平成二十四年 五月二十日
たかね川柳会 定例句会
於 アイセル静岡

 

参加者(順不同)永田のぶ男、荒牧やむ茶

杉山光代、勝又恭子、滝田玲子、山田浩則

中野三根子、加藤鰹、市川重雄、八木益代

増田信一、藪崎千恵子、望月弘、林二三子

佐野由利子、石上俊枝、山本智子、中田尚

曽根田しげる、渥美さと子、森下居久美、

尾崎好子、畔柳晴康、薗田獏沓、岡村廣司

池田茂瑠、酒井可福、真田義子、成島静枝

中矢長仁、小林ふく子、石田竹水、南天子

鈴木まつ子、三島紀久子、鈴木千代見、中

司、山本ますゑ、長澤アキラ、外側としみ

川村洋未、奥宮恒代、鹿野太郎、濱山哲也

川口亘、川口のぶ子、安田豊子、毛利由美

西垣博司、森田安心、松田夕介、野中雅生

谷口さとみ、恩田たかし、那須野正明、川

村美智代、萩原まさ子、宮浦勝登志、野中

雅生、野中とし子、安藤千鶴子

 

宿 題「じぇじぇじぇ」 増田 信一 選

市長さん世界をゆする震源地    智 子

除染してたれ流しするじぇじぇじぇのじぇ  弘

占いに長寿と言われ金尽きる    俊 枝

あなたの句 特選という通知来た   由利子

田舎でも林の影で取り締まり    浩 則

朝ドラがじぇじぇじぇで始めじぇで終る のぶ男

春うらら急に空から黒い雨     さと子

いつの間に母が私の服着てる    三根子

竜巻に呑まれ跡形ない我が家    千恵子

久しぶり古里帰り家がない     しげる

またバスがなくなるらしい過疎の村 二三子

ワンちゃんとオーダーメイドペアルック 智 子

死にたいとグチった人のパスポート 玲 子

ぶんぶんと隣の軒へススメバチ   重 雄

まだ産むの六人目とは目を見張る  重 雄

今時の若い男は草を食う      好 子

イヤリングティッシュにくるみごみ箱に 三根子

五 客

女だとずっと思っていたじぇじぇじぇ やむ茶

赤ちゃんを抱いて帰った隣の娘   千恵子

父さんが若い彼女と歩いてる    三根子

デフレからインフレにするじぇじぇじぇだな のぶ男

高校の孫の態度にいつもじぇじぇ  玲 子

 人 位

手も口も八丁の人紙オムツ     玲 子

 地 位

全身が耳になってるコッペパン    弘

 天 位

通帳を孫の名前で渡される     俊 枝

 

 

宿 題 「 魚 」  渥美さと子 選

魚には水泳という免許証      天 子

僕の知る鰹は陸に住んでいる    博 司

深海魚群がっている2チャンネル   鰹

時価という魚が睨みきかしてる    弘

大トロに出世しました船降りて   洋 未

おいしそうなんて水族館で言う   恭 子

小魚に依存している骨密度     由 美

会いに来る鰹へ初夏が跳ねている  ふく子

キラキラのルアーで釣り上げる人魚  鰹

客寄せの解体ショーが図に当たる  千恵子

雑念を払えばバクになるカサゴ   野次馬

まな板の鯉の気分で胃の検査     としみ

完全犯罪できそうな冷凍サンマ    由 美

ガレキなど乗り越え鮭の里帰り    太 郎

なつメロが鰯の味にしみている    博 司

私よりマンボウ以外みなスリム    茂 瑠

湯上がりのビール腑に滲む初鰹    豊 子

大衆魚君はサンマで僕はサバ     哲 也

じいちゃんの長寿祝って鯛づくし   紀久子

鰹一本さばいた母の底力       ますゑ

汚染した魚に何の罪もない      信 一

はしゃぐ声親六人の鯉のぼり     智 子

居眠りを誘う木魚のヘ短調      やむ茶

釣り落した魚両手がよく喋る     益 代

骨のない魚から摂るカルシューム    弘

世の中がイヤで潜った深海魚     可 福

鯨ケ池のクジラをきっと捕ってやる  由利子

戒名に一字貰った魚偏        のぶ男

マンボウに乗ってこの世を泳ぎきる  アキラ

お魚を洋風ソテー嫁の技       しげる

計量を拒む肥満になった魚      竹 水

魚市場魚無念の眼で並び       廣 司

五 客

食べられる名誉魚は知っている    好 子

鯛焼きの食べ方にある主義主張    としみ

魚心捕えて清んだ俺の水       重 雄

雑魚同士グチり合ってる縄のれん   玲 子

衣装代高くついてる熱帯魚      竹 水

人 位

回遊魚ちょっと休んでいる酒場    夕 介

 地 位

釣り上げた魚が餌をよく食べる    やむ茶

天 位

情報の海にうようよいるシャーク   哲 也

 軸 吟

五月の風吹いても金魚は金魚     さと子

 

 

宿 題  「病  院」 中田   尚 選

ガスが出て退院許可が今おりた    のぶ男

病院の待合室が社交の場       好 子

待ち合いでナースをチェックする患者 千恵子

診察の前にはじまるクラス会     夕 介

犬猫の治療費保険欲しくなる     重 雄

リハビリへ泣いて笑った試歩三歩   豊 子

川柳は待ち合い室でよく浮かぶ    三根子

病院の待ち合い室で嫁の愚痴     玲 子

レントゲン取られたくない胸の中   光 代

病院はスーパー並の賑やかさ     由利子

産院も介護施設に様変わり      由利子

痛ければ言えと歯医者が無茶を言う  夕 介

見積もりも取らずに払う手術代    智 子

無医村に取り残された高齢者     豊 子

病院と飲み屋を行き来する夫    信 一

ナビがあり病院がない救急車    由 美

病院をはしご診察今日も暮れ    晴 康

銀行も病院もすぐ側にある     獏 沓

温泉で折れた心を癒してる     哲 也

塩分が抜けて退院させられる     弘

血圧が美人ナースで上がりそう   長 仁

病院でスマホが並ぶ午後一時    のぶ子

病院に低い姿勢の請求書      太 郎

病院でライバルだった奴に会い   洋 未

評判の名医頼りの命綱       千恵子

年と共通う病院増えていく     浩 則

検温のたびにナースの手を握る   アキラ

五 客

解熱剤心の熱は下がらない     アキラ

町医者の予約確約無駄がない    好 子

病院がだんだん遠くなる過疎地   居久美

開業医老いが気になる聴診器    益 代

仏滅も御構い無しの手術の日    智 子

 人 位

点滴と寿命ゆっくり落ちていく    弘

 地 位

病院のすべての窓にお月様     哲 也

 天 位

病院の廊下のゼリー質の闇      鰹

 

 

宿 題 「よくもまあ」(上五指定) 加藤   鰹 選

よくもまあ騙せたもんだその顔で  洋 未

よくもまあ大根足でミニをはく   安 心

よくもまあ溜めた脂肪が電話帳   さと子

よくもまあ化粧落とせば点と線   まつ子

よくもまあ寝るわ食うわでこの姿  可 福

よくもまあこの寝姿と半世紀    アキラ

よくもまあ市民課が出るゴミ屋敷  静 枝

よくもまあやせる訳ないコマーシャル 二三子

よくもまあ詰め込みますねバイキング 恭 子

よくもまあ酒の出る席だけは来る  博 司

よくもまあ酒もタバコも止めないで  弘

よくもまあ不味い不味いとよく食べる やむ茶

よくもまあ散々飲んでまだ飲むの  二三子

よくもまあ大食いなのに太らない  竹 水

よくもまあ底なし食べる奢りなら  俊 枝

よくもまああんなに泣いてもう笑う 益 代

よくもまあぬけぬけと言う嘘っぱち 千恵子

よくもまあ上手に振るう二枚舌   夕 介

よくもまあ大風呂敷をかっ広げ   玲 子

よくもまあ歳ごまかしていたなんて 義 子

よくもまあ美人じゃないが子沢山  のぶ男

よくもまあ夫婦喧嘩の子沢山    重 雄

よくもまあ会えば始まる孫自慢   智 子

よくもまあリストラ亭主朝帰り   玲 子

よくもまあ照れもしないで自画自賛  恭 子

よくもまあ女ばかりがよくしゃべる  三根子

よくもまあお面二つを使い分け    恒 代

よくもまあ舌の乾かぬうち浮気    信 一

よくもまあ遊んだもんだ空財布    洋 未

よくもまあ減量中のバイキング    千代見

よくもまあ句読点から少しずれ     亘

よくもまあ遠慮もなしの路上キス   千恵子

よくもまあやるぜ原発再稼働     哲 也

よくもまあ八十才でエベレスト    信 一

よくもまあまた会長を請けて来る   好 子

よくもまあ鳥肌立ててクールビズ   ますゑ

よくもまあ我慢できましたね虫歯   由 美

よくもまあけちけち貯めた金取られ  光 代

よくもまあ俺のふんどし返してよ   野次馬

よくもまあ見つけてくれたコンタクト 由 美

よくもまあ「今度飲もう」と何年目  さとみ

よくもまあ今日は出てから全部赤   さとみ

よくもまあ宅急便の来るとなり    恒 代

よくもまあ山ほどあるがやめとこう  天 子

五 客

よくもまあ腹だけ見ればお金持ち   哲 也

よくもまあ億を小金とのたもうた   さと子

よくもまあドリンクバーでまだ粘る  夕 介

よくもまあチンしただけの物ばかり  博 司

よくもまあ姉妹揃ってまん丸い    三根子

人 位

よくもまあ桃に触って買わぬ客    由利子

 地 位

よくもまあ小百合似なんて言えるわね やむ茶

天 位

よくもまあ娘のような嫁もらい     弘

 

 

宿 題 「自 由 吟」  互 選 

⑧教科書にない母さんの褒め言葉   しげる

⑧思い出も夢も包んでオムライス   さとみ

⑥反抗期親も試練と受け入れる    二三子

⑥アルバムに思い出せない名が増える 博 司

⑥丸くなることで溜まっていくマグマ 信 一

⑤この人も多分寂しい話し好き    静 枝

⑤知恵袋しまい忘れて役立たず    益 代

④絵手紙に添える一句の花だより   晴 康

④百薬の長は己等の常備薬      竹 水

④失恋は速乾性で乗り越える     洋 未

③こま切れの自由精一杯の夢     ふく子

③おいポストプライバシーは重かろう  尚

③能書きに溺れてずれた青写真    まつ子

③ほうばるむすび塩辛かった昭和   野次馬

③けれどまあよくやったさと言う他人 夕 介

③知っているから毒舌が温かい    由 美

③役立たぬ鍬のくさびが緩み出す   千代見

③半世紀生きて青春ど真ん中    やむ茶

③凛と生き振り返ったら蟹歩き   俊 枝

②風邪気味で声はなぜだかドラえもん三根子

②熱燗と冷えたビールが喧嘩する  安 心

②火の車包丁捌き妻の腕      重 雄

②嫁取らぬ子へ沈黙の爪を切る   さと子

②プランター育ちの茄子がよく光る 獏 沓

②健康は摂生脳は生まれつき    廣 司

②初凧の名前一文字天に舞い    好 子

②毒舌の匂いが貸せた笛につく   茂 瑠

②暇つぶしのゲームしていて忙しい 長 仁

②前世は多分ねこだな魚好き    天 子

②富士山に纏わりついている夜明け アキラ

②ソーダ水はじけて明日へ第一歩  としみ

②女房の自在のベロに見送られ   太 郎

②リハビリを重ね笑顔の試歩の足  玲 子