニュースより」           井口   薫

憲法をゴム紐にした自衛権              袋 井

スタップ細胞学者はたまたマジシャンか

オワライへどうぞ号泣議員様

いつだって旬でいたくて観るニュース

 

 

「忘 れ る」             川口 のぶ子

鍵忘れ忘れた鍵をまた忘れ              藤 枝

忘れ物頭の隅に置き忘れ

だんだんに昔の記憶忘れてる

家を出てケータイ忘れ役立たず

 

 

「冗句 その十六」          西垣  博司

ブティックで悩んでユニクロで決める      静 岡

恋終わるこれで血圧正常値

生きぬいた寡婦にもあった泣きぼくろ

人様の欠点だけはよく見える

 

 

「自 由 吟」             成島  静枝

しばらくね脳が検索する名前             千 葉

定位置に座ってテレビ真正面

泣くのにもTPOがあるだろう

朝顔のここぞと咲いて夏の陣

 

 

「夏の果て」             外側 としみ

束の間の想いに揺れるピンヒール           磐 田

拙なさを笑うもう一人の私

忘却の彼方にあなた色の海

アダージョで果てない夢を追いかける

 

 

「  輪  」             戸田 美佐緒

君からのメールとっさに身構える       さいたま

プラトニックな愛は冷凍庫にいれる

善人の爪を切っても血が滲む

多数決かごめかごめの輪がちぢむ

 

 

「チャンス」             真田  義子

あなたとの距離を縮めたワイングラス          仙 台

騙されたふりが上手な母の愛

躓いた石をチャンスに変えた風

夢があるだけで幸せ六十路坂

 

 

「  艶  」             石田  竹水

融通をきかす漬物石の艶                 静 岡

喋らない方円の水から学ぶ

連発の欠伸に善後策は無い

似顔絵のホクロとてつもなくでかい

 

 

「雑  詠」             馬渕 よし子

脳味噌を混乱させたかき氷              浜 松

肩貸して夫婦の絆噛み締める

透き通る声であなたと呼んでみた

一病へ一喜一憂して暮らす

 

 

「おめかし」             鈴木 まつ子

粧しこむ顔も心も女神さま                島 田

粧しこむ仕草の中にある闘志

袱紗さばき気品が匂う茶の湯会

おめかしの集いに厳然と序列

 

 

「生 き る」             薗田  獏沓

千枚を一気に駆ける青田風             川根本町

節電に夫と同じ部屋に居る

金は無いでも生活に笑いあり

生きている辛さも共について来る

 

 

「名  刺」             阿部  天気

ゴミの日に名刺を出して定年日            横 浜

肩書が消えて名刺が燃え尽きる

精神のバランスを取る風の向き

肩書に気象予報士新名刺

 

 

「自 由 吟」             山本 野次馬

一目を置かれた鼻が天を向く             函 南

笑い声聞いて胃痛なテロリスト

泥舟をつくるネイルアートの指

ダルマさん転び人間らしくなる

 

 

「天  気」             藤田  武人

遠足の前の日下駄を飛ばしてる            大 阪

晴れ以外雨冠になってます

コンビニの傘で十分晴れ男

膝疼くきっと明日は雨だろう

 

 

「  夏  」             岩永  圭二

若者の浴衣姿に風情なし            大 阪

熱帯夜今年も更新確実だ

ダイエット花火と共に決意消ゆ

カキ氷頭キンキン病み付きに

 

 

「懺 悔 録」             中矢  長仁

夢の中捨てたあの子が化けて出る        松 山

シャイな奴八方美人の罪作り

一人だけ選べば後は泣くのです

懺悔録開かぬままにあの世まで

 

 

「潰  す」             山本 ますゑ

酒好きと言ってたわりに酔い潰れ        磐 田

あめ玉を貰えば噛んで潰す癖

損得がからみ潰れる思い遣り

潰せない羽化を始めた揚羽蝶

 

 

「自 由 吟」             鈴木 恵美子

窓口へ新風入れる青りんご              静 岡

目玉だけチェック献立考える

風雪の日々なつかしむふたりきり

老人よ過去に輝く日々がある

 

 

「後期高齢」             畔柳  晴康

余生とて苦楽を問えば苦が多し            浜 松

昭和史を辿り平成抜け米寿

八十の爺元気に炎える命の灯

火も水も上手に使い永く生き

 

 

「自 由 吟」             南   天子

ベルが鳴る明るい声を出さないと           焼 津

孫達も文学好きで超嬉し

夏休み孫と川柳考える

お金持ち違う世界と気にしない

 

 

「無  題」             川口   亘

自らを律することに意を注ぐ             藤 枝

節目とか云われる時の気と心

知らぬ間に落ち込む事のある隙間

立ち直るこの言葉の意叩き込む

 

 

「ユーモア川柳」           岡村  廣司

忘れたい事に限って脳が冴え             焼 津

重いとは思わないのか付け睫毛

お見合いの写真と実物大きな差

姥桜カメラ向ければピースする

 

 

「自 由 吟」             菅原  花子

行動で自由自在に風が吹く              盛 岡

わくわくと旅の計画立ててみる

何気ない言葉ひとつで救われる

心地良い音楽聞いてリラックス

 

 

「自 由 吟」             内山  敏子

街角で挨拶の糸たぐり寄せ              浜 松

母の手をすり抜けてゆくランドセル

花活けて今日の心の満足度

すいすいと追い越してゆく通学路

 

 

「雑  詠」             安田  豊子

竹割ったような女にそつがない            浜 松

胸さわぎ少し抱いて湧く野心

ようやっと掴んだ藁がまた絡む

気おくれは昭和を生きた証です

 

 

「信 じ る」             酒井  可福

信じればきっと楽です神の所為            北九州

一人では何も出来ない世に惑う

他力本願きっと私は祈ってる

脅しには乗らぬ自信は人任せ

 

 

「雑  詠」             飯塚  澄人

ペンキ屋が駐車許せば二度三度            静 岡

妻の鼻ローカル列車駅の数

百均の不良の数に腹立たず

プロとアマ畑のじゃが芋4倍に

 

 

「自 由 吟」             山田  浩則

世の中の空気読めない日本人             島 田

頭の中は未完成の世界地図

限界を越えた地球が暴れ出す

隕石が星になってまたたいて

 

 

「雨 物 語」             渥美 さと子

お迎えのカラカサ待った母の雨             静 岡

風と来て湾飲み込んだ伊勢の雨

原点は帰路偶然の雨宿り

まいまいの悩みを溶かす半夏雨

 

 

「終戦といえば…」          尾崎  好子

終戦といえば虱に悩まされ              藤 枝

飢えてたなぁ揺すって食べた牡丹杏

親戚というわけでない疎開先

焼け出されそんなこんなで苛められ

 

 

「雨 の 夜」             中野 三根子

雨の夜歩きたくなる二人傘            静 岡

雨音を楽しむ今日のブランデー

レース編み手を止めてみる雨の夜

雨音に旅の思い出しみじみと

 

 

「  口  」             薮崎 千恵子

気も新た真一文字に結ぶ口            焼 津

空梅雨よ私もそうよ空元気

イヤリングいそいそどこへ出かけるの

のんびりと曜日忘れている暮らし

 

 

「  雨  」             林  二三子

紫陽花の絵手紙届く梅雨最中             富士宮

紫陽花の時季に似合わぬ強い雨

中体連雨が気になるグラウンド

雨止めばまた雑草に追われる日

 

 

「お  盆」             石上  俊枝

茄子の牛きゅうりの馬が盆三日            静 岡

迎え火に我が家の先祖いらっしゃる

ありがたいお経もお布施次第です

孫と嫁代々つなぐ盆行事

 

 

「自 由 吟」             滝田  玲子

胃袋のサイズ忘れたバイキング            浜 松

待合室愚痴外来が姦しい

アイロンで伸ばしてみたい顔のしわ

死にたいと言って病院はしごする

 

 

「自 由 吟」             荒牧 やむ茶

少年の夢に幾多のキズバンド             小 山

かくれんぼ鬼が近くで一休み

むかし見た河童に会いに里帰り

身の丈を知った鳶の宙返り

 

 

「悩  み」             永田 のぶ男

学校へ行きたくないがどうしよう           静 岡

お星さまみんな仲良し何故かしら

大人にはなりたくない子多過ぎる

難しいこの世に生きて高齢化

 

 

「隙 き 間」             川村  洋未

弁当の隙き間佃煮お豆やら              静 岡

ぎくしゃくの隙き間を埋めた諭吉さん

一杯のお茶隙き間埋め心まる

辞書一枚脳の隙き間に詰めてみる

 

 

「サングラス」            佐野 由利子

最善を尽くせば結果ついて来る            静 岡

隅の席まで盛り上がるコンサート

家中の願いを吊るす星まつり

別人と思った友のサングラス

 

 

「自 由 吟」             谷口 さとみ

酒で今日を流すと明日が溺れちゃう          伊 豆

寝過ごした理由を知っているグラス

こんな日にかぎって穴のあいたシャツ

投句して一週間の開放感

 

 

「  花  」             森下 居久美

向日葵に元気をもらう背比べ             掛 川

朝顔のつぼみ数えているジョウロ

くちなしの香り運んで草いきれ

真夏日の陽射し和らぐ百日紅

 

 

「ベ ッ ド」             池田  茂瑠

半熟の日記を重く明日へ閉じ             静 岡

入院の妻のベッドが指示をする

策変えて雨へ相手の出方読む

毒舌に嫌な調子をつけないで

 

 

「宿 根 草」             多田  幹江

止まり木で青い点取り虫が泣く            静 岡

一合を研ぐ指の先まで独り

あじさいの雨と別れてからブルー

宿根草置かれた場所で咲くことに

 

「自 由 吟」             長澤 アキラ

認知症の諭吉散歩に行きたがる            静 岡

早いとこ逃げ出さなくちゃ事故になる

おもてなしで釣られ首輪をつけられる

コインから足が離せず歩けない

 

 

「ひとり言」             勝又  恭子

処方箋少し怪しい顔をする              三 島

健康を守る私のさじ加減

ぽんぽんと叩き人柄確かめる

優しさの貯金にいつかくる満期

 

 

「お  盆」             増田  信一

悟るのは墓に入ってからにする            焼 津

墓参り変わりないかの声がする

迎え火が昔の景色連れて来る

手際よく盆だな作る年になる

 

 

「生活のうた」            望月   弘

山折りにすると男は反り返る             静 岡

生活の枕言葉に妻が住む

青リンゴ未来も皿に盛ってない

病い垂れ公表をして軽くする

 

 

「時 事 吟」             加藤   鰹

計算はムリ税別の五割引き              静 岡

都議会で吠えたチワワが吊るされる

韓国の葬儀か派手に泣く県議

通りゃんせ戻る道なき自衛権