平成二十四年 四月二十日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡

 

参加者(順不同)長澤アキラ、藪崎千恵子

石上俊枝、杉山光代、勝又恭子、望月満月

山田浩則、中野三根子、加藤鰹、市川重雄

八木益代、森田安心、西垣博司、八木益代

水品団石、松田夕介、尾崎好子、山本智子

佐野由利子、荒牧やむ茶、曽根田しげる、

池田茂瑠、畔柳晴康、小林ふく子、南天子

内山敏子、岡村廣司、真田義子、奥宮恒代

薗田獏沓、成島静枝、中矢長仁、酒井可福

石田竹水、望月弘、増田信一、鈴木まつ子

川村洋未、林二三子、毛利由美、濱山哲也

川口亘、三島紀久子、安田豊子、鹿野太郎

滝田玲子、鈴木千代見、渥美さと子、川口

のぶ子、永田のぶ男、外側としみ、宮浦勝

登志、山本ますゑ、山本野次馬、野中雅生

谷口さとみ、安藤千鶴子、野中とし子、中

司、萩原まさ子、川村美智代、提坂まさえ

那須野正明、森下居久美

 

宿 題 「やっきり」 加藤  鰹 選

肩書きを長い時間で腹が立つ    しげる

家の前違法駐車が動かない     由利子

重箱の隅まで突く税務署が     俊 枝

お花見の予定が雨に流される    やむ茶

手離せぬ欲が難問抱え込み     俊 枝

宝くじ買ってハズれてやっきりと  浩 則

ドライブの帰り渋滞やっきりだ   浩 則

冗談に言った言葉に腹を立て    しげる

人混みでやっきりしてる日曜日   浩 則

鍵持って母さん出かけ帰り来ず   光 代

じいちゃんは耳が遠くて同じこと  三根子

地震ありテレビはすべて特番に   三根子

同期会やっきりしたで盛り上がり  好 子

若い気がやっぱり跳べぬ水たまり  千恵子

老の身の乱れた浮世やっきりだ   重 雄

頷いて仲間にされて腹に角     俊 枝

胃袋を捕まれている負け戦     やむ茶

ゲーセンでやっきり取れぬぬいぐるみ  浩 則

やっきりをしても理性に宥められ  千恵子

鈍感な質でやっきり気にしない   千恵子

さりげない顔で揚げ足ばかり取る  由利子

生きているうちに年金貰いたい   やむ茶

おめかしの服に泥水はねられる   千恵子

奥さんが部長になったような口   由利子

おいしそう眼が食べたいが歯が痛む 重 雄

五 客

富士五湖を山梨県が自慢する    やむ茶

給料は据え置き仕事ばかり増え   やむ茶

起こしてもまた寄り掛かる酔っ払い 由利子

今ひとつ届かない手でシップ貼る  俊 枝

旅行の日仲間はみんな雨女     三根子

 人 位

旦那ではやっきりこいた屁をこいた 好 子

 地 位

人ごとを笑顔で喋る気が憎い    しげる

 天 位

小細工をするといつでも風邪をひく アキラ

 

 

宿 題 「春ですね」  勝又 恭子 選

町中がパステルカラー春ですね   居久美

似合わないだけどピンクが着たくなる さとみ

春の雨すっぽりふたり傘の中    まつ子

春ですねプラトニックの花も咲く  天 子

春の陽の熱気を貰い君と逢う    ふく子

春眠の文字見ただけで眠くなる   廣 司

テロのない世界夢見る花水木     鰹

学ランのニキビ多弁を避けている   さと子

五分七分今日は葉桜だけど呑む    やむ茶

ふところを確かめてから花見の座   獏 沓

春ですねあちらこちらにネズミ捕り  哲 也

ふところに春はまだ来ぬ空財布    可 福

春うらら何をしてても眠くなる    由利子

春ですねスローテンポになる私    敏 子

髪ちょっと染めてときめく春の道   義 子

雪解けの水に迷いを流し込む     さと子

春ですねやたらと旅に出たくなる   二三子

カラフルな色競い合う花の店     豊 子

いっぺんに咲くから絵の具間に合わぬ まさ子

新社員スーツ姿が熟れない      由 美

青春の頃の味です蕗の薹       信 一

春めいて本気になったダイエット   としみ

春風に揺り起こされる恋心      としみ

鼻先に花びらつけてはしゃぐ犬    美智代

靴底へ大地が春を告げに来る     博 司

たんぽぽの綿毛をあの人の町へ     鰹

口いっぱい春がひろがる蕗のとう   益 代

春ですねあなたの名前胸で呼ぶ    博 司

恋ひとつ拾った春のど真ん中     義 子

春ですねお皿で踊るサクラエビ    恒 代

陽気よりくしゃみで春を知らされる  二三子

五 客

キャンディーズ口遊みつつ紅を引く  由利子

くつ下も脱ぎたくなった春の風    三根子

えのぐ皿春いっぱいの色を盛る    勝登志

のし袋飛ぶように出る春四月     勝登志

土筆ん坊も土手の二人も春だった   アキラ

人 位

校門を越え少年は脱皮する      ふく子

 地 位

春の絵に軽いタッチの夢のせる    恒 代

天 位

カーテンがワルツ踊っています春   好 子

 

 

宿 題  「忘 れ 物」 荒牧やむ茶 選

忘れもの今日はひとつでホッとする  恭 子

気が付けばいつも初心を忘れてる   哲 也

会いたくて傘に忘れた振りさせる   哲 也

忘れないうちに遺言書くつもり    豊 子

遺言書書き忘れして揉めている    博 司

忘れものしたかのように戻る冬    長 仁

雨上がり傘が一人で空を見る     洋 未

肝心な事を忘れて長電話       ますゑ

忘れ物して宿題がまた増える     千恵子

また一人名前どこかに置き忘れ    太 郎

飯食って外した入れ歯どこだっけ   まつ子

忘れなくちゃ忘れたくない燃えた恋  千代見

五合目で忘れ去られた登山靴     団 石

今もある忘れた人の忘れもの    紀久子

色褪せて誓いの言葉かくれんぼ   俊 枝

あれが無いこれも無いよと置き忘れ 二三子

終電車誰を待つのか黒鞄      洋 未

いい傘だ忘れぬように家に置く   千代見

置き忘れサイフ中身は出て来ない  浩 則

反芻をしてますあなた忘れない   静 枝

青春へ忘れた恋が疼きだす      弘

青春の忘れものです淡い恋     さと子

忘れものとりに行きたい過去がある 恭 子

文明へ不要雑多な忘れもの     ふく子

この胸の動悸あなたの忘れもの   ふく子

五 客

傷跡が喉もと過ぎて行く昭和    野次馬

消し忘れなどはしませんラブメール 団 石

為残した夢を探しに旅に出る    信 一

彼の部屋わざと忘れるイヤリング  由利子

しつけ糸残したままの子の巣立ち  野次馬

 人 位

デパートに子ども忘れて来ちゃったわ 鰹

 地 位

青春の道で落とした白い布     信 一

 天 位

お出掛けのキスを近頃していない   弘

 

 

宿 題 「そ、し、て」(折り句) 佐野 由利子 選

外は雨シフォンケーキでティータイム さとみ

聡明でしっかり者で貞淑で     好 子

その時を確と掴んで手柄たて    ふく子

そんな事知っているよと天狗づら  二三子

添い寝してしっかり朝まで手枕で  三根子

相談をしたつもりだけ手間をとり   亘

その人は仕合せ運ぶ天使です    竹 水

総選挙しばらくぶりの低姿勢    としみ

そんなこんなでしんみりと呑む手酌酒 千代見

空豆の塩ゆでつまみ手にビール   紀久子

そんなこと知らぬはずないテリトリー  野次馬

そんな事してはいないと照れ笑い  光 代

それとなく心配させて手なずける  益 代

そんな事したら後ろに手が回る   博 司

添え書きにしみじみ母の手の温み  としみ

添ってみて知りました癖手をやかす 俊 枝

添い遂げて幸せだった天拝む    しげる

ソンナコトシタラダメダワテクニシャン 団 石

そんなこと知らないなんて照れている 三根子

早春の新芽が育つ天気雨       浩 則

総選挙しんがりで立ち低姿勢     玲 子

その梅に紫蘇じんわりと手を染める  ますゑ

損すると知りながらつい手を伸ばす  恭 子

卒業し仕事探しの手弁当       智 子

そうともよ!静岡県は天下一     さとみ

傍にいて尻をぶたれる亭主です    安 心

五 客

損得をしっかり計り手打ち式     アキラ

それとなく尻叩くのがテクニック   信 一

その涙信じちゃダメと天の声     やむ茶

その昔死にたいなどと手こずらせ   豊 子

そばかすもしみもたるみも手を抜かず のぶ子

人 位

そのでかい尻に敷かれる定年後     鰹

 地 位

捜査網四方を囲む手際良さ      千恵子

天 位

相愛の白い封筒定期便        益 代

 

 

宿 題 「自 由 吟」  互 選 

⑦寝返りを何度打っても消せぬ悔い  よし子

⑦期限切れ処理に夫の腹を借り    博 司

⑤女です燃える火種を持て余す    まつ子

⑤俺に気があるのか月がついてくる    弘

④夢の夢続きがあって面白い    のぶ男

④逆転へ隠しておいた鷹の爪    やむ茶

④立ち話日差しと共に移動する   洋 未

④居酒屋で愚痴があふれるコップ酒 玲 子

③未だふたつ越えねばならぬ山がある 豊 子

③退院は出来たが痩せた足なでる  茂 瑠

③寂しい日妻は黙って茶を入れる  アキラ

③脳みがく辞書はたくさん持っている由利子

③人生の裏側を見てきた仮面    義 子

③子も父に習って親の脛かじり   長 仁

③残念な今日の私はさようなら   としみ

③負けて勝つ嘘だ父ちゃん負けないぞ  竹 水

③リハビリにリンゴの皮の一センチ 野次馬

②弁当に山菜ごはん春ですね    みどり

②校則を無視した友を引き戻す   敏 子

②有害な友達なんだ飲み仲間    廣 司

②日銀の白から黒へどう動く    紀久子

②買わなけりゃデフレインフレ怖くない  智 子

②ほんわかとしぞーか弁が慰める  静 枝

②花花花西へ東へ花疲れ      益 代

②餅背負い俺が主役と孫歩む    光 代

②気違いに刃物と北を言い当てる  好 子

②また一つ秘密を知った貸衣裳   千恵子

②ランドセル目立つカラフル通学路 浩 則

②思わくで選ぶ国民栄誉賞     ますゑ

②終活の最後に残るのは覚悟    信 一

②今何をしようとしたかもう忘れ  二三子

②大切な人にすべてをたくしたい  三根子

②海猿が潜ってくれる憎い海    太 郎

②分かりたい分かりたくない若者語 由 美

②サクラサク知らせは花が散り始め 可 福

②公園を追っかけ抱いた子の重み  獏 沓

②遠い子の運勢きっと読む日課   さと子

②ぐるぐる巻きされてうれしいくもの糸 千代見

②山笑うわたしの胸も笑い出す   ふく子

②尊敬はしているけれど手もふれず 天 子

②友との仲年の数から引いてみる  安 心

②知恵の輪が今日も解けずに日が暮れる 晴 康